説明

デジタルカメラ及び光学機器

【課題】光学機器の小型化やAFの高速化、高精度化のために、撮像素子を駆動して山登りAFを行う機器に於いて、より小型で高速、高精度なAFを行うことができるデジタルカメラ及び光学機器を提供することである。
【解決手段】本発明のデジタルカメラは、フォーカスレンズ21、レンズ駆動部22を有する撮影レンズ20と、制御部31、撮像素子32、撮像素子駆動部33を有するカメラ本体30とから成る。制御部31は、上記撮像素子32で撮像された被写体像の合焦の度合いを焦点評価値として算出する。更に、上記制御部31は、上記焦点評価値を基に、フォーカスレンズ21の移動及び撮像素子32の移動を制御して焦点調節を行う。また、撮像素子駆動部33は、上記撮像素子32を光軸方向に駆動させる際の上記焦点評価値に基づいて撮像素子32の初期位置を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルカメラやビデオカメラ等の光学機器での自動焦点調節の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一眼レフレックスカメラ(以下、一眼レフカメラと略記する)は、図6に示されるように、カメラ本体1内にメインミラー2とサブミラー3とを有している。そして、このようなカメラでは、オートフォーカス(以下、AFと記す)実行時には、これらのミラーによって、図示されない被写体からの光束17を、それぞれスクリーンマット6、ペンタプリズム7、接眼レンズ8等を有するファインダ光学系5と、コンデンサレンズ11、再結像レンズ12a及び12b、ラインセンサ13a及び13b等で構成される位相差AF光学系10とに分割して焦点調節が行われる。また、撮影時には、これらのミラーが光路から退避されて、被写体像がフィルムや撮像素子15上に結像される構成となっている。
【0003】
上述した構成の場合、上記ファインダ光学系5及び上記AF光学系10が存在するが故に、カメラが大型化してしまうという欠点を有していた。デジタル一眼レフカメラの場合、この欠点を解消してカメラの小型化を図る方法として、次のような手法を取っている。
【0004】
すなわち、撮影用のCCD等の撮像素子を利用し、撮影レンズ内のフォーカスレンズを所定間隔で駆動しながら被写体像の高周波成分を焦点評価値として検出していき、焦点評価値が最大となるフォーカスレンズ位置を求める、所謂山登りAFによって焦点調節を行い、カメラの背面等に配置される液晶モニタ等に撮影画像を表示することにより、上記AF光学系10や上記ファインダ光学系5を廃止するものである。
【0005】
ところが、このような手法では、従来の交換レンズは、山登りAFの際のフォーカスレンズの微小駆動を行うのに適した構成になっていないので、焦点調節に時間を要したり、精度の良い焦点検出を行えないという課題を有している。
【0006】
また、レンズ駆動機構が、上述した山登りAFに向いている交換レンズであっても、カメラ本体と交換レンズ間の制御信号線の増加による装置の複雑化を招いたり、大型の交換レンズの場合は大きな駆動力が必要とされることから、消費電力が増加するというような問題が発生する。
【0007】
このような課題を解決する方法の一例として、例えば下記特許文献1に開示されているように、焦点調節時にレンズ駆動を行うことで大まかな合焦位置を検出後、撮像素子を含む撮像部を撮影レンズの光軸方向に駆動して焦点調節を行うオートフォーカス方式が知られている。
【特許文献1】特開2008−46417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1に於いては、フォーカスレンズ及び撮像部の両方を駆動するとしているが、撮像部をセンタリング制御していないため、微小駆動制御時に撮像部の制御範囲を超えてしまう可能性がある。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光学機器の小型化やAFの高速化、高精度化のために、撮像素子を駆動して山登りAFを行う機器に於いて、より小型で高速、高精度なAFを行うことができるデジタルカメラ及び光学機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち請求項1に記載の発明は、焦点調整用のフォーカスレンズを備えた撮影レンズと、上記フォーカスレンズを光軸方向に移動させるレンズ駆動手段と、上記撮影レンズを介して結像した被写体像を撮像する撮像部を光軸方向に移動させる撮像部駆動手段と、上記撮像部で撮像された被写体像の合焦の度合いを焦点評価値として出力する焦点評価手段と、上記焦点評価値を基に、上記レンズ駆動手段による上記フォーカスレンズの移動及び上記撮像部駆動手段による上記撮像部の移動を制御して焦点調節を行う焦点制御手段と、を具備し、上記撮像部駆動手段は、上記焦点評価手段の出力に基づいて上記撮像部の初期位置を決定することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記撮像部駆動手段は上記撮像部を上記光軸方向に微小駆動させることが可能であって、上記撮像部駆動手段が上記撮像部を上記光軸方向に微小駆動させる際の上記焦点評価手段の出力に基づいて、上記焦点制御手段は焦点調節のための上記フォーカスレンズ駆動の際の駆動方向を決定し、上記撮像部駆動手段は上記撮像部の初期位置を決定することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記レンズ駆動手段が上記フォーカスレンズを上記光軸方向に移動させる際の上記焦点評価手段の出力に基づいて、上記焦点制御手段は焦点調節のための上記フォーカスレンズ駆動の際の移動方向を決定し、上記撮像部駆動手段は上記撮像部の初期位置を決定することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2若しくは3に記載の発明に於いて、上記撮像部駆動手段は、上記決定されたフォーカスレンズの移動方向が無限側の場合は上記撮像部を至近側に移動して初期位置とし、上記決定されたフォーカスレンズの移動方向が至近側の場合は上記撮像部を無限側に移動して初期位置とすることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記焦点制御手段は、上記フォーカスレンズの移動に伴い上記焦点評価値のピークを検出したときには、上記フォーカスレンズを停止することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明に於いて、上記焦点制御手段は、上記フォーカスレンズを至近位置に合焦する位置から無限遠に合焦する位置に向けて移動することを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、焦点調整用のフォーカスレンズを含み、該フォーカスレンズを光軸方向に移動可能な撮影レンズ部と、上記撮影レンズ部を装着するものであって、該撮影レンズ部を介して結像した被写体像を撮像するもので、上記光軸方向に移動可能な撮像部と、上記撮像部で撮像された被写体像の合焦の度合いを焦点評価値として算出すると共に、該焦点評価値を基に上記フォーカスレンズの移動及び上記撮像部の移動を制御するもので、上記焦点評価値に基づいて上記撮像部の初期位置を決定する制御部と、を有する本体部と、を具備することを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明に於いて、上記制御部は、上記撮像部を上記光軸方向に移動させる際の上記焦点評価値に基づいて上記撮像部の初期位置を決定することを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の発明に於いて、上記制御部は、上記フォーカスレンズを上記光軸方向に移動させる際の上記焦点評価値に基づいて上記撮像部の初期位置を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光学機器の小型化やAFの高速化、高精度化のために、撮像素子を駆動して山登りAFを行う機器に於いて、より小型で高速、高精度なAFを行うことができるデジタルカメラ及び光学機器を提供することができる。また、センクリングを行うことで撮像部の移動範囲は必要最小限とすることができるので、撮像部駆動機構を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0021】
尚、本実施形態に於いては、ファーストレリーズスィッチが押下されたら合焦動作を実施し、一度合焦と判定されたらそのピント位置を維持する、通常シングルAFと称されるモードについて説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施形態に係るカメラのオートフォーカス動作を説明するための模式図、図2は本発明の一実施形態に係るカメラの構成を示すブロック図である。また、図3は本発明の一実施形態に係るカメラの撮影シーケンスの一動作例を説明するためのフローチャート、図4は本発明の一実施形態に係る山登りAF時のフォーカスレンズ動作、及び撮像部動作と焦点評価値の関係の一例を示すもので、(a)はフォーカスレンズ動作と焦点評価値の関係の一例を示す図、(b)は撮像部動作と焦点評価値の関係の一例を示す図である。
【0023】
図1に於いて、本発明の一実施形態に係るカメラは、撮影レンズ20と、この撮影レンズ20がその前面に装着された本体部としてのカメラ本体30とから構成される。
【0024】
撮影レンズ20は、各種撮影用光学系、フォーカスレンズ21等から成り、後述する撮像手段である撮像素子32上に被写体像を結像させるためのものである。撮影レンズ20内には、フォーカスレンズ21と、このフォーカスレンズ21を駆動制御するためのレンズ駆動手段であるレンズ駆動部(レンズドライバ)22とを有している。上記フォーカスレンズ21は、レンズ駆動部22により撮影レンズ20の光軸25方向に移動される焦点調節用のレンズである。そして、レンズ駆動部22は、モータ等のアクチュエータを有し、フォーカスレンズ21の駆動制御を行うレンズ駆動手段である。
【0025】
一方、カメラ本体30内には、カメラ動作の全体の制御を司る制御手段(焦点制御手段、焦点評価手段)である制御部31と、撮影レンズ20の光軸25方向に移動可能な撮像手段である撮像素子32と、この撮像素子32を駆動する撮像素子駆動手段である撮像素子駆動部(撮像素子ドライバ)33等を有している。上記制御部31は、撮像素子32やフォーカスレンズ21の駆動制御、演算等、各種カメラの動作制御を行う。撮像素子32は、撮影レンズ20により結像された被写体像を撮像するCCDセンサ等より成る撮像手段である。この撮像素子32は、撮像素子駆動部33によって撮影レンズ20の光軸25方向に移動可能となっている。更に、撮像素子駆動部33は、モータ等のアクチュエータを有しており、制御部31からの制御信号により、撮像素子32の駆動制御を行うと共に、撮像素子32の現在位置を検出して位置情報を制御部31に送信する位置検出手段等を有している。
【0026】
また、図2は、こうしたカメラの基本的な構成を示すブロック図である。尚、この図2に於いて、図1と同じ部分には同一の参照番号を付してその説明は省略する。
【0027】
図2に於いて、カメラ本体30には、撮像素子32と、撮像素子駆動部33の他に、CPU(中央演算処理装置)34と、A/D変換部35と、画像処理部36と、表示部37と、記憶部38とを有している。
【0028】
CPU34は上記制御部(制御手段、焦点制御手段)31に相当するもので、主にカメラ本体30内の全ての制御動作を司るものである。A/D変換部35は、撮像素子32から出力されるアナログ像信号をデジタル像信号に変換するための変換手段である。画像処理手段である画像処理部36は、このA/D変換部35から出力されるデジタル像信号に基づいて、ホワイトバランス補正、歪補正、画像圧縮等の画像処理による画像データの生成や、像信号の高周波成分の検出による焦点評価値の算出等を行う(焦点評価手段)。そして、CPU34の指示に応じて画像データを表示部37に表示させたり、記憶部38への格納、及び格納されている画像データの再画像処理等を行うようになっている。
【0029】
表示部37は、上記画像処理部36で画像処理されたスルー画や、記憶部38に格納されている画像データの表示を行うもので、例えば液晶パネル等から構成される。上記記憶部38は、画像処理部36で画像処理された画像データ等を格納するための記憶手段である。
【0030】
このような構成のカメラに於いて、オートフォーカス動作が開始されると、先ず、図4(a)に示されるように、撮影レンズ20内のフォーカスレンズ21が、レンズ駆動部22によって、至近端位置から無限位置側に、撮影レンズ20の光軸25方向に粗い間隔で移動及び停止される。そして、各停止位置での焦点評価値が被写体像信号の高周波成分より求められ、焦点評価値のピークが検出された時点でレンズ駆動が停止される。
【0031】
次に、図4(b)に示されるように、カメラ本体30内の撮像素子32が焦点評価値のピークが存在する方向へ、撮影レンズ20の光軸25に沿って、上述したレンズ駆動時よりも細かい間隔で移動及び停止が行われる。そして、各停止位置での焦点評価値が求められて、最終的に焦点評価値のピーク位置に撮像素子32が駆動される山登りAFが行われる。
【0032】
次に、図3のフローチャートを参照して、本発明の一実施形態に係るカメラの撮影動作について説明する。尚、このカメラの動作は、主にCPU34の制御によって行われる。
【0033】
図示されないカメラの電源スイッチがオンされると、本シーケンスが開始される。そして、先ず、ステップS1にて、フォーカスレンズ21により撮像素子32上に結像された、図示されない被写体の像(被写体像)が、該撮像素子32で光電変換されてアナログ像信号に変換される。そして、上記アナログ像信号がA/D変換部35にてA/D変換されることによって得られたデジタル像信号から、画像処理部36にてスルー画データが生成され、この生成されたスルー画データに対応した画像が表示部37に表示される。
【0034】
次いで、ステップS2にて、レンズ駆動部22によりフォーカスレンズ21が駆動されて、焦点評価値検出を行う際の駆動ピッチが、カメラの撮影モードや撮影レンズ20の種類(例えば、焦点距離やFno(Fナンバ))に応じて設定される。例えば、撮影モードに関しては、ポートレートモードでは駆動ピッチを細かくして合焦精度を優先し、連写モードでは駆動ピッチを粗くして合焦速度を優先するようにする。また、撮影レンズ20の焦点距離に関しては、ピント調節用のフォーカスレンズ21の駆動範囲が狭い広角側では駆動ピッチを細かくし、駆動範囲が広い望遠側では駆動ピッチを粗くする。撮影レンズ20のFnoに関しては、Fnoの明るいレンズの場合は、フォーカスレンズ21の駆動ピッチを細かくすると共に、特に撮像部である撮像素子32の駆動ピッチを細かくして、より精度を高める。
【0035】
そして、ステップ3に於いて、カメラ本体30の図示されない電源スイッチにより電源がオフされたか否かが判定される。ここで、電源がオン状態であればステップS4に移行し、オフにされた場合にはステップS12に移行する。
【0036】
ステップS4では、図示されないレリーズスイッチがオンされたか否か、すなわちファーストレリーズスイッチ(1stレリーズSW)のオンが検出されたか否かが判定される。ここで、ファーストレリーズスイッチがオンされた場合にはステップS5に移行し、オフ状態のままであれば上記ステップS3に移行する。
【0037】
ステップS5に於いては、撮像部のウォブリング動作(撮像部である撮像素子32を光軸方向に細かく振動させることで、合焦方向を検出する)が実施されて、被写体が存在するであろう方向が検出される。例えば、図5に示されるように、至近側から無限遠側にウォブリング動作されることで、現在のフォーカスレンズ位置に於ける焦点評価値、及び撮像素子32が前後に移動された場合での焦点評価値を算出することができる。
【0038】
撮像素子32の位置が前側(無限側)の焦点評価値が高ければ(図5に示される状態)、現在のフォーカスレンズ位置で合焦しているねらいとしていない被写体に対して被写体位置としては後ろ側(無限側)にねらいとする被写体がいると判定されて、フォーカスレンズが繰り込み側(無限側)に駆動され(図5矢印)、逆であれば、繰り出し側(至近側)に駆動される。尚、焦点評価値に明らかな差が見られなければ、先ずは至近側に駆動されるようになっている。
【0039】
次に、ステップS6にて、撮像部のセンタリングが行われる。本動作は、撮像部である撮像素子32の駆動可能範囲全体を一方向のみの駆動でできるよう、至近端、または無限端の何れかに撮像部を当て付けた状態とする。当て付ける側は、上記ステップS5の結果に基づくもので、ステップS7にてフォーカスレンズを駆動する方向と逆方向に設定される(フォーカスレンズを至近側から無限側に移動するときは、無限端に当て付ける)。
【0040】
こうすることで、撮像部の移動範囲を十分取ることができるので、ステップS7にて、フォーカスレンズの行き過ぎ量を多くすることができる。すなわち、フォーカスレンズの移動ピッチを粗くすることができるので、フォーカス時間を短縮することができる。
【0041】
上記ステップS7では、図4(a)に示されるように、CPU34によりレンズ駆動部22が制御されることにより、上記ステップS2で設定された駆動ピッチでフォーカスレンズ21が至近端から移動される。そして、各停止位置での像信号の高周波成分が、画像処理部36で検出されて焦点評価値が求められ、上記各停止位置での焦点評価値がピークを越えたと判定された時点、例えば前回の位置での焦点評価値よりも現在位置での焦点評価値が小さくなった時点で、レンズ駆動が停止される。
【0042】
次いで、ステップS8にて、図4(b)に示されるように、CPU34により撮像素子駆動部33が制御されることにより、撮像素子32が上述したフォーカスレンズ21の駆動時よりも細かいピッチで、無限位置側から至近位置側に向けて駆動される。そして、各停止位置での像信号の高周波成分が画像処理部36で検出されて焦点評価値が求められ、上記各停止位置での焦点評価値がピークを越えたと判定された時点で、撮像素子駆動部33により撮像素子32が逆方向に駆動されて、焦点評価値がピークとなる位置に停止される(山登りAF)。
【0043】
その後、ステップS9に於いて、セカンドレリーズスイッチ(2ndレリーズSW)が押下されるまで待機されて、セカンドレリーズスイッチが押下されたならば、ステップS10に移行する。そして、このステップS10にて、上記ステップS8で山登りAFによって検出された撮像素子32の停止位置で撮像が行われる。この撮像により、撮像素子32での光電変換により得られたアナログ像信号が、A/D変換部35にてデジタル像信号に変換され、更に、画像処理部36に於いて各種フィルタ処理、ホワイトバランス補正、画像圧縮等の画像処理が行われて画像データが生成される。
【0044】
そして、ステップS11にて、上記ステップS10で生成された画像データが記憶部38に格納される。その後、上記ステップS3に移行して、再び撮影待機状態に移行する。
【0045】
一方、上記ステップS3で電源がオフにされた場合は、ステップS12に移行して各種データの退避、電源系統の切断処理等の所定の終了処理が実行される。その後、本シーケンスが終了する。
【0046】
このように、本実施形態によれば、オートフォーカス動作時のフォーカスレンズの駆動ピッチは粗い間隔でよく、且つ、撮像素子の駆動範囲を狭くすることができるので、ファインダ光学系やAF光学系を有する従来のカメラよりも小型なカメラで、高速、高精度なAFを行うことができる。
【0047】
尚、上述した実施形態に於いては、以下に述べるような変形が可能である。
【0048】
すなわち、焦点評価値を求める際に、フォーカスレンズ21或いは撮像素子32を必ずしも停止させる必要はなく、例えば、所定の速度で駆動させながら撮像素子32の垂直同期信号に同期して焦点評価値を求めるようにしてもよい。上記のようにすることで、よりAFの高速化を図ることができる。
【0049】
また、焦点評価値の値やその傾向に応じて、フォーカスレンズ21或いは撮像素子32の駆動速度や駆動間隔を変えたり、焦点評価値がピークとなる位置を数点の焦点評価値から予測する等の山登りAFの高精度化、高速化の工夫を施してもよい。
【0050】
また、本実施形態に於いては、ウォブリング動作をファーストレリーズスイッチの操作後としているが、ファーストレリーズスイッチの操作前にもウォブリング動作をしておくことで、フォーカスレンズの駆動すべき方向を予め決定しておいても良い。或いは、ファーストレリーズスイッチの操作前にAF動作(ステップS5〜S8)を実施しておき、ピント位置合わせを実施しておいても良い。こうすることで、ファーストレリーズスイッチの操作後、撮像が可能となるまでの時間を短縮することができる。
【0051】
本実施形態に於いては、撮像部のウォブリング動作時の焦点評価値の変化に応じてセンタリングの方向を決定している。しかしながら、変形例として、ウォブリング動作を行うことなくセンタリング方向を決定することも可能である。
【0052】
例えば、撮像部の現在位置で焦点評価値を取得し、次に撮像部を所定量無限側に移動した状態で同様に焦点評価値を取得し、更に撮像部を現在位置より所定量至近側に移動した状態で焦点評価値を取得し、その結果、図5と同様の情報を得ることによりセンタリング方向を決定してもよい。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能であるのは勿論である。
【0054】
更に、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、或いは実施形態に示される構成要件が幾つか組合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一態実施形態に係るカメラのオートフォーカス動作を説明するための模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るカメラの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るカメラの撮影シーケンスの一動作例を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る山登りAF時のフォーカスレンズ動作、及び撮像部動作と焦点評価値の関係の一例を示すもので、(a)はフォーカスレンズ動作と焦点評価値の関係の一例を示す図、(b)は撮像部動作と焦点評価値の関係の一例を示す図である。
【図5】焦点評価値と撮像素子駆動位置との関係を示した図である。
【図6】従来の一眼レフカメラの構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0056】
20…撮影レンズ、21…フォーカスレンズ、22…レンズ駆動部(レンズドライバ)、30…カメラ本体、31…制御部、32…撮像素子、33…撮像素子駆動部(撮像素子ドライバ)、34…CPU(中央演算処理装置)、35…A/D変換部、36…画像処理部、37…表示部、38…記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点調整用のフォーカスレンズを備えた撮影レンズと、
上記フォーカスレンズを光軸方向に移動させるレンズ駆動手段と、
上記撮影レンズを介して結像した被写体像を撮像する撮像部を光軸方向に移動させる撮像部駆動手段と、
上記撮像部で撮像された被写体像の合焦の度合いを焦点評価値として出力する焦点評価手段と、
上記焦点評価値を基に、上記レンズ駆動手段による上記フォーカスレンズの移動及び上記撮像部駆動手段による上記撮像部の移動を制御して焦点調節を行う焦点制御手段と、
を具備し、
上記撮像部駆動手段は、上記焦点評価手段の出力に基づいて上記撮像部の初期位置を決定することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
上記撮像部駆動手段は上記撮像部を上記光軸方向に微小駆動させることが可能であって、上記撮像部駆動手段が上記撮像部を上記光軸方向に微小駆動させる際の上記焦点評価手段の出力に基づいて、上記焦点制御手段は焦点調節のための上記フォーカスレンズ駆動の際の駆動方向を決定し、上記撮像部駆動手段は上記撮像部の初期位置を決定することを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
上記レンズ駆動手段が上記フォーカスレンズを上記光軸方向に移動させる際の上記焦点評価手段の出力に基づいて、上記焦点制御手段は焦点調節のための上記フォーカスレンズ駆動の際の移動方向を決定し、上記撮像部駆動手段は上記撮像部の初期位置を決定することを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項4】
上記撮像部駆動手段は、上記決定されたフォーカスレンズの移動方向が無限側の場合は上記撮像部を至近側に移動して初期位置とし、上記決定されたフォーカスレンズの移動方向が至近側の場合は上記撮像部を無限側に移動して初期位置とすることを特徴とする請求項2若しくは3に記載のデジタルカメラ。
【請求項5】
上記焦点制御手段は、上記フォーカスレンズの移動に伴い上記焦点評価値のピークを検出したときには、上記フォーカスレンズを停止することを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項6】
上記焦点制御手段は、上記フォーカスレンズを至近位置に合焦する位置から無限遠に合焦する位置に向けて移動することを特徴とする請求項5に記載のデジタルカメラ。
【請求項7】
焦点調整用のフォーカスレンズを含み、該フォーカスレンズを光軸方向に移動可能な撮影レンズ部と、
上記撮影レンズ部を装着するものであって、該撮影レンズ部を介して結像した被写体像を撮像するもので、上記光軸方向に移動可能な撮像部と、上記撮像部で撮像された被写体像の合焦の度合いを焦点評価値として算出すると共に、該焦点評価値を基に上記フォーカスレンズの移動及び上記撮像部の移動を制御するもので、上記焦点評価値に基づいて上記撮像部の初期位置を決定する制御部と、を有する本体部と、
を具備することを特徴とする光学機器。
【請求項8】
上記制御部は、上記撮像部を上記光軸方向に移動させる際の上記焦点評価値に基づいて上記撮像部の初期位置を決定することを特徴とする請求項7に記載の光学機器。
【請求項9】
上記制御部は、上記フォーカスレンズを上記光軸方向に移動させる際の上記焦点評価値に基づいて上記撮像部の初期位置を決定することを特徴とする請求項7に記載の光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−107866(P2010−107866A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281712(P2008−281712)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】