説明

デッキ構造

【課題】機能性に富み、且つ、バリエーション展開を簡単に行うことができ、また遊具等の立体構造物を安定して構築することができるデッキ構造を提供する。
【解決手段】このデッキ構造は、基盤1上に、建物の基準モジュールに対応させた複数の支持台2・・を並設するとともに、これら支持台2・・上に、建物の基準モジュールに対応させた一般床ユニット3、植栽用ユニット4、芝生植え込み用ユニット5、砂場用ユニット6、水場用ユニット7を取り外し可能に載置して、これらユニット3〜7を互いに配置換え可能としている。また、支持台2・・に取付金具61・・を介して取り付けた構造物構築用支柱60・・を、ユニット3〜7の角部が集まる箇所に対応して立設している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば建物の屋上やバルコニー、建物の外構等に設けられるデッキ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物の屋上やバルコニー、建物の外構等に木製デッキを設置して、このような木製デッキ上にテーブルや椅子、観葉植物等を設けることで、デッキ部分をくつろぎ空間として利用することが行われている。
【0003】
ところが、従来のデッキにおいては、一旦設置すると部分的な改変が困難な構造となっていて、単なる床としての機能を有しているだけの画一的且つ固定的なものが多かった。
【0004】
そこで、近年では、機能性に富み、且つ、バリエーション展開が可能なデッキが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。特許文献1に開示されているデッキは、浴槽やプール、砂場、収納庫となる槽体を要所要所に備えた支持台上に、複数のデッキパネルを取り外し可能に並設した構造となっている。そして、既設の槽体を支持台の別の場所に付け替えたり、既設の槽体を支持台から取り外したり、新たに用意した槽体を支持台に追加して取り付けることで、機能部分の配置換えや増減を可能として、バリエーション展開を図ることができるようになっている。
【0005】
また、特許文献2に開示されているデッキは、支持台上にデッキパネルを一体的に取り付けた単位木製デッキと、収納庫を備えた支持台上に蓋兼用デッキパネルを取り外し可能に取り付けた収納庫付き単位木製デッキと、植木用プランタや掘池用コンテナとなる箱庭構成部材を備えた支持台上にデッキ枠を取り付けた箱庭構成用単位木製デッキとを並設した構造となっている。そして、各単位木製デッキの配置場所や個数を変更することで、機能部分の配置換えや増減を可能として、バリエーション展開を図ることができるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−169284号公報
【特許文献2】特開2001−26979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1に開示されているデッキでは、機能部分の配置換えや増減に際して、デッキパネルの着脱作業に加えて、支持台に対する槽体の着脱作業が必要となり、また特許文献2に開示されているデッキでは、機能部分の配置換えや増減に際して、重厚な単位木製デッキの移設作業が必要となることから、バリエーション展開において面倒な作業を強いられるといった不具合があった。
【0008】
また、デッキ上に遊具等の立体構造物を設置して、子供の遊び場として利用することがあるが、特許文献1及び特許文献2に開示されているデッキでは、デッキパネル上に立体構造物を載置するだけであるから、立体構造物の取付強度が十分でなく、安全性に問題があった。
【0009】
この発明は、上記の不具合を解消して、機能性に富み、且つ、バリエーション展開を簡単に行うことができ、また遊具等の立体構造物を安定して構築することができるデッキ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、この発明のデッキ構造は、建物やその外構に設けられるものであって、基盤1上に、建物の基準モジュールに対応させた平面外形寸法を有する平面視方形状の複数の支持台2・・を並設するとともに、これら支持台2・・上に、同じく建物の基準モジュールに対応させた平面外形寸法を有する平面視方形状の複数のデッキ構成部材3〜7を並設してなり、前記デッキ構成部材3〜7は、前記支持台2・・上に取り外し可能に載置した一般床ユニット3・・と、同じく前記支持台2・・上に取り外し可能に載置した機能ユニット4〜7とからなり、これら一般床ユニット3・・及び機能ユニット4〜7を互いに配置換え可能としたことを特徴とする。
【0011】
具体的に、前記機能ユニット4〜7として、植栽用ユニット4、芝生植え込み用ユニット5、砂場用ユニット6、水場用ユニット7を備えている。
【0012】
また、方形枠状に形成した前記支持台2・・を、複数の束材9・・を介して基盤1上に並設して、前記支持台2・・と基盤1との間に配管や配線用の空間10を形成している。
【0013】
さらに、前記支持台2・・に取付金具61・・を介して取り付けた構造物構築用支柱60・・を、前記デッキ構成部材3〜7の角部が集まる箇所に対応して立設している。
【0014】
また、前記取付金具61は、前記構造物構築用支柱60の下端部を前記基盤1から浮かした状態で保持する保持部62を備えている。
【発明の効果】
【0015】
この発明のデッキ構造においては、支持台上に取り外し可能に載置されるデッキ構成部材側において各種機能を集約させているので、これらデッキ構成部材すなわち一般床ユニットや機能ユニットの配置場所を入れ換えたり、個数を変更するだけで、従来のような面倒な作業を強いられることなく、機能部分の配置換えや増減を可能にして、バリエーション展開を簡単に行うことができる。
【0016】
しかも、支持台及びデッキ構成部材の平面外形寸法を、建物の基準モジュールに対応させているので、これらを並設してなるデッキを、建物の基準モジュールに合わせて簡単に設計及び施工することができる。
【0017】
また、方形枠状の支持台と基盤との間に配管や配線用の空間を確保することで、例えば機能ユニットとして水周り設備や電気設備を備えたユニットを用いた場合、その水周り設備や電気設備に接続した配管や配線を、上記の空間を利用して外部から見えないように引き回すことができる。
【0018】
さらに、支持台に取付金具を介して取り付けた構造物構築用支柱を利用して、子供用遊具等の立体構造物を構築することができるので、バリエーションをさらに増やすことができ、しかも単にデッキ上に載置しただけのものと比べて、取付強度を高めて、立体構造物を安定して構築することができる。加えて、構造物構築用支柱は、デッキ構成部材の角部が集まる箇所に対応して立設されているので、支柱間の間隔は建物の基準モジュールに対応することになり、これら支柱を軸材として構築される立体構造物を、建物の基準モジュールに合わせて簡単に設計及び施工することができる。さらにまた、取付金具によって、構造物構築用支柱の下端部を基盤から浮かした状態で保持することで、基盤側に支柱の荷重を支えるための特別な部材を設ける必要がなく、また支柱によって基盤が損傷するといった不具合もなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この発明の一実施形態に係るデッキ構造は、図1に示すように、建物の屋上やバルコニー、テラス等の床である基盤1上に、複数の支持台2・・を並設するとともに、これら支持台2・・上に複数のデッキ構成部材3〜7を並設してなる。
【0020】
支持台2・・は、建物の基準モジュール(例えば、約90cm)に対応させた平面外形寸法を有する平面視方形状に夫々形成されている。具体的に、支持台2・・は、図2及び図3に示すように、平面外形寸法が例えば約90×90cmの平面視方形枠状に夫々形成され、複数の束材9・・を介して同一高さレベルに保持された状態で、基盤1上に格子状に並設されている。そして、これら支持台2・・と基盤1との間には、配管や配線用の空間10が確保されている。
【0021】
デッキ構成部材3〜7は、支持台2・・と同様に、建物の基準モジュール(例えば、約90cm)に対応させた平面外形寸法を有する平面視方形状に夫々形成されている。具体的に、デッキ構成部材3〜7は、平面外形寸法が例えば約90×90cmの平面視略正方形状に夫々形成されている。このように、支持台2・・及びデッキ構成部材3〜7の平面外形寸法を、建物の基準モジュールに対応させることで、これらを並設してなるデッキを、建物の基準モジュールに合わせて簡単に設計及び施工することができる。
【0022】
デッキ構成部材3〜7は、支持台2・・上に取り外し可能に載置した一般床ユニット3・・と、同じく支持台2・・上に取り外し可能に載置した機能ユニット4〜7からなり、これら一般床ユニット3・・同士、機能ユニット4〜7同士、及び、一般床ユニット3・・と機能ユニット4〜7は互いに配置換え可能となっている。
【0023】
一般床ユニット3は、図4に示すように、防蟻防腐効果を有する複数の帯板3a・・を接合してなるデッキパネルから構成され、その下面周端部を支持台2上に載せることで、支持台2上に取り外し可能に載置されている。
【0024】
機能ユニット4〜としては、植栽用ユニット4、芝生植え込み用ユニット5、砂場用ユニット6、水場用ユニット7が用意されている。
【0025】
植栽用ユニット4は、図5に示すように、一般床ユニット3・・を構成するデッキパネルと同様のデッキパネル20上に、植栽容器21を一体的に取り付けることによって構成されている。植栽容器21は、上面開放の箱形の収容体22と、その収容体22の上端部に取り付けた方形枠状のフランジ23とからなり、収容体22に土や植物を収容するようになっている。この植栽用ユニット4は、デッキパネル20の下面周端部を支持台2上に載せることで、支持台2上に取り外し可能に載置されている。
【0026】
芝生植え込み用ユニット5は、図6に示すように、上面開放の箱形の収容体30と、その収容体30の上端部に取り付けた方形枠状のフランジ31とからなり、収容体30に土や芝生を収容するようになっている。この芝生植え込み用ユニット5は、その収容体30を支持台2の枠内に落とし込んで、フランジ31の下面を支持台2上に載せることで、支持台2上に取り外し可能に載置されている。
【0027】
砂場用ユニット6は、図7に示すように、上面開放の箱形の収容体40と、その収容体40の上面開口を開閉する平面視略正方形状の蓋部41とからなり、収容体40に砂を収容するようになっている。蓋部41は、その一端部が図示しないヒンジを介して収容体40の上端部に取り付けられており、収容体40の上面開口を閉じた状態において、その上面の中央及び四隅に棒材42・・が立設されている。この砂場用ユニット6は、その収容体40の下面周端部を支持台2上に載せることで、支持台2上に取り外し可能に載置されている。このようにして設置された砂場用ユニット6においては、蓋部41を開けたときには、図1に示すように、棒材42・・が脚となって蓋部41をベンチやテーブルとして利用することができ、蓋部41を閉めたときには、図7に示すように、棒材42が的棒となって輪投げとして利用することができるようになっている。
【0028】
水場用ユニット7は、図8に示すように、排水口50付きの水受け体51と、この水受け体51に立設された立水栓52とからなる。この水場用ユニット7は、その水受け体51の下面周端部を支持台2上に載せることで、支持台2上に取り外し可能に載置されている。なお、排水口50に接続された排水管や立水栓52に接続された給水管は、支持台2の枠内を通して、支持台2・・と基盤1との間の空間10に引き回しされていて、外部からは見えないようになっている。
【0029】
このようなデッキ構造では、その要所要所において構造物構築用支柱60・・が立設可能となっている。具体的には、いくつかの支持台2・・に取付金具61・・を介して着脱可能に取り付けた構造物構築用支柱60・・を、図9に示すように、デッキ構成部材3〜7の角部が集まる箇所に対応して立設している。
【0030】
取付金具61は、図10に示すように、有底筒状の保持部62と、その保持部62の側面から互いに直交する方向に張り出した断面略コ字状の一対の連結部63、63とからなる。そして、支持台2の角部を切り欠いた切欠部分に保持部62を配置するとともに、支持台2の切欠部分を挟んだ枠材2a、2aに対して連結部63、63を下側から被せて図示しないボルト等で固定することで、支持台2に取付金具61が取り付けられている。そして、この取付金具61の保持部62に、構造物構築用支柱60を上方から差し込むことで、構造物構築用支柱60の下端部が基盤1から浮いた状態で保持されて、構造物構築用支柱60が立設されるようになっている。このように、構造物構築用支柱60を基盤1から浮かした状態で立設することで、基盤1側に構造物構築用支柱60の荷重を支えるための特別な部材を設ける必要がなく、また構造物構築用支柱60によって基盤1が損傷することもない。なお、取付金具61の保持部62の直上に位置するデッキ構成部材3〜7の角部は、図9に示すように、保持部62に差し込まれた構造物構築用支柱60を回避するように切り欠かれている。
【0031】
このようにして立設された構造物構築用支柱60・・を複数用いて、図11に示すように、それら支柱60・・間に横材65・・を差し渡し、さらに縦材66・・や床材67、屋根68、滑り台69等を適宜組み付けることで、子供用遊具であるツリーハウス70を構築することができるようになっている。この場合、支柱60・・は、デッキ構成部材3〜7の角部が集まる箇所に対応して立設されているので、支柱60・・間の間隔は建物の基準モジュールに対応することになり、これらを支柱60・・を軸材として構築されるツリーハウス70を、建物の基準モジュールに合わせて簡単に設計及び施工することができる。
【0032】
また、単一の構造物構築用支柱60を用いて、図12に示すように、その支柱60に複数の横棒71・・を高さ方向に間隔をあけて取り付けることで、子供用遊具である登り棒72を構築することができるようになっている。
【0033】
上記構成のデッキ構造においては、支持台2・・上に載置されているデッキ構成部材3〜7側において各種機能を集約させているので、これらデッキ構成部材3〜7すなわち一般床ユニット3・・や機能ユニット4〜7の配置場所を入れ換えたり、個数を変更するだけで、支持台2・・側において特別な加工を施したり、専用の部材を用いることなく、機能部分の配置換えや増減が可能になっている。従って、従来のような面倒な作業を強いられることなく、バリエーション展開を簡単に行うことができ、居住者が求める様々な機能や用途を実現し、居住者のライフスタイルやライスステージの変化に柔軟に対応することができる。
【0034】
また、要所要所において立設した構造物構築用支柱60・・を利用して、ツリーハウス70や登り棒72等の子供用遊具を構築することができるので、バリエーションをさらに増やすことができる。しかも、子供用遊具は、支持台2・・に取付金具61・・を介して取り付けた構造物構築用支柱60・・を軸材として構築されているので、単にデッキ上に載置しただけのものと比べて、取付強度を高めて安全性に配慮することができる。
【0035】
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の一実施形態に係るデッキ構造の斜視図である。
【図2】支持台の設置状態を示す分解斜視図である。
【図3】支持台の設置状態を示す図である。
【図4】一般床ユニットの設置状態を示す分解斜視図である。
【図5】植栽用ユニットの設置状態を示す分解斜視図である。
【図6】芝生植え込み用ユニットの設置状態を示す分解斜視図である。
【図7】砂場用ユニットの設置状態を示す分解斜視図である。
【図8】水場用ユニットの設置状態を示す分解斜視図である。
【図9】構造物構築用支柱の立設状態を示す斜視図である。
【図10】構造物構築用支柱の取付状態を示す分解斜視図である。
【図11】ツリーハウスの斜視図である。
【図12】登り棒の斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1・・基盤、2・・支持台、3〜7・・デッキ構成部材、3・・一般床ユニット、4〜7・・機能ユニット、4・・植栽用ユニット、5・・芝生植え込み用ユニット、6・・砂場用ユニット、7・・水場用ユニット、9・・束材、10・・空間、60・・構造物構築用支柱、61・・取付金具、62・・保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物やその外構に設けられるデッキ構造であって、基盤(1)上に、建物の基準モジュールに対応させた平面外形寸法を有する平面視方形状の複数の支持台(2)・・を並設するとともに、これら支持台(2)・・上に、同じく建物の基準モジュールに対応させた平面外形寸法を有する平面視方形状の複数のデッキ構成部材(3)〜(7)を並設してなり、前記デッキ構成部材(3)〜(7)は、前記支持台(2)・・上に取り外し可能に載置した一般床ユニット(3)・・と、同じく前記支持台(2)・・上に取り外し可能に載置した機能ユニット(4)〜(7)とからなり、これら一般床ユニット(3)・・及び機能ユニット(4)〜(7)を互いに配置換え可能としたことを特徴とするデッキ構造。
【請求項2】
前記機能ユニット(4)〜(7)として、植栽用ユニット(4)、芝生植え込み用ユニット(5)、砂場用ユニット(6)、水場用ユニット(7)を備えた請求項1記載のデッキ構造。
【請求項3】
方形枠状に形成した前記支持台(2)・・を、複数の束材(9)・・を介して基盤(1)上に並設して、前記支持台(2)・・と基盤(1)との間に配管や配線用の空間(10)を形成した請求項1又は2記載のデッキ構造。
【請求項4】
前記支持台(2)・・に取付金具(61)・・を介して取り付けた構造物構築用支柱(60)・・を、前記デッキ構成部材(3)〜(7)の角部が集まる箇所に対応して立設した請求項1乃至3のいずれかに記載のデッキ構造。
【請求項5】
前記取付金具(61)は、前記構造物構築用支柱(60)の下端部を前記基盤(1)から浮かした状態で保持する保持部(62)を備えた請求項4記載のデッキ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−167622(P2009−167622A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4498(P2008−4498)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】