説明

データ提供システム、データ提供方法、およびコンピュータプログラム

【課題】一部分の内容を開示するためのデータを容易に作成することができ、作成したデータを容易に管理することができるシステムを提供すること。
【解決手段】会議システムSYを構成する画像処理装置2に、会議の参加者のみがアクセスすることができる秘密BOX203bを作成する秘密BOX作成部212と、会議の参加者の間で用いられるデータを秘密BOX203bに格納する秘密データ保存部215と、秘密BOX203bに格納されているデータの一部分の内容を開示するための一部データを作成する開示データ作成部217と、会議の非参加者がアクセスすることができる開示BOX203jを作成する開示BOX作成部213と、一部データを開示BOX203jに格納する開示データ保存部218と、開示BOX203jに格納されている一部データを会議の非参加者に対して提供する開示データ送信部219と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記憶装置に記憶されたデータを限定的にユーザへ提供するためのデータ提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
会社などの会議で使用する会議資料のデータを「複合機」または「MFP」などと呼ばれる画像処理装置に記憶させておき、会議の参加者が会議中にそのデータにアクセスすることができるようにする仕組みが考案されている。
【0003】
このような仕組みにおいては、会議資料のデータの内容が部外者に閲覧されないようにするために、会議資料のデータへのアクセスを制限する必要がある。例えば、会議に参加する者にのみアクセスを許可する必要がある。
【0004】
そのようにすることで確かにセキュリティは向上するが、他方で、会議資料のデータの一部分の内容をアクセスが許可されていない者に閲覧させたいといった事情が生じることがある。
【0005】
例えば、会議において議論されているある項目について、会議の参加者以外の者に問い合わせる際に、会議資料のデータのうちその項目に関係する一部分の内容をその者に閲覧させたい場合がある。
【0006】
このような場合に、会議資料のデータそのものへのアクセスをその者に許可してしまうと、問い合わせたい項目には関係しない内容を含む全部がその者に閲覧されてしまうので、会議資料のデータそのものへのアクセスを許可することはできない。
【0007】
そこで、そのような場合に、特許文献1、特許文献2、または特許文献3に記載されるような技術を利用して、閲覧させたい内容に係る部分のみアクセスを許可した会議資料のデータを作成し、それをその者に閲覧させることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−110763
【特許文献2】特開平11−353218
【特許文献3】特開2004−272421
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一部分の内容を閲覧することが可能な会議資料のデータを作成するために、従来の技術を利用する方法は、会議の参加者が会議の最中にそれを行うには手間がかかるという問題があった。
【0010】
また、一部分の内容を閲覧することが可能な会議資料のデータをセキュリティを考慮しつつ適切に管理するのは面倒であるという問題もあった。
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑み、ユーザにとって、一部分の内容を開示するためのデータを容易に作成することができ、作成したデータを容易に管理することができるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下に述べるデータ提供システムは、記憶装置に記憶されたデータを限定的にユーザへ提供するためのデータ提供システムであって、第一アクセス権限を有する第一ユーザのみがアクセスすることができる第一領域を前記記憶装置に作成する第一領域作成手段と、前記第一ユーザの間で用いられるデータを前記第一領域に格納するデータ保存手段と、前記第一領域に格納されている前記データの一部分の内容を開示するための一部データを作成する一部データ作成手段と、第二アクセス権限を有する第二ユーザがアクセスすることができる第二領域を前記記憶装置に作成する第二領域作成手段と、前記一部データを前記第二領域に格納する一部データ保存手段と、前記第二領域に格納されている前記一部データを前記第二ユーザに対して提供する提供手段と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一部分の内容を開示するためのデータを容易に作成することができ、作成したデータを容易に管理することができるシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】会議システムの例を示す図である。
【図2】画像処理装置およびパソコンのハードウェア的な構成の例を示す図である。
【図3】画像処理装置およびパソコンの機能的な構成の例を示す図である。
【図4】ユーザ管理テーブルの例を示す図である。
【図5】会議BOXの構造の例を示す図である。
【図6】アクセス許可リストの例を示す図である。
【図7】開示対象データ選択画面の例を示す図である。
【図8】表示可能範囲指定画面の例を示す図である。
【図9】開示したい内容を指定する方法の例を示す図である。
【図10】開示通知メールの文面の例を示す図である。
【図11】開示用会議資料表示画面の例を示す図である。
【図12】開示用会議資料表示画面の例を示す図である。
【図13】画像処理装置およびパソコンが連携して行う処理の流れの例を示す図である。
【図14】開示対象データ選択画面の例を示す図である。
【図15】再生可能時間指定画面の例を示す図である。
【図16】画像処理装置が行う処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、会議システムSYの例を示す図である。
【0016】
図1に示すように、会議システムSYは、会議サーバ1、画像処理装置2、パソコン3(3A、3B)、投影装置4、録画装置5、録音装置6、議事録作成装置7、および電子黒板装置8、およびテレビモニタ9などの情報処理装置がネットワーク10に接続されることにより構成される。
【0017】
本実施形態では、会議室MRで行われる会議において利用される会議システムSYを例に説明する。
【0018】
会議システムSYは、会議室MRと遠隔地の拠点との間でテレビ会議を行うことができるように構成されている。
【0019】
会議サーバ1および画像処理装置2は、図1に示す例では、会議室MRの外に設けられているが、会議室MRの中に設けられていてもよい。
【0020】
会議サーバ1は、会議システムSYを構成する各装置に動作の指令を与えたり、各装置の動作のタイミングを制御したり、各装置によって取得されたデータを収集したりして、会議室MRで行われる会議または会議室MRと遠隔地の拠点との間で行われる会議を支援する機能を有する情報処理装置である。また、メールサーバの機能を有する情報処理装置でもある。
【0021】
画像処理装置2は、コピー、ネットワークプリント(PCプリント)、スキャナ、ファックス、およびドキュメントサーバなどの様々な機能が集約された情報処理装置であり、「複合機」または「MFP(Multi Function Peripherals)」などと呼ばれることもある。
【0022】
パソコン3Aは、会議の参加者が使用するパーソナルコンピュータなどの情報処理装置である。会議の際には、会議室MRに持ち込まれて使用される。パソコン3Aは、図1に示す例では、1台のみがネットワーク10に接続された状態となっているが、実際には、複数の参加者が各自のパソコン3Aを会議室MRに持ち込んで使用するため、複数台が接続されることが普通である。
【0023】
パソコン3Bは、会議の参加者以外の者(以下、「非参加者」と呼称することがある。)が使用するパーソナルコンピュータなどの情報処理装置である。パソコン3Bは、図1に示す例では、1台のみがネットワーク10に接続された状態となっているが、実際には、複数の非参加者が各自のデスクで各自のパソコン3Bを使用するため、複数台が接続されることが普通である。
【0024】
会議の際、投影装置4、録画装置5、録音装置6、議事録作成装置7、電子黒板装置8、およびテレビモニタ9は、会議室MRの中に設けられる。なお、会議が遠隔地の拠点との間で行われる場合は、同様の装置が遠隔地の拠点にも設けられる。
【0025】
投影装置4は、パソコン3から直接入力される画像信号、またはネットワーク10を介して送信されてくる画像信号などに基づいて静止画または動画を投影する装置であり、いわゆるプロジェクタである。投影装置4によって、会議に用いられる資料のデータ(以下、会議資料データMDとする。)の内容がスクリーンなどに投影される。ただし、投影装置4によってスクリーンに投影する代わりに、またはそれとともに、会議資料データMDの内容をテレビモニタ9に映し出してもよい。投影装置4によって投影された内容を示すデータ(以下、投影データRD1とする。)は、会議サーバ1の機能によって、画像処理装置2へ送られ、画像処理装置2の記憶装置に保存される。
【0026】
録画装置5は、会議が行われている間、会議室MRの中の状況をデジタル録画する装置であり、いわゆるデジタルビデオカメラである。録画装置5によって録画されたデータ(以下、録画データRD2とする。)は、会議サーバ1の機能によって、画像処理装置2へ送られ、画像処理装置2の記憶装置に保存される。
【0027】
録音装置6は、会議が行われている間、会議室MRの中の会話をデジタル録音する装置であり、いわゆるボイスレコーダーである。録音装置6によって録音されたデータ(以下、録音データRD3とする。)は、会議サーバ1の機能によって、画像処理装置2へ送られ、画像処理装置2の記憶装置に保存される。
【0028】
議事録作成装置7は、録音装置6によって録音された録音データRD3をテキスト形式のデータに変換する装置である。議事録作成装置7によってテキスト形式のデータに変換されて作成されたデータ(以下、議事録データRD4とする。)は、会議サーバ1の機能によって、画像処理装置2へ送られ、画像処理装置2の記憶装置に保存される。ただし、議事録作成装置7の機能が、会議室MRの外に設けられている会議サーバ1などの装置に設けられていてもよい。
【0029】
電子黒板装置8は、会議の参加者が文字または図形などを描くことができるボードを備えており、ボードに描かれた内容を電子的に読み取る装置である。すなわち、コピーを取ることが可能なホワイトボードまたはそれに類するものである。電子黒板装置8によってボードに描かれた内容が読み取られて生成されたデータ(以下、読取データRD5とする。)は、会議サーバ1の機能によって、画像処理装置2へ送られ、画像処理装置2の記憶装置に保存される。
【0030】
ネットワーク10は、それに接続された各情報処理装置の間での通信を可能にするための通信回線であり、LAN(Local Area Network)と呼ばれることもある。
【0031】
図2は、画像処理装置2およびパソコン3のハードウェア的な構成の例を示す図である。
【0032】
図2に示すように、画像処理装置2は、制御装置21、記憶装置22、表示操作装置23、原稿読取装置24、印刷装置25、ファックス装置26、およびネットワークI/F(インタフェース)27などで構成されている。
【0033】
制御装置21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)などによって構成されており、ROMまたは記憶装置22に格納されているプログラムおよびデータ、ならびにネットワーク10を介して入力されるデータなどに基づいて、画像処理装置2の中心的な制御を行う。
【0034】
記憶装置22は、電源が切られても記憶されたデータを保持する不揮発性の記憶装置である。記憶装置22として、例えば、フラッシュメモリなどの半導体メモリまたはハードディスクなどの磁気記憶装置が用いられる。
【0035】
画像処理装置2には、いわゆるファイル管理システムの機能が備わっている。ユーザは、この機能を使って、ファイルを分類して管理するための「ボックス(BOX)」と呼ばれる論理的な格納場所を記憶装置22に作成することができる。その際、複数のボックスが階層構造をなすように作成することもできる。また、各ボックスについてアクセス制限をかけることもできる。すなわち、ボックスは、パーソナルコンピュータ向けのOS(Operating System)が提供するフォルダまたはディレクトリに相当するものである。
【0036】
表示操作装置23は、表面がタッチパネルとなっているディスプレイおよび各種の操作スイッチなどによって構成されており、ユーザに対して各種の画面を表示したり、ユーザから各種の操作を受け付けたりする。
【0037】
原稿読取装置24は、原稿に描かれている文字および図形などの画像を電子的に読み取ったデータである画像データに変換するための装置である。
【0038】
印刷装置25は、画像データに示される画像を紙などの記録媒体の上に形成するための装置である。
【0039】
ファックス装置26は、公衆回線を介して他のファックス装置との間でデータを送受信するための装置である。
【0040】
ネットワークI/F27は、ネットワーク10を介して他の情報処理装置との間で通信を行うための装置である。ネットワークI/F27として、例えば、NIC(Network Interface Card)が用いられる。
【0041】
画像処理装置2には、そのほか、各装置の動作のタイミングを制御するための制御回路などが設けられることもある。
【0042】
同じく図2に示すように、パソコン3は、制御装置31、記憶装置32、表示装置33、入力装置34、およびネットワークI/F35などで構成されている。
【0043】
制御装置31は、CPU、RAM、およびROMなどによって構成されており、ROMまたは記憶装置32に格納されているプログラムおよびデータ、ならびにネットワーク10を介して入力されるデータなどに基づいて、パソコン3の中心的な制御を行う。
【0044】
記憶装置32は、電源が切られても記憶されたデータを保持する不揮発性の記憶装置である。記憶装置32として、例えば、フラッシュメモリなどの半導体メモリまたはハードディスクなどの磁気記憶装置が用いられる。
【0045】
表示装置33は、ユーザに対して各種の画面を表示する装置である。表示装置33として、ディスプレイなどが用いられる。
【0046】
入力装置34は、ユーザから各種の操作を受け付ける装置である。入力装置34として、キーボードおよびポインティングデバイスなどが用いられる。
【0047】
ネットワークI/F35は、ネットワーク10を介して他の情報処理装置との間で通信を行うための装置である。ネットワークI/F35として、例えば、NICが用いられる。
【0048】
図3は、画像処理装置2およびパソコン3の機能的な構成の例を示す図である。
【0049】
図3に示すように、画像処理装置2は、ユーザ管理部201、会議BOX管理部202、BOX部203、およびメール送信部204の各機能部を有している。会議BOX管理部202は、会議BOX作成部211、秘密BOX作成部212、開示BOX作成部213、アクセス許可部214、秘密データ保存部215、秘密データ送信部216、開示データ作成部217、開示データ保存部218、および開示データ送信部219によって構成されている。これらの各機能部を実現するためのプログラムが、制御装置21のROMまたは記憶装置22に格納され、制御装置21のCPUによって適宜実行される。
【0050】
パソコン3は、アクセス要求部301、開示箇所指定部302、メール受信部303、開示データ表示部304、および開示データ再生部305の各機能部を有している。開示箇所指定部302は、表示可能範囲指定部302aおよび再生可能時間指定部302bによって構成されている。これらの各機能部を実現するためのプログラムが、制御装置31のROMまたは記憶装置32に格納されており、制御装置31のCPUによって適宜実行される。
【0051】
以下、図3に示す各機能部の詳細について、会議前および会議中にユーザが行う操作とともに説明する。
【0052】
〔会議前〕
図4はユーザ管理テーブルUTの例を示す図、図5は、会議BOX203aの構造の例を示す図、図6はアクセス許可リストATの例を示す図である。
【0053】
ユーザ管理部201は、図4に示すようなユーザ管理テーブルUTを作成し、画像処理装置2の使用を許可されているユーザを管理している。ユーザ管理テーブルUTには、画像処理装置2の使用を許可されているユーザについての、ユーザ名UT1、そのユーザが認証を受ける際に使用するパスワードUT2、そのユーザが所属しているグループのグループ名UT3、およびそのユーザに割り当てられているメールアドレスUT4などが登録されている。なお、以降に登場する会議の参加者および非参加者は、画像処理装置2の使用を許可されているユーザとしてあらかじめユーザ管理テーブルUTに登録されているものとする。
【0054】
会議を行うにあたって、会議の主催者は、画像処理装置2の表示操作装置23を操作して、画像処理装置2にログインし、その会議に関するデータを格納するための会議BOX203aの作成を画像処理装置2に指示する。なお、主催者は、パソコン3Aなどを操作して、ネットワーク10を経由して画像処理装置2にログインし、この操作を行ってもよい。
【0055】
会議の主催者によってそのような操作がなされると、会議BOX作成部211は、図5に示すように、会議BOX203aをBOX部203に作成する。また、秘密BOX作成部212は、会議BOX203aの配下に秘密BOX203bを作成し、秘密BOX203bの配下に会議資料BOX203cおよびTV会議BOX203dを作成し、TV会議BOX203dの配下に投影BOX203e、録画BOX203f、録音BOX203g、議事録BOX203h、および電子黒板BOX203iを作成する。また、開示BOX作成部213は、会議BOX203aの配下に開示BOX203jを作成する。
【0056】
次に、会議の主催者は、画像処理装置2の表示操作装置23を操作して、または、パソコン3Aなどを操作して、各BOX203a〜203jへのアクセスが許可されるユーザを登録する。ここで、会議BOX203aについては、ユーザ管理テーブルUTに登録されている全てのユーザに対してアクセスを許可する設定を行う。つまり、会議BOX203aにはアクセス制限をかけない。秘密BOX203bおよびその配下のBOX203c〜203iについては、会議の参加者に対してのみアクセスを許可する設定を行う。開示BOX203jについては、必要に応じて会議の非参加者のうち特定の者に対してアクセスを許可する設定を行うが、当初は会議の参加者に対してのみアクセスを許可する設定を行う。このような設定により、図1に示すパソコン3Aのユーザは、秘密BOX203bをはじめとする会議BOX203aの配下にある各BOX203a〜203jにアクセスすることができるが、パソコン3Bのユーザは、それらにアクセスすることができない。なお、アクセスの許可の設定において、BOXに格納されているファイルの読取りおよびBOXへのファイルの書込みなどのアクセスの種類ごとに詳細な設定を行うこともできる。
【0057】
会議の主催者によってそのような操作がなされると、会議BOX作成部211は、図6に示すようなアクセス許可リストATを作成し、会議BOX203aの属性を示す情報として登録する。アクセス許可リストATには、主催者が指示した内容に従って、会議BOX203aへのアクセスが許可されるユーザのユーザ名AT1およびアクセスの許否AT2が登録される。また、秘密BOX作成部212も、同様に、秘密BOX203b、会議資料BOX203c、TV会議BOX203d、投影BOX203e、録画BOX203f、録音BOX203g、議事録BOX203h、および電子黒板BOX203iについての各アクセス許可リストATを作成し、各BOX203b〜203iの属性を示す情報として登録する。また、開示BOX作成部213も、同様に、開示BOX203jについてのアクセス許可リストATを作成し、開示BOX203jの属性を示す情報として登録する。
【0058】
なお、秘密BOX203bの配下のBOX203c〜203iについては、秘密BOX203bについてのアクセス許可リストATを継承して登録してもよい。また、アクセスの許否AT2については、BOXに格納されているファイルの読取りのアクセス、およびBOXへのファイルの書込みのアクセスなどのアクセスの種類ごとにその許否を登録してもよい。
【0059】
次に、会議の主催者は、画像処理装置2の表示操作装置23を操作して、または、パソコン3Aなどを操作して、会議資料BOX203cへの会議資料データMDの格納を画像処理装置2に指示する。会議資料データMDは様々な方法により作成された、閲覧可能な文字、図形または記号などを表現する、文書ファイルまたは描画ファイルなどの電子ファイルである。例えば、主催者は、画像処理装置2の表示操作装置23を操作して、原稿を画像処理装置2に読み取らせることにより会議資料データMDを作成することができる。または、パソコン3Bなどを操作して、Microsoft社の「PowerPoint」などのプレゼンテーション用のソフトウェアを用いることにより会議資料データMDを作成することができる。
【0060】
会議の主催者によってそのような操作がなされると、秘密データ保存部215は、主催者から格納を指示された会議資料データMDを会議資料BOX203cに格納する。
【0061】
〔会議中〕
会議の間、画像処理装置2の会議資料BOX203cに格納されている会議資料データMDが投影装置4へ送信され、会議資料データMDの内容がスクリーンなどに投影される。会議は、会議の主催者などが会議資料データMDの内容を説明するなどして進められる。投影装置4によって投影された内容を示す投影データRD1は、会議サーバ1の機能によって画像処理装置2へ送られる。投影データRD1に含まれる個々のデータは、それが投影された日時の情報を伴っている。つまり、投影データRD1には、所定のタイミングで投影された内容を示す個々のデータが含まれている。
【0062】
また、録画装置5によって、会議室MRの内の状況がデジタル録画される。録画装置5によって録画された録画データRD2は、会議サーバ1の機能によって画像処理装置2へ送られる。録画データRD2に含まれる個々のデータは、それが録画された日時の情報を伴っている。
【0063】
また、録音装置6によって、会議室MRの内の会話がデジタル録音される。録音装置6によって録音された録音データRD3は、会議サーバ1の機能によって画像処理装置2へ送られる。録音データRD3に含まれる個々のデータは、それが録音された日時の情報を伴っている。
【0064】
また、議事録作成装置7によって、録音装置6によって録音された録音データRD3がテキスト形式のデータに変換されて、議事録データRD4が作成される。議事録作成装置7によって作成された議事録データRD4は、会議サーバ1の機能によって画像処理装置2へ送られる。議事録データRD4に含まれる個々のデータは、その基となる録音データRD3に含まれる個々のデータが録音された日時の情報を伴っている。
【0065】
また、電子黒板装置8によって、ボードに描かれた内容が所定のタイミングで電子的に読み取られて、読取データRD5が生成される。電子黒板装置8によって生成された読取データRD5は、会議サーバ1の機能によって、画像処理装置2へ送られる。読取データRD5に含まれる個々のデータは、それが読み取られた日時の情報を伴っている。
【0066】
画像処理装置2の秘密データ保存部215は、各装置から送られてくる投影データRD1、録画データRD2、録音データRD3、議事録データRD4、および読取データRD5を、それぞれTV会議BOX203dの配下の投影BOX203e、録画BOX203f、録音BOX203g、議事録BOX203h、および電子黒板BOX203iに格納する。
【0067】
以下、TV会議BOX203dの配下のBOX203e〜203iに格納されるこれらのデータをTV会議データRDと総称することがある。
【0068】
なお、図5に示す例では、各BOX203e〜203iには1つのTV会議データRDが格納されているが、各BOX203e〜203iには複数のTV会議データRDが格納されることもある。
【0069】
〔会議資料データの開示〕
図7は開示対象データ選択画面G10の例を示す図、図8は表示可能範囲指定画面G11の例を示す図、図9は開示したい内容を指定する方法の例を示す図、図10は開示通知メールG12の文面の例を示す図、図11および図12は開示用会議資料表示画面G13の例を示す図である。
【0070】
さて、会議の参加者は、会議において議論されているある項目について会議に参加していない非参加者に問い合わせるため、会議資料BOX203cに格納されている会議資料データMDのうちその項目に関係する一部分の内容をその者に閲覧させることにする。
【0071】
その場合に、会議の参加者は、パソコン3Aを操作して、画像処理装置2にログインし、会議資料データMDの一部分の内容を開示するための開示用のデータを作成するメニューを選択する。
【0072】
すると、パソコン3Aのアクセス要求部301は、会議資料BOX203cへアクセスするためのアクセス要求を発行する。
【0073】
画像処理装置2のアクセス許可部214は、パソコン3Aからアクセス要求が発行されると、会議資料BOX203cのアクセス許可リストAT(図6)を参照し、ログインの際に取得されたユーザ名などに基づいて、アクセスの許否を判断する。今回の場合、パソコン3Aのユーザである参加者はアクセス許可リストATに登録されているユーザであり、当該ユーザにはアクセスを許可することになっているので、会議資料BOX203cへのアクセスを許可する旨をパソコン3Aへ通知する。
【0074】
パソコン3Aの表示可能範囲指定部302aは、画像処理装置2からアクセスを許可する旨が通知されると、図7に示すような開示対象データ選択画面G10を表示装置33に表示させる。開示対象データ選択画面G10には、会議資料BOX203cに格納されている会議資料データMDの一覧が表示されている。図7に示す例では、ファイルA〜Cの会議資料データMDの一覧が表示されている。また、開示対象データ選択画面G10には、次の画面への移行を指示するためのボタンB101などが配置されている。
【0075】
会議の参加者は、開示対象データ選択画面G10に示されている会議資料データMDの中から、一部分の内容を開示しようとする会議資料データMDを選択した後、ボタンB101を押下する。
【0076】
すると、パソコン3Aの表示可能範囲指定部302aは、参加者が選択した会議資料データMDの送信を画像処理装置2に要求し、画像処理装置2の秘密データ送信部216は、要求された会議資料データMDをパソコン3Aへ送信する。
【0077】
パソコン3Aの表示可能範囲指定部302aは、画像処理装置2から会議資料データMDが送信されてくると、図8に示すような表示可能範囲指定画面G11を表示装置33に表示させる。表示可能範囲指定画面G11には、会議資料データMDの内容が表示される会議資料表示枠B111、開示先のメールアドレスを入力するための入力欄B112、および開示BOX203jへの開示用のデータの保存を指示するためのボタンB113などが配置されている。
【0078】
会議の参加者は、会議資料表示枠B111において、会議資料データMDの内容のうち、非参加者に開示したい部分の内容を指定する。具体的には、図9に示すように、マウスカーソルを移動させて対角線の始点および終点を選択するなどして矩形領域を描くことにより、開示したい範囲CFを指定する。複数のページを跨いで範囲CFを指定したい場合は、会議資料表示枠B111に前後のページを表示させた上で連続して指定するとよい。そして、開示先の非参加者のメールアドレスを入力欄B112に入力し、ボタンB113を押下する。
【0079】
すると、パソコン3Aの表示可能範囲指定部302aは、参加者が指定した範囲CFを特定するための情報、および入力欄B112に入力されたメールアドレスなどを画像処理装置2に送信するとともに、開示用のデータを作成して開示BOX203jへ保存するよう要求する。なお、参加者が指定した範囲CFを特定するための情報とは、例えば、表示範囲全体における範囲CFの位置を示す情報である。
【0080】
画像処理装置2の開示データ作成部217は、パソコン3Aから開示用のデータの作成およびその保存の要求を受け付けると、パソコン3Aから受信した情報に基づいて、会議資料データMDのうちの範囲CFの内容を示すデータを抽出して、範囲CFの部分のみが表示される開示用会議資料データMDpを作成する。開示用会議資料データMDpの形式は、会議資料データMDの形式と同じであっても異なっていてもよい。開示用会議資料データMDpのデータ形式は、例えば、PDF(Portable Document Format)形式である。
【0081】
開示データ保存部218は、作成された開示用会議資料データMDpを開示BOX203jに格納する。また、開示データ保存部218は、ユーザ管理テーブルUT(図4)を参照し、受信したメールアドレスに対応するユーザを特定する。そして、特定したユーザを開示BOX203jのアクセス許可リストAT(図6)に登録し、開示BOX203jへのアクセスを許可する設定を行う。このような設定により、以降において、開示先の非参加者は、開示BOX203jにアクセスすることができるようになる。
【0082】
メール送信部204は、開示用会議資料データMDpが開示BOX203jに保存されると、パソコン3Aから受信したメールアドレスを宛先として、図10に示すような文面の開示通知メールG12を送信する。開示通知メールG12には、参加者から開示BOX203jへのアクセスが許可された旨、開示BOX203jへアクセスして開示用会議資料データMDpを閲覧するよう促す旨、および開示用会議資料データMDpが格納されている場所(開示用会議資料データMDpへのパス)などが記されている。
【0083】
開示先となっている会議の非参加者は、パソコン3Bのメール受信部303によって開示通知メールG12を受け取ると、開示通知メールG12に記されている開示用会議資料データMDpへのパスをクリックする。
【0084】
すると、パソコン3Bのアクセス要求部301は、開示BOX203jへアクセスするためのアクセス要求を発行する。
【0085】
画像処理装置2のアクセス許可部214は、パソコン3Bからアクセス要求が発行されると、開示BOX203jのアクセス許可リストAT(図6)を参照し、ログインの際に取得されたユーザ名などに基づいて、アクセスの許否を判断する。今回の場合、パソコン3Bのユーザである非参加者はアクセス許可リストATに登録されているユーザであり、当該ユーザにはアクセスを許可することになっているので、会議資料BOX203cへのアクセスを許可する旨をパソコン3Bへ通知する。
【0086】
パソコン3Bの開示データ表示部304は、画像処理装置2からアクセスを許可する旨が通知されると、非参加者がクリックしたパスに格納されている開示用会議資料データMDpの送信を画像処理装置2に要求し、画像処理装置2の開示データ送信部219は、要求された開示用会議資料データMDpをパソコン3Bへ送信する。
【0087】
パソコン3Bの開示データ表示部304は、画像処理装置2から開示用会議資料データMDpが送信されてくると、図11(a)に示すような開示用会議資料表示画面G13を表示装置33に表示させる。開示用会議資料表示画面G13には、2本の水平バーHB1、HB2および2本の垂直バーVB1、VB2が用意されている。初期状態では、開示用会議資料表示画面G13の上端に2本の水平バーHB1、HB2が配置され、左端に垂直バーVB1が配置され、右端に垂直バーVB2が配置されている。また、初期状態では、開示用会議資料データMDpの全ての内容(会議資料データMDの一部分の内容)がマスクで覆われた状態になっている。つまり、マスク処理が施されている。水平バーHB1、HB2および垂直バーVB1、VB2を初期状態の位置から移動させると、マスクの範囲が移動して可視領域PR(4本のバーHB1、HB2、VB1、VB2で囲まれた範囲)が生まれることにより、覆われていた開示用会議資料データMDpの内容が現れる仕掛けになっている。つまり、開示用会議資料データMDpの内容が一度に全て表示されないように、各タイミングにおいて表示させない部分の開示用会議資料データMDpの内容がマスクで覆われるようになっている。
【0088】
会議の非参加者は、開示用会議資料表示画面G13において、図11(b)に示すように、マウスカーソルを用いて、水平バーHB2を移動させて下側のマスクの上端を設定し、水平バーHB1を移動させて上側のマスクの下端を設定する。また、図12(a)に示すように、マウスカーソルを用いて、垂直バーVB2を移動させて右側のマスクの左端を設定し、垂直バーVB1を移動させて左側のマスクの右端を設定する。そして、可視領域PRのサイズを固定するための操作を行う。すると、可視領域PRのサイズが固定される。図12(b)に示すように、サイズが固定された可視領域PRについては、マウスカーソルを用いて自在にその位置を移動させることが可能になっている。非参加者は、サイズが固定された可視領域PRを移動させながら、開示用会議資料データMDpにおいて開示された範囲CFについて一部分ずつ閲覧していく。
【0089】
図13は、画像処理装置2およびパソコン3Bが連携して行う処理の流れの例を示す図である。
【0090】
以下、図13に示すフローチャートに沿って、会議の非参加者が開示用会議資料データMDpを閲覧しようとする際に、画像処理装置2およびパソコン3Bが連携して行う処理の流れをまとめて説明する。
【0091】
画像処理装置2のアクセス許可部214は、パソコン3Bから開示BOX203jへのアクセスがあると(S401でYes)、アクセスの許否を判断し、許可する場合には(S402でYes)、その旨をパソコン3Bに通知する(S403)。また、開示データ送信部219は、パソコン3Bから要求された開示BOX203jに格納されている開示用会議資料データMDpをパソコン3Bへ送信する(S404)。
【0092】
パソコン3Bの開示データ表示部304は、開示用会議資料データMDpが送信されてくると、開示用会議資料データMDpの全ての内容がマスクで覆われた初期状態の画面を表示させる(S405)。
【0093】
パソコン3Bの開示データ表示部304は、非参加者によって縦方向(垂直方向)にマスクを移動させる旨の選択がなされると(S406でYes)、縦方向のマスクの範囲を変更する(S407)。
【0094】
パソコン3Bの開示データ表示部304は、非参加者によって横方向(水平方向)にマスクを移動させる旨の選択がなされると(S408でYes)、横方向のマスクの範囲を変更する(S409)。
【0095】
このように、前述の実施形態によれば、会議の参加者は、会議資料データMDの内容のうち非参加者に開示したい範囲に属する一部分の内容を閲覧させるための開示用会議資料データMDpを容易に作成することができる。また、作成された開示用会議資料データMDpは会議資料BOX203cとは別の開示BOX203jに保存されるので、開示用会議資料データMDpを容易に管理することができる。また、会議の非参加者が開示用会議資料データMDpを閲覧する際、開示用会議資料データMDpの一部分の内容以外はマスクで覆われるので、部外者が不用意に非参加者のパソコン3Bの表示装置33を覗き込んだとしてもその内容を把握することは難しく、開示用会議資料データMDpの内容が漏洩する危険性が少ない。
【0096】
〔TV会議データの開示〕
図14は開示対象データ選択画面G14の例を示す図、図15は再生可能時間指定画面G15の例を示す図である。
【0097】
さて、会議の参加者は、会議において議論されているある項目について会議に参加していない非参加者に問い合わせるため、TV会議BOX203dの配下の投影BOX203eに格納されている投影データRD1のうちその項目に関係する時間に投影された内容をその者に見せることにする。
【0098】
その場合に、会議の参加者は、パソコン3Aを操作して、画像処理装置2にログインし、TV会議データRDの一部分の内容を開示するための開示用のデータを作成するメニューを選択する。
【0099】
すると、会議資料データの開示の場合と同様に、パソコン3Aから画像処理装置2へ、TV会議BOX203dへアクセスするためのアクセス要求が発行され、画像処理装置2からパソコン3Aへ、TV会議BOX203dへのアクセスを許可する旨が通知される。
【0100】
パソコン3Aの再生可能時間指定部302bは、画像処理装置2からアクセスを許可する旨が通知されると、図14に示すような開示対象データ選択画面G14を表示装置33に表示させる。開示対象データ選択画面G14には、TV会議BOX203dの配下のBOX203e〜203iの一覧が表示されている。図14に示す例では、各BOX203e〜203iに格納されているTV会議データRD(録画データRD2、録音データRD3、議事録データRD4、および読取データRD5)の存在が認識できる態様で、BOX203e〜203iの一覧が表示されている。また、開示対象データ選択画面G14には、次の画面への移行を指示するためのボタンB141などが配置されている。
【0101】
会議の参加者は、開示対象データ選択画面G14に示されているBOX203e〜203iの中から、一部分の内容を開示しようとする投影データRD1が格納されている投影BOX203eを選択した後、ボタンB141を押下する。
【0102】
すると、パソコン3Aの再生可能時間指定部302bは、図15に示すような再生可能時間指定画面G15を表示装置33に表示させる。再生可能時間指定画面G15には、各BOX203e〜203iに格納されているTV会議データRDを開示する時間帯の開始時刻を入力するための入力欄B151、および終了時刻を入力するための入力欄B152が配置されている。そおほか、開示先のメールアドレスを入力するための入力欄B153、およびの開示BOX203jへの開示用のデータ保存を指示するためのボタンB154などが配置されている。
【0103】
会議の参加者は、投影BOX203eに設けられている入力欄B151に、投影データRD1全体の投影時間のうち、非参加者に開示したい時間帯の開始時刻を入力する。また、投影BOX203eに設けられている入力欄B152に、非参加者に開示したい時間帯の終了時刻を入力する。そして、開示先の非参加者のメールアドレスを入力欄B153に入力し、ボタンB154を押下する。
【0104】
すると、パソコン3Aの再生可能時間指定部302bは、入力欄B151に入力された開始時刻の情報、入力欄B152に入力された終了時刻の情報、および入力欄B153に入力されたメールアドレスなどを画像処理装置2に送信するとともに、開示用のデータを作成して開示BOX203jへ保存するよう要求する。
【0105】
画像処理装置2の開示データ作成部217は、パソコン3Aから開示用のデータの作成およびその保存の要求を受け付けると、パソコン3Aから受信した情報に基づいて、投影データRD1のうちの開始時刻および終了時刻の間の時間に投影された内容を示すデータを抽出し、その間の投影内容のみが再生される開示用投影データRD1pを作成する。
【0106】
開示データ保存部218は、作成された開示用投影データRD1pを開示BOX203jに格納する。また、開示データ保存部218は、会議資料データの開示の場合と同様に、受信したメールアドレスに対応するユーザを開示BOX203jのアクセス許可リストAT(図6)に登録する。ただし、既にそのユーザがアクセス許可リストATに登録されている場合には、この処理を行う必要はない。
【0107】
メール送信部204は、開示用投影データRD1pが開示BOX203jに保存されると、会議資料データの開示の場合と同様に、パソコン3Aから受信したメールアドレスを宛先として、開示BOX203jへのアクセスが許可された旨、開示用投影データRD1pを見るよう促す旨、および開示用投影データRD1pが格納されている場所(開示用投影データRD1pへのパス)などが記された開示通知メールG16を送信する。
【0108】
開示先となっている会議の非参加者は、パソコン3Bのメール受信部303によって開示通知メールG16を受け取ると、開示通知メールG16に記されている開示用投影データRD1pへのパスをクリックする。
【0109】
すると、会議資料データの開示の場合と同様に、パソコン3Bから画像処理装置2へ、投影BOX203eへアクセスするためのアクセス要求が発行され、画像処理装置2からパソコン3Bへ、投影BOX203eへのアクセスを許可する旨が通知される。
【0110】
パソコン3Bの開示データ再生部305は、画像処理装置2からアクセスを許可する旨が通知されると、非参加者がクリックしたパスに格納されている開示用投影データRD1pの送信を画像処理装置2に要求し、画像処理装置2の開示データ送信部219は、要求された開示用投影データRD1pをパソコン3Bへ送信する。
【0111】
パソコン3Bの開示データ再生部305は、画像処理装置2から開示用投影データRD1pが送信されてくると、開示用投影データRD1pに示される投影内容を再生する。
【0112】
なお、会議の参加者は、録画BOX203fに格納されている録画データRD2、録音BOX203gに格納されている録音データRD3、議事録BOX203hに格納されている議事録データRD4、または電子黒板BOX203iに格納されている読取データRD5についても、会議に参加していない非参加者に一部分の内容を視聴させることができる。その場合に、画像処理装置2は、投影データRD1の開示の場合と同様の方法により、開示用録画データRD2p、開示用録音データRD3p、開示用議事録データRD4p、または開示用読取データRD5pを作成して、開示BOX203jに保存する。
【0113】
このように、前述の実施形態によれば、会議の参加者は、TV会議データRDの内容のうち非参加者に開示したい時間帯に属する一部分の内容を視聴させるための開示用のデータを容易に作成することができる。また、作成された開示用のデータはTV会議BOX203dの配下のBOX203e〜203iとは別の開示BOX203jに保存されるので、開示用のデータを容易に管理することができる。
【0114】
図16は、画像処理装置2が行う処理の流れの例を示す図である。
【0115】
以下、図16に示すフローチャートに沿って、会議の参加者が開示用のデータを作成しようとする際に、画像処理装置2が行う処理の流れをまとめて説明する。
【0116】
なお、以下の説明における「元のデータ」には、前述の会議資料データMD、投影データRD1、録画データRD2、録音データRD3、議事録データRD4、および読取データRD5が含まれる。また、「開示用のデータ」には、前述の開示用会議資料データMDp、開示用投影データRD1p、開示用録画データRD2p、開示用録音データRD3p、開示用議事録データRD4p、および開示用読取データRD5pが含まれる。
【0117】
アクセス許可部214は、パソコン3Aから秘密BOX203bまたはその配下のBOXへのアクセスがあると(S501でYes)、アクセスの許否を判断し、許可する場合には(S502でYes)、その旨をパソコン3Aに通知する(S503)。また、秘密データ送信部216は、パソコン3Aから要求された秘密BOX203bまたはその配下のBOXに格納されている元のデータをパソコン3Aへ送信する(S504)。
【0118】
開示データ作成部217は、パソコン3Aから開示用のデータの作成およびその保存の要求を受け付けると(S505でYes)、開示の対象となる元のデータから、参加者により指定された箇所(範囲)に属する内容を切り出した開示用のデータを作成する(S506)。
【0119】
開示データ保存部218は、開示用のデータを開示BOX203jに保存する(S507)。
【0120】
メール送信部204は、参加者により入力された、開示の対象者のメールアドレスに宛てて開示用のデータを参照するよう促す開示通知メールを送信する(S508)。
【0121】
なお、前述の実施形態では、会議の参加者が非参加者への開示を会議中に行う場合を例に説明したが、参加者は、非参加者への開示を会議後に行うこともできる。
【0122】
また、前述の実施形態では、開示用のデータを画像処理装置2において作成する構成となっていたが、開示用のデータを会議サーバ1などの他の装置において作成するようにしてもよい。また、画像処理装置2において行われるいくつかの処理を会議サーバ1などの他の装置に分散させて行わせてもよい。
【0123】
また、前述の実施形態では、ユーザごとに各BOXへのアクセス権限を与え、各BOXのアクセス許可リストATには、そのBOXへのアクセスが許可されているユーザを登録する構成となっていたが、グループごとに各BOXへのアクセス権限を与え、各BOXのアクセス許可リストATには、そのBOXへのアクセスが許可されているグループを登録するようにしてもよい。
【0124】
また、前述の実施形態では、開示対象データ選択画面G14において、会議の参加者が開示しようとするTV会議データRDが格納されているBOXを1つ選択する場合を例に説明した。ここで、参加者は、TV会議BOX203dの配下のBOX203e〜203iに格納されている複数のTV会議データRDを同じ非参加者に開示しようとする場合には、そのTV会議データRDが格納されている複数のBOXを同時に選択することができる。その場合には、再生可能時間指定画面G15において、選択した複数のBOXに設けられている入力欄B151および入力欄B152に、それぞれ開始時刻および終了時刻を入力する。
【0125】
前述の実施形態において、画像処理装置2およびパソコン3のハードウェア的な構成および機能的な構成などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。また、画像処理装置2およびパソコン3で実行される処理内容および処理順序なども、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0126】
SY 会議システム
4 投影装置
5 録画装置
6 録音装置
7 議事録作成装置
8 電子黒板装置
203b 秘密BOX(第一領域)
203j 開示BOX(第二領域)
212 秘密BOX作成部(第一領域作成手段)
213 開示BOX作成部(第二領域作成手段)
215 秘密データ保存部(データ保存手段)
217 開示データ作成部(一部データ作成手段)
218 開示データ保存部(一部データ保存手段)
219 開示データ送信部(提供手段)
303 メール送信部(メール送信手段)
304 開示データ表示部(表示手段)
MD 会議資料データ(文書データまたは描画データ)
RD1 投影データ
RD2 録画データ
RD3 録音データ
RD4 議事録データ
RD5 読取データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置に記憶されたデータを限定的にユーザへ提供するためのデータ提供システムであって、
第一アクセス権限を有する第一ユーザのみがアクセスすることができる第一領域を前記記憶装置に作成する第一領域作成手段と、
前記第一ユーザの間で用いられるデータを前記第一領域に格納するデータ保存手段と、
前記第一領域に格納されている前記データの一部分の内容を開示するための一部データを作成する一部データ作成手段と、
第二アクセス権限を有する第二ユーザがアクセスすることができる第二領域を前記記憶装置に作成する第二領域作成手段と、
前記一部データを前記第二領域に格納する一部データ保存手段と、
前記第二領域に格納されている前記一部データを前記第二ユーザに対して提供する提供手段と、
を有するデータ提供システム。
【請求項2】
前記データ保存手段は、文書データまたは描画データを前記データとして前記第一領域に格納し、
前記一部データ作成手段は、前記第一ユーザが指定した範囲に属する内容を閲覧させるためのデータを前記一部データとして作成し、
前記提供手段によって提供された前記一部データの内容を当該内容の全部が一度に表示されないように表示する表示手段を有する、
請求項1記載のデータ提供システム。
【請求項3】
前記表示手段は、各タイミングにおいて表示させない部分の内容を覆うようにマスクをかけるマスク処理を施す、
請求項2記載のデータ提供システム。
【請求項4】
前記記憶装置における前記第二領域が作成されている場所を前記第二ユーザに通知するためのメールを当該第二ユーザに付与されているメールアドレスに宛てて送信するメール送信手段を有する、
請求項1ないし3のいずれかに記載のデータ提供システム。
【請求項5】
前記データ提供システムは、投影装置、録画装置、録音装置、議事録作成装置、および電子黒板装置を有する会議システムに用いられるシステムであって、
前記データ保存手段は、前記投影装置によって投影された内容を示す投影データ、前記録画装置によって録画された録画データ、前記録音装置によって録音された録音データ、前記議事録作成装置によって作成された議事録データ、または前記電子黒板装置によって読み取られた読取データを前記データとして前記第一領域に格納する、
請求項1記載のデータ提供システム。
【請求項6】
前記一部データ作成手段は、前記第一ユーザが指定した時間帯に属する前記投影データ、前記録画データ、前記録音データ、前記議事録データ、または前記読取データの内容を視聴させるためのデータを前記一部データとして作成する、
請求項5記載のデータ提供システム。
【請求項7】
記憶装置に記憶されたデータを限定的にユーザへ提供するためのデータ提供システムに用いられるデータ提供方法であって、
第一アクセス権限を有する第一ユーザのみがアクセスすることができる第一領域を前記記憶装置に作成する第一領域作成処理と、
前記第一ユーザの間で用いられるデータを前記第一領域に格納するデータ保存処理と、
前記第一領域に格納されている前記データの一部分の内容を開示するための一部データを作成する一部データ作成処理と、
第二アクセス権限を有する第二ユーザがアクセスすることができる第二領域を前記記憶装置に作成する第二領域作成処理と、
前記一部データを前記第二領域に格納する一部データ保存処理と、
前記第二領域に格納されている前記一部データを前記第二ユーザに対して提供する提供処理と、
を前記データ提供システムに行わせるデータ提供方法。
【請求項8】
記憶装置に記憶されたデータを限定的にユーザへ提供するためのデータ提供システムに用いられるコンピュータプログラムであって、
第一アクセス権限を有する第一ユーザのみがアクセスすることができる第一領域を前記記憶装置に作成する第一領域作成処理と、
前記第一ユーザの間で用いられるデータを前記第一領域に格納するデータ保存処理と、
前記第一領域に格納されている前記データの一部分の内容を開示するための一部データを作成する一部データ作成処理と、
第二アクセス権限を有する第二ユーザがアクセスすることができる第二領域を前記記憶装置に作成する第二領域作成処理と、
前記一部データを前記第二領域に格納する一部データ保存処理と、
前記第二領域に格納されている前記一部データを前記第二ユーザに対して提供する提供処理と、
を前記データ提供システムに行わせるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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