説明

デジタル監視システム

【課題】パン、チルト、ズーム機能を持つネットワークカメラを用いた監視システムで、ネットワーク経由の伝送遅延に影響されずにカメラ制御の操作性を向上させる。
【解決手段】ネットワークカメラ1〜4が撮像時点のパン、チルト、ズーム情報を画像と共にネットワーク34を介して監視コントローラ10に伝送し、監視コントローラは、ネットワークカメラの最大撮像範囲内に、受信したパン、チルト、ズーム情報により位置修正して、受信した画像を縮小して表示させる。ユーザが表示画面上の領域を指示することで、領域の座標と大きさに応じてネットワークカメラのパン、チルト、ズームの制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク経由で接続された監視カメラと監視コントローラからなるデジタル監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な監視対象領域を監視カメラで撮影し、それぞれのカメラからの映像を警備室などで集中的に監視や記録を行うシステムでは、同軸ケーブルなどを伝送路としたアナログ映像監視システムが使われてきた。近年、それに代わりデジタル映像を扱うデジタル映像監視システムが普及してきている。デジタル映像監視システムは、カメラで撮影した映像をイーサネット(登録商標)などのネットワーク経由で伝送するものである。
【0003】
図12に従来のデジタル映像監視システムの構成図を示す。図12において、各機器はハブ21によりネットワーク接続されており、ネットワークカメラ5〜8は撮影した画像をJPEG圧縮した後、監視コントローラ11に伝送する。監視コントローラ11は画像データを受信してディスプレイに表示する。また、監視コントローラ11はマウスなどのポインティングデバイス(不図示)で制御したいネットワークカメラ5〜8を選び、パン、チルト、ズームなどのボタン操作などを行い、ネットワーク34経由でネットワークカメラ5〜8に対してパン、チルト、ズームなどのコマンドを送り制御を行う。
【0004】
通常の監視システムでは、カメラの制御を行うときには、ユーザがカメラの画像を見ながら操作を行う。しかし、遠隔地にあるカメラをネットワーク経由で操作する場合には、操作を行ってから実際にカメラにその操作が反映された後の画像が表示されるまでにタイムラグが生じる。例えば、カメラをパンさせている途中で何らかの目標物が画面の中心になったときにパン動作を停止させても、その後で送られてくる画像では目標物は中心よりも行き過ぎたところに映っていることになる。そこで、下記の特許文献1に記載のように、パンチルトカメラの画像を表示させた表示画面上の範囲を指定することでカメラのパン、チルト制御を行う方法が提案されている。
【特許文献1】特開2001−36810号公報(要約書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この方法によれば、画像上の目標物を含んだ範囲を指定することで正確に目標物を中心とした画角になるようにパン、チルトの制御を行うことができる。しかし、ズームには対応できないという問題があった。
【0006】
したがって、本発明はネットワーク伝送による遅延に影響されずに、所望のカメラ操作を容易に行える監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明では監視コントローラが、ネットワークカメラから受信した画像を表示領域の大きさにあわせて表示する第1のモードと、ネットワークカメラの最大撮像範囲とパン、チルト、ズーム情報に対応して、受信した画像を縮小して表示する第2の表示モードで画像を表示する画像表示手段と、ユーザにより指示されて前記画像表示制御手段により前記表示手段に表示された画像上の領域を示す信号を受け付ける領域指示手段と、前記領域指示手段が指示した領域に応じてネットワークカメラの制御を行うカメラ制御手段を備えるようにしている。
【0008】
すなわち本発明によれば、パン、チルト、及びズーム機能を備え、監視地点の撮像画像を伝送するネットワークカメラと、前記ネットワークカメラからの画像を受信して表示手段に表示するとともに前記ネットワークカメラの制御を行う監視コントローラとからなるデジタル監視システムであって、
前記ネットワークカメラが撮像時点のパン、チルト、及びズーム情報を画像と共に伝送する手段を有し、
前記監視コントローラが、前記ネットワークカメラから受信した画像を表示領域の大きさにあわせて表示する第1の表示モードと、受信した画像を必要に応じて縮小し、前記ネットワークカメラのパン、チルト、及びズーム操作による最大撮像範囲内で、前記パン、チルト、及びズーム情報に対応した位置に表示する第2の表示モードとで前記表示手段に画像を表示するよう制御する画像表示制御手段と、
ユーザにより指示されて前記画像表示制御手段により前記表示手段に表示された画像上の領域を示す信号を受け付ける領域指示手段と、
前記領域指示手段が受け付けた領域を示す信号に応じて、前記ネットワークカメラの制御を行うカメラ制御手段とを、
有するデジタル監視システムが提供される。
【0009】
また、前記画像表示制御手段は、前記第2の表示モード用の画像バッファを有し、前記ネットワークカメラから過去に受信した画像と、前記ネットワークカメラがパン及び/又はチルト操作された後に、新たに受信した画像を前記画像バッファを用いて2次元平面上で合成した画像を前記第2の表示モードで表示するよう構成されていることは本発明の第1の好ましい態様である。
【0010】
また、前記画像表示制御手段は、新たに受信した画像を前記第2の表示モードで表示する際に、過去の画像である周囲の画像と区別するために、前記新たに受信した画像の縁に枠部を設けて表示するよう構成されていることは本発明の第2の好ましい態様である。
【0011】
また、前記カメラ制御手段は、前記領域指示手段が指示した領域が前記第2の表示モードで表示されている画像中の任意の点であった場合には、その点を中心として、ズーム倍率を変更しないで前記ネットワークカメラの制御を行うよう構成されていることは本発明の第3の好ましい態様である。
【0012】
また、前記カメラ制御手段は、前記領域指示手段で指示された領域が想定最小領域よりも小さい場合には、指示された領域と同じ中心を持つ想定最小領域が指示されたものとしてネットワークカメラの制御を行うことは本発明の第4の好ましい態様である。
【0013】
また、前記カメラ制御手段は、前記領域指示手段で指示された領域が想定最大領域よりも大きい場合には、指示された領域と同じ中心を持つ想定最大領域が指示されたものとしてネットワークカメラの制御を行うことは本発明の第5の好ましい態様である。
【0014】
また、前記画像表示制御手段は、一つの表示画面において第1の表示モードと第2の表示モードを切り替えて表示できることは本発明の第6の好ましい態様である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、監視コントローラがネットワークカメラから画像データとパン、チルト、ズーム情報を受信して、画像表示手段が最大撮像範囲を示す表示領域内に受信した画像の対応する位置と大きさで画像を表示させる。これにより最大撮像範囲のうちのどのあたりの方向の画像をカメラが撮像しているのかがすぐに確認できる。ネットワークカメラの撮像位置を変えたい場合には、領域指示手段によりその表示領域内の領域が指示されると、指示された領域の位置と大きさによりカメラ制御手段が対応するパン、チルト、ズーム情報を計算し、ネットワークカメラの制御を行う。これにより、所望の画角の画像を正確に得ることが可能になる。また、ネットワーク経由の伝送による遅延に影響されずにカメラの操作性を向上させることが可能となる。
【0016】
本発明の第1の好ましい態様によれば、画像像表示制御手段が受信した画像を全て画像バッファに上書き合成していき、表示領域には最新の画像だけでなく、パン及び/又はチルト操作前の過去に撮影した画像も表示されるようにする。そのため、過去に監視していた方向の画像を再び監視したい場合などに過去の画像を見ながら領域を指示することができ、所望の方向と画角の指示が容易に行えるようになる。
【0017】
本発明の第2の好ましい態様によれば、前記画像表示制御手段は、新たに受信した画像を他の画像と識別するため、前記第2の表示モードで表示する際に、前記新たに受信した画像の縁に枠部を設けて表示するよう構成されている。これにより過去の画像と最新の受信した画像がはっきりと区別でき、領域の指示がやりやすくなる。
【0018】
本発明の第3の好ましい態様によれば、領域指示手段によって指示された領域が面積を持ったある範囲ではなく点であった場合には、カメラ制御手段はその点を中心とした領域が指示されたと認識し、領域の大きさはそのときの最新受信画像と同じ大きさであるとしてカメラ制御を行う。これにより、ズーム倍率を変更する必要の無い場合には面積を持った領域ではなく点を指示すればよいため、カメラの所望の方向の指示が容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図2は、本発明のデジタル監視システムの第1の実施の形態の全体構成を示す模式図である。このデジタル監視システムは、画像を撮像して映像データを送信するパン、チルト、ズーム機能付きのネットワークカメラ1〜4と、ネットワークカメラ1〜4を制御する監視コントローラ10と、ネットワークカメラ1〜4と監視コントローラ10とを接続するハブ20とを有する。なお、ネットワークカメラ1〜4と監視コントローラ10はハブ20を介してイーサネット(登録商標)などのネットワーク34で接続されている。
【0020】
図2において、ネットワークカメラ1〜4は監視対象エリアの画像を撮影してJPEG圧縮画像に変換し、撮影した時点のパン、チルト、ズーム情報(以降PTZ情報とする)をJPEGのコメントヘッダ部分に埋め込んで、監視コントローラ10に送信する。監視コントローラ10はJPEGデータを受信して画像表示部の表示画面に表示する。以下の説明では、複数のカメラが順次選択されて複数の画像を同時に表示する場合を除き、カメラ1〜4のうち、カメラ1が選択されているものとして説明する。
【0021】
図3に、図1の第1の実施の形態における表示画面30Aを示す。図3において左上のウィンドウ30A−1には選択されたネットワークカメラ1から受信された画像がそのまま表示されている。この表示を第1の表示モードと言う。下のウィンドウ30A−2にはネットワークカメラ1の最大撮像範囲が示され、その中に受信された画像が表示されている(符号40の部分)。この表示を第2の表示モードと言う。ネットワークカメラ1〜4にはパン機能、チルト機能、ズーム機能が設けられていて、各ネットワークカメラ1〜4は、撮像画像と共に、撮像時のPTZ(パン、チルト、ズーム)情報を伝送する。なお、パン、チルト、ズームの動作には、それぞれ動作範囲に制限がある。以下、「ネットワークカメラ」を単に「カメラ」ともいう。今受信しているカメラ1〜4に以下のような制限があったとする。
パン:マイナス150度〜プラス150度
チルト:0度〜マイナス90度
ズーム:水平画角3度〜50度
【0022】
水平方向については、パンは最大150度、そのときに最大となる画角は50度なので最大撮像範囲の限界は150+50/2でプラス方向は175度、同様にマイナス方向も175度となる。
カメラ1の撮影した画像はVGAサイズ(640×480ピクセル)とすると、水平画角と垂直画角の比は4:3となる。したがって、ズームの垂直画角は約2.3度〜38度となる。チルトの動作範囲は0度〜マイナス90度であるので、プラス方向は0+38で38度、マイナス方向は-90-38でマイナス128度となる。したがって、最大撮像範囲は、水平方向がプラスマイナス175度、垂直方向がマイナス128度から38度となる。
【0023】
受信した画像のJPEGのコメントヘッダにはPTZ情報が記録されており、
パン:−100°
チルト:−10°
ズーム(水平方向):40°
であるとすると、この画像を下のウィンドウに表示する場合には、図3のように水平方向-100度、垂直方向-10度を中心とし、水平方向は40度の長さになるように画像を縮小して表示する。
【0024】
図4にカメラ1を制御する場合の表示画面を示す。
図4において、現在の画像よりも、もう少し右下を広い範囲で見たい場合、最大撮像範囲の示されているウィンドウ30A―2の中で所望の領域30Rを指示する。ここでは監視コントローラ10の領域指示部22にはマウス32が接続されており、マウス32によりユーザが図4のように領域30Rを指定する。そのときの領域30Rは
中心:水平方向マイナス60度 垂直方向マイナス30度
長さ:水平方向48度、垂直方向30度
であったとすると、まず水平方向と垂直方向の長さを比較する。
【0025】
カメラ1から送られてくる実際の画像の水平方向と垂直方向の画角の比は4:3になるので、指定された領域30Rを不足無く含み水平方向と垂直方向の長さが4:3になる最小の領域を考える。この場合では水平方向48度、垂直方向36度の領域が該当することから水平方向の画角は48度となる。したがって
パン:−60°
チルト:−30°
ズーム(水平方向):48°
となるように、カメラ1の制御を行えばよいことになる。こうすることにより、カメラ1の操作と実際に表示される画像との間にタイムラグがあったとしても、カメラ1の制御を容易に行うことができる。なお、ここではカメラ1のPTZ情報が角度の単位で記録されていたが、動作範囲のステップ数などを単位としてもよい。その場合には角度に換算してから計算を行う。
【0026】
もし、指示された領域30Rが
中心:水平方向マイナス160度 垂直方向マイナス30度
長さ:水平方向20度、垂直方向10度
であった場合には、領域30Rの中心がパンの限界であるマイナス150を超えているため、水平方向マイナス150度で垂直方向マイナス30度の中心を持ち指示された領域30Rを不足無く含む領域を考える。この場合は水平方向の長さを40度とすればよいことがわかる。
【0027】
したがって
パン:−150°
チルト:−30°
ズーム(水平方向):40°
となるように、カメラ1の制御を行えばよい。
【0028】
図1は、図2の監視コントローラ10の構成を示すブロック図であり、図1の構成の監視コントローラ10を用いる例を本発明の第1の実施の形態として以下説明する。図1において、画像受信部12はネットワーク34経由でカメラ1からJPEG画像を受信して、画像信号処理部14に渡す。画像信号処理部14は受け取ったJPEG画像を、第1の表示モードでそのまま表示させる画像信号を生成する第1ウィンドウ表示制御部16に送るとともに、JPEG画像のヘッダから、その画像のPTZ情報を取得する。画像信号処理部14は、あらかじめカメラ1〜4のスペック情報が記録されているカメラ情報記録部28からカメラ1のPTZの動作範囲、すなわちPTZそれぞれの最大可動範囲などに関する情報を取得して、受け取ったJPEG画像と共に第2ウィンドウ表示制御部18へ送る。第2ウィンドウ表示制御部18は、カメラ1のPTZの動作範囲などに関する情報を用いてカメラ1の最大撮像範囲を求めておき、取得した画像のPTZ情報から最大撮像範囲内のどの領域にその画像を表示するかを決定し、第2の表示モードの最大撮像範囲を示す枠、すなわち第2のウィンドウ30A―2の中に最大撮像範囲の画像を表示する信号を生成する。このとき、受信画像は必要に応じて縮小される。
【0029】
第1ウィンドウ表示制御部16と第2ウィンドウ表示制御部18でそれぞれ生成された画像信号は、画像合成部19に送られ、合成されて1つのラスタを構成する画像信号とされ、合成画像信号が画像表示部30へ送られる。これにより、図3に示されるように画像表示部30の表示画面30Aに合成されたラスタが表示される。図3の例では、表示画面30Aの左上方のウィンドウ30A−1に第1ウィンドウ表示制御部16で生成された最新の画像が表示され、表示画面30Aの下方のウィンドウ30A−2に第2ウィンドウ表示制御部18で生成された最大撮像範囲の画像が表示される。カメラ情報記録部28はカメラ1〜4のスペックやIPアドレスなどの情報をカメラデータファイルから取得しており、カメラデータファイルはカメラ1〜4に関する情報をテキストデータとして記録したもので、通常のエディタなどを用いて作成したものである。なお、上記構成中、画像信号処理部14、第1ウィンドウ表示制御部16、第2ウィンドウ表示制御部18、画像合成部19は、画像表示制御部13を構成しているが、この画像表示制御部13は、CPU(中央演算処理装置)とRAM、ROM、V−RAMなどのメモリ類、インタフェイスなどにより構成することができる。
【0030】
カメラ1の制御を行う場合には、領域指示部22がマウス32などのポインティングデバイスから指定された領域の座標の情報を入手して、カメラ制御部24に渡す。カメラ制御部24は受け取った座標情報を最大撮像範囲内の座標に換算してPTZ情報を求めるとともにカメラ情報記録部28からカメラ1のIPアドレスを取得する。そして求めたPTZ情報とIPアドレスをコマンド送信部26に渡し、コマンド送信部26はPTZ情報からカメラ1の理解するコマンドを作成し、ネットワーク34経由でHTTPを使いカメラ1に送信する。
【0031】
コマンドは例えば次のようなものである。
http://192.168.0.10/PTZ.cgi?pan=-60.0&tilt=-30.0&zoom=48.0
これはカメラ1のIPアドレスが192.168.0.10で、パン:-60°、チルト:-30°、ズーム48°とした場合である。
なお、コマンド送信部26はHTTPでコマンドを送っているが、カメラ側が対応していればUDPなど他のプロトコルを使うことも可能である。
【0032】
図5は、本発明のデジタル監視システムの第2の実施の形態における監視コントローラ10Aの構成を示すブロック図である。図5において、図1と同一あるいは対応する要素は、同一符号で示されている。画像信号処理部14は、あらかじめカメラ情報記録部28からカメラ1のPTZの動作範囲などに関する情報を取得して、画像信号受信部で受信した画像及びそのPTZ情報と共に第2ウィンドウ表示制御部18に送る。第2ウィンドウ表示制御部18は、カメラ1の最大撮像範囲を求めておき、取得したPTZ情報から最大撮像範囲内のどの領域に受信した現在の画像を表示するかを決定し、画像バッファ17に最大撮像範囲を示す枠を描画するとともに画像の描画を行うための画像データを保存する。画像の描画は過去に描画した画像があれば上書きする形で行う。パンやチルト操作によりカメラ1の撮像方向が変えられた場合には、過去に描画された部分はそのまま残るようになる。画像バッファ17に描画した後、第2ウィンドウ表示制御部18は画像バッファ17のデータを画像合成部19に転送し、第1ウィンドウ表示制御部16からの現在画像と合成し、合成信号が画像表示部30に送られ、合成画像が表示される。表示させた直後、第2ウィンドウ表示制御部18は、図2に示すように最新の画像を描画した領域の境界を示す枠部40を所定の線42で描画する。なお、上記構成中、画像信号処理部14、第1ウィンドウ表示制御部16、第2ウィンドウ表示制御部18、画像バッファ17、画像合成部19は、画像表示制御部13Aを構成しているが、この画像表示制御部13Aは、CPU(中央演算処理装置)とRAM、ROM、V−RAMなどのメモリ類、インタフェイスなどにより構成することができる。
【0033】
図6は、上記枠部40を所定の線42で描画した状態を示す表示画面の図である。図6において左上に最新の画像が表示されており、下のウィンドウ30A―2にはカメラ1の最大撮像範囲の画像が表示されている。これまでに受信した過去の画像も表示されているが、一度も撮像されていない部分は白い背景のままとなっている。このようにすることにより、過去の画像を確認しながら次に撮像する領域を指示できるため、カメラ1の制御がより正確に操作できるようになる。また、最新の画像の部分は黒い枠部40などにより囲むことにより、過去の画像である周囲の画像と識別し易すく表示されて、位置関係がとてもわかりやすくなっている。なお、ここでは黒い枠部40で表示しているが、暗い画像の場合には赤い線の枠部にするなど他の色の枠部にしてもよい。
【0034】
次に、図7の表示画面を用いて上記第2の実施の形態における監視コントローラ10Aの動作を説明する。図7において、マウス32により下のウィンドウ30A―2のある一点44が指示されたとする。前述のようにマウス32により所定の面積を有する領域が指示された場合には、領域の中心の位置と大きさからPTZ情報を導き出したが、面積のない点44が指示された場合には、その点44を領域の中心とし、ズーム倍率は変更しないようにカメラ1の制御を行う。
【0035】
その場合のコマンドは次のようなものになる。
http://192.168.0.10/PTZ.cgi?pan=-60.0&tilt=-30.0
これはカメラ1のIPアドレスが192.168.0.10で、パン:-60°、チルト:-30°とした場合である。
こうすることで、ズームを変更する必要の無い場合には操作が非常に簡単に行えるようになる。
【0036】
次に、図8の表示画面において上記第2の実施の形態における好ましい態様の監視コントローラ10Aの動作を説明する。図8においてマウス32により下のウィンドウ30A―2にある小さい領域46が指示されたとする。そのときの領域46が
中心:水平方向マイナス60度 垂直方向マイナス30度
長さ:水平方向2度、垂直方向1度
であったとすると、通常と同じくまず水平方向と垂直方向の長さを比較すると、水平方向と垂直方向の画角の比は4:3になるので、指定された領域46を含み水平方向と垂直方向の長さが4:3になる最小の領域を考える。この場合では、水平方向2度、垂直方向1.5度の領域が該当することから水平方向の画角は2度となる。しかし、このカメラ1の動作ズーム範囲が水平画角3度〜50度である場合には、想定最小領域は水平方向3度となり、2度に制御することは不可能である。そこで想定最小領域の3度とみなしてカメラ1の制御を行う。
【0037】
その場合のコマンドは次のようなものになる。
http://192.168.0.10/PTZ.cgi?pan=-60.0&tilt=-30.0&zoom=3.0
これはカメラ1のIPアドレスが192.168.0.10で、パン:-60°、チルト:-30°、ズーム3°とした場合である。
こうすることで、カメラ1の性能を超える指示を受けた場合でも、最大限指示に沿った制御を行うことが可能となる。
【0038】
次に、図9の表示画面を用いて第2の実施の形態における好ましい態様における監視コントローラ10Aの動作を説明する。図9においてマウス32により下のウィンドウ30A―2にある大きな領域48が指示されたとする。そのときの領域48が
中心:水平方向マイナス15度 垂直方向マイナス70度
長さ:水平方向70度、垂直方向55度
であったとすると、通常と同じくまず水平方向と垂直方向の長さを比較すると、水平方向と垂直方向の画角の比は4:3になるので、指定された領域48を含み水平方向と垂直方向の長さが4:3になる最小の領域を考える。この場合では、水平方向73.3度、垂直方向55度の領域が該当することから水平方向の画角は73.3度となる。しかしこのカメラ1の動作ズーム範囲が水平画角3度〜50度であるので想定最大領域は水平方向50度となり、73.3度に制御することは不可能である。そこで想定最大領域の50度とみなしてカメラ1の制御を行う。
【0039】
その場合のコマンドは次のようなものになる。
http://192.168.0.10/PTZ.cgi?pan=-15.0&tilt=-70.0&zoom=50.0
これはカメラ1のIPアドレスが192.168.0.10で、パン:-15°、チルト:-70°、ズーム50°とした場合である。
こうすることで、カメラ1の性能を超える指示を受けた場合でも最大限指示に沿った制御を行うことが可能となる。
【0040】
次に、図10及び図11の表示画面を用いて第2の実施の形態における他の好ましい態様における監視コントローラ10Aの動作を説明する。図10では4つのカメラ1〜4からの画像を同時に表示している。マウス32で左上のウィンドウ30A―1を選択し、右クリックを行うと、ポップアップメニューが表示され、全体表示という項目50を選択すると、それまで表示されていた図10の通常表示から図11のように左上のウィンドウのみ最大撮像範囲を表示する全体画像の表示形式に切り替わる。全体画像を表示させてカメラ1〜4の制御を行った後、右クリックを行うと同様にポップアップメニューが表示され、通常表示という項目(図示省略)を選択すると図10のような通常表示に切り替わるようになっている。こうすることで、複数のカメラ1〜4からの画像を同時に監視していて、表示画面に新たに全体画像を表示させるスペースが無い場合でも、他のカメラからの画像監視を中断することなく、カメラ1〜4の制御を行えるようになる。なお、ここではマウス32の右クリックによるポップアップメニューで表示の切り替えを行ったが、ツールバーでの選択や通常のメニュー操作などで行ってもよい。
【0041】
本発明の第4の好ましい態様によれば、領域指示手段によって指示された領域が、ネットワークカメラのズーム範囲によって決まる想定最小領域よりも小さかった場合には、カメラ制御手段は指示された領域と同じ中心を持ち、大きさは想定最小領域と同じであるとしてカメラ制御を行う。これにより、ネットワークカメラの性能を超える指示の場合にも、最大限指示に従った制御が可能となる。
【0042】
本発明の第5の好ましい態様によれば、領域指示手段によって指示された領域が、ネットワークカメラのズーム範囲によって決まる想定最大領域よりも大きかった場合には、カメラ制御手段は指示された領域と同じ中心を持ち、大きさは想定最大領域と同じであるとしてカメラ制御を行う。これにより、ネットワークカメラの性能を超える指示の場合にも、最大限指示に従った制御が可能となる。
【0043】
本発明の第6の好ましい態様によれば、一つの表示画面に第1の表示モードと第2の表示モードを切り替えて表示する。これにより、複数のネットワークカメラの画像を同時に表示させて監視しているために画面内の表示領域に余裕が無い場合でも、第1の表示モードで表示させている特定のネットワークカメラの画像表示画面を第2の表示モードに切り替えてカメラ制御を行ない、制御終了後に第1の表示モードに切り替えることで、他のカメラの画像表示を中断することなくカメラ制御を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のデジタル監視システムは、上記構成を有しているので、屋外や室内の監視システムを始め、パン、チルト、ズーム機能を有するネットワークカメラを用いたテレビ会議システムなど、撮像装置と表示装置をネットワークで接続する画像撮像表示システムに広く適用可能である。したがって、本願請求項に記載のデジタル監視システムは、防犯目的などの監視自体を目的とするもののみならず、所望の範囲の画像を撮像して送信する撮像・表示ネットワークシステム全般を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のデジタル監視システムの第1の実施の形態における監視コントローラの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のデジタル監視システムの第1の実施の形態の全体の構成を示す模式図である。
【図3】本発明のデジタル監視システムの第1の実施の形態における監視コントローラの表示画面を示す図である。
【図4】本発明のデジタル監視システムの第1の実施の形態における監視コントローラの表示画面を示す図である。
【図5】本発明のデジタル監視システムの第2の実施の形態における監視コントローラの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明のデジタル監視システムの第2の実施の形態における監視コントローラの表示画面を示す図である。
【図7】本発明のデジタル監視システムの第2の実施の形態における監視コントローラの表示画面の他の例を示す図である。
【図8】本発明のデジタル監視システムの第2の実施の形態における監視コントローラの表示画面の他の例を示す図である。
【図9】本発明のデジタル監視システムの第2の実施の形態における監視コントローラの表示画面の他の例を示す図である。
【図10】本発明のデジタル監視システムの第2の実施の形態における監視コントローラの表示画面の他の例を示す図である。
【図11】本発明のデジタル監視システムの第2の実施の形態における監視コントローラの表示画面の他の例を示す図である。
【図12】従来のデジタル映像監視システムの構成図である。
【符号の説明】
【0046】
1〜8 ネットワークカメラ
10、10A、11 監視コントローラ
12 画像受信部
13 画像表示制御部(画像信号処理部14、第1ウィンドウ表示制御部16、第2ウィンドウ表示制御部、画像合成部19からなり、画像表示制御手段を構成する)
13A 画像表示制御部(画像信号処理部14、第1ウィンドウ表示制御部16、第2ウィンドウ表示制御部、画像バッファ17、画像合成部19からなり、画像表示制御手段を構成する)
14 画像信号処理部
16 第1ウィンドウ表示制御部
17 画像バッファ
18 第2ウィンドウ表示制御部
19 画像合成部
20、21 ハブ
22 領域指示部(マウス32と共に領域指示手段を構成する)
24 カメラ制御部(カメラ制御手段)
26 コマンド送信部
28 カメラ情報記録部
30 画像表示部
30A 表示画面
30A−1、30A−2 ウィンドウ
30R、46、48 領域
32 マウス
34 ネットワーク
40 枠部
42 線
44 点
50 項目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パン、チルト、及びズーム機能を備え、監視地点の撮像画像を伝送するネットワークカメラと、前記ネットワークカメラからの画像を受信して表示手段に表示するとともに前記ネットワークカメラの制御を行う監視コントローラとからなるデジタル監視システムであって、
前記ネットワークカメラが撮像時点のパン、チルト、及びズーム情報を画像と共に伝送する手段を有し、
前記監視コントローラが、前記ネットワークカメラから受信した画像を表示領域の大きさにあわせて表示する第1の表示モードと、受信した画像を必要に応じて縮小し、前記ネットワークカメラのパン、チルト、及びズーム操作による最大撮像範囲内で、前記パン、チルト、及びズーム情報に対応した位置に表示する第2の表示モードとで前記表示手段に画像を表示するよう制御する画像表示制御手段と、
ユーザにより指示されて前記画像表示制御手段により前記表示手段に表示された画像上の領域を示す信号を受け付ける領域指示手段と、
前記領域指示手段が受け付けた領域を示す信号に応じて、前記ネットワークカメラの制御を行うカメラ制御手段とを、
有するデジタル監視システム。
【請求項2】
前記画像表示制御手段は、前記第2の表示モード用の画像バッファを有し、前記ネットワークカメラから過去に受信した画像と、前記ネットワークカメラがパン及び/又はチルト操作された後に、新たに受信した画像を前記画像バッファを用いて2次元平面上で合成した画像を前記第2の表示モードで表示するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のデジタル監視システム。
【請求項3】
前記画像表示制御手段は、新たに受信した画像を前記第2の表示モードで表示する際に、過去の画像である周囲の画像と区別するために、前記新たに受信した画像の縁に枠部を設けて表示するよう構成されていることを特徴とする請求項2に記載のデジタル監視システム。
【請求項4】
前記カメラ制御手段は、前記領域指示手段が指示した領域が前記第2の表示モードで表示されている画像中の任意の点であった場合には、その点を中心として、ズーム倍率を変更しないで前記ネットワークカメラの制御を行うよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のデジタル監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−252331(P2008−252331A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89085(P2007−89085)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】