説明

データ蓄積装置

【課題】呼接続装置に対して複数のデータ蓄積装置を設置した場合でも、データ蓄積装置の分散を意識させることなくサービスを提供する。
【解決手段】データ蓄積装置1Aで呼を着信し、入力されたアカウントがデータ蓄積装置1Aに収容されていない場合、検索部12が別のデータ蓄積装置1Bにアカウントを送信してアカウントを収容しているデータ蓄積装置1Bを検索し、取得部14がアカウントを収容しているデータ蓄積装置1Bからそのアカウント用に蓄積されたデータを取得する。これにより、データ蓄積装置1A自身がアカウントを収容していない場合でも、セッションを張り替えることなく、そのアカウント用に蓄積されたデータを送信することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼を着信してデータを送信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
着信時に、利用者が不在、圏外、使用中などの着信不可能な状況のとき、あるいは無条件で音声データの蓄積を希望する場合に、発信者の音声データを網内のデータ蓄積装置に一時的に蓄積し、利用者が通信可能な時に蓄積された内容を確認するサービスが提供されている(非特許文献1参照)。
【0003】
このサービスでは、サービスを契約した端末以外の端末からも、呼接続装置を介して、音声データを確認するための特番(以下、「リモコン特番」と称する)に接続後、ユーザ番号をプッシュボタン(PB)入力することで音声データを確認することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「留守番電話サービス」、[online]、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ、[平成23年5月20日検索]、インターネット〈URL:http://www.nttdocomo.co.jp/service/communication/answer_phone/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現状、このデータ蓄積装置について、複数台にまたがって設置することができていないが、サービスの番号需要増に伴い、装置を増設して複数台のデータ蓄積装置に利用者を分散収容することが望まれる。
【0006】
しかしながら、外出先からデータ蓄積装置にアクセスして音声データを確認する場合、一旦、リモコン特番によりデータ蓄積装置に接続した後、ユーザ番号を入力して音声データを確認することになるが、複数のデータ蓄積装置を配置した場合、接続したデータ蓄積装置に利用者の収容情報がないときは、音声データを確認することができないという問題がある。
【0007】
この場合、端末側で別のデータ蓄積装置にセッションを張り替える解決策が存在するが、非対応の端末もあり実現性が低い。
【0008】
また、リモコン特番を分けることで利用者を分散収容するなどの代替え手段をとることができるが、既存の利用者にリモコン特番の変更、局収容替えによるサービスの一時停止を強いることとなり、ユーザビリティが低下する恐れがある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、呼接続装置に対して複数のデータ蓄積装置を設置した場合でも、データ蓄積装置の分散を意識させることなくサービスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るデータ蓄積装置は、アカウント毎にそのアカウント用のデータを蓄積し、呼を着信して前記データを送信するデータ蓄積装置であって、前記データを蓄積する蓄積手段と、端末から呼を着信して当該端末との間で通信を確立する通信手段と、前記端末からアカウントの入力を受け付けて、当該アカウントを収容しているか否か調べ、当該アカウントを収容していない場合は別のデータ蓄積装置にそのアカウントを送信してアカウントを収容している第2のデータ蓄積装置を検索する検索手段と、前記アカウントを収容している場合は前記蓄積手段から前記データを取得し、前記アカウントを収容していない場合は前記第2のデータ蓄積装置から前記アカウント用のデータを取得して前記端末へ提供する取得手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、呼接続装置に対して複数のデータ蓄積装置を設置した場合でも、データ蓄積装置の分散を意識させることなくサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態におけるデータ蓄積装置を含む全体構成図である。
【図2】蓄積装置が留守録を再生する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態におけるデータ蓄積装置を含む全体構成図である。本実施の形態におけるデータ蓄積装置1A,1Bは、呼接続装置2に接続し、端末3A,3Bから着信して、データ蓄積装置1A,1Bが蓄積した音声/画像データを端末3A,3Bに送信する。データ蓄積装置1A内に利用者のアカウントが存在しない場合は、データ蓄積装置1Bにアカウントの存在を確認してデータ蓄積装置1Bからデータを取得する。データ蓄積装置1Bも同様に着信した利用者のアカウントが存在しない場合はデータ蓄積装置1Aにアカウントの存在を確認してデータ蓄積装置1Aからデータを取得する。
【0015】
図1に示すデータ蓄積装置1A,1Bは、通信部11、検索部12、認証部13、取得部14、留守録処理部15、および蓄積部16を備える。データ蓄積装置1A,1Bが備える各部は、演算処理装置、記憶装置等を備えたコンピュータにより構成して、各部の処理がプログラムによって実行されるものとしてもよい。このプログラムはデータ蓄積装置1A,1Bが備える記憶装置に記憶されており、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0016】
通信部11は、端末3A,3Bから呼を着信し、PB入力を受け付けるとともに、蓄積部16に蓄積されたデータあるいは別のデータ蓄積装置1Bから取得したデータを端末3A,3Bに送信する。
【0017】
検索部12は、蓄積部16に格納された利用者のアカウントを検索する。自身の蓄積部16に利用者のアカウントが存在しない場合は、別のデータ蓄積装置1Bに問い合わせてアカウントを検索する。
【0018】
認証部13は、利用者のユーザ認証を行う。
【0019】
取得部14は、自身の蓄積部16に利用者のアカウントが存在しない場合に、利用者のアカウントが存在する別のデータ蓄積装置1Bからそのアカウント用に蓄積されたデータを取得する。
【0020】
留守録処理部15は、蓄積部16が蓄積、あるいは、取得部14が取得したデータを処理する。具体的には、留守録ファイルの再生、既読処理、削除などの留守録ファイルを扱う処理を行う。
【0021】
蓄積部16は、アカウント毎にデータを蓄積する。アカウントとしては電話番号、契約者番号等を用いることができる。蓄積するデータとしては音声/画像データがあり、例えば、アカウントの示す利用者に向けて録音された留守録ファイルである。また、アカウントに対応付けてユーザ認証に用いる暗証番号、認証を失敗した回数を示すロックアウトカウンタ、利用停止情報などの利用者に関する情報も蓄積する。
【0022】
呼接続装置2は、通信網内に配置され、端末3A,3Bからの呼接続要求信号を受信すると、呼接続要求信号内に含まれる着信番号に対応する着信先へ呼接続要求信号を送信し、通信を確立する装置である。
【0023】
端末3Aは、外出先等でリモコン特番にて接続後、データ蓄積装置1A,1Bに蓄積された音声データを確認する端末である。
【0024】
端末3Bは、留守番電話サービスを契約している端末であり、端末3Bへ発信した呼が応答されない場合、網側でメッセージを受けて利用者のアカウントが存在するデータ蓄積装置1A,1Bに蓄積する。
【0025】
次に、本実施の形態におけるデータ蓄積装置の動作について説明する。
【0026】
図2は、端末3A,3Bからデータ蓄積装置1A,1Bに着信し、留守録を再生する処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、端末3Aからデータ蓄積装置1Aのリモコン特番に発呼したとする。
【0027】
端末3Aがデータ蓄積装置1Aのリモコン特番に発呼すると、データ蓄積装置1Aが呼を着信する(ステップS101)。
【0028】
データ蓄積装置1Aが呼を着信すると、アカウントの入力を受け付ける(ステップS102)。利用者は端末3Aのボタンを操作してアカウントを入力する。
【0029】
検索部12は、受信したアカウントを蓄積部16から検索し(ステップS103)、検索できた場合は、従来と同様の留守録処理を行う(ステップS104)。
【0030】
蓄積部16からアカウントが検索できない場合、データ蓄積装置1Bにアカウントを送信し、アカウントの存在確認を行う(ステップS105)。
【0031】
データ蓄積装置1Bの検索部12は、データ蓄積装置1Aから受信したアカウントをデータ蓄積装置1Bの蓄積部16から検索し、その結果及びアカウントに関する情報をデータ蓄積装置1Aに返信する(ステップS201)。アカウントに関する情報としては、暗証番号、ロックアウト情報、利用停止情報などがある。
【0032】
アカウントがデータ蓄積装置1Bにも存在しない場合は、エラー処理を開始する(ステップS106)。なお、アカウントが利用停止中の場合もエラー処理を開始する。
【0033】
アカウントが存在した場合、認証部13は、利用者に暗証番号の入力を促してユーザ認証を行い(ステップS107)、ユーザ認証の成否をデータ蓄積装置1Bに送信する(ステップS108)。
【0034】
データ蓄積装置1Bは、ユーザ認証の成否を受信し、ユーザ認証が失敗した場合は、ロックアウトカウンタを増加させ、ユーザ認証が成功した場合は、ロックアウトカウンタをクリアする(ステップS202)。ユーザ認証が失敗した場合は、ロックアウトカウンタの値に応じてアカウントの留守録再生を一時的に禁止する。ロックアウトカウンタが所定の値以下の場合、再度暗証番号を受け付けてユーザ認証を行ってもよい。
【0035】
ユーザ認証が成功した場合、利用者から指示を受け付ける(ステップS109)。利用者は端末3Aのボタンを操作して指示を送信する。ここでは、利用者が留守録再生の指示をしたものとする。
【0036】
留守録再生の指示を受信すると、取得部14は、データ蓄積装置1Bにアカウントの留守録一覧の送信を要求する(ステップS110)。
【0037】
データ蓄積装置1Bは、蓄積部16からアカウントの留守録一覧を取得してデータ蓄積装置1Aに送信する(ステップS203)。
【0038】
続いて、取得部14は、データ蓄積装置1Bに留守録一覧に記載された留守録ファイルの送信を要求する(ステップS111)。
【0039】
データ蓄積装置1Bは、蓄積部16から留守録ファイルを取得してデータ蓄積装置1Aに送信する(ステップS204)。
【0040】
そして、留守録処理部15は、受信した留守録ファイルを再生し、端末3Aに再生された音声を送信する(ステップS112)。
【0041】
留守録ファイルの再生が終了すると、その留守録ファイルの既読とするようにデータ蓄積装置1Bに要求する(ステップS113)。
【0042】
データ蓄積装置1Bは、指定された留守録ファイルを既読として蓄積部16の留守録ファイルの情報を更新する(ステップS205)。
【0043】
利用者から削除の指示を受信すると(ステップS115)、留守録処理部は、留守録ファイルを削除するようにデータ蓄積装置1Bに要求する(ステップS116)。
【0044】
データ蓄積装置1Bは、指定された留守録ファイルを蓄積部16から削除する(ステップS206)。
【0045】
呼が切断されて留守録の再生処理が終了する(ステップS116)。
【0046】
なお、データ蓄積装置1Bに着信した場合も上記と同様となる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態によれば、データ蓄積装置1Aで呼を着信し、入力されたアカウントがデータ蓄積装置1Aに収容されていない場合、検索部12が別のデータ蓄積装置1Bにアカウントを送信してアカウントを収容しているデータ蓄積装置1Bを検索し、取得部14がアカウントを収容しているデータ蓄積装置1Bからそのアカウント用に蓄積されたデータを取得することにより、データ蓄積装置1A自身がアカウントを収容していない場合でも、セッションを張り替えることなく、そのアカウント用に蓄積されたデータを送信することができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、2台のデータ蓄積装置1A,1Bで説明したが、もちろん3台以上の場合も同様となる。
【符号の説明】
【0049】
1A,1B…データ蓄積装置
11…通信部
12…検索部
13…認証部
14…取得部
15…留守録処理部
16…蓄積部
2…呼接続装置
3A,3B…端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アカウント毎にそのアカウント用のデータを蓄積し、呼を着信して前記データを送信するデータ蓄積装置であって、
前記データを蓄積する蓄積手段と、
端末から呼を着信して当該端末との間で通信を確立する通信手段と、
前記端末からアカウントの入力を受け付けて、当該アカウントを収容しているか否か調べ、当該アカウントを収容していない場合は別のデータ蓄積装置にそのアカウントを送信してアカウントを収容している第2のデータ蓄積装置を検索する検索手段と、
前記アカウントを収容している場合は前記蓄積手段から前記データを取得し、前記アカウントを収容していない場合は前記第2のデータ蓄積装置から前記アカウント用のデータを取得して前記端末へ提供する取得手段と、
を有することを特徴とするデータ蓄積装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−256219(P2012−256219A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129116(P2011−129116)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】