説明

デジタル放送波受信装置

【課題】フルセグ/ワンセグ放送を適切に切り替えることのできるデジタル放送波受信装置。
【解決手段】同一チャンネルにエラー耐性の弱い弱階層とエラー耐性の強い強階層とを含むデジタル放送波を受信して受信信号S1を出力するアンテナ部10と、受信信号S1から選局チャンネルの周波数帯域信号を抽出して中間周波数信号S2に変換するチューナ部20と、中間周波数信号S2をデジタル復調して復調信号S3を生成する復調部30と、復調信号S3をデコードするデコード部40と、復調信号S3の品質に応じて階層毎の有効/無効を判定する有効階層判定部50と、アンテナ部10が第1用途アンテナであるか第2用途アンテナであるかを識別するアンテナ識別部60と、有効階層判定部50の判定結果とアンテナ識別部60の識別結果に基づいてデコード対象となる階層を設定するようにデコード部40を制御するデコード制御部70とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の階層が同一チャンネルで伝送されるデジタル放送波を受信するデジタル放送波受信装置(以下では単に受信装置と略称する場合がある)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本国内のデジタル放送に使用されるISDB―T[Integrated Services Digital Broadcasting- Terrestrial]方式は、図6に示すように、階層伝送により、エラー耐性の弱い弱階層(フルセグ放送に使用)と、エラー耐性の強い強階層(ワンセグ放送に使用)とが同一チャンネルに存在し、これら複数の階層を同時に伝送することが可能である。
【0003】
フルセグ放送は、固定用途の受信装置向けであり、サイズの大きいモニタに対して高精細・高品質な映像・音声コンテンツを提供することができる。反面、フルセグ放送は、ノイズ耐性が弱いため、性能の良いアンテナを使ってノイズ環境を良好に維持しておく必要がある。
【0004】
ワンセグ放送は、モバイル用途の受信装置向けであり、性能の悪いアンテナが使用される場合など、ノイズ環境が劣悪な状態での受信を想定してノイズ耐性が強くなっている。反面、ワンセグ放送は、サイズの小さいモニタでの視聴を想定して、映像・音声コンテンツの品質が必要最低限となっており、サイズの大きいモニタでは荒さが目立って視聴が厳しい状態になる。
【0005】
モバイル用途の受信装置においても、できる限り品質の良い映像・音声コンテンツが望まれるため、ノイズ環境が良い場合にはフルセグ放送で受信し、ノイズ環境が悪くなった場合にワンセグ放送に切り替えるといった受信装置も多い。
【0006】
例えば、特許文献1では、信号品質によりフルセグ/ワンセグ放送を切り替えて受信の適切化を図る受信装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−34854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、性能の良い固定受信用アンテナを用いれば、より広いエリアの放送波を受信することができるようになるので、より多くのチャンネルを視聴することが可能となる。特に、ノイズ耐性の強いワンセグ放送については、アンテナの性能次第でかなり遠方エリアの放送波も受信することができる。しかし、先にも述べたように、ワンセグ放送は、サイズの小さいモニタでの視聴を想定して、映像・音声コンテンツの品質が必要最低限とされている。そのため、固定用途の受信装置に性能の高い固定受信用アンテナを接続した結果、遠方エリアのワンセグ放送のみを受信することが可能となっても、サイズの大きいモニタでは荒さが目立って実用的ではなかった。
【0009】
また、信号品質に応じてフルセグ/ワンセグ放送を切り替える従来の受信装置は、フルセグ放送を受信することができないチャンネルであっても、同チャンネルで伝送されているワンセグ放送の信号品質が良好である限り、そのワンセグ放送を受信してしまうので、結果として視聴に適さない不必要な受信チャンネルを無駄に増やす恐れがあった。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑み、フルセグ/ワンセグ放送を適切に切り替えることのできるデジタル放送波受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るデジタル放送波受信装置は、同一チャンネルにエラー耐性の弱い弱階層とエラー耐性の強い強階層とを含むデジタル放送波を受信して受信信号を出力するアンテナ部と、前記受信信号から選局チャンネルの周波数帯域信号を抽出して中間周波数信号に変換するチューナ部と、前記中間周波数信号をデジタル復調して復調信号を生成する復調部と、前記復調信号をデコードするデコード部と、前記復調信号の品質に応じて階層毎の有効/無効を判定する有効階層判定部と、前記アンテナ部が第1用途アンテナであるか第2用途アンテナであるかを識別するアンテナ識別部と、前記有効階層判定部の判定結果と前記アンテナ識別部の識別結果に基づいてデコード対象となる階層を設定するように前記デコード部を制御するデコード制御部と、を有する構成(第1の構成)とされている。
【0012】
なお、上記第1の構成から成るデジタル放送波受信装置において、前記アンテナ部は、自身が第1用途アンテナであるか第2用途アンテナであるかを示す識別信号を出力する識別信号出力部を含み、前記アンテナ識別部は、前記識別信号に基づいて前記アンテナ部を識別する構成(第2の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第1または第2の構成から成るデジタル放送波受信装置において、前記デコード制御部は、前記アンテナ識別部から前記アンテナ部が第1用途アンテナである旨の識別結果を受け、かつ、前記有効階層判定部から弱階層が無効であって強階層が有効である旨の判定結果を受けた場合に、全ての階層をデコード対象外とするように前記デコード部を制御する構成(第3の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成るデジタル放送波受信装置は、前記有効階層判定部の判定結果と前記アンテナ識別部の識別結果に基づいてチャンネル毎の有効/無効を判定する有効チャンネル判定部と、前記有効チャンネル判定部の判定結果を記憶する記憶部と、前記記憶部の記憶内容に基づいて有効チャンネルのみを選局対象とするように前記チューナ部を制御する選局制御部と、を有する構成(第4の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第4の構成から成るデジタル放送波受信装置において、前記有効チャンネル判定部は、前記アンテナ識別部から前記アンテナ部が第1用途アンテナである旨の識別結果を受け、かつ、前記有効階層判定部から弱階層が無効であって強階層が有効である旨の判定結果を受けた場合に、その時点で選局されているチャンネルが無効であると判定する構成(第5の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第4または第5の構成から成るデジタル放送波受信装置において、前記選局制御部は、前記記憶部の記憶内容と共に前記アンテナ識別部の識別結果の入力を受けており、前記アンテナ識別部から前記アンテナ部が第1用途アンテナである旨の識別結果を受けている場合には、前記記憶部に記憶された有効チャンネルのうち、弱階層が無効であって強階層が有効であるチャンネルを選局対象外とするように前記チューナ部を制御する構成(第6の構成)にするとよい。
【0017】
また、上記第1〜第6いずれかの構成から成るデジタル放送波受信装置において、前記第1用途アンテナは固定受信用であって、前記第2用途アンテナは移動受信用である構成(第7の構成)にするとよい。
【0018】
また、上記第1〜第7いずれかの構成から成るデジタル放送受信装置において、前記弱階層はフルセグ放送に使用され、前記強階層はワンセグ放送に使用される構成(第8の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るデジタル放送波受信装置であれば、固定用途アンテナでワンセグ放送しか受信できないチャンネルについては、これを受信対象外とすることができるので、フルセグ/ワンセグ放送を適切に切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】デジタル放送波受信装置の第1実施形態を示す図
【図2】デコード制御の一例を示す表
【図3】デジタル放送波受信装置の第2実施形態を示す図
【図4】有効チャンネル判定の一例を示す表
【図5】デジタル放送波受信装置の第3実施形態を示す図
【図6】階層化されたISDB−T方式の放送波の一例を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
図1は、デジタル放送波受信装置の第1実施形態を示す図である。第1実施形態のデジタル放送波受信装置1は、デジタル放送波を受信する装置であり、アンテナ部10と、チューナ部20と、復調部30と、デコード部40と、有効階層判定部50と、アンテナ識別部60と、デコード制御部70と、を有する。
【0022】
日本国内のデジタル放送に使用されるISDB―T方式は、先出の図6で示した通り、階層伝送により、エラー耐性の弱い弱階層(フルセグ放送に使用)と、エラー耐性の強い強階層(ワンセグ放送に使用)とが同一チャンネルに存在し、これら複数の階層を同時に伝送することが可能である。
【0023】
アンテナ部10は、デジタル放送波を受信して受信信号S1を生成するための機能ブロックであり、アンテナ素子11と、増幅器12と、識別信号出力部13と、を含む。アンテナ素子11は、空中を伝搬するデジタル放送波を受信する。増幅器12は、アンテナ素子11で受信されたデジタル放送波を増幅して受信信号S1を生成する。識別信号出力部13は、アンテナ部10が性能の良い固定受信用アンテナ(第1用途アンテナに相当)であるか性能の劣る移動受信用アンテナ(第2用途アンテナに相当)であるかを示す識別信号を受信信号S1に重畳して出力する。より具体的に述べると、識別信号出力部13は、上記の識別信号として、アンテナ部10の用途に応じて電圧値の異なる識別用DC電圧を受信信号S1の信号ラインに重畳する。このような構成とすることにより、アンテナ部10からその用途情報を引き出すことが可能となる。
【0024】
チューナ部20は、受信信号S1から選局チャンネルの周波数帯域信号を抽出して中間周波数信号S2に変換する。
【0025】
復調部30は、中間周波数信号S2にデジタル復調処理(例えばOFDM[Orthogonal Frequency Division Multiplex]復調処理)を施して復調信号S3を生成する。
【0026】
デコード部40は、復調信号S3をデコードして映像信号を生成し、これをモニタ2に出力する。
【0027】
有効階層判定部50は、復調信号S3の品質(例えばBER[Bit Error Rate])に応じて階層毎の有効/無効を判定し、その判定結果をデコード制御部70に出力する。
【0028】
アンテナ識別部60は、受信信号S1に重畳された識別信号(識別用DC電圧)に基づいて、アンテナ部10が固定受信用アンテナであるか移動受信用アンテナであるかを識別し、その識別結果をデコード制御部70に出力する。なお、アンテナ部10に識別信号出力部13が設けられていない場合には、アンテナ識別部60に対して識別信号を別途入力する必要がある。
【0029】
デコード制御部70は、有効階層判定部50の判定結果とアンテナ識別部60の識別結果に基づいてデコード対象となる階層を設定するようにデコード部40を制御する。このような構成とすることにより、アンテナ部10が固定受信用アンテナであるか移動受信用アンテナであるかに応じて、最適な有効階層をデコードさせることが可能となる。
【0030】
図2は、デコード制御の一例を示す表である。なお、以下で説明するデコード制御は、アンテナ部10として固定受信用アンテナが接続されている場合には、モニタ2として固定用途向けの大型モニタ(ワンセグ視聴には不向き)が接続されていることが想定され、アンテナ部10として移動受信用アンテナが接続されている場合には、モニタ2としてモバイル用途向けの小型モニタが接続されていることが想定される、という前提に立ったものである。
【0031】
デコード制御部70は、有効階層判定部50から弱階層(フルセグ放送)と強階層(ワンセグ放送)がいずれも有効である旨の判定結果を受けた場合、アンテナ識別部60の識別結果に依ることなく、アンテナ部10が固定受信用アンテナであっても移動受信用アンテナであっても、弱階層(フルセグ放送)をデコード対象とするように、デコード部40を制御する。このようなデコード制御により、ユーザは、特段の切替操作を要することなく、ワンセグ放送よりも高精細・高品質なフルセグ放送を視聴することができる。
【0032】
また、デコード制御部70は、有効階層判定部50から弱階層(フルセグ放送)と強階層(ワンセグ放送)がいずれも無効である旨の判定結果を受けた場合、アンテナ識別部60の識別結果に依ることなく、アンテナ部10が固定受信用アンテナであっても移動受信用アンテナであっても、全ての階層をデコード対象外とするように、デコード部40を制御する。このようなデコード制御により、フルセグ/ワンセグ双方の受信が不可能なチャンネルの受信信号については、これを無駄にデコードせずに済む。
【0033】
一方、デコード制御部70は、有効階層判定部50から弱階層(フルセグ放送)が無効であって強階層(ワンセグ放送)のみが有効である旨の判定結果を受けた場合、アンテナ識別部60の識別結果に応じてデコード対象の設定を行う。
【0034】
より具体的に述べると、デコード制御部70は、アンテナ識別部60からアンテナ部10が移動受信用アンテナである旨の識別結果を受け、かつ、有効階層判定部50から弱階層(フルセグ放送)が無効であって強階層(ワンセグ放送)のみが有効である旨の判定結果を受けた場合、強階層(ワンセグ放送)をデコード対象とするように、デコード部40を制御する。このようなデコード制御により、ユーザは、特段の切替操作を要することなく、受信不能のフルセグ放送に代えて同一内容のワンセグ放送を視聴することができる。なお、アンテナ部10が移動受信用アンテナである場合には、モニタ2としてモバイル用途向けの小型モニタが接続されていると想定されるので、品質の乏しいワンセグ放送であっても画質の粗さは目立ちにくい。
【0035】
これに対して、デコード制御部70は、アンテナ識別部60からアンテナ部10が固定受信用アンテナである旨の識別結果を受け、かつ、有効階層判定部50から弱階層(フルセグ放送)が無効であって強階層(ワンセグ放送)のみが有効である旨の判定結果を受けた場合、強階層(ワンセグ放送)をデコード対象とするのではなく、全ての階層をデコード対象外とするように、デコード部40を制御する。アンテナ部10が固定受信用アンテナである場合には、モニタ2として固定用途向けの大型モニタが接続されていると想定されるが、上記のデコード制御によれば、大型モニタでの視聴に不向きなワンセグ放送を無駄にデコードせずに済む。
【0036】
<第2実施形態>
図3は、デジタル放送波受信装置の第2実施形態を示す図である。第2実施形態は、先出の第1実施形態とほぼ同様の構成から成り、有効チャンネル判定部80、記憶部90、及び、選局制御部100を追加した点に特徴を有する。そこで、第1実施形態と同様の構成要素については、図1と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第2実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
【0037】
有効チャンネル判定部80は、有効階層判定部50の判定結果とアンテナ識別部60の識別結果に基づいてチャンネル毎の有効/無効を判定し、その判定結果を記憶部90に出力する。
【0038】
記憶部90は、有効チャンネル判定部80の判定結果を記憶する。記憶部90としては不揮発性の半導体メモリなどを用いることができる。
【0039】
選局制御部100は、記憶部90の記憶内容(有効チャンネル判定部80の判定結果)に基づいて有効チャンネルのみを選局対象とするようにチューナ部20を制御する。
【0040】
図4は、有効チャンネル判定の一例を示す表である。有効チャンネル判定部80は、有効階層判定部50から弱階層(フルセグ放送)と強階層(ワンセグ放送)がいずれも有効である旨の判定結果を受けた場合、アンテナ識別部60の識別結果に依ることなく、アンテナ部10が固定受信用アンテナであっても移動受信用アンテナであっても、その時点で選局中のチャンネルが有効であると判定する。このような有効チャンネル判定により、特段のユーザ操作を要することなく、フルセグ/ワンセグ双方の受信が可能なチャンネルをチューナ部20での選局候補に組み入れることが可能となる。
【0041】
また、有効チャンネル判定部80は、有効階層判定部50から弱階層(フルセグ放送)と強階層(ワンセグ放送)がいずれも無効である旨の判定結果を受けた場合、アンテナ識別部60の識別結果に依ることなく、アンテナ部10が固定受信用アンテナであっても移動受信用アンテナであっても、その時点で選局中のチャンネルが無効であると判定する。このような有効チャンネル判定により、特段のユーザ操作を要することなく、フルセグ/ワンセグ双方の受信が不可能なチャンネルをチューナ部20での選局候補から除外することが可能となる。
【0042】
一方、有効チャンネル判定部80は、有効階層判定部50から弱階層(フルセグ放送)が無効であって強階層(ワンセグ放送)のみが有効である旨の判定結果を受けた場合、アンテナ識別部60の識別結果に応じて有効チャンネルの判定を行う。
【0043】
より具体的に述べると、有効チャンネル判定部80は、アンテナ識別部60からアンテナ部10が移動受信用アンテナである旨の識別結果を受け、かつ、有効階層判定部50から弱階層(フルセグ放送)が無効であって強階層(ワンセグ放送)のみが有効である旨の判定結果を受けた場合、その時点で選局されているチャンネルが有効であると判定する。このような有効チャンネル判定により、フルセグ放送の受信は不可能であるもののワンセグ放送の受信が可能なチャンネルについては、これをチューナ部20での選局候補に組み入れることが可能となる。なお、アンテナ部10が移動受信用アンテナである場合には、モニタ2としてモバイル用途向けの小型モニタが接続されていると想定されるので、品質の乏しいワンセグ放送であっても画質の粗さは目立ちにくい。
【0044】
これに対して、有効チャンネル判定部80は、アンテナ識別部60からアンテナ部10が固定受信用アンテナである旨の識別結果を受け、かつ、有効階層判定部50から弱階層(フルセグ放送)が無効であって強階層(ワンセグ放送)のみが有効である旨の判定結果を受けた場合、その時点で選局されているチャンネルが無効であると判定する。アンテナ部10が固定受信用アンテナである場合には、モニタ2として固定用途向けの大型モニタが接続されていると想定されるが、上記の有効チャンネル判定によれば、大型モニタでの視聴に不向きなワンセグ放送しか受信できないチャンネルをチューナ部20での選局候補から除外することが可能となる。
【0045】
<第3実施形態>
図5は、デジタル放送波受信装置の第3実施形態を示す図である。第3実施形態は、先出の第2実施形態とほぼ同様の構成から成り、アンテナ識別部60の識別結果を選局制御部100にも入力する点に特徴を有する。そこで、第2実施形態と同様の構成要素については、図3と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第3実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
【0046】
選局制御部100は、記憶部90の記憶内容(有効チャンネル判定部80の判定結果)と共にアンテナ識別部60の識別結果の入力を受けており、アンテナ識別部60から現在使用されているアンテナ部10が固定受信用アンテナである旨の識別結果を受けている場合には、記憶部90に記憶された有効チャンネルのうち、弱階層(フルセグ放送)が無効であって強階層(ワンセグ放送)が有効であるチャンネルを選局対象外とするようにチューナ部20を制御する。
【0047】
このような構成とすることにより、アンテナ部10として移動受信用アンテナが使用されていたときに有効と判定されたチャンネルのうち、ワンセグ放送しか受信することができないチャンネルは、その後、アンテナ部10として固定受信用アンテナが使用されるようになったとき、チューナ部20での選局候補から除外される。従って、使用されるアンテナ部10が変更された場合でも、最適なチャンネルを選局候補とすることができる。
【0048】
<その他の変形例>
なお、上記の実施形態では、日本国内のデジタル放送波を受信するデジタル放送波受信装置に本発明を適用した構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、複数の階層が同一のチャンネルで伝送されるデジタル放送波を受信するデジタル放送波受信装置全般に広く適用することができる。
【0049】
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、例えば、日本国内のデジタル放送波を受信するデジタル放送波受信装置においてフルセグ放送とワンセグ放送を適切に切り替えるために利用することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 デジタル放送波受信装置
2 モニタ
10 アンテナ部
11 アンテナ素子
12 増幅器
13 識別信号出力部
20 チューナ部
30 復調部
40 デコード部
50 有効階層判定部
60 アンテナ識別部
70 デコード制御部
80 有効チャンネル判定部
90 記憶部
100 選局制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一チャンネルにエラー耐性の弱い弱階層とエラー耐性の強い強階層とを含むデジタル放送波を受信して受信信号を出力するアンテナ部と、
前記受信信号から選局チャンネルの周波数帯域信号を抽出して中間周波数信号に変換するチューナ部と、
前記中間周波数信号をデジタル復調して復調信号を生成する復調部と、
前記復調信号をデコードするデコード部と、
前記復調信号の品質に応じて階層毎の有効/無効を判定する有効階層判定部と、
前記アンテナ部が第1用途アンテナであるか第2用途アンテナであるかを識別するアンテナ識別部と、
前記有効階層判定部の判定結果と前記アンテナ識別部の識別結果に基づいてデコード対象となる階層を設定するように前記デコード部を制御するデコード制御部と、
を有することを特徴とするデジタル放送波受信装置。
【請求項2】
前記アンテナ部は、自身が第1用途アンテナであるか第2用途アンテナであるかを示す識別信号を出力する識別信号出力部を含み、
前記アンテナ識別部は、前記識別信号に基づいて前記アンテナ部を識別することを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送波受信装置。
【請求項3】
前記デコード制御部は、前記アンテナ識別部から前記アンテナ部が第1用途アンテナである旨の識別結果を受け、かつ、前記有効階層判定部から弱階層が無効であって強階層が有効である旨の判定結果を受けた場合に、全ての階層をデコード対象外とするように前記デコード部を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデジタル放送波受信装置。
【請求項4】
前記有効階層判定部の判定結果と前記アンテナ識別部の識別結果に基づいてチャンネル毎の有効/無効を判定する有効チャンネル判定部と、
前記有効チャンネル判定部の判定結果を記憶する記憶部と、
前記記憶部の記憶内容に基づいて有効チャンネルのみを選局対象とするように前記チューナ部を制御する選局制御部と、
をさらに有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のデジタル放送波受信装置。
【請求項5】
前記有効チャンネル判定部は、前記アンテナ識別部から前記アンテナ部が第1用途アンテナである旨の識別結果を受け、かつ、前記有効階層判定部から弱階層が無効であって強階層が有効である旨の判定結果を受けた場合に、その時点で選局されているチャンネルが無効であると判定することを特徴とする請求項4に記載のデジタル放送波受信装置。
【請求項6】
前記選局制御部は、前記記憶部の記憶内容と共に前記アンテナ識別部の識別結果の入力を受けており、前記アンテナ識別部から前記アンテナ部が第1用途アンテナである旨の識別結果を受けている場合には、前記記憶部に記憶された有効チャンネルのうち、弱階層が無効であって強階層が有効であるチャンネルを選局対象外とするように前記チューナ部を制御することを特徴とする請求項4または請求項5に記載のデジタル放送波受信装置。
【請求項7】
前記第1用途アンテナは固定受信用であり、前記第2用途アンテナは移動受信用であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のデジタル放送波受信装置。
【請求項8】
前記弱階層はフルセグ放送に使用され、前記強階層はワンセグ放送に使用されることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のデジタル放送波受信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−256995(P2012−256995A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127857(P2011−127857)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】