説明

データ処理システム、データ処理装置、情報処理装置、プログラム及び記録媒体

【目的】 受信したデータに対してデータ変換を行うデータ処理装置が、低い処理負荷で複数の形式のデータを処理し、初めのデータ形式によらず同じ処理結果を実現できるようにする。
【構成】 データ処理装置20に、自身の第1のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ処理を行うデータ処理機能部21と、自身の上記第1のポートとは異なる第2のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対して、そのデータの形式によらず、上記データ処理機能部21が取り扱うことのできる形式への特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの上記第1のポートに送信するデータ変換機能部22とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、受信したデータを処理するデータ処理装置、このようなデータ処理装置と情報処理装置とを備えたデータ処理システム、このようなデータ処理装置の制御方法、このようなデータ処理装置に対するデータ変換機能付加方法、コンピュータにこのようなデータ処理装置を制御させるためのプログラム、およびこのようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特定のポートをリスン(監視)して、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ処理を行うデータ処理装置が知られている。
そして、このようなデータ処理装置の具体例としては、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)から受信したプリントデータに基づいて印刷を行うプリンタが挙げられる。
【0003】
図21に、このようなPCとプリンタの機能構成を示す。
この図に示すように、PC80には、一般的に、ワードプロセッサや表計算、ドローイングを始めとする種々の機能を実現するためのアプリケーション(アプリ)81を備えており、ユーザは、このアプリケーション81で取り扱う文書や図等をプリントするために、アプリケーション81に対して印刷の指示を行う。
【0004】
また、PC80には、アプリケーション81が出力する、プリントすべき画像の内容を、プリンタ90が処理できる形式のプリンタ言語で記載されたプリントデータ(プリント言語形式のプリントデータ)に変換するプリンタドライバ82を備えている。そして、アプリケーション81は、ユーザが印刷を指示した場合に、指定されたプリンタと対応するプリンタドライバ82に、出力する画像の内容を示すデータを渡し、プリンタドライバ82が、そのデータを、ユーザが指定したプリンタが処理できる形式のプリントデータに変換して図示しないスプールディレクトリにスプールする。
【0005】
ポートモニタ83は、PC80とプリンタ90との間のデータの転送を行うプログラムであり、スプールディレクトリにスプールされたデータを、使用するプリンタのアドレスの、9100番ポートに送信する。このポートは、プリンタ90がプリントデータの受信に使用するポートであり、プリンタ90が通信に使用するプロトコルにより定められるものである。
【0006】
一方、プリンタ90には、実際にプリント動作を行うエンジン部であるプリントエンジン93と、プリンタアプリ91とを備えている。
そして、プリンタアプリ91は、起動している間は常に9100番ポートをリスンし、ここにデータが送られてくると、そのデータが特定のプリンタ言語で記載されたプリントデータであることを前提に、そのプリントデータを、プリントエンジン93にプリントを行わせるための画像データに変換する。この処理は、例えばプリントデータに基づいて画像メモリに描画を行い、ビットマップ形式の画像データを生成する処理である。そして、その画像データに基づいてプリントエンジン93を駆動することにより、用紙上に、受信したプリントデータに基づく画像を形成させることができる。
【0007】
この場合において、プリンタアプリ91は、開発効率向上や処理負荷低減の観点から、受信したデータの形式はチェックせず、どのようなデータを受信した場合でも、同じように処理を行うようにすることが行われている。そして、このようにした場合でも、データの送信元のPCの側でプリンタアプリ91が処理できるような形式のデータを送信するような制御を確実に行えば、プリンタ90を問題なく動作させることができる。
このようなプリンタについては、例えば特許文献1に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のプリンタ90の場合のように、受け手の装置が特定の形式のデータしか処理できない場合、データを送信する側も、その形式でデータを送信しなければならない。従って、送信するデータを圧縮して容量を低減し、転送速度を向上させたり、暗号化してセキュリティの向上を図ったりすることができないという問題があった。
また、このような問題を解決するために、受け手側の装置が、受信したデータの形式を判断してそれに応じた変換処理を行うことができるようにすることも考えられる。しかし、このようにすると、処理負荷が大きくなるし、既存のアプリケーションを大幅に修正しなければならないため、開発の負担も大きいという問題があった。
【0009】
このような問題は、上述したプリンタ90に限らず、受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ処理を行うようなデータ処理装置について、同様に存在する問題である。
この発明は、このような問題を解決し、受信したデータに対してデータ処理を行うデータ処理装置が、低い処理負荷で複数の形式のデータを処理し、初めのデータ形式によらず同じ処理結果を実現できるようにすることを目的とする。また、このような機能を有する装置を、既存の資源を利用して容易に開発できるようにすることも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のデータ処理装置は、上記の目的を達成するため、自身の第1のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ処理を行うデータ処理手段と、自身の上記第1のポートとは異なる第2のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対して、そのデータの形式によらず、上記データ処理手段が取り扱うことのできる形式への特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの上記第1のポートに送信するデータ変換手段とを設けたものである。
【0011】
このようなデータ処理装置において、上記データ変換手段を、各々自身の上記第1のポートと異なる特定のポートを監視し、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの、次段の変換手段が監視するポートに送信する変換手段を複数有し、これらの各変換手段によって複数段のデータ変換処理を行うことにより、上記第2のポートで受信したデータを上記データ処理手段が取り扱うことのできる形式のデータに変換して、自身を示すアドレスの上記第1のポートに送信する手段とするとよい。
【0012】
さらに、自身を省エネルギモードに移行させる手段と、上記第1のポートで何らかのデータを受信した場合に自身を省エネルギモードから通常動作モードに復帰させる手段とを設けるとよい。
さらにまた、上記データ処理手段が行うデータ処理を、プリンタ言語で記述されたデータから、プリントエンジンに画像形成を行わせるための画像データへの変換とするとよい。
さらに、上記データ変換手段が行うデータ変換を、データの解凍、復号化、プリンタ言語変換のいずれかとしてもよい。
【0013】
また、この発明のデータ処理システムは、情報処理装置と、その情報処理装置から受信したデータを処理するデータ処理装置とを備えたデータ処理システムにおいて、上記データ処理装置に、自身の第1のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ処理を行うデータ処理手段と、自身の上記第1のポートとは異なる第2のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対して、そのデータの形式によらず、上記データ処理手段が取り扱うことのできる形式への特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの上記第1のポートに送信するデータ変換手段とを設け、上記情報処理装置に、上記データ処理装置にデータを送信する場合に、上記データ処理手段が処理できる形式のデータは上記第1のポートに送信し、上記データ処理手段が処理できない形式のデータは上記第2のポートに送信する手段を設けたものである。
【0014】
このようなデータ処理システムにおいて、上記データ処理装置の上記データ変換手段を、各々自身の上記第1のポートと異なる特定のポートを監視し、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの、次段の変換手段が監視するポートに送信する変換手段を複数有し、これらの各変換手段によって複数段のデータ変換処理を行うことにより、上記第2のポートで受信したデータを上記データ処理手段が取り扱うことのできる形式のデータに変換して、自身を示すアドレスの上記第1のポートに送信する手段とするとよい。
【0015】
さらに、上記データ処理装置に、自身を省エネルギモードに移行させる手段と、上記第1のポートで何らかのデータを受信した場合に自身を省エネルギモードから通常動作モードに復帰させる手段とを設け、上記情報処理装置に、上記データ処理装置の上記第2のポートにデータを送信する場合に、その前に上記第1のポートに、上記データ処理装置を通常動作モードに復帰させるためのダミーのデータを送信する手段を設けるとよい。
さらに、上記データ処理装置において、上記データ処理手段が行うデータ処理を、プリンタ言語で記述されたデータから、プリントエンジンに画像形成を行わせるための画像データへの変換とするとよい。
さらに、上記データ変換手段が行うデータ変換を、データの解凍、復号化、プリンタ言語変換のいずれかとしてもよい。
【0016】
また、この発明のデータ処理装置の制御方法は、受信したデータの形式を変換するデータ処理装置に、自身の第1のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ処理を行うデータ処理手順と、自身の上記第1のポートとは異なる第2のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対して、そのデータの形式によらず、上記データ処理手順で取り扱うことのできる形式への特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの上記第1のポートに送信するデータ変換手順とを実行させるものである。
【0017】
このようなデータ処理装置の制御方法において、上記データ変換手順を、各々の手順で自身の上記第1のポートと異なる特定のポートを監視し、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの、次段の変換手順で監視するポートに送信する複数の変換手順で複数段のデータ変換処理を行うことにより、上記第2のポートで受信したデータを上記データ処理手順で取り扱うことのできる形式のデータに変換して、自身を示すアドレスの上記第1のポートに送信する手順とするとよい。
【0018】
さらに、上記データ処理装置に、自身を省エネルギモードに移行させる手順と、上記第1のポートで何らかのデータを受信した場合に自身を省エネルギモードから通常動作モードに復帰させる手順とを実行させるようにするとよい。
さらに、上記データ処理手順で行うデータ処理を、プリンタ言語で記述されたデータから、プリントエンジンに画像形成を行わせるための画像データへの変換とし、上記データ変換手順で行うデータ変換を、データの解凍、復号化、プリンタ言語変換のいずれかとするとよい。
【0019】
また、この発明のデータ変換機能付加方法は、自身の第1のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ処理を行うデータ処理手段を有するデータ処理装置に、自身の上記第1のポートとは異なる第2のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対して、そのデータの形式によらず、上記データ処理手段が取り扱うことのできる形式への特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの上記第1のポートに送信するデータ変換手段を付加するようにしたものである。
【0020】
このようなデータ変換機能付加方法において、上記データ変換手段を、各々自身の上記第1のポートと異なる特定のポートを監視し、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの、次段の変換手段が監視するポートに送信する変換手段を複数有し、これらの各変換手段によって複数段のデータ変換処理を行うことにより、上記第2のポートで受信したデータを上記データ処理手段が取り扱うことのできる形式のデータに変換して、自身を示すアドレスの上記第1のポートに送信する手段とするとよい。
【0021】
さらに、上記データ処理装置が、自身を省エネルギモードに移行させる手段と、上記第1のポートで何らかのデータを受信した場合に自身を省エネルギモードから通常動作モードに復帰させる手段とを有する装置であるとよい。
さらにまた、上記データ処理手段が行うデータ処理を、プリンタ言語で記述されたデータから、プリントエンジンに画像形成を行わせるための画像データへの変換とするとよい。
さらに、上記データ変換手段が行うデータ変換を、データの解凍、復号化、プリンタ言語変換のいずれかとしてもよい。
【0022】
また、この発明のプログラムは、受信したデータの形式を変換するデータ処理装置を制御するコンピュータを、自身の第1のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ処理を行うデータ処理手段と、自身の上記第1のポートとは異なる第2のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対して、そのデータの形式によらず、上記データ処理手段が取り扱うことのできる形式への特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの上記第1のポートに送信するデータ変換手段として機能させるためのプログラムである。
【0023】
このようなプログラムにおいて、上記データ変換手段を、各々自身の上記第1のポートと異なる特定のポートを監視し、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの、次段の変換手段が監視するポートに送信する変換手段を複数有し、これらの各変換手段によって複数段のデータ変換処理を行うことにより、上記第2のポートで受信したデータを上記データ処理手段が取り扱うことのできる形式のデータに変換して、自身を示すアドレスの上記第1のポートに送信する手段とするとよい。
【0024】
さらに、上記コンピュータを、上記データ処理装置を省エネルギモードに移行させる手段と、上記第1のポートで何らかのデータを受信した場合に上記データ処理装置を省エネルギモードから通常動作モードに復帰させる手段として機能させるためのプログラムを含めるとよい。
さらにまた、上記データ処理手段が行うデータ処理を、プリンタ言語で記述されたデータから、プリントエンジンに画像形成を行わせるための画像データへの変換とするとよい。
さらに、上記データ変換手段が行うデータ変換を、データの解凍、復号化、プリンタ言語変換のいずれかとしてもよい。
また、この発明の記録媒体は、上記のいずれかのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0025】
以上のようなこの発明のデータ処理装置、データ処理システム、データ処理装置の制御方法、またはデータ変換機能付加方法によれば、受信したデータに対してデータ処理を行うデータ処理装置が、低い処理負荷で複数の形式のデータを処理し、初めのデータ形式によらず同じ処理結果を実現できるようにすることができる。また、このような機能を有する装置を、既存の資源を利用して容易に開発できるようにすることもできる。
また、この発明のプログラムによれば、コンピュータにデータ処理装置を制御させて上記のような機能を実現させ、同様な効果を得ることができる。
この発明の記録媒体によれば、上記のプログラムを記憶していないコンピュータにそのプログラムを読み出させて実行させ、上記の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明のデータ処理システムの第1の実施形態の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示したデータ処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】図1に示したシステムの変形例を示す機能ブロック図である。
【図4】その別の変形例を示す機能ブロック図である。
【図5】この発明のデータ処理システムの第2の実施形態であるプリントシステムの構成を示す機能ブロック図である。
【図6】図5に示したシステムにおいて扱うデータの形式を示す図である。
【図7】図5に示したPCに表示させる登録プリンタ一覧画面の例を示す図である。
【図8】同じくポート選択画面の例を示す図である。
【図9】同じく拡張スプーラの使用及びプリントデータ圧縮の有無を設定するための画面例を示す図である。
【図10】同じく図7に示した状態から図9のカーソルの位置に表示されているプリンタを追加した状態の登録プリンタ一覧画面の例を示す図である。
【図11】同じくプリントに使用するポートの設定の状態を参照する画面の例を示す図である。
【図12】図5に示したシステムにおいてPC側で実行する処理のフローチャートである。
【図13】同じくプリンタ側でデータ解凍アプリにより実行する処理のフローチャートである。
【図14】同じくプリンタ側でプリンタアプリにより実行する処理のフローチャートである。
【図15】図5に示したシステムの効果を確認するために行った実験の結果を示す図である。
【図16】その結果の別の部分を示す図である。
【図17】第2の実施形態の変形例において扱うデータの形式を示す、図6と対応する図である。
【図18】そのさらに別の例を示す図である。
【図19】第2の実施形態の別の変形例の構成を示す、図5と対応する図である。
【図20】その変形例において扱うデータの形式を示す、図6と対応する図である。
【図21】従来のデータ処理装置の一例であるプリンタの機能構成を、そのプリンタにプリントを指示するPCの機能構成例と併せて示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔第1の実施形態:図1乃至図4〕
まず、図1に、この発明のデータ処理システムの第1の実施形態の構成を示す機能ブロック図を示す。
この図に示すように、このデータ処理システムは、情報処理装置10と、データ処理装置20を、LAN(ローカルエリアネットワーク)のようなネットワーク等の何らかの通信経路によって通信可能に接続して構成することができる。ただし、この通信経路は、少なくとも情報処理装置10からデータ処理装置20にデータを送信できるものであればよく、逆方向のデータ送信が可能である必要はない。
【0028】
また、データ処理装置20は、データ処理機能部21とデータ変換機能部22を有する。そして、データ処理機能部21は、データ処理手段であり、第1のポートをリスン(監視)して、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ処理を行う機能を有する。また、データ変換機能部22は、データ変換手段であり、第1のポートとは異なる第2のポートをリスンして、そのポートで受信したデータに対して、そのデータの形式によらず、データ処理機能部21が取り扱うことのできる形式への特定のデータ変換を行って、その変換後のデータをループバックにより第1のポートに送信する機能を有する。すなわち、その変換後のデータを、自身を示すアドレスの第1のポートに送信する機能を有する。
【0029】
なお、データ処理機能部21による処理後のデータは、外部に出力しても、データ処理装置20の内部で別の用途に使用してもよい。そして、データ処理の具体例としては、データ形式の変換、データの記憶、データの解釈等が考えられる。データ処理機能部21がデータ形式の変換を行う場合、データ処理機能部21が第1のデータ変換手段であり、データ変換機能部22が第2のデータ変換手段であると考えることもできる。
また、ここでいう「データの形式によらず」とは、アプリケーションが処理対象として認識するレベルでの形式を指すものである。装置間でデータを送受信する際には、通信プロトコルに従ってデータパケットに所定の形式のヘッダを付すことが行われるので、ポートに入力するデータ自体には、一部所定の形式であることが必要な部分もあるが、この部分のデータについては考慮しないものとする。
【0030】
一方、情報処理装置10は、送信データ生成部11と通信制御部12を備えている。そして、送信データ生成部11は、データ処理装置20に送信して処理させるデータを生成する機能を有し、通信制御部12は、送信データ生成部11が生成したデータを、データ処理装置20の第1のポート又は第2のポートに送信する機能を有する。なお、データ処理装置20のアドレス等の宛先情報は、通信制御部12が参照できるように予め設定しておくようにする。
【0031】
また、通信制御部12は、送信するデータの形式に応じて、データ処理装置20の第1のポートと第2のポートのどちらにデータを送信するかを選択する機能を有する。すなわち、データ処理装置20においては、データ処理機能部21も、データ変換機能部22も、受信したデータの形式によらず特定のデータ処理(変換も含む)を行うようにしている。従って、処理対象として想定している形式以外の形式のデータを受信してしまうと、データ処理が意味を成さないものとなり、処理結果が全く無意味な内容になってしまう。従って、情報処理装置10の側で、適切な形式のデータをデータ処理装置20に送信する必要があるため、このようにしたものである。
【0032】
そこで、通信制御部12は、送信データ生成部11がデータ処理機能部21で処理対象として想定している形式のデータを生成した場合にはこれを第1のポートに送信し、それ以外の形式のデータを生成した場合には、これを第2のポートに送信するようにしている。
このようにしたことにより、どちらの形式のデータについても、データ処理装置20により、最終的にはデータ処理機能部21による変換後のデータを得ることができる。
【0033】
すなわち、情報処理装置10がデータ処理装置20の第1のポートに送信するデータは、そのままデータ処理機能部21によって処理される。また、情報処理装置10がデータ処理装置20の第2のポートに送信するデータは、まずデータ変換機能部22による変換処理に供されてデータ処理機能部21で処理可能な形式に変換され、その後データ処理機能部21による処理に供され、上記の場合と同じ処理結果が得られる。
なお、生成したデータが第1,データ処理機能部21,データ変換機能部22の双方共に処理対象として想定していない形式のデータであった場合には、情報処理装置10側で送信を取り止めるようにしてもよい。
【0034】
次に、図2に、上述したデータ処理装置20のハードウェア構成を示す。
この図に示すように、データ処理装置20は、CPU121,ROM122,RAM123,不揮発性メモリ124,通信インタフェース(I/F)125を備え、これらがシステムバス126により接続されている。
【0035】
そして、CPU121は、データ処理装置20全体を統括制御する制御手段であり、ROM122や不揮発性メモリ124に記録された種々のプログラムを実行することにより、データ処理手段,データ変換手段等の各手段として機能し、この実施形態の特徴に係る種々の機能を実現する。
ROM122は、不揮発性の記憶手段であり、CPU121が実行するプログラムや、固定的なパラメータ等を記憶する。ROM122を書き換え可能な記憶手段として構成し、これらのデータをアップデートできるようにしてもよい。
【0036】
RAM123は、一時的に使用するデータを記憶したり、CPU121のワークメモリとして使用したりする記憶手段である。
不揮発性メモリ124は、フラッシュメモリやHDD(ハードディスクドライブ)等による書き換え可能な不揮発性記憶手段であり、CPU121が実行するプログラムや、装置の電源がOFFされた後でも保持しておく必要があるパラメータの値等を記憶する。
【0037】
通信I/F125は、データ処理装置20をネットワークに接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)方式の通信を行うためのネットワークインタフェースとすることができる。そして、ネットワークを介して他の装置と通信を行う場合、この通信I/F125とCPU121とが通信手段として機能する。なお、通信I/F125は、ネットワークの規格や使用する通信プロトコル等に応じて適切なものを用意する。また、複数の規格に対応させて複数の通信I/F125を設けることも当然可能である。
【0038】
なお、図2には示していないが、データ処理装置20に、外部に対して通信以外の物理的な出力を行うためのエンジン部を設けてもよい。このエンジン部は、例えばデータ処理装置20がレーザプリンタであれば、電子写真方式によるプリントエンジンであり、CPU121がこれらの動作を適切に制御することにより、データ処理装置20にプリント動作を実行させることができる。
また、情報処理装置10のハードウェア構成も、図2に示したものと同様、CPU,ROM,RAM,HDD,通信I/Fを設けたものとすればよく、例えば公知のコンピュータを用いることができる。
【0039】
そして、これらのハードウェアに、図1を用いて説明したような機能を実現させることにより、データ処理装置20において、データ処理機能部21やデータ変換機能部22が固定的なデータ処理を行う場合でも、複数のデータ形式のデータを認識し、最終的にデータ処理機能部21による処理結果を得ることができる。
【0040】
また、この場合において、データ処理機能部21がデータを受け取る受け口を、情報処理装置10から受け取る場合と、データ変換機能部22から受け取る場合とで共通化しているため、データ処理機能部21(を実現するためのソフトウェアやハードウェア)が開発済みである場合、それ自体を改変する必要は全くない。そして、データ変換機能部22を実現するためのソフトウェアやハードウェアを追加するだけで、データ処理装置20に上述した機能を実現させることができる。
従って、データ処理装置20が、低い処理負荷で複数の形式のデータを処理できるようにしつつ、このような機能を有する装置を、既存の資源を利用して容易に開発できるようにすることができる。
【0041】
なお、図3に示すように、データ変換機能部として、変換機能部を多段に設け、順次、次段の変換機能部で処理可能なデータ形式への変換を行って、その変換機能部がデータを受け付けるポートに、変換後のデータをループバックさせるようにしても、すなわち、変換後のデータを、自身を示すアドレスの、次段の変換機能部がデータを受け付けるポートに送信するようにしても、同様な効果を得ることができる。この場合、各変換機能部23,24が、データ変換手段に該当する。また、図では3段だが、それ以上の変換機能部を設けてよいことは、もちろんである。
そして、このようにした場合でも、情報処理装置10側の通信制御部12が最初にデータをデータ処理装置20に送信する際のポートをデータ形式に応じて選択するようにすれば、データ処理装置20の側では、各変換機能部が固定的なデータ変換を実行しつつ、複数のデータ形式のデータを認識し、最終的にデータ処理機能部21による処理結果を得ることができる。
【0042】
この場合において、多段の変換処理のうち、途中の変換機能部と対応するポート(例えば図3における第2のポート)にデータを送信すれば、その変換機能部以降の変換処理を実行させることも可能である。すなわち、多段の変換処理のうち、途中の工程から処理を開始させる制御も、情報処理装置10側でデータ処理装置20にデータを送信する際のポートの選択により、可能である。
【0043】
また、図4に示すように、データ処理装置20側で、複数の変換機能部が、データ処理機能部21が取り扱うことのできる形式へのデータ変換を行って、処理後のデータを第1のポートにループバックさせるような構成も可能である。このようにしても、複数のデータ形式のデータを認識し、最終的にデータ処理機能部21による処理結果を得ることができる。
図3のような構成は、データ変換を入れ子式に行う必要がある場合、図4のような構成は、データ処理機能部21が処理できる形式にするまでのデータ変換は1度に1種類でよいが、複数の変換方式に対応させたい場合に採用するとよい。もちろん、これらを組み合わせてもよい。
【0044】
〔第2の実施形態:図5乃至図16〕
次に、この発明のデータ処理システムの、より具体的な第2の実施形態について説明する。図5は、その第2の実施形態であるプリントシステムの構成を示す機能ブロック図である。なお、この図においては、ソフトウェアにより実現される機能を示すブロックに、そのソフトウェアの名称を付している。また、以後、説明の便宜のため、CPUがソフトウェアを実行することによって行う処理や動作を、そのソフトウェアが処理や動作を行うものとして説明することもある。
【0045】
図5に示すように、このプリントシステムは、PC30とプリンタ40によって構成している。そして、これらはそれぞれ第1の実施形態の情報処理装置10及びデータ処理装置20に該当する。
そして、プリンタ40は、データ処理手段としてプリンタアプリ41を、データ変換手段としてデータ解凍アプリ42を有する。
【0046】
そして、プリンタアプリ41は、第1のポートである9100番ポートをリスンして、ここで何からのデータを受信した場合、そのデータを特定のプリンタ言語で記載されたプリントデータとして取り扱い、そのプリントデータを、プリントエンジン43にプリントを行わせるための画像データに変換する処理を行う。すなわち、背景技術の項で図21を用いて説明したプリンタ90のプリンタアプリ91と同様な機能を有する。
【0047】
また、データ解凍アプリ42は、第2のポートである9200番ポートをリスンして、ここで何らかのデータを受信した場合、そのデータを特定の方式で圧縮されたデータとして取り扱い、そのデータを解凍し、解凍後のデータをループバックにより9100番ポートに送信する機能を有する。
従って、プリンタ40は、9100番ポートで特定のプリンタ言語で記載されたプリントデータを受信した場合にそのプリントデータに基づいてプリントを行うことができると共に、それとは異なる9200番ポートで、圧縮されたプリントデータを受信した場合には、これを解凍した上で、そのプリントデータに基づいてプリントを行うことができる。
【0048】
なお、プリンタアプリ41とデータ解凍アプリ42は、それぞれ受信するデータが特定の形式であることを前提にデータ変換処理を行うので、実際に受信したデータの形式がそれと異なる形式であった場合には、出力は無意味なデータになってしまう。しかし、このような構成としても、データの送信側を制御して正しい形式のデータを送信させるようにすれば問題なく動作するので、処理負荷の低減を考慮し、このような構成を採用している。
また、データ解凍アプリ42は、デバイス組み込み用のJava(登録商標)であるJ2ME(Java 2 Micro Edition)を利用し、DSDK(Device Software Development Kit)の環境で動作するDSDKサーバアプリケーションとして作成することが考えられる。
【0049】
また、プリンタ40は、上記以外にも、省エネルギ制御部44を備えており、一定時間何のデータも受信せず、かつプリント動作も行っていない場合に、自身を省エネルギモードに移行させるようにしている。そして、この状態では、消費エネルギを低減するため、プリンタ40の各部の電源を遮断する等し、RAMに常駐させておくプログラムも、必要最低限のものとしている。
【0050】
そしてここでは、プリンタアプリ41は、必ず使用するアプリであるので省エネルギモードでも常駐させておく一方、データ解凍アプリ42は、PC30側の設定によっては使用しないアプリであるので、省エネルギモードではRAMから消去してしまうようにしている。従って、省エネルギモードでは、プリンタ40は、9200番ポートで受信したデータについては処理を行わない状態となる。
【0051】
そして、省エネルギ制御部44は、プリントデータが送られてくるはずの9100番ポートで何らかのデータを受信したり、図示しない操作部により何らかの操作を受け付ける等すると、プリンタ40を通常動作モードに復帰させ、RAMから削除していたプログラムも、不揮発メモリから読み出して、再度実行可能な状態に戻すようにしている。この通常動作モードの状態では、プリンタ40は、9200番ポートで受信したデータについてデータ解凍アプリ42による解凍処理を行うことができる。
【0052】
一方、PC30には、アプリケーション31とプリンタドライバ32とポートモニタ33を備えるが、このうち、アプリケーション31とプリンタドライバ32は、背景技術の項で図21を用いて説明したPC80のアプリケーション81及びプリンタドライバ82と同様な機能を有する。
【0053】
また、ポートモニタ33は、標準スプーラ34と拡張スプーラ35を備えているが、このうち標準スプーラ34の機能は、上記のPC80のポートモニタ83の機能と同様なものである。すなわち、プリンタドライバ32は、プリンタ言語形式に変換したプリントデータを、標準スプーラ34のスプールディレクトリにスプールするようにし、標準スプーラ34は、そのスプールディレクトリにスプールされたデータを、使用するプリンタのアドレスの、9100番ポートに送信する機能を有する。
【0054】
しかし、後述のようにプリント指示時に拡張スプーラ35を使用する旨が設定されているプリンタに対してプリントデータを送信する場合には、標準スプーラ34のデータ送信機能を使用せず、標準スプーラ34のスプールディレクトリにスプールされたデータは、拡張スプーラ35のスプールディレクトリにスプールし直し、拡張スプーラ35が、そのデータをプリンタ40の所定のポートに送信するようにしている。
またこの時、ユーザの指定に応じて必要な場合にはプリントデータに対して圧縮処理を行うようにしている。そして、ここで圧縮を行わなかったデータについては、標準スプーラ34の場合と同様に9100番ポートに送信し、圧縮を行ったデータについては、9200番ポートに送信するようにしている。なお、ここで使用する圧縮処理の方式は、プリンタ40のデータ解凍アプリ42が解凍できる形式であり、例えばGZip形式が考えられる。
【0055】
以上のようなPC30とプリンタ40のハードウェア構成は、第1の実施形態で図2を用いて説明したものと同様でよい。ただし、プリンタ40は、エンジン部としてプリントエンジン43を備えている。また、プリンタ40は、コピーやファクシミリ通信等の機能を併せ持つデジタル複合機(MFP)であってもよい。
【0056】
ここで、図6に、PC30がプリンタ40に送信するデータの形式を示す。
プリンタ言語としてPCL(Printer Control Language)6,PCL5e,RPCS等を用いる場合、バイナリのプリントデータに、PJL(Printer
Job Language)言語で記載したヘッダとフッタを付し、ここに、両面印刷の有無等、プリントジョブの実行に関する情報を記載する。そして、拡張スプーラ35は、そのヘッダからフッタまでの全体を圧縮して、プリンタ40の9200番ポートに送信する。この圧縮は、ここではGZip形としているが、データ解凍アプリ42に解凍機能を持たせることができる形式であれば、どのような形式でも利用可能である。
【0057】
そして、プリンタ40側では、データ解凍アプリ42がそのデータを解凍し、もとのプリントデータに戻して9100番ポートにループバック送信する。すなわち、自身を示すアドレスの9100番ポートに送信する。このデータは、従来のプリンタが処理できるデータであり、プリンタアプリ41は、このデータに基づいてプリント処理を行うことができる。
また、拡張スプーラ35が圧縮処理を行わない場合には、始めから、図6の右側に示す形式のプリントデータをプリンタ40の9100番ポートに送信するようにする。
【0058】
次に、図7乃至図11に、PC30において拡張スプーラ35の設定に使用する画面の例を示す。これらの画面は、PC30のディスプレイに表示させるGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)である。
図7は、PC30に利用可能なプリンタとして登録されているプリンタの一覧を示す、登録プリンタ一覧画面の例を示す図である。
この登録プリンタ一覧画面200は、PC30のOS(オペレーティングシステム)の機能により表示される画面であり、OS上で適当な操作をすることにより表示させることができる。そして、プリンタ名表示部201に、利用可能なプリンタの名称を表示すると共に、状態表示部202に、そのプリンタの状態を表示する画面である。
【0059】
ここで、登録されているプリンタとは、OSがそのプリンタの機種、制御に必要なドライバ、データの送信先等の情報を認識し、アプリケーション31からプリントが要求された場合に、適当なプリンタドライバ32に必要な情報を渡してプリントデータを送信させることができる状態にあるプリンタを言うことにする。また、プリンタ名表示部201に表示されるプリンタの名称は、プリンタの機種名と同じでもよいが、これと別に定めたり、ユーザが任意に定めたりすることができる。
そして、登録プリンタ一覧画面200では、プリンタ名表示部201の最上段に表示されている「プリンタの追加」を選択することにより、新たにプリンタを登録することができる。
【0060】
図8は、この新たなプリンタの登録を行う場合に表示されるポート選択画面の例を示す図である。
このポート選択画面210は、新たに登録するプリンタとの通信に利用するポートの選択を受け付けるための画面であり、ユーザが登録プリンタ一覧画面200で「プリンタの追加」を選択した場合に表示される。そして、ポート一覧部211には、利用できるポートの一覧が表示され、ここでポートを指定してOKボタン212を押下することにより、指定したポートを選択することができる。キャンセルボタン213を押下した場合には、プリンタの追加を中止する。
【0061】
なお、図8に示した例のうち、「ローカルポート」は、PC30にローカルに接続されたプリンタとの通信に利用するポートを示し、「標準スプーラ」と「拡張スプーラ」は、それぞれ標準スプーラ34及び拡張スプーラ35を用いて通信を行う場合に利用するポートを示す。また、「拡張スプーラ」の選択肢は、OS(オペレーティングシステム)にデバイスドライバとして拡張スプーラ35が登録されている場合のみ表示される。
【0062】
次に、図9に、拡張スプーラ35の使用及びプリントデータ圧縮の有無を設定するための画面例を示す。
この設定画面220は、ユーザがポート選択画面210において拡張スプーラ35の利用を選択した場合に、拡張スプーラ35の機能により表示されるものである。
そして、この画面においては、ユーザがプロトコル選択部221でプリント時のプリントデータ転送に使用するプロトコルを選択し、検索ボタン222を押下すると、PC30がOSの機能によりブロードキャストを行って、使用可能なプリンタを検索し、プリンタ一覧部223にその情報を表示する。図の例ではここにプリンタの機種と、プリンタ個別のIDと、プリンタのIP(Internet Protocol)アドレスを表示するようにしているが、これに限られるものではない。
【0063】
そして、ユーザがカーソル224を合わせてプリンタ一覧部223からいずれかのプリンタを選択し、OKボタン226を押下すると、そのプリンタにプリントを指示するためのポートが作成され、OSに、そのプリンタにプリントを指示する際に、拡張スプーラ35を使用する旨が設定される。また、そのプリンタにデータを送信する際のIPアドレスも設定される。またこのとき、チェックボックス225にチェックが入っていた場合、プリントデータの転送を、圧縮した状態で9200番ポートに対して行う旨も設定される。また、キャンセルボタン227が押下された場合には、設定は行わずにこの画面を閉じる。
【0064】
図10に、図7に示した状態から図9のカーソル224の位置に表示されているプリンタを追加した状態の登録プリンタ一覧画面の例を示す。
この画面においては、符号203に示す位置に、追加したプリンタの名称及び状態が表示されている。この例では、既に「Printer_A」が登録されていたため、これと区別できるよう、新たに登録されたプリンタの名称には、機種名に加え、「No.2」の識別子を付し、また、プリントデータを圧縮して送信することを示す「(圧縮)」の識別子も付している。このような名称は、自動で生成することができる。もちろん、名称がこれに限られることはない。
【0065】
また、図11は、上記の設定画面220により拡張スプーラ35の使用を設定したプリンタにつき、登録プリンタ一覧画面200において、プリントに使用するポートの設定の状態の参照を指示した場合に表示される画面例である。
そして、この参照画面230では、画面のタイトル231により、拡張スプーラ35を使用することがわかり、ポート番号表示部232により、プリンタにデータを送信する際にどのポートに送信するかを確認することができる。また、チェックボックス233により、プリントデータの圧縮を行うか否かも確認することができる。
【0066】
ここでは、プリントデータの圧縮を行うため、送信先のポートは9200番としている。しかし、プリンタ側の設定に応じて、この内容は変更可能である。また、プリントデータの圧縮をしない旨が設定された場合、送信先のポートを自動的に9100番に変更するようにしてもよい。
【0067】
次に、図12に、図5に示したプリントシステムにおいてPC30側で実行する処理のフローチャートを示す。
この処理は、PC30において、拡張スプーラ35を利用する旨が設定されているプリンタでのプリントが指示された場合に、CPUがプリンタドライバ及び拡張スプーラ35を実行することにより行うものである。
【0068】
この処理においてはまず、ステップS11で、プリンタドライバが、標準スプーラ34のスプールディレクトリに、印刷内容を示す非圧縮のプリントデータをスプールする。
その後、ステップS12で、印刷に使用するプリンタについてプリントデータを圧縮する旨が設定されているか否か判断する。
そして、ここで圧縮しない旨が設定されていれば、ステップS13に進み、標準スプーラ34のスプールディレクトリにスプールしたプリントデータを、拡張スプーラ35のスプールディレクトリに非圧縮のままスプールする。そして、ステップS14でそのスプールしたプリントデータを、プリンタ40のアドレスの9100番ポートに送信し、処理を終了する。なお、この送信は、4096バイトずつ等、所定サイズ毎に行えばよい。
【0069】
一方、ステップS12で圧縮する旨が設定されていれば、ステップS15に進み、標準スプーラ34のスプールディレクトリにスプールしたプリントデータを、圧縮して拡張スプーラ35のスプールディレクトリにスプールする。その後、ステップS16で空ジョブデータをプリンタ40のアドレスの9100番ポートに送信して、プリンタ40が省エネルギモードであれば通常動作モードに復帰させる。プリンタ40が省エネルギモードのままだと、9200番ポートに送信したデータを処理できないためである。また、ここで送信するデータは、例えば図6の右側に示したプリントデータのうち、ヘッダとフッタのみのデータのようなダミーのデータとすればよい。また、圧縮の必要はない。
【0070】
そして、次のステップS17では、ステップS15でスプールしたプリントデータを、プリンタ40のアドレスの9200番ポートに送信し、処理を終了する。この送信も、4096バイトずつ等、所定サイズ毎に行えばよい。また、図11に示した画面により他のポートが指定されていた場合には、9200番ポートに代えてそのポートへの送信を行う。
【0071】
以上の処理により、プリントデータを、プリンタ40のプリンタアプリが処理できる形式で送信する場合にはプリンタアプリがリスンしているポートに、処理できない形式で送信する場合には、他の、送信する形式のデータを処理してプリンタアプリが処理できる形式に変換できるアプリがリスンしているポートに送信することができる。
従って、プリンタ40側で各データを適切に処理させることができる。
【0072】
次に、図13に、図5に示したプリントシステムにおいてプリンタ40側でCPUがデータ解凍アプリ42により実行する処理のフローチャートを示す。
CPUは、プリンタ40が起動されるか、省エネルギモードから通常動作モードに復帰すると、データ解凍アプリ42を実行することにより、図13のフローチャートに示す処理を開始する。
【0073】
そして、ステップS21でデータ解凍アプリ42を9200番ポートにバインドし、このポートをリスンする状態にする。すなわち、9200番ポートへのデータの受信を監視する状態にする。そして、ステップS22及びS23でその9200番ポートへの接続を待つ。
その後、PC30等の外部クライアントあるいはローカルのループバック等により接続要求があると、ステップS23からステップS24に進んでその接続を許可すると共に、ステップS25でローカルホストの9100番ポートに接続要求を行って、接続許可を受ける。
【0074】
その後、ステップS26で、9200番ポートでデータを受信し、それをバッファに蓄積しつつ、その蓄積したデータを解凍する。この解凍処理は、受信したデータの形式を参照せず、そのデータがGZip形式等の特定の形式であることを前提として行ってよく、J2MEの解凍用ライブラリを利用して行うことができる。例えば、GZip形式のデータを処理するのであれば、ソケットの入力ストリームを単にJ2MEのライブラリにあるGZIPInputStreamでラッピングするといった処理を行えばよい。
【0075】
そして、ステップS27で、クライアントからの通信切断、ステップS26での解凍処理エラー、解凍完了のいずれかが起こったか否か判断する。ここで、解凍処理エラーは、解凍に使用したライブラリから処理結果としてエラーが返された場合である。不適当な形式のデータを処理に供した場合でも、何らかの処理結果が得られてしまう場合もあり、このような場合にはエラーとはならない。
【0076】
そして、ステップS27で上記のいずれも起こっていなければ、ステップS28に進んで解凍後のデータをローカルホストの9100番ポートに送信する。その送信は、データの切れ目を意識せずに4096バイトずつ等の所定サイズずつ行えばよい。例えば、上記のGZIPInputStreamを利用する場合には、ライブラリから処理結果を所定サイズ取得してそのまま9100番ポートに送信すればよい。また、一度に送信するサイズは、PC30から直接9100番ポートにプリントデータを送信する場合と同じサイズとするとよい。
【0077】
その後、ステップS26に戻り、ステップS27でYESになるまで処理を繰り返す。
そして、ステップS27でYESであれば、ステップS29に進んで通信を切断し、ステップS22に戻る。
以上の処理により、プリンタ40は、9200番ポートに受信したデータに対し、プリンタアプリ41が処理できる形式のデータとするための特定の解凍処理を行い、その処理後のデータを9100番ポートに送信することができる。この解凍処理は、受信したデータの形式によらず同じ処理を行うが、適切な形式のデータを受信していれば、出力は、プリンタアプリ41が処理できる形式のプリントデータとなる。
【0078】
次に、図14に、図5に示したプリントシステムにおいてプリンタ40側でCPUがプリンタアプリ41により実行する処理のフローチャートを示す。
CPUは、プリンタ40が起動されると、プリンタアプリ41を実行することにより、図14のフローチャートに示す処理を開始する。
そして、ステップS31でプリンタアプリ41を9100番ポートにバインドし、このポートをリスンする状態にする。すなわち、9100番ポートへのデータの受信を監視する状態にする。そして、ステップS32及びS33でその9100番ポートへの接続を待つ。
【0079】
その後、PC30等の外部クライアントあるいはローカルのループバック等により接続要求があると、ステップS33からステップS34に進んでその接続を許可する。データ解凍アプリ42が図13のステップS25の処理で行う接続要求も、ここで検出され、許可される。
【0080】
そして、ステップS35で、9100番ポートでデータを受信し、それをバッファに蓄積しつつ、その蓄積したデータをもとに、画像メモリに画像データを描画して、プリントエンジン43にその画像データに基づくプリントを指示する。ステップS34でデータ解凍アプリ42からの接続要求を許可した場合には、ここで受信するデータは、データ解凍アプリ42が図13のステップS28の処理で送信してくるデータである。
そして、ステップS36で、クライアントからの通信切断、ステップS35での描画処理エラー、描画完了のいずれかが起こるまでステップS35に戻って処理を繰り返す。そして、いずれかが起こるとステップS37で通信を切断し、ステップS32に戻って処理を繰り返す。
【0081】
以上の処理により、プリンタ40は、9100番ポートに受信したデータを、プリントエンジン43を駆動するための画像データに変換するための特定の描画処理を行い、その処理後のデータに基づいてプリントエンジン43にプリントを実行させることができる。この処理は、データの送信元がPC30であっても、データ解凍アプリ42であっても、共通に行うようにしている。また、描画処理は、受信したデータの形式によらず同じ処理を行うが、適切な形式のデータを受信していれば、描画により、形成すべき画像の内容を示す画像データを得ることができる。
なお、このフローチャートに示した処理は、従来のプリンタに備えるプリントエンジンの場合と同様なものでよい。
【0082】
以上説明してきたようなプリントシステムによれば、PC及びプリンタに、以上説明してきたような機能を実現させることにより、プリンタ40において、プリンタアプリが特定のプリンタ言語形式のプリントデータしか解釈できない場合でも、PC30からプリンタ40に対して圧縮したプリントデータを送信し、そのデータに基づくプリントを行わせることができる。
【0083】
また、この場合において、プリンタアプリ41がデータを受け取る受け口を、PC30から受け取る場合と、データ解凍アプリ42から受け取る場合とで共通化しているため、従来からあるプリンタアプリ41を改変する必要は全くない。そして、データ解凍アプリ42を追加し、必要な設定を行うだけで、プリンタ40に上述した機能を実現させることができる。また、PC30側においても、従来の構成を変更することなく、新たに拡張スプーラ35をインストールし、プリンタ40にプリントを指示する場合にその拡張スプーラ35を使用してデータを圧縮する旨を設定するのみでよい。
【0084】
従って、既存の資源を有効に利用し、小さい開発工数で、プリントデータを転送時に圧縮してプリントの高速化を図るようなプリントシステムを開発することができる。また、プリンタ40側では、特定のポートで受信したデータに対しては、特定の処理を行うようにしているので、一般にハードウェア資源の制約が厳しいプリンタ40の側での処理負荷を低減すると共に、この点でもアプリの開発工数を低減することができる。
さらに、受信したデータの形式に応じてデータ変換処理の内容を変える場合、ヘッダ等によりデータの形式を示す必要があり、その部分は圧縮を行うことができない。一方、常に同じデータ変換処理を行うのであれば、データの形式を示す必要はなく、データ全体を圧縮できるため、高い圧縮効率を得ることができる。
【0085】
ここで、図15及び図16に、実際に上述したようなプリントシステムを構築し、プリントデータを圧縮してプリントを行った場合と圧縮せずにプリントを行った場合とでプリントに要する時間を比較した結果を示す。
このデータを取得した際のシステム環境及びプリントに使用したデータは以下の通りである。
【0086】
PC30としては、動作クロック1200メガヘルツのPentium(登録商標)MをCPUとして使用し、512メガバイトのRAM、容量約33ギガバイトのHDDを搭載したPCを用いた。また、OSとしては、Windows(登録商標)XP Professional SP1を用い、プリントを指示するアプリケーションには、マイクロソフト社のOffice2000を用いた。
プリンタ40としては、リコー社製のデジタル複合機、Aficio2022を使用した。
【0087】
PC30とプリンタ40との間の接続は、エミュレータを利用して、64k(キロビット毎秒)、128k、448k、1344kの各通信速度の通信が可能な構成とした。
回線エミュレータとの接続のためのルータとしては、PC側はBayNetworks社製のAE1001006、PART#11375RevBを使用し、プリンタ側は同社製のAE1001005、PART#11375RevJを使用した。
【0088】
また、プリンタ40側のアプリケーションは、DSDKのバージョン1.10Serverと、SDK GZIP Application バージョン1.02とを利用して作成した。
プリンタ言語としては、PCL6のバージョン1.2.0.0,PCL5eのバージョン1.2.0.0,RPCSのバージョン4.19を使用し、PC側のプリンタドライバも対応するドライバを使用した。
【0089】
プリントに使用したプリントデータは、マイクロソフト社のWord,Excel,PowerPoint(登録商標)用の標準パターンとしてJEITA(社団法人電子情報技術産業協会)が定めたJ9.doc(J9),J10.xls(J10),J11.ppt(J11)を用いた。
J9は、全5頁をプリントした。J10は、ファイル→印刷→ブック全体→OKにより全5頁をプリントし、A3サイズのものはA3サイズで出力した。J11は、全12頁をプリントした。
【0090】
またプリント時間としては、アプリケーションの印刷開始ボタンを押してから、データイン、ファーストプリント(1枚目排紙完了)、全印刷完了までの所要時間を計測し、印刷時の設定は全てデフォルトとした。
そして、図15には、各条件で得られたデータイン、1枚目排紙完了、全印刷完了の時間を、「:」の左側に分を、右側に秒を小数第二位まで示す形式で記載すると共に、圧縮の有無以外同一の条件下で、圧縮を行った場合の各所要時間を圧縮を行わなかった場合の対応する所要時間で割った比率を、百分率により示している。
【0091】
また、図16には、プリントした各データの圧縮率を求めた結果を示している。
各データのサイズとしては、スプールデータは、プリンタドライバの画面に表示されるサイズを用いた。非圧縮データのサイズとしては、キューのみオフラインとし、C:\Windows\system32\spool\PRINTERSに蓄積されるスプールデータのサイズを用いた。圧縮データのサイズとしては、プリンタ側のみオフラインとし、C:\WINDOWS\NAVITEMPに蓄積される圧縮済みスプールデータのサイズを用いた。
スプールデータのサイズの単位はメガバイト、圧縮データと非圧縮データのサイズの単位は、キロバイトである。また、文書種別の欄に記載した数字は、プリントに使用したファイルのサイズであり、単位はキロバイトである。J10の項目の「3P」及び「2P」は、J10のブックに含まれる2つのワークシートの各々の印刷ページ数を示すものである。
【0092】
以上の各データを参照すると、プリントデータは、圧縮処理を行うことにより、容量を70%以下、プリンタ言語によっては50%以下に低減することができることがわかる。
また、少なくとも448kまでの通信速度では、全ての条件において、プリントデータを圧縮することにより、印刷完了までの時間を大幅に低減できることがわかる。これは、圧縮により、転送すべきデータ量を低減し、転送時間を短縮できたためと考えられる。
従って、上述した実施形態の構成を採用することが、印刷時間の短縮に効果的であるといえる。
【0093】
なお、1344kと通信速度が速い場合には、圧縮により印刷完了までの時間をあまり短縮できていないが、これは、高速の通信が可能な場合には、大きなサイズのデータでも高速に転送できるため、データサイズよりも圧縮処理時間が問題となるためと考えられる。
しかし、通信速度があまり速くない場合に、印刷時間の短縮が可能であることは、448kまでのデータから明らかであるため、このような環境では、通信速度が速い場合のデータは考慮する必要はないと考えられる。
【0094】
〔第2の実施形態の変形例:図17乃至図20〕
次に、以上説明してきた第2の実施形態のプリントシステムの変形例について説明する。
第2の実施形態においては、9200番ポートで受信したデータに対して行う処理を、圧縮データの解凍処理としたが、これに限られることはない。その他の処理として、暗号化されたデータの復号化処理や、他のプリンタ言語で記載されたプリントデータをプリンタアプリ41が対応しているプリンタ言語のプリントデータに変換するプリンタ言語変換、PC30側でアプリケーション31が出力するような印刷内容を示すデータをプリンタ言語の形式に変換する、プリンタドライバ32が行うような処理等が考えられる。
【0095】
図17及び図18にこれらの例の一部を示す。
例えば、PC30からプリンタ言語形式のデータを暗号化してプリンタ40の9200番ポートに送信し、プリンタに復号化処理を行わせると共に、9100番ポートに送信してプリントを行わせることができるようにすれば、プリントデータ転送時のセキュリティを向上させることができる。
【0096】
また、XML形式で定義された帳票データ等をそのままプリンタ40の9200番ポートに送信し、プリンタ40側でプリンタ言語形式への変換処理を行わせると共に、9100番ポートに送信してプリントを行わせることができるようにすれば、PC30側にプリンタドライバを設けなくても、プリンタ40にプリントを行わせることが可能になる。従って、多数のクライアントがプリンタ40を共用する場合等には、各クライアントに個別にプリンタドライバをインストールすることが不要になり、管理の負担を軽減することができる。
また、PDA(携帯情報端末)や携帯電話のように、持ち歩く端末では、常に適切なドライバを設定しておくことが難しいし、CPUの処理能力も比較的小さいと考えられるので、このような場合にはプリンタ40の側にプリンタドライバの機能を持たせることが特に有効と考えられる。
【0097】
また、第1の実施形態で図3を用いて説明した例と対応するものとして、複数段のデータ変換処理により、プリンタアプリ41が対応しているプリンタ言語形式のプリントデータを生成して9100番ポートに転送するようにすることも考えられる。
図19にこのようにする場合のプリントシステムの機能ブロック図の例を示す。
この例においては、プリンタ40′には、図5のプリンタ40の構成に加え、復号化アプリ45を設け、9300番ポートで受信したデータに対し、特定の復号化処理を行って、その結果を9100番ポートに送信するようにしている。また、データ解凍アプリ42は、解凍処理の結果を9300番ポートに送信するようにしている。
【0098】
そして、PC30側では、プリントデータに暗号化処理と圧縮処理を順次施し、このデータをプリンタ40′の9200番ポートに送信すると、プリンタ40′側で解凍及び復号化処理を行わせ、プリントデータに基づくプリントを行わせることができる。
この場合でも、各アプリは受信したデータに対して、その形式によらず特定の処理を行うのみであるし、プリンタアプリ41の機能は従来と同じものでよく、ここにデータ解凍アプリ42と復号化アプリ45を追加するのみで、プリンタ40′の機能を実現することができる。
【0099】
図20に、プリンタ40′をこのような構成とした場合のデータの流れを示す。
この場合、PC30からプリンタ40′に対しては、プリントデータを暗号化し、更に圧縮した状態で9200番ポートに送信する。そして、プリンタ40′側ではデータ解凍アプリ42によりこのデータに解凍処理を行い、暗号化のみされた状態のプリントデータに変換して自身の9300番ポートに送信する。
そしてここでは、復号化アプリ45により復号化処理を行い、プリンタアプリ41が処理できるプリンタ言語形式のプリントデータに変換して自身の9100番ポートに送信する。そして、プリンタアプリ41がこれを受け取ると、そのデータに基づいてプリントエンジン43にプリントを行わせるための画像データを生成することができる。
【0100】
以上で実施形態の説明を終了するが、以上説明してきた実施形態及び変形例において、装置やシステムの構成、具体的な処理内容、通信に使用する通信プロトコル等が上述の実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
例えば、通信経路として、ネットワーク以外にも、パラレルケーブルを介した通信経路を用いることも考えられる。
【0101】
また、プリンタアプリ41に、処理中にデータが不正な内容であることを認識した場合(正しい形式のデータであればありえない形式でデータが並んでいた場合等)に、エラーと認識し、プリントを中止する機能を設けてもよい。このようにすれば、誤ったデータに基づいて無駄なプリントを行ってしまうことを防止できる。
また、この発明はプリンタのような画像形成装置以外のデータ処理装置にも適用できることはもちろんである。その具体例としては、帳票システムや発券システム等の業務システム、テレビ・ビデオ・ラジオ等の記録装置や出力装置等が挙げられる。
【0102】
また、この発明によるプログラムは、コンピュータに受信したデータの形式を変換するデータ処理装置を制御させ、上述したデータ処理装置20のような装置として機能させるためのプログラムであり、このようなプログラムをコンピュータに実行させることにより、上述したような効果を得ることができる。
このようなプログラムは、はじめからコンピュータに備えるROMあるいはHDD等の記憶手段に格納しておいてもよいが、記録媒体であるCD−ROMあるいはフレキシブルディスク,SRAM,EEPROM,メモリカード等の不揮発性記録媒体(メモリ)に記録して提供することもできる。そのメモリに記録されたプログラムをコンピュータにインストールしてCPUに実行させるか、CPUにそのメモリからこのプログラムを読み出して実行させることにより、上述した各手順を実行させることができる。
さらに、ネットワークに接続され、プログラムを記録した記録媒体を備える外部機器あるいはプログラムを記憶手段に記憶した外部機器からダウンロードして実行させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0103】
以上説明してきたように、この発明のデータ処理装置、データ処理システム、データ処理装置の制御方法、データ変換機能付加方法、プログラム又は記録媒体によれば、受信したデータに対してデータ処理を行うデータ処理装置が、低い処理負荷で複数の形式のデータを処理し、初めのデータ形式によらず同じ処理結果を実現できるようにすることができる。また、このような機能を有する装置を、既存の資源を利用して容易に開発できるようにすることもできる。
従って、この発明を適用することにより、処理の柔軟性が高いデータ処理装置を安価に提供することができる。
【符号の説明】
【0104】
10:情報処理装置、11:送信データ生成部、12:通信制御部、
20:データ処理装置、21:データ処理機能部、
22:データ変換機能部、30,80:PC、31,81:アプリケーション、
32,82:プリンタドライバ、33,83:ポートモニタ、34:標準スプーラ、
35:拡張スプーラ、40,40′,90:プリンタ、41,91:プリンタアプリ、
42:データ解凍アプリ、43,93:プリントエンジン、44:省エネルギ制御部、
45:復号化アプリ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】
【特許文献1】特開2004−252984号公報、段落0061

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の第1のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ処理を行うデータ処理手段と、
自身の前記第1のポートとは異なる第2のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対して、そのデータの形式によらず、前記データ処理手段が取り扱うことのできる形式への特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの前記第1のポートに送信するデータ変換手段とを設けたことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のデータ処理装置であって、
前記データ変換手段が、各々自身の前記第1のポートと異なる特定のポートを監視し、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの、次段の変換手段が監視するポートに送信する変換手段を複数有し、これらの各変換手段によって複数段のデータ変換処理を行うことにより、前記第2のポートで受信したデータを前記データ処理手段が取り扱うことのできる形式のデータに変換して、自身を示すアドレスの前記第1のポートに送信する手段であることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のデータ処理装置であって、
自身を省エネルギモードに移行させる手段と、
前記第1のポートで何らかのデータを受信した場合に自身を省エネルギモードから通常動作モードに復帰させる手段とを設けたことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項記載のデータ処理装置であって、
前記データ処理手段が行うデータ処理は、プリンタ言語で記述されたデータから、プリントエンジンに画像形成を行わせるための画像データへの変換であることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項記載のデータ処理装置であって、
前記データ変換手段が行うデータ変換は、データの解凍、復号化、プリンタ言語変換のいずれかであることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項6】
情報処理装置と、その情報処理装置から受信したデータを処理するデータ処理装置とを備えたデータ処理システムであって、
前記データ処理装置に、
自身の第1のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ処理を行うデータ処理手段と、
自身の前記第1のポートとは異なる第2のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対して、そのデータの形式によらず、前記データ処理手段が取り扱うことのできる形式への特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの前記第1のポートに送信するデータ変換手段とを設け、
前記情報処理装置に、
前記データ処理装置にデータを送信する場合に、前記データ処理手段が処理できる形式のデータは前記第1のポートに送信し、前記データ処理手段が処理できない形式のデータは前記第2のポートに送信する手段を設けたことを特徴とするデータ処理システム。
【請求項7】
請求項6記載のデータ処理システムであって、
前記データ処理装置の前記データ変換手段が、各々自身の前記第1のポートと異なる特定のポートを監視し、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの、次段の変換手段が監視するポートに送信する変換手段を複数有し、これらの各変換手段によって複数段のデータ変換処理を行うことにより、前記第2のポートで受信したデータを前記データ処理手段が取り扱うことのできる形式のデータに変換して、自身を示すアドレスの前記第1のポートに送信する手段であることを特徴とするデータ処理システム。
【請求項8】
請求項6又は7記載のデータ処理システムであって、
前記データ処理装置に、
自身を省エネルギモードに移行させる手段と、
前記第1のポートで何らかのデータを受信した場合に自身を省エネルギモードから通常動作モードに復帰させる手段とを設け、
前記情報処理装置に、
前記データ処理装置の前記第2のポートにデータを送信する場合に、その前に前記第1のポートに、前記データ処理装置を通常動作モードに復帰させるためのダミーのデータを送信する手段を設けたことを特徴とするデータ処理システム。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか一項記載のデータ処理システムであって、
前記データ処理装置において、
前記データ処理手段が行うデータ処理が、プリンタ言語で記述されたデータから、プリントエンジンに画像形成を行わせるための画像データへの変換であることを特徴とするデータ処理システム。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか一項記載のデータ処理システムであって、
前記データ処理装置において、
前記データ変換手段が行うデータ変換が、データの解凍、復号化、プリンタ言語変換のいずれかであることを特徴とするデータ処理システム。
【請求項11】
受信したデータの形式を変換するデータ処理装置に、
自身の第1のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ処理を行うデータ処理手順と、
自身の前記第1のポートとは異なる第2のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対して、そのデータの形式によらず、前記データ処理手順で取り扱うことのできる形式への特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの前記第1のポートに送信するデータ変換手順とを実行させることを特徴とするデータ処理装置の制御方法。
【請求項12】
請求項11記載のデータ処理装置の制御方法であって、
前記データ変換手順が、各々の手順で自身の前記第1のポートと異なる特定のポートを監視し、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの、次段の変換手順で監視するポートに送信する複数の変換手順で複数段のデータ変換処理を行うことにより、前記第2のポートで受信したデータを前記データ処理手順で取り扱うことのできる形式のデータに変換して、自身を示すアドレスの前記第1のポートに送信する手順であることを特徴とするデータ処理装置の制御方法。
【請求項13】
請求項11又は12記載のデータ処理装置の制御方法であって、
前記データ処理装置に、
自身を省エネルギモードに移行させる手順と、
前記第1のポートで何らかのデータを受信した場合に自身を省エネルギモードから通常動作モードに復帰させる手順とを実行させることを特徴とするデータ処理装置の制御方法。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか一項記載のデータ処理装置の制御方法であって、
前記データ処理手順で行うデータ処理が、プリンタ言語で記述されたデータから、プリントエンジンに画像形成を行わせるための画像データへの変換であることを特徴とするデータ処理装置の制御方法。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれか一項記載のデータ処理装置の制御方法であって、
前記データ変換手順で行うデータ変換が、データの解凍、復号化、プリンタ言語変換のいずれかであることを特徴とするデータ処理装置の制御方法。
【請求項16】
自身の第1のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ処理を行うデータ処理手段を有するデータ処理装置に、
自身の前記第1のポートとは異なる第2のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対して、そのデータの形式によらず、前記データ処理手段が取り扱うことのできる形式への特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの前記第1のポートに送信するデータ変換手段を付加することを特徴とするデータ変換機能付加方法。
【請求項17】
請求項16記載のデータ変換機能付加方法であって、
前記データ変換手段が、各々自身の前記第1のポートと異なる特定のポートを監視し、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの、次段の変換手段が監視するポートに送信する変換手段を複数有し、これらの各変換手段によって複数段のデータ変換処理を行うことにより、前記第2のポートで受信したデータを前記データ処理手段が取り扱うことのできる形式のデータに変換して、自身を示すアドレスの前記第1のポートに送信する手段であることを特徴とするデータ変換機能付加方法。
【請求項18】
請求項16又は17記載のデータ変換機能付加方法であって、
前記データ処理装置が、
自身を省エネルギモードに移行させる手段と、
前記第1のポートで何らかのデータを受信した場合に自身を省エネルギモードから通常動作モードに復帰させる手段とを有する装置であることを特徴とするデータ変換機能付加方法。
【請求項19】
請求項16乃至18のいずれか一項記載のデータ変換機能付加方法であって、
前記データ処理手段が行うデータ処理は、プリンタ言語で記述されたデータから、プリントエンジンに画像形成を行わせるための画像データへの変換であることを特徴とするデータ変換機能付加方法。
【請求項20】
請求項16乃至19のいずれか一項記載のデータ変換機能付加方法であって、
前記データ変換手段が行うデータ変換は、データの解凍、復号化、プリンタ言語変換のいずれかであることを特徴とするデータ変換機能付加方法。
【請求項21】
受信したデータの形式を変換するデータ処理装置を制御するコンピュータを、
自身の第1のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ処理を行うデータ処理手段と、
自身の前記第1のポートとは異なる第2のポートを監視して、そのポートで受信したデータに対して、そのデータの形式によらず、前記データ処理手段が取り扱うことのできる形式への特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの前記第1のポートに送信するデータ変換手段として機能させるためのプログラム。
【請求項22】
請求項21記載のプログラムであって、
前記データ変換手段が、各々自身の前記第1のポートと異なる特定のポートを監視し、そのポートで受信したデータに対してそのデータの形式によらず特定のデータ変換を行って、自身を示すアドレスの、次段の変換手段が監視するポートに送信する変換手段を複数有し、これらの各変換手段によって複数段のデータ変換処理を行うことにより、前記第2のポートで受信したデータを前記データ処理手段が取り扱うことのできる形式のデータに変換して、自身を示すアドレスの前記第1のポートに送信する手段であることを特徴とするプログラム。
【請求項23】
請求項21又は22記載のプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記データ処理装置を省エネルギモードに移行させる手段と、
前記第1のポートで何らかのデータを受信した場合に前記データ処理装置を省エネルギモードから通常動作モードに復帰させる手段として機能させるためのプログラムをさらに含むことを特徴とするプログラム。
【請求項24】
請求項21乃至23のいずれか一項記載のプログラムであって、
前記データ処理手段が行うデータ処理は、プリンタ言語で記述されたデータから、プリントエンジンに画像形成を行わせるための画像データへの変換であることを特徴とするプログラム。
【請求項25】
請求項21乃至24のいずれか一項記載のプログラムであって、
前記データ変換手段が行うデータ変換は、データの解凍、復号化、プリンタ言語変換のいずれかであることを特徴とするプログラム。
【請求項26】
請求項21乃至25のいずれか一項記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−30596(P2012−30596A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192547(P2011−192547)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【分割の表示】特願2005−324396(P2005−324396)の分割
【原出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】