説明

データ処理装置およびデータ処理方法

【課題】 第1の表示部と第2の表示部で共に表示するGUIの各構成要素を、各表示部の操作者に違和感なく表示させる。
【解決手段】 第1の表示部で第1のGUIを表示するとともに、第2の表示部で前記第1のGUIに相当する内容を示す第2のGUIを表示することにより、前記第1および第2の表示部の間でテレビ会議を行うために、前記第1および第2のGUIを表すデータを処理するデータ処理装置であって、第1のGUIの各構成要素について、該GUIにおける相対位置を左右で反転させる第1の種類の構成要素と、前記相対位置を左右で反転させない第2の種類の構成要素とを特定する特定手段と、第2のGUIとして、前記第1の種類の構成要素を左右で反転させた構成要素と、前記第2の種類の構成要素とからなるGUIを作成するGUI作成手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ会議等などの双方向画像通信システムにおいてグラフィカルユーザーインターフェイスを用いる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数地点にタッチパネルディスプレイを配置し、その間で双方向画像通信および双方向音声通信を行うことにより会議を行うテレビ会議システムなどが知られている。また、このようなシステムにおいて、それぞれの地点のタッチパネルディスプレイに、まったく同じGUIを表示させ、各地点の操作者(会議参加者)がそのGUIを見ながら会話をすることなども可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−122767号公報
【特許文献2】特開平8−205112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記テレビ会議システムなどでは、一般的に、各操作者(会議参加者)は、向かい合った状態で会議をする。従って、各参加者の目前にあるディスプレイは、相手の操作者(会議参加者)が見える“窓”とも言える。このような状況において、“窓”であるディスプレイ上において、その表から見ても裏から見ても全く同じGUIを表示してしまうと不自然である。
【0005】
この不自然な状態を解消するための一例を図7に示す。ここでは図7(a)に示す映像送受信装置Aと、図7(b)に示す映像送受信装置Bとがテレビ会議をしているものとする。また、図7(a)と図7(b)には、タッチパネルディスプレイ700、708が設置されており、それぞれに実質的に同じ内容のGUIが表示されている。なお、これらGUIのそれぞれは、アイコンA〜Cとドキュメントの4つの構成要素から構成されているものとする。
【0006】
図7(a)では、タッチパネル700上でドキュメント704(後述する電子データ)が編集されている。ここでは、ユーザーA702は、タッチパネル700における右側の表示位置に存在するGUI(アイコンA705、アイコンB706、アイコンC707、ドキュメント704)を操作、編集していることになる。そして、その動きはカメラ701を介して、図7(b)に示す映像送受信装置B(タッチパネル708)に表示される。このとき、ユーザーB711から見たユーザーA702の動きによれば、タッチパネル708の左側の表示位置に存在するGUIを操作しているように見えるであろう。従って、この解消例においては、図7(b)のタッチパネル708における“左側”に同一のGUI(アイコンA714、アイコンB713、アイコンC712、ドキュメント715)を表示することにより、ユーザーAの動きとGUIの位置が一致することになる。
【0007】
しかしながら、上記例では、GUIの各構成要素の位置が考慮されておらず、「ユーザーAがアイコンA705を編集している状態」は、タッチパネル708を介してユーザーBから見ると「ユーザーAがアイコンC712を編集している」と誤解される恐れがある。
【0008】
本発明は上記従来例に鑑みて成されたものであり、第1の表示部と第2の表示部で共に表示するGUIの各構成要素を、各表示部の操作者に違和感なく表示させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、例えば、第1の表示部で第1のGUIを表示するとともに、第2の表示部で前記第1のGUIに相当する内容を示す第2のGUIを表示することにより、前記第1および第2の表示部の間でテレビ会議を行うために、前記第1および第2のGUIを表すデータを処理するデータ処理装置であって、第1のGUIの各構成要素について、該GUIにおける相対位置を左右で反転させる第1の種類の構成要素と、前記相対位置を左右で反転させない第2の種類の構成要素とを特定する特定手段と、第2のGUIとして、前記第1の種類の構成要素を左右で反転させた構成要素と、前記第2の種類の構成要素とからなるGUIを作成するGUI作成手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1の表示部と第2の表示部で共に表示するGUIの各構成要素を、各表示部の操作者に違和感なく表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に適用可能なシステムの一例。
【図2】GUI作成装置およびその周辺機器の機能構成図。
【図3】映像送受信装置およびその周辺機器の機能構成図。
【図4】GUI作成装置の処理手順を説明するフローチャート。
【図5】GUI作成装置による左右反転処理を説明するフローチャート。
【図6】映像送受信装置の処理手順を説明するフローチャート。
【図7】映像送受信装置が表示するGUIを説明する図。
【図8】映像送受信装置が表示するGUIを説明する図。
【図9】GUIの一例を説明する図。
【図10】GUIの各種属性の一例を説明する図。
【図11】GUI作成装置により左右反転されたGUIを示す図。
【図12】GUI作成装置を組み込んだアプリケーションの概観図。
【図13】左右反転できないGUIを操作する例を示す図。
【図14】左右反転できないGUIを表示する方法を説明する図。
【図15】GUIの透過/非透過を決定する際のテーブルを示す図。
【図16】映像送受信装置およびその周辺機器の機能構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態1]
図1は、本発明に適用可能な画像処理システムを示したものである。データ処理装置の1つであるGUI作成装置200は、映像送受信装置A300や映像送受信装置B350で利用するGUIデータ(グラフィカルユーザーインターフェイスデータ)を作成する。GUIデータ格納装置101は、上記映像送受信装置A300で利用するGUIデータ102、映像送受信装置B350で利用するGUIデータ103を格納する。映像送受信装置A300は、GUIデータ格納装置101に格納されたGUIデータ102をダウンロードすることにより、これに基づいたGUIを、装置内のタッチパネルディスプレイ上に表示する。これに同じく、映像送受信装置B350は、GUIデータ格納装置101に格納されたGUIデータ103をダウンロードすることにより、これに基づいたGUIを、装置内のタッチパネルディスプレイ上に表示する。なお、装置Aと装置Bは、それぞれ図7におけるタッチパネル700と708に相当している。そして、これらのダウンロードおよびGUIの表示は、装置Aと装置Bの間で行われる公知のテレビ会議動作に付随して実行される。また、各GUIの表示位置は、図7(a)および(b)を参照して説明したものと同様に、装置Aと装置Bの各表示部において、左右が反転した位置にそれぞれのGUIが表示されるものとする。本実施形態では、図7(a)に示したGUIに対して、図8に示すようなGUIを構成する。即ち、画面上のGUIの位置だけでなく、GUI内部における各構成要素(アイコン等)の位置までを調整するものであり、これにより、GUI全体の位置関係だけでなく、GUIを構成する各構成要素の位置関係をも考慮した、適切なGUIの表示を行わせる。以下では、GUIを構成する各構成要素の位置関係までを考慮したデータ処理装置について説明する。
【0013】
<GUI作成装置200の動作>
図2は、GUI作成装置200の機能構成図である。なお、このGUI作成装置200は、CPUやROM、RAMを備えたPC(Personal Computer)などで実現でき、その各種機能は、上記ROMやRAMに記憶されるソフトウェアのアプリケーション1201として実行できる。
【0014】
図4、図5は、このGUI作成装置200の動作手順を示すフローチャートである。
【0015】
図12(a)は、GUI作成装置200を組み込んだアプリケーションの概観図である。
【0016】
以下、上記各図面を用いてGUI作成装置200の動作について説明する。このアプリケーション1201には、アプリケーションに対する操作を指示する操作ボタン1204と、GUIを編集するためのGUI編集エリア1202と、利用可能なGUIがストックされたGUIパレット1203とから構成される。GUI作成装置200(アプリケーション1201)が起動すると、以下のフローチャートが実行される。
【0017】
ステップS401では、GUI作成装置200における操作情報取り込み部204によって、ユーザーが行った操作を示す情報(操作情報)を取得する。この操作情報は、ユーザーがマウス201やキーボード202を介して行った操作に関する情報である。
【0018】
ステップS402では、操作情報がGUIの新規作成であった場合に、ステップS406に進む。ステップS406では、新規GUIデータ作成部203によって、GUIデータの新規作成が行われる。例えば、アプリケーション1201上の「New」ボタンが押された場合には、新しいGUIを定義したファイルを新規に作成する。
【0019】
ステップS403では、取り込まれたユーザー操作が既存GUIの「Load」であった場合に、ステップS407に進む。ステップS407では、GUIデータ読み込み部207によって、GUIデータ格納装置101に格納されたGUIデータを読み込む。これにより、前回中断したGUI作成処理を再開できる。例えば、アプリケーション1201上の「Load」ボタンが押された場合に、上記再開の処理が行われる。
【0020】
ステップS404では、操作情報がGUIの「Save」を表していた場合に、ステップS500に進む。ステップS500では、GUI反転部206によって、編集されたGUIから後述する左右反転処理が施されたGUIを生成する。そして、ステップS408において、上記編集されたGUIを表すデータと、左右反転処理が施されたGUIを表すデータとが、GUIデータ書き込み部205によって、装置外部のGUIデータ格納装置101に格納される。例えば、アプリケーション1201上の「Save」ボタンが押された場合に上記処理が行われる。なお、GUIの反転処理の詳細については後述する。
【0021】
ステップS405では、ユーザー操作が上記「新規作成」、「Load」、「Save」以外の該当する操作に対応する処理を実行する。例えば、GUIの編集操作などがこれに相当する。例えば、GUIを作成する開発者は、GUIパレットから、所望のGUIをGUI編集エリアにドラッグ&ドロップすることで配置、編集することができる。そこに配置できるGUIの候補としては、「ボタン」、「チェックボックス」、背景画像等に用いる「ビットマップ部品」等が存在する。GUI編集エリア1202では、そこに配置されたGUI部品の位置や大きさといった各種プロパティの変更を、GUI編集エリアの中で行うことができる。また、配置したボタンのラベル(ボタン上に表示する「OK」等の文字列)を変更したり、ボタンの色を変更することができる。
【0022】
図5は、GUI作成装置が行うGUIの左右反転処理の手順を示すフローチャートである。ここに示す手順により、あるGUIに対してその内部の構成要素の位置関係が左右で反転されたGUIが生成される。ここでは、図9(a)に示したGUIに対して左右反転処理を施す例をあげながら説明する。図9(a)に示すように、いくつかの要素で構成されたGUIは、木構造で表現することが可能である。図9(b)は、図9(a)のGUIを構成する構成要素を木構造で表現したものである。たとえば、図9(a)のGUIを構成する構成要素の1つであるチェックボタンリスト902に着目する。このチェックボタンリスト902の構成要素としては、チェックボックス1(906)、チェックボックス2(907)、チェックボックス3(908)、および、これらの背景に相当するチェックボタンリスト背景909が存在する。このように1つのGUIを階層化して作成しておくことにより、個々の構成要素を再利用することが可能になる。例えば、GUI901とは別の新たなGUIを構成したい場合には、チェックリスト902およびその各構成要素からなるツリーを、上記新たなGUIの一部として含ませれば良いであろう。図5に示す処理は、最初、メインのGUIに対して実行される。そこで、そのGUIを構成する構成要素が1つでも在る場合には、各構成要素についても後述するステップS502のサブルーチンにおいて同等の処理が実行される。従って、図9(b)に示すように、メインのGUI901を構成する各構成要素(902、903、904、905)についても同等の処理が実行される。更には、構成要素の1つであるチェックボタンリスト902を構成する各構成要素(906、907、908、908)についても同等の処理が実行される。
【0023】
ステップS501では、入力されたGUIあるいはその構成要素が、更に、それを構成する構成要素を持っているか否かを特定する。以下では、ステップS501の判断対象となる部品を「親」と見なし、それを構成する各構成要素を「子供」と呼ぶことにする。例えば、上述したGUIに相当する「文字スタイル変更パネル900」について、ステップS501の判断処理を行う場合には、その「子供」として構成要素(902、903、904、905)を持つので、ステップS502に進む。
【0024】
ステップS502では、前段のステップS501において「子供」と見なされた各構成要素(例えば、構成要素902、903、904、905)のそれぞれを処理の対象として、別途、ステップS501からの手順を実行する。即ち、ステップS502の内部処理(サブルーチン)においては、「子供」であった構成要素902、903、904、905は、別途、「親」としてステップS501からの手順が実行される。ステップS502において、各「子供」および、この「子供」の「子供」などに対する、現在の階層よりも低い階層の全てのサブルーチンが終った後、ステップS503に進む。
【0025】
ステップS503では、現在の処理手順の階層における「子供」に相当する各構成要素について、互いの相対的な位置関係が左右で反転する。言い換えれば、各構成要素について、GUI全体における位置関係を左右で反転させる。ここでの一例として、ステップS501において、文字スタイル変更パネル901を処理対象としている場合の階層について考える。この場合のステップS503の処理対象は、上記パネル901の「子供」に相当する構成要素902、903、904、905の4つである。具体的には、これら構成要素902、903、904、905の左右の位置関係を反転させることになるが、この場合には、ボタン903とボタン904の左右の位置が入れ替わる。ステップS503の別の一例として、ステップS501において、構成要素902を処理対象としている場合の階層について考える。この場合のステップS503の処理対象は、上記構成要素902の「子供」に相当する構成要素906、907、908、908の4つである。具体的には、これら構成要素906、907、908、908の左右の位置関係を反転させることになるが、この場合には、チェックボックス906、907、908の3つの左右の位置関係が入れ替わる。
【0026】
ステップS504では、ステップS501で処理対象としているGUIまたはその構成要素がアートワークを持つかどうかを特定する。ここで、「アートワークを持つ」という意味は、そのGUIまたは構成要素そのものが、それを構成する各構成要素とは別に、見た目として表現するべき視覚的情報を持っているという意味である。一般的に、ボタン903などの「子供」を持たない構成要素は、何らかのアートワークを持っている。逆に、構成要素902のように、「子供」を持つ構成要素は、それ自体はアートワークを持たない。アートワークを持つ構成要素は、その構成要素自体の左右の位置関係を反転してしまうと、本来の視覚的情報を失ってしまう。従って、本実施形態では、ステップS504で判断対象となる構成要素について、それがアートワークを持つ場合にはステップS505に進み、アートワークを持たない場合には現在対象としている構成要素への処理を終了する。本実施形態では、各構成要素がアートワークを持つかどうかを、図10に示すようなテーブルを装置内に記憶しておくことによって、いつでもその属性を判定できるものとする。そして、このテーブルは、GUIの編集者などにより適宜変更できる。
【0027】
ステップS505では、現在判断対象となっている構成要素について、そのアートワークが左右の反転が可能であるか否かを判断し、もし左右反転が可能であればステップS506に進み、もし不可能であれば、現在対象としている構成要素への処理を終了する。
【0028】
ステップS506では、左右反転が可能なアートワークを持つ構成要素について、その左右の位置関係が反転するように変更する。例えば、パネル背景に相当する構成要素905などは、この処理が可能である。例えば、このようなパネル背景では、単純なグラデーションにより背景色が塗られただけのアートワークを持つ。このような場合には、左右反転を行っても問題がないであろう。
【0029】
図11は、図9(a)に示したGUI901、即ち、文字スタイル変更パネルを、上記図5の手順に沿って左右反転処理した結果である。その結果であるGUI1100は、GUI901と比較すると、「OK」ボタンと「キャンセル」ボタンの位置関係が左右で反転している。更には、3つのチェックボックス906〜908の位置関係も左右で反転している。
【0030】
以上の処理により、ステップS404において「Save」の指示がされた場合には、編集されたGUIそのもの(GUI901)を表すデータと、上記反転処理されたGUI(GUI1100)を表すデータの2種類が、GUIデータ格納装置101に格納できる。そして、映像送受信装置Aおよび映像送受信装置Bとの間でテレビ会議が行われるような場合には、一方の装置でGUI901を表示し、他方の装置でGUI1100を表示することにより、双方向の画像通信を行う。これにより、上記2つの装置のそれぞれのユーザーが、互いに違和感のない画面表示を行うことができる。なお、ここで格納されるGUIのデータ形式としては、例えば、SVG(Scalable Vector Graphics)やHTML(HyperText Markup Language)といった既存のフォーマットを利用すれば良い。
【0031】
<映像送受信装置の動作>
図3は、上述した各映像送受信装置の機能構成図である。ここでは、映像送受信装置Aとして説明するが、映像送受信装置Bも同様の機能構成図によって説明できる。この映像送受信装置は、テレビ会議システムにおいて、それぞれの地点に置かれる端末に相当する。この装置は、基本的な機能として、映像を送信する映像送信部308、映像を受信する映像受信部304を備え、これらが種々のネットワークを介して他の映像送受信装置と通信することによってテレビ会議を実行できる。また、ディスプレイに相当する映像表示部302を有し、装置表面に備えるタッチパネル301と共同してタッチパネルディスプレイとして利用可能である。また、映像表示部302は、後述する受信映像表示部303、電子データ表示部305、GUI表示部306から供給される各種データを画像として合成して表示する。映像受信部304は、外部の映像送受信装置から、テレビ会議で利用するための種々の情報を受信する。映像送信部308は、自装置が保有する各種情報をテレビ会議を行うにあたって外部の映像送受信装置に送信する。GUIデータ取り込み部307は、上述したGUIデータ格納装置から、自装置の映像表示部に表示するべきGUIを表すGUIデータを受信する。
【0032】
図6は、1つの映像送受信装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。ステップS600では、テレビ会議を行う相手の映像送受信装置との通信を確立する。ステップS601では、自分の装置の識別情報を取得する。例えば、テレビ会議を行う相手の映像送受信装置とネゴシエーションを行い、それぞれの装置の識別情報を共有する。ステップS602では、映像送受信装置が利用する、GUIデータ格納装置101に格納されたGUIデータの読み込みを行う。このGUIデータの読み込みは、GUIデータ取り込み部307によって、GUIデータ格納装置101にアクセスすることによって行われる。例えば、自分の装置が、映像送受信装置Aである場合には、GUIデータ取り込み部307によって、映像送受信装置A用GUIデータ102を読み込む。ここでは、映像送受信装置A用のGUIデータと映像送受信装置B用のGUIデータは、上述したGUI901とGUI1100の関係である。ステップS603では、ユーザー操作により、機器への終了指示がなされたかどうかを判定する。もし、ユーザーがリモコン操作などで「終了」を指示した場合、映像送受信装置は動作を終了する。もし「終了」の指示が行われていない場合には、ステップS604に進む。ステップS604では、映像受信部304によって、通信相手である映像送受信装置からの映像を受信する。ここで受信した映像は、自分の装置における受信映像表示部303に送られる。ステップS605では、上述した編集中のドキュメント704などに代表される電子データの状態を取得する。ここでは、テレビ会議の参加者同士が共同して編集している電子データが、現在どのような編集結果になっているかを表す情報を取得する。ここで取得された電子データは、電子データ表示部305に送られる。ステップS606では、GUIの状態を取得する。ここでは、上記電子データ同様に、ディスプレイに表示中のGUIに対して、テレビ会議の参加者がどのような操作を行っているかを取得する。ここで取得されたGUIの状態情報は、GUI表示部306に送られる。ステップS607では、ディスプレイに表示する画像を作成する。ここでは、受信映像表示部303、電子データ表示部305、GUI表示部306が取得した現時点の情報(相手の映像、編集中の電子データ、操作中のGUIなどが如何なるものかを示す情報)を利用し、ディスプレイに表示する画像を作成する。例えば、テレビ会議の相手から受信した最新映像と、受信済みの最新の電子データと、最新のGUIとを合成した画像を作成する。ステップS608では、ステップ607で作成された表示用の画像が映像表示部302に送られ、そこで表示される。ステップS609では、テレビ会議の各参加者がGUIへの操作が行われたかどうかを判定する。GUIの操作が行われた場合にはステップS610に進み、GUIの操作が行われない場合にはステップS603に戻る。ステップS610では、会議参加者により行われたGUIの操作に対応する処理を行う。例えば、ディスプレイ(映像表示部302)に表示されている編集中のドキュメント(電子データ)を、拡大して表示させる指示を、会議参加者がGUIを介して操作した場合には、そのドキュメントを拡大する処理を行う。以上の処理の結果は、次のディスプレイへ表示する画像を更新する際に反映されることになる。なお、更新前後の表示画像同士の差異を出来るだけ小さくするために、ステップS604からステップS610までの処理は、短い周期で繰り返されることが望ましい。
【0033】
以上によれば、上述したような映像送受信装置AとBとの間で、各装置に向かう会議参加者が、自装置に表示されるGUIと会議相手の位置関係に違和感を感じることなく、テレビ会議を行うことができる。
【0034】
[変形例]
なお、上記実施形態1では、GUI作成装置200において映像送受信装置A用のGUI(例えばGUI901)を編集し、SAVEした直後に、図5の手順に従って、自動的に映像送受信装置B用のGUI(例えばGUI1100)を作成していた。しかしながら、図5の左右反転処理の結果を、確認できるようにしても良い。例えば、上述した図12(a)において、編集者が「Preview」ボタンを押下した場合には、図12(b)のプレビューア1205のように、映像送受信装置A用のGUIと映像送受信装置B用のGUIを並べて表示し、確認できるようにしても良い。この機能を備えることによって、左右反転処理の結果が編集者の意図に合ったものであるかを予め確認できる。
【0035】
また、以上の実施形態は、アニメーションを行うGUIに対しても適用できる。一般的にアニメーションを行うGUIは、SVG等のベクタ形式のフォーマットで表現される。このようなフォーマットでは、移動や回転のアニメーションは起点および終点の座標で定義されることで表現される。よって、ステップS503における「子供」の構成要素の配置を左右で反転する処理で、対象となる構成要素がアニメーションを処理する場合には、その起点や終点のGUIにおける相対位置を左右で反転するようにしても良い。これにより、例えば、映像送受信装置A側でアイコンが右から左に移動する場合には、映像送受信装置B側で上記アイコンが左から右に移動する。これにより、映像中の会議参加者と自分とが、その移動するアイコンを追う視線が一致するので、違和感が無くなる。
【0036】
また、上記ステップS504〜S506などで説明したアートワークを持つ構成要素の存在を考慮して、更に以下のような工夫をしても良い。図13(a)は、映像送受信装置A側のタッチパネル1301でユーザーA1302がGUI1303を操作している様子である。このGUI1303には、スライダという構成要素1304を含んでいる。一般的なスライダは、左に移動するとだんだん値が小さくなり、右に移動するとだんだん値が大きくなる。従って、このスライダ1304のアートワークは左右方向についての意味があり、左右を反転してしまうと相手の会議参加者(閲覧者)が混乱するであろう。よって、スライダ1304のような構成要素は、左右の反転を行わない。図13(b)において、GUI1306は、GUI1303に左右反転処理を施した結果である。図8で説明したものと同様の考え方により、GUI全体における「OK」ボタンの位置は、左右で反転していることが理解できるだろう。これに対して、上述した性格を持つ「スライダ」である構成要素1307については、左右反転処理は施されていない。しかしながら、ここで1つの違和感が発生する心配がある。それは、図13(b)におけるユーザーA1308と、スライダである構成要素1307のつまみ(タッチして数値を移動操作する対象のマーク)との距離が、図13(a)のそれと比べ、遠い距離関係にある点である。この違和感を解消するため、以下のような工夫をすると良い。即ち、もし、ステップS505において、構成要素の左右反転処理が不可能であると特定した場合には、その構成要素の透過率を下げる。このように、ある構成要素の透過率を上下させる基準としては、図15に示すようなテーブル1501を装置内に保持しておくことが好ましい。このテーブル1501では、「透過させるか、透過させないか」で例示しているが、「透過率を高くするか、低くするか」に置き換えても良い。このテーブル1501を適宜参照することによって、各構成要素の透過率を制御することができる。
【0037】
図14に、上記工夫を行った場合の一例を示す。映像送受信装置B側のタッチパネル1401に表示される「左右反転処理ができない構成要素(スライダ1402)」については、透過を行わない。よって、この構成要素を非透過画像(領域1403)として表示する。これによって、構成要素1402に相当するスライダ(つまみ)をユーザーA1404が操作している場合であっても、そのユーザーA1404の手元が隠れて見えない。即ち、ユーザーA1404の手が上記スライダのつまみに届いていないにもかかわらず、その「つまみに手が届いていない」という状況が隠され、これを閲覧している装置Bの会議参加者には違和感が生じないという効果がある。
【0038】
なお、以上では、映像送受信装置とは別のGUI作成装置200がGUIの左右反転処理を実行する場合を説明したが、GUIを画像を表示する映像送受信装置のほうで、必要に応じて上述した左右反転処理を行う場合でも、上述の実施形態と同様の効果を奏する。図16に、この変形例を簡単に示す。図16に示す映像送受信装置A300は、上述した図2におけるGUI反転部206を備える。これによって、GUIデータ格納装置101に格納している1種類のGUIデータから、必要に応じて、左右反転処理が施されたGUIを作成することが可能になる。そして、映像送受信装置A300は、映像送受信装置Bとの間でネゴシエーションすることにより、一方の装置がオリジナルのGUIを表示し、他方が左右反転処理されたGUIを表示すれば良い。もし、装置Aが左右反転処理されたGUIを表示する場合には、GUI反転部206にて左右反転されたGUIを、その反転部を備える装置Aがそのまま表示すれば良い。一方で、もし、装置Bが反転されたGUIを表示する場合には、反転部206で反転された上記GUIを装置Aから装置Bに送信すれば良い。ただし、装置Aおよび装置Bの両方が、上記GUI反転部206を備えていれば、互いの装置間で、左右反転処理されたGUIを表す全てのデータを送信する手間は省略できるであろう。以上のように、テレビ会議を行う少なくとも一方の映像送受信装置が、上述した左右反転処理の機能を内蔵することにより、GUIデータ格納装置101に1種類のGUIデータを格納しておけば良くなる。即ち、GUIデータ格納装置101に必要とされるメモリ容量が少なくて済む。
【0039】
なお、上述した各実施形態は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上記実施形態の各工程や機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワークや記憶媒体を介してシステムに供給し、そのシステムのコンピュータ(またはCPU等)が上記プログラムを読み込んで実行する処理である。上記コンピュータプログラムや、それを記憶したコンピュータ可読記憶媒体も本発明の範疇に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表示部で第1のGUIを表示するとともに、第2の表示部で前記第1のGUIに相当する内容を示す第2のGUIを表示することにより、前記第1および第2の表示部の間でテレビ会議を行うために、前記第1および第2のGUIを表すデータを処理するデータ処理装置であって、
第1のGUIの各構成要素について、該GUIにおける相対位置を左右で反転させる第1の種類の構成要素と、前記相対位置を左右で反転させない第2の種類の構成要素とを特定する特定手段と、
第2のGUIとして、前記第1の種類の構成要素を左右で反転させた構成要素と、前記第2の種類の構成要素とからなるGUIを作成するGUI作成手段と、
を備えることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記第1の表示部を内部に備え、前記第2の表示部との間でテレビ会議を行うことを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記第2の表示部を内部に備え、前記第1の表示部との間でテレビ会議を行うことを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記GUI作成手段は、前記第1の種類の構成要素として、起点および終点が定義されたアニメーションを処理する場合には、前記起点および終点のGUIにおける相対位置を左右で反転することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記GUI作成手段は、前記第1の種類の構成要素を透過画像とし、前記第2の種類の構成要素を非透過画像とすることにより、GUIを作成することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記第1の表示部における前記第1のGUIの表示位置と、前記第2の表示部における前記第2のGUIを表示位置は、左右が反転した位置関係となっていることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
コンピュータに読み込み込ませ実行させることで、前記コンピュータを請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデータ処理装置として機能させるコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
第1の表示部で第1のGUIを表示するとともに、第2の表示部で前記第1のGUIに相当する内容を示す第2のGUIを表示することにより、前記第1および第2の表示部の間でテレビ会議を行うために、前記第1および第2のGUIを表すデータを処理するデータ処理方法であって、
特定手段によって、第1のGUIの各構成要素について、該GUIにおける相対位置を左右で反転させる第1の種類の構成要素と、前記相対位置を左右で反転させない第2の種類の構成要素とを特定する特定工程と、
GUI作成手段によって、第2のGUIとして、前記第1の種類の構成要素を左右で反転させた構成要素と、前記第2の種類の構成要素とからなるGUIを作成するGUI作成工程と、
を備えることを特徴とするデータ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−253367(P2011−253367A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127071(P2010−127071)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】