説明

データ収集装置、並びに、該データ収集装置の制御方法および制御プログラム

【課題】製造ラインの各設備からのデータを、情報が欠落することなく統合する。
【解決手段】データ収集装置11は、製造ラインの検査装置33・35からの検査データを収集して、検査DB記録部63の特性値テーブルに追加するものである。データ収集装置11は、検査データを含む検査ファイルおよびファイル名を検査装置33・35から取得して記録する検査ファイル記録部60と、検査ファイル記録部60から読み出したファイル名から検査データに関する付加情報を抽出する付加情報抽出部50と、抽出された付加情報を、検査ファイル記録部60からの検査ファイル内の検査データに追加して特性値データとするデータ変更部51と、データ変更部51からの特性値データを検査DB記録部63の特性値テーブルに追加するデータ書込部53とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造ラインの各設備からのデータを収集し、収集したデータをデータベースに追加するデータ収集装置、並びに、該データ収集装置の制御方法および制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、製造現場における製造装置、計測装置、検査装置などの各種の設備からデータを収集し解析して、解析結果を上記設備の制御、監視、改良あるいは品質改善活動などに利用することが求められている(例えば特許文献1〜6)。
【0003】
上記データの収集に関して、近時の設備は、CSV(Comma Separated Value)形式(フォーマット)のデータファイル(以下「CSVファイル」と略称する。)でデータを出力できるものが多い。そこで、上記設備からのデータをCSVファイルで収集することが考えられる。これは、CSVファイルには、作成の容易さ、管理の容易さ、汎用性の高さなどの利点があるためである。そこで、上記設備からのデータをCSVファイルで収集することが考えられる。
【0004】
なお、上記作成の容易さの例としては、データをカンマで区切るのみでCSVファイルを作成できる点、数字、文字列といったデータの種類を区別することなくCSVファイルを作成できる点、などが挙げられる。また、上記管理の容易さの例としては、CSVファイルのコピー・削除などがファイル操作で可能である点、CSVファイル内のデータの修正がテキストエディタで可能である点、などが挙げられる。また、上記汎用性の高さの例としては、CSVファイルがテキスト形式であるため、一般的な表計算ソフトで利用可能である点、などが挙げられる。
【0005】
また、上記データの解析を効率よく行うには、該データをDB(データベース)化すること、すなわち上記データを収集し、DBに追加することが考えられる。上記DB化による利点として、下記のものが挙げられる。
【0006】
(a)検索機能
SQL(Structured Query Language)を利用することにより、上記DBからのデータの検索、ソート、カウントなどを容易に実行することができる。
【0007】
(b)データの結合
日付ごと、オーダごとなどに分割されたファイルを上記DBに追加することで、複数のファイルにおけるデータを一連のデータとして利用することができる。これにより、日付、オーダなどを跨いだ長期間のデータについて、監視、同一機種ごとの集計などが可能となる。
【0008】
(c)データの一元管理
複数の製造ラインからのデータをDB化することで、該データの監視および解析を同一のDBにアクセスすることで可能になる。また、データのバックアップ等を一括で実行できるため管理が容易になる。
【0009】
(d)遠隔からのデータアクセス
上記DBを管理するDBMS(Database Management System)を有するサーバに通信ネットワークを介して接続されたPC(Personal Computer)から、ODBC(Open Database Connectivity)を介して上記DBMSにアクセスすることにより、遠隔でのデータ監視や解析が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−296911号公報(2001年10月26日公開)
【特許文献2】特開2002−236511号公報(2002年08月23日公開)
【特許文献3】特開2004−164635号公報(2004年06月10日公開)
【特許文献4】特開2006−323505号公報(2006年11月30日公開)
【特許文献5】特開2007−052571号公報(2007年03月01日公開)
【特許文献6】特開平09−050949号公報(1997年02月18日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、製造現場からのCSVファイルをDB化するには、幾つかの問題点がある。
【0012】
各設備からのデータには、正常な計測値の他に、異常な計測値および計測ミスが含まれることがある。これらの異常な計測値および計測ミスのデータは、HI、LO、N/A(No Account)などの文字列であることが多い。しかしながら、CSVファイルでは、数字・文字列など、データの種類による区別が無い。このため、計測値の解析を実行しようとしても、数値でないものが含まれていることにより、エラーとなり解析が続けられない。
【0013】
また、上記DBを用いてデータ解析を行う場合、データの順序は、ワーク(製造対象物)の投入順序など所定の順序に合わせる必要がある。なぜなら、データの順序がずれていると、周期解析や個々の設備の計測データの相関を比較する場合に、正確な解析を行うことができなくなるからである。
【0014】
ところが、実際の製造ラインでは、データの順序が所定の順序から外れることがある。例えば、各設備の処理時間を合わせるために処理が遅い設備(例えば検査装置)では複数のワークを並行して処理することがある。このとき、ワークの処理順序がワークの投入順序から外れて、ワークの計測データの順序がワークの投入順序から外れる場合がある。また、計測ミスが発生したり、処理対象のワークが途切れたりすることにより、設備が計測データを出力せず、このため、ワークの計測データの順序がワークの投入順序から外れる場合がある。
【0015】
また、製造ラインで計測されたデータは、日付ごと、オーダごと、時間ごとなどでCSVファイルに分割されており、解析したい単位(オーダごと、機種ごと、所定期間ごと(1年ごと、1月ごと、1週間ごとなど目的に合わせた期間))になっているとは限らない。このため、日付を跨ぐ長期のデータ解析や機種ごとの長期のデータ解析ができないなど不都合が発生する。該不都合を回避するには、ワークの投入順にデータを結合する必要がある。また、解析する単位(層別に必要な情報)として、ファイル名にオーダ番号、機種、電圧などの各種情報が含まれている場合が多く、これらの情報が上記ファイル内に含まれていない場合がある。この場合、上記ファイル内のデータを上記DBに追加するだけでは、上記ファイル名に含まれる情報が欠落することになり、上記解析する単位でのデータ解析ができない。
【0016】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造ラインの各設備からのデータを、情報が欠落することなく、或いは順序よく統合して、精度よくデータ解析できるようにするデータ収集装置などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係るデータ収集装置は、製造ラインの各設備からのデータを収集し、収集したデータをデータベースに追加するデータ収集装置であって、上記課題を解決するために、上記設備から計測データを取得する取得手段と、上記取得手段が取得した計測データに文字列が含まれている場合、該文字列を、数値列として処理できる値であって、計測値と区別できる値に変換して上記計測データを上記データベースに追加する追加手段とを備えることを特徴としている。
【0018】
ここで、数値列として処理できる値であって、計測値と区別できる値の例としては、ヌル、0、マイナス値などが挙げられる。
【0019】
また、本発明に係るデータ収集装置の制御方法は、製造ラインの各設備からのデータを収集し、収集したデータをデータベースに追加するデータ収集装置の制御方法であって、上記課題を解決するために、上記設備から計測データを取得する取得ステップと、上記取得ステップにて取得された計測データに文字列が含まれている場合、該文字列を、数値列として処理できる値であって、計測値と区別できる値に変換して上記計測データを上記データベースに追加する追加ステップとを含むことを特徴としている。
【0020】
上記の構成および方法によると、上記計測データに文字列が含まれている場合、該文字列をヌルに変換してから上記計測データが上記データベースに追加される。その結果、上記データベースには、上記計測データとして計測値またはヌルが含まれ、文字列が含まれないので、上記計測データの解析を容易に実行することができる。
【0021】
本発明に係るデータ収集装置では、上記追加手段は、さらに、変換された値が上記データベースに追加された位置に対応付けて、上記文字列を文字列テーブルに追加することが好ましい。
【0022】
この場合、上記文字列は、変換されたヌルが上記データベースに追加された位置に対応付けて文字列テーブルに追加される。これにより、例えば計測ミス、計測異常などの文字列の情報が欠落することを防止できる。また、上記ヌルに対応する文字列を参照することにより、例えば、上記ヌルがどのような計測異常或いは計測ミスであったのかを判別することができる。
【0023】
本発明に係るデータ収集装置では、上記計測データの許容範囲を記録する許容範囲記録部をさらに備えており、上記追加手段は、さらに、上記取得手段が取得した計測データが上記許容範囲記録部からの許容範囲に含まれていない場合、上記計測データが上記データベースに追加された位置に対応付けて、異常を示す文字列を文字列テーブルに追加してもよい。この場合、文字列テーブルを参照することにより、計測ミスおよび計測異常について解析を行うことができる。また、計測データは、許容範囲外であっても上記データベースに追加されるので、情報の欠落を防止できる。
【0024】
本発明に係るデータ収集装置は、製造ラインの各設備からのデータを収集し、収集したデータをデータベースに追加するデータ収集装置であって、上記課題を解決するために、上記設備と、該設備が処理するワークの順序の規則との対応関係を含むライン情報を記憶するライン情報記録部と、上記設備におけるワークごとのデータを取得する取得手段と、上記ライン情報記録部からのライン情報に基づいて、上記取得手段が取得したワークごとのデータを所定の順序に配列する配列手段と、該配列手段が配列したワークごとのデータを上記データベースに追加する追加手段とを備えることを特徴としている。
【0025】
また、本発明に係るデータ収集装置の制御方法は、製造ラインの各設備からのデータを収集し、収集したデータをデータベースに追加するデータ収集装置の制御方法であって、上記課題を解決するために、上記設備におけるワークごとのデータを取得する取得ステップと、上記設備と、該設備が処理するワークの順序の規則との対応関係を含むライン情報を記録部から読み出し、読み出したライン情報に基づいて、上記取得ステップにて取得されたワークごとのデータを所定の順序に配列する配列ステップと、該配列ステップにて配列されたワークごとのデータを上記データベースに追加する追加ステップとを含むことを特徴としている。
【0026】
ここで、上記所定の順序の例としては、ワークの製造ラインへの投入順序、所定の時間順、所定のロット順、所定の機種順、などが挙げられる。また、上記順序の規則の例としては、複数のチャンネル、計測ミス、反転およびその個数、計測時刻などが挙げられる。
【0027】
上記の構成および方法によると、上記設備から取得したワークごとのデータは、ライン情報記録部からのライン情報に基づいて、所定の順序に配列されて、上記データベースに追加される。従って、上記データベースに含まれるデータは所定の順序に配列されているので、上記データベースを利用したデータ解析を精度よく実行することができる。
【0028】
ところで、対象となるワークが存在しない場合にはデータを作成しない設備が存在する。この場合、データの周期性がずれることになり、データ解析の実行が困難となる。
【0029】
そこで、本発明に係るデータ収集装置では、上記ワークごとのデータには、該データの計測時刻を含んでおり、上記ライン情報には、上記設備と、該設備が計測に必要な期間である計測期間との対応関係をさらに含んでおり、上記配列手段は、上記ライン情報記録部からのライン情報に基づいて、隣り合う上記ワークどうしのデータにおける計測時刻の差が、上記設備に対応する計測期間よりも大きい場合、上記ワークどうしのデータの間に、対象となるワークが存在しなかったことを示すデータを挿入してから、上記ワークごとのデータを所定の順序に配列することが好ましい。
【0030】
上記計測時刻の差が上記計測期間よりも大きい場合、対象となるワークが存在しなかったと考えられる。そこで、上記ワークどうしのデータの間に、対象となるワークが存在しなかったことを示すワーク無しのデータを挿入することにより、データの周期性がずれることを防止することができる。
【0031】
なお、上記ワーク無しのデータには、ワークを識別するワーク識別情報を含むことが好ましく、上記隣り合うワークどうしのデータにおける計測時刻の一方、または該計測時刻どうしの間の時刻を計測時刻として含むことが好ましい。また、上記ワーク無しのデータにおけるその他の値はヌルであればよい。
【0032】
本発明に係るデータ収集装置では、上記ワークごとのデータには、該データの計測時刻を含んでおり、上記配列手段は、上記ワークごとのデータを所定の順序に配列した後、上記ワークごとの計測時刻を、所定の順序に並ぶように変更してもよい。この場合、計測時刻も順序よく配列することになり、計測時刻に基づくデータ解析の実行が容易となる。なお、上記計測時刻に関する所定の順序の例としては、ワークの製造ラインへの投入順序などが挙げられる。
【0033】
本発明に係るデータ収集装置は、製造ラインの各設備からのデータを収集し、収集したデータをデータベースに追加するデータ収集装置であって、上記課題を解決するために、上記データを含むファイルおよびファイル名を上記設備から取得する取得手段と、該取得手段が取得したファイル名から上記データに関する付加情報を抽出する抽出手段と、該抽出手段が抽出した付加情報を、上記取得手段が取得したファイル内の上記データに追加して、上記データベースに追加する追加手段とを備えることを特徴としている。
【0034】
また、本発明に係るデータ収集装置の制御方法は、製造ラインの各設備からのデータを収集し、収集したデータをデータベースに追加するデータ収集装置の制御方法であって、上記課題を解決するために、上記データを含むファイルおよびファイル名を上記設備から取得する取得ステップと、該取得ステップにて取得されたファイル名から上記データに関する付加情報を抽出する抽出ステップと、該抽出ステップにて抽出された付加情報を、上記取得ステップにて取得されたファイル内の上記データに追加して、上記データベースに追加する追加ステップとを含むことを特徴としている。
【0035】
上記の構成および方法によると、設備からファイルおよびファイル名が取得され、取得されたファイル名から、上記ファイル内のデータに関する付加情報が抽出される。そして、抽出された付加情報が、上記ファイル内のデータに追加されて、データベースに追加される。従って、データベースには、上記ファイル内のデータだけでなく、上記ファイル名に含まれる付加情報も追加されるので、設備からのデータをデータベースに、付加情報が欠落することなく統合することができる。
【0036】
本発明に係るデータ収集装置では、上記ファイル名は、複数の上記付加情報がセパレータを介して結合したものを含んでおり、上記付加情報を抽出するための抽出条件を記録する抽出条件記録部をさらに備えており、該抽出条件は、上記セパレータの情報と、上記付加情報の順序および項目名の対応関係とを含んでおり、該抽出手段は、上記抽出条件記録部からの抽出条件に基づいて、上記ファイル名から上記付加情報を抽出し、抽出された付加情報に上記項目名を対応付けており、上記追加手段は、さらに、上記付加情報に対応付けられた項目名を上記データベースに追加することが好ましい。この場合、上記データベースの利用者は、追加された付加情報の項目を上記項目名から容易に把握することができる。
【0037】
なお、上記データ収集装置における各ステップを、制御プログラムによりコンピュータに実行させることができる。さらに、上記制御プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記制御プログラムを実行させることができる。
【発明の効果】
【0038】
以上のように、本発明に係るデータ収集装置は、計測データに文字列が含まれている場合、該文字列をヌルに変換してから上記計測データがデータベースに追加されるので、上記計測データの解析を容易に実行できるという効果を奏する。
【0039】
また、本発明に係るデータ収集装置は、設備から取得したワークごとのデータは、ライン情報記録部からのライン情報に基づいて、所定の順序に配列されて、データベースに追加されるので、該データベースを利用したデータ解析を精度よく実行できるという効果を奏する。
【0040】
また、本発明に係るデータ収集装置は、設備からファイルおよびファイル名が取得され、該ファイル名から、上記ファイル内のデータに関する付加情報が抽出され、抽出された付加情報が、上記ファイル内のデータに追加されて、データベースに追加されるので、設備からのデータをデータベースに、付加情報を欠落することなく統合できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態である生産システムにおけるデータ収集装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】上記生産システムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】上記データ収集装置において、検査ファイルが記録されてから検査DBが更新されるまでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】上記データ収集装置における抽出条件記録部に記録された抽出条件の一例を構造化文書示す図である。
【図5】上記検査ファイルのファイル名の一例をリスト形式で示す図である。
【図6】上記データ収集装置の付加情報抽出部における付加情報の抽出処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】項目名と文字列との対応関係の一例を表形式で示す図である。
【図8】オペレータテーブルの一例を表形式で示す図である。
【図9】上記生産システムにおける検査装置にて3個のワークが並行して検査される例を示すブロック図である。
【図10】上記検査装置における3つの検査部が検査したワークの番号および検査時刻を表形式で示す図である。
【図11】上記ワークの番号、検査CH、および検査時刻を配列したものを表形式で示す図である。
【図12】上記検査装置での検査後、検査台を前後反転してから、別の検査装置にてワークが検査される例を示すブロック図である。
【図13】上記別の検査装置が検査したワーク番号および検査時刻を表形式で示す図である。
【図14】上記データ収集装置におけるライン情報記録部に記録されたライン情報の一例を構造化文書で示す図である。
【図15】上記データ収集装置のデータ結合部におけるデータの結合処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】上記データ収集装置が取得する検査ファイルの内容の一例を表形式で示す図である。
【図17】上記データ収集装置における検査DB記録部に記録される特性値テーブルおよびNGテーブルの内容の一例をそれぞれ表形式で示す図である。
【図18】ワーク無しが発生した場合におけるワーク番号、検査チャンネル、および検査時刻を配列したものを表形式で示す図である。
【図19】ワークの反転が存在する場合におけるワーク番号と検査時刻とを配列したものを表形式で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の一実施形態について図1〜図19を参照して説明する。本実施形態では、部品を製造して組み立てる生産ラインを有する生産システムに本発明を適用しているが、本発明は、上記生産システムに限定されるものではなく、被対象物の処理工程の管理全般に適用することが可能である。なお、被対象物の処理工程とは、例えば、工業製品の生産工程、鉱工業製品、農産物、または原料の検査工程、廃棄対象物(例えば、工場廃棄物、工場廃水、廃ガス、ゴミ等)の処理工程、廃棄対象物の検査工程、設備の検査工程、リサイクル工程等を意味する。
【0043】
図2は、本実施形態の生産システムの概略構成を示している。生産システム1は、生産現場10に設けられた複数の検査装置からの各種の検査データをデータ収集装置11が収集して該検査データのデータベース(以下、「検査DB」と称する。)を作成し、作成された検査DBを、通信ネットワーク13を介してPC14にて利用可能とするものである。なお、通信ネットワーク13およびPC14としては公知のものを利用できるので、その説明を省略する。
【0044】
本実施形態では、生産現場10には、部品を製造する部品製造ライン(前工程ライン)20と、製造された部品を組み立てる加工ライン(組立ライン)21とが設けられている。部品製造ライン20には、2つのライン22・23が設けられ、各ライン22・23から同じ部品24が製造されている。
【0045】
一方、加工ライン21では、ライン30に対し、部品供給装置31、加工装置32・34、および検査装置33・35が設けられている。部品製造ライン20にて製造された部品24は、部品供給装置31によりライン30への供給が行われ、加工装置32にてワーク36の基板に組み付ける加工が行われ、検査装置33にて加工後の検査が行われる。次に、検査されたワーク36は、加工装置34にて部品24に無関係の箇所での加工が行われ、検査装置35にて加工後の検査が行われる。以後、加工および検査が繰り返されて、製品が完成する。なお、本実施形態では、加工装置32・34は、検査装置33・35と別体としているが、一体であってもよい。
【0046】
検査装置33・35は、ワーク36に対し各種の検査項目について検査を行い、検査結果を示す検査データを検査項目ごとに含む検査ファイルを作成する。なお、検査ファイルは、1つのワーク36ごとに作成されてもよいし、複数のワーク36ごとに作成されてもよいし、所定個数ごとに作成されてもよいし、所定時間ごとに作成されてもよい。
【0047】
一般に、多数の検査装置33・35は、メーカ独自の形式で検査ファイルを作成する一方で、CSV形式で検査ファイルを出力できるようになっている。そこで、本実施形態では、検査装置33・35は、CSV形式の検査ファイル(CSVファイル)をデータ収集装置11に提供している。また、検査装置33・35は、検査ファイルと共に、ファイル名、タイムスタンプなど、上記検査ファイルに関する各種情報をファイルシステムから提供している。なお、検査装置33・35からデータ収集装置11への検査ファイルの提供は、有線通信、無線通信、またはこれらの組合せで行われてもよいし、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体で行われてもよい。
【0048】
図1は、データ収集装置11の概略構成を示している。図1に示すように、データ収集装置11は、制御部40、記録部41、およびネットワークI/F(インタフェース)部42を備える構成である。
【0049】
制御部40は、データ収集装置11内における各種構成の動作を統括的に制御するものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)およびメモリを含むコンピュータによって構成される。そして、各種構成の動作制御は、制御プログラムをコンピュータに実行させることによって行われる。なお、制御部40の詳細については後述する。
【0050】
記録部41は、情報を記録するものであり、ハードディスク、フラッシュメモリなどの記録装置によって構成される。なお、記録部41の詳細については後述する。
【0051】
ネットワークI/F部42は、制御部40と通信ネットワーク13とのインタフェースを行うものである。具体的には、ネットワークI/F部42は、図2に示す通信ネットワーク13に接続して、制御部40からのデータを、通信ネットワーク13に適した形式に変換して通信ネットワーク13に送信する一方、通信ネットワーク13からのデータを、制御部40での処理に適した形式に変換して制御部40に送信するものである。
【0052】
次に、制御部40および記録部41の詳細について説明する。図1に示すように、制御部40は、付加情報抽出部(抽出手段)50、データ変更部(追加手段)51、データ結合部(追加手段、配列手段)52、データ書込部(追加手段)53、およびデータ提供部54を備える構成である。また、記録部41は、検査ファイル記録部(取得手段)60、抽出条件記録部61、ライン情報記録部62、および検査DB記録部63を備える構成である。なお、付加情報抽出部50、データ変更部51、および検査ファイル記録部60は、検査装置33・35ごとに設けられている。
【0053】
検査ファイル記録部60は、検査装置33・35からの検査ファイルを検査装置33・35ごとに記録するものである。また、検査ファイル記録部60は、ファイル名、タイムスタンプなど、上記検査ファイルに関する各種情報をディレクトリに記録する。なお、上述のように、検査ファイルは、CSV形式のファイルである。
【0054】
抽出条件記録部61は、或るワーク36の検査データに付加すべき情報である付加情報を抽出する抽出条件を、検査ファイル記録部60ごとに予め記録するものである。ライン情報記録部62は、製造ラインに関する情報であって、データを並び替えるのに必要な情報であるライン情報を予め記録するものである。検査DB記録部63は、検査DBを記録するものである。検査DBは、特性値を格納する特性値テーブル、NG(No Good)データを格納するNGテーブルなどを含んでいる。なお、これらのテーブルは、別々であってもよいし、同一であってもよい。
【0055】
付加情報抽出部50は、検査ファイル記録部60から読み出すべき検査ファイルに含まれる検査データへの上記付加情報を、抽出条件記録部61に記録された抽出条件に基づいて抽出するものである。付加情報抽出部50は、抽出した付加情報をデータ変更部51に送信する。
【0056】
具体的には、付加情報抽出部50は、まず、ファイル名、タイムスタンプなど、上記検査ファイルに関する各種情報を検査ファイル記録部60のディレクトリから読み出す。次に、読み出した情報から、抽出条件記録部61に記録された抽出条件に基づいて上記付加情報を抽出する。なお、上記付加情報の抽出の詳細については後述する。
【0057】
なお、ファイル名には、例えば「[オーダー番号].csv [機種] [電圧] [チャンネル]」のように、引数が付加されている場合がある。この引数も上記付加情報に含まれる。なお、機種ごとに引数の設定ファイルを記憶しておくことにより、機種に対応する引数を抽出することができる。
【0058】
データ変更部51は、検査ファイル記録部60から読み出した検査ファイルに含まれるデータを変更するものである。データ変更部51は、変更されたデータをデータ結合部52に送信する。
【0059】
具体的には、データ変更部51は、検査ファイル記録部60からの検査ファイルにおける検査データが文字列である場合、当該検査データをNGデータと判定して、上記文字列をヌルに変更する。なお、CSV形式の場合、上記文字列はヌル文字列(長さ0の文字列)に変更されることになる。また、データ変更部51は、上記文字列であるNGデータを、上記検査ファイルにおける当該検査データと同じ配列位置に含むNGファイルを作成する。
【0060】
また、データ変更部51は、上記検査ファイルにおける検査データに、付加情報抽出部50からの上記検査ファイルに関する付加情報を追加して、特性値データとする。そして、データ変更部51は、処理後の検査ファイルと、該検査ファイルに対応するNGファイルとをデータ結合部52に送信する。
【0061】
データ結合部52は、複数のデータ変更部51から受け取った各種データをワーク36単位で結合するものである。データ結合部52は、結合したデータをデータ書込部53に送信する。
【0062】
具体的には、データ結合部52は、複数のデータ変更部51から受け取った複数の検査ファイルに含まれるワーク36ごとの特性値データ(検査データおよび付加情報)を、ライン情報記録部62に記録されたライン情報に基づいて配列することにより結合する。同様に、データ結合部52は、複数のデータ変更部51からのNGファイルに含まれるワーク36ごとのNGデータを、上記ライン情報に基づいて配列することにより結合する。
【0063】
また、データ結合部52は、ライン情報記録部62に記録されたライン情報に基づいて、データ変更部51からのワーク36の特性値データおよびNGデータを並び替える。そして、データ結合部52は、結合および並替えを行った特性値データおよびNGデータをデータ書込部53に送信する。なお、特性値データの並び替えについては後述する。
【0064】
データ書込部53は、データ結合部52から受け取った特性値データおよびNGデータを、検査DB記録部63の検査DBにおける特性値テーブルおよびNGテーブルにそれぞれ書き込むものである。このとき、データ書込部53は、上記特性値データに通し番号を付与して、特性値テーブルに追加する。また、データ書込部53は、上記NGデータに対応する上記特性値テーブルに付与された通し番号を、当該NGデータに付与してNGテーブルに追加する。
【0065】
データ提供部54は、外部からの要求に応じて、検査DB記録部63の検査DBから各種データを読み出して提供するものである。具体的には、データ提供部54は、PC14からの要求を、通信ネットワーク13およびネットワークI/F部42を介して受け取ると、該要求に基づき、検査DB記録部63に記録された検査DBから特性値データおよびNGデータを読み出す。そして、データ提供部54は、読み出した特性値データおよびNGデータをネットワークI/F部42、通信ネットワーク13を介して当該PC14に提供する。なお、特性値データおよびNGデータを用いた分析の具体例については後述する。
【0066】
上記の構成によると、検査ファイルに関する付加情報が、付加情報抽出部50にて抽出され、データ変更部51にて検査ファイル内の検査データに追加されて、検査DB記録部63の検査DBの特性値テーブルに追加される。従って、該特性値テーブルには、検査ファイル内の検査データだけでなく、検査ファイルに関する付加情報も追加されるので、検査装置33・35からのデータを上記特性値テーブルに、付加情報を欠落させることなく統合することができる。
【0067】
また、検査データに文字列が含まれている場合、データ変更部51にて該文字列がヌルに変換され、変換後の検査データが、データ書込部53にて検査DB記録部63の検査DBの特性値テーブルに追加される。その結果、上記特性値テーブルには、上記検査データとして検査値またはヌルが含まれ、文字列が含まれないので、上記検査データの解析を容易に実行することができる。
【0068】
さらに、上記文字列は、データ変更部51およびデータ書込部53により、変換されたヌルが上記特性値テーブルに追加された位置に対応付けて、検査DB記録部63の検査DBのNGテーブルに追加される。これにより、例えば検査ミス、検査異常などの文字列の情報が欠落することを防止できる。また、上記ヌルに対応する文字列を参照することにより、例えば、上記ヌルがどのような検査異常或いは検査ミスであったのかを判別することができる。
【0069】
また、検査装置33・35から取得したワーク36ごとの検査データは、データ結合部52にて、ライン情報記録部62からのライン情報に基づいて、所定の順序に配列され、データ書込部53にて、上記特性値テーブルに追加される。従って、上記特性値テーブルに含まれるデータは所定の順序に配列されているので、上記特性値テーブルを利用したデータ解析を精度よく実行することができる。
【0070】
次に、上記構成のデータ収集装置11における処理動作を、図3を参照して説明する。図3は、データ収集装置11において、検査ファイルが記録されてから検査DBが更新されるまでの処理の流れを示している。
【0071】
図3に示すように、検査ファイル記録部60に新たな検査ファイルが記録されると(S10)、付加情報抽出部50は、上記新たな検査ファイルに関する付加情報を、抽出条件記録部61に記録された抽出条件に基づいて抽出する(S11)。次に、データ変更部51は、検査ファイル記録部60からの上記新たな検査ファイルに含まれる検査データが文字列である場合(S12)、当該文字列をヌルに変更すると共に、当該検査データと同じ配列位置に当該文字列を含むNGファイルを作成する(S13)。
【0072】
次に、データ結合部52は、まず、或るデータ変更部51から受け取った検査ファイルおよび付加情報について、該検査ファイルに含まれるワーク36ごとの検査データに上記付加情報を追加して特性値データとし、これを他のデータ変更部51から受け取った検査ファイルおよび付加情報についても繰り返す(S14)。
【0073】
次に、データ結合部52は、複数の検査ファイルに含まれるワーク36の特性値データを、ライン情報記録部62のライン情報に基づいて並び替えた上で結合する一方、データ変更部51からのNGファイルに含まれるワーク36ごとのNGデータを上記ライン情報に基づいて並び替えた上で結合する(S15)。
【0074】
そして、データ書込部53は、結合された各特性値データに通し番号を付与して、検査DB記録部63の検査DBにおける特性値テーブルに追加すると共に、上記NGデータに対応する上記特性値テーブルに付与された通し番号を、当該NGデータに付与して上記検査DBにおけるNGテーブルに追加する(S16)。その後、ステップS10に戻って上記動作を繰り返す。
【0075】
次に、付加情報抽出部50における付加情報の抽出の詳細について、図4〜図8を参照して説明する。一般に、検査データは、ファイル形式で管理されており、オーダ(注文)ごと、製造途中の製品の機種ごと、直(勤番)ごとに検査ファイルが作成される。このとき、オーダ名、機種名、勤番名など、製造ラインに関する付加情報がファイル名の一部として含まれる。
【0076】
しかしながら、これらの付加情報は、検査ファイルにデータとして含まれていないことがある。この場合、検査ファイルに含まれているデータを検査DBに追加するのみでは、上記付加情報が欠落することになる。そこで、本実施形態では、データ結合部52は、ワーク36ごとの検査データに、付加情報を追加して、検査DBに追加している。
【0077】
また、或るオーダの実行中に、別のオーダが入ることがある。この場合、上記或るオーダの実行を中断し、上記別のオーダのための段取り替えを行い、上記別のオーダを実行し、該実行の完了後、上記或るオーダのための段取り替えに戻し、上記或るオーダの実行を再開することがある。
【0078】
このとき、上記或るオーダの中断前の検査ファイルと、上記別のオーダの検査ファイルと、上記或るオーダの再開後の検査ファイルとが作成されることになる。このため、上記中断前および上記再開後の検査ファイルは、上記或るオーダが分割実行されたものであることを識別できる必要があるので、ファイル名にオーダの枝番号が含まれることになる。
【0079】
しかしながら、上記中断前および上記再開後の検査ファイルの検査データを結合するのみでは、検査データを層別することが困難となる。このため、検査DBを用いた分析において検査データの統計量が、上記中断前と上記再開後とで異なっていたとしても、その原因がオーダの分割実行によるものであると特定することが困難となる。そこで、本実施形態では、上記ファイル名に含まれるオーダの枝番号を上記付加情報としてワーク36ごとの検査データに追加している。これにより、検査データの層別が容易となる。
【0080】
検査ファイルのファイル名に含まれる情報としては、オーダ名(オーダ番号)、機種名、直(1勤、2勤、3勤など)、オペレータ名、前工程のライン番号、オーダの枝番号、などが挙げられる。上記ファイル名では、上記情報の一部または全部がセパレータ(separator)を介して結合されている。何れの情報が上記ファイル名に含まれるかは、検査装置に依存する。なお、各情報は、識別可能な番号で表現されていることが多い。
【0081】
上記各種情報の中から、分析に利用される付加情報が検査装置ごとに決定され、決定された付加情報を抽出するための抽出条件が設定されて、抽出条件記録部61に予め記録される。図4は、上記抽出条件の一例を示している。図示のように、上記抽出条件は、XML(Extensible Markup Language)文書などの構造化文書で記述することができる。
【0082】
また、図4に示すように、上記抽出条件は、検査装置33・35ごとに設定することができる。図示の例では、検査装置33(検査機1)に関しては、検査データに付加すべき付加情報として前工程ライン20が抽出条件に含まれているが、検査装置35(検査機2)に関しては、上記付加情報として前工程ライン20が抽出条件に含まれていない。
【0083】
前工程のライン番号が、上記付加情報に該当し得る理由について説明する。図2に示す生産システム1の部品製造ライン20では、2つのライン22・23で同じ種類の部品24を製造している。しかしながら、異なるライン22・23で製造された部品24は、金型、プレス、成型環境などの違いにより、若干の特性の違いが発生し、この違いにより、ライン22・23の一方で製造された部品24から不良品が多発することがあり得る。
【0084】
従って、不良品が多発した場合、何れのライン22・23で製造された部品が使用されているかを判断する必要があるので、部品製造ライン20におけるライン22・23の番号は、組立ライン21にて収集された検査データに付加すべき付加情報に該当することになる。また、部品製造ライン20で製造された部品24が無くなった場合や、途中で新たな部品24に交換した場合には、部品24の特性の違いが発生し得るので、新たな検査ファイルを作成することが望ましい。
【0085】
また、組立ライン21にて製造される製品の特性は、組立ライン21のオペレータによる調整結果によっても変化する可能性がある。従って、オペレータの情報も上記付加情報となり得る。
【0086】
図5は、検査ファイルのファイル名の一例をリスト形式で示している。同図の(a)に示す検査ファイルは、検査装置33(検査機1)が作成したものであり、同図の(b)に示す検査ファイルは、検査装置35(検査機2)が作成したものである。また、図示の例では、検査装置33・35ごとに、複数の検査ファイルのファイル名が作成順に記載されている。
【0087】
図5に示すように、検査装置33(検査機1)が作成する検査ファイルのファイル名には、オーダ番号、機種名、直、オペレータ名、前工程のライン番号、およびオーダ番号の枝番号が、セパレータ「_」を挟んで順番に配列されている。一方、検査装置35(検査機2)が作成する検査ファイルのファイル名には、検査機1に関する上記ファイル名から、前工程のライン番号が省略されている。
【0088】
図5の例では、オーダ「M1121397」の途中で、別のオーダ「M1121398」が入ったため、オーダ「M1121397」の検査ファイルが2つに分割されて、それぞれのファイル名に枝番号が付されている。また、当番が2勤から1勤に交代し、オペレータが「TANAKA」から「SUZUKI」に変更されている。
【0089】
図6は、付加情報抽出部50における付加情報の抽出処理(S11)の流れを示している。図示のように、まず、図4に示す抽出条件を、抽出条件記録部61から読み出す(S20)。
【0090】
次に、検査ファイル記録部60に記録された検査ファイルのファイル名から、上記抽出条件に基づいて付加情報を抽出する(S21)。具体的には、上記検査ファイルのファイル名を、上記抽出条件における「セパレータ」タグに含まれる文字「_」ごとに分割する。例えば、ファイル名「M1121397_A001_2_TANAKA_S1_1.txt」は、文字列「M1121397」・「A001」・「2」・「TANAKA」・「S1」・「1」に分割される。なお、ファイル名に含まれる拡張子(txt)は、検査データに関する情報ではないので無視する。
【0091】
次に、抽出された付加情報を、上記抽出条件に基づいて項目名に対応付ける(S22)。具体的には、分割された文字列を、上記抽出条件における「項目名の並び」タグに含まれる項目名に対応付ける。図7の(a)は、対応付けられた項目名および文字列の一例を表形式で示している。図示の例では、文字列「M1121397」がオーダ番号に、文字列「A001」が機種名に、文字列「2」が直に、文字列「TANAKA」がオペレータ名に、文字列「S1」が前工程のライン名に、文字列「1」がオーダの枝番号にそれぞれ対応付けられる。
【0092】
次に、一部または全部の付加情報を、上記抽出条件に基づいてコードに変換する(S23)。具体的には、上記抽出条件における「オペレータ」タグを参照して、上記オペレータ名をオペレータのID(識別)コードに変換する。図7の(b)は、変換後の上記項目名および文字列の一例を表形式で示している。図示の例では、オペレータ名「TANAKA」がIDコード「0002」に変換されている。
【0093】
これにより、付加情報の情報量を抑えることができるので、検査DBのサイズを抑えることができ、また、コードは文字列に比べてコンピュータでの処理が容易であるため、検査DBからの検索処理を迅速に行うことができる。なお、オペレータ名以外にも、前工程のライン名、設備名、機種名など、その他の文字列も識別コードに変換することが望ましい。
【0094】
なお、オペレータに関する情報と上記IDコードとを対応付けたオペレータテーブルを別途作成しておいてもよい。図8は、上記オペレータテーブルの一例を表形式で示している。上記オペレータテーブルを利用することにより、上記オペレータに関する情報に基づいて検査DBを検索したり、検索結果のIDコードをオペレータに関する情報に変換して出力したりすることができる。また、オペレータに関する情報は、該オペレータが勤務する会社の社員DBを参照することによって取得してもよい。
【0095】
次に、変換後の付加情報と、該付加情報に対応付けられた項目名とを含む情報をデータ変更部51に送信する(S24)。すなわち、図7の(b)に示す情報をデータ変更部51に送信する。項目名を送信することにより、付加情報の項目名を上記特性値テーブルに追加することができる。これにより、PC14の利用者は、追加された付加情報の項目を上記項目名から容易に把握することができる。その後、付加情報の抽出処理を終了して元のルーチンに戻る。
【0096】
次に、データ結合部52におけるデータの配列および並替えの詳細について、図9〜図15を参照して説明する。まず、データの並び替えを行う必要性について説明する。
【0097】
検査DBを利用してデータ解析を行う場合、検査DBにおけるデータの順序は、ワーク36の投入順序に合わせる必要がある。なぜなら、上記データの順序がワーク36の投入順序からずれていると、周期解析を行ったり、個々の設備の結果を比較したりする場合に、正確な分析ができないからである。
【0098】
一方、実際の製造ラインでは、各工程の処理時間を合わせるために、処理が遅い設備(例えば検査装置)は複数のワーク36を並行して処理する場合がある。このとき、ライン30へのワーク36の投入順序と、ワーク36の検査順序とがずれる場合がある。従って、ワーク36の検査データの順序をワーク36の投入順序に整合するように並び変える必要がある。
【0099】
例えば、加工装置の加工速度が1秒/1個、検査装置の検査速度が3秒/1個とすると、加工工程の処理時間と検査工程の処理時間とを合わせるには、検査工程に3台の検査装置を設けるか、或いは1台の検査装置に3つの検査部を設ける必要がある。
【0100】
図9は、検査装置33にて3個のワーク36が並行して検査される例を示している。図示のように、検査装置33には、下流側から上流側に、1CH(チャンネル)〜3CHの検査部330が設けられている。また、ライン30には、アーム37および検査台38がさらに設けられている。
【0101】
アーム37は、加工装置32にて加工されたワーク36を検査台38に載置するものである。アーム37によって検査台38には3個のワーク36が載置される。1CH、2CH、および3CHの検査部330は、検査台38における3個のワーク36のうち、右側、中央、および左側のワーク36をそれぞれ検査する。
【0102】
図10の(a)〜(c)は、それぞれ、図9に示す検査装置33における1CH〜3CHの検査部330が検査したワーク番号および検査時刻を表形式で示している。なお、図示の例では、各検査部330が検査にかかる時間は3±1秒である。
【0103】
また、図11は、図10(a)〜(c)に示すワーク36の番号、検査CH、および検査時刻を配列したものを表形式で示している。このうち、図11の(a)は、検査時刻順に配列したものである。同図の(a)の場合、ワーク36の番号順(投入順)に配列されてはいない。
【0104】
一方、図11の(b)は、図10(a)〜(c)に示すワーク番号および検査時刻を、検査CH順に時間の早い方から1つずつ選択し、これを繰り返したものを配列している。同図の(b)の場合、ワーク36の番号順に配列されている。
【0105】
また、ワーク36を治具に載せ変えたり、該治具が回転したりして、ワーク36の順番が変わる場合がある。図12は、検査装置33での検査後、検査台38を前後反転(180度回転)してから、検査装置35にてワーク36が検査される例を示している。また、図13は、図12に示す検査装置35が検査したワーク番号および検査時刻を表形式で示している。なお、図示の例では、検査装置35が検査にかかる時間は1±0.5秒である。図13の場合、ワーク36の番号順に配列されてはいない。この場合、上記反転を考慮した並替えが必要となる。
【0106】
そこで、本実施形態では、ライン30上の各設備の並び、チャンネル内容など、ワーク36の検査データをワーク36の投入順に並び替えるのに必要なライン情報が、ライン情報記録部62に予め記録されている。図14は、上記ライン情報の一例を示している。図示のように、上記ライン情報は、XML文書などの構造化文書で記述することができる。
【0107】
図15は、データ結合部52におけるデータの結合処理の流れを示している。図示のように、まず、図14に示すライン情報を、ライン情報記録部62から読み出し(S40)、読み出したライン情報にチャンネルタグが存在するか否かを判断する(S41)。
【0108】
チャンネルタグが存在しない場合、ワーク36のデータを検査時刻順に配列する(S42)。一方、チャンネルタグが存在する場合、該チャンネルタグの内容に基づいてワーク36のデータを配列する(S43)。例えば、図14に示すライン情報では、検査機1タグのチャンネルタグにおける並びタグの内容が「1CH,2CH,3CH」である。従って、1CHの検査ファイルのデータ(図10の(a))、2CHの検査ファイルのデータ(図10の(b))、および3CHの検査ファイルのデータ(図10の(c))を順に選択して配列し、これを繰り返すことにより、ワークの投入順のデータ(図11の(b))に配列することができる。
【0109】
次に、上記ライン情報に反転タグが存在するか否かを判断し(S44)、該反転タグが存在する場合、配列されたデータを、上記反転タグに基づいて並び替える(S45)。その後、データの結合処理を終了し、元のルーチンに戻る。例えば、図14に示すライン情報では、検査機2タグの反転タグにおけるワーク数が3である。従って、検査機2の検査ファイルのデータ(図13)について、3つのワークのデータの順番を反転(逆転)し、これを繰り返すことにより、ワークの投入順のデータに配列することができる。
【0110】
次に、検査DB記録部63に記録するときのデータ変換に関して、図16および図17を参照して説明する。図16は、図12に示す検査装置35が作成し、データ収集装置11が取得する検査ファイルの内容の一例を表形式で示しており、図17の(a)・(b)は、検査DB記録部63に記録される特性値テーブルおよびNGテーブルの内容の一例をそれぞれ表形式で示している。図16および図17において、各列の項目は、左から順番に、ワーク番号(ワークID)、検査の順番、計測項目1〜6、検査結果、計測時刻、およびチャンネル番号である。
【0111】
特性値テーブルは、特性値を格納するものである。図17の(a)に示すように、特性値テーブルに格納されるデータは、全て数値データである。従って、検査DB記録部63に記録された特性値テーブルを利用することにより、PC14にてデータ解析を行うことができる。例えば、上記特性値テーブルのデータを1時間おきに読み出し、チャンネルごとに平均値、分散値を算出することで、特性値の推移を調べたり、ヌルを含むレコードをカウントして歩留まりを算出したりすることにより、検査機の状態を調べることができる。なお、特定値テーブルにおける各項目の数値の種類(整数、自然数、単精度、倍精度など)は、図16に示す検査ファイルにおいて対応する項目の数値の種類と同じである。
【0112】
一方、NGテーブルは、検査ミスおよび検査異常の文字列が格納されるものである。図17の(b)に示すように、NGテーブルに格納されるデータは、ワークIDのみ数値データであり、その他は文字列データである。
【0113】
本実施形態では、検査ファイルに検査ミス、検査異常などの文字列が含まれている場合、当該文字列をヌルに変換して、特性値テーブルに格納する。例えば、図16に示す検査ファイルでは、第3行第3列、第17行第6列〜第17行第8列、および第18行第4列に文字列が含まれている。一方、図17の(a)に示す特性値テーブルでは、当該文字列がヌルに変換されている。
【0114】
しかしながら、特性値テーブルにヌルが格納されている場合、検査ミス、検査異常など、何らかの原因によって計測できなかったことは把握できるが、当該原因を把握することができなくなり、その結果、重要な解析情報が失われることになる。
【0115】
そこで、本実施形態では、当該文字列を、NGテーブルにおける対応する項目に追加すると共に、ワークIDを追加する。例えば、図17の(b)に示すNGテーブルでは、第1列にワークID=3を格納し第3列に文字列「LO」を格納したレコードが追加されている。さらに、第1列にワークID=17を格納し第6列〜第8列に文字列「N/A」を格納したレコードが追加され、第1列にワークID=18を格納し第4列に文字列「HI」を格納したレコードが追加されている。
【0116】
従って、NGテーブルを利用することにより、PC14にて検査ミス、検査異常などに関する解析を行うことができる。例えば、上記NGテーブルを利用して、所定期間における検査ミスを示す文字列を計数することにより、検査ミスを集計できる。集計結果を表およびグラフに表示することにより、検査ミスの傾向(増加、減少など)を確認することができ、設備の状態を確認することができる。本実施形態では、上記NGテーブルを作成しているので、上記集計および上記確認が可能となる。
【0117】
また、オーダごとに、上記特性値テーブルの各計測項目の値を読み出し、ヒストグラムを表示することにより、該ヒストグラムの形状から、異常個所の特定が可能となる。本実施形態では、オーダ情報などの付加情報が上記特性値テーブルに格納されるので、上記付加情報単位での集計が可能となる。
【0118】
なお、記録部41は、検査データの許容範囲(上限および下限)を記憶する許容範囲記録部をさらに備え、データ変更部51は、さらに、検査ファイル記録部60からの検査ファイルにおける検査データが上記許容範囲外である場合、異常を示す文字列をNGファイルに追加してもよい。この場合、上記検査データが上記特性値テーブルに追加された位置に対応付けて、上記異常を示す文字列がNGテーブルに追加されることになる。従って、NGテーブルを参照することにより、検査ミスおよび検査異常について解析を行うことができる。また、検査データは、許容範囲外であっても上記特性値テーブルに追加されるので、情報の欠落を防止できる。
【0119】
次に、データ欠損時のデータ挿入の詳細について、図18を参照して説明する。検査装置33・35によっては、ワークが無い場合(以下、この場合を「ワーク無しの場合」と称する。)にデータを作成しないものがある。この場合、特性値テーブルに集計された特性値データの周期性がずれることになり、データ解析の実行が困難となる。
【0120】
ワーク無しが存在しない場合、データは、図11の(a)に示すように、検査時刻(計測時刻)順にデータが配列する。これに対し、図18は、ワーク無しが発生した場合のワーク番号、検査チャンネル、および検査時刻を配列したものを表形式で示している。この場合、図14にて<検査機1><ワーク無し>タグで定義されている情報から、データが出力されないことがわかる。従って、同じ時刻に1CH〜3CHのデータが揃っていない箇所がワーク無しの発生した箇所になる。
【0121】
図18の場合、検査時刻「9:00:09」における2CHのデータが抜けているので、ワーク8にてワーク無しが発生していることが理解できる。なお、検査時刻に若干の誤差が生じる場合には、図14にて<検査時間><誤差>タグで設定されている情報を考慮して、検査時刻±誤差内に1CH〜3CHのデータが揃っているか否かにより、データ無しが発生しているか否かを判断すればよい。
【0122】
このように、同一時刻に計測されたデータが存在しない(揃っていない)場合、ワーク無しのためデータが作成されなかったと判断し、上記ワーク36どうし(図18の例では、ワーク4・12)の検査データの間に、ワーク無しを示すデータを挿入して、それからワーク36ごとのデータを所定の順序に配列すればよい。これにより、特性値データの周期性がずれることを防止することができる。
【0123】
なお、検査装置33(検査機1)は、図9に示すように、検査の開始時には、3CHの検査部330はワーク3を検査するが、1CH・2CHの検査部330にワークは存在しない。このため、図18に示すように、検査の開始時である検査時刻「9:00:00」には、3CHのデータは存在するが、1CH・2CHのデータは存在しない。この場合にも、検査時刻「9:00:00」における1CH・2CHのデータとして、ワーク無しを示すデータを挿入してもよい。
【0124】
そして、次の検査時には、3CHの検査部330はワーク6を検査し、2CHの検査部330はワーク2を検査するが、1CHの検査部330にワークは存在しない。このため、図18に示すように、次の検査時である検査時刻「9:00:03」には、2CH・3CHのデータは存在するが、1CHのデータは存在しない。この場合にも、検査時刻「9:00:03」における1CHのデータとして、ワーク無しを示すデータを挿入してもよい。
【0125】
次に、時刻の修正処理の詳細について、図19を参照して説明する。図12に示すようにラインの途中でワークの順番が変わった場合、計測時刻の順序とワークの投入順序とがばらばらになる。この場合、ワークの投入順序でデータを並び替えると、計測時刻の順序がばらばらになる。このため、ワークの順番が変わる前の計測値(図12の検査機1の計測値)と、ワークの順番が変わった後の計測値(図12の検査機2の計測値)との対応が取れなくなる。従って、ワークの投入順序と計測時刻の順序とが揃うように計測時刻の修正が必要になる。
【0126】
実際には、図14にて<検査機2><反転>タグにて「有り」である場合、ワークの投入順序にデータを並べるために、図14にて<検査機2><反転><ワーク数>タグで設定されている値(3)ずつデータを反転させればよいことがわかる。
【0127】
図19は、検査機2にて検査されるワーク番号と検査時刻とを配列したものを表形式で示している。同図の(a)が実際のデータである。このデータを3個ずつ並び替えると、同図の(b)に示すようにワークの投入順序となる。次に、検査時刻の順序がワークの投入順序になるように、3個ずつ検査時刻を変更していく。その結果、同図の(c)に示すように、ワークの投入順に計測時刻が並んだデータとなる。
【0128】
なお、検査機1の場合、データをワークの投入順序に並べると、図11の(b)に示すようになる。検査機1の場合、図9に示すように、検査台38に載置された3つのワークは、何れか1つが3CHの検査部330にて検査され、別の1つが2CHの検査部330にて検査され、かつ、残りの1つが1CHの検査部330にて検査されて、検査機1での検査が終了する。
【0129】
従って、検査台38に載置された3つのワークごとに検査時刻を揃えればよく、特に、検査機1での最後の検査時刻である1CHの検査時刻に揃えることが望ましい。図11の(c)は、同図の(b)に示すデータについて、連続する1CH〜3CHの検査時刻を1CHの検査時刻に揃え、これを繰り返したものである。これにより、同図の(c)のデータは、ワークの投入順に計測時刻が並んだデータとなる。
【0130】
このように、データ結合部52は、ワーク36ごとの検査データを所定の順序に配列した後、ワーク36ごとの計測時刻を早い順に並び替えることで、特性値テーブルにて計測時刻も順序よく配列することになり、計測時刻に基づくデータ解析の実行が容易となる。
【0131】
以上の処理により、図17の(a)に示される特性値テーブルが検査DB記録部63に記録されることになる。この特性値テーブルでは、ワークの投入順にデータが並んでおり、計測したデータが異常値である箇所にはヌルが格納されており、ワークの投入順に計測時刻が並んでいる。なお、ワーク番号23のデータは、ワーク無しのデータであり、ワーク番号、計測時刻、およびチャンネル番号以外の項目にはヌルが格納されている。このように計測データを修正することで、より正確なデータ解析ができるようになる。
【0132】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0133】
例えば、本実施形態では、検査装置33・35からの検査データの収集について説明しているが、計測装置からの計測データの収集、加工装置32・34からの設定データの収集など、製造ラインに設けられた各種設備からのデータの収集に関して本発明を適用することができる。
【0134】
最後に、データ収集装置11の各ブロック、特に制御部40は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0135】
すなわち、データ収集装置11は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるデータ収集装置11の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記データ収集装置11に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0136】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0137】
また、データ収集装置11を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明に係るデータ収集装置は、製造ラインの各設備からのデータを、情報が欠落することなく、或いは順序よく統合できるので、検査装置からの検査データだけでなく、計測装置、加工装置など、任意の設備からのデータ収集およびデータ解析に適用することができる。
【符号の説明】
【0139】
1 生産システム
10 生産現場
11 データ収集装置
13 通信ネットワーク
14 PC
20 前工程ライン・部品製造ライン
21 加工ライン・組立ライン
22・23 ライン
24 部品
30 ライン
31 部品供給装置
32・34 加工装置
33・35 検査装置
36 ワーク
37 アーム
38 検査台
40 制御部
41 記録部
42 ネットワークI/F部
50 付加情報抽出部(抽出手段)
51 データ変更部(追加手段)
52 データ結合部(追加手段、配列手段)
53 データ書込部(追加手段)
54 データ提供部
60 検査ファイル記録部(取得手段)
61 抽出条件記録部
62 ライン情報記録部
63 検査DB記録部
330 検査部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造ラインの各設備からのデータを収集し、収集したデータをデータベースに追加するデータ収集装置であって、
上記設備から計測データを取得する取得手段と、
上記取得手段が取得した計測データに文字列が含まれている場合、該文字列を、数値列として処理できる値であって、計測値と区別できる値に変換して上記計測データを上記データベースに追加する追加手段とを備えることを特徴とするデータ収集装置。
【請求項2】
上記追加手段は、さらに、変換された値が上記データベースに追加された位置に対応付けて、上記文字列を文字列テーブルに追加することを特徴とする請求項1に記載のデータ収集装置。
【請求項3】
上記計測データの許容範囲を記録する許容範囲記録部をさらに備えており、
上記追加手段は、さらに、上記取得手段が取得した計測データが上記許容範囲記録部からの許容範囲に含まれていない場合、上記計測データが上記データベースに追加された位置に対応付けて、異常を示す文字列を文字列テーブルに追加することを特徴とする請求項1または2に記載のデータ収集装置。
【請求項4】
製造ラインの各設備からのデータを収集し、収集したデータをデータベースに追加するデータ収集装置であって、
上記設備と、該設備が処理するワークの順序の規則との対応関係を含むライン情報を記憶するライン情報記録部と、
上記設備におけるワークごとのデータを取得する取得手段と、
上記ライン情報記録部からのライン情報に基づいて、上記取得手段が取得したワークごとのデータを所定の順序に配列する配列手段と、
該配列手段が配列したワークごとのデータを上記データベースに追加する追加手段とを備えることを特徴とするデータ収集装置。
【請求項5】
上記ワークごとのデータには、該データの計測時刻を含んでおり、
上記ライン情報には、上記設備と、該設備が計測に必要な期間である計測期間との対応関係をさらに含んでおり、
上記配列手段は、上記ライン情報記録部からのライン情報に基づいて、隣り合う上記ワークどうしのデータにおける計測時刻の差が、上記設備に対応する計測期間よりも大きい場合、上記ワークどうしのデータの間に、対象となるワークが存在しなかったことを示すデータを挿入してから、上記ワークごとのデータを所定の順序に配列することを特徴とする請求項4に記載のデータ収集装置。
【請求項6】
上記ワークごとのデータには、該データの計測時刻を含んでおり、
上記配列手段は、上記ワークごとのデータを所定の順序に配列した後、上記ワークごとの計測時刻を、所定の順序に並ぶように変更することを特徴とする請求項4に記載のデータ収集装置。
【請求項7】
製造ラインの各設備からのデータを収集し、収集したデータをデータベースに追加するデータ収集装置であって、
上記データを含むファイルおよびファイル名を上記設備から取得する取得手段と、
該取得手段が取得したファイル名から上記データに関する付加情報を抽出する抽出手段と、
該抽出手段が抽出した付加情報を、上記取得手段が取得したファイル内の上記データに追加して、上記データベースに追加する追加手段とを備えることを特徴とするデータ収集装置。
【請求項8】
上記ファイル名は、複数の上記付加情報がセパレータを介して結合したものを含んでおり、
上記付加情報を抽出するための抽出条件を記録する抽出条件記録部をさらに備えており、
該抽出条件は、上記セパレータの情報と、上記付加情報の順序および項目名の対応関係とを含んでおり、
該抽出手段は、上記抽出条件記録部からの抽出条件に基づいて、上記ファイル名から上記付加情報を抽出し、抽出された付加情報に上記項目名を対応付けており、
上記追加手段は、さらに、上記付加情報に対応付けられた項目名を上記データベースに追加することを特徴とする請求項7に記載のデータ収集装置。
【請求項9】
製造ラインの各設備からのデータを収集し、収集したデータをデータベースに追加するデータ収集装置の制御方法であって、
上記設備から計測データを取得する取得ステップと、
上記取得ステップにて取得された計測データに文字列が含まれている場合、該文字列を、数値列として処理できる値であって、計測値と区別できる値に変換して上記計測データを上記データベースに追加する追加ステップとを含むことを特徴とするデータ収集装置の制御方法。
【請求項10】
製造ラインの各設備からのデータを収集し、収集したデータをデータベースに追加するデータ収集装置の制御方法であって、
上記設備におけるワークごとのデータを取得する取得ステップと、
上記設備と、該設備が処理するワークの順序の規則との対応関係を含むライン情報を記録部から読み出し、読み出したライン情報に基づいて、上記取得ステップにて取得されたワークごとのデータを所定の順序に配列する配列ステップと、
該配列ステップにて配列されたワークごとのデータを上記データベースに追加する追加ステップとを含むことを特徴とするデータ収集装置の制御方法。
【請求項11】
製造ラインの各設備からのデータを収集し、収集したデータをデータベースに追加するデータ収集装置の制御方法であって、
上記データを含むファイルおよびファイル名を上記設備から取得する取得ステップと、
該取得ステップにて取得されたファイル名から上記データに関する付加情報を抽出する抽出ステップと、
該抽出ステップにて抽出された付加情報を、上記取得ステップにて取得されたファイル内の上記データに追加して、上記データベースに追加する追加ステップとを含むことを特徴とするデータ収集装置の制御方法。
【請求項12】
製造ラインの各設備からのデータを収集し、収集したデータをデータベースに追加するデータ収集装置を動作させるための制御プログラムにおいて、
上記設備から計測データを取得する取得ステップと、
上記取得ステップにて取得された計測データに文字列が含まれている場合、該文字列を、数値列として処理できる値であって、計測値と区別できる値に変換して上記計測データを上記データベースに追加する追加ステップとをコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【請求項13】
製造ラインの各設備からのデータを収集し、収集したデータをデータベースに追加するデータ収集装置を動作させるための制御プログラムにおいて、
上記設備におけるワークごとのデータを取得する取得ステップと、
上記設備と、該設備が処理するワークの順序の規則との対応関係を含むライン情報を記録部から読み出し、読み出したライン情報に基づいて、上記取得ステップにて取得されたワークごとのデータを所定の順序に配列する配列ステップと、
該配列ステップにて配列されたワークごとのデータを上記データベースに追加する追加ステップとをコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【請求項14】
製造ラインの各設備からのデータを収集し、収集したデータをデータベースに追加するデータ収集装置を動作させるための制御プログラムにおいて、
上記データを含むファイルおよびファイル名を上記設備から取得する取得ステップと、
該取得ステップにて取得されたファイル名から上記データに関する付加情報を抽出する抽出ステップと、
該抽出ステップにて抽出された付加情報を、上記取得ステップにて取得されたファイル内の上記データに追加して、上記データベースに追加する追加ステップとをコンピュータに実行させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−159942(P2012−159942A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18024(P2011−18024)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】