説明

デジタル放送受信装置

【課題】多重化ストリームに多重化された字幕データの種類にかかわらず、字幕データを可能な限り提示可能な放送受信装置を提供する。
【解決手段】デジタル放送受信装置は、デジタル番組サービス配信でCC608及びCC708のどちらか一つ若しくは両方の字幕データを重畳するストリームを受信し、前記字幕データの重畳された映像ストリームを含む多重化ストリームを受信し、多重化データストリームマルチプレクサ部と、映像データ展開部と、字幕データ抽出部と、CC608データ格納部と、CC708データ格納部と、CC608データ及びCC708データを管理し有効な字幕データを判断する字幕データ管理メイン部と、字幕OSD作成部と、映像データ複合化部と、OSD合成部と、NTSCエンコーダ部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送される2種の仕様による字幕を効率よく表示するデジタル放送受信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、放送局より様々な形式の複数の字幕データが送信されるようになってきた。例えば、北米では、アナログ放送で送信されている字幕データを単純にデジタル放送の映像ストリームの中に重畳するための仕様EIA/CEA−608−B(以後CC608と呼ぶ)と、字幕の文字情報だけでなく、フォントの色とサイズ等の情報も含んだ仕様EIA−708B(以後CC708と呼ぶ)がATSC規格として採用されている。
【0003】
図2は放送局より送信される字幕データの構成を示す図である。図2において、トランスポートストリームは、番組と映像ストリームの関係を示すPMT、番組情報を格納するEIT、音声ストリーム、および映像ストリーム等から構成される。映像ストリームは、字幕等の情報を含むユーザデータ、および映像データとしてのエレメンタリストリームデータから構成される。ユーザデータにはCC708とCC608のどちらか一方もしくは両方のデータから構成される。
【0004】
従来のデジタル放送受信装置では、CC708はデジタル映像表示に出力され、CC608は外部映像出力端子(NTSC出力)にNTSCとして重畳されて出力される(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図6は、放送される字幕データの組み合わせのケースを示す図であり、ケース1は、CC708とCC608の両方のデータ、ケース2はCC708のみのデータ、ケース3は、CC608のみのデータが放送されるケースとする。
【0006】
図8は、従来例における放送される字幕データ組み合わせのケースとデジタル映像表示及び外部映像出力の関係を示している。放送局から送信される字幕データは、図3のようなケースがあるが、従来のデジタル放送受信装置では、ケース1の場合は、デジタル映像出力に字幕が提示され、外部映像出力の信号に字幕データが重畳されるが、ケース2では、外部出力の信号に字幕データが重畳されない。逆に、ケース3ではデジタル映像表示に字幕が提示されないという現象が生じる。
【特許文献1】米国特許第5801782号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、現在のデジタル放送受信機の構成では、字幕データCC708の字幕データはデジタル映像表示用、字幕データCC608は外部映像出力用(NTSC信号)としているため、デジタル映像表示と外部映像出力に字幕の提示を行うためには、CC708およびCC608の両方の字幕データが重畳されていることが条件であるが、実際、どちらか一方の字幕データのみが放送されているケースが多い。そのため、デジタル映像出力または外部映像出力のどちらか一方のサービスが停止することがある点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、CC708かCC608のいずれか一方の字幕データが放送されている場合でも、字幕データを転用することにより、デジタル映像表示、および外部映像出力に字幕を提示させることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のデジタル放送受信装置は、CC708かCC608のいずれか一方の字幕データが放送されている場合でも、字幕データを転用することにより、デジタル映像表示、および外部映像出力に字幕を提示させることが可能で、前記のような字幕データの限られた条件でも、視聴者にできるだけ字幕サービスを提示できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
限られた条件で字幕データを可能な限り提示するという目的を、最小の構成で実現した。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明装置の実施の形態1を示すブロック図であって、100は本発明のデジタル放送受信装置、101は多重化デマルプレクサ部、102は映像ストリーム展開部、103は字幕データ抽出部、104はCC608データ格納部、105はCC708データ格納部、106は映像データ復号化部、107は字幕データ管理メイン部、108は字幕OSD作成部、109はNTSCエンコーダ部、110はOSD合成部である。本発明の主体は字幕データの管理にあるので、デジタル放送受信機に必要な、チューナ部、音声処理等の説明は省略する。
【0012】
本実施の形態では特に、映像ストリームとしてMPEG2(Moving Pictures Expert Group Phase2)規格を使用し、字幕データ識別情報、および字幕データは、MPEG2規格のビデオシーケンスのユーザデータ領域に格納されているとする。
【0013】
図2は、放送されるトランスポートストリームに含まれる字幕データの格納されている領域までの階層構造を示している。201はトランスポートストリーム、203は番組情報を含むEIT、204は音声ストリーム、205は映像ストリーム、206はユーザデータ、207は映像のESデータ、208はCC708仕様の字幕データ、209はCC608仕様の字幕データ、211はCC708と特定する識別コード1、212はヘッダ1、213は字幕の画面上の提示位置情報、214は字幕の文字種および色情報、215は字幕内容1、216はCC608を識別する識別コード2、217はヘッダ2、218は字幕内容2である。
【0014】
トランスポートストリーム201には、EIT203、音声ストリーム204、映像ストリーム205等を多重化されている。映像ストリームにはユーザデータ、ESデータ等が含まれる。ユーザデータ206にはCC708仕様の字幕データ208、CC608仕様の字幕データ209が含まれる。CC708仕様の字幕データ208にはCC708仕様であることを示す識別コード1(211)、ヘッダ1(212)、位置情報213、文字種情報214、字幕内容1(215)を含む。また、CC608仕様の字幕データは、CC608仕様であることを示す識別コード2(216)、ヘッダ2(217)、字幕内容2(218)を含む。
【0015】
ここで、図3を用いて字幕データ蓄積までの処理手順を説明する。多重化ストリームデマルチプレクサ部101はトランスポートストリーム等の多重化ストリームからMPEG2規格の映像ストリームを抽出する(S101)。映像ストリーム展開部102はMPEG2規格の映像ストリームからユーザデータを抽出する(S102)。CM情報抽出部103は、ユーザデータ領域108の先頭にある、識別コード1(211)または識別コード2(216)を識別し(S103)、CC708仕様を示す識別コードであれば、それ以降のユーザデータから、次の識別コードが出現するまでのデータをCC708仕様の字幕データとし、CC708データ格納部に前記字幕データを格納する。また、CC608仕様を示す識別コードであれば、それ以降のユーザデータから、次の識別コードが出現するまでのデータをCC608仕様の字幕データとし、CC608データ格納部に前記字幕データを格納する。ユーザの操作等で、映像ストリームの処理が停止するまで続けられる。
【0016】
次に、図4、図5を用いて字幕データ管理メイン部107以降の動作について説明する。
【0017】
図4にデジタル映像表示の字幕データの処理のフローを示す。字幕データ管理メイン部107はCC708データ格納部105に字幕データが存在する場合、CC708仕様にしたがい、字幕データから表示位置、文字種、スクロール有無、文字色等を認識し、字幕文字列を前記処理を行いOSDを作成する(S203)。また、CC708データ格納部105にCC708データが存在しないが、CC608データ格納部104に字幕データが存在する場合、CC608仕様の字幕データから文字列のデータおよび制御データを抽出し、CC608仕様にしたがいOSDを作成する(S204)。S203およびS204により作成されたOSDはデジタル映像に合成されてTV画面に表示される。
【0018】
図5に外部映像出力の字幕データの処理フローを示す。字幕データ管理メイン部107は、CC608データ格納部105に字幕データが存在する場合、字幕データをそのままNTSCエンコーダ部109に送る(S301)。また、CC608データ格納部104に字幕データは存在しないが、CC708データ格納部105に字幕データが存在する場合、CC708仕様の字幕データから、字幕文字列と制御データのみを抽出しCC608仕様の字幕データを再構成し、NTSCエンコーダ部109に送る(S303)。NTSCエンコーダ部は映像データ復号化部106からの信号をNTSC信号に変換し、CC608仕様にしたがい、ライン21とライン284に字幕データを重畳する。結果のNTSC信号は外部映像出力として出力される。
【0019】
結果として、図7に示すように、放送でCC708またはCC608のいずれか一つの字幕データが放送されている場合、放送されていない字幕データを使用する出力側に、放送されている字幕データを転用することにより、字幕データの効率的な表示が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
複数種類の字幕データの少なくとも1つを放送するシステムにおいても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】デジタル放送受信装置の実施方法を示したブロック図
【図2】字幕データを含むトランスポートストリームのデータ構造を示した説明図
【図3】デジタル放送受信装置の実施方法を示したフローチャート
【図4】デジタル放送受信装置の実施方法を示したフローチャート
【図5】デジタル放送受信装置の実施方法を示したフローチャート
【図6】放送される字幕データの組み合わせのケースを示した図
【図7】字幕データ種のケースと提示に使用する字幕データ種を示した図
【図8】従来の字幕データ種のケースと提示に使用する字幕データ種を示した図
【符号の説明】
【0022】
101 多重化ストリームマルチプレクサ部
102 映像ストリーム展開部
103 字幕データ抽出部
104 CC608データ格納部
105 CC708データ格納部
106 映像データ復号化部
107 字幕データ管理メイン部
108 字幕OSD作成部
109 NTSCエンコーダ部
110 OSD合成部
201 トランスポートストリーム
202 PMT
203 EIT
204 音声ストリーム
205 映像ストリーム
206 ユーザデータ
207 ESデータ
208 CC708字幕データ
209 CC608字幕データ
211 識別コード1
212 ヘッダ1
213 位置情報
214 文字種情報
215 字幕内容1
216 識別コード2
217 ヘッダ2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル番組サービス配信で字幕データの規格であるCC608、およびCC708のどちらか一つ、もしくは両方の字幕データを重畳するストリームを受信し、字幕を映像に合成して表示する機能を持つデジタル放送受信装置であって、
前記字幕データの重畳された映像ストリームを含む多重化ストリームを受信し、多重化データストリームからユーザが視聴中の映像データストリームを選択し抽出する多重化データストリームマルチプレクサ部と、
映像データストリームからユーザデータおよび映像データを抽出する映像データ展開部と、
ユーザデータから前記字幕データを抽出する字幕データ抽出部と、
CC608のデータを格納するCC608データ格納部と、
CC708のデータを格納するCC708データ格納部と、
CC608データおよびCC708データを管理し有効な字幕データを判断する字幕データ管理メイン部と、
字幕データから字幕OSDを作成する字幕OSD作成部と、
映像データを複合化する映像データ複合化部と、
前記映像複合化部で複合された映像と字幕OSDを合成するOSD合成部と、
前記映像複合化部で複合された映像をNTSC信号に変換すると同時に字幕データを垂直帰線期間に重畳するNTSCエンコーダ部を備え、
有効な字幕データを判定して可能な限り字幕表示のサービスを行うことを特徴とするデジタル放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−254022(P2006−254022A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66950(P2005−66950)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】