説明

デジタル放送受信機及び制御方法

【課題】ワンセグ放送受信機では、アンテナのRF信号はLNAにより増幅されてからチューナ部へ入力される。LNAは、テレビ塔近くのように、放送電波の強電界時では、制御端子からの給電を断たれて停止状態にされる。ワンセグ放送の出力に支障を生じることなく、LNAの節電を図るとともに、停止状態から作動状態へのLNAの切り替わり直後の処理エラーの原因になるLNAの出力レベルのオーバシュート分の抑制を図る。
【解決手段】コントロール部17は、チューナ部16からAGCデータ値と共にC/N値に係る信号を入力される。コントロール部17は、AGCデータ値>BかつC/N値≦Cになった時に、LNA12が停止状態にある場合には、レギュレータ22への制御信号を切り替えて、LNA12を作動状態へ切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばワンセグ放送を受信するデジタル放送受信機及び制御方法に関し、詳しくは低ノイズ増幅器(「ブースタ」とも呼ばれる。)を装備するデジタル放送受信機及び制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は低ノイズ増幅器を装備する受信装置を開示する。該受信装置では、低ノイズ増幅器による受信信号増幅に因る中間周波増幅器の飽和を防止するために、受信入力電界レベルを監視し、受信入力電界レベルが高い場合には、低ノイズ増幅器への給電を断って、低ノイズ増幅器の作動を停止させ、受信入力電界レベルが低い場合には、低ノイズ増幅器へ給電して、低ノイズ増幅器を作動させている(特許文献1の第2頁右上欄2番目の
段落)。
【0003】
特許文献2は、アンテナで捕捉したテレビジョン放送電波のRF信号を増幅するブースタを装備するテレビジョン装置を開示する。該テレビジョン装置では、混変調防止等に対処するため、ブースタの作動をAGCレベルVAGCに基づき制御しているとともに(特許文献2の図2のフローチャート)、ブースタをオフ(停止状態)からオン(作動状態)へ切り替える閾値VSL1と、オンからオフへ切り替える閾値VSL2とについて、VSL1>VSL2に設定する(特許文献2の図3及び図4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭54−84411号公報
【特許文献2】特開2005−176167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯式デジタル放送受信機の節電のためには、低ノイズ増幅器の作動時間を、支障のない範囲でなるべく短くすることが望ましい。また、低ノイズ増幅器をオフからオンへ切り替えた直後は、低ノイズ増幅器の出力の一気的な上昇とAGC制御の遅れとのために、チューナ部で信号の飽和が起こり易く、このことがチューナ部のデジタル信号処理エラーに繋がり、この対策が望まれる。
【0006】
特許文献1,2の受信装置は、RF信号の信号レベルのみで低ノイズ増幅器の作動及び停止を制御するので、低ノイズ増幅器の停止時間を十分に長くできず、節電が不十分である。特許文献1,2は、また、低ノイズ増幅器を停止状態から作動状態へ切り替える直後の低ノイズ増幅器の大幅な出力上昇に伴う処理エラーへの対策についてなんら開示及び示唆していない。
【0007】
本発明の目的は、低ノイズ増幅器の有効な節電を図るとともに、低ノイズ増幅器を停止状態から作動状態へ切り替えた直後の低ノイズ増幅器の大幅な出力上昇に起因する信号処理エラーに有効に対処するデジタル放送受信機及び制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、受信電波の強電界地域では、RF信号の信号レベルが所定の閾値よりも低くても、該RF信号のC/N値が適当に確保されていれば、チューナにおける信号処理に支障のないことに着目する。また、RF信号の信号レベルが所定の閾値以下になっても、RF信号のC/N値が、チューナにおける処理に支障が生じる限度まで、低ノイズ増幅器を停止状態から作動状態へ切替える時期を引き延ばせば、RF信号の信号レベルは所定の閾値より適当に小さい値に低下しており、この低いレベルにおいて、低ノイズ増幅器を停止状態から作動状態へ切替えても、切替直後の低ノイズ増幅器の上昇した出力レベルは適当に抑制されたものになることに着目する。本発明によれば、低ノイズ増幅器の停止状態から作動状態への切替は、選択RF信号に係る信号レベルが第1の信号レベル用閾値以下でかつ選択RF信号に係るC/N値が第1のC/N値用閾値以下になる時に行う。
【0009】
すなわち、本発明のデジタル放送受信機は次のものを備えている。
アンテナからのRF信号を増幅する低ノイズ増幅器、
選択RF信号に係る信号レベルを検出する信号レベル検出手段、
選択RF信号に係るC/N値を検出するC/N値検出手段、及び
選択RF信号に係る信号レベルが第1の信号レベル用閾値以下でかつ選択RF信号に係るC/N値が第1のC/N値用閾値以下になると、低ノイズ増幅器が作動停止状態であるならば、低ノイズ増幅器を作動状態へ切り替える作動制御手段。
【0010】
また、本発明の制御方法は、アンテナからのRF信号を増幅する低ノイズ増幅器に対し、次のステップを実行する。
選択RF信号に係る信号レベルを検出するステップ、
選択RF信号に係るC/N値を検出するステップ、及び
選択RF信号に係る信号レベルが第1の信号レベル用閾値以下でかつ選択RF信号に係るC/N値が第1のC/N値用閾値以下になると、低ノイズ増幅器が作動停止状態であるならば、低ノイズ増幅器を作動状態へ切り替えるステップ。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低ノイズ増幅器の停止状態から作動状態への切替は、デジタル放送受信機において出力のために選択している選択RF信号に係る信号レベルが第1の信号レベル用閾値以下となっても直ちに行わず、さらに、選択RF信号に係るC/N値が第1のC/N値用閾値以下になるまで待ってから、行われる。結果、低ノイズ増幅器の停止時間を、チューナにおける処理に支障を与えることなく増大させて、低ノイズ増幅器の作動時間を減少させることできる。また、低ノイズ増幅器の停止状態から作動状態への切替が行われる時の選択RF信号に係る信号レベルは第1の信号レベル用閾値より適当に低下しているので、該切替直後の低ノイズ増幅器出力レベルのオーバシュート分は抑えられ、信号処理エラーを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ワンセグ放送受信機の概略構成図である。
【図2】選択RF信号のAGCデータ値及びC/N値とLNAの電源のオン、オフとの関係を示す図である。
【図3】RF信号のAGCデータ値及びC/N値の変化例に対するLNAの電源のオン、オフの変化を示す図である。
【図4】別のワンセグ放送受信機の構成図である。
【図5】低ノイズ増幅器用制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1はワンセグ放送受信機10の概略構成図である。該ワンセグ放送受信機10は、主に車両等の移動体に装備されるものであり、表示部(図示せず)等については既存のテレビジョン装置やカーナビゲーション装置等のディスプレイを利用する。ワンセグ放送受信機10の現在地がそのサービスエリアに属している1以上のワンセグ放送局からのワンセグ放送の電波はアンテナ11に捕捉され、各ワンセグ放送のRF信号はアンテナ11からLNA(Low Noise Amplifier:低ノイズ増幅器)12へ送られる。LNA12は、アンテナ11に十分に近い位置に設けられ、同軸ケーブル20を介して受信機本体15と接続されている。LNA12は、同軸ケーブル20を介して給電され、給電中のみ作動状態になる。LNA12は、作動中は、アンテナ11からのRF信号を増幅して、同軸ケーブル20へ出力し、作動停止中は、アンテナ11からのRF信号を増幅することなく、そのまま、同軸ケーブル20へ出力する。
【0014】
受信機本体15は、チューナ部16、コントロール部17及びLNA電源回路部18を備えている。チューナ部16は、同軸ケーブル20を介してLNA12からの1以上のRF信号を入力され、それらのRF信号の内、ユーザから指示されたワンセグ放送に係る周波数のRF信号を選択し、それを復調、復号して、デジタル信号として出力する。コントロール部17は、それらデジタル信号から画像及び音声の信号を生成して、図示していない表示部及びイヤホン端子等へ、それぞれの信号を出力するようになっている。チューナ部16は、AGC(Auto Gain Control:図示せず)を装備し、ユーザが選択したワンセグ放送のRF信号としての選択RF信号及びそのIF信号用の各増幅器(図示せず)の利得をAGCレベルに基づき増幅する。選択RF信号及びそのIF信号の各増幅器の利得は、AGCレベルが高くなるに連れて、増大する。なお、AGCレベルは、選択RF信号のレベルと高低が逆の関係にあり、すなわち、AGCレベルは、選択RF信号のレベルが低いときほど、逆に上昇する。
【0015】
チューナ部16は、選択RF信号に係る信号レベル(現在地における選局ワンセグ放送の電波の電界強度に対応する。)や該選択RF信号に係るC/N値等の情報を数値データで出力することが可能となっている。コントロール部17は、それら数値データをチューナ部16から受けて、これら数値データに基づき制御信号を生成して、該制御信号をLNA電源回路部18のレギュレータ22の制御端子23へ送る。該制御信号は、高レベル(High)と低レベル(Low)とから成る信号である。
【0016】
LNA電源回路部18はレギュレータ22を含み、レギュレータ22は、その制御端子23へ高レベルの制御信号を受けている期間では、同軸ケーブル20へLNA12の作動のための電流を供給し、また、その制御端子23へ低レベルの制御信号を受けている期間では、同軸ケーブル20へのLNA12の作動のための電流供給を停止する。
【0017】
図2は選択RF信号のAGCデータ値及びC/N値とLNA12の電源のオン、オフとの関係を示している。AGCデータ値とはコントロール部17がチューナ部16から受け取る、RF信号用AGCレベルに係るデータである。チューナ部16におけるAGCには、選択RF信号を増幅する増幅器の利得を制御するAGCと、該選択RF信号のIF信号を増幅する増幅器の利得を制御するAGCとの2種類があるが、図2に示したAGCデータは、前者(RF信号用増幅器)のAGCに関するものである。
【0018】
図2において、「不問」とはAGCデータ値又はC/N値に関して任意の値を意味する。また、LNA12の電源がオン及びオフとは、レギュレータ22から同軸ケーブル20への給電が行われていること及び行われていないことを意味する。
【0019】
ワンセグ放送受信機10の初期状態、すなわちワンセグ放送受信機10の電源投入時(図2の第1行)では、LNA12の電源は、AGCレベル及びC/N値に関係なく、オンとされる。これにより、LNA12は作動状態となり、この作動状態は、AGCレベル及びC/N値が図2の第2行の状態になるまで、継続する。
【0020】
図2の第2行の状態が出現すると、すなわち、RF信号のAGCデータ値がAより小さくなると(図2の第2行)、LNA12の電源は、C/N値に関係なく、オンからオフへ切り替えられて、LNA12は作動状態から停止状態へ切替えられる。以降、LNA12の停止状態は、図2の第4行の状態が出現するまで、継続する。
【0021】
図2の第4行の状態が出現すると、すなわち、RF信号のAGCデータ値がBより大きくなり、かつC/N値がC以下になると、LNA12の電源はオフからオンへ切替えられ、LNA12は停止状態から作動状態へ切替わる。以降、LNA12の作動状態は、ワンセグ放送受信機10の電源が切になるか、図2の第2行の状態が出現するまで、継続する。
【0022】
図2の第3行の状態では、すなわち、AGCデータ値がA〜Bの範囲にある場合には、LNA12の電源は、C/N値に関係なく、直前の状態であるオン又はオフを維持する。
なお、AGCデータ値A及びBにはA<Bという関係がある。
【0023】
図3はRF信号のAGCデータ値及びC/N値の変化例に対するLNA12の電源のオン、オフの変化を示している。LNA12の電源のオン、オフは、制御信号、すなわちコントロール部17からレギュレータ22の制御端子23へ送られる制御信号の高レベル/低レベル(High/Low)に対応する。
【0024】
時刻t1まではLNA12の電源はオンになっている。時刻t1において、AGCデータ値<Aになるや、LNA12の電源は直ちにオフになる。AGCデータ値<Aのような事態は、ワンセグ放送受信機10がテレビ塔等のワンセグ放送の電波発信源に非常に接近した場合に生じる。LNA12の電源オフへの切替わりに伴い、チューナ部16への入力RF信号のレベルは一気に下降するが、選択中のワンセグ放送電波の電界強度は十分にあるので、チューナ部16における復調及び復号処理に支障は生じない。また、この際、AGCデータ値は一気に上昇するが、AGCデータ値<Bに収まるように、AGCデータ値に係る閾値Aが設定されている。
【0025】
時刻t2において、AGCデータ値>Bとなる。しかし、C/N値>Cであるので、LNA12の電源はなおもオフに維持される。C/N値>Cが確保されるので、LNA12におけるRF信号の増幅がなくても、チューナ部16及びコントロール部17は、それへの入力RF信号を支障なく復調及び復号処理して、選択中のワンセグ放送の映像及び音声を出力できる。
【0026】
時刻t3において、AGCデータ値>BかつC/N値≦Cとなり、LNA12の電源はオフからオンへ切替わる。これにより、チューナ部16は、LNA12から増幅されたRF信号を入力される。LNA12が停止状態から作動状態へ切替わった直後は、LNA12の出力が一気に増大するとともに、そのオーバシュート分がチューナ部16の上限を超える恐れが高まるが、該ワンセグ放送受信機10では、時刻t2においてAGCデータ値>Bとなった後、C/N値≦Cになるまで、LNA12のオフからオンへの切替が引き延ばされることになる。したがって、時刻t3では、LNA12へ入力するRF信号のレベルは、AGCデータ値=Bに対応するレベルよりも適当に低下したものとなっているので、LNA12の電源がオンへ切り替わった直後、LNA12の出力のオーバシュート分は抑制され、LNA12の出力がチューナ部16の上限を超えるのを回避される。こうして、チューナ部16における信号処理不能や誤動作を有効に防止できる。
【0027】
時刻t4(及び時刻t7)では、時刻t1と同様に、AGCデータ値<Aになり、LNA12の電源はオンからオフへ切り替わる。この際、LNA12によるRF信号の増幅が止まるだけであるので、LNA12の出力レベルのアンダーシュート分は極めて小さく、切替わり直後のチューナ部16における信号処理不能や誤動作を心配する必要はない。
【0028】
時刻t5,t6では、先の時刻t5においてC/N値≦Cとなり、後の時刻t6において、AGCデータ値>Bとなっている。この場合は、LNA12は、時刻t5でオフからオンへ切り替わらず、AGCデータ値>BかつC/N値≦Cとなった時刻t6において切り替わり、チューナ部16への入力RF信号の信号レベル低下に伴う処理エラー発生を未然に防止する。なお、AGCレベルの閾値をCより適当に小さい値に設定すれば、AGCデータ値が該閾値へ先に上昇してから、C/N値≦Cとなるように、仕向けることができる。なお、図3のC/N値のDは、Cより大きい所定の値として定義している。
【0029】
図4は別のワンセグ放送受信機26の構成図である。ワンセグ放送受信機26において、ワンセグ放送受信機10(図1)の素子と共通する素子は同符号で指示して、それらの説明は省略し、ワンセグ放送受信機10との相違点を述べる。レギュレータ22によっては、ワンセグ放送受信機26のように、制御端子23(図1)を装備していない場合がある。ワンセグ放送受信機26は、制御端子23を装備しないレギュレータ22に対処して、LNA12を制御する。すなわち、ワンセグ放送受信機26では、スイッチ回路28が追加され、コントロール部17からの高レベル/低レベルの制御信号はスイッチ回路28へ送られるとともに、レギュレータ22は、ワンセグ放送受信機10の電源投入中、常時、LNA12の作動用給電電流を出力している。
【0030】
スイッチ回路28は、コントロール部17からの制御信号に基づきレギュレータ22の出力と同軸ケーブル20との接続を制御する。スイッチ回路28は、コントロール部17から制御信号が高レベルである期間では、同軸ケーブル20とレギュレータ22とを接続し、これにより、レギュレータ22から同軸ケーブル20への給電が行われ、LNA12は作動状態になる。また、スイッチ回路28は、コントロール部17から制御信号が低レベルである期間では、レギュレータ22と同軸ケーブル20との接続を断ち、これにより、レギュレータ22から同軸ケーブル20への給電が中止され、LNA12は停止状態になる。
【0031】
本発明のデジタル放送受信機とその具体例としてのワンセグ放送受信機10,26との関係を説明する。
【0032】
本発明のデジタル放送受信機は、低ノイズ増幅器,信号レベル検出手段、C/N値検出手段及び作動制御手段を含む。デジタル放送受信機は、典型的には、携帯電話機に追加機能として付加されるワンセグ放送受信機であるが、これに限定されず、その他の携帯型又は車載型テレビジョン放送受信機や携帯型ゲーム機に付加されたりしてもよい。
【0033】
低ノイズ増幅器は、アンテナからのRF信号を増幅する。低ノイズ増幅器の具体例はLNA12(図1及び図4)である。信号レベル検出手段は、選択RF信号に係る信号レベルを検出する。選択RF信号に係る信号レベルとは、ワンセグ放送受信機10,26では、チューナ部16においてRF信号を増幅する増幅器に対するAGCレベルであるが、これに限定されず、IF信号を増幅する増幅器に対するAGCレベルであってもよいし、信号レベルがRF信号の信号レベルに対して所定関係をもつ信号であれば、AGCレベル以外の信号やRF信号自体であってもよい。
【0034】
C/N値検出手段は、選択RF信号に係るC/N値を検出する。ワンセグ放送受信機10,26では、チューナ部16がC/N値検出手段の役割を担っている。作動制御手段は、選択RF信号に係る信号レベルが第1の信号レベル用閾値以下でかつ選択RF信号に係るC/N値が第1のC/N値用閾値以下になると、低ノイズ増幅器が作動停止状態であるならば、低ノイズ増幅器を作動状態へ切り替える。ワンセグ放送受信機10,26では、コントロール部17及びLNA電源回路部18が作動制御手段の役割を担っている。
【0035】
作動制御手段による低ノイズ増幅器の作動状態及び作動停止状態の切替は、ワンセグ放送受信機10,26では、制御端子23からレギュレータ22への給電実施及び給電停止により行っている。第1の信号レベル用閾値は、ワンセグ放送受信機10,26では、RF信号について図2のAGCデータ値=Bに対応する信号レベルである。また、第1のC/N値用閾値は、図2及び図3のC/N値=Cである。
【0036】
好ましくは、作動制御手段は、RF信号レベル換算で選択RF信号に係る信号レベルが第1の信号レベル用閾値より大きい第2の信号レベル用閾値以上になると、選択RF信号に係るC/N値に関係なく、低ノイズ増幅器が作動状態であるならば、低ノイズ増幅器を作動停止状態へ切り替える。第2の信号レベル用閾値は、RF信号について図2のAGCデータ値=Aに対応する値である。なお、AGCデータ値の大きさと、選択RF信号に係る信号レベルの大きさとは相互に逆の関係があるので、AGCデータ値=A時の該AGCデータ値に対するRF信号レベル換算値は、AGCデータ値=B時の該AGCデータ値に対するRF信号レベル換算値より大きい。
【0037】
図5は低ノイズ増幅器用制御方法70のフローチャートである。低ノイズ増幅器用制御方法70は例えば一定時間経過ごとや一定距離移動ごとに実行される。S71では、選択RF信号に係る信号レベルを検出する。S72では、選択RF信号に係るC/N値を検出する。
【0038】
S73では、図2に示した関係に従って、選択RF信号に係る信号レベル及び選択RF信号に係るC/N値それぞれについて閾値に対する判定をする。選択RF信号に係る信号レベルが第1の信号レベル用閾値より小さく且つ選択RF信号に係るC/N値が第1のC/N値用閾値以下であるか否かを判定し、判定が正であれば、S77へ進む。また、選択RF信号に係る信号レベルが第1の信号レベル用閾値より大きい第2の信号レベル用閾値より大きいか否かを判定し、判定が正であれば、(選択RF信号に係るC/N値に関係なく、)S83へ進む。また、選択RF信号に係る信号レベルが第1の信号レベル用閾値以上且つ第2の信号レベル用閾値以下であるか否かを判定し、判定が正であれば、(選択RF信号に係るC/N値に関係なく、)低ノイズ増幅器用制御方法70に係る処理を終了する。
【0039】
S77では、低ノイズ増幅器が現在、作動停止状態にあるか作動状態にあるかを判定する。作動停止状態にある場合には、S78へ進み、作動状態にある場合は、低ノイズ増幅器用制御方法70に係る処理を終了する。S78では、低ノイズ増幅器を作動状態へ切り替える。
【0040】
S83では、低ノイズ増幅器が現在、作動停止状態にあるか作動状態にあるかを判定する。作動状態にある場合には、S84へ進み、作動停止状態にある場合は、低ノイズ増幅器用制御方法70に係る処理を終了する。S84では、低ノイズ増幅器を作動停止状態へ切り替える。
【0041】
本発明を各種具体的形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、各種具体的形態における各構成要素を変形(削除も含む。)して具体化できる。また、各種具体的形態間において、構成要素を置換したり、各種具体的形態の複数の構成要素を組み合わせたりすることにより、種々の発明を形成することもできる。
【符号の説明】
【0042】
10:ワンセグ放送受信機(デジタル放送受信機)、12:LNA(低ノイズ増幅器)、16:チューナ部(信号レベル検出手段、AGCレベル検出手段)、17:コントロール部(作動制御手段)、18:LNA電源回路部(作動制御手段)、26:ワンセグ放送受信機(デジタル放送受信機)、28:スイッチ回路(作動制御手段)、70:低ノイズ増幅器用制御方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナからのRF信号を増幅する低ノイズ増幅器、
選択RF信号に係る信号レベルを検出する信号レベル検出手段、
前記選択RF信号に係るC/N値を検出するC/N値検出手段、及び
選択RF信号に係る信号レベルが第1の信号レベル用閾値以下でかつ選択RF信号に係るC/N値が第1のC/N値用閾値以下になると、前記低ノイズ増幅器が作動停止状態であるならば、前記低ノイズ増幅器を作動状態へ切り替える作動制御手段、
を備えることを特徴とするデジタル放送受信機。
【請求項2】
アンテナからのRF信号を増幅する低ノイズ増幅器の制御方法において、
選択RF信号に係る信号レベルを検出するステップ、
前記選択RF信号に係るC/N値を検出するステップ、及び
選択RF信号に係る信号レベルが第1の信号レベル用閾値以下でかつ選択RF信号に係
るC/N値が第1のC/N値用閾値以下になると、前記低ノイズ増幅器が作動停止状態で
あるならば、前記低ノイズ増幅器を作動状態へ切り替えるステップ、
を備えることを特徴とする低ノイズ増幅器用制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−139486(P2011−139486A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15530(P2011−15530)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【分割の表示】特願2006−291932(P2006−291932)の分割
【原出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】