説明

デュプレクサ

【課題】小型で送受信信号の分離特性が良好なデュプレクサを提供すること。
【解決手段】デュプレクサの配置エリアにおける後方側中央にアンテナポートを配置し、そのアンテナポートよりも左側、右側の夫々に高域側フィルタ及び低域側フィルタを配置し、アンテナポートから見て低域側フィルタにおける最後段の並列腕と高域側フィルタにおける最後段の並列腕と第1の信号ポートと第2の信号ポートとがアンテナポートよりも前方側に位置し、低域側フィルタにおける前記最後段の並列腕よりも前段側の並列腕の接地側と、高域側フィルタにおける前記最後段の並列腕よりも前段側の並列腕の接地側とを、圧電基板に形成された導電路によりアンテナポートよりも後方側を介して互いに接続し、前記導電路により接続される並列腕は最後段の並列腕よりも後方側に位置させる。これによって高域側の分離特性が改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通のアンテナを用いて送受信を行うために、周波数の異なる送信信号と受信信号とを分離して取り出すデュプレクサに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型電話機等の双方向無線通信機能をもつ装置およびこの種の装置を通信端末とする無線通信システムでは、当該通信端末がもつ1本のアンテナを使用した送受信を可能とするため、送信電波の周波数と受信電波の周波数とに差を持たせ、この周波数差を利用してデュプレクサにて送信信号と受信信号とを分離している。
【0003】
デュプレクサは、受信電波を周波数選択して装置内の受信処理部に出力する受信側のフィルタと、装置内の送信処理部からの送信信号を周波数選択してアンテナへと出力する、受信側とは中心周波数の異なる送信側のフィルタと、から構成されている。
【0004】
図13は一般に用いられるデュプレクサ100の構成例を示している。この例においてデュプレクサ100は、1つのアンテナポート2に対して、受信電波(例えば、中心周波数f=2,140MHz)の周波数を選択して装置内の受信処理部(図示省略)に出力する高域側フィルタ4と、装置内の送信処理部(図示省略)からの送信信号(例えば、中心周波数f=1,950MHz)をフィルタ処理(周波数選択)してアンテナポート2に印加する低域側フィルタ3と、が一体的に設けられている。
【0005】
このようにデュプレクサ100は、アンテナポート2に対して低域側フィルタ3と高域側フィルタ4とを並列接続して構成され、アンテナポート2と高域側フィルタ4出口に設けられた高域側フィルタポート6(高域側フィルタ4の出力ポートに相当する)との間を流れる受信電流に対しては、図17に示す高域側通過周波数帯域115を有する高域側フィルタ特性112を示し、低域側フィルタ3入口部の低域側フィルタポート5(低域側フィルタ3の入力ポートに相当する)とアンテナポート2との間を流れる送信電流に対しては、低域側通過周波数帯域114を有する低域側フィルタ特性111を示す。そしてこれら2つのフィルタ3、4は、低域側フィルタポート5と高域側フィルタポート6との間では、通過周波数帯域を持たないアイソレーション特性(分離特性)113を良好にすることにより、送受信信号が設計方向とは逆のフィルタ3、4へと流れ込まないようになっている。
【0006】
このような機能を備えたデュプレクサ100を構成する低域側フィルタ3や高域側フィルタ4には、例えばSAW(Surface Acoustic Wave)共振子のような小型で低損失の弾性波共振子を、梯子状(型)に接続したラダー型フィルタを採用したものがある。例えば図13に示した低域側フィルタ3は各々が弾性波共振子からなる3つの直列腕31a、31b、31cを低域側フィルタポート5からアンテナポート2に向かってこの順に直列に連結し、そして直列腕31aの前段、1段目及び2段目の直列腕31a,31bの間、2段目及び3段目の直列腕31b,31cの間に夫々弾性波共振子よりなる並列腕32a、32b、32cを夫々接続した6段のラダー型フィルタとなっている。
【0007】
一方、図13に示した高域側フィルタ4についても、各々弾性波共振子からなる直列腕41a、41b、41cをアンテナポート2から高域側フィルタポート6に向かってこの順に直列に連結し、そして弾性波共振子からなる並列腕42a〜42cが低域側フィルタ3と同様に各直列腕の間及び直列腕41cの後段に夫々連結された6段のラダー型フィルタとなっている。つまり、各フィルタ3,4について、低域側フィルタポート5側及び高域側フィルタポート6側は夫々、直列腕から各フィルタポート5,6側に向かって並列腕が接続されたπ型の回路として構成されており、各並列腕32a〜32c、42a〜42cは接地されている。
【0008】
図14はデュプレクサ100を構成するチップの一例であり、角型の圧電基板11,12に前記ラダー型フィルタを構成する低域側フィルタ3、高域側フィルタ4が夫々形成されており、圧電基板11,12及び後述の各圧電基板10は、例えばLiTaOやLiNbO、水晶等から構成されている。この図14に示すようにフィルタ3,4を別々の圧電基板11,12に形成する理由を説明すると、デュプレクサでは低域側フィルタポート5、高域側フィルタポート6間の前記アイソレーション特性113について高減衰を要求されている。しかし、圧電基板における比誘電率は空気の比誘電率よりも高いので、共通の圧電基板に高域側フィルタ、低域側フィルタを形成すると、圧電基板内部の浮遊容量によりフィルタ間における素子同士の電気的結合が起きる恐れがある。そこで、別々の圧電基板に高域側フィルタ4、低域側フィルタ3を形成して、前記浮遊容量の影響を抑えて前記アイソレーション特性113への影響を抑えることにより、その高減衰の要求に応えている。
【0009】
図中上側を後方側、下方を前方側とすると、圧電基板11の右側後方には前記アンテナポートを構成する低域側フィルタアンテナポート2aが、左側前方には低域側フィルタポート5が夫々形成されており、これらが圧電基板11にパターニングされた接続線103を介して前記低域側フィルタ3をなす直列腕31a〜31c及び並列腕32a〜32cに接続されている。この低域側フィルタアンテナポート2a及び後述のフィルタアンテナポート2bはこの圧電基板11,12が搭載されるパッケージに設けられた導電路を介して互いに電気的に接続され、前記アンテナポート2を構成する。また、図中33a〜33cは並列腕32a〜32cを接地させるための接地ポートであり、各並列腕32a〜32cの下流側に設けられている。直列腕31aへの送信信号の入力部は、低域側フィルタポート5に接続されていて、図示しない送信処理部からの送信信号が低域側フィルタ3へと入力されるようになっている。
【0010】
圧電基板12には高域側フィルタアンテナポート2b、高域側フィルタポート6が後方側、前方側に夫々形成されており、これらが圧電基板12にパターニングされた接続線104によって前記高域側フィルタ4をなす直列腕41a〜41c及び並列腕42a〜42cに連結されている。また、図中43a〜43cは並列腕42a〜42cを接地させるための接地ポートであり、各並列腕42a〜42cの下流側に設けられている。
【0011】
圧電基板11,12において、低域側フィルタポート5、高域側フィルタポート6よりもフィルタアンテナポート2a,2bが夫々後方側に配置されているのは、フィルタアンテナポート2a,2bと低域側フィルタポート5、高域側フィルタポート6との間で夫々短絡が起きることを防ぐために、これら圧電基板内におけるポート間の距離を大きくすることを目的としている。また、後述する図のアンテナポート2も同様の理由で圧電基板10において、低域側フィルタポート5、高域側フィルタポート6よりも後方側に配置される。
【0012】
各圧電基板11,12はこの図14に示したレイアウト、つまり各フィルタアンテナポート2a,2bが接近し、フィルタポート5,6の距離が大きくなるように左右に配列された状態で前記パッケージに搭載される。これはフィルタポート5,6間の短絡を抑える一方でフィルタアンテナポート2a、2b間の距離を短くすることで各フィルタの特性の向上を図ることができるためである。
【0013】
各SAW共振子31a〜31c、32a〜32b、41a〜41c及び42a〜42bは、各圧電基板と、この圧電基板上にパターニングされて形成された電極部7とから構成されており、夫々の電極部7は図15(a)に示した周知のIDT電極71及び、当該IDT電極71の左右に配置された反射器72を含んでいる。なお図14等、以下に説明する各図においては、これらIDT電極71及び反射器72を図15(b)に示すように簡略化して示してある。また、識別を容易にするため、以下に説明する各図では、適宜直列腕31a〜31c、41a〜41cには「s」の識別符号を付し、並列腕32a〜32c、42a〜42cには「p」の識別符号を付す。
【0014】
ところで、近年の携帯型電話機等の更なる小型化に伴ってデュプレクサについても、より小型のものが要求されるようになってきており、例えば図16に示すように2つのラダー型フィルタを1チップ化して、1つの圧電基板に形成する必要性が出てきた。
【0015】
本例では圧電基板10は左右対称に構成され、図中左側の領域において低域側フィルタ3を構成する直列腕31a〜31c、並列腕32a〜32c、各接地ポート33a〜33c及び低域側フィルタポート5が圧電基板11におけるレイアウトと同様のレイアウトで配置されている。また、圧電基板10の図中右側の領域には高域側フィルタ4を構成する直列腕41a〜41c、並列腕42a〜42c、各接地ポート43a〜43c及び高域側フィルタポート6が圧電基板12におけるレイアウトと同様のレイアウトで配置されている。
【0016】
また、圧電基板10の左右の中心よりも左側の領域、右側の領域においては夫々圧電基板11、12に夫々形成された接続線103,104と夫々略同様のレイアウトで導電路105が形成されており、この導電路105は圧電基板10の左右の中心で合流し、圧電基板10を後方側に向かってアンテナポート2に接続されている。これら直列腕及び並列腕及び各ポートの詳細なレイアウトにおいては、この本発明の実施形態にかかるデュプレクサ1のレイアウトと同様であるので、その実施の形態で説明する。
【0017】
上記のようにデュプレクサ100を1枚の圧電基板10に形成した場合、圧電基板10内部の浮遊容量により、例えば図18で示すようにC1〜C15で示すように各低域側フィルタ3内及び高域側フィルタ4内におけるSAW共振子を構成する電極間及び高域側フィルタ4のSAW共振子の電極と低域側フィルタ3のSAW共振子の電極との間でカップリングが起こり、不要な経路が発生する。その結果として、高域側のアイソレーション特性113が劣化してしまうという問題がある。なお、2つの各圧電基板11,12に低域側フィルタ3、高域側フィルタ4が形成された場合であってもその圧電基板11,12の小型化が進んで素子間の距離が近づいたり、基板間の距離が近づけばこのような図18で示すカップリングが発生して、アイソレーション特性が劣化する恐れがある。
【0018】
特許文献1にはデュプレクサについて記載されているが、低域側フィルタを構成する、低域側フィルタポートに最も近い並列腕SAW共振子が高域側の並列腕振動子と接続されているため、本発明とは異なる構成である。また、特許文献2にはデュプレクサでは並列腕SAW共振子が互いに接続されていないため本発明とは異なる構成である。また、これらの特許文献には既述のカップリングの問題については何ら言及されておらず、これらの特許文献の発明では上記の問題を解決することができない。
【特許文献1】特開2002−368572(図2)
【特許文献2】特開2007−189501(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、小型で送受信信号の分離特性が良好なデュプレクサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明のデュプレクサは、第1の信号ポート及びアンテナポート間に設けられ、直列腕をなす弾性波共振子及び並列腕をなす弾性波共振子を含むラダー型フィルタからなる低域側フィルタと、低域側フィルタよりも高い通過帯域を備えると共に第2の信号ポート及びアンテナポート間に設けられ、直列腕をなす弾性波共振子及び並列腕をなす弾性波共振子を含むラダー型フィルタからなる高域側フィルタと、を圧電基板上に設けたデュプレクサにおいて、
デュプレクサの配置エリアにおける後方側中央にアンテナポートを配置したことと、
アンテナポートよりも左側及び右側の一方及び他方に夫々高域側フィルタ及び低域側フィルタを配置したことと、
アンテナポートから見て低域側フィルタにおける最後段の並列腕と高域側フィルタにおける最後段の並列腕と第1の信号ポートと第2の信号ポートとがアンテナポートよりも前方側に位置していることと、
低域側フィルタにおける前記最後段の並列腕よりも前段側の並列腕の接地側と、高域側フィルタにおける前記最後段の並列腕よりも前段側の並列腕の接地側とを、圧電基板に形成された導電路によりアンテナポートよりも後方側を介して互いに接続したことと、
前記導電路により接続される並列腕は最後段の並列腕よりも後方側に位置していることと、
を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明のデュプレクサは、第1の信号ポート及びアンテナポート間に設けられ、直列腕をなす共振素子及び並列腕をなす共振素子を含むラダー型フィルタからなる低域側フィルタと、低域側フィルタよりも高い通過帯域を備えると共に第2の信号ポート及びアンテナポート間に設けられ、直列腕をなす共振素子及び並列腕をなす共振素子を含むラダー型フィルタからなる高域側フィルタと、を圧電基板上に設け、アンテナポートから見て低域側フィルタの最も第1の信号ポート寄りの直列腕または高域側フィルタの最も第2の信号ポート寄りの直列腕は縦モード共振器型フィルタであり、それ以外の共振素子は弾性波共振子であるデュプレクサにおいて、
デュプレクサの配置エリアにおける後方側中央にアンテナポートを配置したことと、
アンテナポートよりも左側及び右側の一方及び他方に夫々高域側フィルタ及び低域側フィルタを配置したことと、
アンテナポートから見て縦モード共振器型フィルタと、この縦モード共振器型フィルタが設けられていない低域側フィルタまたは高域側フィルタにおける最後段の並列腕と、第1の信号ポートと、第2の信号ポートとがアンテナポートよりも前方側に位置していることと、
縦モード共振器型フィルタが設けられた低域側フィルタまたは高域側フィルタにおける当該縦モード共振器型フィルタの前段側の並列腕の接地側と、縦モード共振器型フィルタが設けられていない低域側フィルタまたは高域側フィルタにおける前記最後段の並列腕よりも前段側の並列腕の接地側とを、圧電基板に形成された導電路によりアンテナポートよりも後方側を介して互いに接続したことと、
前記導電路により接続される並列腕は、縦モード共振器型フィルタが設けられていない低域側フィルタまたは高域側フィルタにおける最後段の並列腕及び前記縦モード共振器型フィルタよりも後方側に位置していることと、を特徴とする。
【0022】
さらに本発明のデュプレクサは、第1の信号ポート及びアンテナポート間に設けられ、直列腕をなす共振素子及び並列腕をなす共振素子を含むラダー型フィルタからなる低域側フィルタと、低域側フィルタよりも高い通過帯域を備えると共に第2の信号ポート及びアンテナポート間に設けられ、直列腕をなす共振素子及び並列腕をなす共振素子を含むラダー型フィルタからなる高域側フィルタと、を圧電基板上に設け、アンテナポートから見て低域側フィルタの最も第1の信号ポート寄りの直列腕及び高域側フィルタの最も第2の信号ポート寄りの直列腕は縦モード共振器型フィルタであり、それ以外の共振素子は弾性波共振子であるデュプレクサにおいて、
デュプレクサの配置エリアにおける後方側中央にアンテナポートを配置したことと、
アンテナポートよりも左側及び右側の一方及び他方に夫々高域側フィルタ及び低域側フィルタを配置したことと、
アンテナポートから見て各縦モード共振器型フィルタと、第1の信号ポートと、第2の信号ポートとがアンテナポートよりも前方側に位置していることと、
低域側フィルタにおける当該縦モード共振器型フィルタの前段側の並列腕の接地側と、高域側フィルタにおける縦モード共振器型フィルタよりも前段側の並列腕の接地側とを、圧電基板に形成された導電路によりアンテナポートよりも後方側を介して互いに接続したことと、
前記導電路により接続される並列腕は、縦モード共振器型フィルタよりも後方側に位置していることと、を特徴とする。
【0023】
前記導電路は、前記圧電基板に設けられる代わりに当該圧電基板を支持する支持部材に設けられ、この導電路の圧電基板への投影領域が前記アンテナポートよりも後方側に位置してもよい。また、前記圧電基板は、前記低域側フィルタ及び第1の信号ポートが形成された支持部材により支持される第1の圧電基板と、第1の圧電基板の横方向に当該第1の基板と共に前記支持部材を介して配置される、前記高域側フィルタ及び第2の信号ポートが形成された第2の圧電基板とにより構成され、
前記第1の圧電基板、第2の圧電基板には前記支持部材に支持されたときに、前記支持部材に設けられた支持導電路を介して前記導電路を形成する導電部材が各々設けられ、前記支持導電路の第1の圧電基板及び第2の圧電基板への投影領域は前記アンテナポートよりも前記後方側に位置してもよい。
【0024】
前記導電路は、アンテナポートから見て圧電基板の左右に各々配置され、並列腕を接地させるための接地ポートを互いに接続していてもよい。
【発明の効果】
【0025】
後述の評価試験で示すようにアンテナポートから見て低域側フィルタ、高域側フィルタ夫々に設けられた最後段の一つ手前の並列腕の接地側を互いに導電路により接続して、この導電路をアンテナポートから見て第1及び第2の信号ポートの配置された側を前方側とすると、当該アンテナポートよりも後方側に配置する
ことで、小型で送受信信号の分離特性が良好なデュプレクサを得ることができる。
また、最も信号ポートよりの直列腕が縦モード共振器型フィルタである場合にも、縦モード共振器型結合型フィルタの手前側の並列腕の接地側を用いて高域側フィルタ、低域側フィルタ間を導電路により接続して、その導電路を上記のように配置することで同様に、小型で送受信信号の分離特性が良好なデュプレクサを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図1に示した平面図を参照しながら本実施の形態に係るデュプレクサ1の構成について説明する。デュプレクサ1は、既述のデュプレクサ100と同様にSAW共振子が6段に接続されたラダー型フィルタよりなる低域側フィルタ3と、同様にラダー型フィルタよりなる高域側フィルタ4とにより構成されている。そして、このデュプレクサ1において、各フィルタを構成するSAW共振子の接続順序については既に説明したデュプレクサ100における低域側フィルタ3、高域側フィルタ4の構成と同様なので省略する。
【0027】
図1のデュプレクサ1においては、前記フィルタ3,4が共通の角形の圧電基板10に設けられて形成されており、その圧電基板10の左右の中央部で当該基板の後方側よりにアンテナポート2が形成されている。そして圧電基板10の左側、右側の領域には夫々低域側フィルタ3、高域側フィルタ4が形成されている。
【0028】
低域側フィルタ3が構成される圧電基板10の左半分の領域について説明すると、圧電基板10の前方左側隅部には第1の信号ポートである低域側フィルタポート5が形成されており、アンテナポート2よりも前方側且つ低域側フィルタポート5の後方側には左側から右側に向かって直列腕31a、31b、31cがこの順に配列されている。また、直列腕31aの前方側、後方側には並列腕32a、32bが夫々配列され、直列腕31bの後方側には並列腕32cが配列されている。これら直列腕31a〜31c及び並列腕32a〜32cは圧電基板10にパターニングされて形成された導電路をなす接続線16によって既述のように連結され、ラダー型フィルタが構成されている。また、並列腕32aの右側、並列腕32bの後方側、並列腕32cの後方側に夫々接地ポート33a〜33cが形成されており、前記接続線16を介して並列腕32a〜32cに夫々接続されている。これら接地ポート33a〜33cを夫々介して並列腕32a〜32cは接地されている。
【0029】
高域側フィルタ4が構成される圧電基板10の右半分の領域について説明すると、圧電基板10の前方右側隅部には第2の信号ポートである高域側フィルタポート6が形成されており、圧電基板10の右半分の領域にてアンテナポート2よりも前方側且つ高域側フィルタポート6の後方側にて左側から右側に向かって直列腕41a、41b、41cがこの順に配列されている。また、直列腕41cの前方側、後方側には並列腕42a、42bが夫々配列され、直列腕41bの後方側には並列腕42aが配列されている。これら直列腕41a〜41c及び並列腕42a〜42cは接続線16によって既述のように連結され、ラダー型フィルタを構成している。また、並列腕42cの左側、並列腕42bの後方側、並列腕42aの後方側に夫々接地ポート43a〜43cが形成されており、前記接続線16を介して並列腕42a〜42cに夫々接続されている。これら接地ポート43a〜43cを夫々介して並列腕42a〜42cは接地されている。
【0030】
接地ポート33cと接地ポート43aとは前記接続線16と同様に圧電基板10にパターニングされた接続線17によって電気的に接続されており、接続線17は圧電基板10上をアンテナポート2の後方側、つまりアンテナポート2から見てフィルタポート5,6が形成されている方向とは反対側をその長さが最短になるように形成されている。
【0031】
図2は図1で示したデュプレクサ1の回路図である。上述の高域側フィルタ4は、図2に示すように高域側フィルタポート側がπ型に構成された(π側終端された)T型6段のラダー型フィルタとして、アンテナポート2より入力された受信信号を周波数選択する機能を備えている。ここで高域側フィルタ4により受信信号を周波数選択する原理について簡単に説明すると、高域側フィルタ4の各並列腕42a〜42cは、図に示した高域側通過周波数帯域115よりも周波数の低い信号に対してインピーダンスが極小となり、高域側通過周波数帯域115の中心周波数を有する信号に対してインピーダンスが極大となるように図15(a)に示す各電極指73間の間隔「d1」が設定されている。
【0032】
一方、高域側フィルタ4の各直列腕41a〜41cは、高域側通過周波数帯域115の中心周波数を有する信号に対してインピーダンスが極小となり、高域側通過周波数帯域115よりも周波数の高い信号に対してインピーダンスが極大となるように、図15(a)に示す各電極指73間の間隔「d1」が設定されている。このように設定されている直列腕41a〜41c、並列腕42a〜42cが既述のようにラダー型に接続されているところに、並列腕42a〜42cのインピーダンスが極小となる周波数を有する受信信号が印加されると、当該受信信号に対して各並列腕42a〜42cは接地ポート43a〜43cに短絡された状態となるため、この受信信号は高域側フィルタポート6へは到達しない。
【0033】
この状態から、受信信号の周波数を上げていくと、受信信号に対する並列腕42a〜42cのインピーダンスが高くなっていく一方、直列腕41a〜41cのインピーダンスは低くなっていくため、1段目の直列腕41aから3段目の直列腕41cまでが導通され、高域側フィルタポート6に受信信号が到達する。そして、更に受信信号の周波数を上げていくと、直列腕41a〜41cのインピーダンスが高くなって、受信信号はアンテナポート2から直列腕41a〜41cへと流れ込まなくなる。こうした高域側フィルタ4の機能により、図17に示したように高域側通過周波数帯域115の周波数を有する受信信号をアンテナポート2から高域側フィルタポート6へと通過させ、当該高域側通過周波数帯域115以外の周波数を有する信号は高域側フィルタポート6へと到達させない高域側フィルタ特性112が実現される。
【0034】
また、低域側フィルタ3についても、上述の高域側フィルタ4と同様の原理により、低域側通過周波数帯域114の周波数を有する送信信号を低域側フィルタポート5からアンテナポート2へと通過させ、当該低域側通過周波数帯域114以外の周波数を有する信号はアンテナポート2へと到達させない低域側フィルタ特性111を実現するように、各直列腕31a〜31c、並列腕32a〜32cの電極指73の間隔「d1」が設定されている。
【0035】
高域側フィルタ4と低域側フィルタ3との間で高いアイソレーション特性を得るためにはこれらフィルタ間について電気的結合を抑えることが有効であると考えられていたので、高域側フィルタ4の並列腕に接続された接地ポート、低域側フィルタ3の並列腕に接続された接地ポートについては互いに接続しない方が高いアイソレーション特性を得られるものと考えられていた。しかし、後述の評価試験の結果で示すように、実際はこの図1のデュプレクサ1のように高域側フィルタ4における所定の並列腕の後段側と低域側フィルタ3における所定の並列腕の後段側とを接続するように接地ポート間を接続して、低域側フィルタ3と高域側フィルタ4とを互いに接続することで、その接地ポート間を接続しない場合よりも良好なアイソレーション特性を得られることを発明者は明らかにした。
【0036】
ただし、接地ポート間を接続する接続線が圧電基板の前方側に設けられると、十分にアイソレーション特性が向上しないことが発明者によって確認されている。これはその接続線と高域側フィルタポート6及び低域側フィルタポート5との距離が短くなり、その接続線とフィルタポート5,7との間で電気的な結合が起こることにより、アイソレーション特性が劣化するためであると考えられる。
【0037】
このように図1及び図2に示すようにデュプレクサ1を構成することで、アイソレーション特性の向上を図ることができる。これによってデュプレクサの小型化を図ることができるため有効である。
【0038】
ところで、デュプレクサとしては図1の構成に限られず、これら低域側フィルタ、高域側フィルタ夫々についてアンテナポート側から各フィルタポートに向かって見て最後段に設けられた並列腕よりも前段側の並列腕の接地側同士を互いに接続することで、図1のデュプレクサと同様にアイソレーション特性が向上することが発明者により確認されている。すなわち、デュプレクサ1において、接地ポート33c、43a間を接続する代わりに接地ポート33c,33bのいずれかと接地ポート43a,43bのいずれかとを互いに接続して、フィルタ3,4間を接続してもアイソレーション特性の向上を図ることができる。
【0039】
このように接地ポートの接続を変更したデュプレクサ1の変形例において、説明する。図3に示したデュプレクサ1Aは接地ポート33c,43a間を接続線17を介して接続する代わりに、接地ポート33bと43bとの間を接続線17と同様に圧電基板10にパターニングされた接続線18を介して接続されており、接続線18はアンテナポート2の後方側に配置されている。図4は、このデュプレクサ1Aの回路図である。これらの図に示したデュプレクサ1Aについてもデュプレクサ1と同様に高域側のアイソレーション特性を向上させることができる。
【0040】
図5にはデュプレクサ1の他の変形例であるデュプレクサ1Bを構成する圧電基板10の表面を示しており、図6にはデュプレクサ1Bの回路図を示している。このデュプレクサ1Bについては、接地ポート33b,33c,43aが接続線19により互いに接続されている。この接続線19は、接続線17が接地ポート33cからさらに接地ポート33bへと引き延ばされたように直線状に圧電基板10に形成されている。このデュプレクサ1Bについてもデュプレクサ1と同様に高域側のアイソレーション特性を向上させることができる。このように低域側フィルタ3における接地ポート33b,33c間を接続してもよいし、また高域側フィルタ4における接地ポート43a,43b間を接続してもよい。
【0041】
また、各フィルタ3,4についてSAW共振子の接続段数としては6段に限られない。例えば図7にはデュプレクサ1のさらなる変形例であるデュプレクサ1Dの回路図を示している。このデュプレクサ1Dの低域側フィルタ3において直列腕31aよりも低域側フィルタポート5側には直列腕31dが接続されており、並列腕33aは直列腕31a,31d間に接続されている。またデュプレクサ1Dの高域側フィルタ4において直列腕41cよりも高域側フィルタポート6側には直列腕41dが接続されており、並列腕43aは直列腕41c,41d間に接続されている。つまり、各フィルタ3,4のフィルタポート5,6側は夫々T型に構成されている。
【0042】
図7の例ではデュプレクサ1と同様に接地ポート43a、33cを介して並列腕42a、33cの後段側が互いに接続されているが、このように接続段数が6段ではない場合においてもアンテナポート2から見て最後段の1つ手前の並列腕の後段側同士を接続する、つまりこの例では並列腕33b、33cのいずれかと並列腕43a、43bのいずれかとを接続することでアイソレーション特性を向上させることができる。なお、デュプレクサ1Dの圧電基板10のレイアウトについては図示を省略するが、図1と同様に接地ポート43a、33cを接続する接続線はアンテナポート2の後方側を通るものとする。
【0043】
これまでは各フィルタを構成する共振素子として弾性波共振子のみを含む例について説明してきたが、共振素子としてさらに縦モード共振器型フィルタが含まれる例について説明する。図8は、その縦モード共振器型フィルタを含んだデュプレクサ1Eの表面を示している。デュプレクサ1との差異点を説明すると、このデュプレクサ1Eの高域側フィルタ4は、圧電基板10にパターニングされた電極部からなる縦モード共振器型フィルタ70を備えている。図9(a)は縦モード共振器型フィルタ70の構成を示しており、この縦モード共振器型フィルタ70はIDT電極部74と、IDT電極部74の左右両側に設けられたIDT電極部75,76と、IDT電極部75,76のさらに左右両側に設けられた反射器72とを備えている。この縦モード共振器型フィルタ70においても各電極部74〜76の電極指の間隔dは所望のフィルタ特性に応じて設定されている。縦モード共振器型フィルタ70の各電極部及び反射器は図8においては図9(b)に示すように簡略化して示している。
【0044】
IDT電極部74を構成する互いに対となる各電極は圧電基板10に形成された接地ポート43d、高域側フィルタポート6に夫々接続されている。また、IDT電極部75,76を構成する対となる一方の電極は接地ポート43eに接続されており、他方の電極は接続線16を介して直列腕41aに接続されている。このように縦モード共振器型フィルタ70は、高域側フィルタ4において最もフィルタポート6寄りの直列腕として形成されている。そして、直列腕41aと縦モード共振器型フィルタ70との間に並列腕42aが接続されており、この並列腕42aに接続された接地ポート43aと低域側フィルタ3の接地ポート33cとが図1のデュプレクサ1と同様に接続線17により接続されている。
【0045】
このデュプレクサ1Eについても第1の実施形態のデュプレクサ1と同様に高域側のアイソレーション特性113を改善することができる。ところで、このように高域側フィルタが最もフィルタポート寄りに設けられる直列腕として縦モード共振器型フィルタを備える一方で低域側フィルタが弾性波共振子のみにより構成される場合、高域側フィルタにおいてこの縦モード共振器型フィルタよりも手前側のいずれかの並列腕の接地側と、低域側フィルタにおいて最も低域側フィルタポートよりに位置する並列腕より手前に設けられた並列腕の接地側とを互いに接続することでアイソレーション特性113を改善することができる。つまり、このデュプレクサ1Eにおいて、接地ポート43aと接地ポート33cとを接続する代わりに接地ポート43aと接地ポート33bとを接続してもよい。
【0046】
またデュプレクサ1Eとは逆に、低域側フィルタが最もフィルタポートよりに設けられる直列腕として縦モード共振器型フィルタを備える一方で高域側フィルタが弾性波共振子のみにより構成される場合、低域側フィルタにおけるこの縦モード共振器型フィルタよりも手前側のいずれかの並列腕の接地側と、高域側フィルタにおける最もフィルタポート寄りに位置する並列腕より手前に設けられた並列腕の接地側と、を互いに接続することでアイソレーション特性113を改善することができる。そして、低域側フィルタ及び高域側フィルタが共に最もフィルタポート寄りに直列腕として縦モード共振器型フィルタを備える場合については、低域側フィルタ、高域側フィルタそれぞれについて各共振器型フィルタの手前側の並列腕の接地側を互いに接続することでアイソレーション特性の改善を図ることができる。
【0047】
ところで、接地ポート同士を接続するにあたっては、圧電基板にパターニングされた接続線により接続することに限られず、例えば、圧電基板にアルミニウム板やワイヤーなどの導電部材を取り付けて接続してもよく、その電気的接続を行うための材料及び接続工法は問わない。例えば図10に示したデュプレクサ1においては圧電基板10において接地ポート33c、接地ポート43aから圧電基板の左右の中心に向けて接続線81,82が伸びており、その端部には導電性のバンプ83,84が形成されている。
【0048】
この圧電基板10が当該圧電基板10の裏面を支持する支持部材であるパッケージに搭載されると、このバンプ83、84がそのパッケージに設けられた導電性のバンプ85,86に夫々接続される。バンプ85,86は前記パッケージにパターニングされて形成された導電路87を介して互いに電気的に接続されており、このようにバンプ同士が接続されることで、接地ポート33cと接地ポート43aとが、その各バンプ83〜86、導電路87及び接続線81,82を介して電気的に接続されるようになっていてもよい。導電路87の圧電基板10への投影領域は、圧電基板10がパッケージに搭載されて支持されたときに、接続線81、82の延長線上に、つまりアンテナポート2の後方側に位置する。
【0049】
また、低域側フィルタ3、高域側フィルタ4を上記のように1枚の圧電基板に形成する、いわゆる1チップ構成とすることに限られず、別々の圧電基板に形成するいわゆる2チップ構成としてもよい。図11にはその2チップ構成とされたデュプレクサ1の一例を示しており、圧電基板11,12はこの図11に示したレイアウトで既述のパッケージに搭載される。低域側フィルタ3、高域側フィルタ4が夫々搭載された圧電基板11,12の構成は背景技術の欄に示した圧電基板101,102と夫々略同様の構成であるため、その差異点を中心に説明する。圧電基板11においては接地ポート33cからフィルタアンテナポート2aの後方側を通り、圧電基板12側へと向かう接続線91が形成されており、また圧電基板12においては接地ポート43aからフィルタアンテナポート2bの後方側を通り、圧電基板11側へと向かう接続線92が形成されている。
【0050】
接続線91,92は圧電基板11,12に夫々パターニングされて形成されており、接続線91,92の端部にはバンプ83,84が夫々設けられている。そして圧電基板11,12がパッケージに搭載されると、図10のデュプレクサ1と同様に前記パッケージに設けられたバンプ85、86及び導電路87を介して接地ポート33c,43aが電気的に接続される。この例においても導電路87の圧電基板10への投影領域は、圧電基板10がパッケージに搭載されて支持されたときに、接続線91、92の延長線上に、つまりフィルタアンテナポート2a,2bの後方側に位置する。
【0051】
(評価試験)
図1及び図2に示したデュプレクサ1のアイソレーション特性と図16に示したデュプレクサ100のアイソレーション特性とを夫々測定した。図12はその測定結果を示したグラフであり、その横軸は周波数、縦軸はアイソレーション特性を夫々示している。図のグラフにおいて実線、点線は前記デュプレクサ1、前記デュプレクサ100のアイソレーション特性を夫々示している。グラフ中に矢印で示すようにデュプレクサ1においては、デュプレクサ100に比べて高域側のアイソレーション特性が4dB程度改善されており、本発明の効果が実証された。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施の形態に係るデュプレクサの構成例を示す平面図である。
【図2】前記デュプレクサの回路図である。
【図3】前記デュプレクサの第1の変形例を示す平面図である。
【図4】その第1の変形例の回路図である。
【図5】前記デュプレクサの第2の変形例を示す平面図である。
【図6】その第2の変形例の回路図である。
【図7】デュプレクサの第3の変形例の回路図である。
【図8】前記デュプレクサの第4の変形例を示す平面図である。
【図9】前記第3の変形例であるデュプレクサに含まれる縦モード共振器型フィルタの構成図である。
【図10】前記デュプレクサの第5の変形例を示す平面図である。
【図11】前記デュプレクサの第6の変形例を示す平面図である。
【図12】本発明のデュプレクサ及び従来のデュプレクサの夫々のアイソレーション特性を示したグラフである。
【図13】従来のデュプレクサの回路図である。
【図14】前記デュプレクサを構成する基板の平面図である。
【図15】デュプレクサに搭載される共振子のIDT電極の形状を示す平面図である。
【図16】デュプレクサの他の構成例の一例である。
【図17】デュプレクサの周波数特性を示す特性図である。
【図18】従来のデュプレクサに起こるカップリングを示した説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1 デュプレクサ
10、11、12 圧電基板
16、17 接続線
2 アンテナポート
3 低域側フィルタ
4 高域側フィルタ
31a〜31c、41a〜41c 直列腕SAW共振子
32a〜32c、42a〜42c 並列腕SAW共振子
33a〜33c、43a〜43c 接地ポート
5 低域側フィルタポート
6 高域側フィルタポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号ポート及びアンテナポート間に設けられ、直列腕をなす弾性波共振子及び並列腕をなす弾性波共振子を含むラダー型フィルタからなる低域側フィルタと、低域側フィルタよりも高い通過帯域を備えると共に第2の信号ポート及びアンテナポート間に設けられ、直列腕をなす弾性波共振子及び並列腕をなす弾性波共振子を含むラダー型フィルタからなる高域側フィルタと、を圧電基板上に設けたデュプレクサにおいて、
デュプレクサの配置エリアにおける後方側中央にアンテナポートを配置したことと、
アンテナポートよりも左側及び右側の一方及び他方に夫々高域側フィルタ及び低域側フィルタを配置したことと、
アンテナポートから見て低域側フィルタにおける最後段の並列腕と高域側フィルタにおける最後段の並列腕と第1の信号ポートと第2の信号ポートとがアンテナポートよりも前方側に位置していることと、
低域側フィルタにおける前記最後段の並列腕よりも前段側の並列腕の接地側と、高域側フィルタにおける前記最後段の並列腕よりも前段側の並列腕の接地側とを、圧電基板に形成された導電路によりアンテナポートよりも後方側を介して互いに接続したことと、
前記導電路により接続される並列腕は最後段の並列腕よりも後方側に位置していることと、
を備えたことを特徴とするデュプレクサ。
【請求項2】
第1の信号ポート及びアンテナポート間に設けられ、直列腕をなす共振素子及び並列腕をなす共振素子を含むラダー型フィルタからなる低域側フィルタと、低域側フィルタよりも高い通過帯域を備えると共に第2の信号ポート及びアンテナポート間に設けられ、直列腕をなす共振素子及び並列腕をなす共振素子を含むラダー型フィルタからなる高域側フィルタと、を圧電基板上に設け、アンテナポートから見て低域側フィルタの最も第1の信号ポート寄りの直列腕または高域側フィルタの最も第2の信号ポート寄りの直列腕は縦モード共振器型フィルタであり、それ以外の共振素子は弾性波共振子であるデュプレクサにおいて、
デュプレクサの配置エリアにおける後方側中央にアンテナポートを配置したことと、
アンテナポートよりも左側及び右側の一方及び他方に夫々高域側フィルタ及び低域側フィルタを配置したことと、
アンテナポートから見て縦モード共振器型フィルタと、この縦モード共振器型フィルタが設けられていない低域側フィルタまたは高域側フィルタにおける最後段の並列腕と、第1の信号ポートと、第2の信号ポートとがアンテナポートよりも前方側に位置していることと、
縦モード共振器型フィルタが設けられた低域側フィルタまたは高域側フィルタにおける当該縦モード共振器型フィルタの前段側の並列腕の接地側と、縦モード共振器型フィルタが設けられていない低域側フィルタまたは高域側フィルタにおける前記最後段の並列腕よりも前段側の並列腕の接地側とを、圧電基板に形成された導電路によりアンテナポートよりも後方側を介して互いに接続したことと、
前記導電路により接続される並列腕は、縦モード共振器型フィルタが設けられていない低域側フィルタまたは高域側フィルタにおける最後段の並列腕及び前記縦モード共振器型フィルタよりも後方側に位置していることと、
を特徴とするデュプレクサ。
【請求項3】
第1の信号ポート及びアンテナポート間に設けられ、直列腕をなす共振素子及び並列腕をなす共振素子を含むラダー型フィルタからなる低域側フィルタと、低域側フィルタよりも高い通過帯域を備えると共に第2の信号ポート及びアンテナポート間に設けられ、直列腕をなす共振素子及び並列腕をなす共振素子を含むラダー型フィルタからなる高域側フィルタと、を圧電基板上に設け、アンテナポートから見て低域側フィルタの最も第1の信号ポート寄りの直列腕及び高域側フィルタの最も第2の信号ポート寄りの直列腕は縦モード共振器型フィルタであり、それ以外の共振素子は弾性波共振子であるデュプレクサにおいて、
デュプレクサの配置エリアにおける後方側中央にアンテナポートを配置したことと、
アンテナポートよりも左側及び右側の一方及び他方に夫々高域側フィルタ及び低域側フィルタを配置したことと、
アンテナポートから見て各縦モード共振器型フィルタと、第1の信号ポートと、第2の信号ポートとがアンテナポートよりも前方側に位置していることと、
低域側フィルタにおける当該縦モード共振器型フィルタの前段側の並列腕の接地側と、高域側フィルタにおける縦モード共振器型フィルタよりも前段側の並列腕の接地側とを、圧電基板に形成された導電路によりアンテナポートよりも後方側を介して互いに接続したことと、
前記導電路により接続される並列腕は、縦モード共振器型フィルタよりも後方側に位置していることと、
を特徴とするデュプレクサ。
【請求項4】
前記導電路は、前記圧電基板に設けられる代わりに当該圧電基板を支持する支持部材に設けられ、この導電路の圧電基板への投影領域が前記アンテナポートよりも後方側に位置することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載のデュプレクサ。
【請求項5】
前記圧電基板は、前記低域側フィルタ及び第1の信号ポートが形成された支持部材により支持される第1の圧電基板と、第1の圧電基板の横方向に当該第1の基板と共に前記支持部材を介して配置される、前記高域側フィルタ及び第2の信号ポートが形成された第2の圧電基板とにより構成され、
前記第1の圧電基板、第2の圧電基板には前記支持部材に支持されたときに、前記支持部材に設けられた支持導電路を介して前記導電路を形成する導電部材が各々設けられ、前記支持導電路の第1の圧電基板及び第2の圧電基板への投影領域は前記アンテナポートよりも前記後方側に位置することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載のデュプレクサ。
【請求項6】
前記導電路は、アンテナポートから見て圧電基板の左右に各々配置された、並列腕を接地させるための接地ポートを互いに接続することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載のデュプレクサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−21718(P2010−21718A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179309(P2008−179309)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】