説明

データ伝送装置およびデータ伝送システム

【課題】シリアル信号伝送の帯域を保証し、また、適応変調を採用した無線回線で異なる伝送速度のデータを伝送できるデータ伝送装置およびデータ伝送システムの実現が望まれている。
【解決手段】伝送速度可変のデータ信号用の第1の入出力端子と、伝送速度一定のデータ信号用の第2の入出力端子と、上記第1と第2の入出力端子からのデータ信号が入力される入出力信号処理部と、上記入出力信号処理部の出力を変調する変調部と上記変調部を制御する第1の制御部と、送信部を有し、上記入出力信号処理部は、上記第1の入出力端子からのデータ信号を書込む第1の送信バッファメモリと、上記第2の入出力端子からのデータ信号を書込む第2の送信バッファメモリと、上記第1の送信バッファメモリと上記第2の送信バッファメモリとから所定の読出し速度で切替えて読み出す第1のセレクタを備え、上記第1のセレクタの切替を上記第1の制御部により制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ伝送装置およびデータ伝送システムに関し、特に、2地点間を伝送速度が異なるデータをデジタル無線回線で伝送するデータ伝送装置およびデータ伝送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、加入者無線アクセスシステム(FWA:Fixed Wireless Access)が実用化されている。このシステムは、例えば、図8に示すようにA無線装置801とB無線装置802とがアンテナ803および804を介して相互に無線回線で通信するように構成されている。そして、A無線装置801およびB無線装置802は、それぞれ公衆回線網やインターネットのような伝送路805および806に接続され、伝送路805および806にそれぞれ接続されている加入者端末装置(図示せず。)間、あるいはLAN(Local Area Network)などの加入者ネットワークに接続し、通信できるように構成されたシステムである。
【0003】
このような構成のデータ伝送システムは、離れた2地点、例えば、離島に位置する加入者との通信サービスや、山村地域の加入者との通信サービスに利用されている。このような無線回線によるデータ伝送は、コストの高い海底ケーブルのような敷設や長い伝送路の敷設なしに加入者との通信サービスができるため良く利用されている。なお、図8に示すA無線装置801およびB無線装置802は、それぞれ送受信機能を有していることはいうまでもない。
【0004】
而して、図8に示されるようなデータ伝送システムは、定められた一定速度のデータ伝送が行われるか、あるいは、適応変調を用いたデータ伝送システムが行われているのみである。ここで、適応変調を用いたデータ伝送システムについて簡単に説明する。適応変調を用いたデータ伝送システムは、無線回線(無線区間)の状態、例えば、降雨による電波の減衰、フェージングあるいはマルチパスによる伝送品質の低下等が生じるので、通信品質にあわせて伝送方式を変える、所謂、変調方式を切り替える適応変調方式が用いられている。そして、この適応変調方式は、伝送方式を変えることで伝送速度が無線区間の状態により変化するため、例えば、イーサネット(Ethernet:登録商標)等のようにデータがバースト的に発生する信号(伝送速度可変信号)を伝送するのには適している。しかし、シリアル信号伝送等のように伝送速度が固定(一定速度)されたデータ伝送、例えば、G.703信号(例えば、非特許文献1参照、デジタル高速通信のインターフェースを定めた規格)のようにデータ伝送速度が一定のデータの伝送(一般にシリアル信号伝送という。)、例えば、伝送速度が64Kbps、1.544Mbpsあるいは6.312Mbps等のような一定の伝送速度による伝送には、この適応変調方式を採用してもその効果が薄い。
【0005】
また、所定の変調方式で、その変調方式の最高伝送速度で通信している場合、この最高伝送速度がシリアル信号伝送以上の速度で通信するため、無関係なデータ(例えば、0のデータ)を送受信することになり、伝送帯域が無駄になる。また、適応変調方式は、伝送容量が変化するので、シリアル信号伝送を行った場合、適応変調の最低伝送速度しか帯域が保証されないため、シリアル信号伝送の伝送速度が適応変調の最低伝送速度より大きい場合、シリアル信号伝送の伝送帯域が保証されない。また、適応変調を採用した無線回線でイーサネット信号伝送のようにバースト的に発生する信号とシリアル信号伝送を複合化した伝送は、未だ実用化されてはおらず、異なる伝送速度のデータを無線回線で伝送できるデータ伝送装置およびデータ伝送システムの実現が望まれている。
【0006】
【非特許文献1】ITU Telecommunication Standardization Sector (ITU―T) 国際電気通信連合電気通信標準化部門
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シリアル信号伝送の帯域を保証し、また、適応変調を採用した無線回線で異なる伝送速度のデータを伝送できるデータ伝送装置およびデータ伝送システムの実現が望まれている。
【0008】
本発明の目的は、異なる伝送速度のデータを無線回線で伝送できるデータ伝送装置およびデータ伝送システムを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、適応変調方式のデータ伝送でシリアル信号伝送の帯域を保証できるデータ伝送装置およびデータ伝送システムを提供することである。
【0010】
本発明の更に他の目的は、適応変調方式のデータ伝送でシリアル信号伝送の帯域を保証し、残りの帯域にバースト的に発生する信号を割り当てるデータ伝送装置およびデータ伝送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のデータ伝送装置は、伝送速度可変のデータ信号が入力される少なくとも1つの第1の入出力端子と、伝送速度一定のデータ信号が入力される少なくとも1つの第2の入出力端子と、上記第1の入出力端子および上記第2の入出力端子からのデータ信号が入力される入出力信号処理部と、上記入出力信号処理部の出力を変調する変調部と上記変調部を制御する第1の制御部と、上記変調部の出力を無線回線で送信する送信部を有し、上記入出力信号処理部は、上記第1の入出力端子からのデータ信号を書込む第1の送信バッファメモリと、上記第2の入出力端子からのデータ信号を書込む第2の送信バッファメモリと、上記第1の送信バッファメモリと上記第2の送信バッファメモリから所定の読出し速度で切替えて読み出す第1のセレクタを備え、上記第1のセレクタの切替を上記第1の制御部により制御するように構成される。
【0012】
また、本発明のデータ伝送装置において、上記制御部で制御される上記第1のセレクタは、上記変調部で変調されるデータ信号の伝送容量の内、上記第2の送信バッファメモリから読み出されるデータ信号については、伝送速度一定の信号に対応する伝送容量を割り当て、上記変調部で変調されるデータ信号の伝送容量の内、残りの伝送容量を上記第1の送信バッファメモリから読み出されるデータ信号の伝送に割当てるように切替え動作するように構成される。
【0013】
また、本発明のデータ伝送装置において、上記変調部は、上記無線回線の伝送状態に応じて変調方式が切替えられる変調部であり、上記変調方式の切替えに基づいて上記セレクタの動作も切替えられるように構成される。
【0014】
また、本発明のデータ伝送装置において、上記第1の送信バッファメモリおよび上記第2の送信バッファメモリからそれぞれ読み出されるデータ信号に、上記第1の送信バッファメモリおよび上記第2の送信バッファメモリから読み出されたデータであることを示す情報を添付するように構成される。
【0015】
また、本発明のデータ伝送装置において、更に、無線回線で送られてくるデータ信号を受信する受信部と、上記受信部の出力を復調する復調部と、上記復調部を制御する第2の制御部と、上記復調部の出力が供給される上記入出力信号処理部を有し、上記入出力信号処理部は、更に、第2のセレクタと、上記第2のセレクタの出力を書込む第1の受信バッファメモリと第2の受信バッファメモリを有し、上記第2のセレクタは、上記第2の制御部の制御に基づいて上記復調部の出力を切替えて上記第1の受信バッファメモリと第2の受信バッファメモリにそれぞれ書込み、上記第1の受信バッファメモリと第2の受信バッファメモリに書込まれたデータ信号を上記第1の入出力端子と上記第2の入出力端子にそれぞれ出力するように構成される。
【0016】
更に、本発明は、第1の無線装置と、第2の無線装置を有し、上記第1と上記第2の無線装置が無線回線を介して通信するデータ伝送システムにおいて、上記第1の無線装置は、伝送速度可変のデータ信号が入力される少なくとも1つの第1の入出力端子と、伝送速度一定のデータ信号が入力される少なくとも1つの第2の入出力端子と、上記第1の入出力端子および上記第2の入出力端子からのデータ信号が入力される入出力信号処理部と、上記入出力信号処理部の出力を変調する変調部と上記変調部を制御する第1の制御部と、上記変調部の出力を無線回線で送信する送信部を有し、上記入出力信号処理部は、上記第1の入出力端子からのデータ信号を書込む第1の送信バッファメモリと、上記第2の入出力端子からのデータ信号を書込む第2の送信バッファメモリと、上記第1の送信バッファメモリと上記第2の送信バッファメモリとから所定の読出し速度で切替えて読み出す第1のセレクタを備え、上記第1のセレクタの切替を上記第1の制御部により制御すると共に、上記第2の無線装置は、上記送信部からのデータ信号を受信するように構成される。
【0017】
また、本発明のデータ伝送システムにおいて、上記第1の無線装置は、更に、上記第2の無線装置から送られてくるデータ信号を受信する受信部と、上記受信部の出力を復調する復調部と、上記復調部を制御する第2の制御部と、上記復調部の出力を供給される上記入出力信号処理部を有し、上記入出力信号処理部は、更に、第2のセレクタと、上記第2のセレクタの出力を書込む第1の受信バッファメモリと第2の受信バッファメモリを有し、上記第2のセレクタは、上記第2の制御部の制御に基づいて上記復調部の出力を切替えて上記第1の受信バッファメモリと上記第2の受信バッファメモリにそれぞれ書込み、上記第1の受信バッファメモリと上記第2の受信バッファメモリに書込まれたデータ信号を上記第1の入出力端子と上記第2の入出力端子にそれぞれ出力するように構成される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、無線回線で異なる伝送速度のデータを伝送できるデータ伝送装置およびデータ伝送システムが実現できる。また、適応変調方式における無線通信システムで伝送速度が変化する回線と伝送速度が固定の回線を複合化することで、効率的な伝送が可能となり、システムに組み込む場合の適応範囲が広く、また、無線通信システム構築における回線の選択が容易になる。更に、シリアル信号伝送の帯域を保証できるデータ伝送装置およびデータ伝送システムが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施例について図面を用いて説明する。図7は、本発明の一実施例の概略構成を示す図である。図7において、A無線装置701とB無線装置702とがアンテナ703および704を介して相互に無線回線で通信するように構成されている。そして、A無線装置701は、例えば、公衆回線網やインターネットのような伝送路705および706とそれぞれ接続されている。本実施例では、伝送路705は、例えば、イーサネットのようなデータがバースト的に発生する信号(以下、伝送速度可変信号と称する。)を伝送する伝送路であり、伝送路706は、例えば、G.703のようにデータの伝送速度が一定な信号(一般にシリアル伝送と呼ばれており、以下、伝送速度一定信号と称する。)を伝送する伝送路である。
【0020】
同様に、B無線装置702は、例えば、公衆回線網やインターネットのような伝送路707および708とそれぞれ接続されている。本実施例では、伝送路707は、例えば、イーサネットのようなデータがバースト的に発生する信号(以下、伝送速度可変信号と称する。)を伝送する伝送路であり、伝送路708は、例えば、G.703のようにデータの伝送速度が一定な信号(一般にシリアル伝送と呼ばれており、以下、伝送速度一定信号と称する。)を伝送する伝送路である。
【0021】
次に、図7で示されるA無線装置701およびB無線装置702について、図1を用いて説明する。なお、A無線装置701およびB無線装置702は、同様な構成であるので、ここでは、A無線装置701を代表して説明するが、B無線装置702も同様であるので説明は省略する。図1において、101は、伝送速度可変信号が供給される入出力端子(第1の入出力端子という。)であり、例えば、図7の伝送路705に接続されている。102は、伝送速度一定信号が供給される入出力端子(第2の入出力端子という。)であり、例えば、図7の伝送路706に接続されている。103は、入出力信号処理部、104は、変復調部である。105は、送信IF部であり、変復調部104からの信号を、例えば、中間周波数130MHzに変換し、送信高周波部106に供給する。送信高周波部106では、信号を増幅し、例えば、18GHz帯の無線キャリアに変換し、共用器109を介してアンテナ110からB無線装置702に送信する。
【0022】
一方、B無線装置702からの信号は、アンテナ110、共用器109を介して受信高周波部108に供給される。受信高周波部108では、アンテナ110からの受信信号を増幅し、例えば、中間周波数290MHzに変換し、受信IF部107に供給する。受信IF部107では、ベースバンド信号に変換し、変復調部104に供給する。
【0023】
入出力信号処理部103は、入出力インターフェース(I/F)121、122、伝送速度可変信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO(First In First Out))123−1(第1の送信バッファメモリという。)、伝送速度一定信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−2(第2の送信バッファメモリという。)、伝送速度可変信号用受信バッファメモリ(Rx−FIFO)124−1(第1の受信バッファメモリという。)、伝送速度一定信号用受信バッファメモリ(Rx−FIFO)124−2(第2の受信バッファメモリという。)およびセレクタ125(第1のセレクタという。)、126(第2のセレクタという。)で構成されている。また、変復調部104は、制御部131、134、変調部132および復調部133で構成され、135および136は、記憶部である。
【0024】
次に、図1で示されるデータ伝送装置の動作について説明する。まず、変復調部104の適応変調方式について説明する。先に説明したように適応変調を用いたデータ伝送システムは、例えば、図7に示すようにA無線装置701とB無線装置702との間の無線回線(無線区間)において、例えば、降雨による電波の減衰、フェージングあるいはマルチパスによる伝送品質の低下等が生じるので、通信品質にあわせて伝送方式を変える、所謂、変調方式を切り替える適応変調方式が用いられている。以下、これについて説明する。入出力信号処理部103からの送信データは、変調部132で所定の変調方式で変調され、送信IF部105に供給される。この変調部132での変調方式には、例えば、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadri Phase Shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM等の変調方式が知られている。そして、この変調部132での変調方式は、例えば、受信側での受信感度に応じて制御部131が変調部132を制御してBPSK、QPSK、16QAM、64QAM等の変調方式を適宜自動的に切替えるように構成されている。具体的には、例えば、記憶部135に表1に示すような受信電界強度テーブルが記憶されている。
【0025】
【表1】

表1は、変調方式に対する最低受信電界強度を示すテーブルである。例えば、B無線装置702からの信号がアンテナ110で受信され、その信号が共用器109を介して受信高周波部108に供給される。この時、受信高周波部108で受信電界強度を測定し、その強度信号S1が制御部134に入力され、同様に制御部131にも供給される。この受信電界強度が、例えば、伝送路の雨の影響やフェージングあるいはマルチパス等の影響で、所定の受信電界強度以下、例えば、表1に示す16QAMの変調方式で送信している場合に、受信電界強度が−60dBm以下になる場合がある。このような場合、受信される信号が正しく復調されない可能性があるので、受信される信号が正しく復調されるために変調方式を変更する必要がある。
【0026】
従って、制御部131は、記憶部135に記憶されている表1に示される受信電界強度テーブルを参照し、例えば、表1に示すBPSK、QPSK、16QAM、64QAM等の変調方式の内、例えば、QPSK変調方式に変更する。QPSK変調方式では、最低受信電界強度は、−70dBmであるので、受信電界強度が−60dBmの信号は、十分受信ができ、正しく信号再生される。更に、受信電界強度が低下すると、BPSK変調方式に変更する。このように制御部131は、伝送路の雨の影響やフェージングあるいはマルチパス等の影響で、所定の受信電界強度以下になると自動的に変調方式を切替えて常に最適な変調方式でデータ伝送するようになされている。なお、上記実施例では、受信電界強度に基づいて変調方式を切替える適応変調方式について説明したが、受信電界強度に限らず、受信信号のBER(Bit Error Rate)や等化誤差信号を用いることも行われており、これらを用いることもできることはいうまでもない。一方、復調部133では、変調部132における変調方式が制御部131から制御部134に送信されるので、該当する変調信号に対して復調動作が行われ、復調信号が入出力信号処理部103に供給される。
【0027】
次に、入出力信号処理部103の動作について説明する。まず、入出力端子101には、伝送速度可変信号が供給され、入出力端子102には、伝送速度一定信号が供給されることを説明した。入出力端子101に供給された伝送速度可変信号は、入出力I/F121を介して伝送速度可変信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−1に所定の書き込み速度で順次書込まれ、所定の読出し速度で順次読み出され、セレクタ125に供給される。また、入出力端子102に供給された伝送速度一定信号は、入出力I/F122を介して伝送速度一定信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−2に所定の書き込み速度で順次書込まれ、所定の読出し速度で順次読み出され、セレクタ125に供給される。この伝送速度可変信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−1および伝送速度一定信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−2の動作を図2を用いて説明する。
【0028】
図2(A)は、例えば、入出力端子101に供給されるバースト的に発生するIPパッケト信号を表している。即ち、D1、D2、D3、・・・は、送信されるデータを表し、H1、H2、H3、・・・は、パケット番号等を付加されたヘッダー部を表している。図2(B)は、Tx−FIFO123−1に書込まれるデータを表している。即ち、入出力I/F121から供給されるバースト的IPパッケト信号は、図2(B)に示すように伝送速度可変信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−1に所定の速度で順次書込まれる。ここで、所定の書込み速度とは、例えば、入出力端子101に接続される伝送路、例えば、LAN伝送路の伝送速度が10Mbpsとすると、伝送速度可変信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−1には、10Mbpsの速度で書込まれる。
【0029】
同様に、図2(D)は、例えば、入力端子102に供給される伝送速度一定信号、例えば、G.703のデータを表しており、F1、F2、・・・は、例えば、伝送フレームを示している。図2(E)は、Tx−FIFO123−2に書込まれるデータを表している。即ち、入出力I/F122から供給される伝送速度一定信号、G.703のデータは、図2(E)に示すように伝送速度一定信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−2に所定の速度で順次書込まれる。ここで、所定の書込み速度とは、例えば、入出力端子102に接続される伝送路を伝送するG.703の伝送速度が6.3Mbpsとすると、伝送速度一定信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−2には、6.3Mbpsの速度で書込まれる。
【0030】
次に、伝送速度可変信号用送信バッファメモリTx−FIFO123−1に書込まれたデータと伝送速度一定信号用送信バッファメモリTx−FIFO123−2に書込まれたデータは、セレクタ125で適宜選択的に読み出され、後述するヘッダー情報が付加され、変復調部104の変調部132に供給される。これについて、図3および図4を用いて説明する。まず、セレクタ125の動作は、変調部132を制御する制御部131で制御されている。そして、伝送速度可変信号用送信バッファメモリTx−FIFO123−1に書込まれたデータを読み出す場合、図3(A)に示すように、Tx−FIFO123−1から読み出したデータにTx−FIFO123−1のデータであることを示す、例えば、ヘッダー情報4ビットの最初のビットに“0”を付加する。この場合の読み出されたデータにヘッダー情報を付加したデータ列を図2(C)に示す。ここで、IPパケットは、IPパケット毎にTx−FIFO123−1からセレクタ125に読み出され、また、IPパケットのヘッダー情報H1、H2、H3、・・・もデータD1、D2、D3、・・・に添付されて同時に読み出される。そして、IPパケットのヘッダー情報には、IPパケットのデータ長の情報も付加されているので、バースト的なIPパケットもセレクタ125でパケット単位で選択され、読み出すことができる。なお、読出し期間t1は、後述するように無線回線の伝送速度に依存する。なお、読出し速度が書込み速度より遅い場合、即ち、無線回線のデータ伝送速度が入出力端子101に供給されるデータの伝送速度より遅い場合は、Tx−FIFO123−1に書込まれるデータが上書きされることになるが、バースト的なIPパッケト信号は、信号欠落が許容されており、万一、欠落したデータが必要な場合には、再送要求で再度送信されるようになされている。
【0031】
一方、伝送速度一定信号用送信バッファメモリTx−FIFO123−2に書込まれたデータを読み出す場合、図3(B)に示すように、Tx−FIFO123−2から読み出したデータにTx−FIFO123−2のデータであることを示す、例えば、ヘッダー情報4ビットの最初のビットに“1”を付加する。この場合の読み出されたデータにヘッダー情報を付加したデータ列を図2(F)に示す。なお、読出し期間t2は、例えば、入出力端子102に接続される伝送路を伝送するG703の伝送速度が6.3Mbpsとすると、伝送速度一定信号用送信バッファメモリTx−FIFO123−2から6.3Mbpsの速度か、それより早い読出し速度で読み出される。これは、伝送速度一定信号は、信号が欠落すると再生ができないため、伝送速度を保証する必要があるためである。なお、上記実施例で読み出す周期t1とt2は、同じでも良いが、異なるようにすることもできる。
【0032】
セレクタ125の動作について更に詳細に説明する。先に説明したようにセレクタ125は、伝送速度可変信号用送信バッファメモリTx−FIFO123−1からのデータと伝送速度一定信号用送信バッファメモリTx−FIFO123−2からのデータとを適宜選択的に読み出し、複合データを作成する。これについて表2および図4を用いて説明する。
【0033】
【表2】

表2は、変調方式と伝送容量を示したものである。本実施例では、例えば、64QAM変調方式では、100Mbpsの伝送容量と定めている。そして、伝送速度一定信号、例えば、G.703信号の伝送速度を6.3Mbpsとした場合、100Mbpsの伝送容量の内、6.3%は、G.703信号のデータ6.3Mbpsの伝送に割当て、100Mbpsの伝送容量の内、残りの93.7%は、伝送速度可変信号、即ち、バースト的なIPパッケト信号に割当てられることを示している。同様に、16QAM、QPSKおよびBPSKには、それぞれ60Mbps、30Mbps、15Mbpsの伝送容量を定め、伝送速度一定信号、例えば、G.703信号の伝送速度を6.3Mbpsとした場合、それぞれ10.5%、21.0%、42.0%を割り当て、残りをそれぞれ伝送速度可変信号に割当てることを示している。なお、これら数値は、システム構成や、使用状況に応じて適宜変更されることはいうまでもない。
【0034】
図4(A)は、例えば、表2に示す64QAM変調方式、100Mbpsの伝送容量で伝送した場合を模式的に示している。図4(A)において、401は、図2(C)の読み出し期間t1に読み出された伝送速度可変信号を示し、402は、図2(F)の読み出し期間t2に読み出された伝送速度一定信号を示している。そして、403は、変復調部104の変調部132で所定の伝送フォーマットに変換される、例えば、1つのフレーム構成を示している。即ち、本発明では、伝送速度可変信号用送信バッファメモリTx−FIFO123−1からのデータと伝送速度一定信号用送信バッファメモリTx−FIFO123−2からのデータとを交互に読出し、複合データとして伝送される。例えば、1つのフレーム構成403を1m secとし、その中に1000Kビット配列して伝送するとすると、伝送速度一定信号であるG.703信号の6.3Mbpsを伝送するには、1000Kビット中、63Kビット(6.3%相当分)に伝送速度一定信号用送信バッファメモリTx−FIFO123−2から読み出されたデータを割当て、1000Kビット中、残りの937Kビット(93.7%相当分)には、伝送速度可変信号用送信バッファメモリTx−FIFO123−1から読み出されたデータを割当てる。従って、セレクタ125は、制御部131により制御され、Tx−FIFO123−1からのデータとTx−FIFO123−2からのデータとを高速に切替えて、変調部132に供給する。変調部132では、複合データ403を64QAM変調して送信IF部105に供給する。
【0035】
而して、上記のようにして64QAM変調方式で、伝送速度一定信号と伝送速度可変信号を伝送していた状態で、降雨等により受信電界強度が変化した場合、変復調部104の制御部131がこの変化を検出する。そして、表1に示す最低受信電界強度に基づいて変調部132の変調方式をBPSKに変更した場合、このデータ伝送装置が伝送できる伝送容量は、表2に基づいて15Mbpsに設定されている。この場合、伝送速度一定信号、例えば、G.703信号の6.3Mbpsを伝送するには、42.0%の伝送容量が必要になり、残りの58.0%の伝送容量で、伝送速度可変信号を伝送する必要がある。従って、制御部131は、セレクタ125の切替え動作を図4(B)に示すように変更する。
【0036】
図4(B)において、1つのフレーム構成404を1m secとし、その中に150Kビット配列して伝送するとすると、伝送速度一定信号であるG.703信号の6.3Mbpsを伝送するには、150Kビット中、63Kビット(42.0%相当分)に伝送速度一定信号用送信バッファメモリTx−FIFO123−2からのデータを割り当て、150Kビット中、残りの87Kビット(58.0%相当分)には、伝送速度可変信号用送信バッファメモリTx−FIFO123−1からのデータを割当てるようにセレクタ125を制御する。従って、セレクタ125は、制御部131により制御され、Tx−FIFO123−1からのデータとTx−FIFO123−2からのデータとを高速に切替えて、変調部132に供給する。変調部132では、複合データ403(または404)を64QAM変調(またはBPSK変調)して送信IF部105に供給する。以降の動作は、前述の通りである。
【0037】
次に、受信の場合について説明する。図7で説明したようにB無線装置702からも伝送路707および708からの複合データがA無線装置701に送信されている。従って、アンテナ110からの複合データは、共用器109、受信高周波部108、受信IF部107を介して復調部133に供給される。復調部133では、例えば、64QAM変調方式で送られてきた信号は、制御部134で適宜復調される。この復調部出力を図9(A)に示す1つのフレーム構成903で示す。このフレーム構成903は、例えば、図4(A)のフレーム構成403に示すものと同様な構成である。但し、データ等は全く異なっている。この1つのフレーム構成903は、セレクタ126で、それぞれ選択的に切替えられ、伝送速度可変信号901および伝送速度一定信号902に分離される。なお、この信号を図3(C)および図3(D)に示す。
【0038】
図3(C)は、Rx−FIFO124−1に書込むデータであることを示す、例えば、ヘッダー情報4ビットの最初のビットが“0”であるので、これを読取り、制御部134は、このデータをRx−FIFO124−1に書込む。この時のセレクタ126出力を図9(C)に示す。即ち、Rx−FIFO124−1に書込む時には、ヘッダー情報の“0000”は、取り除かれ、データ904で示すように元のIPパケットのヘッダー情報h1とデータd1が書込まれる。また、図3(D)は、Rx−FIFO124−2に書込むデータであることを示す、例えば、ヘッダー情報4ビットの最初のビットが“1”であるので、これを読取り、制御部134は、このデータをRx−FIFO124−2に書込む。この時のセレクタ126出力を図9(C)に示す。即ち、Rx−FIFO124−2に書込む時には、ヘッダー情報の“1000”は、取り除かれ、データ905で示すように元のデータf1が書込まれる。なお、書込み速度は、復調部133の復調速度、この場合、例えば、64QAMの伝送速度に対応する速度で書込まれる。
【0039】
伝送速度可変信号用受信バッファメモリRx−FIFO124−1に書込まれたデータは、入出力端子101に接続される伝送路の伝送速度に対応した速度で読み出され、入出力I/F121を介して入出力端子101に出力される。また、伝送速度一定信号用受信バッファメモリRx−FIFO124−2に書込まれた、データは、入出力端子102に接続される伝送路の伝送速度に対応した速度で読み出され、入出力I/F122を介して入出力端子102に出力される。
【0040】
以上説明したように本発明では、異なる伝送速度のデータを無線回線で伝送することが可能となり、また、変調方式が変更された場合も自動的に伝送速度が切替えられ。また、伝送速度一定信号(シリアル信号伝送)は、伝送帯域が保証され、信頼性の高いデータ伝送装置およびデータ伝送システムを実現できる特徴がある。
【0041】
図5は、本発明の他の一実施例の概略構成のブロック図を示す。図5において、501は、入出力端子であり、この入出力端子501には、入出力端子101とは、異なる伝送速度可変信号、例えば、バースト的なIPパケット信号が供給される。502は、入出力端子であり、この入出力端子502には、入出力端子102とは、異なる伝送速度一定信号、例えば、G.703信号が供給される。503、504は、入出力インターフェース(I/F)であり、505−1は、伝送速度可変信号用送信バッファメモリTx−FIFOであり、505−2は、伝送速度一定信号用送信バッファメモリTx−FIFOである。また、506−1は、伝送速度可変信号用受信バッファメモリRx−FIFOであり、506−2は、伝送速度一定信号用受信バッファメモリRx−FIFOである。507、508は、セレクタであり、それぞれ制御部131、134で制御されている。なお、図1と同じものには同じ符号が付されている。
【0042】
この動作について説明する。入出力端子101および501には、異なる伝送速度可変信号、例えば、バースト的なIPパケット信号が供給され、入出力I/F121および503を介してそれぞれ伝送速度可変信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−1およびに伝送速度可変信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)505−1に所定の書込み速度で順次書込まれ、セレクタ507によって所定の読出し速度で順次読み出される。また、入出力端子102および502に供給された異なる伝送速度一定信号は、入出力I/F122および504を介して伝送速度一定信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−2および伝送速度一定信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)505−2に所定の書込み速度で順次書込まれ、セレクタ507によって所定の読出し速度で順次読み出される。この伝送速度可変信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−1、伝送速度可変信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)505−1、伝送速度一定信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−2および伝送速度一定信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)505−2の動作は、先に図2で説明した内容と類似している。異なる点は、入力データが図2では、2種類のデータであるのに対して図5では、4種類のデータが入力される点である。この4種類のデータを順次セレクタで適宜選択切替し、それぞれにヘッダー情報を添付して変調部に供給する。
【0043】
この4種類のデータを順次セレクタ507で適宜選択切替によって読み出し、それぞれにヘッダー情報を添付したデータを図6に示す。図6(A)は、伝送速度可変信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−1から読み出されたデータを示し、伝送速度可変信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−1からのデータであることを示す4ビットのヘッダー情報“0001”が付されている。ここで、先頭の1ビット“0”は、伝送速度可変信号であることを示す情報であり、残りの3ビット“001”は、伝送速度可変信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−1からのデータであることを示している。
【0044】
同様に、図6(B)は、伝送速度可変信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)505−1から読み出されてたデータを示し、伝送速度可変信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)505−1からのデータであることを示す4ビットのヘッダー情報“0010”が付されている。ここで、先頭の1ビット“0”は、伝送速度可変信号であることを示す情報であり、残りの3ビット“010”は、伝送速度可変信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)505−1からのデータであることを示している。
【0045】
同様に、図6(C)は、伝送速度一定信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−2から読み出されてたデータを示し、伝送速度一定信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−2からのデータであることを示す4ビットのヘッダー情報“1011”が付されている。ここで、先頭の1ビット“1”は、伝送速度一定信号であることを示す情報であり、残りの3ビット“011”は、伝送速度一定信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)123−2からのデータであることを示している。
【0046】
同様に、図6(D)は、伝送速度一定信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)505−2から読み出されてたデータを示し、伝送速度一定信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)505−2からのデータであることを示す4ビットのヘッダー情報“1100”が付されている。ここで、先頭の1ビット“1”は、伝送速度一定信号であることを示す情報であり、残りの3ビット“100”は、伝送速度一定信号用送信バッファメモリ(Tx−FIFO)505−2からのデータであることを示している。
【0047】
さて、上述した各バッファメモリ(Tx−FIFO)123−1、505−1、123−2および505−2から読み出され、それぞれのヘッダー情報を付されたデータは、セレクタ507でそれぞれ選択切替えによって図4に示される動作と同様にして複合データに変換され、変調部132に供給される。これについて表3を用いて説明する。
【0048】
【表3】

表3は、変調方式と伝送容量を示したものである。例えば、64QAM変調方式では、100Mbpsの伝送容量と定めている。そして、伝送速度一定信号、例えば、G.703信号の伝送速度を6.3Mbpsとした場合、図5で示す入出力端子102および入出力端子502にそれぞれ伝送速度6.3Mbpsの信号が供給される場合とすると、100Mbpsの伝送容量の内、12.6%は、G.703信号のデータ6.3×2Mbpsの伝送に割当て、100Mbpsの伝送容量の内、残り87.4%は、伝送速度可変信号、即ち、入力端子101および入出力端子501に供給されるバースト的なIPパッケト信号に割当てられる。
【0049】
同様に、16QAM、QPSKおよびBPSKは、それぞれ60Mbps、30Mbps、15Mbpsの伝送容量を設定し、伝送速度一定信号、例えば、G.703信号の伝送速度を6.3Mbpsとした場合、入出力端子102および入出力端子502に供給される伝送速度一定信号に対して、それぞれ21.0%、42.0%、84.0%を割り当て、残りを入出力端子101および入出力端子501に供給される伝送速度可変信号に割当てるようにする。このように入出力端子102および入出力端子502に供給される伝送速度一定信号に対して伝送帯域を保証し、残りの帯域に伝送速度可変信号に割当てるようにすることで、伝送速度一定信号と伝送速度可変信号の複合信号を無線回線で伝送することが可能となる。なお、本実施例では、入出力端子102および502に供給されるデータ信号は、説明を簡単にするために入出力端子102と502に伝送速度が同じG.703信号を供給するとして説明したが、一般的には、入出力端子102と502には異なる伝送速度で、それぞれ伝送速度一定信号が供給される。また、表3に示される数値もシステム構成や、使用状況に応じて適宜変更されることはいうまでもない。
【0050】
而して、変調部132で所定の変調方式で変調された複合データは、送信IF部、例えば、中間周波数130MHzに変換し、送信高周波部106に供給される。送信高周波部106では、信号を増幅し、例えば、18GHzの無線キャリアに変換し、共用器109を介してアンテナ110からB無線装置702に送信する。
【0051】
一方、B無線装置702からの信号は、アンテナ110、共用器109を介して受信高周波部108に供給される。受信高周波部108では、アンテナ110からの受信信号を増幅し、例えば、中間周波数290MHzに変換し、受信IF部107に供給する。受信IF部107では、ベースバンド信号に変換し、変復調部104に供給する。変復調部104の復調部133では、適宜復調され、セレクタ508に供給される。セレクタ508では、複合されたデータからそれぞれデータを分離し、各バッファメモリ(Rx−FIFO)124−1、506−1、124−2および506−2に分離されたデータを書込む。これについて図6を用いて説明する。
【0052】
図6(E)は、セレクタ508で複合データから分離された受信データを示す。即ち、ヘッダー情報4ビットの情報の内、先頭の1ビット“0”は、伝送速度可変信号を表し、残り3ビット“001”は、伝送速度可変信号用受信バッファメモリ(Rx−FIFO)124−1への書込みデータであることを示すので、このデータは、所定の速度で伝送速度可変信号用受信バッファメモリ(Rx−FIFO)124−1に書込まれる。なお、この時の書込み速度は、復調されるデータの速度に対応して制御部134で制御される。また、書込まれたデータは、所定の速度で読み出され、入力I/F121を介して入出力端子101から伝送路に送出される。なお、読出し速度は、入出力端子101に接続される伝送路の伝送速度に対応する速度である。
【0053】
同様に、図6(F)は、セレクタ508で複合データから分離された受信データを示す。即ち、ヘッダー情報4ビットの情報の内、先頭の1ビット“0”は、伝送速度可変信号を表し、残り3ビット“010”は、伝送速度可変信号用受信バッファメモリ(Rx−FIFO)506−1への書込みデータであることを示すので、このデータは、所定の速度で伝送速度可変信号用受信バッファメモリ(Rx−FIFO)506−1に書込まれる。書込まれたデータは、所定の速度で読み出され、入力I/F503を介して入出力端子501から伝送路に送出される。
【0054】
また、図6(G)は、セレクタ508で複合データから分離された受信データを示す。即ち、ヘッダー情報4ビットの情報の内、先頭の1ビット“1”は、伝送速度一定信号を表し、残り3ビット“011”は、伝送速度一定信号用受信バッファメモリ(Rx−FIFO)124−2への書込みデータであることを示すので、このデータは、所定の速度で伝送速度一定信号用受信バッファメモリ(Rx−FIFO)124−2に書込まれる。書込まれたデータは、所定の速度で読み出され、入力I/F122を介して入出力端子102から伝送路に送出される。
【0055】
同様に、図6(H)は、セレクタ508で複合データから分離された受信データを示す。即ち、ヘッダー情報4ビットの情報の内、先頭の1ビット“1”は、伝送速度一定信号を表し、残り3ビット“100”は、伝送速度一定信号用受信バッファメモリ(Rx−FIFO)506−2への書込みデータであることを示すので、このデータは、所定の速度で伝送速度一定信号用受信バッファメモリ(Rx−FIFO)506−2に書込まれる。書込まれたデータは、所定の速度で読み出され、入力I/F504を介して入出力端子502から伝送路に送出される。
【0056】
以上、詳細に説明したように複数の伝送路からのデータを複合し、無線回線で送信でき、また、伝送路の伝送特性に応じて変調方式も自動的に切替えられるデータ伝送装置およびデータ伝送システムが実現できる。また、複数の伝送路からのデータを複合して伝送する場合も、シリアルデータ伝送のように伝送速度一定のデータは、データ帯域を保証する伝送方法を採用しているので、データが欠落することもない。なお、上記実施例では、図1の実施例で示す2入出力の場合、あるいは、図5の実施例で示す4入出力の場合について説明したが、これらに限定されるものではなく、3入出力、5入出力あるいはそれ以上の入出力端子を有する場合についても実施できることはいうまでもない。更に、伝送速度一定のデータが1入出力、伝送速度可変のデータが2入出力、あるいは、伝送速度一定のデータが2入出力、伝送速度可変のデータが1出力というように種々の組み合わせが可能である。これらの組み合わせは、送信、受信バッファメモリの数の変更と、制御部131および134の制御によりセレクタ125(あるいは507)および126(あるいは508)の動作を適宜変更することで容易に実現することができる。
【0057】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載されたデータ伝送装置およびデータ伝送システムの実施例に限定されるものではなく、上記以外のデータ伝送装置およびデータ伝送システムに広く適応することが出来ることは、言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施例の概略構成のブロック図を示す。
【図2】本発明の一実施例の動作を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施例の信号フォーマットを説明するための図である。
【図4】本発明の一実施例の複合データの作成を模式的に説明するための図である。
【図5】本発明の他の一実施例の概略構成のブロック図を示す。
【図6】本発明の他の一実施例の信号フォーマットを説明するための図である。
【図7】本発明のデータ伝送システムの一実施例を説明するための図である。
【図8】従来のデータ伝送システムの一例を説明するための図である。
【図9】本発明の一実施例の複合データの復元を模式的に説明するための図である。
【符号の説明】
【0059】
101、102、501、502:入出力端子、103、500:入出力信号処理部、104:変復調部、105:送信IF部、106:送信高周波部、107:受信IF部、108:受信高周波部、109:共用器、110、703、704、803、804:アンテナ、121、122:入出力I/F、123、505:送信バッファメモリ、124、506:受信バッファメモリ、125、126、507、508:セレクタ、131、134:制御部、132:変調部、133:復調部、135、136:記憶部、701、801:A無線装置、702、802:B無線装置、705、706、707、708、805、806:伝送路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送速度可変のデータ信号が入力される少なくとも1つの第1の入出力端子と、伝送速度一定のデータ信号が入力される少なくとも1つの第2の入出力端子と、上記第1の入出力端子および上記第2の入出力端子からのデータ信号が入力される入出力信号処理部と、上記入出力信号処理部の出力を変調する変調部と上記変調部を制御する第1の制御部と、上記変調部の出力を無線回線で送信する送信部を有し、上記入出力信号処理部は、上記第1の入出力端子からのデータ信号を書込む第1の送信バッファメモリと、上記第2の入出力端子からのデータ信号を書込む第2の送信バッファメモリと、上記第1の送信バッファメモリと上記第2の送信バッファメモリから所定の読出し速度で切替えて読み出す第1のセレクタを備え、上記第1のセレクタの切替を上記第1の制御部により制御することを特徴とするデータ伝送装置。
【請求項2】
請求項1記載のデータ伝送装置において、上記制御部で制御される上記第1のセレクタは、上記変調部で変調されるデータ信号の伝送容量の内、上記第2の送信バッファメモリから読み出されるデータ信号については、伝送速度一定の信号に対応する伝送容量を割り当て、上記変調部で変調されるデータ信号の伝送容量の内、残りの伝送容量を上記第1の送信バッファメモリから読み出されるデータ信号の伝送に割当てるように切替え動作することを特徴とするデータ伝送装置。
【請求項3】
請求項1記載のデータ伝送装置において、上記第1の送信バッファメモリおよび上記第2の送信バッファメモリからそれぞれ読み出されるデータ信号に、上記第1の送信バッファメモリおよび上記第2の送信バッファメモリから読み出されたデータであることを示す情報を添付することを特徴とするデータ伝送装置。
【請求項4】
請求項1記載のデータ伝送装置において、更に、無線回線で送られてくるデータ信号を受信する受信部と、上記受信部の出力を復調する復調部と、上記復調部を制御する第2の制御部と、上記復調部の出力が供給される上記入出力信号処理部を有し、上記入出力信号処理部は、更に、第2のセレクタと、上記第2のセレクタの出力を書込む第1の受信バッファメモリと第2の受信バッファメモリを有し、上記第2のセレクタは、上記第2の制御部の制御に基づいて上記復調部の出力を切替えて上記第1の受信バッファメモリと上記第2の受信バッファメモリにそれぞれ書込み、上記第1の受信バッファメモリと上記第2の受信バッファメモリに書込まれたデータ信号を上記第1の入出力端子と上記第2の入出力端子にそれぞれ出力することを特徴とするデータ伝送装置。
【請求項5】
第1の無線装置と、第2の無線装置を有し、上記第1と上記第2の無線装置が無線回線を介して通信するデータ伝送システムにおいて、上記第1の無線装置は、伝送速度可変のデータ信号が入力される少なくとも1つの第1の入出力端子と、伝送速度一定のデータ信号が入力される少なくとも1つの第2の入出力端子と、上記第1の入出力端子および上記第2の入出力端子からのデータ信号が入力される入出力信号処理部と、上記入出力信号処理部の出力を変調する変調部と上記変調部を制御する第1の制御部と、上記変調部の出力を無線回線で送信する送信部を有し、上記入出力信号処理部は、上記第1の入出力端子からのデータ信号を書込む第1の送信バッファメモリと、上記第2の入出力端子からのデータ信号を書込む第2の送信バッファメモリと、上記第1の送信バッファメモリと上記第2の送信バッファメモリとから所定の読出し速度で切替えて読み出す第1のセレクタを備え、上記第1のセレクタの切替を上記第1の制御部により制御すると共に、上記第2の無線装置は、上記送信部からのデータ信号を受信することを特徴とするデータ伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−258865(P2007−258865A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78155(P2006−78155)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】