説明

デバイス情報取得方法および装置

【課題】デバイス管理装置の管理対象デバイスの種別を判定し、効率よく取得可能な十分な方法で情報を取得できるようにする。
【解決手段】自社機かまたは他社機か、他社機の場合には、各社共通の通信規約で情報を取得が可能かどうかの情報をデバイスから取得し、前記のデバイスから取得した情報を保存し、自社機か他社機かを判別し、他社機の場合には、各社共通の通信規約で通信可能かどうかを確認し、デバイス管理装置の機能として各社共通の通信規約で情報取得を行うかどうかを確認し、各社共通の通信規約で情報取得を行う手段と、他社機で各社共通の通信規約での通信が不可の場合には、標準規約で情報を取得し、自社機の場合には、自社機専用の方法で情報を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コンピューターネットワークに接続可能な装置を管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
デバイス管理装置はネットワークに接続可能な1つまたは複数の印刷装置などのデバイスを管理する。
【0003】
デバイス管理装置が管理する対象のデバイスが、デバイス管理装置と同じ製造供給元であれば、デバイス管理装置とデバイスとの通信規約(プロトコル)の仕様を前もって合わせておくことが可能である。そして、デバイス管理装置はデバイス特有の詳細な情報を取得することができる。
【0004】
例えば、通信規約として、SNMP(非特許文献1)と呼ばれるネットワークに接続された通信機器をネットワーク経由で監視・制御するためのプロトコルを採用し、MIBと呼ばれる管理情報データベース採用する。MIBは、木構造で情報を定義するデータ構造になっており、木構造のノードとして製造供給元固有のノードを定義することができる。製造供給元固有のノードは、製造供給元のデバイス特有の情報を定義することができるため、デバイスの製造供給元とデバイス管理装置の製造供給元が同じであれば、デバイス固有の詳細な情報を送受信することができる。しかし、デバイス管理装置は、デバイス管理装置と同じ製造供給元のデバイスだけを管理対象にしているとは限らない。
【0005】
デバイス管理装置が異なる製造供給元のデバイスを管理する場合には、通信規約(プロトコル)が同じでも取得することが出来る情報が限られる場合がある。
【0006】
例えば、通信規約として、SNMPを採用する場合は、SNMPは公開された通信規約であり、製造供給元に依存しないMIBも定義され、一般に公開されている。そのため、デバイス管理装置とデバイスで製造供給元が異なる場合でも、SNMPと共通のMIBがデバイス管理装置とデバイスのそれぞれに実装されていた場合には、情報を送受信することが可能である。しかし、情報を送受信することができる情報はデバイス管理装置と各デバイス間で共通に持つことができるMIBの情報の範囲に限定される。
【0007】
デバイスの製造供給元が協議し、同じ情報をデバイスで持つことが出来れば、共通情報の範囲を広く持つことができる。
【0008】
例えば、BMLinkS(ビーエムリンクス、非特許文献2)と呼ばれる仕様が定義されており、製造供給元はこの仕様をデバイスに実装することで、各社のデバイス間において、前記のMIBよりも、より多くの情報を送受信することが可能となる。(「§BMLinkS」は登録商標)
デバイス管理装置とデバイス間で情報を送受信する方法としてSNMPやBMLinkSなどが複数提供されている場合には、どの方法で情報を送受信するかを効率よく決めておく必要がある。
【0009】
特許文献1では、2つの端末装置で情報を送受信する際に、2つの端末装置間で通信可能な独自プロトコルであれば、ネゴシエーションを省略することで情報送受信の効率化を行っている。
【0010】
また、特許文献2では、ネットワークに接続された監視システム及び複数の監視される装置を有するネットワークシステムで、監視される装置の事業者オブジェクト識別子を取得し、監視システムにより監視される装置がサポートされているか否かを判定することで、送受信の効率化を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−295308号公報
【特許文献1】特許第4210154号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】IETF、“Request for Comments”、[online]、2002年12月、D. Harrington, R. Presuhn, B. Wijnen.、[2009年4月14日検索]、インターネット<URL:http://www.ietf.org/rfc/rfc3411.txt?number=3411>
【非特許文献2】BMLinkSプロジェクト委員会、“BMLinkS ホームページ”、[online]、2009年2月10日、社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会、[2009年3月8日検索]、インターネット<URL:http://www.jbmia.or.jp/bmlinks/index.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
デバイス管理装置の管理対象デバイスがどの通信規約をサポートしているかがわからなければ、本来取得できるはずの十分な情報を収集ことができない。
【0014】
そこで、管理対象デバイスの種別を判定し、効率よく取得可能な方法で情報を取得できるようにすることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
ネットワークに接続された1つ以上のデバイスを管理するデバイス管理装置において、自社機かまたは他社機か、他社機の場合には、各社共通の通信規約で情報を取得が可能かどうかの情報をデバイスから取得する手段と(S102、S104)、前記のデバイスから取得した情報を保存する手段と(S103、S105、S106)、自社機か他社機かを判別する手段(S202)と、他社機の場合には、各社共通の通信規約で通信可能かどうかを確認する手段と(S204)、デバイス管理装置の機能として各社共通の通信規約で情報取得を行うかどうかを確認する手段と(S205)各社共通の通信規約で情報取得を行う手段と(S207)、他社機で各社共通の通信規約での通信が不可の場合には、標準規約で情報を取得する手段と(S206)、自社機の場合には、自社機専用の方法で情報を取得する手段と(S203)、を有することを特徴とするデバイス管理装置。
【発明の効果】
【0016】
デバイス管理装置の管理対象デバイスがどの通信規約をサポートしているかを知ることで、効率よく情報を収集することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】複数のデバイスとデバイス管理装置の構成を示す図である。
【図2】課題解決のためのフローチャートである。
【図3】課題解決のためのフローチャートである。
【図4】デバイス管理装置のソフトウェアプログラム構成図を示す図である。
【図5】デバイス管理装置のH/W構成図を示す図である。
【図6】デバイス種類に関するデータ構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
はじめに、デバイス管理装置が対象デバイスをネットワーク上から検索する際の動作を図2を用いて説明を行う。
【0019】
デバイス管理装置がネットワーク上の対象デバイスを検索する際には、デバイス管理装置は、SNMPなどのプロトコルを用いて対象デバイスから、デバイス名などの最低限必要な情報を取得する。
【0020】
最低限必要な情報が取得できた場合に次の動作を行う。
【0021】
図2のステップS101において、最低限必要な情報が取得できた場合に、ステップS102でSNMPなどのプロトコルで自社機か他社機かどうかを見分けるMIB情報を取得する。例えば、自社機であれば、自社専用のMIBが定義されているので、判別可能である。
【0022】
ステップS102で他社機ではないと判別された場合には、ステップS103において、デバイス管理装置である図5のSEV502は、デバイス管理装置内のハードディスクなどの記憶装置である図5のHD501に自社機であるという情報を保存する。前記保存先は、デバイス管理装置のコンピュータプログラムとしては、図4のPRG401内のデータ保存部図4のDB401である。
【0023】
ステップS102で他社機であると判別された場合には、ステップS104において、この例ではBMLinkS対応機かどうかを判別し、BMLinkS対応機であれば、ステップS105でデバイス管理装置は、図4のPRG401内のデータ保存部である図4のDB401にBMLinkS対応機であるという情報を保存する。また、ステップS104において、BMLinkS対応機でなければ、ステップS106でデバイス管理装置は、他社機であるという情報を図4のPRG401内のデータ保存部である図4のDB401に書き込む。書き込まれるデータは、図6で示したデータベース上のテーブルTAB601に保存される。図6の例では、COL601にはデバイス名を書き、自社機であればCOL602の値として1を、COL603とCOL604に0を書き込む。また、他社機であれば、COL603の値として、1を書き込み、COL602とCOL604は0とする。さらに、BMLinkS対応機であれば、COL603とCOL604に1を、COL602に0を書き込む。
【0024】
次に、デバイス管理装置が対象デバイスからデバイス構成情報などの詳細な情報を取得する際の動作について図3を用いて説明を行う。
【0025】
デバイス管理装置がUIからの操作などにより、詳細情報取得の動作が開始されると、デバイス管理装置は対象デバイスがステップS202で図4のPRG401内のデータ保存部である図4のDB401から他社機かどうかの情報を取得する。
【0026】
前記図4のDB401から取得する値は、図2のフローチャートで説明したテーブルの値を用いる。
【0027】
他社機でなければ、つまり自社機であれば、ステップS203で自社機専用の方法で情報を取得する。この例では、SNMPの自社機用のMIBで情報を取得する。
【0028】
また、他社機であれば、ステップS204に移行する。
【0029】
ステップS204では、デバイス管理装置がBMLinkSで情報を取得する能力があるかどうか判定する。BMLinkSで情報を取得するには、BMLinkS情報取得用の機能が、図5のデバイス管理装置SEV502に図4のプログラムPRG401の一部として導入されている必要がある。また、そのBMLinkS情報取得用の機能が図5のメモリRAM501上にロードされ、プログラムPRG401の一部として動作可能な状態である必要がある。デバイス管理装置へBMLinkS情報取得機能追加がユーザ操作などから指示されると、プログラムPRG401において、BMLinkSユーザーインターフェース部UI402、BMLinkSデータ処理部DAT402、BMLinkSプロトコル解析部PTL402がプログラムPRG401に追加され、実行される。デバイス管理装置はユーザーインターフェース部UI402などが追加され、メモリ上に存在するかを確認することで、BMLinkSで情報を取得する能力があるかどうかを判定することができる。
【0030】
ステップS204で、デバイス管理装置としてBMLinkS情報取得用の機能が使用できないと判定された場合には、ステップS206に移行し、他社機として、SNMPプロトコルの標準MIBで情報取得を行う。
【0031】
ステップS204でデバイス管理装置としてBMLinkS情報取得用の機能が使用可能と判定された場合には、ステップS205に移行する。
【0032】
ステップS205で、図4のPRG401内のデータ保存部である図4のDB401からデータを取得し、BMLinkSで情報取得可能なデバイスかを判定する。
【0033】
前記図4のDB401から取得する値は、図2のフローチャートで説明したテーブルの値を用いる。
【0034】
ステップS205で、BMLinkSで情報取得可能なデバイスと判定された場合には、ステップS207に移行し、BMLinkSで情報取得を行う。
【0035】
ステップS205で、BMLinkSで情報取得不可能なデバイスと判定された場合には、ステップS206に移行し、他社機として、SNMPプロトコルの標準MIBで情報取得を行う。
【0036】
このように、デバイス管理装置が管理対象デバイスから情報を取得する際に、どの通信規約をサポートしているかを確認することで、効率よく情報を収集することが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
D101 管理対象のデバイス
M101 デバイス管理装置
S204 デバイス管理装置がBMLinkSに対応しているか判定するステップ
S205 デバイスがBMLinkSに対応しているか否か判定するステップ
PRG401 本発明の実施例を実行するためのデバイス管理装置上のプログラム
DB401 デバイス管理装置上のプログラムのデータベース
SEV502 ネットワークに接続されたデバイス管理装置
HD501 デバイス管理装置のハードディスク
RAM501 デバイス管理装置のプログラムがロードされる記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された1つ以上のデバイスを管理するデバイス管理装置において、自社機かまたは他社機か、他社機の場合には、各社共通の通信規約で情報を取得が可能かどうかの情報をデバイスから取得する手段と(S102、S104)、前記のデバイスから取得した情報を保存する手段と(S103、S105、S106)、自社機か他社機かを判別する手段(S202)と、他社機の場合には、各社共通の通信規約で通信可能かどうかを判定する手段と(S204)、
デバイス管理装置の機能として各社共通の通信規約で情報取得を行うかどうかを判定する手段と(S205)各社共通の通信規約で情報取得を行う手段と(S207)、他社機で各社共通の通信規約での通信が不可の場合には、標準規約で情報を取得する手段と(S206)、自社機の場合には、自社機専用の方法で情報を取得する手段と(S203)、を有することを特徴とするデバイス管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワークに接続された1つ以上のデバイスを管理するデバイス管理装置において、請求項1に記載の各社共通の通信規約としてBMLinkSを用い、請求項1に記載の標準規約として標準MIBを用いることを特徴とするデバイス管理装置。
【請求項3】
ネットワークに接続された1つ以上のデバイスを管理するデバイス管理装置において、自社機かまたは他社機か、他社機の場合には、各社共通の通信規約で情報を取得が可能かどうかの情報をデバイスから取得する手段と(S102、S104)、前記のデバイスから取得した情報を保存する手段と(S103、S105、S106)、自社機か他社機かを判別する手段(S202)と、他社機の場合には、各社共通の通信規約で通信可能かどうかを判定する手段と(S204)、
デバイス管理装置の機能として各社共通の通信規約で情報取得を行うかどうかを判定する手段と(S205)各社共通の通信規約で情報取得を行う手段と(S207)、他社機で各社共通の通信規約での通信が不可の場合には、標準規約で情報を取得する手段と(S206)、自社機の場合には、自社機専用の方法で情報を取得する手段と(S203)、を有することを特徴とするデバイス管理方法。
【請求項4】
請求項1に記載のネットワークに接続された1つ以上のデバイスを管理するデバイス管理装置において、請求項1に記載の各社共通の通信規約としてBMLinkSを用い、請求項1に記載の標準規約として標準MIBを用いることを特徴とするデバイス管理方法。
【請求項5】
ネットワークに接続された1つ以上のデバイスを管理するデバイス管理装置において、自社機かまたは他社機か、他社機の場合には、各社共通の通信規約で情報を取得が可能かどうかの情報をデバイスから取得するステップと(S102、S104)、前記のデバイスから取得した情報を保存するステップと(S103、S105、S106)、自社機か他社機かを判別するステップ(S202)と、他社機の場合には、各社共通の通信規約で通信可能かどうかを判定するステップと(S204)、
デバイス管理装置の機能として各社共通の通信規約で情報取得を行うかどうかを判定するステップと(S205)各社共通の通信規約で情報取得を行うステップと(S207)、他社機で各社共通の通信規約での通信が不可の場合には、標準規約で情報を取得するステップと(S206)、自社機の場合には、自社機専用の方法で情報を取得するステップと(S203)、を有することを特徴とするデバイス管理方法を実行するプログラム。
【請求項6】
請求項1に記載のネットワークに接続された1つ以上のデバイスを管理するデバイス管理装置において、請求項1に記載の各社共通の通信規約としてBMLinkSを用い、請求項1に記載の標準規約として標準MIBを用いることを特徴とするデバイス管理方法を実行するプログラム。
【請求項7】
ネットワークに接続された1つ以上のデバイスを管理するデバイス管理装置において、自社機かまたは他社機か、他社機の場合には、各社共通の通信規約で情報を取得が可能かどうかの情報をデバイスから取得するステップと(S102、S104)、前記のデバイスから取得した情報を保存するステップと(S103、S105、S106)、自社機か他社機かを判別するステップ(S202)と、他社機の場合には、各社共通の通信規約で通信可能かどうかを判定するステップと(S204)、
デバイス管理装置の機能として各社共通の通信規約で情報取得を行うかどうかを判定するステップと(S205)各社共通の通信規約で情報取得を行うステップと(S207)、他社機で各社共通の通信規約での通信が不可の場合には、標準規約で情報を取得するステップと(S206)、自社機の場合には、自社機専用の方法で情報を取得するステップと(S203)、を有することを特徴とするデバイス管理方法を実行するプログラムを含む記憶媒体。
【請求項8】
請求項1に記載のネットワークに接続された1つ以上のデバイスを管理するデバイス管理装置において、請求項1に記載の各社共通の通信規約としてBMLinkSを用い、請求項1に記載の標準規約として標準MIBを用いることを特徴とするデバイス管理方法を実行するプログラムを含む記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−95895(P2011−95895A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247523(P2009−247523)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】