説明

データベース利用システム

【課題】SQLの文法やテーブル構成、データ構造を意識せずにデータベースからデータを抽出可能とする。
【解決手段】基幹テーブル14のデータ項目毎に物理テーブル名、項目グループ名称、フィールド名、フィールド名称、項目内訳、項目内訳ID、データ型、データ長等の定義情報を格納しておく基幹データ格納情報テーブル20、PC34から検索要求が送信された場合にテーブル20を参照し、項目グループ名称、フィールド名称、項目内訳が記述され抽出条件指定欄50を備えた入力画面40をPC34に送信する手段、PC34から特定の項目内訳に係る抽出条件が送信された場合、テーブル20を参照して物理テーブル名、フィールド名、項目内訳IDを取得する手段、抽出条件に対応するセレクト文を生成する手段、これに従い基幹テーブル14からデータを抽出する手段、抽出データをPC34に送信する手段を備えたデータベース利用システム10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はデータベース利用システムに係り、特に、企業の業務遂行上の必要性に基づいて形成された多数のテーブルの中から、SQLの知識を持たないユーザが必要なデータを自由に検索することを可能とすると共に、検索結果データに基づいてユーザ専用のテーブルを自動的に生成することを可能とするデータベース利用技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現代企業においては、日々の業務活動を通じて膨大な量の情報が発生し、これらの情報は重要な企業資産として各種テーブルに蓄積されている。例えば、多種多様な金融商品を取り扱う証券会社や銀行のデータベースの場合、各商品別、データのサイクル(年次、月次、日次等の周期)別、顧客別に多数のテーブルが設けられ、それぞれに時価や取引数量、取引額、商品属性、顧客属性等のデータが格納されている。
これらの情報資産は、取引管理や商品管理、顧客管理といった本来の目的以外においても有益であり、例えば顧客の属性情報と取引情報を分析することによって、顧客のニーズにマッチした商品の提案等が可能となる。
【0003】
ところで、リレーショナルデータベースに格納された各種データを利用する場合、ユーザは一般にSQL(Structured Query Language)と呼ばれる専用言語を用い、RDBMS(Relational DataBase Management System)に対して処理を指示することが求められる。
このSQLはリレーショナルデータベースの操作に特化しているため、コンピュータ言語の中では比較的簡素なものではあるが、それでもシステム部門の専門家以外のユーザ(企画部門や営業部門の一般社員)にとっては敷居が高く、自由に駆使できるようになるまでには相当の時間と労力を要する。
【0004】
これに対し特開2004-126680(特許文献1)においては、このようなSQL習得の困難性に鑑み、SQLをまったく知らない者でもリレーショナルデータベースに容易にアクセスすることができるSQL隠蔽型データベースアクセス方法が開示されている。
このSQL隠蔽型データベースアクセス方法によれば、入力画面からアクセス条件及び要求アクションを入力するだけで済み、SQL文は入力されたアクセス条件及び要求アクションに基づきシステムの側で自動生成されるため、ユーザはSQLの文法を一切意識することなく、RDBMSに所望の処理を実行させることが可能となる。
【特許文献1】特開2004-126680
【0005】
しかしながら、このデータベースアクセス方法を利用する際に入力が求められるアクセス条件には、検索テーブル名、検索カラム名及びそのデータ型が含まれているため、SQLについては不知であってもよいが、検索対象となるテーブル及びそのデータ構造については認識していることがユーザには求められる。
このため、比較的小規模かつ簡素なデータベースを利用する際にはある程度有効であるとしても、多数のテーブルが複雑に関連付けられた大規模なデータベースの操作には適していないと言わざるを得ない。
すなわち、大企業のデータベースともなると、数十以上のデータ項目を備えたテーブルが数百以上存在することも希ではなく、テーブル名やカラム名はアルファベットの略字から構成されることが多いため、例えテーブルの構成リストを与えられたとしても、門外漢が目的のテーブルやデータ項目に辿り着くことは困難である。
【0006】
また、企業内の情報資産は一般ユーザにとって過度に詳細なデータ項目を備えており、情報の蓄積範囲も広すぎる場合が多いため、使用目的に合わせてデータベースの構成を簡素化し、使い勝手を向上させたいという要望がユーザの側には存在する。
ところが、基本となるテーブルから一部のデータ項目やレコードを抽出して新たなテーブルを構成するためには、データベースの構造やSQLに関する高度な知識と経験を備えたシステム部門に依頼する必要があり、即応性に欠けるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、企業内に蓄積された情報資産の利用に係る従来の上記問題を解決するために案出されたものであり、SQLの文法はもちろんのこと、テーブル構成やデータ構造についてさえユーザは意識することなく、リレーショナルデータベースから必要なデータを抽出したり、基幹となるデータベースからユーザの使用目的に最適化されたデータベースを自動生成可能な技術の実現を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載したデータベース利用システムは、複数の基幹テーブルが格納された基幹テーブル記憶手段と、各基幹テーブルを構成しているデータ項目毎に、またデータ項目に項目内訳が存在する場合には項目内訳毎に、当該データ項目または項目内訳が属する基幹テーブルの物理テーブル名、当該基幹テーブルの特性を表す項目グループ名称、当該データ項目のフィールド名、当該データ項目の意味内容を表示するフィールド名称、項目内訳ID、項目内訳、データ型、データ長等の定義情報を格納しておく基幹データ格納情報データベースと、ユーザの操作する端末から基幹テーブルに対する検索リクエストが送信された場合に、上記基幹データ格納情報データベースを参照し、少なくとも複数の項目グループ名称、各項目グループに属するフィールド名称、各フィールド名称に属する項目内訳が記述され、各フィールド名称または項目内訳毎に抽出条件を設定するための選択欄を備えた検索条件入力画面を生成し、上記端末に送信する手段と、当該端末から特定のフィールド名称または項目内訳に係る抽出条件が送信された場合に、上記基幹データ格納情報データベースを参照し、当該フィールド名称または項目内訳の属する物理テーブル名、フィールド名、項目内訳に対する抽出条件の場合には項目内訳IDを取得する手段と、この物理テーブル名、フィールド名、項目内訳に対する抽出条件の場合には項目内訳項目内訳IDを含み、上記抽出条件に対応するSQLのセレクト文を生成する手段と、このセレクト文に従い、特定の基幹テーブルから抽出条件に合致したデータを抽出する手段と、この抽出データを所定のテンプレートに充填し、検索結果表示画面を生成する手段と、この検索結果表示画面をユーザの端末に送信する手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載したデータベース利用システムは、請求項1のシステムであって、さらに、ユーザ利用テーブル記憶手段と、ユーザ利用データ格納情報データベースと、ユーザの操作する端末から、上記基幹テーブルからの抽出データに基づいてユーザ利用テーブルを生成することを求めるリクエストが送信された場合に、上記基幹データ格納情報データベースを参照し、抽出データを構成する各データ項目のフィールド名、項目内訳の場合には項目内訳ID、データ型、データ長を取得する手段と、これらのデータを基にSQLのテーブルクリエイト文を生成する手段と、このテーブルクリエイト文に従ってユーザ利用テーブルを生成し、上記ユーザ利用テーブル記憶手段に格納する手段と、上記抽出データを上記のユーザ利用テーブルに挿入するためのSQLのインサート文を生成する手段と、このインサート文に従い、上記抽出データを上記のユーザ利用テーブルに挿入する手段と、上記基幹データ格納情報データベースに格納された定義情報の中で、上記ユーザ利用テーブルを構成するデータ項目または項目内訳に係るものを上記ユーザ利用データ格納情報データベースに挿入するためのSQLのインサート文を生成する手段と、このインサート文に従い、上記基幹データ格納情報データベースから必要なデータ項目または項目内訳に係る定義情報を抽出し、上記ユーザ利用データ格納情報データベースに挿入する手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載したデータベース利用システムは、請求項2のシステムであって、さらに、上記基幹データ格納情報データベースには、各データ項目または項目内訳が属する基幹テーブルのジョインキーを特定する情報が格納されており、ユーザ利用テーブルを生成するに際し、上記基幹データ格納情報データベースを参照して必要なジョインキーを取得する手段と、当該ジョインキーに基づいてSQLのインデックスクリエイト文を生成する手段と、このインデックスクリエイト文に従い、上記ユーザ利用テーブルのインデックスを生成する手段と、このインデックスを所定の記憶手段に格納する手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載したデータベース利用システムは、請求項2または3のシステムであって、さらに、ユーザの操作する端末からユーザ利用テーブルに対する検索リクエストが送信された場合に、上記ユーザ利用データ格納情報データベースを参照し、少なくとも複数のフィールド名称、各フィールド名称に属する項目内訳が記述され、各フィールド名称または項目内訳毎に抽出条件を設定するための選択欄を備えた検索条件入力画面を生成し、上記端末に送信する手段と、当該端末から特定のフィールド名称または項目内訳に係る抽出条件が送信された場合に、上記ユーザ利用データ格納情報データベースを参照し、当該フィールド名称または項目内訳の属する物理テーブル名、フィールド名、項目内訳に対する抽出条件の場合には項目内訳IDを取得する手段と、この物理テーブル名、フィールド名、項目内訳に対する抽出条件の場合には項目内訳IDを含み、上記抽出条件に対応するSQLのセレクト文を生成する手段と、このセレクト文に従い、特定のユーザ利用テーブルから抽出条件に合致したデータを抽出する手段と、この抽出データを所定のテンプレートに充填し、検索結果表示画面を生成する手段と、この検索結果表示画面をユーザの端末に送信する手段とを備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載したデータベース利用システムは、請求項2〜4のシステムであって、さらに、ユーザの操作する端末から、上記検索条件入力画面を通じて設定した抽出条件に基づいて定期的に検索処理を実行し、その抽出データに基づいてユーザ利用テーブルを更新することを求めるリクエストが送信された場合に、少なくとも実行周期指定欄を備えた実行予約フォームを上記端末に送信する手段と、当該端末から実行周期を特定するデータが送信された場合に、先にユーザが設定した抽出条件と実行周期の組合せを所定の記憶手段に格納する手段と、実行周期が到来する度に上記基幹データ格納情報データベースを参照し、ユーザが抽出条件を設定したフィールド名称または項目内訳の属する物理テーブル名、フィールド名、項目内訳に対する抽出条件の場合には項目内訳IDを取得する手段と、この物理テーブル名、フィールド名、項目内訳に対する抽出条件の場合には項目内訳項目内訳IDを含み、ユーザが設定した抽出条件に対応するSQLのセレクト文を生成する手段と、このセレクト文に従い、特定の基幹テーブルから抽出条件に合致したデータを抽出する手段と、上記基幹データ格納情報データベースを参照し、抽出データを構成する各データ項目のフィールド名、項目内訳の場合には項目内訳ID、データ型、データ長を取得する手段と、これらのデータを基にSQLのテーブルクリエイト文を生成する手段と、このテーブルクリエイト文に従ってユーザ利用テーブルを生成し、上記ユーザ利用テーブル記憶手段に格納する手段と、上記抽出データを上記のユーザ利用テーブルに挿入するためのSQLのインサート文を生成する手段と、このインサート文に従い、上記抽出データを上記のユーザ利用テーブルに挿入する手段とを備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載したデータベース利用システムは、請求項2〜5のシステムであって、さらに、ユーザの操作する端末から、独自データに基づいてユーザ利用テーブルを生成することを求めるリクエストが送信された場合に、この端末にファイル指定欄を備えたアップロード用フォームを送信する手段と、この端末から上記フォームを介して複数のデータ項目を備えた表形式データのファイル及び各データ項目の定義情報を格納したファイルが送信された場合に、上記定義情報を参照し、独自データを構成する各データ項目のフィールド名、データ型、データ長を取得する手段と、これらのデータを基にSQLのテーブルクリエイト文を生成する手段と、このテーブルクリエイト文に従ってユーザ利用テーブルを生成し、上記ユーザ利用テーブル記憶手段に格納する手段と、上記の独自データをこのユーザ利用テーブルに挿入するためのSQLのインサート文を生成する手段と、このインサート文に従い、上記の独自データを上記のユーザ利用テーブルに挿入する手段と、上記の定義情報をユーザ利用データ格納情報データベースに挿入するためのSQLのインサート文を生成する手段と、このインサート文に従い、上記定義情報をユーザ利用データ格納情報データベースに挿入する手段とを備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項7に記載したデータベース利用システムは、請求項2〜6のシステムであって、さらに、上記ユーザ利用データ格納情報データベースには、各データ項目または項目内訳毎にアクセスコントロール情報を登録するための項目が設定されており、ユーザ利用テーブルを生成するに際し、ユーザの操作する端末から特定のデータ項目または項目内訳についてアクセス可能なユーザを限定することを求めるリクエストが送信された場合に、アクセス可能なユーザの属性を特定するための選択項目が設定されたフォームを上記端末に送信する手段と、この端末から上記フォームを通じてアクセス可能なユーザの属性を特定する情報が送信された場合に、上記ユーザ利用データ格納情報データベースにおける目的のデータ項目または項目内訳のアクセスコントロール情報を登録するための項目に、アクセス可能なユーザの属性を特定する情報を登録する手段と、ユーザの認証情報と属性との対応関係を定義しておくユーザ属性データベースと、ユーザの操作する端末からユーザ利用テーブルに対する検索リクエストが送信された場合に、上記ユーザ利用データ格納情報データベースを参照し、当該ユーザ利用テーブルに含まれる各データ項目または項目内訳のアクセスコントロール情報を取得する手段と、上記ユーザ属性データベースを参照し、当該ユーザがログイン時に入力した認証情報に基づいてその属性情報を取得する手段と、上記アクセスコントロール情報と属性情報を比較し、当該ユーザがアクセス可能なユーザか否かを判定する手段と、アクセス可能なユーザでない場合には、該当のデータ項目または項目内訳については上記の検索条件入力画面において非表示化させる手段とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1のデータベース利用システムにあっては、基幹データ格納情報データベースに各基幹テーブルに含まれるデータ項目や項目内訳毎にデータ項目の意味内容を表示するフィールド名称や基幹テーブルの特性を示す項目グループ名称が格納されており、ユーザの端末から検索リクエストが送信された場合にはこれらの情報が記述された検索条件入力画面が送信されるため、ユーザは基幹テーブルの存在やデータ構造を意識することなく、必要なデータ項目や項目内訳を見出すことが可能となる。
しかも、上記の基幹データ格納情報データベースには、各基幹テーブルに含まれるデータ項目や項目内訳毎に物理テーブル名、フィールド名、項目内訳ID、データ型、データ長の各情報が格納されているため、これを参照することによってユーザが設定した抽出条件に対応したSQLのセレクト文をシステムの側で自動生成することができる。この結果、ユーザはSQLの文法を一切意識することなく、基幹テーブルから必要なデータを自由に引き出すことが可能となる。
【0016】
請求項2のデータベース利用システムにあっては、ユーザの設定した抽出条件に従って基幹テーブルから抽出したデータを基に、システムの側で新たなテーブルが自動生成される仕組みを備えているため、ユーザは従来のようにシステム部門の手を煩わせることなく、またSQLの知識を習得する必要もなく、即座に使い勝手の良好なテーブルを得ることが可能となる。
【0017】
請求項3のデータベース利用システムにあっては、基幹データ格納情報データベースに設定されたジョインキーに基づいてユーザ利用テーブルのインデックスがシステムの側で自動生成されるため、ユーザ利用テーブルの検索効率を向上させることが可能となる。
【0018】
請求項4のデータベース利用システムにあっては、ユーザの端末からユーザ利用テーブルに対する検索リクエストが送信された場合に、ユーザ利用データ格納情報データベースに格納された物理テーブル名、フィールド名、項目内訳ID、データ型、データ長の各情報を参照することにより、ユーザが設定した抽出条件に対応したSQLのセレクト文がシステムの側で自動生成される仕組みを備えているため、ユーザはSQLの文法を一切意識することなく、ユーザ利用テーブルから必要なデータを自由に引き出すことが可能となる。
【0019】
請求項5のデータベース利用システムにあっては、ユーザが設定した抽出条件及び実行周期に従い、基幹テーブルから必要なデータを抽出してユーザ利用テーブルを生成する処理がシステムの側で自動的に実行される仕組みを備えているため、ユーザ利用テーブルを定期的に更新することが可能となる。
【0020】
請求項6のデータベース利用システムにあっては、基幹テーブルに格納されたデータ以外の独自データに基づいてユーザ利用テーブルを生成することが可能となるため、このシステムの利便性を高めることができる。
【0021】
請求項7のデータベース利用システムにあっては、ユーザ利用テーブルに対しデータ項目単位でアクセスコントロールを設定することが可能となるため、ユーザ利用テーブルのセキュリティを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1に示すように、この発明に係るデータベース利用システム10は、複数の基幹テーブル14と、基幹DB管理部16と、基幹情報分析部18と、基幹データ格納情報テーブル20と、ユーザ利用DB生成部22と、ユーザ利用DB管理部24と、複数のユーザ利用テーブル26と、複数のユーザ利用インデックス28と、ユーザ利用データ格納情報テーブル30と、ユーザ利用情報分析部32とを備えたサーバ12を中心に構成されている。
このサーバ12は、例えばWebサーバ機能、データベースサーバ機能、アプリケーションサーバ機能を備えた複数のサーバコンピュータを、ネットワーク接続させたものより構成される。
【0023】
上記の基幹DB管理部16、基幹情報分析部18、ユーザ利用DB生成部22、ユーザ利用DB管理部24及びユーザ利用情報分析部32は、サーバ12を構成する何れかのコンピュータのCPUが、OS及びアプリケーションプログラムに従って必要な処理を実行することによって実現される。
また、上記の基幹テーブル14、基幹データ格納情報テーブル20、ユーザ利用テーブル26、ユーザ利用インデックス28及びユーザ利用データ格納情報テーブル30は、サーバ12を構成する何れかのコンピュータのハードディスク内に設けらた所定のディレクトリに格納されている。
【0024】
上記の基幹情報分析部18には、インターネットやイントラネット等の通信網を介して分析担当ユーザのPC34が接続されている。
また、上記のユーザ利用情報分析部32には、分析結果を利用する一般ユーザのPC36が接続されている。
各PC34,36には、Webブラウザプログラムがセットアップされている。
【0025】
上記の基幹データ格納情報テーブル20には、各基幹テーブル14のデータ項目毎(項目内訳が存在する場合には項目内訳毎)に、詳細な定義情報(メタデータ)が格納されている。
図2は、この基幹データ格納情報テーブル20に格納された定義情報の一例を示すものであり、「AA200100」という基幹テーブル中の、「AA200100.TOSH_HOSN_KBN3」というデータ項目の一選択肢(項目内訳ID=1)に関するレコードを示している。
【0026】
この中には、フィールド名称として「投資方針(現在)」が登録されており、フィールド名「AA200100.TOSH_HOSN_KBN3」が「投資方針(現在)」を意味することが明示されている。
また、項目内訳として「元本の安全性重視」が登録されており、項目内訳ID=1が「元本の安全性重視」を意味することが明示されている。
その他、内容入力/選択区分として「S」が登録されているため、選択肢型のデータ項目であることを意味している。
図示は省略したが、基幹データ格納情報テーブル20の1レコード中には、当該データ項目のデータ型やデータ長についても登録されている。
【0027】
さらに、この基幹データ格納情報テーブル20には、「グループ名称」及び「項目グループ名称」のデータ項目が設けられている。
これらの中、「項目グループ名称」は当該テーブルに含まれる各データ項目の特性を反映させた小分類を意味し、「グループ名称」は複数の同種テーブルを束ねるための大分類に相当する。
図2においては、AA200100テーブルが項目グループ名称「個人顧客属性情報」に該当し、グループ名称「口座単位グループ」に属することが示されている。
これらの「グループ名称」及び「項目グループ名称」は、何れも分析担当ユーザが特定のデータ項目を容易に探知できるように、各テーブルに含まれるデータ項目を意味内容に応じて体系的に配置する目的で設定されている(詳細は後述)。
【0028】
以下、図3のフローチャートに従い、このシステム10における処理手順について説明する。
まず分析担当ユーザがPC34からサーバ12にアクセスし、基幹テーブル14に対する検索をリクエストすると、これを受けた基幹情報分析部18は(S10)、基幹DB管理部16を介して基幹データ格納情報テーブル20に登録されたグループ名称、項目グループ名称、フィールド名称、項目内訳を取得すると共に、これらを階層的に配置させた検索条件入力画面を生成し、PC34に送信する(S12)。
【0029】
図4は、この検索条件入力画面40の一例を示しており、グループ名称表示欄42、項目グループ名称表示欄44、フィールド名称表示欄46、項目内訳表示欄48、抽出条件指定欄50を備えている。
ここで、分析担当ユーザがグループ名称表示欄42に列挙された特定のグループ名称をクリックすると、当該グループに属する複数の項目グループ名称が項目グループ名称表示欄44にリスト表示され、その中の一つの項目グループ名称をクリックすると、当該項目グループに属するフィールド名称がフィールド名称表示欄46にリスト表示される。
また、項目内訳を有するフィールド名称を分析担当ユーザがクリックすると、項目内訳表示欄48が展開し、具体的な項目内訳がリスト表示される。
さらに、分析担当ユーザが特定の項目内訳にマウスポインタを合わせると、抽出条件指定欄50が展開する。
このように、検索条件入力画面40においては、グループ名称、項目グループ名称、フィールド名称、項目内訳が、上位概念から下位概念に向けて体系的に配置され、順に展開される形で表示されるため、分析担当ユーザは各名称の意味内容から目的のデータ項目や項目内訳に容易に辿り着くことが可能となる。
【0030】
また、分析担当ユーザは、基幹データ格納情報テーブル20に格納された全てのグループ名称、項目グループ名称、フィールド名称、項目内訳に対して全文検索を求めることもできる。
すなわち、分析担当ユーザがキーワード入力欄51に任意の文字列を入力して検索ボタン52をクリックすると、基幹情報分析部18は基幹DB管理部16を介して当該文字列を含むグループ名称、項目グループ名称、フィールド名称、項目内訳を基幹データ格納情報テーブル20から抽出し、検索結果リストを検索条件入力画面40に表示させる。
【0031】
図4においては、分析担当ユーザが「口座単位グループ−個人顧客属性情報−投資方針(現在)−元本の安全性重視」を選択し、抽出条件として「等しい(=)」を指定した状態が描かれている。
分析担当ユーザは、この抽出条件指定欄50において「以外(<>)」を指定することにより、「元本の安全性重視」を除いた他の4つの項目内訳を抽出条件として指定することもできる。
また、データ項目や項目内訳の内容によっては、「超(>)」、「以上(>=)」、「未満(<)」、「以下(<=)」の抽出条件を設定することもできる。
さらに、分析担当ユーザは、「AND」や「OR」を指定することにより、複数の検索条件を指定することもできる。
【0032】
図4の状態において分析担当ユーザが検索実行ボタンをクリックすると、指定された抽出条件がPC34からサーバ12に送信される。
これを受けた基幹情報分析部18は(S14)、基幹DB管理部16を介して分析担当ユーザが指定したデータ項目に係るフィールド名(AA200100.TOSHI_HOSN_KBN3)、物理テーブル名(AA200100)及び項目内訳ID(1)を取得すると共に、ユーザの指定した抽出条件に対応したSQLのセレクト文を自動生成し、基幹DB管理部16に対して発行する(S16)。
【0033】
これを受けた基幹DB管理部16は、AA200100の基幹テーブル14から「投資方針(現在)」のフィールドに「1(元本の安全性)」が登録されている個人顧客のデータを抽出し、基幹情報分析部18に渡す。
この抽出データを受けた基幹情報分析部18は(S18)、これを所定のテンプレートに充填して検索結果表示画面(HTMLファイル)を生成し、分析担当ユーザのPC34に送信する(S20)。
この結果、PC34のWebブラウザ上には、現在の投資方針として「安全性重視」を申告している顧客の総数や、それぞれの属性情報(部店番号、口座番号、氏名、性別、年齢等)が記載された検索結果リストが表示される(図示省略)。
【0034】
上記は単純に「安全性重視」の性行を備えた顧客をリストアップしただけであるが、分析担当ユーザは複数のテーブルに格納された多数のデータ項目に関して複雑な検索条件を指定することにより、より高度な分析結果を得ることが可能となる。
例えば、分析担当ユーザが検索条件入力画面40を介して、「投資方針(現在)=5(積極的に投資したい)」、及び「過去1年間の取引額」を検索条件として指定すると、基幹情報分析部18は基幹DB管理部16を介して基幹データ格納情報テーブル20から必要な定義情報を取得すると共に、これに基づいて対応のSQL文を自動生成し、基幹DB管理部16に発行する。
【0035】
これを受けた基幹DB管理部16は、個人顧客の属性情報を管理する基幹テーブル14(AA200100)から「投資方針(現在)」のフィールドに「5(積極的に投資したい)」が登録されている個人顧客の属性データを抽出すると共に、各顧客の過去1年分の取引額データを取引情報を管理する他の基幹テーブル14から抽出し、基幹情報分析部18に渡す。
これに対し基幹情報分析部18は、これらのデータを所定のテンプレートに充填して検索結果表示画面(HTMLファイル)を生成し、分析担当ユーザのPC34に送信する。
この結果、PC34のWebブラウザ上には、現在の投資方針として「積極的に投資したい」を申告している顧客の総数や、それぞれの属性情報(部店番号、口座番号、氏名、性別、年齢等)の他に、過去1年間における取引額が記載された検索結果リストが表示される(図示省略)。
【0036】
これを閲覧することにより、分析担当ユーザは、「積極的に投資したい」と申告している顧客が現実にはどの程度の取引実績を残しているのかを把握することが可能となる。
そして、この分析結果を検討した結果、これはマーケティング情報として他の一般ユーザにとっても有益であると分析担当ユーザが判断すると、画面上の「検索結果を公開する」ボタンをクリックし、ユーザ利用テーブルの生成をリクエストする。
この際、分析担当ユーザは、公開するユーザ利用テーブルのタイトル(例えば「積極投資希望者の取引実績」)を画面上に設けられたタイトル入力欄に打鍵入力する。
【0037】
基幹情報分析部18経由で上記のリクエストを受けたユーザ利用DB生成部22は(S22)、基幹データ格納情報テーブル20を参照し、抽出データに含まれる各データ項目のフィールド名、データ型、データ長を取得すると共に、これに基づいてSQLのテーブルクリエイト文を生成し、ユーザ利用DB管理部24に発行する(S24)。
これを受けたユーザ利用DB管理部24は、対応のユーザ利用テーブル26を生成し(S26)、所定のディレクトリに格納する。この際、ユーザ利用DB管理部24は所定のルールに従い、当該テーブルに物理テーブル名を割り振る。
【0038】
つぎにユーザ利用DB生成部22は、基幹データ格納情報テーブル20を参照し、抽出データに含まれる各データ項目に係る一般ジョインキーを取得すると共に、この一般ジョインキーに基づいてSQLのインデックスクリエイト文を自動生成し、ユーザ利用DB管理部24に発行する(S28)。
これを受けたユーザ利用DB管理部24は、上記ユーザ利用テーブル26のインデックス28を生成し(S30)、所定のディレクトリに格納する。
【0039】
つぎにユーザ利用DB生成部22は、基幹情報分析部18から渡された抽出データを上記のユーザ利用テーブル26に挿入するためのSQLのインサート文を自動生成し、ユーザ利用DB管理部24に発行する(S32)。
この結果、ユーザ利用DB管理部24によって抽出データが上記のユーザ利用テーブル26に挿入される(S34)。
【0040】
最後にユーザ利用DB生成部22は、上記ユーザ利用テーブル26の各データ項目に係る基幹データ格納情報テーブル20内の定義情報を、ユーザ利用データ格納情報テーブル30に挿入するためのSQLのインサート文を自動生成し、ユーザ利用DB管理部24に発行する(S36)。
これを受けたユーザ利用DB管理部24は、対応の定義情報をユーザ利用データ格納情報テーブル30に登録する(S38)。この際、ユーザ利用DB管理部24によって割り振られた物理テーブル名も、ユーザ利用データ格納情報テーブル30に登録される。また、分析担当ユーザが入力したタイトル(積極投資希望者の取引実績)も、項目グループ名称としてユーザ利用データ格納情報テーブル30に登録される。
【0041】
上記のようにして新規に生成されたユーザ利用テーブル26は、以後一般ユーザの利用に供される。
すなわち、分析担当ユーザから「積極投資希望者の取引実績」のユーザ利用テーブル26を新設した旨の告知を受けた一般ユーザが、PC36を通じてサーバ12にアクセスし、該当のユーザ利用テーブル26の閲覧をリクエストすると、これを受けたユーザ利用情報分析部32は(S40)、ユーザ利用DB管理部24を介してユーザ利用データ格納情報テーブル30から必要な情報を取得した後、検索条件入力画面を生成し、PC36に送信する(S42)。
【0042】
この結果、PC36のWebブラウザ上には、該当テーブルに含まれるフィールド名称及び項目内訳が列挙され、抽出条件指定欄が設けられた検索条件入力画面が表示される(図示省略)。
これに対し一般ユーザが、特定のデータ項目または項目内訳に関して抽出条件を設定し、検索実行ボタンをクリックすると、この抽出条件がPC36からサーバ12に送信される。ここで設定する抽出条件としては、例えば、部店コードのデータ項目に関して特定の部店コード「011」を入力することが該当する。
これを受けたユーザ利用情報分析部32は(S44)、ユーザ利用DB管理部24を介してユーザ利用データ格納情報テーブル30から一般ユーザが指定したデータ項目に係るフィールド名及び物理テーブル名を取得すると共に、ユーザ指定の抽出条件に対応したSQLのセレクト文を自動生成し、ユーザ利用DB管理部24に対して発行する(S46)。
【0043】
これを受けたユーザ利用DB管理部24は、「積極投資希望者の取引実績」のユーザ利用テーブル26から、部店コードとして「011」が登録されている顧客のデータを抽出し、ユーザ利用情報分析部32に渡す。この際、ユーザ利用DB管理部24は、対応のユーザ利用インデックス28を参照することにより、処理の効率化を図ることができる。
【0044】
この抽出データを受けたユーザ利用情報分析部32は(S48)、これを所定のテンプレートに充填して検索結果表示画面(HTMLファイル)を生成し、一般ユーザのPC36に送信する(S50)。
この結果、PC36のWebブラウザ上には、「011」部店が管理する顧客の中で、現在の投資方針として「積極的に投資したい」を申告している顧客の総数や、それぞれの属性情報(口座番号、氏名、性別、年齢等)及び過去1年間の取引額が記載された検索結果リストが表示される(図示省略)。
【0045】
このシステム10の場合、多数の基幹テーブル14のデータ項目または項目内訳毎に、システムの専門家以外の一般人でも容易に理解可能なグループ名称、項目グループ名称、フィールド名称が基幹データ格納情報テーブル20に設定されており、基幹情報分析部18によってこれらの名称を体系的に配置させた検索条件入力画面が生成され、分析担当ユーザに提示されるため、分析担当ユーザは各テーブルの存在やデータ構成を意識することなく、必要なデータ項目に容易に辿り着くことが可能となる。
【0046】
しかも、上記の基幹データ格納情報テーブル20には、物理テーブル名やフィールドID、フィールド名、項目内訳IDといったシステム寄りの情報も格納されているため、分析担当ユーザが指定したデータ項目に対する操作を指令するSQL文をシステム10の側で自動生成することができる。このため、分析担当ユーザはSQLに関する知識がなくても、必要なデータを基幹テーブルから自由に引き出すことが可能となる。
【0047】
また、分析担当ユーザが自社の基幹テーブル群に対して様々な角度から検索を行い、その検索結果の中でマーケティングや最適商品の提案等に役立つと判断したものについては、ユーザ利用DB生成部22によって必要なSQL文が自動生成され、ユーザ利用DB管理部24によって検索結果データを格納したユーザ利用テーブル26が新設される仕組みを備えているため、従来のようにシステム部門の手を煩わせることなく、使い勝手の良好なテーブルを一般ユーザに迅速に提供することが可能となる。
【0048】
上記のようにして新設されたユーザ利用テーブル26については、基幹データ格納情報テーブル20に登録された定義情報と同様の内容を備えた定義情報がユーザ利用データ格納情報テーブル30に格納され、これに基づいて一般ユーザが指定したデータ項目に対する操作を指令するSQL文がユーザ利用情報分析部32によって自動生成されるため、一般ユーザはSQLに関する知識がなくても、新設されたユーザ利用テーブル26から必要なデータを自由に引き出すことが可能となる。
【0049】
分析担当ユーザは、特定の検索条件を設定した後、当該検索条件に基づく検索処理を定期的に実行し、一般ユーザに公開するテーブルを自動更新することをシステム10に予約することもできる。
具体的には、図4の検索条件入力画面40において抽出条件を設定した後、登録名入力欄54に実行予約の登録名を打鍵入力し、実行指示登録ボタン56をクリックする。
この結果、基幹情報分析部18より実行予約フォームが送信され、PC34のWebブラウザ上に表示される。
【0050】
図5はその実行予約フォーム60の一例を示すものであり、分析担当ユーザはこのフォーム60を通じて実行期間(例えば20050801〜20060731)及び実行周期(例えば毎営業日)を設定した後、登録ボタン62をクリックする。
この実行予約データを受信した基幹情報分析部18は、この実行予約データと抽出条件との組合せを所定の記憶部に格納しておき、実行周期が到来する都度、設定された抽出条件に従って基幹テーブル14に対する検索処理を基幹DB管理部16に実行させる。
また、ユーザ利用DB生成部22は、ユーザ利用DB管理部24を介して新たなユーザ利用テーブル26を生成する。
この結果、一般ユーザは定期的にアップデートされたユーザ利用テーブル26を参照することが可能となる。
【0051】
分析担当ユーザは、基幹テーブル14に含まれていない個別のデータを、このシステム10を通じて一般ユーザに公開することもできる。
例えば、分析担当ユーザが独自に収集・加工した高額所得者のデータをシステム10にアップロードしておき、一般ユーザがこの高額所得者のデータと自店の顧客の属性データとを突き合わせることにより、自店の顧客の中で高額所得者に該当する者をリストアップすることが可能となる。
【0052】
この場合、まず分析担当ユーザはサーバ12にアクセスし、ファイルのアップロードをリクエストする。
これを受けた基幹情報分析部18は、ファイル指定欄を備えたアップロード用フォームをPC34に送信する。
これに対し分析担当ユーザは、このフォームを通じてPC34の所定のディレクトリに格納された目的のデータファイル(CSV等の表形式データファイル)を指定する。
同時に分析担当ユーザは、当該独自データのデータ項目に関する定義情報を収めたファイルをも指定する。この定義情報は、図2に示した基幹データ格納情報テーブル20と同様のデータ項目を備えている。
つぎに分析担当ユーザは、上記フォーム中の送信ボタンをクリックし、指定ファイルのアップロードを要求する。
この結果、PC34からサーバ12に対して指定ファイルが送信される。
【0053】
これを受けたサーバ12の基幹情報分析部18は、ユーザ利用DB生成部22及びユーザ利用DB管理部24を介して分析担当ユーザが作成した独自データに基づくユーザ利用テーブル26を生成し、所定のディレクトリに格納する。
同時に基幹情報分析部18は、ユーザ利用DB生成部22及びユーザ利用DB管理部24を介して分析担当ユーザが作成した定義情報をユーザ利用データ格納情報テーブル30に格納する。
さらに基幹情報分析部18は、ユーザ利用DB生成部22及びユーザ利用DB管理部24を介して、上記定義情報中の一般ジョインキーに基づいて上記テーブルのインデックス28を生成し、所定のディレクトリに格納する。
以後、一般ユーザは、この独自データに基づいて生成されたユーザ利用テーブル26に対しても、基幹テーブル14に基づいて生成されたユーザ利用テーブル26と同様に、自由な検索処理を実行することが可能となる。
【0054】
分析担当ユーザは、新設するユーザ利用テーブル26の特定項目についてアクセスコントロールを設定することにより、データの機密性を担保することもできる。
すなわち、分析担当ユーザが分析結果表示画面上で特定のデータ項目についてアクセスコントロールの設定をリクエストすると、サーバ12の基幹情報分析部18からアクセスコントロールの設定フォームが送信され、PC34のWebブラウザ上に表示される(図示省略)。
この設定フォーム上には、「課長以上」、「役員」、「営業部員」、「企画部員」のように、一般ユーザを役職や所属部署等の属性に基づいて限定するための選択肢が列記されている。
これに対し分析ユーザは、必要な選択肢(例えば「課長以上」)にチェックを入れて返信する。
【0055】
これを受けた基幹情報分析部18は、基幹DB管理部16を介して基幹データ格納情報テーブル20に格納された該当レコードのアクセスコントロール項目に、公開対象者を課長以上に限定するためのコードを設定する。
このコードは、ユーザ利用テーブル26を生成する際に、ユーザ利用データ格納情報テーブル30に反映される。
【0056】
一般ユーザがユーザ利用情報分析部32にアクセスし、ユーザ利用テーブル26の参照をリクエストした場合、まずユーザ利用情報分析部32は、各ユーザのIDと役職や所属部署との対応関係を定義したユーザ属性DBを参照し、当該ユーザがログイン時に入力したIDに基づいてその属性(例えば役職=部長)を取得する。
つぎにユーザ利用情報分析部32は、ユーザ利用DB管理部24を介してユーザ利用データ格納情報テーブル30を参照し、各テーブルを構成するデータ項目中にアクセスコントロール情報が設定されているか否かをチェックする。
ここで、特定のデータ項目に公開対象ユーザを「課長以上」に限定するコードが設定されていた場合、ユーザ利用情報分析部32は当該ユーザは部長であるためアクセス可能と判定し、検索条件入力画面に当該データ項目のフィールド名称を表示させる。
これに対し、ユーザが係長である場合、ユーザ利用情報分析部32は当該ユーザはアクセス不可と判定し、検索条件入力画面から当該データ項目のフィールド名称を除去し、非表示化させる。
【0057】
上記においては、分析担当ユーザが独自の判断で必要な基幹テーブル14に対し分析的な検索処理を実行し、試行錯誤の末に得られた抽出データをユーザ利用テーブル26として一般ユーザに開放する例を説明したが、このシステム10の利用方法は上記に限定されるものではない。
すなわち、基幹テーブル14が詳細すぎるデータ項目を備えており、一般ユーザが日常的に利用するには使い勝手が悪い場合に、予め定型的な抽出条件をシステム10に設定しておくことで、基幹テーブル14を単に簡素化させたユーザ利用テーブル26を自動生成する目的にも応用できる。
【0058】
例えば、ある基幹テーブル14が数百に及ぶデータ項目を備えており、その中の10項目のみが一般ユーザにとって有益であり、他の項目は不要である場合、分析担当ユーザは予め有益な10項目を抽出するための条件を検索条件入力画面40を通じて設定し、実行予約フォーム60において定期的なユーザ利用テーブル26の生成を予約しておく。
後は、設定された周期が到来する度に、基幹情報分析部18、基幹DB管理部16、ユーザ利用DB生成部22及びユーザ利用DB管理部24の協働によって最新のユーザ利用テーブル26が生成され、一般ユーザの利用に供されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明に係るデータベース利用システムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】基幹データ格納情報テーブルに登録された定義情報の具体例を示す説明図である。
【図3】このデータベース利用システムにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図4】検索条件入力画面の一例を示すレイアウト図である。
【図5】実行予約フォームの一例を示すレイアウト図である。
【符号の説明】
【0060】
10 データベース利用システム
12 サーバ
14 基幹テーブル
16 基幹DB管理部
18 基幹情報分析部
20 基幹データ格納情報テーブル
22 ユーザ利用DB生成部
24 ユーザ利用DB管理部
26 ユーザ利用テーブル
28 ユーザ利用インデックス
30 ユーザ利用データ格納情報テーブル
32 ユーザ利用情報分析部
40 検索条件入力画面
42 グループ名称表示欄
44 項目グループ名称表示欄
46 フィールド名称表示欄
48 項目内訳表示欄
50 抽出条件指定欄
51 キーワード入力欄
52 検索ボタン
54 登録名入力欄
56 実行指示登録ボタン
60 実行予約フォーム
62 登録ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基幹テーブルが格納された基幹テーブル記憶手段と、
各基幹テーブルを構成しているデータ項目毎に、またデータ項目に項目内訳が存在する場合には項目内訳毎に、当該データ項目または項目内訳が属する基幹テーブルの物理テーブル名、当該基幹テーブルの特性を表す項目グループ名称、当該データ項目のフィールド名、当該データ項目の意味内容を表示するフィールド名称、項目内訳ID、項目内訳、データ型、データ長等の定義情報を格納しておく基幹データ格納情報データベースと、
ユーザの操作する端末から基幹テーブルに対する検索リクエストが送信された場合に、上記基幹データ格納情報データベースを参照し、少なくとも複数の項目グループ名称、各項目グループに属するフィールド名称、各フィールド名称に属する項目内訳が記述され、各フィールド名称または項目内訳毎に抽出条件を設定するための選択欄を備えた検索条件入力画面を生成し、上記端末に送信する手段と、
当該端末から特定のフィールド名称または項目内訳に係る抽出条件が送信された場合に、上記基幹データ格納情報データベースを参照し、当該フィールド名称または項目内訳の属する物理テーブル名、フィールド名、項目内訳に対する抽出条件の場合には項目内訳IDを取得する手段と、
この物理テーブル名、フィールド名、項目内訳に対する抽出条件の場合には項目内訳項目内訳IDを含み、上記抽出条件に対応するSQLのセレクト文を生成する手段と、
このセレクト文に従い、特定の基幹テーブルから抽出条件に合致したデータを抽出する手段と、
この抽出データを所定のテンプレートに充填し、検索結果表示画面を生成する手段と、
この検索結果表示画面をユーザの端末に送信する手段と、
を備えたことを特徴とするデータベース利用システム。
【請求項2】
ユーザ利用テーブル記憶手段と、
ユーザ利用データ格納情報データベースと、
ユーザの操作する端末から、上記基幹テーブルからの抽出データに基づいてユーザ利用テーブルを生成することを求めるリクエストが送信された場合に、上記基幹データ格納情報データベースを参照し、抽出データを構成する各データ項目のフィールド名、項目内訳の場合には項目内訳ID、データ型、データ長を取得する手段と、
これらのデータを基にSQLのテーブルクリエイト文を生成する手段と、
このテーブルクリエイト文に従ってユーザ利用テーブルを生成し、上記ユーザ利用テーブル記憶手段に格納する手段と、
上記抽出データを上記のユーザ利用テーブルに挿入するためのSQLのインサート文を生成する手段と、
このインサート文に従い、上記抽出データを上記のユーザ利用テーブルに挿入する手段と、
上記基幹データ格納情報データベースに格納された定義情報の中で、上記ユーザ利用テーブルを構成するデータ項目または項目内訳に係るものを上記ユーザ利用データ格納情報データベースに挿入するためのSQLのインサート文を生成する手段と、
このインサート文に従い、上記基幹データ格納情報データベースから必要なデータ項目または項目内訳に係る定義情報を抽出し、上記ユーザ利用データ格納情報データベースに挿入する手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のデータベース利用システム。
【請求項3】
上記基幹データ格納情報データベースには、各データ項目または項目内訳が属する基幹テーブルのジョインキーを特定する情報が格納されており、
ユーザ利用テーブルを生成するに際し、上記基幹データ格納情報データベースを参照して必要なジョインキーを取得する手段と、
当該ジョインキーに基づいてSQLのインデックスクリエイト文を生成する手段と、
このインデックスクリエイト文に従い、上記ユーザ利用テーブルのインデックスを生成する手段と、
このインデックスを所定の記憶手段に格納する手段と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載のデータベース利用システム。
【請求項4】
ユーザの操作する端末からユーザ利用テーブルに対する検索リクエストが送信された場合に、上記ユーザ利用データ格納情報データベースを参照し、少なくとも複数のフィールド名称、各フィールド名称に属する項目内訳が記述され、各フィールド名称または項目内訳毎に抽出条件を設定するための選択欄を備えた検索条件入力画面を生成し、上記端末に送信する手段と、
当該端末から特定のフィールド名称または項目内訳に係る抽出条件が送信された場合に、上記ユーザ利用データ格納情報データベースを参照し、当該フィールド名称または項目内訳の属する物理テーブル名、フィールド名、項目内訳に対する抽出条件の場合には項目内訳IDを取得する手段と、
この物理テーブル名、フィールド名、項目内訳に対する抽出条件の場合には項目内訳IDを含み、上記抽出条件に対応するSQLのセレクト文を生成する手段と、
このセレクト文に従い、特定のユーザ利用テーブルから抽出条件に合致したデータを抽出する手段と、
この抽出データを所定のテンプレートに充填し、検索結果表示画面を生成する手段と、
この検索結果表示画面をユーザの端末に送信する手段と、
を備えたことを特徴とする請求項2または3に記載のデータベース利用システム。
【請求項5】
ユーザの操作する端末から、上記検索条件入力画面を通じて設定した抽出条件に基づいて定期的に検索処理を実行し、その抽出データに基づいてユーザ利用テーブルを更新することを求めるリクエストが送信された場合に、少なくとも実行周期指定欄を備えた実行予約フォームを上記端末に送信する手段と、
当該端末から実行周期を特定するデータが送信された場合に、先にユーザが設定した抽出条件と実行周期の組合せを所定の記憶手段に格納する手段と、
実行周期が到来する度に上記基幹データ格納情報データベースを参照し、ユーザが抽出条件を設定したフィールド名称または項目内訳の属する物理テーブル名、フィールド名、項目内訳に対する抽出条件の場合には項目内訳IDを取得する手段と、
この物理テーブル名、フィールド名、項目内訳に対する抽出条件の場合には項目内訳項目内訳IDを含み、ユーザが設定した抽出条件に対応するSQLのセレクト文を生成する手段と、
このセレクト文に従い、特定の基幹テーブルから抽出条件に合致したデータを抽出する手段と、
上記基幹データ格納情報データベースを参照し、抽出データを構成する各データ項目のフィールド名、項目内訳の場合には項目内訳ID、データ型、データ長を取得する手段と、
これらのデータを基にSQLのテーブルクリエイト文を生成する手段と、
このテーブルクリエイト文に従ってユーザ利用テーブルを生成し、上記ユーザ利用テーブル記憶手段に格納する手段と、
上記抽出データを上記のユーザ利用テーブルに挿入するためのSQLのインサート文を生成する手段と、
このインサート文に従い、上記抽出データを上記のユーザ利用テーブルに挿入する手段と、
を備えたことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載のデータベース利用システム。
【請求項6】
ユーザの操作する端末から、独自データに基づいてユーザ利用テーブルを生成することを求めるリクエストが送信された場合に、この端末にファイル指定欄を備えたアップロード用フォームを送信する手段と、
この端末から上記フォームを介して複数のデータ項目を備えた表形式データのファイル及び各データ項目の定義情報を格納したファイルが送信された場合に、上記定義情報を参照し、独自データを構成する各データ項目のフィールド名、データ型、データ長を取得する手段と、
これらのデータを基にSQLのテーブルクリエイト文を生成する手段と、
このテーブルクリエイト文に従ってユーザ利用テーブルを生成し、上記ユーザ利用テーブル記憶手段に格納する手段と、
上記の独自データをこのユーザ利用テーブルに挿入するためのSQLのインサート文を生成する手段と、
このインサート文に従い、上記の独自データを上記のユーザ利用テーブルに挿入する手段と、
上記の定義情報をユーザ利用データ格納情報データベースに挿入するためのSQLのインサート文を生成する手段と、
このインサート文に従い、上記定義情報をユーザ利用データ格納情報データベースに挿入する手段と、
を備えたことを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載のデータベース利用システム。
【請求項7】
上記ユーザ利用データ格納情報データベースには、各データ項目または項目内訳毎にアクセスコントロール情報を登録するための項目が設定されており、
ユーザ利用テーブルを生成するに際し、ユーザの操作する端末から特定のデータ項目または項目内訳についてアクセス可能なユーザを限定することを求めるリクエストが送信された場合に、アクセス可能なユーザの属性を特定するための選択項目が設定されたフォームを上記端末に送信する手段と、
この端末から上記フォームを通じてアクセス可能なユーザの属性を特定する情報が送信された場合に、上記ユーザ利用データ格納情報データベースにおける目的のデータ項目または項目内訳のアクセスコントロール情報を登録するための項目に、アクセス可能なユーザの属性を特定する情報を登録する手段と、
ユーザの認証情報と属性との対応関係を定義しておくユーザ属性データベースと、
ユーザの操作する端末からユーザ利用テーブルに対する検索リクエストが送信された場合に、上記ユーザ利用データ格納情報データベースを参照し、当該ユーザ利用テーブルに含まれる各データ項目または項目内訳のアクセスコントロール情報を取得する手段と、
上記ユーザ属性データベースを参照し、当該ユーザがログイン時に入力した認証情報に基づいてその属性情報を取得する手段と、
上記アクセスコントロール情報と属性情報を比較し、当該ユーザがアクセス可能なユーザか否かを判定する手段と、
アクセス可能なユーザでない場合には、該当のデータ項目または項目内訳については上記の検索条件入力画面において非表示化させる手段と、
を備えたことを特徴とする請求項4〜6の何れかに記載のデータベース利用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−94570(P2007−94570A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−280560(P2005−280560)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】