説明

デジタルカメラ

【課題】レイアウトの制約を最小としつつ、撮影時の調整を簡素化すること。
【解決手段】第1の撮影光と第2の撮影光を取り込む第1の撮影レンズ及び第2の撮影レンズと、撮影光を電気信号に変換する撮像素子と、撮影光を撮像素子に結像させる撮像光学系と、第1の撮影光を撮像光学系に導く第1の光路と、第2の撮影光を撮像光学系に導く第2の光路と、第2の光路を遮断した状態で第1の光路を開いて、第1の撮影光を撮像光学系に導き、撮像素子に結像させる第1の撮影状態と、第1の光路を遮断した状態で第2の光路を開いて、第2の撮影光を撮像光学系に導き、撮像素子に結像させる第2の撮影状態と、を交互に切り替え、撮像素子を制御して、第1の撮影状態においては第1の撮影光を、第2の撮影状態においては第2の撮影光を電気信号に変換させる撮像制御部と、を備えた三次元デジタルカメラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの撮影レンズを有するデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、三次元画像を撮影可能なデジタルカメラの需要が高まりつつある。かかる三次元デジタルカメラにおいて立体的な撮影画像を得るためには、人間の目の距離に相当する距離だけ離れた二つのレンズで同時に二つの撮影画像を撮影する必要がある。
三次元画像の撮影を行うことができる一般的な三次元デジタルカメラとして、撮像素子と撮影レンズを含む撮像部を二つ備えた三次元デジタルカメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、三次元デジタルカメラに限らず、二つの撮像系を有するデジタルカメラが存在する(例えば、特許文献2及び3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−300438号公報
【特許文献1】特開2006−081089号公報
【特許文献1】特開2008−076511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の三次元デジタルカメラでは、同一のレンズ群を二つ水平方向に並べて構成する必要があるが、カメラの大部分を二つのレンズ群が占めるため、レイアウトが制約されてしまうという課題があった。また、それぞれのレンズは個別に制御されるため、例えば、レンズでズーム機能を実現する場合、倍率や画角の調整などにズレが生じやすい。さらに、レンズや撮像素子の個々の部品のバラツキや、組立上のバラツキや動作のバラツキなども考慮する必要があった。
【0006】
図6に、従来の三次元デジタルカメラの撮像系の一例を示す。従来の撮像系は、左右の前玉レンズ110a,110b、第1のシャッター112a,112b、第2のシャッター113a,113bと、左右のズームレンズ群103a,103b、左右のフォーカスレンズ104a,104b、左右の撮像素子107a,107b、左右のプリズム114a,114bからなる。左右の前玉レンズ110a,110bは、人間の左右の目の間の距離に相当する60mmほど離れた距離に配置されている。前玉レンズ110a,110bそれぞれの後方には、前玉レンズ110a,110bが集光した撮影光を90°の角度で反射してズームレンズ群103a,103b,フォーカスレンズ104a,104bなどに導く二つのプリズム114a,114bが配置されている(図6(2)参照)。ズームレンズ群103a,103b、及びフォーカスレンズ104a,104bはそれぞれ光軸141,142を有し、可動レンズとして設けられているため、左右の撮像素子107a,107bを用いて二つの画像を同時に撮像する場合には、これらのレンズが正確に同一の動きをしないと画角や倍率に差が生じる。また、フォーカスが合う時間がずれるなどすると撮影に支障をきたすなどの課題があった。また、この種の課題は、三次元デジタルカメラに限らず、複数の撮影レンズを有するデジタルカメラ一般に存在する。
【0007】
本発明は、上述の従来の課題に鑑みてなされたものであり、レイアウトの制約を最小としつつ、撮影する際の光学系の画角、倍率、フォーカスの調整などを最小とする三次元デジタルカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様による三次元デジタルカメラは、第1の撮影光を取り込む第1の撮影レンズと、第2の撮影光を取り込む第2の撮影レンズと、撮影光を電気信号に変換する撮像素子と、撮影光を前記撮像素子に結像させる撮像光学系と、前記第1の撮影光を前記撮像光学系に導く第1の光路と、前記第2の撮影光を前記撮像光学系に導く第2の光路と、前記第2の光路を遮断した状態で前記第1の光路を開いて、前記第1の撮影光を前記撮像光学系に導き、前記撮像素子に結像させる第1の撮影状態と、前記第1の光路を遮断した状態で前記第2の光路を開いて、前記第2の撮影光を前記撮像光学系に導き、前記撮像素子に結像させる第2の撮影状態と、を交互に切り替え、前記撮像素子を制御して、前記第1の撮影状態においては前記第1の撮影光を、前記第2の撮影状態においては前記第2の撮影光を電気信号に変換させる撮像制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様による三次元デジタルカメラは、さらに、前記第1の光路と前記第2の光路とが延在する細長形状の筒状部を備え、前記筒状部は一方の端部に、前記第1の撮影光を90°の角度で反射して前記筒状部の内部方向に導く第1の反射部と、他方の端部に、前記第2の撮影光を90°の角度で反射して前記筒状部の内部方向に導く第2の反射部と、前記第1の反射部と前記第2の反射部の間に、入射される第1の撮影光及び第2の撮影光を90°の角度で反射して前記撮像光学系に導く分光部と、有することを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の態様による三次元デジタルカメラは、前記分光部が、前記第1の反射部からの第1の反射光に含まれるS波偏光成分をP波偏光成分に位相変換する第1の複屈折面と、前記第2の反射部からの第2の反射光に含まれるS波偏光成分をP波偏光成分に位相変換する第2の複屈折面と、前記第1の複屈折面と前記第2の複屈折面の間に配設され、第1の反射光と第2の反射光に対して垂直な面を有する、直方体の形状のプリズムブロックと、前記プリズムブロックの中央に、第1の反射光と第2の反射光に対して垂直に設けられた、透過する透過光に含まれるS波偏光成分をP波偏光成分に位相変換する第3の複屈折面とを含み、前記プリズムブロックは、前記第1の反射光に対して45°の角度で傾斜した面であって、前記第1の複屈折面を透過して入射した前記第1の反射光を90°の角度で反射して前記撮像光学系に導く第1の反射面と、前記第1の複屈折面を透過して入射した前記第1の反射光に含まれるP波偏光成分は透過させて、S波偏光成分を90°の角度で反射して前記撮像光学系に導く第1の分光面と、からなる第1の分光反射面と、前記第2の反射光に対して45°の角度で傾斜した面であって、前記第2の複屈折面を透過して入射した前記第2の反射光を90°の角度で反射して前記撮像光学系に導く第2の反射面と、前記第2の複屈折面を透過して入射した前記第2の反射光に含まれるP波偏光成分は透過させて、S波偏光成分を90°の角度で反射して前記撮像光学系に導く第2の分光面と、からなる第2の分光反射面と、を有し、前記第1の分光反射面と前記第2の分光反射面は直角に交差し、形成される交線の上方に前記第1の反射面と前記第2の反射面が形成され、下方に前記第1の分光面と前記第2の分光面が形成されることを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の態様による三次元デジタルカメラは、前記プリズムブロックが、前記第1の反射光に対して垂直な面を有する第1のプリズムと、前記第2の反射光に対して垂直な面を有し、前記第1のプリズムの頂線と当接する頂線を有する第2のプリズムと、前記第1のプリズムと前記第2のプリズムの頂線と面とによって画定される上部の直角三角柱の形状の空間に配置された、上部第1のプリズムと上部第2のプリズムであって、前記第1の反射光に対して45°の角度で傾斜した面を有する上部第1のプリズムと、前記第2の反射光に対して45°の角度で傾斜した面を有する上部第2のプリズムと、前記第1のプリズムと前記第2のプリズムの頂線と面とによって画定される下部の直角三角柱の形状の空間に配置された、下部第1のプリズムと下部第2のプリズムであって、前記第1の反射光に対して45°の角度で傾斜した面を有する下部第1のプリズムと、前記第2の反射光に対して45°の角度で傾斜した面を有する下部第2のプリズムと、から構成され、前記第3の複屈折面は、前記上部第1のプリズムと前記上部第2のプリズム、前記下部第1のプリズムと前記下部第2のプリズムとの境界面に、前記第1の光路と前記第2の光路に対して垂直に設けられ、前記第1の反射面は、前記第1のプリズムと前記上部第1のプリズムとの境界部に形成された光学反射面であり、前記第1の分光面は、前記下部第2のプリズムと前記第2のプリズムとの境界面によって形成され、前記第2の反射面は、前記第2のプリズムと前記上部第2のプリズムとの境界部に形成された光学反射面であり、前記第2の分光面は、前記下部第1のプリズムと前記第1のプリズムとの境界面によって形成されることを特徴とする。
【0012】
本発明の第5の態様による三次元デジタルカメラは、前記第1の撮影状態から前記第2の撮影状態へ、又は前記第2の撮影状態から前記第1の撮影状態へ切り替わる際、随時、前記撮像素子は蓄積された電荷を掃出することを特徴とする。
【0013】
本発明の第6の態様による三次元デジタルカメラは、前記撮像光学系が、ズームレンズとフォーカスレンズを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、レイアウトの制約を最小としつつ、撮影する際の光学系の画角、倍率、フォーカスの調整などを最小とする三次元デジタルカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る三次元デジタルカメラの外観図である。
【図2】図1の三次元デジタルカメラの制御回路の構成を説明するためのブロック図である。
【図3】図1の三次元デジタルカメラの撮像系の構造を示す断面図である。
【図4】図1の三次元デジタルカメラのプリズムブロックと撮影光との関係を説明する断面図である。
【図5】図1の三次元デジタルカメラのプリズムブロックと撮影光との関係を説明する断面図である。
【図6】従来の三次元デジタルカメラの撮像系の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係る三次元デジタルカメラを構成するデジタルカメラ1の外観を示すブロック図であって、図1(1)はデジタルカメラ1の正面図であり、図1(2)はデジタルカメラ1の背面図である。
【0018】
三次元デジタルカメラ1は、図1(1)に示すように、三次元デジタルカメラ1の筐体5の正面側には、撮像系2(図2参照)を構成する二つの前玉レンズ10a,10bを有している。また、三次元デジタルカメラ1の筐体5の背面には、図1(2)に示すように、カーソルキー8と、表示モニタ11と、ズームキー16(W(広角)ボタン16a、T(望遠)ボタン16b)、撮影条件を決定するためのモード設定ダイアル19等が設けられている。また、三次元デジタルカメラ1の筐体5の上面にはシャッターキー17、電源ボタン18が設けられ、筐体5の側部にはパーソナルコンピュータ(以下、パソコン)やモデム等の外部装置と接続するためのUSBケーブルに接続する場合に用いるUSB端子接続部が設けられている。
【0019】
図2は、本発明の一実施の形態に係る三次元デジタルカメラ1の制御回路の構成を説明するためのブロック図である。
【0020】
三次元デジタルカメラ1は、撮像系2、表示モニタ11、シャッター制御部21、レンズ制御部22、シャッター駆動部24、レンズ駆動部25、タイミング発生部29、信号処理部30、画像処理部31、表示処理部32、記録部34、操作部36、及びカメラ制御部37を備える。カメラ制御部37は、シャッター制御部21とレンズ制御部22を含む。シャッター制御部21が本実施の形態に係る撮像制御部を構成する。
【0021】
撮像系2は、第1の前玉レンズ10a、第2の前玉レンズ10b、第1のシャッター12a,12b、第2のシャッター13a,13b、プリズムブロック14、ズームレンズ3A,3B、フォーカスレンズ4、撮像素子7を含む。第1のシャッター12a,12b、第2のシャッター13a,13b、プリズムブロック14は、三次元デジタルカメラ1の筐体5に設けられた筒状部23の内部に形成されている。ズームレンズ3A,3B、フォーカスレンズ4が本実施の形態に係る撮像光学系を構成する。プリズムブロック14が本実施の形態に係る分光部を構成する。
【0022】
第1の前玉レンズ10aと第2の前玉レンズ10bは、人間の目の間の間隔(60mm程度)に近い間隔をおいて配置されおり、第1の前玉レンズ10aは光軸41を、第2の前玉レンズ10bは光軸42を有する(図3(1)を参照)。
【0023】
第1のシャッター12a,12bと第2のシャッター13a,13bは、筒状部23に配設され、第1の前玉レンズ10aからの撮影光、又は第2の前玉レンズ10bからの撮影光を遮断又は開放する。具体的には、第1のシャッター12a,12bは、シャッター駆動部24により駆動されて開閉することによって、第1の前玉レンズ10aからの撮影光を遮断又は開放するメカニカルシャッターとして機能する。第2のシャッター13a,13bは、シャッター駆動部24により駆動されて開閉することによって、第2の前玉レンズ10bからの撮影光を遮断又は開放するメカニカルシャッターとして機能する。
【0024】
プリズムブロック14は、筒状部23に配設された複数のプリズムから構成され、第1のシャッター12a,12bと第2のシャッター13a,13bとの開閉に応じて、第1の前玉レンズ10a及び第2の前玉レンズ10bからの撮影光を、選択的にズームレンズ群3、フォーカスレンズ4、撮像素子7へと導く。理解を容易にするため、図2では、第1の前玉レンズ10a及び第2の前玉レンズ10bからズームレンズ群3、フォーカスレンズ4、撮像素子7へ導かれる撮影光をそれぞれ、光束41L及び42Lとして示す。
【0025】
ズームレンズ群3はズームレンズ3A,3Bを含み、レンズ駆動部25によって光束41L,42Lの方向に沿って進退駆動される。ズームレンズ群3が進退駆動されることで撮像系2の光学ズーム調節が行われる。
【0026】
フォーカスレンズ4は、レンズ駆動部25によって光束41L,42Lの方向に沿って進退駆動される。フォーカスレンズ4が進退駆動されることで撮像系2のピント調節が行われる。
【0027】
撮像素子7は、その撮像面上に結像される被写体像の光による明暗を電荷(以後、「撮像電荷」と呼ぶ)の量に光電変換し、蓄積した撮像電荷を順次読み出して電気信号に変換する。また、撮像素子7は、シャッター制御部21の制御に基づいて、撮像電荷の蓄積、及び蓄積した撮像電荷を掃き出す電子シャッター機能も有する。後述するが、本実施の形態では、撮像素子7として、電荷の掃き出しに要する時間の短いCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子等が好ましい。
【0028】
シャッター制御部21は、操作部36から入力される操作信号に基づいてシャッター駆動部24を駆動して、第1のシャッター12a,12bと第2のシャッター13a,13bの開閉を行う。また、シャッター制御部21は第1のシャッター12a,12bと第2のシャッター13a,13bの開閉に伴って、撮像素子7に蓄積された撮像電荷を掃き出させる電子シャッター機能の制御も行う。
【0029】
レンズ制御部22は、操作部36から入力される操作信号に基づいてレンズ駆動部25を駆動して、ズームレンズ群3、フォーカスレンズ4を駆動する。
【0030】
信号処理部30は、アナログ撮像信号をディジタル信号に変換した上で所定の信号処理(例えば、色補間処理、γ補正処理、ホワイトバランス処理、シェーディング補正処理等)を施す。タイミング発生部29は、撮像素子7から読み出す撮像信号の読み出しタイミング信号を発生する。
【0031】
画像処理部31は、信号処理部30から入力される画像データを所定のデータ形式にフォーマット変換したり、画像データを表示処理部32に与えたりする。表示処理部32は画像データを用いて映像信号を生成して表示モニタ11へ送出する。
【0032】
表示モニタ11は、液晶表示パネル等によって構成され、表示処理部32から入力される映像信号による画像等を表示する。表示画像は、静止画撮影指示前に撮像素子7で逐次撮像されるライブビュー画、静止画撮影指示後に撮像素子7で撮像される静止画、動画撮影時の動画、記録部34に記録されている画像データによる再生画等がある。これら画像は、操作部36の操作によって表示モニタ11上で、電気的に表示画角を変更して(電子ズーム)表示することができる。
【0033】
記録部34は、着脱可能なメモリーカード等によって構成される。撮影モードにおいて、記録部34は画像処理部31でフォーマット変換された画像データを記録する。再生モードにおいては、記録部34に記録されている画像データが読み出されて画像処理部31へ送られる。画像処理部31は、再生画像を表示するための映像信号を生成する。なお、三次元デジタルカメラ1は静止画撮影モード及び動画撮影モードのそれぞれを選択可能に構成されており、動画撮影時には音声データも記録してもよい。
【0034】
操作部36は、ズームキー16、シャッターキー17、電源ボタン18、モード設定ダイアル19、レリーズ(半押しスイッチ、全押しスイッチ)スイッチ等を含み、各操作に応じた操作条件に基づき操作信号を発生してカメラ制御部37のへ送出する。これにより、例えば、操作者によりズームキー16が操作された場合には、撮像条件として所定の倍率(例えば、1〜12倍)が設定され、シャッターキー17が押下された場合には、設定された条件に基づいて撮影を行う操作信号がカメラ制御部37に送られる。
【0035】
カメラ制御部37は、CPU及びCPUが実行する制御プログラムが格納されるROM、ワークRAM(図示しない)を含んで構成され、操作部36から入力される操作信号に応じて各ブロックへ指令を出力し、カメラ動作を制御する。
【0036】
<撮像系の説明>
図3は、本発明の一実施の形態に係る三次元デジタルカメラ1の撮像系2の構造を示す断面図であって、図3(1)は、三次元デジタルカメラ1の上面断面図であり、図3(2)は、三次元デジタルカメラ1の正面断面図であり、図3(3)は三次元デジタルカメラ1の側面断面図である。
【0037】
プリズムブロック14は筒状部23に配設された複数のプリズムから構成されており、第1の前玉レンズ10aと第2の前玉レンズ10bとの光路において、第1の前玉レンズ10aの光軸41に対して、45°傾斜した角度をもって形成された第1のプリズム面14a、第2の前玉レンズ10bの光軸42に対して45°傾斜した角度をもって形成された第2のプリズム面14b、第1のプリズム面14aで反射された光軸41Aの光に対して45°傾斜した角度をもって形成された第3のプリズム面14c、第2のプリズム面14bで反射された光軸42Aの光に対して45°傾斜した角度をもって形成された第4のプリズム面14dを有する。第1のプリズム面14aと第2のプリズム面14bがそれぞれ、本実施の形態に係る第1の反射部と第2の反射部を構成する。
【0038】
第1のプリズム面14aは、第1の前玉レンズ10aからの撮影光を90°の角度で反射して筒状部23の内部方向に導き、第2のプリズム面14bは、第2の前玉レンズ10bからの撮影光を90°の角度で反射して筒状部23の内部方向に導くように設計されている。
【0039】
また、第3のプリズム面14cは、第1のプリズム面14aで反射された撮影光を90°の角度で反射してズームレンズ群3、フォーカスレンズ4、撮像素子7に導き、第4のプリズム面14dは、第2のプリズム面14bで反射された撮影光を90°の角度で反射してズームレンズ群3、フォーカスレンズ4、撮像素子7に導くように設計されている。
【0040】
図3(1)に示すように、前玉レンズ10aに入射した光軸41を含む光は、プリズムブロック14のプリズム面14aに反射して、筒状部23を進み、さらに、図3(2)に示すように、プリズム面14cに反射して、三次元デジタルカメラ1の筐体5の内部に設けられた撮像素子7に向かう。
【0041】
同様に、前玉レンズ10bに入射した光軸42を含む光は、プリズムブロック14のプリズム面14bに反射して、筒状部23を進み(図3(1)参照)、さらに、プリズム面14dに反射して、三次元デジタルカメラ1の筐体5の内部に設けられた撮像素子7に向かう(図3(2)参照)。
【0042】
筒状部23には、プリズム面14aからの反射光が進む第1の光路と、プリズム面14bからの反射光が進む第2の光路が形成される。第1の光路が有する第1の光軸41と第2の光路が有する第2の光軸42は、方向は異なるが、同一直線上を延在する。換言すると、第1の光路と第2の光路は、方向は異なるが、同一直線上を延在する。
シャッターキー17が押下された場合には、設定された倍率に基づいて撮影する操作信号がカメラ制御部37に送られ、シャッター制御部21の制御に基づいて、第1の前玉レンズ10aと第2の前玉レンズ10bとの間の光路に配設された第1のシャッター12a,12bと第2のシャッター13a,13bが交互に開閉する。このため、撮影持には、第1の前玉レンズ10aに入射した光軸41を含む光と、第2の前玉レンズ10bに入射した光軸42を含む光とのうち一方のみが、筒状部23に形成されたプリズム面14c,14dのうちの対応するプリズム面に入射する。このようにしてプリズム面14c,14dのうち何れか一方のプリズム面に入射した光は、反射されて、ズームレンズ群3に導かれ、フォーカスレンズ4によって撮像素子7に結像され、撮像素子7で光電変換によって被写体画像の撮像電荷が生成される。プリズム面14cは本実施の形態に係る第1の分光反射面を、プリズム面14dは本実施の形態に係る第2の分光反射面を構成する。
【0043】
ここで、撮像素子7は、シャッター制御部21の制御に基づいて、撮像素子7の撮像電荷の蓄積、及び蓄積された撮像電荷の掃き出しを行う電子シャッターの機能も実行する。すなわち、シャッター制御部21の制御に基づいて、第1のシャッター12a,12bと第2のシャッター13a,13bの開閉に伴って、撮像素子7に蓄積された撮像電荷を掃き出し、続けて入射される被写体像の光を直ちに光電変換して撮像電荷として蓄積するようになっている。
【0044】
図3を図1と合わせて参照して、本実施の形態に係る三次元デジタルカメラ1が二つの前玉レンズ10a,10bからの撮影光を、プリズムブロック14を介して、シャッター12,13の開閉に応じて選択的にズームレンズ群3、及びフォーカスレンズ4に導き、撮像素子7に結像させて、撮像する動作について説明する。
【0045】
まず、第1のシャッター12a,12bが開き、第2のシャッター13a,13bが閉じると、第1の前玉レンズ10aから入射され、プリズム面14aで反射された撮影光41Aは、第1のシャッター12a,12bを通過して、プリズム面14cで反射されて、光束41Bとしてズームレンズ群3に導かれ、フォーカスレンズ4によって撮像素子7に結像され、撮像素子7で光電変換が行われて被写体画像の撮像電荷が生成される(図3(3)を参照)。一方で、第2の前玉レンズ10bから入射され、プリズム面14bで反射された撮影光42Aは、第2のシャッター13a,13bによって遮断され、ズームレンズ群3、フォーカスレンズ4、撮像素子7に導かれることはない。
【0046】
また、第1のシャッター12a,12bが閉じて、第2のシャッター13a,13bが開くと、第1の前玉レンズ10aから入射され、プリズム面14aで反射された撮影光41Aは、第1のシャッター12a,12bによって遮断され、ズームレンズ群3、フォーカスレンズ4、撮像素子7に導かれることはない。一方で、第2の前玉レンズ10bから入射され、プリズム面14bで反射された撮影光42Aは、第2のシャッター13a,13bを通過して、プリズム面14dで反射されて、光束42Bとしてズームレンズ群3に導かれ、フォーカスレンズ4によって撮像素子7に結像され、撮像素子7で光電変換が行われて被写体画像の撮像電荷が生成される(図3(3)を参照)。
<プリズムブロックの構成>
【0047】
次に図4及び図5を参照して、本実施の形態に係るプリズムブロック14のプリズム面14c,14dによって撮影光が、ズームレンズ群3、フォーカスレンズ4に導かれる原理について説明する。
【0048】
図4に示すように、プリズム面14cとプリズム面14dを形成するプリズムブロック14は、第1のプリズム14,第2のプリズム14,第3のプリズム14,第4のプリズム14,第5のプリズム14,第6のプリズム14と合計で6個の略直角三角柱状のプリズムから構成された、反射光41A,42Aに対して垂直な面を含む直方体の形状を有し、ビームスプリッターとして機能する。第1のプリズム14と第2のプリズム14は略同一のサイズであり、第3のプリズム14と、第4のプリズム14と、第5のプリズム14と、及第6のプリズム14も略同一のサイズである。それぞれのプリズムの間には空気層が設けられている。
【0049】
第1のプリズム14はプリズム面14aで反射された撮影光41Aに対して垂直な面を有する。第2のプリズム14はプリズム面14bで反射された撮影光42Aに対して垂直な面を有する(図5参照)。第1のプリズム14の頂線と第2のプリズム14の頂線は対向して配置され、第1のプリズム14の頂線と第2のプリズム14の頂線は当接し合い、第1のプリズム14と第2のプリズム14の頂線と面よって上部と下部に、直角三角柱の形状の空間が画定される。
【0050】
上部に形成された直角三角柱の形状の空間には、プリズム面14aで反射された撮影光41Aに対して45°の角度で傾斜した面を有する第3のプリズム14と、プリズム面14bで反射された撮影光42Aに対して45°の角度で傾斜した面を有する第4のプリズム14とが配設される(図5参照)。第3のプリズム14が、本実施の形態に係る上部第1のプリズムを、第4のプリズム14が、本実施の形態に係る上部第2のプリズムを構成する。
【0051】
下部に形成された直角三角柱の形状の空間には、プリズム面14aで反射された撮影光41Aに対して45°の角度で傾斜した面を有する第5のプリズム14と、プリズム面14bで反射された撮影光42Aに対して45°の角度で傾斜した面を有する第6のプリズム14とが配設される(図5参照)。第5のプリズム14が、本実施の形態に係る下部第1のプリズムを、第6のプリズム14が、本実施の形態に係る下部第2のプリズムを構成する。
【0052】
第1の前玉レンズ10a及び第2の前玉レンズ10bから入射された撮影光はあらゆる偏光成分をランダムに有し、P波偏光成分(以後、「P波」と呼ぶ)とS波偏光成分(以後、「S波」と呼ぶ)も含む。
【0053】
第1のプリズム14に対して、プリズム面14aで反射された撮影光41A―T,41A―Bが入射する側には、光の偏光方向を変える第1の位相差板15aが配設されており、プリズム面14aからの撮影光41A―T,41A―Bが通過すると、反射光に含まれるP波がS波に、S波がP波に位相変換するように反射光は偏光される。第1の位相差板15aは、第1のプリズム14に貼り付けて形成してもよい。第1の位相差板15aが、本実施の形態に係る第1の複屈折面を構成する。
【0054】
光は45°以上の界面を通過する時、P波は透過しやすく、S波は反射しやすい性質を有する。このため、プリズム面14aで反射された撮影光には、S波が多く含まれている。第1の位相差板15aは、プリズム面14aで反射された撮影光に多く含まれているS波をP波に位相変換する働きをする。この結果、第1の位相差板15aを通過した撮影光の偏光成分のほとんどはP波となる。
【0055】
第3のプリズム14,第5のプリズム14と第4のプリズム14,第6のプリズム14との間には、第2の位相差板15bが配設されており、第3のプリズム14,第5のプリズム14からの光が通過すると、光に含まれるP波がS波に、S波がP波に位相変換するように光は偏光される。また、第2の位相差板15bは、第3のプリズム14,第5のプリズム14からの光のみならず、第4のプリズム14,第6のプリズム14からの光が通過する際にも同様の働きをして、光に含まれるP波がS波に、S波がP波に位相変換するように光は偏光される。第2の位相差板15bは、第3のプリズム14,第5のプリズム14と第4のプリズム14,第6のプリズム14の何れかのプリズム面に貼り付けて形成してもよい。第2の位相差板15bが、本実施の形態に係る第3の複屈折面を構成する。
【0056】
第2のプリズム14に対して、プリズム面14bからの撮影光が入射する側には、第3の位相差板15cが配設されており、プリズム面14bで反射された撮影光に多く含まれるS波をP波に位相変換する働きをする。プリズム面14bで反射された撮影光には、S波が多く含まれる。この結果、第3の位相差板15cを通過した撮影光の偏光成分のほとんどはP波となる。第3の位相差板15cは、第2のプリズム14に貼り付けて形成してもよい。第3の位相差板15cが、本実施の形態に係る第2の複屈折面を構成する。
【0057】
さらに、第1のプリズム14と第3のプリズム14とで画定されるプリズム面14cの上半分は、第1のプリズム14と第3のプリズム14との少なくとも何れか一方に金属などを蒸着して形成された反射面となっている。このため、プリズム面14aで反射された光41Aが入射すると、90°の角度で反射してズームレンズ群3、フォーカスレンズ4、撮像素子7へ導く働きをする。プリズム面14cの上半分が、本実施の形態に係る第1の反射面を構成する。
【0058】
同様に、第2のプリズム14と第4のプリズム14とで画定されるプリズム面14dの上半分も、第2のプリズム14と第4のプリズム14との少なくとも何れか一方に金属などを蒸着して形成された反射面となっており、プリズム面14bで反射された撮影光が入射すると、90°の角度で反射してズームレンズ群3、フォーカスレンズ4、撮像素子7へ導く働きをする。プリズム面14dの上半分が、本実施の形態に係る第2の反射面を構成する。
【0059】
第1のプリズム14と第5のプリズム14とで画定されるプリズム面14dの下半分は、P波は透過し、S波は90°の角度で反射する働きをする。プリズム面14dの下半分が、本実施の形態に係る第2の分光面を構成する。
【0060】
同様に、第2のプリズム14,第6のプリズム14とで画定されるプリズム面14cの下半分も、P波は透過し、S波は90°の角度で反射する働きをする。プリズム面14dの下半分が、本実施の形態に係る第1の分光面を構成する。
【0061】
このため、図4に示すように、第1の前玉レンズ10aから入射され、プリズム面14aで反射された光のうち、プリズム面14cの上半分に向かう光41A−Tは、第1の位相差板15aを通過して、プリズム面14cの上半分に入射すると、90°の角度で反射してズームレンズ群3、フォーカスレンズ4、撮像素子7へ42A−Tとして導かれる。
【0062】
また、第1の前玉レンズ10aから入射され、プリズム面14aで反射された光のうち、プリズム面14cの下半分に向かう光41A−Bは、そのほとんどがS波であるので、第1の位相差板15aを通過するとP波となる。このため、プリズム面14dの下半分に入射すると、プリズム面14dを透過する。続いて、第2の位相差板15bを通過するとS波に位相変換されるので、プリズム面14cの下半分に入射すると、プリズム面14cによって、90°の角度で反射されてズームレンズ群3、フォーカスレンズ4、撮像素子7へ41A−Bとして導かれる。
【0063】
同様に、図5に示すように、第2の前玉レンズ10bから入射され、プリズム面14bで反射された光のうち、プリズム面14dの上半分に向かう光42A−Tは、第3の位相差板15cを通過して、プリズム面14dの上半分に入射すると、90°の角度で反射してズームレンズ群3、フォーカスレンズ4、撮像素子7へ42A−Tとして導かれる。
【0064】
また、第2の前玉レンズ10bから入射され、プリズム面14bで反射された光のうち、プリズム面14dの下半分に向かう光42A-Bは、そのほとんどがS波であるので、第3の位相差板15cを通過するとP波となる。このため、プリズム面14cの下半分に入射すると、プリズム面14cを透過する。続いて、第2の位相差板15bに入射するとS波に位相変換されるので、プリズム面14dの下半分に入射すると、プリズム面14dによって、90°の角度で反射されてズームレンズ群3、フォーカスレンズ4、撮像素子7へ42A−Bとして導かれる。
<シャッター押下時の動作>
【0065】
以下、操作者がシャッターキー17を押下した時に三次元デジタルカメラ1が実行する撮像処理の動作について説明する。
操作部36からの操作信号によって、操作者がシャッターキー17を押下したことを検知すると、シャッター制御部21は、シャッター駆動部24を制御して、第2のシャッター13a,13bを閉じた状態として、第2の前玉レンズ10bから入射され、プリズム面14bで反射された撮影光を第2のシャッター13a,13bによって遮断した状態に保つ。同時に、シャッター制御部21は、第1のシャッター12a,12bを開き、第1の前玉レンズ10aから入射され、プリズム面14aで反射された撮影光のみを、プリズム面14cによって、ズームレンズ群3、フォーカスレンズ4、撮像素子7に導き、撮像素子7に被写体像を結像させる。さらに、シャッター制御部21は、撮像素子7を制御して、撮像素子7に結像された被写体像を撮像電荷として撮像素子7に蓄積した後、撮像信号として信号処理部30に送出して、撮像素子7に蓄積された撮像電荷を速やかに掃き出す(図3(2)及び図3(3)を参照)。
【0066】
続けて、シャッター制御部21は、第1のシャッター12a,12bを閉じて、第1の前玉レンズ10aから入射され、プリズム面14aで反射された撮影光を第1のシャッター12a,12bによって遮断した状態に保つ。同時に、シャッター制御部21は、第2のシャッター13a,13bを開き、第2の前玉レンズ10bから入射され、プリズム面14bで反射された撮影光のみを、プリズム面14dによって、ズームレンズ群3、フォーカスレンズ4に導き、撮像素子7に被写体像を結像させる。さらに、シャッター制御部21は、撮像素子7を制御して、撮像素子7に結像された被写体像を撮像電荷として撮像素子7に蓄積した後、撮像信号として信号処理部30に送出する(図3(2)及び図3(3)を参照)。
【0067】
このように、本実施の形態によると、シャッター制御部21は、1回のシャッターキー17の押下によって、第2のシャッター13a,13bを閉じた状態に保ちながら、第1のシャッター12a,12bのみを開き、第1の前玉レンズ10aから入射された撮影光のみを撮像素子7に結像させる。さらにシャッター制御部21は、撮像素子7に蓄積された撮像電荷を撮像信号として送出した後、撮像電荷を速やかに掃き出す。続けて、シャッター制御部21は、第1のシャッター12a,12bを閉じた状態に保ちながら、第2のシャッター13a,13bのみを開き、第2の前玉レンズ10bから入射された撮影光を撮像素子7に被写体像として結像させ、撮像素子7から撮像信号として速やかに送出させる。このため、二つの前玉レンズ10a,10bを有する三次元デジタルカメラであっても、カメラの大部分を占めていたレンズ群のうち、ズームレンズ群3、フォーカスレンズ4を共有して用いることができるので、レイアウトの制約を最小として、小型化することができる。従来の三次元デジタルカメラは、左右の前玉レンズごとに、ズームレンズ群とフォーカスレンズ群とを備えた。このため、左右のズームレンズ群とフォーカスレンズ群との間でそれぞれのレンズの収差や歪み誤差が異なるため、画像の重ね合わせや、収差補正の処理を別々に行う必要があった。しかし、本実施の形態に係る三次元デジタルカメラは、二つの前玉レンズ10a,10bを有する三次元デジタルカメラであっても、ズームレンズ群3、フォーカスレンズ4を共有して用いることができるので、画像の重ね合わせや、収差補正に同一の処理を行うことができる。
【0068】
さらに、二つの前玉レンズ10a,10bとズームレンズ群3、フォーカスレンズ4の間にメカニカルシャッターとして機能する第1のシャッター12a,12bと、第2のシャッター13a,13bとを備えるので、かかる第1のシャッター12a,12bと、第2のシャッター13a,13bとを交互に開閉することによって、左目用と右目用の合計2回の撮像を1つの撮像素子7で行うことができる。
【0069】
第1のシャッター12a,12bと、第2のシャッター13a,13bが交互に開閉する時間と、撮像素子7を構成するCMOS撮像素子が撮像電荷を取り込む時間とを比較すると、第1のシャッター12a,12bと、第2のシャッター13a,13bが交互に開閉する時間の方が圧倒的に遅い。したがって、第1の前玉レンズ10a、第2の前玉レンズ10bそれぞれに入射される被写体像を撮像するための最短の時間は、第1のシャッター12a,12bと、第2のシャッター13a,13bが交互に開閉を行う時間に準ずることとなる。このため、シャッター制御部21は、第1のシャッター12a,12bが開いて閉じた後、速やかに第2のシャッター13a,13bを開いて閉じるようにする必要があるが、短い時間差で2回の撮影を行うことができる。
【0070】
また、CMOS撮像素子は、露光領域から電圧を直接読み出すため、CCD(Charge Coupled Device)撮像素子と比較して、撮像電荷の掃き出しに要する時間が短い。特に、被写体が動いている場合、左目用の画像と右目用の画像の二つの画像はできるだけ短い間隔で撮像されることが好ましい。したがって、本実施の形態では、撮像素子7として、CMOS撮像素子を使うことが好ましい。
【0071】
本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に様々な変形を行うことが可能である。例えば、上述の実施の形態では、本発明を三次元デジタルカメラに適用した例について説明したが、本発明に係る一部撮像光学系と撮像素子を共有する構成は、上述の三次元デジタルカメラのみならず、2の撮影レンズを有するデジタルカメラに一般に適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 デジタルカメラ
3A,3B ズームレンズ
4 フォーカスレンズ
5 筐体
7 撮像素子
10a,10b 前玉レンズ
12,13 シャッター
14 プリズムブロック
15a,15b,15c 位相差板
21 シャッター制御部
22 レンズ制御部
24 シャッター駆動部
25 レンズ駆動部
30 信号処理部
31 画像処理部
32 表示処理部
34 記録部
36 操作部
37 カメラ制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の撮影光を取り込む第1の撮影レンズと、
第2の撮影光を取り込む第2の撮影レンズと、
撮影光を電気信号に変換する撮像素子と、
撮影光を前記撮像素子に結像させる撮像光学系と、
前記第1の撮影光を前記撮像光学系に導く第1の光路と、
前記第2の撮影光を前記撮像光学系に導く第2の光路と、
前記第2の光路を遮断した状態で前記第1の光路を開いて、前記第1の撮影光を前記撮像光学系に導き、前記撮像素子に結像させる第1の撮影状態と、前記第1の光路を遮断した状態で前記第2の光路を開いて、前記第2の撮影光を前記撮像光学系に導き、前記撮像素子に結像させる第2の撮影状態と、を交互に切り替え、前記撮像素子を制御して、前記第1の撮影状態においては前記第1の撮影光を、前記第2の撮影状態においては前記第2の撮影光を電気信号に変換させる撮像制御部と、を備えた三次元デジタルカメラ。
【請求項2】
さらに、前記第1の光路と前記第2の光路とが延在する細長形状の筒状部を備え、
前記筒状部は一方の端部に、前記第1の撮影光を90°の角度で反射して前記筒状部の内部方向に導く第1の反射部と、
他方の端部に、前記第2の撮影光を90°の角度で反射して前記筒状部の内部方向に導く第2の反射部と、
前記第1の反射部と前記第2の反射部の間に、入射される第1の撮影光及び第2の撮影光を90°の角度で反射して前記撮像光学系に導く分光部と、有する、請求項1記載の三次元デジタルカメラ。
【請求項3】
前記分光部は、
前記第1の反射部からの第1の反射光に含まれるS波偏光成分をP波偏光成分に位相変換する第1の複屈折面と、
前記第2の反射部からの第2の反射光に含まれるS波偏光成分をP波偏光成分に位相変換する第2の複屈折面と、
前記第1の複屈折面と前記第2の複屈折面の間に配設され、第1の反射光と第2の反射光に対して垂直な面を有する、直方体の形状のプリズムブロックと、
前記プリズムブロックの中央に、第1の反射光と第2の反射光に対して垂直に設けられた、透過する透過光に含まれるS波偏光成分をP波偏光成分に位相変換する第3の複屈折面とを含み、
前記プリズムブロックは、
前記第1の反射光に対して45°の角度で傾斜した面であって、前記第1の複屈折面を透過して入射した前記第1の反射光を90°の角度で反射して前記撮像光学系に導く第1の反射面と、前記第1の複屈折面を透過して入射した前記第1の反射光に含まれるP波偏光成分は透過させて、S波偏光成分を90°の角度で反射して前記撮像光学系に導く第1の分光面と、からなる第1の分光反射面と、
前記第2の反射光に対して45°の角度で傾斜した面であって、前記第2の複屈折面を透過して入射した前記第2の反射光を90°の角度で反射して前記撮像光学系に導く第2の反射面と、前記第2の複屈折面を透過して入射した前記第2の反射光に含まれるP波偏光成分は透過させて、S波偏光成分を90°の角度で反射して前記撮像光学系に導く第2の分光面と、からなる第2の分光反射面と、を有し、
前記第1の分光反射面と前記第2の分光反射面は直角に交差し、形成される交線の上方に前記第1の反射面と前記第2の反射面が形成され、下方に前記第1の分光面と前記第2の分光面が形成される、請求項2記載の三次元デジタルカメラ。
【請求項4】
前記プリズムブロックは、
前記第1の反射光に対して垂直な面を有する第1のプリズムと、
前記第2の反射光に対して垂直な面を有し、前記第1のプリズムの頂線と当接する頂線を有する第2のプリズムと、
前記第1のプリズムと前記第2のプリズムの頂線と面とによって画定される上部の直角三角柱の形状の空間に配置された、上部第1のプリズムと上部第2のプリズムであって、
前記第1の反射光に対して45°の角度で傾斜した面を有する上部第1のプリズムと、
前記第2の反射光に対して45°の角度で傾斜した面を有する上部第2のプリズムと、
前記第1のプリズムと前記第2のプリズムの頂線と面とによって画定される下部の直角三角柱の形状の空間に配置された、下部第1のプリズムと下部第2のプリズムであって、
前記第1の反射光に対して45°の角度で傾斜した面を有する下部第1のプリズムと、
前記第2の反射光に対して45°の角度で傾斜した面を有する下部第2のプリズムと、から構成され、
前記第3の複屈折面は、前記上部第1のプリズムと前記上部第2のプリズム、前記下部第1のプリズムと前記下部第2のプリズムとの境界面に、前記第1の光路と前記第2の光路に対して垂直に設けられ、
前記第1の反射面は、前記第1のプリズムと前記上部第1のプリズムとの境界部に形成された光学反射面であり、
前記第1の分光面は、前記下部第2のプリズムと前記第2のプリズムとの境界面によって形成され、
前記第2の反射面は、前記第2のプリズムと前記上部第2のプリズムとの境界部に形成された光学反射面であり、
前記第2の分光面は、前記下部第1のプリズムと前記第1のプリズムとの境界面によって形成される、請求項3記載の三次元デジタルカメラ。
【請求項5】
前記第1の撮影状態から前記第2の撮影状態へ、又は前記第2の撮影状態から前記第1の撮影状態へ切り替わる際、随時、前記撮像素子は蓄積された電荷を掃出する、請求項1記載の三次元デジタルカメラ。
【請求項6】
前記撮像光学系は、ズームレンズとフォーカスレンズを含む、請求項1記載の三次元デジタルカメラ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−150068(P2011−150068A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9998(P2010−9998)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】