説明

データ処理装置、情報表示装置及びデータベース作成方法

【課題】道路交通量調査データに基づいて演算した交通情報の推定値を使用することによって、より適切な経路案内を行うことができるようにする。
【解決手段】交通量及び混雑度を含む所定の道路区間に関する道路交通量調査データを取得するデータ取得手段と、取得された道路交通量調査データに基づき、交通量と速度との相関に従って、前記道路区間に関する交通情報の推定値を演算するデータ処理手段と、演算された交通情報の推定値を含むデータベースを作成するデータベース作成手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、情報表示装置及びデータベース作成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載されたナビゲーション装置においては、道路地図データに基づいて、設定された出発地から目的地までの最適な経路を探索して、表示手段に表示するようになっている。この場合、前記出発地から目的地までの距離が最短となるように経路を探索したり、所要時間が最短となるように経路を探索するようになっている。
【0003】
また、実際の交通量や渋滞情報を考慮して適切な経路を探索することができるように、VICS(R)(道路交通情報通信システム:Vehicle Information & Communication System)によって提供される交通情報であるVICS(R)情報を記憶手段に蓄積し、過去のVICS(R)情報に基づいて所要時間を補正し、目的地までの所要時間が最短となる経路を探索する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−19593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置においては、VICS(R)情報の提供される道路の数が少ないために、すなわち、VICS(R)情報のカバー範囲が十分に広くないために、交通情報を考慮した適切な経路を探索したり、適切な経路案内を行ったりすることが困難であった。そこで、カバー範囲がVICS(R)情報よりも広い道路交通量調査、例えば、道路交通センサスのデータを利用することも考えられる。しかし、該道路交通センサスのデータは、一義的には道路の新設、延長、拡張等を検討するためのものであるので、交通量に関係するデータを主とするものであって、時間的な観念に乏しく、そのままでは適切な経路案内を行ったりするために使用することができなかった。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解決して、道路交通量調査データに基づいて演算した交通情報の推定値を使用することによって、より適切な経路案内を行うことができるデータ処理装置、情報表示装置及びデータベース作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明のデータ処理装置においては、交通量及び混雑度を含む所定の道路区間に関する道路交通量調査データを取得するデータ取得手段と、取得された道路交通量調査データに基づき、交通量と速度との相関に従って、前記道路区間に関する交通情報の推定値を演算するデータ処理手段と、演算された交通情報の推定値を含むデータベースを作成するデータベース作成手段とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、道路交通量調査データに基づいて演算した交通情報の推定値を使用する。これにより、より適切な経路を探索したり、適切な経路案内を行ったりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるデータ処理装置の処理する道路交通センサスのデータの内容を示す図である。
【0010】
本実施の形態におけるデータ処理装置は、図に示されるような道路交通量調査データを処理し、情報表示装置において使用されるデータを格納したデータベースを作成するようになっている。なお、前記道路交通量調査データは、特定の調査機関が道路における交通量の調査を行った結果を収集したデータである。そして、道路における交通量の調査はいかなる種類のものであってもよいが、本実施の形態においては、説明の都合上、道路交通センサスであるものとして説明する。ここで、道路交通センサスとは国土交通省が実施する全国道路・街路交通情勢調査のことであり、その結果を示すデータとしての道路交通センサスのデータは、公表されている。道路交通センサスは、全国各地における道路や街路について網羅的に実施されるものであるので、道路交通センサスのデータのカバー範囲は、VICS(R)情報のカバー範囲よりも広くなっている。そのため、VICS(R)情報が提供されていなくても、道路交通センサスのデータが提供されている道路区間は、多数存在する。また、前記道路交通センサスのデータには、例えば、歩行者の交通量、バス停留所施設の設置数、交通事故件数等のように多数のデータが含まれている。本実施の形態においては、各道路区間について提供されている道路交通センサスのデータの中の、図に示される(a)〜(h)のデータを処理する場合について説明する。
【0011】
図において、(a)は平日の12時間における自動車類の交通量を台数で示すデータであり、12時間交通量としての平日自動車類12時間交通量である。ここで、12時間とは、7時〜19時までの12時間であり、自動車類とは、乗用車、バス、小型貨物車及び大型貨物車であり、歩行者、自転車及び動力付き二輪車は含まないものである。なお、(a)は上り方向車線と下り方向車線についての区別がないデータである。さらに、大型車、例えば、バス、大型貨物車の台数のデータが存在すれば、大型車については乗用車2台分として台数をカウントする。
【0012】
そして、(b)は平日のピーク時における自動車類の交通量を1時間毎の台数で示すデータであり、ピーク時間交通量としての平日ピーク時間交通量である。ここで、ピーク時とは交通量の最も多い時であり、本実施の形態においては、混雑時とも、また、ラッシュ時とも称される。なお、(b−1)は該当する道路区間における上り方向車線に関する(b)のデータである上りピーク時間交通量、(b−2)は該当する道路区間における下り方向車線に関する(b)のデータである下りピーク時間交通量、(b−3)は該当する道路区間における上下両方向の車線に関する(b)のデータ、すなわち、ピーク時間交通量である。
【0013】
また、(c)は混雑の程度を数値で示すデータとしての混雑度であり、平日と休日の区別がなく、かつ、上り方向車線と下り方向車線についての区別もないデータである。ここで、混雑度とは該当する道路区間、すなわち、調査単位区間の交通容量に対する実際の交通量の比であり、次の式(1)で定義される。
混雑度=交通量〔台/12h又は24h〕/交通容量〔台/12h又は24h〕
・・・式(1)
そして、混雑度の基準値は1であり、混雑度が1以下のときは「空いている」と判断し、混雑度が1を超えているときは「混んでいる」と判断する。
【0014】
さらに、(d)は平日における混雑時の平均車速を時速で示すデータであり、ピーク時平均旅行速度としての混雑時平均旅行速度であり、図に示される例においては、平成11年度のデータである。また、(e)は休日における混雑時の平均車速を時速で示すデータであり、ピーク時平均旅行速度としての混雑時平均旅行速度であり、図に示される例においては、平成11年度のデータである。さらに、(f)は該当する道路区間における、いわゆる、法定速度を時速で示すデータとしての指定最高速度であり、平日と休日の区別がなく、かつ、上り方向車線と下り方向車線についての区別もないデータである。
【0015】
さらに、(g)は休日の12時間における自動車類の交通量を台数で示すデータであり、12時間交通量としての休日自動車類12時間交通量であり、休日である点以外は、前記(a)と同様である。さらに、(h)は休日のピーク時における自動車類の交通量を1時間毎の台数で示すデータであり、ピーク時間交通量としての休日ピーク時間交通量であり、休日である点以外は、前記(b)と同様である。なお、(h−1)は該当する道路区間における上り方向車線に関する(h)のデータである上りピーク時間交通量、(h−2)は該当する道路区間における下り方向車線に関する(h)のデータである下りピーク時間交通量、(h−3)は該当する道路区間における上下両方向の車線に関する(h)のデータ、すなわち、ピーク時間交通量である。
【0016】
ここで、前記データ処理装置は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の記憶手段、キーボード、マウス等の入力手段、CRT、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示手段、通信インターフェイス等を備えるコンピュータであり、例えば、サーバであるが、パーソナルコンピュータであってもよく、いかなる種類のコンピュータであってもよい。なお、前記データ処理装置は、車両用ナビゲーション装置において使用されるような探索データ等を含む地図データを記憶手段に格納する。すなわち、該記憶手段は、各種のデータファイルを備え、経路を探索するための探索データの他、探索された経路に沿って案内図を表示したり、他の案内情報を表示したりするために、施設データ等の各種のデータを格納する。さらに、前記記憶手段には、道路種別、道路を構成する単位であるリンクに関する情報も含む、道路データも格納されている。
【0017】
そして、前記データ処理装置は、図に示されるような道路交通センサスのデータが入力されると、該データを処理し、道路における時間帯毎の旅行速度の推定値を演算し、演算された推定値を交通情報の推定値として使用して、データベースを作成する。なお、作成されたデータベースは、データ処理装置の内部における記憶手段に格納されてもよいし、データ処理装置に接続された外部記憶装置に格納されてもよい。ところで、道路交通センサスのデータが提供される道路区間は、車両用ナビゲーション装置で使用される道路データに含まれる道路を構成する単位であるリンクと同一のものではない。例えば、前記道路区間が、一般的に、3〜4〔km〕の長さであるのに対し、前記リンクは、一般的に、300〜500〔m〕の長さである。そのため、前記データベースを作成する際には、前記道路区間をリンクに変換し、交通情報の推定値等のデータをリンクに関連付けるようにすることが望ましい。
【0018】
この場合、前記データ処理装置は、機能の観点から、所定の道路区間に関する道路交通センサスのデータを取得するデータ取得手段、取得された道路交通センサスのデータを処理し、前記道路区間に関する交通情報の推定値を演算するデータ処理手段、及び、演算された交通情報の推定値を含むデータベースを作成するデータベース作成手段を有する。
【0019】
そして、前記データベースに格納されるデータは、情報表示装置において、より適切な経路を探索したり、適切な経路案内を行ったりするために使用される。ここで、前記情報表示装置は、例えば、乗用車、トラック、バス、オートバイ等の車両に搭載された車両用ナビゲーション装置であるが、CRT、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示手段を備え、出発地から目的地までの経路を探索する機能を有するものであれば、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機、パーソナルコンピュータ等いかなるものであってもよい。
【0020】
前記情報表示装置は、車両用ナビゲーション装置のように設定された目的地までの経路を探索する経路探索機能を有するものである場合、前記データベースのデータを使用して設定された目的地までの経路を探索するとともに探索された経路の案内、すなわち、経路案内を行う。なお、前記情報表示装置は、VICS(R)情報が提供されている区間に関しては、VICS(R)情報を使用して経路を探索するとともに経路案内を行い、VICS(R)情報が提供されていない区間であって道路交通センサスのデータが提供されている道路区間に関して、前記データベースのデータを使用して経路を探索するとともに経路案内を行うことが望ましい。
【0021】
また、前記情報表示装置は、通常のPDAや携帯電話機のように、経路探索機能を有していないものである場合、情報提供センタ等に配設された情報提供サーバ等のように経路探索機能を有し、探索された経路についての情報、すなわち、経路情報を通信によって提供する外部装置にアクセスすることにより、必要な経路情報を取得し、前記データベースのデータを使用して経路案内を行う。この場合、前記情報表示装置は、VICS(R)情報が提供されている区間に関しては、VICS(R)情報を使用して経路案内を行い、VICS(R)情報が提供されていない区間であって道路交通センサスのデータが提供されている道路区間に関して、前記データベースのデータを使用して経路案内を行うことが望ましい。
【0022】
なお、前記情報表示装置は、前記データベースのデータが格納されたCD−ROM、DVD、磁気ディスク、メモリカード等のような取り外し可能な記憶媒体を装着することによって前記データベースのデータを取得してもよいし、情報提供センタ等に配設された情報提供サーバ等のように、前記データベースのデータを通信によって提供する外部装置にアクセスすることにより、前記データベースのデータを取得してもよい。そして、前記情報表示装置は、機能の観点から、前記データベースのデータを取得するデータ取得手段、取得されたデータベースのデータを使用して、設定された目的地までの経路案内処理を実行する経路案内処理実行手段、及び、実行された経路案内処理の結果を表示する表示手段とを有する。
【0023】
次に、前記構成のデータ処理装置がデータベースを作成する動作について説明する。
【0024】
図2は本発明の第1の実施の形態における上り方向車線と下り方向車線の旅行速度を算出する方法を示す図、図3は本発明の第1の実施の形態において使用されるQ−V曲線を示す図、図4は本発明の第1の実施の形態における道路交通センサスのデータに基づいて演算された道路における時間帯毎の旅行速度の推定値を示す第1の図、図5は本発明の第1の実施の形態における道路交通センサスのデータに基づいて演算された道路における時間帯毎の旅行速度の推定値を示す第2の図、図6は本発明の第1の実施の形態における道路交通センサスのデータに基づいて演算された道路における時間帯毎の旅行速度の推定値を示す第3の図、図7は本発明の第1の実施の形態における道路種別と渋滞度とを定義するテーブルを示す図である。
【0025】
まず、データ処理装置には、あらかじめ設定された時間帯の定義が入力される。前記時間帯は次の(1)(ア)〜(オ)並びに(2)(ア)及び(イ)のように定義される。
(1)平日
(ア)朝ラッシュ時:7時〜9時
(イ)昼間時間帯: 9時〜17時
(ウ)夕ラッシュ時:17時〜19時
(エ)夜間時間帯: 19時〜21時
(オ)深夜時間帯: 0時〜7時、21〜24時
(2)休日
(ア)ラッシュ時: 9時〜20時
(イ)深夜時間帯: 0時〜9時、20〜24時
ここで、前記朝ラッシュ時、夕ラッシュ時及びラッシュ時は、ピーク時間帯に該当し、昼間時間帯及び夜間時間帯はピーク外時間帯に該当する。なお、前記(1)(ア)〜(オ)並びに(2)(ア)及び(イ)の定義は、任意に変更することができる。
【0026】
続いて、前記データ処理装置は、前述のように定義された各時間帯の旅行速度の推定値0を演算する。なお、説明の都合上、平日についてのみ説明し、休日については説明を省略する。まず、前記データ処理装置は、上り方向車線の混雑度としての上り混雑度及び下り方向車線の混雑度としての下り混雑度を求める。図1において(c)で示されるように、道路交通センサスのデータに含まれる混雑度には、上り方向車線と下り方向車線についての区別がないので、(c)の混雑度のデータに基づき、(b−1)のデータとしての上りピーク時間交通量、及び、(b−2)のデータとしての下りピーク時間交通量を利用して、上り混雑度及び下り混雑度を求めるようになっている。この場合、次の式(2)及び(3)によって上り混雑度及び下り混雑度を算出する。
上り混雑度=上りピーク時間交通量÷(上りピーク時間交通量及び下りピーク時間交通量 の平均)×混雑度 ・・・式(2)
下り混雑度=下りピーク時間交通量÷(上りピーク時間交通量及び下りピーク時間交通量 の平均)×混雑度 ・・・式(3)
なお、上り混雑度及び下り混雑度は、混雑度と同様に、基準値が1であり、1以下のときは「空いている」とし、1を超えているときは「混んでいる」とする。
【0027】
続いて、前記データ処理装置は、ピーク時以外の時間帯の交通量としてのピーク外交通量を求める。図1に示されるように、道路交通センサスのデータに含まれる混雑度には、ピーク外交通量が含まれていないので、(a)のデータとしての12時間交通量、すなわち、自動車類12時間交通量、及び、(b)のデータとしてのピーク時間交通量を利用して、ピーク外交通量を求めるようになっている。この場合、次の式(4)によってピーク外交通量を算出する。
ピーク外交通量=(自動車類12時間交通量−ピーク時間交通量)÷11〔時間〕
・・・式(4)
なお、ピーク時が1時間であると仮定して、ピーク外交通量が算出されている。
【0028】
続いて、前記データ処理装置は、上り方向車線についてのピーク外交通量としての上りピーク外交通量、及び、下り方向車線についてのピーク外交通量としての下りピーク外交通量を求める。前記ピーク外交通量には上り方向車線と下り方向車線についての区別がないので、ピーク時間交通量と上りピーク時間交通量及び下りピーク時間交通量との比率から、上りピーク外交通量及び下りピーク外交通量を求めるようになっている。この場合、次の式(5)及び(6)によってピーク外交通量を算出する。
上りピーク外交通量=ピーク外交通量×(上りピーク時間交通量÷ピーク時間交通量)
・・・式(5)
下りピーク外交通量=ピーク外交通量×(下りピーク時間交通量÷ピーク時間交通量)
・・・式(6)
続いて、前記データ処理装置は、朝ラッシュ時及び夕ラッシュ時における上り方向車線及び下り方向車線の旅行速度の推定値を求める。図1において(d)示されるように、混雑時平均旅行速度には、上り方向車線と下り方向車線についての区別がないので、(b)のデータとしてのピーク時間交通量を利用して、いずれであるかを判断する。例えば、図2に示されるように、上り方向車線のピーク時間交通量と下り方向車線のピーク時間交通量とに差がある場合、混雑時平均旅行速度を、ピーク時間交通量の多い方向の車線(図2においては上り方向車線)に関する旅行速度の推定値であるとする。
【0029】
そして、逆方向の車線(図2においては下り方向車線)に関する旅行速度の推定値は、混雑度による場合分けが行われた後に、図3に示されるようなQ−V曲線に従って算出される。なお、図3に示されるようなQ−V曲線は、道路における交通量と平均旅行速度との関係、すなわち、交通量と速度との相関を示す曲線として周知のものである。
【0030】
高速道路等の実際の道路に設置された車両感知器で計測された交通量と速度との関係を縦軸が車速、横軸が交通量を示す2次元平面にプロットし、プロットされた点の中心を結ぶと、図3に示されるようなQ−V曲線を得ることができる。一般的に、交通需要が少ない状態では、速度と交通量の関係は直線的に変化し、速度は交通量に対して単調減少する傾向が見られ、交通需要が多い状態では、速度と交通量の関係は2次曲線的に変化し、速度は交通量に対して2次曲線的に増加する傾向が見られる。図3に示されるQ−V曲線においては、交通量の増加に対して速度が減少する1次関数と交通量の増加に対して速度が増加する2次関数とを含み、混雑度を前記交通需要として、混雑度に基づいていずれかの関数を選択するようになっている。本実施の形態においては、交通量Qと旅行速度としての車速Vとの関係は、混雑度が1を超えていて「混んでいる」ときには次の式(7)で表され、混雑度が1以下であって「空いている」ときには次の式(8)で表されることを示している。
V=α×Q2 ・・・式(7)
V=β×Q+Vmax ・・・式(8)
なお、α及びβは定数、Vmaxは指定最高速度である。
【0031】
また、図3において、V1はピーク時間交通量の多い方向の車線(図2においては上り方向車線)における混雑時平均旅行速度(図2においては30〔km/h〕)であり、Q1はV1に対応する交通量であり、ピーク時間交通量の多い方向の車線(図2においては上り方向車線)におけるピーク時間交通量(図2においては1000台)である。さらに、Q2はピーク時間交通量の少ない方向の車線(図2においては下り方向車線)におけるピーク時間交通量(図2においては800台)である。さらに、V2はQ2に対応する旅行速度であり、ピーク時間交通量の少ない方向の車線における旅行速度である。図3から、V2は「混んでいる」ときと「空いている」ときとで異なる数値を採ることが分かる。また、V1がVmaxを超えているとき、すなわち、V1>Vmaxのときには、V1=Vmaxとする。
【0032】
そこで、前記データ処理装置は、上り混雑度又は下り混雑度に基づいて、前記逆方向の車線が「混んでいる」か「空いている」かを判断する。図2に示される例においては、逆方向の車線が下り方向車線であるので、下り混雑度が1以下であるか否かに基づいて判断する。そして、「混んでいる」ときには、前記式(7)にQ2を代入すると次の式(9)となる。これにより、ピーク時間交通量の少ない方向の車線における旅行速度の推定値としてV2を得ることができる。
V2=α×Q22 ・・・式(9)
また、「空いている」ときには、前記式(8)にQ2を代入すると次の式(10)となる。これにより、ピーク時間交通量の少ない方向の車線における旅行速度の推定値としてV2を得ることができる。
V2=β×Q2+Vmax ・・・式(10)
ここで、βは次の式(11)によって求められる数値である。
β=(V1−Vmax)÷Q1 ・・・式(11)
なお、前述のように、V1>Vmaxのときには、V1=Vmaxとする。
【0033】
続いて、前記データ処理装置は、ピーク時以外の時間帯としての昼間時間帯及び夜間時間帯における上り方向車線及び下り方向車線の旅行速度の推定値を求める。この場合、上りピーク外交通量及び下りピーク外交通量並びに上り混雑度及び下り混雑度から、前記朝ラッシュ時及び夕ラッシュ時の旅行速度の推定値を求めた場合と同様にして、昼間時間帯及び夜間時間帯の旅行速度の推定値を求める。ただし、昼間時間帯及び夜間時間帯が「混んでいる」ときには、夜間時間帯の旅行速度の推定値を深夜時間帯の旅行速度の推定値と同一にする。
【0034】
続いて、前記データ処理装置は、深夜時間帯における上り方向車線及び下り方向車線の旅行速度の推定値をあらかじめ設定された固定速度、例えば、30〔km/h〕に固定する。なお、固定速度は適宜変更することができる。ただし、深夜時間帯以外の時間帯であって、旅行速度の推定値が前記固定速度より高い時間帯がある場合には、深夜時間帯の旅行速度の推定値を前記時間帯の旅行速度の推定値と同一にする。
【0035】
これにより、平日における前記(ア)〜(オ)の各時間帯における上り方向車線及び下り方向車線の旅行速度の推定値が、図4〜6に示されるように演算される。図4は、「空いている」ときの各時間帯における上り方向車線又は/及び下り方向車線の旅行速度の推定値の例を示す図である。図4に示される昼間時間帯及び夜間時間帯における旅行速度の推定値は、前述のように、自動車類12時間交通量、上りピーク時間交通量及び下りピーク時間交通量、並びに、混雑度を利用して演算されたものである。また、図5は、「混んでいる」ときの各時間帯における上り方向車線又は/及び下り方向車線の旅行速度の推定値の例を示す図である。図5に示される夜間時間帯における旅行速度の推定値は、前述のように、深夜時間帯の旅行速度の推定値と同一にしたものである。さらに、図6は、深夜時間帯以外の時間帯における旅行速度の推定値が固定速度より高いときの各時間帯における上り方向車線又は及び下り方向車線の旅行速度の推定値の例を示す図である。図6に示される深夜時間帯における旅行速度の推定値は、前述のように、前記時間帯における固定速度より高い旅行速度の推定値と同一にしたものである。
【0036】
続いて、前記データ処理装置は、図7に示されたようなテーブルにおいて定義された道路種別と渋滞度との関係に従って、各時間帯における上り方向車線及び下り方向車線の旅行速度の推定値、並びに、該当する道路区間の道路種別によって、渋滞度を決定する。前記テーブルでは、東名高速道路等の高速道路においては、車速が40〔km/h〕以下である場合は「渋滞」、40〔km/h〕を超えて60〔km/h〕以下である場合は「混雑」、60〔km/h〕を超えている場合は「渋滞なし」、と定義されている。また、首都高速道路等の都市高速道路においては、車速が20〔km/h〕以下である場合は「渋滞」、20〔km/h〕を超えて40〔km/h〕以下である場合は「混雑」、40〔km/h〕を超えている場合は「渋滞なし」、と定義されている。さらに、一般道においては、車速が10〔km/h〕以下である場合は「渋滞」、10〔km/h〕を超えて20〔km/h〕以下である場合は「混雑」、20〔km/h〕を超えている場合は「渋滞なし」、と定義されている。なお、渋滞度の定義は、図7に示される例に限定されることなく、適宜変更することができる。また、前記テーブルはあらかじめ作成され、データ処理装置の記憶手段に格納されている。これにより、該当する道路区間について、各時間帯における上り方向車線及び下り方向車線の渋滞度が決定される。
【0037】
そして、前記データ処理装置は、演算された旅行速度の推定値、渋滞度等を該当する道路区間に関する交通情報の推定値として格納するデータベースを作成する。これにより、情報表示装置は、前記データベースのデータを使用して、VICS(R)情報が提供されていない区間であって道路交通センサスのデータが提供されている道路区間に関して適切な経路案内を行うことができる。また、前記情報表示装置が経路探索機能を有するものである場合には、前記データベースのデータを使用して、適切な経路探索を行うこともできる。
【0038】
次に、具体的な数値例を使用して、各時間帯における上り方向車線及び下り方向車線の旅行速度の推定値を演算した例について説明する。
【0039】
この場合、ある道路区間についての道路交通センサスのデータが、例えば、
(a) 平日自動車類12時間交通量:14514台
(b−1)上り方向車線に関する平日ピーク時間交通量:658〔台/時〕
(b−2)下り方向車線に関する平日ピーク時間交通量:714〔台/時〕
(b−3)上下両方向の車線に関する平日ピーク時間交通量:1372〔台/時〕
(c) 混雑度:1.24
(d) 平日における混雑時平均旅行速度:16.3〔km/h〕
であるとする。
【0040】
そして、前記道路交通センサスのデータの数値を前記式(2)及び(3)に代入すると、次の式(12)及び(13)となり、上り混雑度及び下り混雑度が求められる。
上り混雑度=658÷{(658+712)÷2}×1.24=1.19・・式(12)
下り混雑度=714÷{(658+712)÷2}×1.24=1.29・・式(13)
続いて、前記道路交通センサスのデータの数値を前記式(4)に代入すると、次の式(14)となり、ピーク外交通量が求められる。
ピーク外交通量=(14514−1372)÷11=1194.7 ・・・式(14)
続いて、前記道路交通センサスのデータ及び式(14)の数値を前記式(5)及び(6)に代入すると、次の式(15)及び(16)となり、上りピーク外交通量及び下りピーク外交通量が求められる。
上りピーク外交通量=1194.7×(658÷1372)=572.9・・式(15)
下りピーク外交通量=1194.7×(714÷1372)=621.7・・式(16)
ここで、前記式(b−1)及び(b−2)から、上りピーク交通量<下りピーク交通量であって、ピーク時間交通量の多い方向の車線が下り方向車線であることが分かる。そのため、次の式(17)のように、(d)のデータを朝ラッシュ時及び夕ラッシュ時、すなわち、ピーク時における下り方向車線の旅行速度の推定値としての下りピーク時速度とする。
下りピーク時速度=16.3〔km/h〕 ・・・式(17)
また、上り方向車線は、式(12)から混雑度が1.19であって1を超え、「混んでいる」ことが分かるので、前記式(7)に(b−2)及び(d)のデータの数値を代入すると、次の式(18)となり、αが求められる。
α=16.3÷(714)2 ・・・式(18)
そして、前記式(7)に(b−1)のデータ及び式(18)の数値を代入すると次の式(19)となり、ピーク時における上り方向車線の旅行速度の推定値としての上りピーク時速度が求められる。
上りピーク時速度=16.3÷(714)2 ×(658)2 13.8〔km/h〕
・・・式(19)
また、前記式(7)に式(15)、(16)及び(18)の数値を代入すると次の式(20)及び(21)となり、昼間時間帯及び夜間時間帯、すなわち、ピーク時以外における上り方向車線及び下り方向車線の旅行速度の推定値としての上りピーク外速度及び下りピーク外速度が求められる。
上りピーク外速度=16.3÷(714)2 ×(572.9)2 10.5〔km/h〕 ・・・式(20)
下りピーク外速度=16.3÷(714)2 ×(621.7)2 12.4〔km/h〕 ・・・式(21)
これにより、平日における各時間帯における旅行速度の推定値は次の(カ)〜(コ)のようになる。
(カ)朝ラッシュ時:上り;13.8〔km/h〕、下り;16.3〔km/h〕
(キ)昼間時間帯: 上り;10.5〔km/h〕、下り;12.4〔km/h〕
(ク)夕ラッシュ時:上り;13.8〔km/h〕、下り;16.3〔km/h〕
(ケ)夜間時間帯: 上り;30.0〔km/h〕、下り;30.0〔km/h〕
(コ)深夜時間帯: 上り;30.0〔km/h〕、下り;30.0〔km/h〕
なお、前記(カ)〜(コ)に示される結果は、混雑度が1を超えていて「混んでいる」ときの結果である。
【0041】
また、混雑度が1以下であって「空いている」とき、他のデータの数値が前記の例と同一の値であるとすると、前記式(8)から、次の式(22)となり、βが求められる。
β=(16.3−30.0)÷714 ・・・式(22)
そして、前記式(8)に式(15)、(16)及び(22)の数値を代入すると次の式(23)及び(24)となり、ピーク時以外における上り方向車線及び下り方向車線の旅行速度の推定値としての上りピーク外速度及び下りピーク外速度が求められる。
上りピーク外速度={(16.3−30.0)÷714}×572.9+30
19.0〔km/h〕 ・・・式(23)
下りピーク外速度={(16.3−30.0)÷714}×621.7+30
18.1〔km/h〕 ・・・式(24)
これにより、平日における各時間帯における旅行速度の推定値は次の(サ)〜(ソ)のようになる。
(サ)朝ラッシュ時:上り;13.8〔km/h〕、下り;16.3〔km/h〕
(シ)昼間時間帯: 上り;19.0〔km/h〕、下り;18.1〔km/h〕
(ス)夕ラッシュ時:上り;13.8〔km/h〕、下り;16.3〔km/h〕
(セ)夜間時間帯: 上り;19.0〔km/h〕、下り;18.1〔km/h〕
(ソ)深夜時間帯: 上り;30.0〔km/h〕、下り;30.0〔km/h〕
このように、本実施の形態においては、データ処理装置が道路交通センサスのデータに基づいて、道路区間における時間帯毎の旅行速度の推定値を演算し、演算された旅行速度の推定値、渋滞度等を該当する道路区間に関する交通情報の推定値として格納するデータベースを作成するようになっている。そのため、従来では経路案内に使用することができなかった道路交通センサスのデータを、経路案内に使用することができる。これにより、VICS(R)情報よりもカバー範囲が広い道路交通センサスのデータを経路案内に使用することができるので、VICS(R)情報が提供されていない道路区間に関しても、情報表示装置は、前記データベースのデータを使用することによって、より適切な経路案内を行うことができる。また、前記情報表示装置が経路探索機能を有するものである場合には、前記データベースのデータを使用して、適切な経路探索を行うこともできる。
【0042】
また、前記データ処理装置は、膨大な道路交通センサスのデータの中から、わずかな種類のデータ、すなわち、交通量及び混雑度に基づいて交通情報の推定値を演算する。そのため、前記データ処理装置の処理負担が軽く、短時間で容易に前記データベースを作成することができる。より詳細には、平日及び休日のそれぞれについて、自動車類12時間交通量、ピーク時間交通量、混雑度、混雑時平均旅行速度及び指定最高速度のみを使用して、時間帯毎の旅行速度の推定値を演算することができる。
【0043】
さらに、平日及び休日のそれぞれについて、時間帯毎に上り方向車線及び下り方向車線の旅行速度の推定値を得ることができるので、きめ細かな交通情報の推定値を格納するデータベースを作成することができる。そのため、情報表示装置は、前記データベースのデータを使用することによって、きめ細かな経路案内を行うことができる。
【0044】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0045】
図8は本発明の第2の実施の形態におけるデータ処理装置の処理する道路交通センサスのデータの内容を示す図である。
【0046】
本実施の形態において、データ処理装置は、図8に示されるような道路交通センサスのデータを処理して、データベースを作成するようになっている。この場合、(b)及び(h)のデータ、すなわち、平日ピーク時間交通量及び休日ピーク時間交通量が、上り方向車線と下り方向車線についての区別がないデータとなっている点を除いて、前記第1の実施の形態における道路交通センサスのデータと同様である。つまり、本実施の形態においては、上り方向車線と下り方向車線についての区別がない平日ピーク時間交通量及び休日ピーク時間交通量を処理して道路における時間帯毎の旅行速度の推定値を演算する。そのため、前記データ処理装置は、上り方向車線と下り方向車線とを区別した旅行速度の推定値を得ることはできず、上り方向車線と下り方向車線との区別がない旅行速度の推定値を得るようになっている。
【0047】
本実施の形態においても、データ処理装置には、まず、前記第1の実施の形態と同様に、前記(1)(ア)〜(オ)並びに(2)(ア)及び(イ)のような時間帯の定義が入力される。
【0048】
続いて、前記データ処理装置は、前述のように定義された各時間帯の旅行速度の推定値を演算する。なお、説明の都合上、平日についてのみ説明し、休日については説明を省略する。まず、前記データ処理装置は、ピーク時の時間帯における片方向車線の交通量としてのピーク時間交通量(片方向)、及び、ピーク時以外の時間帯における片方向車線の交通量としてのピーク外交通量(片方向)を求める。この場合、(a)のデータとしての自動車類12時間交通量、及び、(b)のデータとしてのピーク時間交通量を利用して、次の式(25)及び(26)によってピーク時間交通量(片方向)及びピーク外交通量(片方向)を算出する。
ピーク時間交通量(片方向)=ピーク時間交通量÷2 ・・・式(25)
ピーク外交通量(片方向)=(自動車類12時間交通量−ピーク時間交通量)
÷11〔時間〕 ・・・式(26)
なお、ピーク時が1時間であると仮定して、ピーク外交通量(片方向)が算出されている。
【0049】
続いて、前記データ処理装置は、(d)のデータとしての混雑時平均旅行速度を朝ラッシュ時及び夕ラッシュ時における旅行速度の推定値であるとする。そして、前記データ処理装置は、混雑度に応じて、昼間時間帯及び夜間時間帯の旅行速度の推定値を、図3に示されるようなQ−V曲線に従って算出する。
【0050】
この場合、混雑度が1を超えていて「混んでいる」ときには、次の式(27)によって、昼間時間帯及び夜間時間帯の旅行速度の推定値としてV2を得ることができる。
V2=α×Q22 ・・・式(27)
なお、該式(27)は、前記第1の実施の形態における式(9)と同様である。ここで、Q2はピーク外交通量(片方向)量であり、また、αは次の式(28)によって求められる数値である。
α=V1÷Q12 ・・・式(28)
なお、V1は混雑時平均旅行速度であり、Q1はピーク時間交通量(片方向)である。
【0051】
また、混雑度が1以下であって「空いている」ときには、次の式(29)によって、昼間時間帯及び夜間時間帯の旅行速度の推定値としてV2を得ることができる。
V2=β×Q2+Vmax ・・・式(29)
なお、該式(29)は、前記第1の実施の形態における式(10)と同様である。ここで、βは次の式(30)によって求められる数値である。
β=(V1−Vmax)÷Q1 ・・・式(30)
なお、該式(30)は、前記第1の実施の形態における式(11)と同様である。
【0052】
ただし、「混んでいる」ときには、夜間時間帯の旅行速度の推定値を深夜時間帯の旅行速度の推定値と同一にする。
【0053】
続いて、前記データ処理装置は、深夜時間帯における旅行速度の推定値を道路種別毎にあらかじめ設定された固定速度に固定する。該固定速度は、例えば、東名高速道路等の高速道路においては80〔km/h〕、首都高速道路等の都市高速道路においては60〔km/h〕、一般道においては30〔km/h〕である。なお、前記都市高速道路は、有料道路及び一般ハイウェイ対象路線を含むものである。また、固定速度は適宜変更することができる。ただし、深夜時間帯以外の時間帯であって、旅行速度の推定値が前記固定速度より高い時間帯がある場合には、深夜時間帯の旅行速度の推定値を前記時間帯の旅行速度の推定値と同一にする。
【0054】
続いて、前記データ処理装置は、図7に示されたようなテーブルにおいて定義された道路種別と渋滞度との関係に従って、各時間帯における旅行速度の推定値、並びに、該当する道路区間の道路種別によって、渋滞度を決定する。これにより、該当する道路区間について、各時間帯における渋滞度が決定される。
【0055】
そして、前記データ処理装置は、演算された旅行速度の推定値、渋滞度等を該当する道路区間に関する交通情報の推定値として格納するデータベースを作成する。
【0056】
このように、本実施の形態においては、上り方向車線と下り方向車線についての区別がない平日ピーク時間交通量及び休日ピーク時間交通量を処理して、該当する道路区間における時間帯毎の旅行速度の推定値を演算するようになっている。そのため、入手可能な道路交通センサスのデータが上り方向車線と下り方向車線についての区別がない大まかなものであっても、データベースを作成することができる。
【0057】
また、より少ない道路交通センサスのデータを使用するので、前記データ処理装置の処理負担がより軽くなり、より短時間で容易に前記データベースを作成することができる。さらに、データベースのデータが上り方向車線と下り方向車線についての区別がないものとなるので、データベースのデータ容量を削減することができる。そのため、前記データベースのデータを使用して経路案内を行う情報表示装置の処理負担を軽くすることができる。
【0058】
なお、前記第1及び第2の実施の形態においては、交通量をピーク時間交通量とピーク外交通量を含む12時間交通量とに識別し、ピーク時間帯における旅行速度の推定値とピーク外時間帯における旅行速度の推定値とを算出する例について説明したが、交通量をピーク時間交通量とピーク外交通量を含む12時間交通量とに識別しない交通量として、ピーク時間帯とピーク外時間帯とを識別しない旅行速度の推定値とを算出することもできる。
【0059】
また、前記第1及び第2の実施の形態においては、交通量を上りピーク時間交通量と下りピーク時間交通量とに識別し、上り方向車線における旅行速度の推定値と下り方向車線における旅行速度の推定値とを算出する例について説明したが、交通量を上りピーク時間交通量と下りピーク時間交通量とに識別しない交通量として、上り方向車線と下り方向車線とを識別しない旅行速度の推定値とを算出することもできる。
【0060】
さらに、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるデータ処理装置の処理する道路交通センサスのデータの内容を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における上り方向車線と下り方向車線の旅行速度を算出する方法を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態において使用されるQ−V曲線を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における道路交通センサスのデータに基づいて演算された道路における時間帯毎の旅行速度の推定値を示す第1の図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における道路交通センサスのデータに基づいて演算された道路における時間帯毎の旅行速度の推定値を示す第2の図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における道路交通センサスのデータに基づいて演算された道路における時間帯毎の旅行速度の推定値を示す第3の図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における道路種別と渋滞度とを定義するテーブルを示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるデータ処理装置の処理する道路交通センサスのデータの内容を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)交通量及び混雑度を含む所定の道路区間に関する道路交通量調査データを取得するデータ取得手段と、
(b)取得された道路交通量調査データに基づき、交通量と速度との相関に従って、前記道路区間に関する交通情報の推定値を演算するデータ処理手段と、
(c)演算された交通情報の推定値を含むデータベースを作成するデータベース作成手段とを有することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記データ処理手段は、時間帯毎の旅行速度の推定値及び/又は混雑度の推定値を算出する請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
(a)前記交通量と速度との相関は、交通量の増加に対して速度が減少する1次関数及び交通量の増加に対して速度が増加する2次関数を含み、
(b)前記データ処理手段は、前記混雑度に基づいて関数を選択して、前記道路区間に関する交通情報の推定値を演算する請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
(a)前記道路交通量調査データは上り交通量及び下り交通量を含み、
(b)前記データ処理手段は、前記上り交通量及び下り交通量に基づいて上り混雑度及び下り混雑度を算出し、前記上り交通量及び下り交通量並びに上り混雑度及び下り混雑度に基づいて、上り方向車線における前記旅行速度の推定値及び下り方向車線における前記旅行速度の推定値を算出する請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
(a)前記道路交通量調査データは上りピーク時間交通量及び下りピーク時間交通量を含み、
(b)前記データ処理手段は、前記上りピーク時間交通量及び下りピーク時間交通量に基づいて上り混雑度及び下り混雑度を算出し、前記上りピーク時間交通量及び下りピーク時間交通量並びに上り混雑度及び下り混雑度に基づいて、ピーク時間帯の上り方向車線における前記旅行速度の推定値及びピーク時間帯の下り方向車線における前記旅行速度の推定値を算出する請求項4に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
(a)前記道路交通量調査データは最高指定速度及び混雑時平均旅行速度を含み、
(b)前記データ処理手段は、前記混雑度が1を超えるときは以下の式(A)に従って前記旅行速度の推定値を算出し、前記混雑度が1以下であるときは以下の式(B)に従って前記旅行速度の推定値を算出する請求項5に記載のデータ処理装置。
V=α×Q2 ・・・式(A)
V=β×Q+Vmax ・・・式(B)
{ただし、Vは旅行速度の推定値であり、Qは交通量であり、Vmaxは最高指定速度であり、V1を混雑時平均旅行速度とし、Q1をV1に対応する交通量とすると、αは以下の式(C)で示され、βは以下の式(D)で示される。
α=V1÷Q12 ・・・式(C)
β=(V1−Vmax)÷Q1 ・・・式(D)}
【請求項7】
(a)前記道路交通量調査データは、ピーク時間交通量及びピーク外交通量を含み、
(b)前記データ処理手段は、前記ピーク時間交通量及びピーク外交通量並びに混雑度に基づいて、ピーク外時間帯における前記旅行速度の推定値を算出する請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
(a)前記道路交通量調査データは、ピーク時間交通量、上りピーク時間交通量、下りピーク時間交通量及び12時間交通量を含み、
(b)前記データ処理手段は、前記上りピーク時間交通量及び下りピーク時間交通量に基づいて、上り混雑度及び下り混雑度を算出し、
(b−1)前記ピーク時間交通量及び12時間交通量に基づいて、ピーク外交通量を算出し、
(b−2)前記ピーク時間交通量、上りピーク時間交通量、下りピーク時間交通量及びピーク外交通量に基づいて、上りピーク外交通量及び下りピーク外交通量を算出し、
(b−3)前記上り混雑度及び下り混雑度並びに上りピーク外交通量及び下りピーク外交通量に基づいて、ピーク外時間帯の上り方向車線における前記旅行速度の推定値及びピーク外時間帯の下り方向車線における前記旅行速度の推定値を算出する請求項7に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
(a)前記道路交通量調査データは最高指定速度及び混雑時平均旅行速度を含み、
(b)前記データ処理手段は、前記混雑度が1を超えるときは以下の式(A)に従って前記旅行速度の推定値を算出し、前記混雑度が1以下であるときは以下の式(B)に従って前記旅行速度の推定値を算出する請求項5に記載のデータ処理装置。
V=α×Q2 ・・・式(A)
V=β×Q+Vmax ・・・式(B)
{ただし、Vは旅行速度の推定値であり、Qは交通量であり、Vmaxは最高指定速度であり、V1を混雑時平均旅行速度とし、Q1をV1に対応する交通量とすると、αは以下の式(C)で示され、βは以下の式(D)で示される。
α=V1÷Q12 ・・・式(C)
β=(V1−Vmax)÷Q1 ・・・式(D)}
【請求項10】
(a)請求項1〜9のいずれか1項に記載のデータ処理装置によって作成されたデータベースのデータを取得するデータ取得手段と、
(b)取得されたデータベースのデータを使用して、設定された目的地までの経路案内処理を実行する経路案内処理実行手段と、
(c)実行された経路案内処理の結果を表示する表示手段とを有することを特徴とする情報表示装置。
【請求項11】
(a)交通量及び混雑度を含む所定の道路区間に関する道路交通量調査データを処理して、前記道路区間に関する交通情報の推定値を演算し、
(b)演算された交通情報の推定値を含むデータベースを作成することを特徴とするデータベース作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−163495(P2006−163495A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−349855(P2004−349855)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】