説明

データドライバ

【課題】システムのパワー消費を増加させることなしにデータドライバのサイズとチップ面積とコストとを低減することができるデータドライバを提供する。
【解決手段】データドライバは、第1および第2画素データに基づいてそれぞれ正および負の画素電圧を提供する2個のデータ処理回路と、マルチプレクサユニットを含んでいるマルチプレクサ回路とを含んでいる。各マルチプレクサユニットは、それぞれ正および負の画素電圧を受け取る第1および第2入力端子と、データラインに連結された出力端子とを有している。第1スイッチング装置は、第1入力および出力端子間に直列に連結された第1および第2スイッチを有している。第1および第2スイッチ間のノードは、第3スイッチを介して選択的に接地されている。第2スイッチング装置は、第2入力および出力端子間に直列に連結された第4および第5スイッチを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にドライバに関し、さらに詳細にはデータドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2008年6月26日に出願された台湾特許出願第97123913号の利益を主張しており、同出願の主題事項は引用により本出願に組み込まれる。
液晶ディスプレイを駆動する方法において、液晶分子の物理的特性の損傷を防止するために、異なる極性の電圧を交互に印加して液晶分子を駆動しなければならない。固定共通電圧を利用した駆動方法においては、データドライバが、データドライバから出力される電圧の極性を変えることにより液晶分子を適切に駆動する。
【0003】
従来から、データドライバが液晶分子を駆動しているとき、駆動電圧のレベルは約−6ボルト〜6ボルトの範囲である。この時データドライバに使用されている回路素子が耐える最大クロスオーバー電圧は、12ボルト(−6ボルト〜6ボルト)であってもよい。液晶ディスプレイを駆動するプロセスにおいて12ボルトのクロスオーバー電圧に耐えるためには、高電圧に耐えられる回路素子をデータドライバに使用しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高電圧に耐えられる回路素子を使用したデータドライバは、サイズが大きすぎ且つコストが高く、不利である。したがって、データドライバのサイズとコストとを低減することは、工業において重要な課題である。
本発明はデータドライバの提供を目的とし、このデータドライバにおいては、使用されている、高電圧に耐えられる回路素子の数を減らすことができ、システムのパワー消費を増加させることなしにデータドライバのサイズとチップ面積とコストとを低減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
データドライバは、ディスプレイパネルの複数個のデータラインを複数個の画素データに対応して駆動するためのものであってもよい。この場合、これらの画素データは、第1画素データと第2画素データとを含んでいてもよい。この場合、このデータドライバは、第1データ処理回路と、第2データ処理回路と、マルチプレクサ回路とを含んでいてもよい。この場合、第1データ処理回路と第2データ処理回路とは、画素データを処理するものであってもよい。この場合、第1データ処理回路は、第1画素データに基づいて正の画素電圧を提供するものであってもよい。この場合、第2データ処理回路は、第2画素データに基づいて負の画素電圧を提供するものであってもよい。この場合、マルチプレクサ回路は、複数個のマルチプレクサユニットを含んでいてもよい。この場合、マルチプレクサユニットの各々は、第1入力端子と、第2入力端子と、出力端子と、第1スイッチング装置と、第2スイッチング装置とを含んでいてもよい。この場合、第1入力端子と第2入力端子とはそれぞれ、正の画素電圧と負の画素電圧とを受け取るものであってもよい。この場合、出力端子は、データラインの1個に連結されていてもよい。この場合、第1スイッチング装置は、第1スイッチと第2スイッチと第3スイッチとを有してもよい。この場合、第1および第2スイッチは、第1入力端子と出力端子との間で直列に連結されていてもよい。この場合、第1および第2スイッチの間の第1ノードは、第3スイッチを介して選択的に接地されていてもよい。この場合、第2スイッチング装置は、第4スイッチと第5スイッチと第6スイッチとを有していてもよい。この場合、第4および第5スイッチは、第2入力端子と出力端子との間で直列に連結されていてもよい。この場合、第4および第5スイッチの間の第2ノードは、第6スイッチを介して選択的に接地されていてもよい。この場合、第1および第2スイッチがオンになると第6スイッチがオンになってもよく、この場合、第4および第5スイッチがオンになると第3スイッチがオンになってもよい。
【0006】
本発明の一態様によれば、データドライバが提供される。このデータドライバは、ディスプレイパネルの複数個のデータラインを複数個の画素データに対応して駆動するためのものである。これらの画素データは、第1画素データと第2画素データとを含んでいる。このデータドライバは、第1データ処理回路と、第2データ処理回路と、マルチプレクサ回路とを含んでいる。第1データ処理回路は、第1画素データに基づいて正の画素電圧を提供する。第2データ処理回路は、レベルシフタと、デジタル/アナログコンバータと出力バッファとを含んでいる。レベルシフタは接地レベルと第1正レベルとの間の範囲の電圧レベルを有する第2画素データを受け取り、この第2画素データの電圧レベルを第1負レベルと第1正レベルとの間の範囲のレベルに調整し、次にこの第2画素データの電圧レベルを第1負レベルと接地レベルとの間の範囲のレベルに調整し、さらにこの第2画素データの電圧レベルを第2負レベルと接地レベルとの間の範囲のレベルに調整する。デジタル/アナログコンバータは、レベルシフタから出力された第2画素データを負の画素電圧に変換する。出力バッファは、これらの負の画素電圧を一時的に保存する。マルチプレクサ回路は、正の画素電圧と負の画素電圧とをデータラインのうちの2個に出力する。第1負レベルの絶対値は第2負レベルの絶対値よりも小さい。
【0007】
データドライバは、ディスプレイパネルの複数個のデータラインを複数個の画素データに対応して駆動するためのものであってもよい。この場合、これらの画素データは、複数個の第1画素データと複数個の第2画素データとを含んでいてもよい。この場合、このデータドライバは、第1データ処理回路と、第2データ処理回路と、マルチプレクサ回路とを含んでいてもよい。この場合、第1データ処理回路は、前記複数個の第1画素データに基づいて複数個の正の画素電圧を提供するものであってもよい。この場合、第2データ処理回路は、フロントステージレベルシフタと、シフトレジスタと、ラインバッファと、ポストステージレベルシフタと、デジタル/アナログコンバータと、出力バッファとを含んでいてもよい。この場合、フロントステージレベルシフタは、対応電圧レベルが接地レベルと第1正レベルとの間の範囲にある第2画素データを順次受け取り、これらの第2画素データの電圧レベルを第1負レベルと接地レベルとの間の範囲にある電圧レベルに調整するものであってもよい。この場合、シフトレジスタは、フロントステージレベルシフタから出力された第2画素データを順次受け取って、これらの第2画素データを並列に出力するものであってもよい。この場合、ラインバッファは、シフトレジスタから出力された第2画素データを一時的に保存するものであってもよい。この場合、ポストステージレベルシフタは、ラインバッファから出力された第2画素データの電圧レベルを、第2負レベルと接地レベルとの間の範囲の電圧レベルに調整するものであってもよい。この場合、デジタル/アナログコンバータは、ポストステージレベルシフタから出力された第2画素データを、複数個の負の画素電圧に変換するものであってもよい。この場合、出力バッファは、これらの負の画素電圧を一時的に保存するものであってもよい。この場合、マルチプレクサ回路は、正の画素電圧と負の画素電圧とを対応するデータラインに出力するものであってもよい。この場合、第1負レベルの絶対値は、第2負レベルの絶対値よりも小さくてもよい。
【0008】
本発明は、下記の好ましい非限定的な実施形態の詳細な説明から明白になるであろう。添付図面を参照して下記の説明を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】データドライバを示すブロック図である。
【図2A】本発明の第1実施形態によるマルチプレクサ回路140の2個のマルチプレクサユニット141を示す概略図である。
【図2B】従来のマルチプレクサ回路の2個のマルチプレクサユニットを示す概略図である(先行技術)。
【図3】図2Aのマルチプレクサユニット141および142の実施例を示す回路図である。
【図4】図3のマルチプレクサユニットにおいて使用されるスイッチング信号の波形の実施例を示す。
【図5A】本発明の第2実施形態によるレベルシフタ121を示すブロック図である。
【図5B】従来のレベルシフタを示すブロック図である(先行技術)。
【図6】本発明の第3実施形態によるデータドライバを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、データドライバ100を示すブロック図である。図1を参照すると、データドライバ100は、ディスプレイパネルの複数のデータラインDL1〜DL2mを複数の画素データD1〜D2mに対応して駆動する。画素データD1〜D2mは、第1画素データDp1〜Dpmと第2画素データDn1〜Dnmとを含んでいる。データドライバ100は、第1データ処理回路110と、第2データ処理回路120と、マルチプレクサ回路140とを含んでいる。第1データ処理回路110および第2データ処理回路120は、画素データD1〜D2mを処理する。第1データ処理回路110は、レベルシフタ111と、デジタル/アナログコンバータ112と、出力バッファ113とを含んでいる。第2データ処理回路120は、レベルシフタ121と、デジタル/アナログコンバータ122と、出力バッファ123とを含んでいる。第1および第2データ処理回路110,120は、シフトレジスタ160とラインバッファ180とをシェア(共有)している。
【0011】
シフトレジスタ160は画素データD1〜D2mを順次受け取って、画素データD1〜D2mを並列に出力する。ラインバッファ180はシフトレジスタ160から出力された画素データD1〜D2mを受け取って、第1画素データDp1〜Dpm(正の画素データ)および第2画素データDn1〜Dnm(負の画素データ)をそれぞれレベルシフタ111およびレベルシフタ112に出力する。
【0012】
デジタル/アナログコンバータ112および122は、レベルシフタ111および121から出力された第1画素データDp1〜Dpmおよび第2画素データDn1〜Dnmを、それぞれ正の画素電圧Vp1〜Vpmと負の画素電圧Vn1〜Vnmとに変換する。出力バッファ113および123は、正の画素電圧Vp1〜Vpmと負の画素電圧Vn1〜Vnmとを一時的に保存する。マルチプレクサ回路140は、正の画素電圧Vp1〜Vpmと負の画素電圧Vn1〜Vnmとに応じてデータラインDL1〜DL2mを駆動する。ここにおいて、第1データ処理回路110と第2データ処理回路120とに含まれている各素子は、多数の実施例のうちの1つに関連するものであって、本発明を限定するものではない。第1画素データDp1〜Dpmと第2画素データDn1〜Dnmとを、それぞれ正の画素電圧Vp1〜Vpmと負の画素電圧Vn1〜Vnmとに変換できるデータ処理回路であればいかなるデータ処理回路であっても、本発明の範囲内に含まれる。下記の実施形態においては、第1画素データDpは、第1画素データDp1〜Dpmのうちの1個を表し、第2画素データDnは、第2画素データDn1〜Dnmのうちの1個を表している。
【0013】
本発明の実施形態において、高電圧に耐えられる回路素子は、2.5ミクロンプロセスによる回路素子として限定されてもよく、この回路素子は、たとえば32ボルトよりも低い電圧に耐えることができる。中程度の電圧に耐えられる回路素子は、0.6ミクロンプロセスによる回路素子として限定されてもよく、この回路素子は6ボルトよりも低い電圧に耐えることができる。図1のマルチプレクサ回路140とレベルシフタ121とにより耐えられねばならない最高電圧レベルは12ボルト(―6〜6ボルト)に等しいため、データドライバ100を設計する際に、高電圧に耐えることのできる回路素子を使用しなければならないことを、出願人は見い出した。
【0014】
本発明の1実施形態において、マルチプレクサ回路140の構造(アーキテクチャ)は、使用されている、高電圧に耐えられる回路素子の数を減らすように改良されている。さらに、本発明の他の実施形態において、レベルシフタ121の構造は、使用されている、高電圧に耐えられる回路素子の数を減らすように改良されている。このようにして、本発明のデータドライバにおいては、使用されている、高電圧に耐えられる回路素子の数を減らすことができる。さらに、システムのパワー(電力)消費を増加させることなく、データドライバのサイズとチップ面積とコストとを低減することができる。本発明のいくつかの実施形態によるデータドライバを下記に説明する。
第1実施形態
この実施形態において、マルチプレクサ回路140の構造は、使用されている、高電圧に耐えられる回路素子の数を減らすように改良されている。この実施形態のマルチプレクサユニットを、下記に説明する。
【0015】
マルチプレクサ回路140は、m個のマルチプレクサユニットを含んでいる。図2Aは、本発明の第1実施形態によるマルチプレクサ回路140の2個のマルチプレクサユニット141および142を示す概略図である。図2Aを参照すると、マルチプレクサユニット141は、第1入力端子I1と、第2入力端子I2と、出力端子O1と、第1スイッチング装置141aと、第2スイッチング装置141bとを含んでいる。第1入力端子I1と第2入力端子I2とは、それぞれ正の画素電圧Vpと負の画素電圧Vnとを受け取る。出力端子O1は、データラインDL1〜DL2mのうちの1個、たとえばデータラインDL1に連結されている。
【0016】
第1スイッチング装置141aは、スイッチSW1とスイッチSW2とスイッチSW3とを有する。スイッチSW1とスイッチSW2とは、第1入力端子I1と出力端子O1との間で直列に連結されており、スイッチSW1とスイッチSW2との間のノードn1はスイッチSW3を介して選択的に接地されている。第2スイッチング装置141bは、スイッチSW4とスイッチSW5とスイッチSW6とを有する。スイッチSW4とスイッチSW5とは、第2入力端子I2と出力端子O1との間で直列に連結されており、スイッチSW4とスイッチSW5との間のノードn2はスイッチSW6を介して選択的に接地されている。
【0017】
スイッチSW1とスイッチSW2とがオンになると、スイッチSW6がオンになり、その結果、スイッチSW4とスイッチSW5との間のノードn2はスイッチSW6を介して接地され、スイッチSW4の最大クロスオーバー電圧とスイッチSW5の最大クロスオーバー電圧とは、第2入力端子I2と出力端子O1との間の最大電圧差の2分の1に等しくなる。SW4とスイッチSW5とがオンになると、スイッチSW3がオンになり、その結果、スイッチSW1およびSW2の間のノードn1はスイッチSW3を介して接地され、スイッチSW1およびSW2の最大クロスオーバー電圧は、第1入力端子I1と出力端子O1との間の最大電圧差の2分の1に等しくなる。
【0018】
この実施形態のマルチプレクサユニットと従来のマルチプレクサユニットとの動作を、下記にたがいに比較する。正の画素電圧Vpのレベルは0ボルトと6ボルトとの間の範囲にあり、負の画素電圧Vnのレベルは−6ボルトと0ボルトとの間の範囲にあるものと仮定する。
図2B(先行技術)は、従来のマルチプレクサ回路140’の2個のマルチプレクサユニットを示す概略図である。図2Bに示されているように、従来のマルチプレクサ回路140’においては、スイッチSW1’がオンでスイッチSW2’がオンでない時、出力端子O1は正の画素電圧Vpを出力する。この時、スイッチSW2’の2個の端子間のクロスオーバー電圧は、第2入力端子I2の負の画素電圧Vn(−6〜0ボルト)と、出力端子O1の正の画素電圧Vp(0〜6ボルト)との間の電圧差に等しい。この電圧差の最大値は12ボルトである。したがって、この時使用されているスイッチSW2’は、12ボルトに耐えられるスイッチでなければならない。同様に、出力端子O1が負の画素電圧Vnを出力する時、スイッチSW1’もまた最大値12ボルトのクロスオーバー電圧に耐える。したがって従来のマルチプレクサ回路140’において、スイッチSW1’およびSW2’は、高電圧に耐えられる回路素子により実施されている。
【0019】
しかしながら、図2Aに示されているように、この実施形態のマルチプレクサ回路140における出力端子O1は、スイッチSW1およびSW2がオンでありスイッチSW4およびSW5がオンでない時、正の画素電圧Vpを出力する。この時、スイッチSW6はオンになり、その結果ノードn2は接地される。この時、スイッチSW4およびSW5の最大クロスオーバー電圧は、第2入力端子I2と出力端子O1との間の最大電圧差の2分の1、すなわち正の画素電圧Vp(0〜6ボルト)と負の画素電圧Vn(−6〜0ボルト)との間の最大電圧差の2分の1に等しい。この時、スイッチSW4およびSW5のそれぞれの最大クロスオーバー電圧は6ボルトに等しい。同様に、スイッチSW1およびSW2がオンでなくスイッチSW4およびSW5がオンである時、出力端子O1は負の画素電圧Vnを出力する。この時、スイッチSW3はオンになり、その結果、スイッチSW1およびSW2の最大クロスオーバー電圧は6ボルトに等しくなる。したがって、スイッチSW1,SW2,SW3およびSW4は、中程度の電圧に耐えられる回路素子により実施されてよい。
【0020】
回路素子のサイズはアスペクト比(L/W)に関するので、高電圧に耐えられる1個の回路素子のサイズは中程度の電圧に耐えられる回路素子のサイズの16倍よりも大きいと結論づけられる。したがって、マルチプレクサユニット141における中程度の電圧に耐えられる2個のスイッチSW1およびSW2は、従来のマルチプレクサユニット141’における高電圧に耐えられる1個のスイッチSW1’と置換するために使用されており、スイッチSW3は接地電圧を提供する。スイッチSW1,SW2およびSW3の合計面積は、スイッチSW1’全体の面積よりもなお小さい。したがって、この実施形態のマルチプレクサ回路は高電圧に耐えられる回路素子を必要とせず、そのため、このマルチプレクサユニットを使用するデータドライバのサイズを縮小できる。
【0021】
図2Aにおいて、マルチプレクサユニット142の構造はマルチプレクサユニット141の構造に類似しているため、その詳細な説明は省く。図2Aに示されているように、マルチプレクサユニット142の第1および第2入力端子はそれぞれ、マルチプレクサユニット141の第1および第2入力端子I1およびI2に連結されている。マルチプレクサユニット141とマルチプレクサユニット142との間の動作を、次に説明する。出力端子O1が正の画素電圧Vpを出力すると、出力端子O2が負の画素電圧Vnを出力する。出力端子O1が負の画素電圧Vnを出力すると、出力端子O2が正の画素電圧Vpを出力する。
【0022】
図3は、図2Aのマルチプレクサユニット141および142の例を示す回路図である。この例において、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4およびSW5の各々は伝送(トランスミッション)ゲート(TG)であり、中程度の電圧に耐えられるトランジスタにより実施されている。さらに、スイッチSW7,SW8,SW10およびSW11の各々もまた、中程度の電圧に耐えられるトランジスタにより実施されていてもよい。各伝送ゲートは、P型の金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタとN型の金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタとを含んでいる。スイッチSW3およびSW6は、トランジスタである。さらに、スイッチSW9およびSW12もまたトランジスタにより実施されていてもよい。図4は、図3のマルチプレクサユニットにおいて使用されているスイッチング信号の波形の実施例を示している。この実施例において、スイッチング信号は複数の制御信号S1〜S8を含んでおり、この場合、制御信号S1B〜S8Bはそれぞれ制御信号S1〜S8の反転信号である。
【0023】
さらに、マルチプレクサ回路140はさらに、スイッチング信号に応じて各PMOSトランジスタに負の本体電圧を提供し且つ各NMOSトランジスタに正の本体電圧を提供するための、本体電圧スイッチ回路BDを含んでいる。したがって、図4のタイムインタバルtmにおいて、制御信号S3およびS7は、好ましくは接地電圧に変換される。したがって、伝送ゲートがオンまたはオフになる時にフォワード(順)ボディバイアスが生じることを防止することができ、その結果、伝送ゲートのPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとが正確に作動できる。
【0024】
図3および図4に示した詳細な回路図および種々の信号のタイミングチャートは、本発明のマルチプレクサ回路を実施できる1実施例に対応するものであって本発明の限定を意図するものではない。したがって、当業者は、ここに開示された技術を容易に改変でき、その結果、本実施形態のマルチプレクサ回路の目的もまた達成できるであろう。
本実施形態において、このデータドライバに使用されているマルチプレクサ回路は、高電圧に耐えられる回路素子を必要とせず、したがってデータドライバのサイズとコストとを低減することができる。
第2実施形態
この実施形態において、図1のレベルシフタ121の構造は、使用されている、高電圧に耐えられる回路素子の数を減らせるように改良されている。この実施形態のレベルシフタを下記に説明する。
【0025】
図5Aは、本発明の第2実施形態によるレベルシフタ121を示すブロック図である。図1および図5Aを参照すると、レベルシフタ121は、たとえばレベルシフティングユニットLS1〜LS4のような、多数のレベルシフティングユニットを含んでいる。レベルシフティングユニットLS1は、接地(グランド)レベルGNDと第1正レベルPL1との間の範囲にある電圧レベルに対応する第2画素データDnを受け取る。レベルシフティングユニットLS2は、レベルシフティングユニットLS1から出力された第2画素データDnの電圧レベルを、第1負レベルNL1と第1正レベルPL1との間の範囲にある電圧レベルに調整する。レベルシフティングユニットLS3は、レベルシフティングユニットLS2から出力された第2画素データDnの電圧レベルを、第1負レベルNL1と接地レベルGNDとの間の範囲にある電圧レベルに調整する。レベルシフティングユニットLS4は、レベルシフティングユニットLS3から出力された第2画素データDnの電圧レベルを、第2負レベルNL2と接地レベルGNDとの間の範囲にある電圧レベルに調整する。次に、図1のデジタル/アナログコンバータ122は、レベルシフティングユニットLS4から出力された第2画素データDnを負の画素電圧Vnに変換する。
【0026】
本実施形態において、第1負レベルNL1の絶対値は、第2負レベルNL2の絶対値よりも小さい。好ましくは、第1正レベルPL1の絶対値は、第1負レベルNL1の絶対値に実質的に等しい。第1正レベルPL1は低電圧レベルであり、第1負レベルNL1は他の低電圧レベルであり、そして第2負レベルNL2は中程度の電圧レベルである。たとえば、第1正レベルPL1は1.8ボルトに実質的に等しく、第1負レベルNL1は−1.8ボルトに実質的に等しく、そして第2負レベルNL2は−6ボルトに実質的に等しい。
【0027】
本実施形態のレベルシフタ121を使用すると、データドライバのサイズを縮小できる。その理由を下記に述べる。
図5B(先行技術)は、従来のレベルシフタを示すブロック図である。図5Bに示されているように、従来のレベルシフタ121’を使用するデータドライバには高電圧に耐えられる回路素子を使用しなければならないので、このデータドライバのサイズは大きい。従来のレベルシフタ121’は4個のレベルシフティングユニットA〜Dを含んでいる。レベルシフティングユニットCにおいては、レベルシフティングユニットBから出力された第2画素データDnが、−6ボルトと6ボルトとの間の範囲のレベルに調整される。すなわち、レベルシフティングユニットCにより耐えられる電圧レベル間の差は12ボルトに等しく、これは中程度の電圧(6ボルト)に耐えられる回路素子の範囲を超えている。したがって、高電圧に耐えられる回路素子がレベルシフティングユニットCに使用されねばならない。
【0028】
図5Aに示されているように、本実施形態のレベルシフタ121において4個のレベルシフティングユニットLS1〜LS4の素子により耐えられるクロスオーバー電圧は、6ボルトを超えないので、高電圧に耐えられる回路素子を使用する必要がない。すなわち、レベルシフティングユニットLS1およびLS3の素子により耐えられるクロスオーバー電圧の最高電圧は1.8ボルトに等しく、そのため、レベルシフティングユニットLS1およびLS3は、低電圧を耐えられる回路素子により実施されてもよい。レベルシフティングユニットLS2およびLS4の素子により耐えられるクロスオーバー電圧の最高電圧はそれぞれ、3.6ボルト(−1.8〜1.8ボルト)および6ボルト(−6〜0)に等しいので、レベルシフティングユニットLS2およびLS4は、中程度の電圧を耐えられる回路素子により実施されてもよい。
【0029】
高電圧に耐えられる1個の回路素子のサイズは、中程度の電圧に耐えられる回路素子のサイズの16倍よりも大きい。従来のレベルシフタと比較すると、高電圧に耐えられる回路素子を本実施形態のレベルシフタにおいて使用する必要はない。したがって、本実施形態のレベルシフタを使用しているデータドライバにおいて、高電圧に耐えられる回路素子を使用する必要はなく、そのため、データドライバのサイズとコストとを低減できる。
第3実施形態
図6は、本発明の第3実施形態によるデータドライバ600を示すブロック図である。図6に示されているように、データドライバ600は、1個のディスプレイパネルの複数のデータラインを、複数の画素データに対応して駆動する。画素データは、複数の第1画素データDp1〜Dpm(正の画素データ)と複数の第2画素データDn1〜Dnm(負の画素データ)とを含んでいる。データドライバ600は、第1データ処理回路610と第2データ処理回路620とマルチプレクサ回路640とを含んでいる。第1データ処理回路610は、シフトレジスタ612と、ラインバッファ613と、レベルシフタ614と、デジタル/アナログコンバータ615と、出力バッファ616とを含んでいる。第1データ処理回路610は、第1画素データDp1〜Dpmに応じて複数の正の画素電圧Vp1〜Vpmを提供する。
【0030】
第2データ処理回路620は、フロントステージレベルシフタ621と、シフトレジスタ622と、ラインバッファ623と、ポストステージレベルシフタ624と、デジタル/アナログコンバータ625と、出力バッファ626とを含んでいる。第2データ処理回路620の素子および動作を下記に説明する。
フロントステージレベルシフタ621は、第2画素データDn1〜Dnmを順次受け取る。たとえば、フロントステージレベルシフタ621は、各回にkセットのデータを受け取り、この場合、k<mである。第2画素データDn1〜Dnmに対応する電圧レベルは、接地レベルGNDと第1正レベルPL1との間の範囲にある。フロントステージレベルシフタ621は、第2画素データDn1〜Dnmの電圧レベルを、第1負レベルNL1と第1正レベルPL1との間の範囲の電圧レベルに調整する。フロントステージレベルシフタ621は、図5Aの3個のレベルシフティングユニットLS1〜LS3を含んでおり、その動作についてはここでは省略する。
【0031】
シフトレジスタ622は、フロントステージレベルシフタ621から出力された第2画素データDn1〜Dnmを順次受け取って第2画素データDn1〜Dnmを並列に出力する。たとえば、シフトレジスタ622は各回にkセットのデータを受け取り、mセットのデータが受け取られた後にmセットのデータを出力し、この場合、k<mである。ラインバッファ623は、シフトレジスタ622から出力された第2画素データDn1〜Dnmを一時的に保存する。
【0032】
ポストステージレベルシフタ624は、ラインバッファ623から出力された第2画素データDn1〜Dnmの電圧レベルを、第2負レベルNL2と接地レベルGNDとの間の範囲の電圧レベルに調整する。ポストステージレベルシフタ624は、図5AのレベルシフティングユニットLS4を含んでいる。デジタル/アナログコンバータ625は、ポストステージレベルシフタ624から出力された第2画素データDn1〜Dnmを、複数の負の画素電圧Vn1〜Vnmに変換する。出力バッファ626は、負の画素電圧Vn1〜Vnmを一時的に保存する。マルチプレクサ回路640は、正の画素電圧Vp1〜Vpmと負の画素電圧Vn1〜Vnmとを対応するデータラインDL1〜DL2mに出力する。
【0033】
本実施形態において、第1負レベルNL1の絶対値は、第2負レベルNL2の絶対値よりも小さい。好ましくは、第1正レベルPL1の絶対値は、第1負レベルNL1の絶対値に実質的に等しい。第1正レベルPL1は低電圧レベルであり、第1負レベルNL1は他の低電圧レベルであり、そして第2負レベルNL2は中程度の電圧レベルである。たとえば、第1正レベルPL1は1.8ボルトに実質的に等しく、第1負レベルNL1は−1.8ボルトに実質的に等しく、そして第2負レベルNL2は−6ボルトに実質的に等しい。第2実施形態と同様に、フロントステージレベルシフタ621とポストステージレベルシフタ624との素子により耐えられる電圧の最高電圧は、それぞれ3.6ボルト(−1.8〜1.8ボルト)と6ボルト(−6〜0ボルト)とに等しい。したがって、レベルシフタは、高電圧に耐えられる回路素子を使用して実施される必要がない。
【0034】
第2実施形態に比べると、本実施形態は下記に述べる理由により、データドライバのサイズをさらに縮小できる。第2画素データDn1〜Dnmは512セットのデータ(m=512)であり、レベルシフティングユニットLS1〜LS3の各セットは8セットのデータ(k=8)を受け取ることができるものと仮定する。第2実施形態において、図5AのレベルシフティングユニットLS1〜LS3はデータを並列に受け取り、したがって、並列の512セットの第2画素データに対応して電圧レベルを調整するためには、レベルシフタ121において64(512/8=64)セットのレベルシフティングユニットLS1〜LS3を使用しなければならない。
【0035】
本実施形態においては、1セットのレベルシフティングユニットLS1〜LS3はフロントステージレベルシフタ621として機能し、シフトレジスタの前に配置されている。フロントステージレベルシフタ621は、8セットのデータを順次受け取り、これによって512セットの第2画素データに対応して連続的(直列的)に電圧レベルを調整する。したがって、1セットのみのレベルシフティングユニットLS1〜LS3を本実施形態に使用するだけでよく、その結果、このレベルシフタを使用するデータドライバのサイズは縮小できる。
【0036】
さらに、本実施形態においては、フロントステージレベルシフタ621から出力された第2画素データの電圧レベルは、第1負レベルNL1と接地レベルGNDとの間の範囲にある。そのため、シフトレジスタ622とラインバッファ623との回路素子により使用される電圧レベルもまた、第1負レベルNL1と接地レベルGNDとの間の範囲にある。図6においては、シフトレジスタ622とラインバッファ623との回路素子により使用される電圧レベルは、第1正レベルPL1と接地レベルGNDとの間の範囲にある。実際、第1正レベルPL1と第1負レベルNL1との絶対値は、たがいに実質的に等しい。そのために、本実施形態のデータドライバはシステムのパワー消費を増加させないであろう。
【0037】
本発明の第1実施形態によるデータドライバにおいては、高電圧に耐えられる回路素子をマルチプレクサ回路に使用する必要はなく、したがって、高電圧に耐えられる回路素子の数を減少させることができ、且つマルチプレクサ回路のサイズを縮小させることができるので、データドライバのサイズを縮小することができる。さらに、第2実施形態においては、高電圧に耐えられる回路素子をレベルシフト回路に使用する必要がない。そのため、高電圧回路素子の数もまた減少でき、且つレベルシフト回路のサイズを縮小できるので、データドライバのサイズを縮小できる。さらに、本発明の第3実施形態によるレベルシフタはデータのレベルを連続的(直列的)に調整できる。そのため、システムのパワー消費を増加させることなく効果的にデータドライバのサイズとコストとを低減できる。
【0038】
本発明を例により、また好ましい実施形態に関して説明したが、これらは本発明を限定するものではないことを理解すべきである。逆に、本発明は種々の変形例と類似の構成および手順とを含むことを意図されており、したがって、添付の特許請求の範囲は全てのこのような変形例と類似の構成および手順とを包含するように、最も広く解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネルの複数個のデータラインを複数個の画素データに対応して駆動するためのデータドライバであって、前記画素データは1個の第1画素データと1個の第2画素データとを含んでおり、当該データドライバは、第1データ処理回路と、第2データ処理回路と、マルチプレクサ回路とを含んでおり、
前記第1データ処理回路は前記第1画素データに基づいて正の画素電圧を提供し、
前記第2データ処理回路は、
接地レベルと第1正レベルとの間の範囲の電圧レベルを有する前記第2画素データを受け取り、前記第2画素データの電圧レベルを第1負レベルと前記第1正レベルとの間の範囲のレベルに調整し、次に前記第2画素データの電圧レベルを前記第1負レベルと前記接地レベルとの間の範囲のレベルに調整し、さらに前記第2画素データの電圧レベルを第2負レベルと前記接地レベルとの間の範囲のレベルに調整するレベルシフタと、
前記レベルシフタから出力された前記第2画素データを負の画素電圧に変換するデジタル/アナログコンバータと、
前記負の画素電圧を一時的に保存する出力バッファと、を含んでおり、
前記マルチプレクサ回路は、前記正の画素電圧と前記負の画素電圧とを前記データラインのうちの2個に出力し、
前記第1負レベルの絶対値は前記第2負レベルの絶対値よりも小さい、データドライバ。
【請求項2】
前記レベルシフタが、
前記接地レベルと前記第1正レベルとの間の範囲にある電圧レベルに対応する前記第2画素データを受け取る第1レベルシフティングユニットと、
前記第1レベルシフティングユニットから出力された前記第2画素データの電圧レベルを、前記第1負レベルと前記第1正レベルとの間の範囲にある電圧レベルに調整する第2レベルシフティングユニットと、
前記第2レベルシフティングユニットから出力された前記第2画素データの電圧レベルを、前記第1負レベルと前記接地レベルとの間の範囲にある電圧レベルに調整する第3レベルシフティングユニットと、
前記第3レベルシフティングユニットから出力された前記第2画素データの電圧レベルを、前記第2負レベルと前記接地レベルとの間の範囲にある電圧レベルに調整する第4レベルシフティングユニットとを含んでいる、請求項1に記載のデータドライバ。
【請求項3】
前記第1正レベルの絶対値は前記第1負レベルの絶対値に実質的に等しい、請求項1に記載のデータドライバ。
【請求項4】
前記第1正レベルが低電圧レベルであり、前記第1負レベルが他の低電圧レベルであり、前記第2負レベルが中程度の電圧レベルである、請求項1に記載のデータドライバ。
【請求項5】
前記第1正レベルは1.8ボルトに実質的に等しく、前記第1負レベルは−1.8ボルトに実質的に等しく、前記第2負レベルは−6ボルトに実質的に等しい、請求項3に記載のデータドライバ。
【請求項6】
前記第1および第3レベルシフティングユニットが低電圧に耐えられる回路素子によるものであり、前記第2および第4レベルシフティングユニットが中程度の電圧に耐えられる回路素子によるものである、請求項1に記載のデータドライバ。
【請求項7】
前記画素データを順次受け取って、前記画素データを並列に出力するシフトレジスタと、
前記シフトレジスタから出力された前記画素データを受け取って、前記第1画素データと前記第2画素データとをそれぞれ前記第1データ処理回路と前記第2データ処理回路とに出力するラインバッファとをさらに含んでいる、請求項1に記載のデータドライバ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−256053(P2012−256053A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−144333(P2012−144333)
【出願日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【分割の表示】特願2009−7370(P2009−7370)の分割
【原出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(507422275)ノヴァテック マイクロエレクトロニクス コーポレーション (3)
【氏名又は名称原語表記】NOVATEK MICROELECTRONICS CORP.
【住所又は居所原語表記】2F, No.13 Innovation Road I, Hsinchu Science Park, HsinChu 300 Taiwan,R.O.C.
【Fターム(参考)】