説明

データ生成装置およびデータ生成方法

【課題】記録データ生成装置において、簡易な構成で、複数の走査に対応した複数の分割画像データをそれぞれ誤差拡散法で量子化する際に、記録画像においてドット配置を分散することを可能とする。
【解決手段】1パス目用の分割画像における処理対象画素Xの誤差拡散処理で生じた誤差は、同じ1パス目用の分割画像の他の近傍画素に分配率A、B、C、Dで分配されるとともに、2パス目用の分割画像の同じ画素Xに分配率Eで分配される。すなわち、他のパスの分割画像に対して誤差の分配を行うことにより、誤差拡散による量子化に係るあるパスの分割画像データの量子化の結果が、他のパスの量子化に反映されることになる。その結果、複数のパス間でドット配置が分散され、ドット配置の粗密を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ生成装置およびデータ生成方法に関し、詳しくは、誤差拡散方法を用いて量子化を行うことにより記録データを生成する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録装置で用いられる記録ヘッドにおける複数のインク吐出口ごとの吐出特性のばらつきなどに起因した濃度むらを低減する技術として、いわゆるマルチパス記録方式が知られている。この方式は、同一領域に対する記録ヘッドの複数回の走査でその領域の記録を完成する方式である。そして、複数回の走査それぞれで用いる記録データは、一般にはマスク処理を用いて生成する。すなわち、走査ごとに用いられるマスクが相互に排他の関係にあり、これにより、同一領域に記録されるドットが複数回の走査で補完される。つまり、同一領域にある画素にドットが複数回の走査で重複して記録されたり、逆にある画素に複数回の走査でドットが記録されなかったりすることがない。
【0003】
一方、記録装置では、記録媒体の搬送誤差などに起因してドット記録位置のわずかなずれを生じることがある。その場合に、上述したマルチパス記録において、走査間で相互にドット記録位置のずれがあると、上述のドット記録の補完性によって、一律に上記ずれに応じたドット記録位置のずれが生じる。
【0004】
この問題を解決する一構成として、特許文献1には、画像データを複数回の走査に対応した複数の画像データに分割し、複数の分割された画像データをそれぞれ独立に、すなわち、相互に関連させずに2値化などの量子化を行うことが記載されている。これにより、上述した走査間のドット記録の補完性を緩和させること、すなわち、ドット記録位置の重複を排除しないようにすることができる。その結果、走査間のドット記録位置のずれがあっても、そのずれが記録されるドットの配置に与える影響は一部に表れるだけで、全体として濃度むらの少ない記録を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−103088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、画像データを分割して複数の走査に対応した複数の分割画像データを得る際の分割割合が固定であり、それによって、ある濃度の記録画像では走査間でドットが分散して配置されずドットの粗密が顕著になることがある。その結果、記録画像において粒状感を生じ画質を低下させることになる。例えば、記録するドットの数が少なくなる低濃度の画像の記録データ生成では、ある分割割合の下では、誤差拡散による量子化によって複数の走査間で同じ位置または近傍にドットを形成するような量子化結果が得られることがある。このような場合には、記録画像においてドット配置の粗密が顕著となって粒状感を生じる。
【0007】
また、均等でない分割割合で分割した画像データに対して量子化して得られる記録データは、ある濃度の記録画像で、走査間で記録されるドットの数に偏りが生じることがある。この場合は、複数回の走査に分割して記録する、マルチパス記録の効果が削減されることになる。
【0008】
これに対し、例えば、画素ごとにランダムな分割割合で分割することが考慮できる。しかし、このような方法は処理が複雑になり、また、その処理のための時間が比較的長くなるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記問題を解決して、簡易な構成で、複数の走査に対応した複数の分割画像データをそれぞれ誤差拡散法で量子化する際に、記録画像においてドット配置を分散することができるデータ生成装置およびデータ生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために本発明では、記録媒体に対する記録ヘッドの複数回の走査によって前記記録媒体における所定の大きさの領域に記録を行うための記録データを生成するデータ生成装置であって、記録すべき画像データを、画素ごとに、前記複数回の走査に対応した複数の分割画像データに、所定の分割割合で分割する分割手段と、前記複数の分割画像データそれぞれに対して画素ごとに誤差拡散処理による量子化を行う量子化手段であって、前記複数の分割画像データのうち1つの分割画像データに対して量子化を行い、該1つの分割画像データの量子化で生じた誤差を、前記複数の分割画像データの他の分割画像データに分配し、当該誤差が分配された前記他の画像データに対して量子化を行う量子化手段と、を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上の構成によれば、1つの分割画像における処理対象画素の誤差拡散処理で生じた誤差は、他の分割画像の同じ画素に分配される。このように、他のパスの分割画像に対して誤差の分配を行うことにより、誤差拡散による量子化に係る1つの分割画像データの量子化の結果が、他の分割画像の量子化に反映されることになる。その結果、複数の走査間でドット配置が分散され、ドット配置の粗密を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの特に制御構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る誤差拡散処理で用いる誤差分配マトリックスを模式的に示す図である。
【図3】同じく、本発明の一実施形態に係る誤差拡散処理で用いる誤差分配マトリックスを模式的に示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る記録データ生成のための量子化処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る記録データ生成のための量子化処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る記録データ生成のための量子化処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの特に制御構成を示すブロック図である。
【0014】
図1において、ホストコンピュータから、記録すべき文字や画像のデータ(以下、画像データという)が、インクジェット記録装置としてのプリンタ100の受信バッファ401に入力する。受信バッファ401のデータは、CPUを有して構成される制御部402による制御の下で、メモリ部403に転送されRAM(不図示)に一時的に記憶される。メカコントロール部404は、制御部402からの指示に応じキャリッジモータやラインフィードモータ等のメカ部405の動作を制御する。センサ/SWコントロール部406は、各種センサやSW(スイッチ)からなるセンサ/SW部407からの信号を制御部402に送る。表示素子コントロール部408は、制御部402からの指令に応じて表示パネル群のLEDや液晶表示素子等からなる表示素子部409を制御する。さらに、ヘッドコントロール部410は制御部402からの指示に応じて、記録ヘッド102におけるインク吐出のための駆動を制御する。また、ヘッドコントロール部410は、記録ヘッド102の状態を示す温度情報等を検出し制御部402に伝える。
【0015】
以上の構成によって、記録ヘッド102の複数回の走査を行い、それぞれの走査の間に記録ヘッドから記録データに基づいたインク吐出を行うとともに、走査ごとに記録用紙などの記録媒体を走査方向と交差する方向に搬送して記録動作を行う。例えば、2回の走査で記録を完成するマルチパス記録では、記録ヘッドの走査の間に、記録ヘッドのノズル配列幅の1/2に対応した長さだけ記録媒体の搬送行い、2回の走査で上記1/2の幅に対応した領域の記録を完成する。制御部402は、上記記録動作で用いる記録データを生成するための、図4〜図6にて後述する、本発明の実施形態に係る誤差拡散法を用いた量子化処理を、それらのプログラムに従って実行する。
【0016】
図2および図3は、本発明の一実施形態に係る誤差拡散処理で用いる誤差分配マトリックスを模式的に示す図である。このうち、図2は、画像データを2回の走査(以下、パスとも言う)に分割してそれぞれ量子化を行う場合の第1走査(以下、1パス目とも言う)用の、図3は第2走査(以下、2パス目とも言う)用のそれぞれ誤差分配マトリックスを示している。本実施形態は、2パスのマルチパス記録に対応させて、画像データを2つの分割画像の画像データに分割する。具体的には、特許文献1に記載されているように、それぞれの画素について、多値データで表される画素値を所定の分割割合で2分割する。本実施形態は、分割割合を1パス目、2パス目それぞれ0.5とする。なお、分割割合は、この例に限られないことはもちろんである。例えば、1パス目に0.45、2パス目に0.55とする割合であってもよい。
【0017】
図2に示すように、1パス目用の分割画像における処理対象画素Xの誤差拡散処理で生じた誤差は、同じ1パス目用の分割画像の他の近傍画素に分配率A、B、C、Dで分配されるとともに、2パス目用の分割画像の同じ画素Xに分配率Eで分配される。すなわち、1パス目用の分割画像における各画素の誤差拡散処理では、3次元的な誤差分配を行い、処理対象画素Xと同じパスの分割画像における画素に加えて、2パス目の分割画像の画素に対する分配を行う。一方、図3に示すように、2パス目用の分割画像における処理対象画素Xの誤差拡散処理で生じた誤差は、同じ2パス目用の分割画像の他の近傍画素に分配率F、G、H、Iで分配される。このように、本実施形態では、他のパスの分割画像に対して誤差の分配を行うことにより、誤差拡散による量子化に係るあるパスの分割画像データの量子化の結果が、他のパスの量子化に反映されることになる。その結果、複数のパス間でドット配置が分散され、ドット配置の粗密を低減することができる。
【0018】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る記録データ生成のための量子化処理を示すフローチャートである。本処理は、画像データの、記録ヘッドの走査方向に沿った1ライン分の画像データについて画素ごとに順次処理対象をシフトして量子化を行うものである。1ライン分の処理が終了すると隣接するラインに処理を移行し、総てのラインの処理が終了するまで同様の処理を繰り返す。
【0019】
図4において、ステップS401〜S403は1パス目の分割画像データの量子化処理を示し、ステップS404〜S407は2パス目の分割画像データの量子化処理を示している。先ず、ステップS401で、画像データにおける処理対象画素Xの濃度値(画素値)Vを取得し、これに1パス目の分割割合0.5を掛けて得られる濃度値0.5Vに、この画素Xに分配されてきた、誤差バッファに格納される分配誤差の値を加算する。そして、加算されて得られる値と所定の閾値と比較し、その比較結果としての量子化値を、処理対象画素の1パス目の出力値(2値記録データ)として決定する。なお、本実施形態では、このN値化として2値化処理を行うが、この例に限られないことはもちろんである。例えば、9値化を行い、得られた9値の値に応じた、ドットの配置を定めたインデックスパターンを用いて、最終的なドット(2値)データを得るようにしても良い。そして、ステップS402で上記出力値を1パス目用の記録データバッファに格納する。
【0020】
次に、ステップS403で、図2に示した1パス目用の第1の誤差分配マトリックスに従い、1パス目の分割画像の周辺画素と、2パス目の分割画像の処理対象画素と同じ画素に、それぞれの分配率A、B、C、D、Eで分配する。
【0021】
次に、ステップS404で、1パス目と同じ処理対象画素Xの濃度値Vを取得し、これに2パス目の分割割合0.5を掛けて得られる濃度値0.5Vに、この画素Xに分配されてきた、誤差バッファに格納される分配誤差の値を加算する。この分配誤差の中には、上述したように、1パス目の同じ画素Xの誤差拡散処理で生じた誤差に分配率Eで分配された誤差が含まれている。
【0022】
次に、ステップS405で、上述のように画素Xの濃度値に上記誤差を加算した値と、閾値と比較し、量子化値としての2パス目の出力値を決定する。そして、ステップS406で、この出力値を2パス目用の記録データバッファに格納する。さらに、ステップS407で、図3に示した2パス目用の第1の誤差分配マトリックスに従い、2パス目の分割画像の周辺画素に、それぞれの分配率F、G、H、Iで分配する。そして、以上のステップを1ライン分の画素について量子化処理が終了するまで繰り返す(ステップS408)。
【0023】
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態は、1ライン分の画素について量子化をする際に、そのラインにおいて偶数番目か奇数番目かによって、量子化をするパス(の分割画像データ)を異ならせるものである。すなわち、処理対象画素がラインにおいて偶数番目の場合は、第1実施形態と同様、1パス目の分割画像データについて量子化を行い、その際に誤差を2パス目の分割画像の同じ画素に分配する。そして、その後の2パス目の分割画像における同じ処理対象画素の量子化では、誤差の分配は同じ2パス目の分割画像の画素に対してのみ行う。逆に、処理対象画素がラインにおいて奇数番目の場合は、2パス目の分割画像データについて量子化を行い、その際に誤差を1パス目の分割画像の同じ画素に分配する。そして、その後の1パス目の分割画像における同じ処理対象画素の量子化では、誤差の分配は同じ1パス目の分割画像の画素に対してのみ行う。
【0024】
図5は、本実施形態に係る記録データ生成のための量子化処理を示すフローチャートである。図5に示すように、先ず、ステップS501で、処理対象画素がラインにおいて偶数番目か奇数番目かを判断する。ここで、偶数番目と判断されると、ステップS502〜S506の処理を行う。すなわち、第1実施形態と同じく、最初に1パス目の分割画像データに対して量子化を行い、その際に発生する誤差の一部を2パス目の分割画像の同じ画素に分配する。次に、2パス目の同じ画素について、その濃度値に1パス目から分配された誤差を含む分配誤差を加算した値を求め、その値に対して量子化を行う。そして、この際に発生する誤差は、同じ2パス目の分割画像の周辺画素に分配する。一方、ステップS501で、処理対象画素が奇数番目と判断されると、ステップS509〜S515の処理を実行する。すなわち、偶数番目の場合とは逆に、最初に2パス目の分割画像データに対して量子化を行い、その際に発生する誤差の一部を1パス目の分割画像の同じ画素に分配する。次に、1パス目の同じ画素について、その濃度値に2パス目から分配された誤差を含む分配誤差を加算した値を求め、その値に対して量子化を行う。そして、この際に発生する誤差は、同じ1パス目の分割画像の周辺画素に分配する。
【0025】
以上のように、本実施形態によれば、ラインを構成する画素について交互にパス間で誤差を分配する方向を変えることができる。
【0026】
(第3実施形態)
本発明の第3の実施形態は、2組の記録ヘッドを用い、それぞれの記録ヘッドが2回の走査を行い、所定の領域の記録を完成する場合の記録データ生成に関するものである。すなわち、記録媒体の搬送路に沿った2ヶ所に2つの記録ヘッドそれぞれによる走査領域が設けられる。そして、記録媒体搬送の上流側の記録ヘッドで2回の走査を行うとともに、その間に、記録ヘッドのノズル配列幅の1/2に対応する量の記録媒体搬送を行う。下流側の記録ヘッドについても同じ記録動作を行い、合計4回の走査で上記ノズル配列幅の1/2に対応する幅の領域の記録を完成する。このため、画像データを4分割して得られる、4つの分割画像データに対してそれぞれ誤差拡散による量子化を行い、上記所定領域を記録するための記録データを生成する。以下の説明では、上流側の記録ヘッドによる1回目の走査を1パス目、2回目の走査を2パス目、下流側の記録ヘッドによる1回目の走査を3パス目、2回目の走査を4パス目と呼ぶ。本実施形態では、画像データの分割割合を、1パス目〜4パス目について総て等しく0.25とする。
【0027】
1パス目の量子化では図2示した誤差分配マトリクス(第1分配マトリクス)を用い、その分配率をA1、B1、C1、D1、E1とする。同じく2パス目の量子化では図2示した誤差分配マトリクス(第2分配マトリクス)を用い、その分配率をA2、B2、C2、D2、E2とする。さらに、3パス目の量子化では図2示した誤差分配マトリクス(第3分配マトリクス)を用い、その分配率をA3、B3、C3、D3、E3とする。最後に、3パス目の量子化では図3に示した分配マトリクスを用い、その分配率をF、G、H、Iとする。
【0028】
図6は、本実施形態に係る記録データ生成のための量子化処理を示すフローチャートである。ステップS601〜S603が1パス目の量子化、ステップS604〜S607が2パス目の量子化、ステップS608〜S611が3パス目の量子化、ステップS612〜S615が4パス目の量子化、をそれぞれ示す。
【0029】
1パス目の量子化では、処理対象画素Xの濃度値Vに1パス目の分割割合0.25を掛けて得られる値と所定の閾値と比較し、2値データを得る(S601)。次に、この2値データを1パス目用のバッファに格納する(S602)。そして、上記誤差を分配率A1、B1、C1、D1、E1に従って、同じ1パス目の分割画像の周辺画素と2パス目の同じ画素Xに分配する(S603)。
【0030】
次に、2パス目の量子化では、処理対象画素Xの濃度値Vに2パス目の分割割合0.25を掛けて得られる値に、上記1パス目の量子化で生じた誤差の分配率E1で分配された値を加算する(S604)。そして、この加算された値について、上記1パス目と同様の量子化処理を行う(S605、S606)。そして、同様に、生じた誤差を、分配率A2、B2、C2、D2、E2で、同じ2パス目の分割画像の周辺画素と3パス目の同じ画素Xに分配する(S607)。
【0031】
3パス目も2パス目と同様、処理対象画素Xの濃度値Vに3パス目の分割割合0.25を掛けて得られる値に、上記2パス目の量子化で生じた誤差の分配率E2で分配された値を加算する(S608)。そして、この加算された値について、上記1、2パス目と同様の量子化処理を行う(S609、S610)。そして、同様に、生じた誤差を、分配率A3、B3、C3、D3、E3で、同じ3パス目の分割画像の周辺画素と4パス目の同じ画素Xに分配する(S611)。
【0032】
さらに、4パス目では、処理対象画素Xの濃度値Vに4パス目の分割割合0.25を掛けて得られる値に、上記3パス目の量子化で生じた誤差の分配率E3で分配された値を加算する(S612)。そして、この加算された値について、上記1、2、3パス目と同様の量子化処理を行う(S613、S614)。そして、同様に、生じた誤差を、分配率F、G、H、Iで、同じ4パス目の分割画像の周辺画素に分配する(S615)。すなわち、4パス目の量子化で生じた画素は、同じ画像のみに分配する。
【0033】
(他の実施形態)
以上の第1〜第3実施形態を一般化すると、複数の分割画像はM(M≧2)個の分割画像である。そして、量子化を行う順序が1番目からM−1番目の分割画像に対する量子化では、その量子化で生じた誤差を、量子化を行う順序が1つ後の分割画像データに分配する。また、M番目の分割画像に対する量子化では、その量子化で生じた誤差を、他の分割画像データに分配しない。
【0034】
なお、上述した実施形態では、誤差拡散処理による量子化を含む記録データ生成処理をインクジェット記録装置において実行するものとしたが、本発明の適用はこの形態に限られないことはもちろんである。例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータにおいて、上記量子化処理を行う形態であってもよい。本明細書では、本発明に係る量子化を実行するこれらの装置を総称してデータ生成装置という。
【符号の説明】
【0035】
402 制御部
403 メモリ部
102 記録ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対する記録ヘッドの複数回の走査によって前記記録媒体における所定の大きさの領域に記録を行うための記録データを生成するデータ生成装置であって、
記録すべき画像データを、画素ごとに、前記複数回の走査に対応した複数の分割画像データに、所定の分割割合で分割する分割手段と、
前記複数の分割画像データそれぞれに対して画素ごとに誤差拡散処理による量子化を行う量子化手段であって、前記複数の分割画像データのうち1つの分割画像データに対して量子化を行い、該1つの分割画像データの量子化で生じた誤差を、前記複数の分割画像データの他の分割画像データに分配し、当該誤差が分配された前記他の画像データに対して量子化を行う量子化手段と、
を具えたことを特徴とするデータ生成装置。
【請求項2】
前記量子化手段は、量子化の対象画素で生じた誤差を、前記他の分割画像データにおける同じ画素に分配することを特徴とする請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項3】
前記複数の分割画像はM(M≧2)個の分割画像であり、前記量子化手段は、量子化を行う順序が1番目からM−1番目の分割画像に対する量子化では、当該量子化で生じた誤差を、量子化を行う順序が1つ後の前記他の分割画像データに分配し、M番目の分割画像に対する量子化では、当該量子化で生じた誤差を、前記他の分割画像データに分配しないことを特徴とする請求項1または2に記載のデータ生成装置。
【請求項4】
前記データ生成装置は、複数の記録ヘッドを用い、それぞれの記録ヘッドが複数回の走査を行い、前記所定の大きさの領域に記録を行うために記録データを生成し、
前記複数の分割画像データは、複数の記録ヘッドそれぞれの複数回の走査を前記複数の記録ヘッドについて合計した数に対応した複数の分割画像データであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のデータ生成装置。
【請求項5】
記録媒体に対する記録ヘッドの複数回の走査によって前記記録媒体における所定の大きさの領域に記録を行うための記録データを生成するデータ生成方法であって、
記録すべき画像データを、画素ごとに、前記複数回の走査に対応した複数の分割画像データに、所定の分割割合で分割する分割工程と、
前記複数の分割画像データそれぞれに対して画素ごとに誤差拡散処理による量子化を行う量子化工程であって、前記複数の分割画像データのうち1つの分割画像データに対して量子化を行い、該1つの分割画像データの量子化で生じた誤差を、前記複数の分割画像データの他の分割画像データに分配し、当該誤差が分配された前記他の画像データに対して量子化を行う量子化工程と、
を有したことを特徴とするデータ生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−18203(P2013−18203A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153744(P2011−153744)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】