データ処理装置、データ処理方法、データ処理装置用プログラム、データ処理システム、および、センサ装置
【課題】可撓性のシート体の形状変化および動きを求めることができるデータ処理装置等を提供する。
【解決手段】複数の加速度センサSが配置された可撓性のシート体(11)から、当該シート体の変位による加速度データを取得し(S2)、加速度データから角加速度を算出し、算出された角加速度から角度変位を算出し(S3)、配置された加速度センサの位置と算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、変位後の加速度センサの位置を推定する(S4)。
【解決手段】複数の加速度センサSが配置された可撓性のシート体(11)から、当該シート体の変位による加速度データを取得し(S2)、加速度データから角加速度を算出し、算出された角加速度から角度変位を算出し(S3)、配置された加速度センサの位置と算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、変位後の加速度センサの位置を推定する(S4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサからの出力データをデータ処理するデータ処理装置、データ処理方法、データ処理装置用プログラム、データ処理システム、および、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボット工学において、指先等における2次元の情報を取得するため、圧力センサ素子等が配列されたシート状のセンサが開発されている。例えば、特許文献1には、荷重が負荷されると第1電極から第2電極までの電気抵抗が変化する複数の検出エレメントを格子状に配列して、曲面形状の物体に被覆することを可能にした二次元分布荷重中心位置検出センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/069412号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の格子状にセンサ素子が配列されたシート体では、平面的な圧力分布等は容易に計測できるが、シート体が曲げられる場合や、シート体がめくられる場合等に、そのような状態をセンシングして、シート体が曲げられた形状や、シート体がどのように動いたかまでを求めることは難しかった。
【0005】
そこで、本発明は上記の問題点等に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、可撓性のシート体の形状変化および動きを求めることができるデータ処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体から、当該シート体の変位による加速度データを取得する加速度データ取得手段と、前記加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段と、前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段と、前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段と、を備える。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデータ処理装置において、前記センサ位置推定手段が、前記配置された加速度センサの位置に、前記角度変位による回転行列を適用して前記変位後の加速度センサの位置を算出することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のデータ処理装置において、前記センサ位置推定手段が、原点とした加速度センサからリンク機構のモデルでリンクした各加速度センサの各角度変位から、前記変位後の加速度センサの位置を算出することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のデータ処理装置において、前記センサ位置推定手段が、前記各加速度センサの各角度変位による回転行列の積から、前記変位後の加速度センサの位置を算出することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のデータ処理装置において、前記センサ位置推定手段が、前記加速度センサが2方向で互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のデータ処理装置において、前記センサ位置推定手段が、前記加速度センサが格子状にリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載のデータ処理装置において、推定された前記変位後の加速度センサの位置を表示するための画像生成する画像生成手段を更に備えたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に記載の発明は、データ処理装置が、データ処理をするデータ処理方法であって、複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体から、当該シート体の変位による加速度データを取得する加速度データ取得ステップと、前記加速度データから角加速度を算出する角加速度算出ステップと、前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出ステップと、前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定ステップと、を有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に記載の発明は、複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体から、当該シート体の変位による加速度データを取得する加速度データ取得手段、前記加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段、前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段、および、前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段として機能させる。
【0015】
また、請求項10に記載の発明は、複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体と、前記シート体の変位による加速度データをシート体から取得して、変位後の加速度センサの位置を推定するデータ処理装置と、を備えたデータ処理システムにおいて、前記データ処理装置が、前記取得した加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段と、前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段と、前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、請求項11に記載の発明は、可撓性のシート体と、前記シート体に複数配置された加速度センサと、前記加速度センサからの加速度データをデータ処理装置に出力する出力部と、を備え、前記データ処理装置が、前記取得した加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段と、前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段と、前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、請求項12に記載の発明は、請求項11項に記載のセンサ装置において、前記加速度センサが、前記シート体に格子状に配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体から、当該シート体の変位による加速度データを取得し、加速度データから角加速度を算出し、算出された角加速度から角度変位を算出し、配置された加速度センサの位置と算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、変位後の加速度センサの位置を推定することにより、可撓性のシート体の形状変化および動きを求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るデータ処理システムの概要構成例を示す模式図である。
【図2】図1のセンサシートの概要構成の一例を示す模式図である。
【図3】センサシートの加速度センサと座標との関係の一例を示す模式図である。
【図4】加速度センサと回転変換後の加速度センサとの関係の一例を示す模式図である。
【図5】加速度センサのリンク機構のモデルの一例を示す模式図である。
【図6】回転変換前後のリンク機構のモデルの加速度センサの関係の一例を示す模式図である。
【図7】格子状に配置された加速度センサのリンク機構のモデルの一例を示す模式図である。
【図8】図7の変位後の一例を示す模式図である。
【図9】図1のデータ処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【図10】変位後の加速度センサの位置を表示するための画像生成の一例を示す模式図である。
【図11】センサシートの利用の様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、データ処理システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0021】
[1.データ処理システムの構成および機能の概要]
(1.1 データ処理システム1の構成および機能)
【0022】
まず、本発明の一実施形態に係るデータ処理システムの構成および概要機能について、図1および図2を用いて説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係るデータ処理システム1の概要構成例を示す模式図である。図2は、センサシートの概要構成の一例を示す模式図である。
【0024】
図1に示すように、データ処理システム1は、加速度データを計測する計測モジュール10(センサ装置の一例)と、加速度データを処理するデータ処理モジュール20(データ処理装置の一例)と、を備えている。
【0025】
計測モジュール10は、加速度センサが格子状に配列されたセンサシート11(シート体の一例)と、センサシート11からの加速度データの切り替えを行うマルチプレクサ12と、センサシート11の各加速度センサの位置を特定するためのセンサアドレス発生回路13と、センサアドレス発生回路13のアドレス発生のタイミングを生成するクロック回路14と、センサシート11からの加速度データの信号をデジタル信号に変換するセンサ検出回路15と、センサ検出回路15からの出力を保持し、各加速度センサからの加速度データをデータ処理モジュール20に出力するメモリ部16(出力部の一例)と、を有する。
【0026】
センサシート11は、プラスティック等の可撓性のシート体であり、センサシート11は柔軟に変形する。センサシート11は、図2に示すように、複数の加速度センサSを有している。センサシート11で検出された信号は、マルチプレクサ12で読み取られる。
【0027】
加速度センサSは、x軸方向、y軸方向、および、z軸方向の加速度を計測する素子であり、センサシート11のシート体に、シート体全面を覆うように、格子状に配置されている。各加速度センサSは、センサシート11の変形および動きに応じて、センサシート11に配置された位置における加速度データを出力する。なお、加速度センサSは、小型の半導体式が好ましい。
【0028】
マルチプレクサ12は、クロック回路14に同期して動作し、センサアドレス発生回路13によって生成したセンサアドレス情報を元に順次走査する。
【0029】
センサ検出回路15は、A/Dコンバータを内蔵し、センサアドレス発生回路13からの加速度センサSのセンサアドレス情報と共に、センサアドレス情報に対応した加速度データをメモリ部16に出力する。
【0030】
データ処理モジュール20は、計測モジュール10のメモリ部16からの加速度データ等を受け付ける入出力部21と、センサアドレス情報に従い加速度データを記憶するデータ管理テーブル22と、データ管理テーブル22の加速度データから、センサシート11の変位後の各加速度センサSの位置を推定する演算部23と、各加速度センサSの推定位置に基づきセンサシート11の変位後のイメージを生成するグラフィックデータ生成部24と、グラフィックデータを表示するディスプレイ部25と、を有する。データ処理モジュール20は、例えば、コンピュータ等である。
【0031】
入出力部21は、演算部23へメモリ部16に記録していたデータを転送する。
【0032】
データ管理テーブル22は、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶手段である。データ管理テーブル22は、例えば、センサシート11上に格子状に配置された各加速度センサSの位置に対応したマトリックスの位置に、各加速度センサSからの加速度データを記憶する。また、データ管理テーブル22は、センサアドレス情報を元に、各加速度センサSの加速度データを再配置して管理する。
【0033】
演算部23は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM等から構成されていて、各種演算したり、演算結果を記憶したりする。
【0034】
グラフィックデータ生成部24は、CPU等により演算部23の演算結果をディスプレイ部25に3次元的に表示するためのグラフィックデータを生成する。
【0035】
ディスプレイ部25は、液晶表示素子またはEL(Electro Luminescence)素子等によって構成されていて、グラフィックデータ生成部24のグラフィックデータを表示する。
【0036】
(1.2 加速度センサのリンク機構のモデル)
次に、加速度センサのリンク機構のモデルについて図3〜図8を用い説明する。
図3は、センサシート11の加速度センサSと座標との関係の一例を示す模式図である。図4は、加速度センサSと回転変換後の加速度センサSとの関係の一例を示す模式図である。図5は、加速度センサSのリンクモデルの一例を示す模式図である。図6は、回転変換前後のリンク機構のモデルの加速度センサの関係の一例を示す模式図である。図7は、格子状に配置された加速度センサのリンク機構のモデルの一例を示す模式図である。図8は、変位後のリンク機構のモデルの一例を示す模式図である。
【0037】
(1.2.1 加速度センサの出力と角加速度との関係)
まず、加速度センサSの出力と、角加速度との関係について図3を用いて説明する。
図3は、センサシート11の加速度センサSと座標との関係の一例を示す模式図である。
【0038】
図3に示すように、加速度センサSが、x軸方向およびy軸方向に距離dの間隔で、センサシート11に配列されている。図中の原点(0,0,0)にある加速度センサSの出力が、A0x(x軸方向)、A0y(y軸方向)、および、A0z(z軸方向)である。図中の座標(d,0,0)にある加速度センサSの出力が、Axx(x軸方向)、Axy(y軸方向)、および、Axz(z軸方向)である。図中の座標(0,d,0)にある加速度センサSの出力が、Ayx(x軸方向)、Ayy(y軸方向)、および、Ayz(z軸方向)である。そして、x軸方向の角加速度、y軸方向の角加速度、および、z軸方向の角加速度は、式(1)により、隣り合った3つの加速度センの加速度データから算出される。
【0039】
【数1】
【0040】
(1.2.2 加速度センサによる回転成分の算出)
次に、算出された角加速度から、時刻tにおける角度変位dφt、dθt、および、dψtを、角加速度を二重積分した式(2)、式(3)、および、式(4)により算出することができる。
【0041】
【数2】
【数3】
【数4】
【0042】
ここで、dtは、加速度センサSのサンプリング時間を表す。ωt,xは、時刻tにおけるx軸方向の角速度を表すωt,yは、時刻tにおけるy軸方向の角速度を表す。ωt,zは、時刻tにおけるz軸方向の角速度を表す。
【0043】
(1.2.3 加速度センサの位置の推定式)
次に、加速度センサの位置の推定式について説明する。
【0044】
図2に示すように、センサシート11に原点位置の加速度センサS(S0)を設定し、運動学に基づいて構築したリンク機構のモデル(後述)が構築される。そして、式(2)〜式(4)で求めた角度変位と、1サンプリング時間の各加速度センサSの位置とから、格子状構造のリンク機構のモデルによる式(5)および式(6)に基づき、各加速度センサSの原点位置の加速度センサS(S0)からの相対位置を算出する。
【数5】
【数6】
ここで、m、nはセンサ番号(m:x方向の番号、n:y方向の番号)を表す。座標データ(xmn,t、ymn,t、zmn,t)は、各々、時刻tにおける(m番目、n番目)の加速度センサSの座標データを表す。角度φij、角度θij、および、角度ψijは、時刻tにおける(i番目、j番目)の加速度センサSの角度を表す。角度変位dφij、角度変位dθij、および、角度変位dψijは、時刻tにおける(i番目、j番目)の加速度センサSの角度変位を表す。なお、式(6)の角度φ、角度θ、および、角度ψには、各々、式(5)の角度変位dφ、角度変位dθ、および、角度変位dψが対応する。また、式(5)および式(6)の導出については後述する。
【0045】
式(2)〜(6)より、各加速度センサSの座標を推定するためには、現在の角加速度データと、1サンプリング時間前の座標データ(xij,t−1、yij,t−1、zij,t−1)、および、角速度データ(ωt−1,x、ωt−1,y、ωt−1,z)((i番目、j番目)の加速度センサSの角速度データ)を保持しておき、各加速度センサSの位置を推定する。
【0046】
(1.2.4 回転変換)
次に、式(6)について図4を用いて説明する。
図4は、加速度センサSと回転変換後の加速度センサSとの関係の一例を示す模式図である。
【0047】
図4に示すように、座標(x,y,z)が、原点(0,0,0)を中心とした回転運動(回転行列R(φ,θ,ψ))によって、座標(x’,y’,z’)に移動した場合、その変換式は式(7)によって表せる。
【数7】
このときの回転変換の行列(回転行列R(φ,θ,ψ))は、一般的に式(6)のように表さすことができる。
【0048】
(1.2.5 リンク機構のモデル)
次に、加速度センサSが互いにリンクしたリンク機構のモデルについて図5および図6を用いて説明する。
図5は、加速度センサSのリンクモデルの一例を示す模式図である。図6は、回転変換前後のリンクモデルの加速度センサの関係の一例を示す模式図である。
【0049】
図5に示すように、座標(x1,y1,z1)の加速度センサSと座標(x2,y2,z2)の加速度センサSとが、リンクLにより結合しているリンク機構を考える。
【0050】
次に、図6に示すように、座標(x1,y1,z1)の加速度センサSが、座標(x1’,y1’,z1’)に回転運動する場合、上記の式(7)を用いることによって、加速度センサSの位置を特定することができる。このとき、座標(x2’,y2’,z2’)は、原点を中心とした回転φ1,θ1,ψ1(回転行列R(φ1,θ1,ψ1))と座標(x1’,y1’,z1’)を中心とした回転φ2,θ2,ψ2(行列R(φ2,θ2,ψ2))の2つを考慮する必要があり、式(8)で求めるころができる。
【数8】
このように回転行列は、回転行列R(φ1,θ1,ψ1)と、回転行列(φ2,θ2,ψ2)の積で表せる。
【0051】
(1.2.6 格子状のリンク機構のモデル)
次に、上記リンク機構のモデルを参考に格子状の加速度センサのリンク機構のモデルについて図7および図8を用いて説明する。
図7は、格子状に配置された加速度センサSのリンク機構のモデルの一例を示す模式図である。図8は、図9の変位後の一例を示す模式図である。
【0052】
図7に示すように、初期状態(時刻t=0)として、加速度センサSが、xy平面上に、間隔dで格子状に配置されているとする。図7は、各加速度センサSがx軸、y軸の2方向で互いにリンクしたリンク機構のモデルを示している。例えば、加速度センサS11は、x軸方向では加速度センサS01と加速度センサS21とリンクしていて、y軸方向では加速度センサS10と加速度センサS12とリンクしている。
【0053】
なお、センサシート11における原点位置の加速度センサS00は、x軸方向では加速度センサS10とリンクしていて、y軸方向では加速度センサS01とリンクしている。また、センサシート11の縁に位置する加速度センサS10は、x軸方向では加速度センサS00と加速度センサS20とリンクしていて、y軸方向では加速度センサS11とリンクしている。
【0054】
次に、図8に示すように、時刻tにおける各加速度センサSの格子状構造のリンク機構のモデルによる推定位置は、式(5)、式(6)、式(9)〜式(12)のようになる。
【0055】
加速度センサS01の位置は、加速度センサS01の1サンプリング時間前の座標から、加速度センサS00を中心とした角度変位dφ01,dθ01,dψ01(回転行列R(dφ01,dθ01,dψ01))により求める。
【0056】
【数9】
【0057】
加速度センサS10の位置は、加速度センサS10の1サンプリング時間前の座標から、加速度センサS00を中心とした角度変位dφ10,dθ10,dψ10(回転行列R(dφ10,dθ10,dψ10))により求める。
【数10】
【0058】
加速度センサS11の位置は、加速度センサS11の1サンプリング時間前の座標から、加速度センサS00を中心とした加速度センサS01の角度変位dφ01,dθ01,dψ01と、加速度センサS01を中心とした加速度センサS11の角度変位dφ11,dθ11,dψ11とより求める。すなわち、加速度センサS11の位置は、回転行列R(dφ01,dθ01,dψ01)と回転行列R(dφ11,dθ11,dψ11)との積から求める。
【0059】
【数11】
【0060】
なお、加速度センサS11の位置は、加速度センサS00を中心とした加速度センサS11の角度変位と、加速度センサS10を中心とした加速度センサS11の角度変位とより求めてもよい。
【0061】
次に、加速度センサS13の位置は、加速度センサS00を中心とした加速度センサS01の角度変位と、加速度センサS01を中心とした加速度センサS02の角度変位と、加速度センサS02を中心とした加速度センサS03の角度変位と、加速度センサS03を中心とした加速度センサS13の角度変位とより求める。
【0062】
【数12】
【0063】
そして、同様にして、加速度センサSmnの位置は、式(5)のように算出することができる。ここで、i=1〜mの回転行列の積は、加速度センサSmnに至るx軸方向の加速度センサによる角度変位であり、j=1〜nの回転行列の積は、y軸方向の加速度センサによる角度変位である。
【0064】
[2.データ処理システムの動作]
次に、本発明の1実施形態に係るデータ処理システムの動作について図9を用い説明する。
図9は、データ処理モジュール20の動作例を示すフローチャートである。
【0065】
図9に示すように、データ処理モジュール20は、センサシート11の初期値を設定する(ステップS1)。具体的には、データ処理モジュール20の演算部23は、図7に示すように、センサシート11が平らな状態における各加速度センサSの座標データを設定してキャリブレーションを行う。演算部23は、図7に示すような座標の値を設定し、演算部23の記憶手段に記憶する。なお、センサシート11の初期の形状が、平らでなくてもよく、円筒形状等、各加速度センサSの初期の位置の座標データが分かればよい。
【0066】
次に、データ処理モジュール20は、センサシート11の加速度センサSから加速度データを1サンプリング時間分取得する(ステップS2)。具体的には、データ処理モジュール20の演算部23は、計測モジュール10から、各加速度センサSからの加速度データとセンサアドレス情報とを入出力部21を介して取得する。そして、演算部23は、センサアドレス情報に従い、取得した加速度データをデータ管理テーブル22に記憶する。このようにデータ処理モジュール20の演算部23は、複数の加速度センサSが配置された可撓性のシート体から、当該シート体の変位による加速度データを取得する加速度データ取得手段の一例として機能する。
【0067】
次に、データ処理モジュール20は、複数の加速度データから角度データを算出する(ステップS3)。具体的には、データ処理モジュール20の演算部23は、隣り合った3つの加速度センサSの加速度データを、データ管理テーブル22から読み出し、式(1)を用いて、角加速度を算出する。そして、データ処理モジュール20の演算部23は、式(2)〜式(4)を用いて、角度データである角度変位(dφij、dθij、dψij)を、算出した角加速度と、演算部23の記憶手段に記憶されている1サンプリング時間前の角速度データ(ωt−1,x、ωt−1,y、ωt−1,z)より算出する。なお、角速度データの初期値はステップS1で設定されていて、0とする。また、積分は、総和により近似して行う。このようにデータ処理モジュール20の演算部23は、加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段の一例として機能する。また、データ処理モジュール20の演算部23は、算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段の一例として機能する。
【0068】
次に、データ処理モジュール20は、算出した角度データと1サンプリング時間前の座標データとに格子状のリンク機構のモデルを適用して座標データを算出する(ステップS4)。具体的には、データ処理モジュール20の演算部23は、式(5)および式(6)を用いて、算出した角度変位と、1サンプリング時間前の座標データ(xij,t−1、yij,t−1、zij,t−1)とから、変位後の加速度センサの推定位置(xij,t、yij,t、zij,t)を算出する。なお、座標データの初期値は、ステップS1で設定されたセンサシート11の初期値である。
【0069】
このようにデータ処理モジュール20の演算部23は、配置された加速度センサSの位置と算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、変位後の加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段の一例として機能する。また、データ処理モジュール20の演算部23は、配置された加速度センサSの位置に、角度変位による回転行列を適用して変位後の加速度センサSの位置を算出するセンサ位置推定手段の一例として機能する。また、データ処理モジュール20の演算部23は、原点とした加速度センサからリンク機構のモデルでリンクした各加速度センサの各角度変位から、変位後の加速度センサの位置を算出するセンサ位置推定手段の一例として機能する。また、データ処理モジュール20の演算部23は、各加速度センサSの各角度変位による回転行列Rの積から、変位後の加速度センサSの位置を算出するセンサ位置推定手段の一例として機能する。また、データ処理モジュール20の演算部23は、加速度センサSが2方向で互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、変位後の加速度センサSの位置を推定するセンサ位置推定手段の一例として機能する。また、データ処理モジュール20の演算部23は、加速度センサSが格子状にリンクしたリンク機構のモデルに基づき、変位後の加速度センサSの位置を推定するセンサ位置推定手段の一例として機能する。
【0070】
次に、データ処理モジュール20は、座標データを更新する(ステップS5)。具体的には、データ処理モジュール20の演算部23は、グラフィックデータ生成部24でグラフィックデータを生成するための座標データを、算出された座標データに更新する。
【0071】
次に、データ処理モジュール20は、座標データをプロットしてテクスチャを貼り付ける(ステップS6)。具体的には、データ処理モジュール20のグラフィックデータ生成部24は、算出された各加速度センサSの座標データに基づき、3次元的に表示するためのグラフィックデータを生成する。グラフィックデータ生成部24は、算出された座標データに対して、補間処理を行い、センサシート11を模した3次元画像を生成する。データ処理モジュール20のグラフィックデータ生成部24は、推定された変位後の加速度センサの位置を表示するための画像生成する画像生成手段の一例として機能する。
【0072】
次に、データ処理モジュール20は、ディスプレイ表示を行う(ステップS7)。具体的には、データ処理モジュール20の演算部23またはグラフィックデータ生成部24は、ディスプレイ部25に、図10に示すようなセンサシート11を模したグラフィックを表示させる。
【0073】
次に、データ処理モジュール20は、計測を継続するか否かの判定をする(ステップS8)。具体的には、データ処理モジュール20の演算部23は、計測モジュール10の電源がOFFされた場合、計測を中止する。
【0074】
計測を継続する場合(ステップS8;YES)、データ処理モジュール20は、座標データを保持する(ステップS9)。具体的には、データ処理モジュール20の演算部23は、演算部23の記憶手段に記憶されている座標データ(xij,t−1、yij,t−1、zij,t−1)を、算出された座標データ(xij,t、yij,t、zij,t)に入れ替える。さらに、データ処理モジュール20の演算部23は、演算部23の記憶手段に記憶されている角速度データ(ωt−1,x、ωt−1,y、ωt−1,z)を、算出された角速度データ(ωt,x、ωt,y、ωt,z)に入れ替える。
【0075】
データ処理モジュール20の演算部23は、座標データを保持した後、ステップS2に戻り、次のサンプリングを行う。そして、ステップS2〜ステップS7が実行され、次のサンプリング時間後のセンサシート11を模したグラフィックが表示される。
【0076】
計測を継続しない場合(ステップS8;NO)、データ処理モジュール20は、計測を中止する。
【0077】
以上、本実施形態によれば、複数の加速度センサSが配置された可撓性のセンサシート11から、センサシート11の変位による加速度データを取得し、加速度データから角加速度を算出し、算出された角加速度から角度変位を算出し、配置された加速度センサSの位置と算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサSが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、変位後の加速度センサSの位置を推定することにより、センサシート11の形状変化および動きを求めることができる。
【0078】
また本実施形態によれば、センサシート11の柔軟な動きを求めることができ、薄い対象の操作感をユーザに提供できるので、デジタルコンテンツに反映するための入力デバイスとして利用することができる。例えば、図11に示すように、センサシート11をめくる動作を、データ処理モジュール20のようなコンピュータに入力できる。そのセンサシート11の各加速度センサSの出力からセンサシート11の形状変化および動きから、電子書籍の次のページを閲覧する処理を行うことができる。また、ディスプレイ部25上に表示された折り紙を、センサシート11を折り曲げる動作により、実際に折り紙を折っているかのように反映させることができる。
【0079】
また、配置された加速度センサSの位置に、角度変位による回転行列R(dφ、dθ、dψ)を適用して変位後の加速度センサSの位置を算出する場合、回転行列Rにより各加速度センサSの位置を的確に算出することができる。
【0080】
また、原点とした加速度センサS0(S00)からリンク機構のモデルでリンクした各加速度センサSの各角度変位(dφ、dθ、dψ)から、変位後の加速度センサSの位置を算出する場合、リンク機構のモデルにより、簡易的に各加速度センサSの位置を的確に算出することができる。
【0081】
また、各加速度センサSの各角度変位による回転行列Rの積から、変位後の加速度センサSの位置を算出する場合、互いにリンクした各加速度センサSの角度変位を回転行列Rの積により容易に求めることができる。
【0082】
また、加速度センサSが2方向で互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、変位後の加速度センサSの位置を推定する場合、2次元のセンサシート11のような2次元的な形状の変化を算出することができる。
【0083】
また、加速度センサSが格子状にリンクしたリンク機構のモデルに基づき、変位後の加速度センサSの位置を推定する場合、センサシート11のようなシート状の形状の柔軟な動きを簡易的に推定できる。
【0084】
また、推定された変位後の加速度センサの位置を表示するための画像生成する場合、センサシート11の形状をディスプレイ部25上の再現でき、ユーザに視覚的に示すことができる。
【0085】
なお、センサシート11に対する加速度センサSの配置は、直角の格子状に限らず、斜めに交差する格子状でもよい。
【0086】
また、加速度センサS間の間隔は、等間隔dに限らず、センサシート11の中心部を加速度センサSの密度を高くするなど、不均一でもよい。また、加速度センサS間の間隔や加速度センサSの数は、センサシート11の形状変化を把握できる程度でよい。
【0087】
さらに、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0088】
1:データ処理システム
10:計測モジュール(センサ装置)
11:センサシート(シート体)
20:データ処理モジュール(データ処理装置)
23:演算部
24:グラフィックデータ生成部
S:加速度センサ
L:リンク
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサからの出力データをデータ処理するデータ処理装置、データ処理方法、データ処理装置用プログラム、データ処理システム、および、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボット工学において、指先等における2次元の情報を取得するため、圧力センサ素子等が配列されたシート状のセンサが開発されている。例えば、特許文献1には、荷重が負荷されると第1電極から第2電極までの電気抵抗が変化する複数の検出エレメントを格子状に配列して、曲面形状の物体に被覆することを可能にした二次元分布荷重中心位置検出センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/069412号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の格子状にセンサ素子が配列されたシート体では、平面的な圧力分布等は容易に計測できるが、シート体が曲げられる場合や、シート体がめくられる場合等に、そのような状態をセンシングして、シート体が曲げられた形状や、シート体がどのように動いたかまでを求めることは難しかった。
【0005】
そこで、本発明は上記の問題点等に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、可撓性のシート体の形状変化および動きを求めることができるデータ処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体から、当該シート体の変位による加速度データを取得する加速度データ取得手段と、前記加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段と、前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段と、前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段と、を備える。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデータ処理装置において、前記センサ位置推定手段が、前記配置された加速度センサの位置に、前記角度変位による回転行列を適用して前記変位後の加速度センサの位置を算出することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のデータ処理装置において、前記センサ位置推定手段が、原点とした加速度センサからリンク機構のモデルでリンクした各加速度センサの各角度変位から、前記変位後の加速度センサの位置を算出することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のデータ処理装置において、前記センサ位置推定手段が、前記各加速度センサの各角度変位による回転行列の積から、前記変位後の加速度センサの位置を算出することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のデータ処理装置において、前記センサ位置推定手段が、前記加速度センサが2方向で互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のデータ処理装置において、前記センサ位置推定手段が、前記加速度センサが格子状にリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載のデータ処理装置において、推定された前記変位後の加速度センサの位置を表示するための画像生成する画像生成手段を更に備えたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に記載の発明は、データ処理装置が、データ処理をするデータ処理方法であって、複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体から、当該シート体の変位による加速度データを取得する加速度データ取得ステップと、前記加速度データから角加速度を算出する角加速度算出ステップと、前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出ステップと、前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定ステップと、を有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に記載の発明は、複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体から、当該シート体の変位による加速度データを取得する加速度データ取得手段、前記加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段、前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段、および、前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段として機能させる。
【0015】
また、請求項10に記載の発明は、複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体と、前記シート体の変位による加速度データをシート体から取得して、変位後の加速度センサの位置を推定するデータ処理装置と、を備えたデータ処理システムにおいて、前記データ処理装置が、前記取得した加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段と、前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段と、前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、請求項11に記載の発明は、可撓性のシート体と、前記シート体に複数配置された加速度センサと、前記加速度センサからの加速度データをデータ処理装置に出力する出力部と、を備え、前記データ処理装置が、前記取得した加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段と、前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段と、前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、請求項12に記載の発明は、請求項11項に記載のセンサ装置において、前記加速度センサが、前記シート体に格子状に配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体から、当該シート体の変位による加速度データを取得し、加速度データから角加速度を算出し、算出された角加速度から角度変位を算出し、配置された加速度センサの位置と算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、変位後の加速度センサの位置を推定することにより、可撓性のシート体の形状変化および動きを求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るデータ処理システムの概要構成例を示す模式図である。
【図2】図1のセンサシートの概要構成の一例を示す模式図である。
【図3】センサシートの加速度センサと座標との関係の一例を示す模式図である。
【図4】加速度センサと回転変換後の加速度センサとの関係の一例を示す模式図である。
【図5】加速度センサのリンク機構のモデルの一例を示す模式図である。
【図6】回転変換前後のリンク機構のモデルの加速度センサの関係の一例を示す模式図である。
【図7】格子状に配置された加速度センサのリンク機構のモデルの一例を示す模式図である。
【図8】図7の変位後の一例を示す模式図である。
【図9】図1のデータ処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【図10】変位後の加速度センサの位置を表示するための画像生成の一例を示す模式図である。
【図11】センサシートの利用の様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、データ処理システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0021】
[1.データ処理システムの構成および機能の概要]
(1.1 データ処理システム1の構成および機能)
【0022】
まず、本発明の一実施形態に係るデータ処理システムの構成および概要機能について、図1および図2を用いて説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係るデータ処理システム1の概要構成例を示す模式図である。図2は、センサシートの概要構成の一例を示す模式図である。
【0024】
図1に示すように、データ処理システム1は、加速度データを計測する計測モジュール10(センサ装置の一例)と、加速度データを処理するデータ処理モジュール20(データ処理装置の一例)と、を備えている。
【0025】
計測モジュール10は、加速度センサが格子状に配列されたセンサシート11(シート体の一例)と、センサシート11からの加速度データの切り替えを行うマルチプレクサ12と、センサシート11の各加速度センサの位置を特定するためのセンサアドレス発生回路13と、センサアドレス発生回路13のアドレス発生のタイミングを生成するクロック回路14と、センサシート11からの加速度データの信号をデジタル信号に変換するセンサ検出回路15と、センサ検出回路15からの出力を保持し、各加速度センサからの加速度データをデータ処理モジュール20に出力するメモリ部16(出力部の一例)と、を有する。
【0026】
センサシート11は、プラスティック等の可撓性のシート体であり、センサシート11は柔軟に変形する。センサシート11は、図2に示すように、複数の加速度センサSを有している。センサシート11で検出された信号は、マルチプレクサ12で読み取られる。
【0027】
加速度センサSは、x軸方向、y軸方向、および、z軸方向の加速度を計測する素子であり、センサシート11のシート体に、シート体全面を覆うように、格子状に配置されている。各加速度センサSは、センサシート11の変形および動きに応じて、センサシート11に配置された位置における加速度データを出力する。なお、加速度センサSは、小型の半導体式が好ましい。
【0028】
マルチプレクサ12は、クロック回路14に同期して動作し、センサアドレス発生回路13によって生成したセンサアドレス情報を元に順次走査する。
【0029】
センサ検出回路15は、A/Dコンバータを内蔵し、センサアドレス発生回路13からの加速度センサSのセンサアドレス情報と共に、センサアドレス情報に対応した加速度データをメモリ部16に出力する。
【0030】
データ処理モジュール20は、計測モジュール10のメモリ部16からの加速度データ等を受け付ける入出力部21と、センサアドレス情報に従い加速度データを記憶するデータ管理テーブル22と、データ管理テーブル22の加速度データから、センサシート11の変位後の各加速度センサSの位置を推定する演算部23と、各加速度センサSの推定位置に基づきセンサシート11の変位後のイメージを生成するグラフィックデータ生成部24と、グラフィックデータを表示するディスプレイ部25と、を有する。データ処理モジュール20は、例えば、コンピュータ等である。
【0031】
入出力部21は、演算部23へメモリ部16に記録していたデータを転送する。
【0032】
データ管理テーブル22は、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶手段である。データ管理テーブル22は、例えば、センサシート11上に格子状に配置された各加速度センサSの位置に対応したマトリックスの位置に、各加速度センサSからの加速度データを記憶する。また、データ管理テーブル22は、センサアドレス情報を元に、各加速度センサSの加速度データを再配置して管理する。
【0033】
演算部23は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM等から構成されていて、各種演算したり、演算結果を記憶したりする。
【0034】
グラフィックデータ生成部24は、CPU等により演算部23の演算結果をディスプレイ部25に3次元的に表示するためのグラフィックデータを生成する。
【0035】
ディスプレイ部25は、液晶表示素子またはEL(Electro Luminescence)素子等によって構成されていて、グラフィックデータ生成部24のグラフィックデータを表示する。
【0036】
(1.2 加速度センサのリンク機構のモデル)
次に、加速度センサのリンク機構のモデルについて図3〜図8を用い説明する。
図3は、センサシート11の加速度センサSと座標との関係の一例を示す模式図である。図4は、加速度センサSと回転変換後の加速度センサSとの関係の一例を示す模式図である。図5は、加速度センサSのリンクモデルの一例を示す模式図である。図6は、回転変換前後のリンク機構のモデルの加速度センサの関係の一例を示す模式図である。図7は、格子状に配置された加速度センサのリンク機構のモデルの一例を示す模式図である。図8は、変位後のリンク機構のモデルの一例を示す模式図である。
【0037】
(1.2.1 加速度センサの出力と角加速度との関係)
まず、加速度センサSの出力と、角加速度との関係について図3を用いて説明する。
図3は、センサシート11の加速度センサSと座標との関係の一例を示す模式図である。
【0038】
図3に示すように、加速度センサSが、x軸方向およびy軸方向に距離dの間隔で、センサシート11に配列されている。図中の原点(0,0,0)にある加速度センサSの出力が、A0x(x軸方向)、A0y(y軸方向)、および、A0z(z軸方向)である。図中の座標(d,0,0)にある加速度センサSの出力が、Axx(x軸方向)、Axy(y軸方向)、および、Axz(z軸方向)である。図中の座標(0,d,0)にある加速度センサSの出力が、Ayx(x軸方向)、Ayy(y軸方向)、および、Ayz(z軸方向)である。そして、x軸方向の角加速度、y軸方向の角加速度、および、z軸方向の角加速度は、式(1)により、隣り合った3つの加速度センの加速度データから算出される。
【0039】
【数1】
【0040】
(1.2.2 加速度センサによる回転成分の算出)
次に、算出された角加速度から、時刻tにおける角度変位dφt、dθt、および、dψtを、角加速度を二重積分した式(2)、式(3)、および、式(4)により算出することができる。
【0041】
【数2】
【数3】
【数4】
【0042】
ここで、dtは、加速度センサSのサンプリング時間を表す。ωt,xは、時刻tにおけるx軸方向の角速度を表すωt,yは、時刻tにおけるy軸方向の角速度を表す。ωt,zは、時刻tにおけるz軸方向の角速度を表す。
【0043】
(1.2.3 加速度センサの位置の推定式)
次に、加速度センサの位置の推定式について説明する。
【0044】
図2に示すように、センサシート11に原点位置の加速度センサS(S0)を設定し、運動学に基づいて構築したリンク機構のモデル(後述)が構築される。そして、式(2)〜式(4)で求めた角度変位と、1サンプリング時間の各加速度センサSの位置とから、格子状構造のリンク機構のモデルによる式(5)および式(6)に基づき、各加速度センサSの原点位置の加速度センサS(S0)からの相対位置を算出する。
【数5】
【数6】
ここで、m、nはセンサ番号(m:x方向の番号、n:y方向の番号)を表す。座標データ(xmn,t、ymn,t、zmn,t)は、各々、時刻tにおける(m番目、n番目)の加速度センサSの座標データを表す。角度φij、角度θij、および、角度ψijは、時刻tにおける(i番目、j番目)の加速度センサSの角度を表す。角度変位dφij、角度変位dθij、および、角度変位dψijは、時刻tにおける(i番目、j番目)の加速度センサSの角度変位を表す。なお、式(6)の角度φ、角度θ、および、角度ψには、各々、式(5)の角度変位dφ、角度変位dθ、および、角度変位dψが対応する。また、式(5)および式(6)の導出については後述する。
【0045】
式(2)〜(6)より、各加速度センサSの座標を推定するためには、現在の角加速度データと、1サンプリング時間前の座標データ(xij,t−1、yij,t−1、zij,t−1)、および、角速度データ(ωt−1,x、ωt−1,y、ωt−1,z)((i番目、j番目)の加速度センサSの角速度データ)を保持しておき、各加速度センサSの位置を推定する。
【0046】
(1.2.4 回転変換)
次に、式(6)について図4を用いて説明する。
図4は、加速度センサSと回転変換後の加速度センサSとの関係の一例を示す模式図である。
【0047】
図4に示すように、座標(x,y,z)が、原点(0,0,0)を中心とした回転運動(回転行列R(φ,θ,ψ))によって、座標(x’,y’,z’)に移動した場合、その変換式は式(7)によって表せる。
【数7】
このときの回転変換の行列(回転行列R(φ,θ,ψ))は、一般的に式(6)のように表さすことができる。
【0048】
(1.2.5 リンク機構のモデル)
次に、加速度センサSが互いにリンクしたリンク機構のモデルについて図5および図6を用いて説明する。
図5は、加速度センサSのリンクモデルの一例を示す模式図である。図6は、回転変換前後のリンクモデルの加速度センサの関係の一例を示す模式図である。
【0049】
図5に示すように、座標(x1,y1,z1)の加速度センサSと座標(x2,y2,z2)の加速度センサSとが、リンクLにより結合しているリンク機構を考える。
【0050】
次に、図6に示すように、座標(x1,y1,z1)の加速度センサSが、座標(x1’,y1’,z1’)に回転運動する場合、上記の式(7)を用いることによって、加速度センサSの位置を特定することができる。このとき、座標(x2’,y2’,z2’)は、原点を中心とした回転φ1,θ1,ψ1(回転行列R(φ1,θ1,ψ1))と座標(x1’,y1’,z1’)を中心とした回転φ2,θ2,ψ2(行列R(φ2,θ2,ψ2))の2つを考慮する必要があり、式(8)で求めるころができる。
【数8】
このように回転行列は、回転行列R(φ1,θ1,ψ1)と、回転行列(φ2,θ2,ψ2)の積で表せる。
【0051】
(1.2.6 格子状のリンク機構のモデル)
次に、上記リンク機構のモデルを参考に格子状の加速度センサのリンク機構のモデルについて図7および図8を用いて説明する。
図7は、格子状に配置された加速度センサSのリンク機構のモデルの一例を示す模式図である。図8は、図9の変位後の一例を示す模式図である。
【0052】
図7に示すように、初期状態(時刻t=0)として、加速度センサSが、xy平面上に、間隔dで格子状に配置されているとする。図7は、各加速度センサSがx軸、y軸の2方向で互いにリンクしたリンク機構のモデルを示している。例えば、加速度センサS11は、x軸方向では加速度センサS01と加速度センサS21とリンクしていて、y軸方向では加速度センサS10と加速度センサS12とリンクしている。
【0053】
なお、センサシート11における原点位置の加速度センサS00は、x軸方向では加速度センサS10とリンクしていて、y軸方向では加速度センサS01とリンクしている。また、センサシート11の縁に位置する加速度センサS10は、x軸方向では加速度センサS00と加速度センサS20とリンクしていて、y軸方向では加速度センサS11とリンクしている。
【0054】
次に、図8に示すように、時刻tにおける各加速度センサSの格子状構造のリンク機構のモデルによる推定位置は、式(5)、式(6)、式(9)〜式(12)のようになる。
【0055】
加速度センサS01の位置は、加速度センサS01の1サンプリング時間前の座標から、加速度センサS00を中心とした角度変位dφ01,dθ01,dψ01(回転行列R(dφ01,dθ01,dψ01))により求める。
【0056】
【数9】
【0057】
加速度センサS10の位置は、加速度センサS10の1サンプリング時間前の座標から、加速度センサS00を中心とした角度変位dφ10,dθ10,dψ10(回転行列R(dφ10,dθ10,dψ10))により求める。
【数10】
【0058】
加速度センサS11の位置は、加速度センサS11の1サンプリング時間前の座標から、加速度センサS00を中心とした加速度センサS01の角度変位dφ01,dθ01,dψ01と、加速度センサS01を中心とした加速度センサS11の角度変位dφ11,dθ11,dψ11とより求める。すなわち、加速度センサS11の位置は、回転行列R(dφ01,dθ01,dψ01)と回転行列R(dφ11,dθ11,dψ11)との積から求める。
【0059】
【数11】
【0060】
なお、加速度センサS11の位置は、加速度センサS00を中心とした加速度センサS11の角度変位と、加速度センサS10を中心とした加速度センサS11の角度変位とより求めてもよい。
【0061】
次に、加速度センサS13の位置は、加速度センサS00を中心とした加速度センサS01の角度変位と、加速度センサS01を中心とした加速度センサS02の角度変位と、加速度センサS02を中心とした加速度センサS03の角度変位と、加速度センサS03を中心とした加速度センサS13の角度変位とより求める。
【0062】
【数12】
【0063】
そして、同様にして、加速度センサSmnの位置は、式(5)のように算出することができる。ここで、i=1〜mの回転行列の積は、加速度センサSmnに至るx軸方向の加速度センサによる角度変位であり、j=1〜nの回転行列の積は、y軸方向の加速度センサによる角度変位である。
【0064】
[2.データ処理システムの動作]
次に、本発明の1実施形態に係るデータ処理システムの動作について図9を用い説明する。
図9は、データ処理モジュール20の動作例を示すフローチャートである。
【0065】
図9に示すように、データ処理モジュール20は、センサシート11の初期値を設定する(ステップS1)。具体的には、データ処理モジュール20の演算部23は、図7に示すように、センサシート11が平らな状態における各加速度センサSの座標データを設定してキャリブレーションを行う。演算部23は、図7に示すような座標の値を設定し、演算部23の記憶手段に記憶する。なお、センサシート11の初期の形状が、平らでなくてもよく、円筒形状等、各加速度センサSの初期の位置の座標データが分かればよい。
【0066】
次に、データ処理モジュール20は、センサシート11の加速度センサSから加速度データを1サンプリング時間分取得する(ステップS2)。具体的には、データ処理モジュール20の演算部23は、計測モジュール10から、各加速度センサSからの加速度データとセンサアドレス情報とを入出力部21を介して取得する。そして、演算部23は、センサアドレス情報に従い、取得した加速度データをデータ管理テーブル22に記憶する。このようにデータ処理モジュール20の演算部23は、複数の加速度センサSが配置された可撓性のシート体から、当該シート体の変位による加速度データを取得する加速度データ取得手段の一例として機能する。
【0067】
次に、データ処理モジュール20は、複数の加速度データから角度データを算出する(ステップS3)。具体的には、データ処理モジュール20の演算部23は、隣り合った3つの加速度センサSの加速度データを、データ管理テーブル22から読み出し、式(1)を用いて、角加速度を算出する。そして、データ処理モジュール20の演算部23は、式(2)〜式(4)を用いて、角度データである角度変位(dφij、dθij、dψij)を、算出した角加速度と、演算部23の記憶手段に記憶されている1サンプリング時間前の角速度データ(ωt−1,x、ωt−1,y、ωt−1,z)より算出する。なお、角速度データの初期値はステップS1で設定されていて、0とする。また、積分は、総和により近似して行う。このようにデータ処理モジュール20の演算部23は、加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段の一例として機能する。また、データ処理モジュール20の演算部23は、算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段の一例として機能する。
【0068】
次に、データ処理モジュール20は、算出した角度データと1サンプリング時間前の座標データとに格子状のリンク機構のモデルを適用して座標データを算出する(ステップS4)。具体的には、データ処理モジュール20の演算部23は、式(5)および式(6)を用いて、算出した角度変位と、1サンプリング時間前の座標データ(xij,t−1、yij,t−1、zij,t−1)とから、変位後の加速度センサの推定位置(xij,t、yij,t、zij,t)を算出する。なお、座標データの初期値は、ステップS1で設定されたセンサシート11の初期値である。
【0069】
このようにデータ処理モジュール20の演算部23は、配置された加速度センサSの位置と算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、変位後の加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段の一例として機能する。また、データ処理モジュール20の演算部23は、配置された加速度センサSの位置に、角度変位による回転行列を適用して変位後の加速度センサSの位置を算出するセンサ位置推定手段の一例として機能する。また、データ処理モジュール20の演算部23は、原点とした加速度センサからリンク機構のモデルでリンクした各加速度センサの各角度変位から、変位後の加速度センサの位置を算出するセンサ位置推定手段の一例として機能する。また、データ処理モジュール20の演算部23は、各加速度センサSの各角度変位による回転行列Rの積から、変位後の加速度センサSの位置を算出するセンサ位置推定手段の一例として機能する。また、データ処理モジュール20の演算部23は、加速度センサSが2方向で互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、変位後の加速度センサSの位置を推定するセンサ位置推定手段の一例として機能する。また、データ処理モジュール20の演算部23は、加速度センサSが格子状にリンクしたリンク機構のモデルに基づき、変位後の加速度センサSの位置を推定するセンサ位置推定手段の一例として機能する。
【0070】
次に、データ処理モジュール20は、座標データを更新する(ステップS5)。具体的には、データ処理モジュール20の演算部23は、グラフィックデータ生成部24でグラフィックデータを生成するための座標データを、算出された座標データに更新する。
【0071】
次に、データ処理モジュール20は、座標データをプロットしてテクスチャを貼り付ける(ステップS6)。具体的には、データ処理モジュール20のグラフィックデータ生成部24は、算出された各加速度センサSの座標データに基づき、3次元的に表示するためのグラフィックデータを生成する。グラフィックデータ生成部24は、算出された座標データに対して、補間処理を行い、センサシート11を模した3次元画像を生成する。データ処理モジュール20のグラフィックデータ生成部24は、推定された変位後の加速度センサの位置を表示するための画像生成する画像生成手段の一例として機能する。
【0072】
次に、データ処理モジュール20は、ディスプレイ表示を行う(ステップS7)。具体的には、データ処理モジュール20の演算部23またはグラフィックデータ生成部24は、ディスプレイ部25に、図10に示すようなセンサシート11を模したグラフィックを表示させる。
【0073】
次に、データ処理モジュール20は、計測を継続するか否かの判定をする(ステップS8)。具体的には、データ処理モジュール20の演算部23は、計測モジュール10の電源がOFFされた場合、計測を中止する。
【0074】
計測を継続する場合(ステップS8;YES)、データ処理モジュール20は、座標データを保持する(ステップS9)。具体的には、データ処理モジュール20の演算部23は、演算部23の記憶手段に記憶されている座標データ(xij,t−1、yij,t−1、zij,t−1)を、算出された座標データ(xij,t、yij,t、zij,t)に入れ替える。さらに、データ処理モジュール20の演算部23は、演算部23の記憶手段に記憶されている角速度データ(ωt−1,x、ωt−1,y、ωt−1,z)を、算出された角速度データ(ωt,x、ωt,y、ωt,z)に入れ替える。
【0075】
データ処理モジュール20の演算部23は、座標データを保持した後、ステップS2に戻り、次のサンプリングを行う。そして、ステップS2〜ステップS7が実行され、次のサンプリング時間後のセンサシート11を模したグラフィックが表示される。
【0076】
計測を継続しない場合(ステップS8;NO)、データ処理モジュール20は、計測を中止する。
【0077】
以上、本実施形態によれば、複数の加速度センサSが配置された可撓性のセンサシート11から、センサシート11の変位による加速度データを取得し、加速度データから角加速度を算出し、算出された角加速度から角度変位を算出し、配置された加速度センサSの位置と算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサSが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、変位後の加速度センサSの位置を推定することにより、センサシート11の形状変化および動きを求めることができる。
【0078】
また本実施形態によれば、センサシート11の柔軟な動きを求めることができ、薄い対象の操作感をユーザに提供できるので、デジタルコンテンツに反映するための入力デバイスとして利用することができる。例えば、図11に示すように、センサシート11をめくる動作を、データ処理モジュール20のようなコンピュータに入力できる。そのセンサシート11の各加速度センサSの出力からセンサシート11の形状変化および動きから、電子書籍の次のページを閲覧する処理を行うことができる。また、ディスプレイ部25上に表示された折り紙を、センサシート11を折り曲げる動作により、実際に折り紙を折っているかのように反映させることができる。
【0079】
また、配置された加速度センサSの位置に、角度変位による回転行列R(dφ、dθ、dψ)を適用して変位後の加速度センサSの位置を算出する場合、回転行列Rにより各加速度センサSの位置を的確に算出することができる。
【0080】
また、原点とした加速度センサS0(S00)からリンク機構のモデルでリンクした各加速度センサSの各角度変位(dφ、dθ、dψ)から、変位後の加速度センサSの位置を算出する場合、リンク機構のモデルにより、簡易的に各加速度センサSの位置を的確に算出することができる。
【0081】
また、各加速度センサSの各角度変位による回転行列Rの積から、変位後の加速度センサSの位置を算出する場合、互いにリンクした各加速度センサSの角度変位を回転行列Rの積により容易に求めることができる。
【0082】
また、加速度センサSが2方向で互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、変位後の加速度センサSの位置を推定する場合、2次元のセンサシート11のような2次元的な形状の変化を算出することができる。
【0083】
また、加速度センサSが格子状にリンクしたリンク機構のモデルに基づき、変位後の加速度センサSの位置を推定する場合、センサシート11のようなシート状の形状の柔軟な動きを簡易的に推定できる。
【0084】
また、推定された変位後の加速度センサの位置を表示するための画像生成する場合、センサシート11の形状をディスプレイ部25上の再現でき、ユーザに視覚的に示すことができる。
【0085】
なお、センサシート11に対する加速度センサSの配置は、直角の格子状に限らず、斜めに交差する格子状でもよい。
【0086】
また、加速度センサS間の間隔は、等間隔dに限らず、センサシート11の中心部を加速度センサSの密度を高くするなど、不均一でもよい。また、加速度センサS間の間隔や加速度センサSの数は、センサシート11の形状変化を把握できる程度でよい。
【0087】
さらに、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0088】
1:データ処理システム
10:計測モジュール(センサ装置)
11:センサシート(シート体)
20:データ処理モジュール(データ処理装置)
23:演算部
24:グラフィックデータ生成部
S:加速度センサ
L:リンク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体から、当該シート体の変位による加速度データを取得する加速度データ取得手段と、
前記加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段と、
前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段と、
前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段と、
を備えることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ処理装置において、
前記センサ位置推定手段が、前記配置された加速度センサの位置に、前記角度変位による回転行列を適用して前記変位後の加速度センサの位置を算出することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ処理装置において、
前記センサ位置推定手段が、原点とした加速度センサからリンク機構のモデルでリンクした各加速度センサの各角度変位から、前記変位後の加速度センサの位置を算出することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載のデータ処理装置において、
前記センサ位置推定手段が、前記各加速度センサの各角度変位による回転行列の積から、前記変位後の加速度センサの位置を算出することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のデータ処理装置において、
前記センサ位置推定手段が、前記加速度センサが2方向で互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載のデータ処理装置において、
前記センサ位置推定手段が、前記加速度センサが格子状にリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のデータ処理装置において、
推定された前記変位後の加速度センサの位置を表示するための画像生成する画像生成手段を更に備えたことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項8】
データ処理装置が、データ処理をするデータ処理方法であって、
複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体から、当該シート体の変位による加速度データを取得する加速度データ取得ステップと、
前記加速度データから角加速度を算出する角加速度算出ステップと、
前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出ステップと、
前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定ステップと、
を有することを特徴とするデータ処理方法。
【請求項9】
複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体から、当該シート体の変位による加速度データを取得する加速度データ取得手段、
前記加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段、
前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段、および、
前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段として機能させるデータ処理装置用プログラム。
【請求項10】
複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体と、
前記シート体の変位による加速度データをシート体から取得して、変位後の加速度センサの位置を推定するデータ処理装置と、を備えたデータ処理システムにおいて、
前記データ処理装置が、
前記取得した加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段と、
前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段と、
前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段と、を有することを特徴とするデータ処理システム。
【請求項11】
可撓性のシート体と、
前記シート体に複数配置された加速度センサと、
前記加速度センサからの加速度データをデータ処理装置に出力する出力部と、
を備え、
前記データ処理装置が、
前記取得した加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段と、
前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段と、
前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段と、を有することを特徴とするセンサ装置。
【請求項12】
請求項11項に記載のセンサ装置において、
前記加速度センサが、前記シート体に格子状に配置されたことを特徴とするセンサ装置。
【請求項1】
複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体から、当該シート体の変位による加速度データを取得する加速度データ取得手段と、
前記加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段と、
前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段と、
前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段と、
を備えることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ処理装置において、
前記センサ位置推定手段が、前記配置された加速度センサの位置に、前記角度変位による回転行列を適用して前記変位後の加速度センサの位置を算出することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ処理装置において、
前記センサ位置推定手段が、原点とした加速度センサからリンク機構のモデルでリンクした各加速度センサの各角度変位から、前記変位後の加速度センサの位置を算出することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載のデータ処理装置において、
前記センサ位置推定手段が、前記各加速度センサの各角度変位による回転行列の積から、前記変位後の加速度センサの位置を算出することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のデータ処理装置において、
前記センサ位置推定手段が、前記加速度センサが2方向で互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載のデータ処理装置において、
前記センサ位置推定手段が、前記加速度センサが格子状にリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のデータ処理装置において、
推定された前記変位後の加速度センサの位置を表示するための画像生成する画像生成手段を更に備えたことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項8】
データ処理装置が、データ処理をするデータ処理方法であって、
複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体から、当該シート体の変位による加速度データを取得する加速度データ取得ステップと、
前記加速度データから角加速度を算出する角加速度算出ステップと、
前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出ステップと、
前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定ステップと、
を有することを特徴とするデータ処理方法。
【請求項9】
複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体から、当該シート体の変位による加速度データを取得する加速度データ取得手段、
前記加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段、
前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段、および、
前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段として機能させるデータ処理装置用プログラム。
【請求項10】
複数の加速度センサが配置された可撓性のシート体と、
前記シート体の変位による加速度データをシート体から取得して、変位後の加速度センサの位置を推定するデータ処理装置と、を備えたデータ処理システムにおいて、
前記データ処理装置が、
前記取得した加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段と、
前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段と、
前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段と、を有することを特徴とするデータ処理システム。
【請求項11】
可撓性のシート体と、
前記シート体に複数配置された加速度センサと、
前記加速度センサからの加速度データをデータ処理装置に出力する出力部と、
を備え、
前記データ処理装置が、
前記取得した加速度データから角加速度を算出する角加速度算出手段と、
前記算出された角加速度から角度変位を算出する角度変位算出手段と、
前記配置された加速度センサの位置と前記算出された角度変位とから、少なくとも2つの加速度センサが互いにリンクしたリンク機構のモデルに基づき、前記変位後の前記加速度センサの位置を推定するセンサ位置推定手段と、を有することを特徴とするセンサ装置。
【請求項12】
請求項11項に記載のセンサ装置において、
前記加速度センサが、前記シート体に格子状に配置されたことを特徴とするセンサ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−208014(P2012−208014A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73899(P2011−73899)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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