説明

デジタル映像信号送信装置、受信装置およびシステム

【課題】デジタル映像信号の同期信号にデータ化けが発生した場合であっても受信側で正常な画像を得ることを可能ならしめるデジタル映像信号送信装置及び受信装置を実現する。
【解決手段】電子内視鏡装置10は、デジタル映像信号送信装置であるスコープ20と受信装置であるプロセッサ70とを有する。スコープ20は、デジタル映像信号Iを生成し、デジタル映像信号Iのブランキング信号中に同期信号を予告する複数の同期予告信号を重畳して重畳映像信号Dataを送信する。プロセッサ70は、重畳映像信号Dataを受信してデジタル映像信号Iを得ると共に、重畳映像信号Dataに重畳されている同期予告信号から同期信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子内視鏡装置に設けられて、デジタル化された映像信号を送受信する送信装置、受信装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子内視鏡装置は、撮像素子等を含むスコープと、撮像素子を駆動するための制御信号を生成し、撮像素子により生成された映像信号を処理するプロセッサとを有する。そして、近年、スコープ側の撮像素子によって生成された映像信号をデジタル化してパラレル又はシリアルデータとして信号線等の伝送路を介してプロセッサ側の信号処理回路に送信する電子内視鏡装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
デジタル映像信号を伝送する場合には、画像の同期をとるためにデジタル映像信号の水平ブランキング期間内および垂直ブランキング期間内に水平同期信号および垂直同期信号を表すデータがデジタル映像信号に重畳されて伝送される(例えば特許文献2)。
【特許文献1】特開2005−185305号公報
【特許文献2】特開2004−305373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デジタル映像信号を伝送する場合には、特許文献2のように、デジタル映像信号に重畳して同期信号(水平同期信号および垂直同期信号)を表すデータを伝送することにより、送信側と受信側とで画像の同期をとることが可能となる。しかしながら、同期信号を表すデータ自身が外部からのノイズ等の影響によりデータ化けした場合には、画像の同期がとれなくなり、受信側で正常な画像を得ることができなくなる。
【0005】
そこで本発明は、デジタル映像信号の同期信号にデータ化けが発生した場合であっても受信側で正常な画像を得ることを可能ならしめることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1の発明のデジタル映像信号送信装置は、有効画素領域の画素データで構成される有効画素信号とブランキング領域の画素データで構成されるブランキング信号とからなるデジタル映像信号を供給するデジタル映像信号供給手段と、デジタル映像信号に同期した同期信号を出力する同期信号出力手段と、デジタル映像信号と同期信号とに基づいてブランキング信号に同期信号のタイミングを予告する複数の同期予告信号を重畳して重畳映像信号を生成する信号生成手段とを備えることを特徴とする。このような構成により、データ化けが発生した場合であっても同期信号を確実に検出可能なデジタル映像信号を送信することが可能となる。
【0007】
また、同期予告信号のそれぞれは有効画素領域より2画素以上先行する先頭画素からブランキング領域の最終画素までの各画素に対応し、同期予告信号のそれぞれが各画素と最終画素との位置関係を表す画素データであることが好ましい。さらに、同期予告信号は先頭画素から最終画素まで順に減少する画素データであることが好ましい。また、同期信号を構成する画素データは複数ビットよりなるバイナリデータであり、最終画素に対応する同期予告信号は少なくとも最下位ビットが0であるバイナリデータであることが好ましい。このような構成により、単純な構成で同期信号の検出が可能なデジタル映像信号を送信することが可能となる。
【0008】
また、デジタル映像信号を同期信号に対して所定の画素に応じた時間分遅延させる遅延手段をさらに有し、信号生成手段が、所定の画素に同期予告信号を重畳することが好ましい。このような構成により、簡単な構成で信頼性の高い同期信号の検出が可能なデジタル映像信号を送信することが可能となる。
【0009】
また、同期信号は水平同期信号と垂直同期信号であり、水平同期信号に対応する同期予告信号と垂直同期信号に対応する同期予告信号とが異なる信号であることが好ましい。このような構成により、水平同期信号と垂直同期信号を分離して検出することが可能となる。
【0010】
また、重畳映像信号をDCフリー符号に符号化して重畳符号化信号を生成する符号化手段と、重畳符号化信号をシリアルデータに変換して出力する出力手段とをさらに備えることが好ましい。このような構成により、ノイズの発生を抑制でき、信号線の本数を削減できる。
【0011】
また、信号生成手段が、さらに同期信号に基づいて同期パルスを生成し、ブランキング信号の期間内にブランクパルスを生成し、符号化手段が、さらに同期パルスとブランクパルスをDCフリー符号に符号化して重畳符号化信号に重畳することが好ましい。例えば、DCフリー符号が8B/10B符号であることが好ましい。このような構成により、同期信号の検出が容易になる。
【0012】
本願の第2の発明のデジタル映像信号受信装置は、デジタル映像信号送信装置の重畳映像信号を受信するデジタル映像信号受信装置であって、重畳映像信号から同期予告信号を検出する予告信号検出手段と、予告信号検出手段によって最初に検出した同期予告信号から後続する同期予告信号を予測して予測同期予告信号を生成する予測同期予告信号生成手段と、予測同期予告信号に基づいて同期信号を生成する同期信号生成手段と、予測同期予告信号と同期予告信号とを比較して一致回数をカウントする一致回数計数手段とを備え、一致回数が2以上の場合に同期信号生成手段に基づいて同期信号を出力することを特徴とする。このような構成により、データ化けが発生した場合であっても受信したデジタル映像信号から同期信号を確実に検出することが可能となる。
【0013】
また、重畳映像信号がDCフリー符号に符号化されて重畳符号化信号が生成され、重畳符号化信号がさらにシリアルデータに変換されて送信されてくる場合には、シリアルデータをパラレルデータに変換して重畳符号化信号を受信する受信手段と、受信手段で受信した重畳符号化信号を復号化して重畳映像信号を出力する復号化手段とを備えることが好ましい。このような構成により、ノイズの発生を抑制でき、信号線の本数を削減できる。
【0014】
本願の第3の発明のデジタル映像伝送システムは、有効画素領域の画素データで構成される有効画素信号とブランキング領域の画素データで構成されるブランキング信号とからなるデジタル映像信号を供給するデジタル映像信号供給手段と、デジタル映像信号に同期した同期信号を出力する同期信号出力手段と、デジタル映像信号と同期信号とに基づいてブランキング信号に同期信号のタイミングを予告する複数の同期予告信号を重畳して重畳映像信号を生成する信号生成手段とを備えるデジタル映像信号送信装置と、さらに重畳映像信号から同期予告信号を検出する予告信号検出手段と、予告信号検出手段によって最初に検出した同期予告信号から後続する同期予告信号を予測して予測同期予告信号を生成する予測同期予告信号生成手段と、予測同期予告信号に基づいて同期信号を生成する同期信号生成手段と、予測同期予告信号と同期予告信号とを比較して一致回数をカウントする一致回数計数手段とを備え、一致回数が2以上の場合に同期信号生成手段に基づいて同期信号を出力することを特徴とするデジタル映像信号受信装置とを備えたことを特徴とする。このような構成により、同期信号を確実に検出可能なデジタル映像信号を送信し、データ化けが発生した場合であっても受信したデジタル映像信号から同期信号を確実に検出することが可能となる。
【0015】
また、デジタル映像信号送信装置が、さらに重畳映像信号をDCフリー符号に符号化して重畳符号化信号を生成する符号化手段と、重畳符号化信号をシリアルデータに変換して出力する出力手段とを備え、デジタル映像受信装置が、さらにシリアルデータをパラレルデータに変換して重畳符号化信号を受信する受信手段と、受信手段で受信した重畳符号化信号を復号化して重畳映像信号を出力する復号化手段とを備えることが好ましい。このような構成により、ノイズの発生を抑制でき、信号線の本数を削減できる。
【0016】
本願の第4の発明のデジタル映像信号の送信方法は、有効画素領域の画素データで構成される有効画素信号とブランキング領域の画素データで構成されるブランキング信号とからなるデジタル映像信号を出力するデジタル映像信号出力ステップと、デジタル映像信号に同期した同期信号を出力する同期信号出力ステップと、デジタル映像信号と同期信号に基づいてブランキング信号に同期信号のタイミングを予告する複数の同期予告信号を重畳して重畳映像信号を生成する信号生成ステップとを備えることを特徴とする。このような方法により、データ化けが発生した場合であっても同期信号を確実に検出可能なデジタル映像信号を送信することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、デジタル映像信号の同期信号にデータ化けが発生した場合であっても、受信側で正常な画像を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、デジタル映像信号送信装置及び受信装置を有する電子内視鏡装置のブロック図である。
【0019】
電子内視鏡装置10は、スコープ20とプロセッサ70とを有する。スコープ20は、被験者の体内に挿入される挿入部とユニバーサルコード部20Tを有し、挿入部の先端部であるスコープ先端部20Eとプロセッサ70は、ユニバーサルコード部20Tを介して電気的及び光学的に接続される。
【0020】
プロセッサ70には、シリアル/パラレル変換回路74、10B/8B変換回路80、クロック回路71、制御回路76、画像処理回路75、メモリ73、出力回路77、光源72が設けられている。
【0021】
スコープ先端部20Eには、対物レンズ26、CMOS(撮像素子)28、A/Dコンバータ30、タイミングジェネレータ32、8B/10B変換回路40、パラレル/シリアル変換回路34、拡散レンズ22が設けられている。
【0022】
光源72は照明光Lを出射し、照明光Lはスコープ20に設けられたガイドファイバ24を介してスコープ先端部20Eに伝達され、拡散レンズ22によって拡散照射される。被観察体(不図示)は、スコープ先端部20Eから出射された照明光Lにより照明され、被観察体で反射した照明光Lは、スコープ先端部20Eに入射する。そして、スコープ先端部20Eに入射した照明光Lの反射光は、対物レンズ26によってCMOS28上に結像される。
【0023】
CMOS28は、後述するタイミングジェネレータ32から入力される垂直同期信号VsとクロックパルスCLKに基づいて映像信号を生成し、A/Dコンバータ30にアナログ映像信号を出力する。ここで、垂直同期信号VsはCMOS28の撮像開始のタイミングを表す信号であり、クロックパルスCLKはCMOS28の1画素に対応する信号である。すなわち、CMOS28に垂直同期信号28が入力され、クロックパルスCLKが入力されると、CMOS28上に構成される1画面分の画素から各画素データがクロックパルスCLKに応じて順に出力される。
【0024】
A/Dコンバータ30は、アナログ映像信号をタイミングジェネレータ32から入力されるクロックパルスCLKに基づいて8ビットのパラレルデータであるデジタル映像信号Iに変換し、8B/10B変換回路40に出力する。すなわち、CMOS28とA/Dコンバータ30によって、デジタル映像信号供給手段が構成される。
【0025】
8B/10B変換回路40は、後述するように、タイミングジェネレータ32から入力される垂直同期信号Vs、水平同期信号Hs及びクロック回路71から入力されるクロックパルスCLKに基づいてデジタル映像信号Iに同期予告信号及び同期信号に関する情報を重畳し、10ビットのパラレルデータであるデジタル映像信号に符号化した上で(重畳符号化信号D10)、パラレル/シリアル変換回路34に出力する。ここで、水平同期信号Hsは、CMOS28の水平方向1ラインの走査開始のタイミングを表す同期信号である。
【0026】
パラレル/シリアル変換回路34は、クロック回路71から入力されるクロックパルスCLKに基づいて重畳符号化信号D10をシリアルデータに変換し、伝送路20Tを介してプロセッサ70のパラレル/シリアル変換回路74に出力する。すなわち、本実施形態においては、スコープ先端部20Eがデジタル映像信号送信装置として機能する。なお、パラレル/シリアル変換回路34にはクロックパルスCLKの周波数を10倍に逓倍する周波数逓倍回路が含まれており、この周波数逓倍回路によって10ビット分のシリアルデータがクロックパルスCLKの1周期分に相当するように変換される。従って、シリアルデータに変換されても送信される10ビットの重畳符号化信号の単位時間当たりの信号量は変化しない。
【0027】
タイミングジェネレータ32(同期信号出力手段)は、制御回路76からの制御信号とクロック回路71からのクロックパルスCLKとから垂直同期信号Vs及び水平同期信号Hsを生成する。そして、垂直同期信号VsをCMOS28と8B/10B変換回路40に出力し、水平同期信号Hsを8B/10B変換回路40に出力し、クロックパルスCLKをCMOS28及びA/Dコンバータ30に出力する。
【0028】
シリアル/パラレル変換回路74は、伝送路20Tを介して入力される10ビットのシリアルデータをクロック回路71から入力されるクロックパルスCLKに基づいて10ビットのパラレルデータに変換して、重畳符号化信号D10を10B/8B変換回路80に出力する。
【0029】
10B/8B変換回路80は、後述するように、クロック回路71から入力されるクロックパルスCLKに基づいて重畳符号化信号D10を復号し、デジタル映像信号Iに同期予告信号が重畳された重畳映像信号Data、垂直同期信号Vsync´及び水平同期信号Hsync´を生成し、画像処理回路75に出力する。
【0030】
画像処理回路75は、制御回路76からの指示と10B/8B変換回路80から入力される垂直同期信号Vsync´及び水平同期信号Hsync´に基づいて、重畳映像信号Dataに重畳されている同期予告信号を削除してデジタル映像信号Iを抽出し、デジタル映像信号Iをメモリ73に格納する。メモリ73に格納されたデジタル映像信号Iは、画像処理回路75によって、さらにホワイトバランスやγ補正等の処理が施され、出力回路77に出力される。
【0031】
出力回路77は、入力されるデジタル映像信号Iをアナログ信号に変換し、一般的なビデオ信号に変換した上でプロセッサ70に接続されるモニタ(不図示)に出力する。
【0032】
以上のように、本実施形態においては、プロセッサ70はデジタル映像信号送信装置として機能する。
【0033】
図2は、本実施形態におけるCMOS28の画素及びクロックパルスCLKと垂直同期信号Vs及び水平同期信号Hsとの関係を説明するための概念図である。図2の点線で囲まれる部分がCMOS28の有効画素領域の画素データを示し、実線で示す長方形の部分がCMOS28の1画面分の画素データを示している。
【0034】
CMOS28上の結像面は2次元に配置された複数の画素で構成される。具体的には、水平方向の1ライン(1走査線)については、結像面の左端から右側に配置される640画素の水平有効画素領域の画素、20画素のオプティカルブラックの画素より構成され、垂直方向については、結像面の上端から下側に480画素の垂直有効画素領域の画素より構成される。水平有効画素領域であり、且つ垂直有効画素領域である部分の画素(図2の点線で囲まれる部分)が被観察体を撮像するために有効な画素であり、オプティカルブラックの画素(図2の斜線部)は遮光されて基準の黒信号を生成するための画素として用いられる。
【0035】
CMOS28は、垂直同期信号Vsの立ち上がりエッジ(LowからHighの遷移)を検出すると、入力されるクロックパルスCLKに応じて結像面左上の画素から右方向に隣接する画素データ(輝度値)を順に出力する。そして、水平有効画素領域の画素データ(映像データ)及びオプティカルブラックの画素データを出力後、水平ブランキング期間として150画素に相当するクロックパルスCLKをカウントし、第1ラインの画素データの出力が終了する。すなわち、810パルス分のクロックパルスCLKの入力により1ライン分の画素データの出力が終了する。そして、811パルス目のクロックパルスCLKによって第2ラインの画素データの出力が開始され、以降第1ラインと同様に第2ラインの画素データが出力される。さらに、第3ラインから第480ラインについても第1及び第2ラインと同様に各画素データが順に出力される。
【0036】
第481ラインから第1000ラインは垂直ブランキング期間であり、当該期間の経過により1画面分の画素データの出力が終了する。すなわち、1画面分の画素データは、1000ライン分の画素データにより構成される。
【0037】
水平同期信号Hsは、タイミングジェネレータ32によって生成される信号であって、CMOS28の水平有効画素領域とオプティカルブラック及び水平ブランキング領域を識別し、各ラインの開始を表す信号である。具体的には、水平同期信号Hsは、CMOS28の各ラインにおいて水平有効画素領域の画素のデータを出力している時にはHighであり、640画素の出力が終了した時にHighからLowに切り替わる。そして、水平同期信号Hsは、水平ブランキング領域の画素のデータを出力している間はLowであり、次のラインの画素の出力を開始するタイミングでLowからHighに切り替わる。
【0038】
垂直同期信号Vsは、タイミングジェネレータ32によって生成される信号であって、CMOS28垂直有効画素領域と垂直ブランキング領域を識別し、1画面の開始を表す信号である。具体的には、垂直同期信号Vsは、1画面において垂直有効画素領域の画素のデータを出力している時にはHighであり、480画素の出力が終了した時にHighからLowに切り替わる。そして、垂直同期信号Vsは、垂直ブランキング領域の画素のデータを出力している間はLowであり、次の画面の画素の出力を開始するタイミングでLowからHighに切り替わる。
【0039】
図3は、本実施形態における8B/10B変換回路40の内部構成を示すブロック図であり、図4は、図3の各ブロックの機能を説明するためのタイミングチャートである。図4の各信号のうちパラレルの信号は六角形の連続で示し、各パラレルデータは六角形で囲まれる領域にそれぞれ示している。なお、図3と図4において、対応する信号には同一の符号を付している。
【0040】
8B/10B変換回路40には、第1遅延回路41、第2遅延回路42、第3遅延回路43、第1カウンタ44、第2カウンタ48、第3カウンタ50、ゼロ検出回路46、ゲート回路51、セレクタ回路55、8B/10B符号器60が設けられている。
【0041】
A/Dコンバータ30から入力されるデジタル映像信号Iは、第1遅延回路41を介して所定の画素数に応じた時間分遅延され、遅延されたデジタル映像信号I´がセレクタ回路55のS1端子に入力される。本実施形態では、デジタル映像信号Iは、A/Dコンバータ30の遅延によって3画素に相当する遅延(遅延A)が発生しており、さらに第1遅延回路41によって3画素に相当する遅延(遅延B)があるものとして説明する。すなわち、遅延されたデジタル映像信号I´は、垂直同期信号Vsと水平同期信号Hsから6画素に相当する時間だけ遅延している。
【0042】
タイミングジェネレータ32から入力される垂直同期信号Vsは、第3カウンタ50と第2遅延回路42に入力される。第3カウンタは所定の値からダウンカウントするカウンタであり、本実施形態では垂直同期信号Vsの立ち上がりを検出するとクロックパルスCLKに応じて「133」から「128」まで順にダウンカウントする。そして、第3カウンタ50のカウント値C3はセレクタ回路55のS2端子に出力される。また、カウント値C3が「128」になった場合には、第3カウンタ50は垂直同期パルスVsyncを8B/10B符号器60に出力すると共にダウンカウントを停止する。すなわち、カウント値C3は垂直同期パルスVsyncのタイミングを予告するように機能する同期予告信号である。
【0043】
第2遅延回路42は、垂直同期信号Vsを所定の画素数に応じた時間だけ遅延させ、遅延された垂直同期信号Vs´がゲート回路51に入力される。本実施形態では、第2遅延回路42によって6画素に相当する遅延があるものとして説明する。すなわち、遅延された垂直同期信号Vs´の立ち上がりエッジは、遅延されたデジタル映像信号I´の出力開始タイミングと一致する。
【0044】
タイミングジェネレータ32から入力される水平同期信号Hsは、第1カウンタ44と第3遅延回路43に入力される。第1カウンタは所定の値からダウンカウントするカウンタであり、本実施形態では水平同期信号Hsの立ち上がりを検出するとクロックパルスCLKに応じて「5」から「0」まで順にダウンカウントする。そして、第1カウンタ44のカウント値C1はセレクタ回路55のS3端子とゼロ検出回路46に出力される。また、カウント値C1が「0」になった場合には、第1カウンタ44は水平同期パルスHsyncを8B/10B符号器60に出力すると共にダウンカウントを停止する。カウント値C1は水平同期パルスHsyncのタイミングを予告するように機能する同期予告信号である。
【0045】
ゼロ検出回路46は、カウント値C1が「0」か否かを判断する回路であり、ゼロ検出回路46の出力は第2カウンタ48に入力される。第2カウンタ48は、所定の値からダウンカウントを繰り返すリングカウンタであり、後述する制御信号SEL3によりカウントを開始し、カウント値C1が「0」の間所定の値からダウンカウントを繰り返す。本実施形態では、カウント値C1が「0」の間、第2カウンタ48は「3」から「0」までのダウンカウントを繰り返し、さらにカウント値C1が「0」の時、ブランキングパルスBlankを8B/10B符号器60に出力する。また、カウント値C1が「0」でない場合、第2カウンタ48はカウントを停止する。
【0046】
第3遅延回路43は、水平同期信号Hsを所定の画素数に応じた時間だけ遅延させ、遅延された水平同期信号Hs´がゲート回路51に入力される。本実施形態では、第3遅延回路43によって6画素に相当する遅延があるものとして説明する。すなわち、遅延された水平同期信号Hs´の立ち上がりエッジは、遅延されたデジタル映像信号I´の出力の開始タイミングと一致する。
【0047】
ゲート回路51は、遅延された垂直同期信号Vs´と遅延された水平同期信号Hs´が入力されセレクタ回路55に切換信号を出力する2入力3出力の論理回路である。具体的には、垂直同期信号Vs´と水平同期信号Hs´が共にHighの信号であるとき、S1端子の信号を選択するための制御信号SEL1をセレクタ55に出力し、垂直同期信号Vs´と水平同期信号Hs´が共にLowの信号であるとき、S2端子の信号を選択するための制御信号SEL2をセレクタ55に出力し、垂直同期信号Vs´がHighであり水平同期信号Hs´がLowのとき、S3端子の信号を選択するための制御信号SEL3をセレクタ55に出力する。
【0048】
セレクタ回路55は、ゲート回路51から入力される制御信号に応じてS1端子、S2端子又はS3端子に入力される信号を切り替えて8B/10B符号器60に出力する。すなわち、垂直同期信号Vs´と水平同期信号Hs´が共にHighの信号であるときはデジタル映像信号I´を出力し、垂直同期信号Vs´と水平同期信号Hs´が共にLowの信号であるときはカウント値C3を出力し、垂直同期信号Vs´がHighであり水平同期信号Hs´がLowのときはカウント値C1を出力する。従って、セレクタ回路55の出力は、デジタル映像信号I´に垂直同期パルスVsyncのタイミングを予告する同期予告信号(カウント値C3)と水平同期パルスHsyncのタイミングを予告する同期予告信号(カウント値C1)とが重畳された重畳映像信号Dataとなる(図4)。
【0049】
なお、本実施形態においては、上述のように垂直同期パルスVsyncの同期予告信号として「133」から「128」の値、すなわち2進表記すると「1000 0101」から「1000 0000」の値が割り当てられ、水平同期パルスHsyncの同期予告信号として「5」から「0」の値、すなわち2進表記すると「0000 0101」から「0000 0000」の値が割り当てられる。従って、重畳映像信号Dataに重畳された同期予告信号は、最上位ビット(MSB)の値によって垂直同期パルスVsyncの同期予告信号と水平同期パルスHsync用の同期予告信号とを識別可能である。換言すると、同期予告信号の最上位ビットは同期予告信号の識別符号であり、下位7ビットが同期予告信号の信号値として構成されている。
【0050】
8B/10B符号器60は、入力される重畳映像信号Data、垂直同期パルスVsync、水平同期パルスHsync及びブランキングパルスBlankを8B/10B符号に符号化し、重畳符号化信号D10をパラレル/シリアル変換回路34に出力する。
【0051】
8B/10B符号は、Highの信号とLowの信号の発生頻度がほぼ等しくなる所謂DCフリー符号の一種であり、耐ノイズ性を向上させる目的から特にシリアルデータの通信技術において用いられている(例えば、特表2005−513823)。また、8B/10B符号を伝送する場合に、送信機と受信機間との同期をとるために8B/10B符号の特殊文字コード(コンマ符号)が用いられている(例えば、特開平5−284151)。
【0052】
図5は、本実施形態における8B/10B変換回路40で用いられる変換テーブルの一例であり、図5(A)は重畳映像信号Dataを10ビットのデータに変換するためのデータテーブルの例、図5(B)は垂直同期パルスVsync、水平同期パルスHsync及びブランキングパルスBlank等を10ビットのデータに変換するための特殊符号テーブルの例である。
【0053】
データテーブルの「Name」はデータ名を示し、「8ビットデータ」は入力される重畳映像信号Dataを示し、「RD−」は10ビットに変換後の第1データを示し、「RD+」は10ビットに変換後の第2データを示している。「8ビットデータ」には「00h」(16進表記)から「FFh」までの255種類のデータが示されており、各8ビットのデータに対応する第1データ及び第2データが割り振られている。ここで、第1データは10ビットのデータを構成する「1」と「0」の個数の差が等しいか、又は「1」が「0」よりも1つ多い関係にある重複しない一意のデータである。また、第2データは10ビットのデータを構成する「1」と「0」の個数の差が等しいか、又は「1」が「0」よりも1つ少ない関係にある重複しない一意のデータである。そして、第1データと第2データは、全体として「1」の個数と「0」の個数がほぼ等しいDCフリー符号となるように選択されて、どちらか一方が出力される。
【0054】
特殊符号テーブルの「Name」は特殊符号名を示し、「RD−」は10ビットに変換後の第1データを示し、「RD+」は10ビットに変換後の第2データを示している。そして、各特殊符号に対応する第1データ及び第2データが割り振られている。なお、データテーブルと同様、第1データは10ビットのデータを構成する「1」と「0」の個数の差が等しいか、又は「1」が「0」よりも1つ多い関係にある重複しない一意のデータであり、第2データは10ビットのデータを構成する「1」と「0」の個数の差が等しいか、又は「1」が「0」よりも1つ少ない関係にある重複しない一意のデータである。そして、第1データと第2データは、全体として「1」の個数と「0」の個数がほぼ等しいDCフリー符号となるように選択されて、どちらか一方が出力される。なお、本実施形態においては、垂直同期パルスVsyncに対して特殊符号K28.7が割り当てられ、水平同期パルスHsyncに対しては特殊符号K28.5が割り当てられ、ブランキングパルスBlankに対しては特殊符号K28.1が割り当てられている。なお、特殊符号の割り当ては一例であり、各パルスに対して他の特殊符号を割り当てても良い。
【0055】
8B/10B符号器60は、入力される重畳映像信号Dataをデータテーブルにしたがって符号化し、垂直同期パルスVsync、水平同期パルスHsync及びブランキングパルスBlankが入力された場合には特殊符号テーブルにしたがって符号化する。具体的には、入力される重畳映像信号Dataの値をデータテーブルの「8ビットデータ」の中から検索し対応する第1データ又は第2データを求め、どちらか一方を出力する。また、垂直同期パルスVsync、水平同期パルスHsync又はブランキングパルスBlankが入力された場合には、特殊符号テーブルのK28.7、K28.5又はK28.1に対応する第1データ又は第2データを求め、重畳映像信号Dataに優先させてどちらか一方を出力する。すなわち、符号化された一連のデータは、重畳映像信号Dataの符号化データに垂直同期パルスVsync、水平同期パルスHsync及びブランキングパルスBlankの符号化データが重畳された重畳符号化信号D10(図4)となる。そして、8B/10B符号器60は、重畳符号化信号D10をパラレル/シリアル変換回路34に出力する。
【0056】
図1を参照すると、パラレル/シリアル変換回路34は、重畳符号化信号D10をシリアルデータに変換し、伝送路20Tを介してプロセッサ70のシリアル/パラレル変換回路74に出力する。そして、シリアル/パラレル変換回路74は、伝送路20Tを介して受信したシリアルデータをパラレルの重畳符号化信号D10に変換し、10B/8B変換回路80に出力する。
【0057】
図6は、本実施形態における10B/8B変換回路80の内部構成を示すブロック図である。
【0058】
10B/8B変換回路80には、10B/8B復号器81、デジタルコンパレータ82、パルスカウンタ83、ゲート84、ゲート85、デジタルコンパレータ86、カウンタ87、ゲート88、デジタルコンパレータ89、セット/リセット回路90、ゲート91が設けられている。
【0059】
10B/8B復号器81は、入力される10ビットの8B/10B符号(重畳符号化信号D10)を復号し、重畳映像信号Data、垂直同期パルスVsync、水平同期パルスHsync及びブランキングパルスBlankを出力する。具体的には、10B/8B復号器81は図5に示されるデータテーブル及び特殊符号テーブルを備えており、入力される第1データ又は第2データに応じて「8ビットデータ」又は「特殊符号」を求め、「8ビットデータ」である場合には該当する8ビットのデータを重畳映像信号Dataとして出力し、「特殊符号」である場合には対応する垂直同期パルスVsync、水平同期パルスHsync又はブランキングパルスBlank等をそれぞれ出力する。
【0060】
デジタルコンパレータ82には、10B/8B復号器81より出力される重畳映像信号DataとブランキングパルスBlankが入力される。デジタルコンパレータ82は、ブランキングパルスBlankが入力されると、重畳映像信号Dataに重畳されている同期予告信号の信号値(図4参照)、すなわち同期予告信号の最上位ビットを除く下位7ビットで表される値が「1」〜「5」の範囲にあるか否かの判断を開始し、「1」〜「5」の範囲にある場合には、パルスカウンタ83に信号を出力し、パルスカウンタ83のカウント機能を有効にする。つまり、デジタルコンパレータ82は重畳映像信号Dataに重畳されている同期予告信号を検出する予告信号検出手段として機能する。
【0061】
パルスカウンタ83は、クロックパルスCLK(図1参照)の入力にしたがってダウンカウントするカウンタであり、デジタルコンパレータ82からの信号を受信すると、その時の重畳映像信号Dataに重畳されている同期予告信号の信号値(図4参照)、すなわち同期予告信号の最上位ビットを除く下位7ビットで表される値を読み込み、ダウンカウントを開始する。例えば、デジタルコンパレータ82が同期予告信号の信号値「4」を検出した場合、パルスカウンタ83のカウント値には「4」がセットされ、その後はクロックパルスCLKの入力に応じて「3」、「2」、「1」、「0」とダウンカウントされる。また、パルスカウンタ83は、カウント値をデジタルコンパレータ86に出力すると共に、カウント値が「0」になった場合にゲート88とセット/リセット回路90に対してパルス信号(同期信号)を出力する。すなわち、パルスカウンタ83は、デジタルコンパレータ82によって最初に検出された同期予告信号から後続する同期予告信号を予測する(予測同期予告信号生成手段)と共に、同期信号を生成する同期信号生成手段として機能する。
【0062】
ゲート84は、垂直同期パルスVsyncと水平同期パルスHsyncを検出する回路であり、垂直同期パルスVsyncまたは水平同期パルスHsyncが入力された時にゲート85に対してLowの信号を出力する。
【0063】
ゲート85は、所謂スイッチ回路で、ゲート84からの信号に基づき出力の切換を行なう。具体的には、ゲート84からの信号がLowの時(垂直同期パルスVsyncまたは水平同期パルスHsyncが入力された時)、デジタルコンパレータ86に対して8ビットのデータ「0000 0000」(00h)を出力し、ゲート84からの信号がHighの時(垂直同期パルスVsyncまたは水平同期パルスHsyncが入力されていない時)、重畳映像信号Dataに重畳されている同期予告信号の信号値(図4参照)、すなわち同期予告信号の最上位ビットを除く下位7ビットで表される値を出力する。つまり、垂直同期パルスVsyncまたは水平同期パルスHsyncが入力されていない時、ゲート85の出力は同期予告信号の信号値と等しい出力となり、垂直同期パルスVsyncまたは水平同期パルスHsyncが入力された時、ゲート85の出力はパルスカウンタ83のカウント値(00h)と一致することとなる。
【0064】
デジタルコンパレータ86は、ゲート85の出力(同期予告信号の信号値又は00h)とパルスカウンタ83のカウント値(予測同期予告信号)とを比較し、一致した場合にはパルス信号をカウンタ87に出力する。カウンタ87は初期値が2のダウンカウンタであり、デジタルコンパレータ86から出力されるパルス信号の入力によりダウンカウントを行なう。そして、カウント値が「0」になった場合にカウンタ87はゲート88に対してLowを出力する。すなわち、デジタルコンパレータ86は予測同期予告信号と重畳映像信号Dataに重畳されている同期予告信号の信号値とを比較し、両者が一致する場合にカウンタ87のカウント値をディクリメントすることとなり、カウンタ87は両者が一致する回数をカウントする一致回数計数手段として機能する。なお、ゲート85は、垂直同期パルスVsyncまたは水平同期パルスHsyncが入力された時、パルスカウンタ83のカウント値(予測同期予告信号)と一致する「00h」を出力するので、垂直同期パルスVsyncまたは水平同期パルスHsyncが入力された場合には、カウンタ87によって1カウントが計数される。
【0065】
ゲート88は、カウンタ87の出力とパルスカウンタ83の出力が入力され、カウンタ87の出力がLowの場合にパルスカウンタ83の出力が出力される。すなわち、予測同期予告信号と同期予告信号の信号値とが2回以上一致した場合に、パルスカウンタ83の出力が許可され、水平同期信号Hsync´が出力される。
【0066】
本実施形態においては、「0」から「5」までの信号値を有する6つの同期予告信号が重畳映像信号Dataに重畳されている(図4参照)。従って、例えば、信号値「5」と「3」の同期予告信号以外、すなわち信号値「4」、「2」、「1」及び「0」の同期予告信号が伝送路20T上のノイズ等の影響によりデータ化けしてしまった場合であっても、2つの同期予告信号(信号値「5」と「3」の同期予告信号)が正常に受信できれば、正常なタイミングで水平同期信号Hsync´が出力されることとなる。さらに、本実施形態においては、垂直同期パルスVsyncまたは水平同期パルスHsyncが入力された場合にカウンタ87によって1カウントが計数されるので、同期予告信号の信号値のうち1つ以上が予測同期予告信号と一致し、垂直同期パルスVsyncまたは水平同期パルスHsyncが入力された場合に水平同期信号Hsync´が出力されることとなる。例えば、信号値「4」の同期予告信号以外、すなわち信号値「5」、「3」、「2」、「1」及び「0」の同期予告信号が伝送路20T上のノイズ等の影響によりデータ化けしてしまった場合であっても、1つの同期予告信号(信号値「4」の同期予告信号)が正常に受信でき、さらに垂直同期パルスVsyncまたは水平同期パルスHsyncが正常に入力されれば、正常なタイミングで水平同期信号Hsync´が出力されることとなる。なお、本実施形態においては、カウンタ87の初期値を2として説明したが、これに限定されるものではなく、同期予告信号の数に応じて増やすことも可能である。カウンタ87の初期値を増やすことによって、同期信号の検出の信頼性が向上する。
【0067】
デジタルコンパレータ89には、10B/8B復号器81より出力される重畳映像信号DataとブランキングパルスBlankが入力される。デジタルコンパレータ89は、ブランキングパルスBlankが入力されると重畳映像信号Dataに重畳されている同期予告信号の識別符号、すなわち同期予告信号の最上位ビットが「1」であるか否かの判断を開始し、「1」である場合には、セット/リセット回路90にHigh信号を出力し、セット/リセット回路90をセットする。セット/リセット回路90は、SET入力がHighの時に出力をセット(Low)し、RESET入力がLowの時に出力をリセット(High)する回路である。セット/リセット回路90の出力は、ゲート91に入力される。
【0068】
ここで、本実施形態において同期予告信号の最上位ビットが「1」となる場合とは、「128」〜「133」の値、すなわち2進表記で「1000 0000」〜「1000 0101」の値を有する垂直同期パルスVsyncの同期予告信号の場合であるから(図4参照)、デジタルコンパレータ89は垂直同期パルスVsyncの同期予告信号を検出する予告信号検出手段として機能する。また、同期予告信号が「128」〜「133」の値の場合、デジタルコンパレータ82は同期予告信号の信号値、すなわち同期予告信号の最上位ビットを除く下位7ビットで表される値「0000 0000」〜「0000 0101」を検出することとなる。従って、同期予告信号が「128」〜「133」の場合であっても、デジタルコンパレータ82は「0」〜「5」の同期予告信号の信号値を検出し、上述のように予測同期予告信号と同期予告信号の信号値とが2回以上一致した場合に、ゲート88は水平同期信号Hsync´を出力する。
【0069】
ゲート91は、セット/リセット回路90の出力とゲート88の出力が入力され、双方の入力がLowの時に垂直同期信号Vsync´を出力する。すなわち、重畳映像信号Dataに重畳されている同期予告信号が「128」〜「133」の範囲にある場合であって、予測同期予告信号と同期予告信号の信号値とが2回以上一致した場合には、水平同期信号Hsync´と共に垂直同期信号Vsync´が出力される。
【0070】
以上のように、スコープ先端部20Eより送信される重畳符号化信号D10は、伝送路20Tを介してプロセッサ70で受信され、プロセッサ70において重畳映像信号Dataが得られると共に、水平同期信号Hsync´および垂直同期信号Vsync´が生成される。そして、水平同期信号Hsync´および垂直同期信号Vsync´は、重畳符号化信号D10に重畳されている同期予告信号と垂直同期パルスVsync、水平同期パルスHsync及びブランキングパルスBlankに基づいて生成されるので、重畳符号化信号D10に重畳されている同期信号が、伝送路20T上のノイズ等の影響によりデータ化けしてしまった場合であっても、重畳符号化信号D10に重畳されている同期予告信号から同期信号を生成することができ、受信側で正常な画像を得ることが可能となる。
【0071】
また、本実施形態においては、スコープ先端部20Eからプロセッサ70に対して、8B/10B符号化した上でシリアルの重畳符号化信号D10を送信するとして説明したが、これに限定されるものではなく、同期予告信号が重畳されたパラレルの重畳映像信号Dataのみが送受信されても良い。上述のように同期予告信号のみから水平同期信号Hsync´と共に垂直同期信号Vsync´を生成可能だからである。なお、この場合には、伝送路20Tが複数の信号線を有する必要があるが、8B/10B符号器60、10B/8B復号器80、パラレル/シリアル変換回路34及びシリアル/パラレル変換回路74が不要となる。
【0072】
なお、上述の実施形態においては、電子内視鏡に設けられるデジタル化された映像信号を送受信する送信装置および受信装置として説明したが、電子内視鏡に限定されるものではなく、例えば、DVDプレーヤとテレビモニタのような一般的なデジタル映像信号の送信装置および受信装置にも適用することが可能である。
【0073】
本実施形態の構成についても、限定されるものではない。例えば、8B/10B変換回路40及び10B/8B変換回路80は、マイコン等の他の回路でも実現可能である。
また、DCフリー符号の一例として8B/10B符号を用いて説明したが、3B/4B、5B/6B符号等、他のDCフリー符号も適用可能である。
【0074】
さらに、本実施形態においては、8ビットのデジタル映像信号Iを同期信号に対して6画素に相当する時間だけ遅延させて同期予告信号を重畳する構成として説明したが、これに限定されるものではなく、さらに遅延時間を増やすことにより、より多くの同期予告信号を重畳することが可能である。同期予告信号を増やすことによって、受信側での同期検出の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】デジタル映像信号送信装置及び受信装置を有する電子内視鏡装置のブロック図である。
【図2】CMOS28の画素及びクロックパルスCLKと垂直同期信号Vs及び水平同期信号Hsとの関係を説明するための概念図である。
【図3】8B/10B変換回路40の内部構成を示すブロック図である。
【図4】図3の各ブロックの機能を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】8B/10B変換回路40で用いられる変換テーブルの一例である。
【図6】10B/8B変換回路80の内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0076】
10 電子内視鏡装置
20 スコープ
20E スコープ先端部
20T 伝送路
22 拡散レンズ
26 対物レンズ
28 CMOS(撮像素子)
30 A/Dコンバータ
32 タイミングジェネレータ
34 パラレル/シリアル変換回路
40 8B/10B変換回路
60 8B/10B符号器
70 プロセッサ
71 クロック回路
72 光源
74 シリアル/パラレル変換回路
73 メモリ
75 画像処理回路
76 制御回路
77 出力回路
CLK クロックパルス
Vs、Vs´ 垂直同期信号
Hs、Vs´ 水平同期信号
I、I´ デジタル映像信号
Hsync 水平同期パルス
Blank ブランキングパルス
Vsync 垂直同期パルス
C1 水平同期パルスHsyncのタイミングを予告する同期予告信号
C3 垂直同期パルスVsyncのタイミングを予告する同期予告信号
Data 重畳映像信号
D10 重畳符号化信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効画素領域の画素データで構成される有効画素信号とブランキング領域の画素データで構成されるブランキング信号とからなるデジタル映像信号を供給するデジタル映像信号供給手段と、
前記デジタル映像信号に同期した同期信号を出力する同期信号出力手段と、
前記デジタル映像信号と前記同期信号とに基づいて前記ブランキング信号に前記同期信号のタイミングを予告する複数の同期予告信号を重畳して重畳映像信号を生成する信号生成手段とを備えることを特徴とするデジタル映像信号送信装置。
【請求項2】
前記同期予告信号のそれぞれは前記有効画素領域より2画素以上先行する先頭画素から前記ブランキング領域の最終画素までの各画素に対応し、前記同期予告信号のそれぞれが前記各画素と前記最終画素との位置関係を表す画素データであることを特徴とする請求項1に記載のデジタル映像信号送信装置。
【請求項3】
前記同期予告信号は前記先頭画素から前記最終画素まで順に減少する画素データであることを特徴とする請求項2に記載のデジタル映像信号送信装置。
【請求項4】
前記同期信号を構成する画素データは複数ビットよりなるバイナリデータであり、前記最終画素に対応する同期予告信号は少なくとも最下位ビットが0であるバイナリデータであることを特徴とする請求項2に記載のデジタル映像信号送信装置。
【請求項5】
前記デジタル映像信号を前記同期信号に対して所定の画素に応じた時間遅延させる遅延手段をさらに有し、
前記信号生成手段が、前記所定の画素に前記同期予告信号を重畳することを特徴とする請求項1に記載のデジタル映像信号伝送装置。
【請求項6】
前記同期信号は水平同期信号と垂直同期信号であり、前記水平同期信号に対応する同期予告信号と前記垂直同期信号に対応する同期予告信号とが異なる信号であることを特徴とする請求項1に記載のデジタル映像信号送信装置。
【請求項7】
前記重畳映像信号をDCフリー符号に符号化して重畳符号化信号を生成する符号化手段と、
前記重畳符号化信号をシリアルデータに変換して出力する出力手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のデジタル映像信号送信装置。
【請求項8】
前記信号生成手段が、さらに前記同期信号に基づいて同期パルスを生成し、前記ブランキング信号の期間内にブランクパルスを生成し、
前記符号化手段が、さらに前記同期パルスと前記ブランクパルスをDCフリー符号に符号化して前記重畳符号化信号に重畳することを特徴とする請求項7に記載のデジタル映像信号送信装置。
【請求項9】
前記DCフリー符号が8B/10B符号であることを特徴とする請求項7に記載のデジタル映像信号伝送装置。
【請求項10】
請求項1に記載のデジタル映像信号送信装置の重畳映像信号を受信するデジタル映像信号受信装置であって、
前記重畳映像信号から前記同期予告信号を検出する予告信号検出手段と、
前記予告信号検出手段によって最初に検出した前記同期予告信号から後続する前記同期予告信号を予測して予測同期予告信号を生成する予測同期予告信号生成手段と、
前記予測同期予告信号に基づいて前記同期信号を生成する同期信号生成手段と、
前記予測同期予告信号と前記同期予告信号とを比較して一致回数をカウントする一致回数計数手段とを備え、
前記一致回数が2以上の場合に前記同期信号生成手段に基づいて前記同期信号を出力することを特徴とするデジタル映像信号受信装置。
【請求項11】
請求項7に記載のデジタル映像信号送信装置の重畳符号化信号を受信する請求項10に記載のデジタル映像信号受信装置であって、さらに、
前記シリアルデータをパラレルデータに変換して前記重畳符号化信号を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記重畳符号化信号を復号化して前記重畳映像信号を出力する復号化手段とを備えたことを特徴とするデジタル映像信号受信装置。
【請求項12】
請求項1に記載のデジタル映像信号送信装置と請求項10に記載のデジタル映像信号受信装置とを備えたことを特徴とするデジタル映像伝送システム。
【請求項13】
請求項7に記載のデジタル映像信号送信装置と請求項11に記載のデジタル映像信号受信装置とを備えたことを特徴とするデジタル映像伝送システム。
【請求項14】
有効画素領域の画素データで構成される有効画素信号とブランキング領域の画素データで構成されるブランキング信号とからなるデジタル映像信号を出力するデジタル映像信号出力ステップと、
前記デジタル映像信号に同期した同期信号を出力する同期信号出力ステップと、
前記デジタル映像信号と前記同期信号とに基づいて前記ブランキング信号に前記同期信号のタイミングを予告する複数の同期予告信号を重畳して重畳映像信号を生成する信号生成ステップとを備えることを特徴とするデジタル映像信号の送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−272909(P2009−272909A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121887(P2008−121887)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】