説明

データ出力装置、色変換装置、および色変換システム

【課題】多色プロセス画像と特色画像とを区別して再現することができるデータ出力装置、色変換装置、および色変換システムを提供することを目的とする。
【解決手段】複数の色要素で構成される第1の色要素群で原画像の色が定義された第1の画像データに対し、所定色要素がプロセス色であるか特色であるかを判定する。第1の画像データを複数の色要素からなる第2の色要素群で色が定義された第2の画像データに変換する色変換装置に対し、所定色要素がプロセス色である場合は、プロセス色と他の色要素との混色を第2の色要素群で再現する指示を伝え、所定色要素が特色である場合は、特色を第2の色要素群で再現する指示を伝える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色変換装置に向けて画像データを出力するデータ出力装置、画像データを取得してその画像データに色変換処理を施す色変換装置、および色変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー印刷の分野においては、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(黒)4色のプロセスインクが使用され、それらのプロセスインクが重ね合わされることによって様々な色が表現されている。しかし、プロセスインクの組み合わせでは表現しにくい金色や銀色などといった色や、企業のイメージカラーなどのように、使用頻度が高く、微妙な色合いを常に安定して出力することが要求される色などについては、「特色」としてその色をそのまま表現するように特別に調整されたインク(以下、この特色用のインクを特色インクと称する)が用いられる。特色インクを使用可能な印刷機などでは、原画像のうちの特色の画像部分を表わす特色データと、原画像のうちの特色以外の画像部分がC,M,Y,Kそれぞれに色分解された4色のプロセス色データとが入力され、それら特色データおよびプロセス色データに基づいて、特色は特色インクで表現され、特色以外の色はプロセスインクで表現されたカラー画像(以下では、特色インクのみ、あるいは特色インクとプロセスインクとを使って出力される画像を特色画像と称する)が作成される。
【0003】
また、近年では、C,M,Y,K4色のインクに加えて、O(オレンジ)やG(グリーン)などの追加インクを使用し、印刷機等の色再現領域を拡大することが行われてきている。この場合、O色やG色は特色ではなくプロセス色として扱われ、原画像がC,M,Y,K,O,Gそれぞれに色分解された6色のプロセス色データに基づいて、原画像全体が6色のプロセスインクで構成されたカラー画像(以下では、特色インクを使わずに出力される画像をプロセス画像と称し、プロセス画像の中でも、CMYK4色以外の追加インクが使用されて出力される画像を多色プロセス画像と称する)が作成される。このように、C,M,Y,K以外の色をプロセス色として加えることによって、印刷機等で表現可能な色を増加させることができる。
【0004】
ところで、汎用のプルーファなどには、C,M,Y,K4色以外の色のインクを使用できないものも多く、そのような出力デバイスでは、特色も特色以外の色と同様にプロセスインクを使って表現することが行われている(例えば、特許文献1参照)。このような出力デバイスで特色画像を再現する場合、C,M,Y,K4色のプロセス色データと特色データとが取得されると、C,M,Y,K4色のプロセス色データそれぞれが表わす4色の色版画像が重ね合わされてなるプロセス色の画像部分がプルーファ用のC´,M´,Y´,K´4色に色分解されて、C´,M´,Y´,K´4色のプロセス分解データが生成されるとともに、特色データが表わす特色の画像部分もC´,M´,Y´,K´4色に色分解されて、C´,M´,Y´,K´4色の特色分解データが生成される。その結果、原画像のうちの特色以外の色は、プロセス分解データに基づいてC´,M´,Y´,K´4色の混色として再現され、原画像のうちの特色は、特色分解データに基づいてC´,M´,Y´,K´4色の混色として再現される。このように、特色と特色以外の色とをそれぞれ別に色分解して再現することによって、特色は、原画像中の特色に近い色で表現することができ、特色以外の色は、原画像の色を精度良く再現することができる。
【特許文献1】特開2001−232868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述したように、近年では、C,M,Y,K4色以外の色を、特色としてではなくプロセス色として利用することが行われている。このようなC,M,Y,K以外の色(O,G)をプロセス色として利用した多色プロセス画像をプルーファで再現する場合には、原画像がC,M,Y,K,O,Gそれぞれに色分解された6色のプロセス色データが取得される。しかし、従来のプルーファでは、C,M,Y,K,O,G6色のプロセス色データが取得されても、C,M,Y,K色のプロセス色データがプルーファ用のC´,M´,Y´,K´4色のプロセス分解データに変換され、さらにO,G2色のプロセス色データがそれぞれにC´,M´,Y´,K´4色の特色分解データに変換されてしまい、O,G色が含まれた画像部分の色が不自然な色に変換されてしまって、再現精度が劣化してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、多色プロセス画像と特色画像とを区別して再現することができるデータ出力装置、色変換装置、および色変換システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明のデータ出力装置は、複数の色要素からなる第1の色要素群で原画像の色が定義された第1の画像データを取得する取得部と、
取得部で取得された第1の画像データを、複数の色要素からなる第2の色要素群で色が定義された第2の画像データに変換する色変換装置に向けて第1の画像データを出力する出力部と、
取得部で取得された第1の画像データについて、第1の色要素群を構成する複数の色要素中の所定色要素がプロセス色であるか特色であるかを判定する特色判定部と、
特色判定部でプロセス色であると判定された場合には、色変換装置に対し、そのプロセス色と他の色要素との混色が第2の色要素群で再現されるように第1の画像データを第2の画像データに変換することを指示し、特色判定部で特色であると判定された場合には、色変換装置に対し、特色が第2の色要素群で再現されるように第1の画像データを第2の画像データに変換することを指示する指示部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明のデータ出力装置によると、第1の画像データが取得されると、その第1の画像データについて所定色要素がプロセス色であるか特色であるかが判定され、プロセス色であると判定された場合には、そのプロセス色と他の色要素との混色を第2の色要素群で再現する指示が第1の画像データとともに色変換装置に向けて出力され、特色であると判定された場合には、その特色を第2の色要素群で再現する指示が第1の画像データとともに出力される。色変換装置では、データ出力装置から伝えられた指示に従って第1の画像データが第2の画像データに変換されることによって、第1の画像データが表わす原画像に特色が含まれている場合は、特色と特色以外の色とが別々に第2の色要素群で再現され、原画像に特色が含まれていない場合は、原画像の色がプロセス色の混色として扱われて、その混色が第2の色要素群で再現される。したがって、特色を含む特色画像と、C,M,Y,K以外のプロセス色が使用される多色プロセス画像とを区別して再現することができ、原画像を精度良く再現することができる。
【0009】
また、本発明のデータ出力装置において、「第1の画像データは、原画像が第1の色要素群を構成する複数の色要素それぞれに色分解された複数の色要素画像それぞれを表わす複数の色データで構成されたものであり、
上記取得部で取得された第1の画像データを構成する複数の色データそれぞれと、第1の色要素群を構成する複数の色要素それぞれとを所定の基準に従って関連付ける色関連部を備え、
上記出力部は、色関連部において関連付けがなされた第1の画像データを色変換装置に向けて出力するものである」という形態は好ましい。
【0010】
色関連部が備えられることによって、第1の画像データを構成する複数の色データそれぞれに対して、C,M,Y,K以外の色を特色ではなくプロセス色として関連付けることができる。
【0011】
また、本発明のデータ出力装置において、上記取得部は、前記複数の色データを順次に取得するものであり、
上記色関連部は、複数の色データそれぞれと、第1の色要素群を構成する複数の色要素それぞれとを、取得部で複数の色データが取得された順に関連付けるものであることが好ましい。
【0012】
予め決められた順番で複数の色データが取得されることによって、複数の色データそれぞれと複数の色要素それぞれとを確実に関連付けることができる。
【0013】
また、本発明のデータ出力装置において、「第1の画像データは、第1の色要素群を構成する複数の色要素それぞれの色名が付された複数の色データで構成されるものであり、
複数の色データそれぞれに付された色名が表わす色と、色関連部において各色データに関連付けられた色要素とが一致するか否かを判定する一致判定部を備え、
上記出力部は、一致判定部で一致すると判定された場合にのみ、第1の画像データを色変換装置に向けて出力するものである」という形態は好ましい。
【0014】
複数の色データそれぞれに色名が付され、それらの色名が表わす色と色関連部で関連付けられた色要素とが一致する場合にのみ、第1の画像データが色変換装置に出力されることによって、色データに誤った色要素が関連付けられたまま、誤った色変換が実行されてしまう不具合が回避される。
【0015】
また、本発明のデータ出力装置において、「上記取得部は、所定色要素がプロセス色である第1の画像データが格納されるプロセス格納部と、所定色要素が特色である第1の画像データが格納される特色格納部とを備えたものであり、
上記判定部は、プロセス格納部に格納された第1の画像データについては所定色要素がプロセス色であると判定し、特色格納部に格納された第1の画像データについては所定色要素が特色であると判定するものである」という形態は好適である。
【0016】
本発明の好適な形態のデータ出力装置によると、オペレータは、C,M,Y,K以外の追加色を特色として再現したい場合には、第1の画像データを特色格納部に格納し、追加色をプロセス色として再現したい場合には、第1の画像データをプロセス格納部に格納すればよく、特色画像や多色プロセス画像を容易に区別して再現することができる。
【0017】
また、本発明のデータ出力装置において、上記取得部は、所定色要素と第2の色要素群との対応関係、および第1の色要素群のうち所定色要素を除く色要素と第2の色要素群との対応関係が示された特色用プロファイル、あるいは、第1の色要素群と第2の色要素群との対応関係が示されたプロセス用プロファイルのうちのいずれかのプロファイルが対応付けられた第1の画像データを取得するものであり、
上記判定部は、特色用プロファイルが対応付けられた第1の画像データについては所定色要素がプロセス色であると判定し、プロセス用プロファイルが対応付けられた第1の画像データについては所定色要素が特色であると判定するものであることも好ましい。
【0018】
ここで、本発明にいう「画像データとプロファイルとの対応付け」とは、データ出力装置などに予めプロファイルを記憶しておき、さらにそのプロファイルと対応付ける画像データのデータ名を記憶しておくものであってもよく、画像データに、その画像データと対応付けるプロファイルの名称が含まれたデータ名を付加するものであってもよく、画像データ中に、その画像データと対応付けるプロファイルの名称等を組み込むものであってもよい。
【0019】
従来から、画像データにプロファイルを対応付け、そのプロファイルを使って画像データに色変換処理を施すことが一般的に行われている。プロセス用プロファイルと特色用プロファイルのうちのいずれかのプロファイルが対応付けられた第1の画像データを取得し、判定部において、そのプロファイルを使って所定色要素がプロセス色であるか特色であるかを判定することによって、従来のプルーフシステムを大きな変更を伴わずに流用することができる。
【0020】
また、上記目的を達成する本発明の色変換装置は、複数の色要素からなる第1の色要素群で原画像の色が定義された第1の画像データを、第1の色要素群を構成する複数の色要素中の所定色要素と他の色要素との混色を、複数の色要素からなる第2の色要素群で再現する第1の指示、あるいは所定色要素を第2の色要素群で再現する第2の指示とともに取得する指示取得部と、
指示取得部で第1の指示が取得された場合には、第1の指示に従って、第1の画像データを第2の色要素で原画像の色が定義された第2の画像データに変換するとともに、指示取得部で第2の指示が取得された場合には、第2の指示に従って、第1の画像データを第2の画像データに変換する変換部とを備えたことを特徴とする。
【0021】
本発明の色変換装置によると、指示取得部で取得された指示に従って第1の画像データを第2の画像データに変換することによって、特色が含まれる原画像と、C,M,Y,K以外の追加色がプロセス色として利用された原画像とを区別して再現することができる。
【0022】
尚、色変換装置については、ここではその基本形態のみを示すのにとどめるが、これは単に重複を避けるためであり、本発明にいう色変換装置には、上記の基本形態のみではなく、前述したデータ出力装置の各形態に対応する各種の形態が含まれる。
【0023】
また、上記目的を達成する本発明の色変換システムは、複数の色要素からなる第1の色要素群で原画像の色が定義された第1の画像データを取得する取得部と、
取得部で取得された第1の画像データを、複数の色要素からなる第2の色要素群で色が定義された第2の画像データに変換する色変換装置に向けて第1の画像データを出力する出力部と、
取得部で取得された第1の画像データについて、第1の色要素群を構成する複数の色要素中の所定色要素がプロセス色であるか特色であるかを判定する特色判定部と、
特色判定部でプロセス色であると判定された場合には、色変換装置に対し、プロセス色と他の色要素との混色が第2の色要素群で再現されるように第1の画像データを第2の画像データに変換することを指示し、特色判定部で特色であると判定された場合には、色変換装置に対し、特色が第2の色要素群で再現されるように第1の画像データを第2の画像データに変換することを指示する指示部と、
第1の画像データを、第1の指示、あるいは第2の指示とともに取得する指示取得部と、
指示取得部で第1の指示が取得された場合には、第1の指示に従って、第1の画像データを第2の色要素で原画像の色が定義された第2の画像データに変換するとともに、指示取得部で第2の指示が取得された場合には、第2の指示に従って、第1の画像データを第2の画像データに変換する変換部とを備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明の色変換装置によると、多色プロセス画像と特色画像とを区別して再現することができる。
【0025】
尚、色変換システムについても、ここではその基本形態のみを示すのにとどめるが、これは単に重複を避けるためであり、本発明にいう色変換システムには、上記の基本形態のみではなく、前述したデータ出力装置の各形態に対応する各種の形態が含まれる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、多色プロセス画像と特色画像とを区別して再現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態が組み込まれた印刷・プルーフシステムの全体構成図である。
【0029】
図1に示す印刷・プルーフシステムは、主には、カラースキャナ10、ワークステーション20、CTP30、特色印刷機41、多色プロセス印刷機42、パーソナルコンピュータ50、およびカラープリンタ60で構成されている。本実施形態においては、特色印刷機41は、C,M,Y,K4色のプロセス色インクと、S(シルバー)の特色インクとを使って画像を形成するものであり、多色プロセス印刷機42は、C,M,Y,K4色にO,G2色を加えた計6色のプロセス色インクを使って画像を形成するものであり、カラープリンタ60は、C´,M´,Y´,K´4色のプロセスインクを使って画像をプリント出力するものである。
【0030】
カラースキャナ10では、原稿画像が読み取られて、その原稿画像を表わすR、G,B3色の色分解画像データが生成される。このRGBの色分解画像データはワークステーション20に入力される。また、図示しないが、パーソナルコンピュータなどを使って作成されたC,M,Y,K4色の色分解画像データや、デジタルカメラで被写体が撮影されて得られたL,a,b3色の色分解画像データなどもワークステーション20に入力される。このワークステーション20は、接続ケーブルを介して色分解画像データを受け取るものであってもよく、ワークステーション20とカラースキャナ10とが離れた場所に設置されているときは、ワークステーション20から、例えばコンピュータネットワークを介して、あるいは、MOディスク(光磁気ディスク)などといった記憶媒体によって色分解画像データを受け取るものであってもよい。
【0031】
ワークステーション20では、オペレータにより、入力された色分解画像データに基づく電子的な集版が行なわれ、印刷用の画像を表わす印刷画像データが生成される。
【0032】
特色画像を印刷する際には、ワークステーション20を操作するオペレータによって、CMYK4色のプロセスインクのみでなく、特色インク(シルバー:S)を使用した印刷を行うことが決定され、電子集版では、その特色を含めた画像がデザインされる。その結果、印刷される印刷画像のうち、特色インクで刷られる特色の画像部分を表わす特色データと、特色以外の画像部分がC,M,Y,K4色に色分解された4色のプロセス色データとで構成された印刷画像データが生成される。生成された印刷画像データは、印刷を行う場合はCTP30に入力され、CTP30では、その入力された印刷画像データに対応した、CMYK各プロセス色版とSの特色版とからなる刷版が作成される。作成された刷版は特色印刷機41に装着され、インクが塗布されて、その塗布されたインクが印刷用の用紙上に転写される。このようにして、特色データが表わす画像部分が特色インクで構成され、CMYK4色のプロセス色データが表わす画像部分がCMYK4色のプロセスインクで構成された特色画像41aが形成される。
【0033】
また、多色プロセス画像を印刷する際には、ワークステーション20を操作するオペレータによって、CMYKOG6色のプロセスインクを使用する画像がデザインされる。その結果、印刷される印刷画像がC,M,Y,K,O,G6色に色分解された6色のプロセス色データで構成された印刷画像データが生成される。生成された印刷画像データはCTP30に入力され、CTP30では、CMYKOG各プロセス色刷で構成された刷版が作成される。刷版は多色プロセス印刷機42に装着され、画像全体がCMYKOG6色のインクで構成された多色プロセス画像42aが形成される。
【0034】
特色画像41aや多色プロセス画像42aを印刷するための作業は、刷版を作成して印刷機41,42に装着し、その刷版にインクを塗布して用紙上に印刷を行う大掛かりな作業であり、コストもかかる。このため、実際の印刷作業を行う前に、以下のようにしてプルーフ画像61a,62aを作成し、特色画像41aや多色プロセス画像42aの仕上がりの事前確認が行われる。
【0035】
プルーフ画像61a,62aを作成するにあたっては、ワークステーション20上の電子集版により作成された印刷画像データがパーソナルコンピュータ50に入力され、パーソナルコンピュータ50では、印刷画像データがカラープリンタ60用のプルーフ画像データに変換される。
【0036】
パーソナルコンピュータ50に、特色画像41aを表わす印刷画像データが入力された場合は、印刷画像データを構成する特色データが、特色がカラープリンタ60用のC´M´Y´K´4色に色分解された4色の特色分解データに変換され、印刷画像データを構成するCMYK4色のプロセス色データが、特色以外の混色がC´M´Y´K´4色に色分解された4色のプロセス分解データに変換される。さらに、それら特色分解データとプロセス分解データとが合成されることによって、C´M´Y´K´4色の合成色分解データによって構成されたプルーフ画像データが生成される。生成されたプルーフ画像データはカラープリンタ60に送られ、カラープリンタ60では、プルーフ画像データに基づいて、特色印刷機41によって印刷される特色画像41aを再現したプルーフ画像61aが生成される。
【0037】
また、パーソナルコンピュータ50に、多色プロセス画像42aを表わす印刷画像データが入力された場合は、印刷画像データを構成するCMYKOG6色のプロセス色データが、それらのプロセス色データが表わす画像がカラープリンタ60用のC´M´Y´K´4色に色分解された4色のプロセス分解データに変換されることにより、4色のプロセス分解データで構成されるプルーフ画像データが生成される。カラープリンタ60では、プルーフ画像データに基づいて、多色プロセス印刷機42によって印刷される多色プロセス画像42aを再現したプルーフ画像62aが生成される。
【0038】
このようにして作成されたプルーフ画像61a,62aを確認することにより、印刷の仕上りを事前に確認することができる。
【0039】
ここで、図1に示す印刷・プルーフシステムにおける本発明の一実施形態としての特徴は、パーソナルコンピュータ50で実行される処理内容にある。まずは、このパーソナルコンピュータ50について詳しく説明する。
【0040】
図2は、図1に示すパーソナルコンピュータ50の外観斜視図、図3は、そのパーソナルコンピュータ50のハードウェア構成図である。
【0041】
パーソナルコンピュータ50は、図2に示すように、外観構成上、本体装置51、その本体装置51からの指示に応じて表示画面52a上に画像を表示する画像表示装置52、本体装置51に、キー操作に応じた各種の情報を入力するキーボード53、および、表示画面52a上の任意の位置を指定することにより、その位置に表示されたアイコン等に応じた指示を入力するマウス54を備えている。また、本体装置51は、外観上、フレキシブルディスク(以下では、FDと省略する)を装填するためのFD装填口51a、およびCD−ROMを装填するためのCD−ROM装填口51bを有する。
【0042】
本体装置51の内部には、図3に示すように、各種プログラムを実行するCPU511、ハードディスク装置513に格納されたプログラムが読み出されCPU511での実行のために展開される主メモリ512、各種プログラムやデータ等が保存されたハードディスク装置513、FD100が装填され、その装填されたFD100をアクセスするFDドライブ514、CD−ROM110をアクセスするCD−ROMドライブ515、図1のワークステーション20と接続され、ワークステーション20から画像データを受け取る入力インタフェース516、図1のカラープリンタ60と接続され、カラープリンタ60に画像データを送る出力インタフェース517が内蔵されており、これらの各種要素と、さらに図2にも示す画像表示装置502、キーボード503、およびマウス504は、バス55を介して相互に接続されている。
【0043】
ここで、CD−ROM110には、色変換プログラムが記憶されている。そのCD−ROM110はCD−ROMドライブ515に装填され、そのCD−ROM110に記憶された色変換プログラムがこのパーソナルコンピュータ50にアップロードされてハードディスク装置513に記憶される。そして、この色変換プログラムが起動されて実行されることにより、パーソナルコンピュータ50内に、本発明のデータ出力装置および色変換装置それぞれの一実施形態を兼ねた色変換装置が構築される。
【0044】
尚、上記では、色変換プログラムを記憶する記憶媒体としてCD−ROM110が例示されているが、色変換プログラムを記憶する記憶媒体はCD−ROMに限られるものではなく、それ以外の光ディスク、MO、FD、磁気テープなどの記憶媒体であってもよい。また、色変換プログラムは、記憶媒体を介さずに、入力インタフェース216を介して直接にパーソナルコンピュータ50に供給されるものであってもよい。
【0045】
次に、色変換プログラムについて説明する。
【0046】
図4は、色変換プログラムが記憶されたCD−ROM110を示す概念図である。
【0047】
図4に示すように、CD−ROM110に記憶された色変換プログラム200は、設定部210、取得部220、色関連部230、特色判定部240、指示部250、および色変換部260で構成されている。
【0048】
色変換プログラム200の各部の詳細については、色変換装置の各部の作用と一緒に説明する。
【0049】
図5は、色変換装置の機能ブロック図である。
【0050】
色変換装置300は、設定部310と、取得部320と、色関連部330と、特色判定部340と、指示部350と、色変換部360とを有している。
【0051】
色変換装置300を構成する、設定部310と、取得部320と、色関連部330と、特色判定部340と、指示部350と、色変換部360は、図4に示す色変換プログラム200を構成する、設定部210、取得部220、色関連部230、特色判定部240、指示部250、および色変換部260にそれぞれ対応する。
【0052】
図5の各要素は、コンピュータのハードウェアとそのコンピュータで実行されるOSやアプリケーションプログラムとの組合せで構成されているのに対し、図4に示す色変換プログラム200の各要素はそれらのうちのアプリケーションプログラムのみにより構成されている点が異なる。
【0053】
上述したように、図1に示すワークステーション20からは、CMYK4色のプロセス色データとS色の特色データとで構成される印刷画像データや、CMYKOG6色のプロセス色データで構成される印刷画像データが入力される。
【0054】
色変換装置300の設定部310は、図1に示すマウス54やキーボード53がその役割を担うものであり、図1に示すワークステーション20で生成された印刷画像データが格納される格納フォルダと、印刷画像データを構成する複数の色版データが格納フォルダに入力される色順などが設定される。
【0055】
取得部320には、図3に示すハードディスク装置513がその役割を担う複数のドロップフォルダ50A,50Bが用意されている。ワークステーション20から送られてきた印刷画像データは、オペレータによって、ドロップフォルダ50A,50Bのうちのいずれかに格納される。取得部320は、本発明にいう取得部の一例に相当する。
【0056】
色関連部330は、取得部320において、印刷画像データを構成する複数の色版データそれぞれが入力された順番に従って、それら複数の色版データそれぞれに設定部310で設定された色順で色を関連付ける。色関連部330は、本発明にいう色関連部の一例に相当する。
【0057】
特色判定部340は、取得部320で取得された印刷画像データに対し、その印刷画像データが表わす画像に特色(S)が含まれているか否かを判定する。特色判定部340は、本発明にいう特色判定部の一例に相当する。
【0058】
図3に示すハードディスク装置513には、図1に示す特色印刷機41用のCMYK4色の色データとカラープリンタ60用のC´M´Y´K´4色の色データとが対応付けられた4次元−4次元のLUTと、特色印刷機41用のS(特色)の色データとC´M´Y´K´4色の色データとが対応付けられた1次元−4次元のLUTとで構成される特色用プロファイルと、多色プロセス印刷機42用のCMYKOG6色の色データとC´M´Y´K´4色の色データとが対応付けられた6次元−4次元のLUTである多色用プロファイルとが予め記憶されている。指示部350は、特色判定部340において、印刷画像データが表わす画像に特色が含まれていると判定された場合には、特色用プロファイルを使って色変換を行う指示とともに印刷画像データを色変換部360に送り、印刷画像に特色が含まれていないと判定された場合には、多色用プロファイルを使って色変換を行う指示とともに印刷画像データを色変換部360に送る。この指示部350は、本発明にいう出力部および指示部それぞれの一例に相当する。
【0059】
色変換部360は、指示部350から伝えられた指示に従って色変換処理を行い、印刷画像データをプルーフ画像データに変換する。変換されたプルーフ画像データは、カラープリンタ60に送られる。この色変換部360は、本発明にいう指示取得部および色変換部それぞれの一例に相当する。
【0060】
色変換装置300は、基本的には以上のように構成されている。
【0061】
続いて、この色変換装置300において、印刷画像データがプルーフ画像データに変換され、プルーフ画像がプリント出力されるまでの一連の処理について説明する。
【0062】
図6は、印刷画像データが取得されて、プルーフ画像がプリント出力されるまでの一連の処理を示す図である。
【0063】
プルーフ画像の生成に先立って、オペレータの操作に従って、印刷画像データが格納される格納フォルダと、印刷画像データを構成する複数の色版データそれぞれに関連付ける色順とが設定される(図6のステップS11)。この色変換装置300には、格納フォルダや色順を設定するための設定画面が予め用意されている。
【0064】
図7は、設定画面の一例を示す図である。
【0065】
設定画面400には、格納フォルダを指定するためのフォルダ指定部410と、色順を指定するための色順指定部420とが備えられている。フォルダ指定部410の入力欄、および色順指定部420の入力欄にはそれぞれに番号が付されており、同じ番号が付された入力欄に入力された格納フォルダと色順とが対応付けられる。この例では、プロファイル指定部410の1番目の指定欄に入力された「ドロップフォルダ50A」と、色順指定部420の1番目の指定欄に入力された「C,M,Y,K,特色(S)」の色順とが対応付けられ、プロファイル指定部410の2番目の指定欄に入力された「ドロップフォルダ50B」と、色順指定部420の2番目の指定欄に入力された「C,M,Y,K,O,G」の色順とが対応付けられる。すなわち、図5および図6で左側に示されている方のドロップフォルダ50Aには、C,M,Y,K4色のプロセス色とS(特色)とで構成される特色画像を表わす印刷画像データが入力され、CMYK4色のプロセス色版を表わすプロセス色データと、Sの特色版を表わす特色データに、C,M,Y,K,Sの順に色が関連付けられる。ドロップフォルダ50Aは、本発明にいう特色格納部の一例に相当する。また、図5および図6の右側に示すドロップフォルダ50Bには、C,M,Y,K,O,G6色のプロセス色で構成される多色プロセス画像を表わす印刷画像データが入力され、それら各色版を表わすプロセス色データに、C,M,Y,K,O,Gの順で色が関連付けられる。このドロップフォルダ50Bは、本発明にいうプロセス格納部の一例に相当する。
【0066】
図7に示すような設定画面400を使って、オペレータによって、格納フォルダや色順が設定される。
【0067】
続いて、オペレータは、印刷画像データを構成する複数の色版データのうち、CMYK以外の追加色の色版データを「特色」として扱いたい場合(すなわち、特色画像を再現したい場合)には、図1のワークステーション20から送られてきた印刷画像データを、図7の設定画面を使って特色画像用の格納フォルダとして設定した図5の左側のドロップフォルダ50Aに格納し、CMYK以外の追加色の色版データを「プロセス色」として扱いたい場合(すなわち、多色プロセス画像を再現したい場合)には、図1のワークステーション20から送られてきた印刷画像データを、多色プロセス画像用の格納フォルダとして設定した図5の右側のドロップフォルダ50Bに格納する。
【0068】
図5の左側に示すドロップフォルダ50Aに印刷画像データが格納された場合(図6のステップS12)、特色判定部340では、ドロップフォルダ50Aに対応付けられた色版(C,M,Y,K,特色)に基づいて、その印刷画像データが表わす画像に特色(S)が含まれていると判定される。判定結果は、指示部350に伝えられる。
【0069】
また、色関連部330では、印刷画像データを構成する複数の色版データそれぞれに対して、それら複数の色版データが入力された順番で、設定部310で設定された色順に色が関連付けられる(図6のステップS13)。この例では、ドロップフォルダ50Aに入力された5つの色版データに対し、その入力された順に、C,M,Y,K,特色(S)それぞれの色が関連付けられる。色版データに色が関連付けられた印刷画像データは、指示部350に伝えられる。
【0070】
指示部350では、色関連部330から伝えられた印刷画像データが色変換部360に送られる。また、特色判定部340において、特色が含まれていると判定されたため、特色用プロファイルを使った色変換を行う指示も色変換部360に送られる。
【0071】
色変換部360では、指示部350から伝えられた印刷画像データが、ハードディスク装置513に記憶された特色用プロファイルを使ってプルーフ画像データに変換される(図6のステップS14)。この特色用プロファイルは、図1に示す特色印刷機41用のCMYK4色の色データとカラープリンタ60用のC´M´Y´K´4色の色データとが対応付けられた4次元−4次元のLUTと、および特色印刷機41用のS(特色)の色データとC´M´Y´K´4色の色データとが対応付けられた1次元−4次元のLUTとで構成されたものであり、4次元−4次元のLUTに従って、印刷画像データを構成するCMYK4色のプロセス色データがC´M´Y´K´4色のプロセス分解データに変換され、1次元−4次元のLUTに従って、Sの特色データがC´M´Y´K´4色の特色分解データに変換される。変換後のプロセス分解データおよび特色分解データは、カラープリンタ60に伝えられる。
【0072】
カラープリンタ60では、プロセス分解データおよび特色分解データに基づいてプルーフ画像61aがプリント出力される。このプルーフ画像61aは、CMYK4色のプロセス色版画像と、Sの特色版画像との重ね合わせで表現される特色画像41aを再現したものであり、特色画像41a中のCMYK4色の混色が、C´M´Y´K´4色のプロセス分解データが表わす4色の混色によって表現されるとともに、特色画像41a中のS色(特色)が、C´M´Y´K´4色の特色分解データが表わす4色の混色によって表現されている。
【0073】
また、図1のワークステーション20から送られてきた印刷画像データが図5の右側に示すドロップフォルダ50Bに格納された場合(図6のステップS15)には、特色判定部340では、ドロップフォルダ50Bに対応付けられた色版(C,M,Y,K,O,G)に基づいて、その印刷画像データが表わす印刷画像には特色(S)が含まれていないと判定される。
【0074】
また、色関連部330では、ドロップフォルダ50Bに入力された6つの色版データに対し、その入力された順に、C,M,Y,K,O,Gそれぞれの色が関連付けられる(図6のステップS16)。
【0075】
続いて、指示部350では、色関連部330から伝えられた印刷画像データが、判定部での判定結果(特色が含まれていない)に基づいて、多色用プロファイルを使った色変換を行う指示とともに色変換部360に送られる。
【0076】
色変換部360では、指示部350から伝えられた印刷画像データが、ハードディスク装置513に記憶された多色用プロファイルを使ってプルーフ画像データに変換される(図6のステップS17)。多色用プロファイルは、図1に示す多色プロセス印刷機42用のCMYKOG6色の色データとカラープリンタ60用のC´M´Y´K´4色の色データとが対応付けられた6次元−4次元のLUTであり、印刷画像データを構成するCMYKOG6色のプロセス色データがC´M´Y´K´4色のプロセス分解データに変換される。変換後のプロセス分解データは、カラープリンタ60に伝えられる。
【0077】
カラープリンタ60では、C´M´Y´K´4色のプロセス分解データに基づいてプルーフ画像62aがプリント出力される。このプルーフ画像62aは、CMYKOG6色のプロセス色版画像の重ね合わせで表現される多色特色画像42aを再現したものであり、その多色特色画像42aの色がC´M´Y´K´4色のプロセス分解データが表わす4色の混色によって表現されている。
【0078】
以上のように、本実施形態によると、特色画像と多色画像とを区別して再現することができる。
【0079】
以上で、本発明の第1実施形態の説明を終了し、本発明の第2実施形態について説明する。本発明の第1実施形態と第2実施形態とでは、ほぼ同様の構成を有しているため、第1実施形態と同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点に注目して説明する。
【0080】
図8は、本発明の第2実施形態である色変換装置301の機能ブロック図である。
【0081】
図8に示すように、色変換装置301は、図5に示す第1実施形態の色変換装置300とほぼ同様の構成を有しているが、本実施形態の色変換装置301には、一致判定部370が備えられている。また、図5に示す第1実施形態の色変換装置300では、設定部310において、格納フォルダと、印刷画像データを構成する複数の色版データが入力される色順とが設定されるが、本実施形態の色変換装置301では、設定部310において、格納フォルダと、その格納フォルダに格納された印刷画像データをプルーフ画像データに変換するための色変換プロファイルとが設定される。
【0082】
図9は、格納フォルダと色変換プロファイルとを設定するための設定画面の一例を示す図である。
【0083】
設定画面500には、格納フォルダを指定するためのフォルダ指定部510と、色変換プロファイルを指定するためのプロファイル指定部520とが備えられている。フォルダ指定部510の入力欄、およびプロファイル指定部520の入力欄にはそれぞれに番号が付されており、同じ番号が付された入力欄に入力された格納フォルダと色変換プロファイルとが対応付けられる。この例では、プロファイル指定部520の1番目の指定欄に入力された「ドロップフォルダ50A」と、プロファイル指定部520の1番目の指定欄に入力された「特色用プロファイル1」とが対応付けられ、プロファイル指定部420の2番目の指定欄に入力された「ドロップフォルダ50B」と、プロファイル指定部420の2番目の指定欄に入力された「多色用プロファイル2」とが対応付けられる。
【0084】
図8に示す設定部310では、図9に示す設定画面500を使って入力された格納フォルダと色変換プロファイルとが設定される。
【0085】
図1のワークステーション20から送られてきた印刷画像データが、オペレータの指示に従って図5に示すドロップフォルダ50A,50Bのうちのいずれかに格納されると、特色判定部340では、図3に示すハードディスク装置513に記憶された各種色変換プロファイルのうち、印刷画像データが格納された格納フォルダと対応付けられた色変換プロファイルが取得される。また、特色判定部340では、取得された色変換プロファイルに基づいて、その色変換プロファイルを使ってプルーフ画像データに変換される印刷画像データが、どのような色版データで構成されており、それらの色版データがどのような色順で入力されるのかが分析される。本実施形態においては、ICCプロファイルのヘッダフォーマット中に標準的に用意されているパラメータ「Color Space」が参照され、その「Color Space」が「CMYK」であれば、CMYK4色のプロセス色+特色の色版データで構成された印刷画像データがC,M,Y,Kと順次に入力されると判定され、「6CLR」であれば、CMYKOG6色のプロセス色データで構成された印刷画像データがC,M,Y,K,O,Gと順次に入力されると判定される。判定結果は、色関連部330に伝えられる。
【0086】
色関連部330では、ドロップフォルダ50A,50Bに格納された印刷画像データが取得され、印刷画像データを構成する複数の色版データそれぞれに、入力された順番で、特色判定部340から伝えられた色順に色が関連付けられる。色が関連付けられた印刷画像データは、一致判定部370に伝えられる。
【0087】
ここで、本実施形態においては、印刷画像データを構成する複数の色版データには、各色版データが表わす色版画像の色名が付されている。一致判定部370では、色版データに関連付けられた色と、その色版データに付された色名が表わす色とが一致するか否かが判定され、一致すると判定された場合にのみ、印刷画像データが指示生成部350に伝えられる。一致しないと判定された場合には、図2に示す画像表示装置55にエラーメッセージの表示指示が伝えられ、表示画面55a上に「色不一致」というエラーメッセージが表示される。関連付けられた色と、色名が表わす色とが一致した場合にのみ印刷画像データが指示部350に送られることによって、誤った色変換が行われてしまう不具合が回避される。
【0088】
指示部350では、特色判定部340においてCMYK4色のプロセス色+特色の色版データで構成された印刷画像データが入力されると判定された場合には、色変換部360に、CMYK4色の色版データ以外の色版データを特色データとして扱う指示が伝えられ、CMYKOG6色のプロセス色の色版データで構成された印刷画像データが入力されると判定された場合には、色変換部360に、CMYK4色の色版データ以外の色版データもプロセス色データとして扱う指示が伝えられる。
【0089】
色変換部360では、指示部350から伝えられた指示に従い、設定部310において設定された色変換プロファイルを使って、印刷画像データがプルーフ画像データに変換される。
【0090】
このように、格納フォルダに色変換プロファイルを対応付け、その色変換プロファイルを分析して、印刷画像データが表わす画像に特色が含まれるか否かを判定することによっても、特色画像と多色プロセス画像とを区別して再現することができる。
【0091】
以上で、本発明の第2実施形態の説明を終了し、本発明の第3実施形態について説明する。本発明の第3実施形態は、上述した第1実施形態および第2実施形態とほぼ同様の構成を有しているため、第1実施形態および第2実施形態と同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態および第2実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0092】
図10は、第3実施形態の色変換装置の機能ブロック図である。
【0093】
本実施形態の色変換装置302は、第1実施形態の色変換装置300とほぼ同様の構成を有しているが、本実施形態の色変換装置302には、色関連部330および設定部310が備えられていない。また、本実施形態の色変換装置302は、CMYKOG6色のプロセス色に加えて、Sの特色インクを使って印刷画像を印刷する特色・多色印刷機用の印刷画像データが入力される。
【0094】
図1に示すワークステーション20を操作するオペレータによって、CMYKOG6色のプロセスインクに加えて、特色インク(S)を使用する印刷画像が編集され、特色インクで刷られる画像部分を表わす特色データと、特色以外の画像部分がC,M,Y,K,O,G6色に色分解された6色のプロセス色データとで構成された印刷画像データが生成される。オペレータによって、印刷画像データに基づいてプルーフ画像をプリント出力するジョブの実行が指示されると、印刷画像データを構成するCMYKOG6色のプロセス色データ、およびSの特色データそれぞれに、ジョブ名、色版データがプロセス色データか特色データかを示す符号、および色版データの色名等で構成されたデータ名が付され、それら色版データが図10のドロップフォルダ50Cに格納される。以下には、印刷画像データを構成する複数の色版データそれぞれに付されたデータ名の一例を示す。
【0095】
ジョブ名AAAAの印刷画像データ
C色:AAAA_P_Cyan.tif
M色:AAAA_P_Magenta.tif
Y色:AAAA_P_Yellow.tif
K色:AAAA_P_Black.tif
O色:AAAA_P_Orange.tif
G色:AAAA_P_Green.tif
S色:AAAA_S_Silver.tif
ジョブ名BBBBの印刷画像データ
C色:BBBB_P_Cyan.tif
M色:BBBB_P_Magenta.tif
Y色:BBBB_P_Yellow.tif
・・・
図10に示すドロップフォルダ50Cには、印刷画像データに基づいてプルーフ画像をプリント出力するジョブの実行が指示される毎に、上述したようなデータ名が付された複数の色版データが入力される。このため、ドロップフォルダ50Cには、複数のジョブ用の複数の色版データが混在して格納されている。
【0096】
取得部320は、ドロップフォルダ50Cに格納された複数の色版データのうち、同じジョブ名が含まれたデータ名が付された色版データをまとめて特色判定部340に伝える。
【0097】
特色判定部340は、取得部320から伝えられた複数の色版データのうち、データ名に特色を表わす「S」が含まれた色版データを検索する。また、特色判定部340は、指示部350に印刷画像データを伝えるとともに、検索して見つかった色版データが特色データであることを指示部350に伝える。
【0098】
指示部350は、色変換部360に印刷画像データを伝える。また、指示部350は、特色判定部340で判定された特色データに対しては、その特色データが表わす色をC´M´Y´K´に色分解する指示を色変換部360に伝え、特色データを除くプロセス色データに対しては、それらプロセス色データそれぞれが表わす色の混色をC´M´Y´K´に色分解する指示を色変換部360に伝える。
【0099】
色変換部360では、図3に示すハードディスク装置513に記憶された各種色変換プロファイルのうち、指定部350から伝えられた指示に応じた色変換プロファイルが取得され、その色変換プロファイルを使って、Sの特色データがC´M´Y´K´4色の特色分解データに変換され、CMYKOGのプロセス色データがC´M´Y´K´4色のプロセス分解データに変換される。
【0100】
このように、印刷画像データを構成する複数の色版データに特色データが含まれているか否かを判定するのではなく、どの色版データが特色データであるのかを判定することによって、CMYK4色に加えてOG色をプロセス色として扱い、さらに、S色を特色として扱うことができ、特色が含まれた多色プロセス画像を再現することができる。
【0101】
ここで、上記では、1つの色変換装置300内で、色変換の指示と色変換との双方を行う例について説明したが、本発明にいうデータ出力装置と色変換装置とは、別々の装置に設けられてもよい。
【0102】
また、上記では、色変換装置に色変換プロファイルを記憶しておく例について説明したが、本発明にいう特色用プロファイルやプロセス用プロファイルは、色変換装置とネットワーク等で接続されたサーバ装置などに記憶されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の一実施形態が組み込まれた印刷・プルーフシステムの全体構成図である。
【図2】パーソナルコンピュータの外観斜視図である。
【図3】パーソナルコンピュータのハードウェア構成図である。
【図4】色変換プログラムが記憶されたCD−ROMを示す概念図である。
【図5】色変換装置の機能ブロック図である。
【図6】印刷画像データが取得されて、プルーフ画像がプリント出力されるまでの一連の処理を示す図である。
【図7】格納フォルダと色順とを設定するための設定画面の一例を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態である色変換装置の機能ブロック図である。
【図9】格納フォルダと色変換プロファイルとを設定するための設定画面の一例を示す図である。
【図10】第3実施形態の色変換装置の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0104】
10 カラースキャナ
20 ワークステーション
30 CTP
41 特色印刷機
42 多色プロセス印刷機
50 パーソナルコンピュータ
60 カラープリンタ
51 本体装置
51a FD装填口
51b CD−ROM装填口
52a 表示画面
52 画像表示装置
53 キーボード
54 マウス
55 バス
511 CPU
512 主メモリ
513 ハードディスク装置
514 FDドライブ
515 CD−ROMドライブ
516 入力インタフェース
517 出力インタフェース
100 FD
110 CD−ROM
200 色変換プログラム
210 設定部
220 取得部
230 色関連部
240 特色判定部
250 指示部
260 色変換部
300 色変換装置
310 設定部
320 取得部
330 色関連部
340 特色判定部
350 指示部
360 色変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色要素からなる第1の色要素群で原画像の色が定義された第1の画像データを取得する取得部と、
前記取得部で取得された第1の画像データを、複数の色要素からなる第2の色要素群で色が定義された第2の画像データに変換する色変換装置に向けて該第1の画像データを出力する出力部と、
前記取得部で取得された第1の画像データについて、前記第1の色要素群を構成する複数の色要素中の所定色要素がプロセス色であるか特色であるかを判定する特色判定部と、
前記特色判定部でプロセス色であると判定された場合には、前記色変換装置に対し、該プロセス色と他の色要素との混色が前記第2の色要素群で再現されるように第1の画像データを第2の画像データに変換することを指示し、前記特色判定部で特色であると判定された場合には、前記色変換装置に対し、該特色が前記第2の色要素群で再現されるように第1の画像データを第2の画像データに変換することを指示する指示部とを備えたことを特徴とするデータ出力装置。
【請求項2】
前記第1の画像データは、前記原画像が前記第1の色要素群を構成する複数の色要素それぞれに色分解された複数の色要素画像それぞれを表わす複数の色データで構成されたものであり、
前記取得部で取得された第1の画像データを構成する複数の色データそれぞれと、前記第1の色要素群を構成する複数の色要素それぞれとを所定の基準に従って関連付ける色関連部を備え、
前記出力部は、前記色関連部において関連付けがなされた第1の画像データを前記色変換装置に向けて出力するものであることを特徴とする請求項1記載のデータ出力装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記複数の色データを順次に取得するものであり、
前記色関連部は、前記複数の色データそれぞれと、前記第1の色要素群を構成する複数の色要素それぞれとを、前記取得部で該複数の色データが取得された順に関連付けるものであることを特徴とする請求項2記載のデータ出力装置。
【請求項4】
前記第1の画像データは、前記第1の色要素群を構成する複数の色要素それぞれの色名が付された複数の色データで構成されるものであり、
前記複数の色データそれぞれに付された色名が表わす色と、前記色関連部において各色データに関連付けられた色要素とが一致するか否かを判定する一致判定部を備え、
前記出力部は、前記一致判定部で一致すると判定された場合にのみ、前記第1の画像データを前記色変換装置に向けて出力するものであることを特徴とする請求項2記載のデータ出力装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記所定色要素がプロセス色である第1の画像データが格納されるプロセス格納部と、該所定色要素が特色である第1の画像データが格納される特色格納部とを備えたものであり、
前記判定部は、前記プロセス格納部に格納された第1の画像データについては前記所定色要素がプロセス色であると判定し、前記特色格納部に格納された第1の画像データについては該所定色要素が特色であると判定するものであることを特徴とする請求項1記載のデータ出力装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記所定色要素と前記第2の色要素群との対応関係、および前記第1の色要素群のうち該所定色要素を除く色要素と該第2の色要素群との対応関係が示された特色用プロファイル、あるいは、該第1の色要素群と該第2の色要素群との対応関係が示されたプロセス用プロファイルのうちのいずれかのプロファイルが対応付けられた第1の画像データを取得するものであり、
前記判定部は、前記特色用プロファイルが対応付けられた第1の画像データについては前記所定色要素がプロセス色であると判定し、前記プロセス用プロファイルが対応付けられた第1の画像データについては該所定色要素が特色であると判定するものであることを特徴とする請求項1記載のデータ出力装置。
【請求項7】
複数の色要素からなる第1の色要素群で原画像の色が定義された第1の画像データを、該第1の色要素群を構成する複数の色要素中の所定色要素と他の色要素との混色を、複数の色要素からなる第2の色要素群で再現する第1の指示、あるいは該所定色要素を該第2の色要素群で再現する第2の指示とともに取得する指示取得部と、
前記指示取得部で前記第1の指示が取得された場合には、該第1の指示に従って、前記第1の画像データを該第2の色要素で原画像の色が定義された第2の画像データに変換するとともに、該指示取得部で前記第2の指示が取得された場合には、該第2の指示に従って、該第1の画像データを第2の画像データに変換する変換部とを備えたことを特徴とする色変換装置。
【請求項8】
複数の色要素からなる第1の色要素群で原画像の色が定義された第1の画像データを取得する取得部と、
前記取得部で取得された第1の画像データを、複数の色要素からなる第2の色要素群で色が定義された第2の画像データに変換する色変換装置に向けて該第1の画像データを出力する出力部と、
前記取得部で取得された第1の画像データについて、前記第1の色要素群を構成する複数の色要素中の所定色要素がプロセス色であるか特色であるかを判定する特色判定部と、
前記特色判定部でプロセス色であると判定された場合には、前記色変換装置に対し、該プロセス色と他の色要素との混色が前記第2の色要素群で再現されるように第1の画像データを第2の画像データに変換することを指示し、前記特色判定部で特色であると判定された場合には、前記色変換装置に対し、該特色が前記第2の色要素群で再現されるように第1の画像データを第2の画像データに変換することを指示する指示部と、
前記第1の画像データを、前記第1の指示、あるいは前記第2の指示とともに取得する指示取得部と、
前記指示取得部で前記第1の指示が取得された場合には、該第1の指示に従って、前記第1の画像データを該第2の色要素で原画像の色が定義された第2の画像データに変換するとともに、該指示取得部で前記第2の指示が取得された場合には、該第2の指示に従って、該第1の画像データを第2の画像データに変換する変換部とを備えたことを特徴とする色変換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−336274(P2007−336274A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166039(P2006−166039)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】