データ配信装置
【課題】多地点へのデータ配信システムにおいて、配信データの構築更新に寄与する寄与データを送信している表示装置に対しては他の表示装置よりも優先的にデータ配信遅延を少なくすることを目的とする。
【解決手段】配信データソースノードから寄与データソースノードまでのデータ配信遅延が減少するように、寄与データの寄与度に応じて配信構造の全体又は一部を組み替える手段によってデータ配信遅延を少なくすることによって課題を解決する。
【解決手段】配信データソースノードから寄与データソースノードまでのデータ配信遅延が減少するように、寄与データの寄与度に応じて配信構造の全体又は一部を組み替える手段によってデータ配信遅延を少なくすることによって課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信データを多数のデータ受信装置へ配信するデータ配信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像撮影手段のデジタル化とブロードバンド・ネットワークの普及とによって、撮影した映像をリアルタイムに複数の表示装置へ配信する要求が高まってきている。特に多地点ビデオ会議システム、多地点ビデオ講義システム等では、少数の話者の映像を組み合わせた合成映像を多数の視聴者に同時に配信する必要がある。ここで、複数の表示装置の夫々に直接ユニキャストで映像データを配信すると、映像配信装置にアクセスが集中してしまい、表示装置数に関するスケーラビリティが欠如する。そこで、複数の表示装置に同報配信するマルチキャスト技術が注目されている。
マルチキャスト通信を実現する方式としては、IP(Internet Protocol)層において配信データの経路制御、複製処理等を行うIPマルチキャストが知られている。しかし、IPマルチキャストを広範囲で利用可能なネットワーク・インフラストラクチャは普及しておらず、また、利用できたとしてもISP(Internet Service Provider)内部の閉じたネットワークに限られる場合が多い。
このため、アプリケーション層において配信データの経路制御、複製処理等を行うアプリケーション層マルチキャスト(ALM)が注目を集めている。ALMでは、個々の表示装置が配信データの表示処理と同時に配信データの中継処理も行い、バケツリレー式に配信データを転送する。各ノード間の中継処理は、ユニキャストで行われるため既存のネットワーク・インフラストラクチャを利用してISPを跨ぐ広範囲な映像の同報配信が実現可能である。
ALMにおいては、例えば、図1(a)に示す物理的なデータの流れの上に、図1(b)に示す論理的なデータの流れを当てはめる。この論理的なデータの流れ方は、ルートノードを頂点とした木構造になることから、ALM配信木と称される。ALMでは、このALM配信木を組み替えることによって論理的なネットワーク構成をアプリケーションによって自由に変更することが可能である。
ALMを用いた映像の同報配信の技術としては、ビデオ会議データの配信にALMを用いた技術が開示されている(特許文献1参照)。また、ALMの中継ノードにおける配信データの複製処理をハードウェアで高速化する技術が開示されている(特許文献2参照)。さらに、アクセス回線の通信速度に応じてALM配信木を最適化する技術が開示されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−50639号公報
【特許文献2】特開2003−188918号公報
【特許文献3】特開2006−287919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ALMを用いた映像配信システムでは、ALM配信木の下段に属する表示装置は、上段に属する表示装置に比べて映像の配信時刻が遅れるという性質を持っている。幾つかの映像を合成し各表示装置へ配信する映像配信システムにおいて、下段の表示装置を使っている操作者が映像合成に寄与する映像(以下、寄与映像と称する。)を提供している場合、上記性質より、合成結果の映像をすぐに表示装置で確認できないという問題が生じ得る。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、寄与データを生成しているデータ受信装置において、寄与データの更新に対する更新レスポンスを向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、複数のデータ受信装置のうち寄与データを生成しているノードを寄与データソースノードとし、前記寄与データソースノードから送信された寄与データに基づいて生成された配信データを複数のデータ受信装置にネットワークを介して配信するデータ配信手段と、前記配信データを配信するデータ配信装置を配信データソースノードとし、前記配信データを配信する配信順序を示す配信構造を記憶装置に記憶する記憶手段と、前記配信データソースノードから前記寄与データソースノードまでのデータ配信遅延が減少するように、前記寄与データの寄与度に応じて前記配信構造を組み替える組替手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、寄与データを生成しているデータ受信装置において、寄与データの更新に対する更新レスポンスが向上する。また、本発明によれば、データ配信装置から寄与データを生成するデータ受信装置までの配信データを中継するデータ受信装置の段数が減る場合がある。この場合、中継されるデータ受信装置の故障、配信グループからの離脱等の影響を受けづらくなり、例えば、寄与データを生成するデータ受信装置における配信データを表示する等の動作が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】アプリケーション層マルチキャストによるデータの流れの例を示す図である。
【図2】第1の実施形態のシステム構成の例を示す図である。
【図3】寄与データソースが異なる場合の配信映像の例を示す図である。
【図4】寄与データソース変更に伴うALM配信木の組み替えの例を示す図である。
【図5】画面分割モードが異なる場合の配信映像の例を示す図である。
【図6】画面分割モード変更に伴うALM配信木の組み替えの例を示す図である。
【図7】第2の実施形態のシステム構成の例を示す図である。
【図8】寄与データソース変更に伴う映像合成配信ノードの変更の例を示す図である。
【図9】第3の実施形態のシステム構成の例を示す図である。
【図10】第4の実施形態のシステム構成の例を示す図である。
【図11】寄与データソースが異なる場合の共有画面の例を示す図である。
【図12】寄与データソース変更に伴うALM配信木の組み替えの例を示す図である。
【図13】第5の実施形態のシステム構成の例を示す図である。
【図14】第6の実施形態のシステム構成の例を示す図である。
【図15】データ配信遅延を最小化するように組み替える例を示す図である。
【図16】ALM配信木の組み替えパターンの例を示す図である。
【図17】各ノードやノード間の各種パラメータの例を示す図である。
【図18】データ配信遅延、データ配信不安定度、及び評価関数出力値を示す図である。
【図19】評価関数の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0010】
<第1の実施形態>
図2に、本実施形態のシステムの構成を示す。本システムは、撮影機能を有する映像撮影装置110と、これに通信線300で接続された映像表示機能を有する映像表示装置210とを含んで構成されることを特徴とする複数台の映像表示撮影装置610を有する。また、本システムは、映像表示撮影装置610にネットワーク500を介して接続された、映像合成機能と映像配信機能とを備える映像合成配信装置410を有する。
映像撮影装置110は、外部IF102から通信線300を介して映像表示装置210に接続する。なお、接続方法の例としては、USB(Universal Serial Bus)等があるが、本実施形態では、特定の接続方法に依存しない。
映像表示装置210には、ユーザーインターフェイスであるUIデバイス201が接続されており、映像表示装置210は、ディスプレイを備えたコンピュータ等である。より具体的には、映像表示装置210は、装置の状態、処理内容等を表示する発光ダイオード、液晶パネル等と、装置へ動作指示を与えるリモコン、各種ボタン等とを有している。また、映像表示装置210は、表示部203を有しており、表示部203は、各種映像データを表示する。さらに、映像表示装置210は、ネットワークIF208を介してネットワーク500に接続する。ネットワーク500には、映像表示装置210が複数台、映像合成配信装置410が少なくとも1台接続されている。
【0011】
映像撮影装置110は、通信線300を介して映像データを映像表示装置210に送信し、映像表示装置210は、ネットワーク500を介して映像データを寄与映像データとして映像合成配信装置410に送信する。また、映像合成配信装置410は、ネットワーク500を通して映像表示装置210に合成映像データを送信する。そして、映像合成配信装置410は、表示部203が合成映像データを表示すると同時に(換言するならば、直ぐに)、再びネットワーク500を通して他の映像表示装置210に合成映像データを送信する。
映像表示装置210は、プログラム用記憶領域207を有する。より具体的には、プログラム用記憶領域207は、ハードディスク、フラッシュメモリ等であるが、プログラム用記憶領域207は、特定のハードウェア(記憶媒体を含む。)に依存しない。また、映像表示装置210は、CPU204を有する。CPU204は、プログラム用記憶領域207からRAM205に読み込んだプログラムを解釈・実行することによって、装置内の各種制御、計算、映像データの送受信等を行い、映像表示装置210の機能を実現する。
【0012】
映像合成配信装置410は、ネットワークIF404を介してネットワーク500に接続する。ここで、複数台の映像表示装置210は、ネットワーク500を通して映像合成配信装置410に寄与映像データを送信する。他方、データ配信手段の一例である映像合成配信装置410は、受信した寄与映像データを1つの合成映像にまとめて配信データを生成し、ネットワーク500を通して映像表示装置210に配信データを配信する。
映像合成配信装置410は、プログラム用記憶領域403を有する。より具体的には、プログラム用記憶領域403は、ハードディスク、フラッシュメモリ等であるが、プログラム用記憶領域403は、特定のハードウェア(記憶媒体)に依存しない。また、映像合成配信装置410は、CPU401を有する。CPU401は、プログラム用記憶領域403からRAM402に読み込んだプログラムを解釈・実行することによって、装置内の各種制御、計算、映像データの送受信等を行い、映像合成配信装置410の機能を実現する。なお、記憶装置の一例であるRAM402には、ALM配信木を表す木構造データが記憶されており、この木構造データに基づく配信順序に従って配信データ(映像データ)が配信される。すなわち、CPU401は、配信データを配信する配信順序を示す木構造データ(配信構造)をRAM402に記憶する記憶手段の一例である。
【0013】
図3に、映像表示装置210で表示される配信映像の例を示し、図4に寄与データソース(換言するならば、寄与映像ソース)の変更が起きたときのALM配信木の組み替えの例を示す。図3(a)では、寄与データソースノードは、映像表示撮影装置610(1)と映像表示撮影装置610(6)とであり、このときのALM配信木は、図4(a)に示すものである。
ここで、配信映像が図3(b)に示すように変更されると、映像合成配信装置410は、寄与データソースノードを、映像表示撮影装置610(3)及び映像表示撮影装置610(6)とする。すなわち、映像合成配信装置410は、寄与データソースノードを変更する。このとき、組替手段の一例である映像合成配信装置410は、図4(b)に示すように、ALM配信木を、映像表示撮影装置610(1)に替えて映像表示撮影装置610(3)がルートノードに近い位置に配置されるように組み替える(変更する)。なお、この例では、ALM配信木には、配信データソースノードの一例であるルートノードとして、映像合成配信装置410が規定されている。この構成によれば、遅延低減手段の一例である映像合成配信装置410は、映像表示撮影装置610(3)へのデータ配信遅延を減少させることができる。
【0014】
図5に、映像表示装置210に表示される画面分割モードが異なる場合の配信映像の例を示し、図6に、画面分割モードの変更が起きたときのALM配信木の組み替えの例を示す。図5(a)では、寄与データソースノードは、映像表示撮影装置610(1)、映像表示撮影装置610(6)、映像表示撮影装置610(3)、及び映像表示撮影装置610(2)であり、このときのALM配信木は、図6(a)に示すものである。
ここで、図5(a)に示すように、映像表示装置210は、映像表示撮影装置610(3)の寄与映像に話者インジケーターとして太枠を設けている。話者インジケーターは、話者が映像に写っていることを示しており、他の3つの寄与映像よりも映像を合成するときの合成寄与度が高いことを表す。このため、映像合成配信装置410は、図6(a)に示すように、映像表示撮影装置610(3)に低遅延回線を割り当て、配信遅延を低減している。
ここで、画面分割モードが図5(b)のように変更されると、合成映像上での寄与映像の占有面積は、映像表示撮影装置610(3)、映像表示撮影装置610(6)、映像表示撮影装置610(2)、映像表示撮影装置610(1)の順になる。このため、合成寄与度も映像表示撮影装置610(3)、映像表示撮影装置610(6)、映像表示撮影装置610(2)、映像表示撮影装置610(1)の順になる。このとき、映像合成配信装置410は、ALM配信木を、図6(b)に示すように変更する。例えば、映像合成配信装置410は、映像表示撮影装置610(2)及び映像表示撮影装置610(1)を映像表示撮影装置610(6)の子ノードとし、映像合成配信装置410(ルートノード)の配信能力を映像表示撮影装置610(3)に割り当てる。
なお、映像合成配信装置410は、話者の登場頻度、寄与映像の占有面積に代えて、又は加えて、寄与映像に重要人物が写る頻度、寄与映像で重要意見が述べられる頻度等により算出される合成寄与度に基づいて処理を行ってもよい。すなわち、映像合成配信装置410は、算出された合成寄与度に基づいて、低遅延回線を割り当てる処理、ALM配信木の変更をする処理等を行う。また、映像合成配信装置410は、ルートノードの同時送信セッション数が足りない場合には、寄与データソースノードがルートノードの孫ノードとなるようにALM配信木を組み替えてもよい。さらに、映像合成配信装置410は、寄与データソースノードのデータ送受信能力が低い場合には、映像の配信遅延が減少する範囲内で寄与データソースノードが末端ノードとなるようにALM配信木を組み替えてもよい。
【0015】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、映像表示撮影装置620が映像合成配信装置410を内包する構成が第1の実施形態と異なる。なお、図7において、第1の実施形態と同一の部分については、図2に付した符号と同一の符号を付している。
図7に、本実施形態のシステムの構成を示す。本システムは、撮影機能を有する映像撮影装置110と映像合成機能及び映像配信機能を有する映像合成配信装置410とこれらに通信線300で接続された映像表示機能を有する映像表示装置210とを含んで構成される複数台の映像表示撮影装置620を有する。複数台の映像表示撮影装置620は、相互にネットワーク500で接続されている。
映像合成配信装置410は、外部IF414及び通信線300を介してデータを映像表示装置210に送信する。他方、映像表示装置210は、外部IF206を介してデータを受信し、映像表示装置210内部の信号線及びネットワークIF208を介してネットワーク500へデータを送信する。なお、ネットワーク500から映像合成配信装置410に入力されるデータの流れは、上記と逆の順序となる。
図8に、寄与データソースの変更が起きたときの映像合成配信ノードの変更の例を示す。
ここで、映像表示装置210では、図3(a)に示す配信映像が表示されているとする。図3(a)では、寄与データソースノードは、映像表示撮影装置620(1)と映像表示撮影装置620(6)とであり、このときのALM配信木は、図8(a)である。この場合に、配信映像が図3(b)に示すように変更されると、本システム(例えば、アクティブである映像合成配信装置410)は、寄与データソースノードを、映像表示撮影装置620(3)及び映像表示撮影装置620(6)とする。すなわち、映像表示撮影装置620(1)が内包する映像合成配信装置410の代わりに映像表示撮影装置620(3)が内包する映像合成配信装置410がアクティブになる。そして、本システム(例えば、アクティブである映像合成配信装置410)は、映像表示撮影装置620(3)から合成映像が配信されるようにALM配信木を図8(b)に示すように変更する。
【0016】
<第3の実施形態>
本実施形態に係るシステムは、第2の実施形態に係る映像合成配信装置410の機能を内包した映像表示装置220を有する。図9に、本実施形態のシステムの構成を示す。映像合成配信装置410の各機能は、プログラム用記憶領域207にプログラムコードとして格納され、RAM205にロードされたのちCPU204によって実行されることにより実現される。なお、本実施形態は、第2の実施形態に係る通信線300の機能を映像表示装置220内部の配線によって置き換えたものであり、基本的に第2の実施形態の構成と同様であるので、その他の構成については説明を省略する。また、図9において、第2の実施形態と同一の部分については、図7に付した符号と同一の符号を付している。
【0017】
<第4の実施形態>
本実施形態では、共有画面管理配信装置450は、第1の実施形態で説明した合成映像を配信する代わりに共有画面データ(アプリケーション操作データ)を配信する。図10に、本実施形態のシステムの構成を示す。本実施形態では、共有画面操作装置150は、第1の実施形態における撮影部101の代わりに操作データ取得部151を有する。共有画面管理配信装置450は、映像データの代わりに共有画面データを寄与データとして共有画面表示装置250に送信する。なお、図10において、第1の実施形態と同一の部分については、図2に付した符号と同一の符号を付している。
【0018】
図11に、共有画面表示装置250に表示される共有画面の例を示し、図12に、寄与データソース(寄与共有画面ソース)の変更が起きたときのALM配信木の組み替えの例を示す。図11(a)では、寄与データソースノードは、共有画面表示操作装置650(1)と共有画面表示操作装置650(6)とであり、このときのALM配信木は、図12(a)に示すものである。
ここで、共有画面が図11(b)に示すように変更されると、共有画面管理配信装置450は、寄与データソースノードを、共有画面表示操作装置650(3)及び共有画面表示操作装置650(6)にする。すなわち、共有画面管理配信装置450は、寄与データソースノードを変更する。このとき、共有画面管理配信装置450は、図12(b)に示すように、ALM配信木を、共有画面表示操作装置650(1)に替えて共有画面表示操作装置650(3)がルートノードに近い位置に配置されるように変更する。
図11(b)に示すように、共有画面表示操作装置650(3)の編集部分は、共有画面表示操作装置650(6)の編集部分より編集面積が大きい。すなわち、共有画面管理配信装置450は、共有画面表示操作装置650(6)と比べて共有画面表示操作装置650(3)のほうが、編集寄与度が高いと認識する。このため、共有画面管理配信装置450は、図12(b)に示すように、共有画面表示操作装置650(3)に低遅延回線を割り当て、配信遅延を低減している。
なお、共有画面管理配信装置450は、編集面積の大きさに代えて、又は加えて、編集の頻度、編集の重要度等により算出される編集寄与度に基づいて処理を行ってもよい。共有画面管理配信装置450は、算出された編集寄与度に基づいて、低遅延回線を割り当てる処理等を行う。
【0019】
<第5の実施形態>
第5の実施形態は、共有画面表示操作装置660が共有画面管理配信装置450を内包する構成が第4の実施形態と異なる。図13に、本実施形態のシステムの構成を示す。本実施形態では、共有画面操作装置150は、第2の実施形態に係る撮影部101の代わりに操作データ取得部151を有し、共有画面管理配信装置450は、合成映像を配信する代わりに共有画面データを配信する。なお、その他の構成については基本的に第2の実施形態に示す構成と同様であるので、説明を省略する。また、図13において、第4の実施形態と同一の部分については、図10に付した符号と同一の符号を付している。
【0020】
<第6の実施形態>
本実施形態では、共有画面表示装置260が第5の実施形態に係る共有画面管理配信装置450の機能を内包する。図14に、本実施形態のシステムの構成を示す。第5の実施形態に係る共有画面管理配信装置450の各機能は、プログラム用記憶領域207にプログラムコードとして格納され、RAM205にロードされたのちCPU204によって実行されることで実現される。なお、本実施形態は、第5の実施形態に係る通信線300の機能を共有画面表示装置260内部の配線によって置き換えたものであり、基本的に第5の実施形態と同様であるので、その他の構成については説明を省略する。また、図14において、第5の実施形態と同一の部分については、図13に付した符号と同一の符号を付している。
【0021】
<第7の実施形態>
本実施形態では、第1から第6の何れかの実施形態に係るシステム(データ配信システム)を用いる。本実施形態に係る配信木組み替え手段は、各ノードにおける同時送信セッション数及び最大遅延許容値を制約条件として、寄与データソースノードとルートノードとの間のデータ配信遅延を最小化するようにALM配信木を組み替える。また、本データ配信装置400(映像合成配信装置410、共有画面管理配信装置450、映像表示撮影装置620、共有画面表示操作装置660)は、各ノードにおけるデータ配信遅延及びデータ配信不安定度をパラメータとする後述の評価関数を有する。データ配信装置400は、ALM配信木の組み替えパターンの候補が複数個あるときには、ALM配信木の組み替え後の評価関数出力値が最小の組み替えパターンを選択する手段を有している。
【0022】
図15を参照して、寄与データソースの変更に伴い本データ配信システムで行われるALM配信木の組み替え方法を説明する。
図15(a)には、寄与データソースの変更前のALM配信木が示され、データ受信装置600(1)とデータ受信装置600(2)とが寄与データソースノードとして示されている。ここでは、データ受信装置600(3)に寄与データソースが変更された場合に、配信木組み替え手段がALM配信木の組み替えパターンをどのように選び出すかを説明する。付言するならば、データ受信装置600は、映像表示撮影装置610、映像表示撮影装置620、共有画面表示操作装置650、及び共有画面表示操作装置660の何れかである。
図16に、本実施形態におけるALM配信木の組み合わせの全てのパターンを示す。図16に示すように、パターンは、パターン(a)からパターン(p)までの16通り存在する。また、図17(a)に、各ノードにおける同時送信可能セッション数、及び最大遅延許容値を示し、図17(b)に、各ノード間の伝送遅延を示す。
ルートノードであるデータ配信装置400から各データ受信装置600までの伝送遅延を合計した値が各データ受信装置600におけるデータ配信遅延であり、配信木組み替え手段は、図18(a)に示す値を算出する。ここで、配信木組み替え手段は、パターン(i)がデータ受信装置600(3)の同時送信可能セッション数を超えており、パターン(p)がデータ配信装置400の同時送信可能セッション数を超えているため、これらのパターンを探索パターンから外している。また、配信木組み替え手段は、パターン(e)とパターン(h)とがデータ受信装置600(1)の最大遅延許容値を超えているため、これらのパターンを探索パターンから外している。そして、配信木組み替え手段は、残ったパターンのうち、データ受信装置600(3)のデータ配信遅延が最小(この例では、200ミリ秒)となるパターンとしてパターン(g)、パターン(k)、パターン(m)、パターン(n)、パターン(o)を抽出する。
【0023】
また、図17(a)に、故障や配信グループからの離脱の頻度を示す。また、図17(b)に、各ノード間のデータパケット欠落頻度を示す。図19に、データ配信遅延とデータ配信不安定度とをパラメータとする評価関数の例を示す。なお、データ配信不安定度は、本実施形態では、離脱・故障頻度(換言するならば、データストリーム断絶頻度)及びデータパケット欠落頻度である。
各データ受信装置600におけるデータパケット欠落頻度は、データ配信装置400から各データ受信装置600までのデータパケット欠落頻度を合計した値であり、配信木組み替え手段は、図18(b)に示す値を算出する。また、各データ受信装置600におけるデータストリーム断絶頻度は、データ配信装置400から各データ受信装置600までの離脱・故障頻度を合計した値であり、配信木組み替え手段は、図18(c)に示す値を算出する。
配信木組み替え手段は、データ配信遅延、データパケット欠落頻度、データストリーム断絶頻度、及び評価関数に基づいて図18(d)に示す値(評価関数出力値)を算出する。そして、配信木組み替え手段は、データ配信遅延が最小となるパターン(g)、(k)、(m)、(n)、(o)のうち、評価関数出力値が最小となるパターンであるパターン(o)を抽出する。したがって、配信木組み替え手段は、寄与データソースが変更された後のALM配信木を図15(b)に示すように変更する。
【0024】
<第8の実施形態>
本実施形態では、第7の実施形態に係るデータ配信システムを用いる。本データ配信システムでは、評価関数出力値の最大許容値が2000と定められている。このため、第7の実施形態のような寄与データソースの変更が起きた場合には、配信木組み替え手段は、パターン(o)抽出するが、パターン(o)の評価関数値が2157であるため、ALM配信木の組み替え自体を行わない。
【0025】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウェア(プログラム)をパソコン等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。また、本発明は、係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0026】
110 映像撮影装置、210 映像表示装置、300 通信線、410 映像合成配信装置、500 ネットワーク、610 映像表示撮影装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信データを多数のデータ受信装置へ配信するデータ配信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像撮影手段のデジタル化とブロードバンド・ネットワークの普及とによって、撮影した映像をリアルタイムに複数の表示装置へ配信する要求が高まってきている。特に多地点ビデオ会議システム、多地点ビデオ講義システム等では、少数の話者の映像を組み合わせた合成映像を多数の視聴者に同時に配信する必要がある。ここで、複数の表示装置の夫々に直接ユニキャストで映像データを配信すると、映像配信装置にアクセスが集中してしまい、表示装置数に関するスケーラビリティが欠如する。そこで、複数の表示装置に同報配信するマルチキャスト技術が注目されている。
マルチキャスト通信を実現する方式としては、IP(Internet Protocol)層において配信データの経路制御、複製処理等を行うIPマルチキャストが知られている。しかし、IPマルチキャストを広範囲で利用可能なネットワーク・インフラストラクチャは普及しておらず、また、利用できたとしてもISP(Internet Service Provider)内部の閉じたネットワークに限られる場合が多い。
このため、アプリケーション層において配信データの経路制御、複製処理等を行うアプリケーション層マルチキャスト(ALM)が注目を集めている。ALMでは、個々の表示装置が配信データの表示処理と同時に配信データの中継処理も行い、バケツリレー式に配信データを転送する。各ノード間の中継処理は、ユニキャストで行われるため既存のネットワーク・インフラストラクチャを利用してISPを跨ぐ広範囲な映像の同報配信が実現可能である。
ALMにおいては、例えば、図1(a)に示す物理的なデータの流れの上に、図1(b)に示す論理的なデータの流れを当てはめる。この論理的なデータの流れ方は、ルートノードを頂点とした木構造になることから、ALM配信木と称される。ALMでは、このALM配信木を組み替えることによって論理的なネットワーク構成をアプリケーションによって自由に変更することが可能である。
ALMを用いた映像の同報配信の技術としては、ビデオ会議データの配信にALMを用いた技術が開示されている(特許文献1参照)。また、ALMの中継ノードにおける配信データの複製処理をハードウェアで高速化する技術が開示されている(特許文献2参照)。さらに、アクセス回線の通信速度に応じてALM配信木を最適化する技術が開示されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−50639号公報
【特許文献2】特開2003−188918号公報
【特許文献3】特開2006−287919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ALMを用いた映像配信システムでは、ALM配信木の下段に属する表示装置は、上段に属する表示装置に比べて映像の配信時刻が遅れるという性質を持っている。幾つかの映像を合成し各表示装置へ配信する映像配信システムにおいて、下段の表示装置を使っている操作者が映像合成に寄与する映像(以下、寄与映像と称する。)を提供している場合、上記性質より、合成結果の映像をすぐに表示装置で確認できないという問題が生じ得る。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、寄与データを生成しているデータ受信装置において、寄与データの更新に対する更新レスポンスを向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、複数のデータ受信装置のうち寄与データを生成しているノードを寄与データソースノードとし、前記寄与データソースノードから送信された寄与データに基づいて生成された配信データを複数のデータ受信装置にネットワークを介して配信するデータ配信手段と、前記配信データを配信するデータ配信装置を配信データソースノードとし、前記配信データを配信する配信順序を示す配信構造を記憶装置に記憶する記憶手段と、前記配信データソースノードから前記寄与データソースノードまでのデータ配信遅延が減少するように、前記寄与データの寄与度に応じて前記配信構造を組み替える組替手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、寄与データを生成しているデータ受信装置において、寄与データの更新に対する更新レスポンスが向上する。また、本発明によれば、データ配信装置から寄与データを生成するデータ受信装置までの配信データを中継するデータ受信装置の段数が減る場合がある。この場合、中継されるデータ受信装置の故障、配信グループからの離脱等の影響を受けづらくなり、例えば、寄与データを生成するデータ受信装置における配信データを表示する等の動作が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】アプリケーション層マルチキャストによるデータの流れの例を示す図である。
【図2】第1の実施形態のシステム構成の例を示す図である。
【図3】寄与データソースが異なる場合の配信映像の例を示す図である。
【図4】寄与データソース変更に伴うALM配信木の組み替えの例を示す図である。
【図5】画面分割モードが異なる場合の配信映像の例を示す図である。
【図6】画面分割モード変更に伴うALM配信木の組み替えの例を示す図である。
【図7】第2の実施形態のシステム構成の例を示す図である。
【図8】寄与データソース変更に伴う映像合成配信ノードの変更の例を示す図である。
【図9】第3の実施形態のシステム構成の例を示す図である。
【図10】第4の実施形態のシステム構成の例を示す図である。
【図11】寄与データソースが異なる場合の共有画面の例を示す図である。
【図12】寄与データソース変更に伴うALM配信木の組み替えの例を示す図である。
【図13】第5の実施形態のシステム構成の例を示す図である。
【図14】第6の実施形態のシステム構成の例を示す図である。
【図15】データ配信遅延を最小化するように組み替える例を示す図である。
【図16】ALM配信木の組み替えパターンの例を示す図である。
【図17】各ノードやノード間の各種パラメータの例を示す図である。
【図18】データ配信遅延、データ配信不安定度、及び評価関数出力値を示す図である。
【図19】評価関数の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0010】
<第1の実施形態>
図2に、本実施形態のシステムの構成を示す。本システムは、撮影機能を有する映像撮影装置110と、これに通信線300で接続された映像表示機能を有する映像表示装置210とを含んで構成されることを特徴とする複数台の映像表示撮影装置610を有する。また、本システムは、映像表示撮影装置610にネットワーク500を介して接続された、映像合成機能と映像配信機能とを備える映像合成配信装置410を有する。
映像撮影装置110は、外部IF102から通信線300を介して映像表示装置210に接続する。なお、接続方法の例としては、USB(Universal Serial Bus)等があるが、本実施形態では、特定の接続方法に依存しない。
映像表示装置210には、ユーザーインターフェイスであるUIデバイス201が接続されており、映像表示装置210は、ディスプレイを備えたコンピュータ等である。より具体的には、映像表示装置210は、装置の状態、処理内容等を表示する発光ダイオード、液晶パネル等と、装置へ動作指示を与えるリモコン、各種ボタン等とを有している。また、映像表示装置210は、表示部203を有しており、表示部203は、各種映像データを表示する。さらに、映像表示装置210は、ネットワークIF208を介してネットワーク500に接続する。ネットワーク500には、映像表示装置210が複数台、映像合成配信装置410が少なくとも1台接続されている。
【0011】
映像撮影装置110は、通信線300を介して映像データを映像表示装置210に送信し、映像表示装置210は、ネットワーク500を介して映像データを寄与映像データとして映像合成配信装置410に送信する。また、映像合成配信装置410は、ネットワーク500を通して映像表示装置210に合成映像データを送信する。そして、映像合成配信装置410は、表示部203が合成映像データを表示すると同時に(換言するならば、直ぐに)、再びネットワーク500を通して他の映像表示装置210に合成映像データを送信する。
映像表示装置210は、プログラム用記憶領域207を有する。より具体的には、プログラム用記憶領域207は、ハードディスク、フラッシュメモリ等であるが、プログラム用記憶領域207は、特定のハードウェア(記憶媒体を含む。)に依存しない。また、映像表示装置210は、CPU204を有する。CPU204は、プログラム用記憶領域207からRAM205に読み込んだプログラムを解釈・実行することによって、装置内の各種制御、計算、映像データの送受信等を行い、映像表示装置210の機能を実現する。
【0012】
映像合成配信装置410は、ネットワークIF404を介してネットワーク500に接続する。ここで、複数台の映像表示装置210は、ネットワーク500を通して映像合成配信装置410に寄与映像データを送信する。他方、データ配信手段の一例である映像合成配信装置410は、受信した寄与映像データを1つの合成映像にまとめて配信データを生成し、ネットワーク500を通して映像表示装置210に配信データを配信する。
映像合成配信装置410は、プログラム用記憶領域403を有する。より具体的には、プログラム用記憶領域403は、ハードディスク、フラッシュメモリ等であるが、プログラム用記憶領域403は、特定のハードウェア(記憶媒体)に依存しない。また、映像合成配信装置410は、CPU401を有する。CPU401は、プログラム用記憶領域403からRAM402に読み込んだプログラムを解釈・実行することによって、装置内の各種制御、計算、映像データの送受信等を行い、映像合成配信装置410の機能を実現する。なお、記憶装置の一例であるRAM402には、ALM配信木を表す木構造データが記憶されており、この木構造データに基づく配信順序に従って配信データ(映像データ)が配信される。すなわち、CPU401は、配信データを配信する配信順序を示す木構造データ(配信構造)をRAM402に記憶する記憶手段の一例である。
【0013】
図3に、映像表示装置210で表示される配信映像の例を示し、図4に寄与データソース(換言するならば、寄与映像ソース)の変更が起きたときのALM配信木の組み替えの例を示す。図3(a)では、寄与データソースノードは、映像表示撮影装置610(1)と映像表示撮影装置610(6)とであり、このときのALM配信木は、図4(a)に示すものである。
ここで、配信映像が図3(b)に示すように変更されると、映像合成配信装置410は、寄与データソースノードを、映像表示撮影装置610(3)及び映像表示撮影装置610(6)とする。すなわち、映像合成配信装置410は、寄与データソースノードを変更する。このとき、組替手段の一例である映像合成配信装置410は、図4(b)に示すように、ALM配信木を、映像表示撮影装置610(1)に替えて映像表示撮影装置610(3)がルートノードに近い位置に配置されるように組み替える(変更する)。なお、この例では、ALM配信木には、配信データソースノードの一例であるルートノードとして、映像合成配信装置410が規定されている。この構成によれば、遅延低減手段の一例である映像合成配信装置410は、映像表示撮影装置610(3)へのデータ配信遅延を減少させることができる。
【0014】
図5に、映像表示装置210に表示される画面分割モードが異なる場合の配信映像の例を示し、図6に、画面分割モードの変更が起きたときのALM配信木の組み替えの例を示す。図5(a)では、寄与データソースノードは、映像表示撮影装置610(1)、映像表示撮影装置610(6)、映像表示撮影装置610(3)、及び映像表示撮影装置610(2)であり、このときのALM配信木は、図6(a)に示すものである。
ここで、図5(a)に示すように、映像表示装置210は、映像表示撮影装置610(3)の寄与映像に話者インジケーターとして太枠を設けている。話者インジケーターは、話者が映像に写っていることを示しており、他の3つの寄与映像よりも映像を合成するときの合成寄与度が高いことを表す。このため、映像合成配信装置410は、図6(a)に示すように、映像表示撮影装置610(3)に低遅延回線を割り当て、配信遅延を低減している。
ここで、画面分割モードが図5(b)のように変更されると、合成映像上での寄与映像の占有面積は、映像表示撮影装置610(3)、映像表示撮影装置610(6)、映像表示撮影装置610(2)、映像表示撮影装置610(1)の順になる。このため、合成寄与度も映像表示撮影装置610(3)、映像表示撮影装置610(6)、映像表示撮影装置610(2)、映像表示撮影装置610(1)の順になる。このとき、映像合成配信装置410は、ALM配信木を、図6(b)に示すように変更する。例えば、映像合成配信装置410は、映像表示撮影装置610(2)及び映像表示撮影装置610(1)を映像表示撮影装置610(6)の子ノードとし、映像合成配信装置410(ルートノード)の配信能力を映像表示撮影装置610(3)に割り当てる。
なお、映像合成配信装置410は、話者の登場頻度、寄与映像の占有面積に代えて、又は加えて、寄与映像に重要人物が写る頻度、寄与映像で重要意見が述べられる頻度等により算出される合成寄与度に基づいて処理を行ってもよい。すなわち、映像合成配信装置410は、算出された合成寄与度に基づいて、低遅延回線を割り当てる処理、ALM配信木の変更をする処理等を行う。また、映像合成配信装置410は、ルートノードの同時送信セッション数が足りない場合には、寄与データソースノードがルートノードの孫ノードとなるようにALM配信木を組み替えてもよい。さらに、映像合成配信装置410は、寄与データソースノードのデータ送受信能力が低い場合には、映像の配信遅延が減少する範囲内で寄与データソースノードが末端ノードとなるようにALM配信木を組み替えてもよい。
【0015】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、映像表示撮影装置620が映像合成配信装置410を内包する構成が第1の実施形態と異なる。なお、図7において、第1の実施形態と同一の部分については、図2に付した符号と同一の符号を付している。
図7に、本実施形態のシステムの構成を示す。本システムは、撮影機能を有する映像撮影装置110と映像合成機能及び映像配信機能を有する映像合成配信装置410とこれらに通信線300で接続された映像表示機能を有する映像表示装置210とを含んで構成される複数台の映像表示撮影装置620を有する。複数台の映像表示撮影装置620は、相互にネットワーク500で接続されている。
映像合成配信装置410は、外部IF414及び通信線300を介してデータを映像表示装置210に送信する。他方、映像表示装置210は、外部IF206を介してデータを受信し、映像表示装置210内部の信号線及びネットワークIF208を介してネットワーク500へデータを送信する。なお、ネットワーク500から映像合成配信装置410に入力されるデータの流れは、上記と逆の順序となる。
図8に、寄与データソースの変更が起きたときの映像合成配信ノードの変更の例を示す。
ここで、映像表示装置210では、図3(a)に示す配信映像が表示されているとする。図3(a)では、寄与データソースノードは、映像表示撮影装置620(1)と映像表示撮影装置620(6)とであり、このときのALM配信木は、図8(a)である。この場合に、配信映像が図3(b)に示すように変更されると、本システム(例えば、アクティブである映像合成配信装置410)は、寄与データソースノードを、映像表示撮影装置620(3)及び映像表示撮影装置620(6)とする。すなわち、映像表示撮影装置620(1)が内包する映像合成配信装置410の代わりに映像表示撮影装置620(3)が内包する映像合成配信装置410がアクティブになる。そして、本システム(例えば、アクティブである映像合成配信装置410)は、映像表示撮影装置620(3)から合成映像が配信されるようにALM配信木を図8(b)に示すように変更する。
【0016】
<第3の実施形態>
本実施形態に係るシステムは、第2の実施形態に係る映像合成配信装置410の機能を内包した映像表示装置220を有する。図9に、本実施形態のシステムの構成を示す。映像合成配信装置410の各機能は、プログラム用記憶領域207にプログラムコードとして格納され、RAM205にロードされたのちCPU204によって実行されることにより実現される。なお、本実施形態は、第2の実施形態に係る通信線300の機能を映像表示装置220内部の配線によって置き換えたものであり、基本的に第2の実施形態の構成と同様であるので、その他の構成については説明を省略する。また、図9において、第2の実施形態と同一の部分については、図7に付した符号と同一の符号を付している。
【0017】
<第4の実施形態>
本実施形態では、共有画面管理配信装置450は、第1の実施形態で説明した合成映像を配信する代わりに共有画面データ(アプリケーション操作データ)を配信する。図10に、本実施形態のシステムの構成を示す。本実施形態では、共有画面操作装置150は、第1の実施形態における撮影部101の代わりに操作データ取得部151を有する。共有画面管理配信装置450は、映像データの代わりに共有画面データを寄与データとして共有画面表示装置250に送信する。なお、図10において、第1の実施形態と同一の部分については、図2に付した符号と同一の符号を付している。
【0018】
図11に、共有画面表示装置250に表示される共有画面の例を示し、図12に、寄与データソース(寄与共有画面ソース)の変更が起きたときのALM配信木の組み替えの例を示す。図11(a)では、寄与データソースノードは、共有画面表示操作装置650(1)と共有画面表示操作装置650(6)とであり、このときのALM配信木は、図12(a)に示すものである。
ここで、共有画面が図11(b)に示すように変更されると、共有画面管理配信装置450は、寄与データソースノードを、共有画面表示操作装置650(3)及び共有画面表示操作装置650(6)にする。すなわち、共有画面管理配信装置450は、寄与データソースノードを変更する。このとき、共有画面管理配信装置450は、図12(b)に示すように、ALM配信木を、共有画面表示操作装置650(1)に替えて共有画面表示操作装置650(3)がルートノードに近い位置に配置されるように変更する。
図11(b)に示すように、共有画面表示操作装置650(3)の編集部分は、共有画面表示操作装置650(6)の編集部分より編集面積が大きい。すなわち、共有画面管理配信装置450は、共有画面表示操作装置650(6)と比べて共有画面表示操作装置650(3)のほうが、編集寄与度が高いと認識する。このため、共有画面管理配信装置450は、図12(b)に示すように、共有画面表示操作装置650(3)に低遅延回線を割り当て、配信遅延を低減している。
なお、共有画面管理配信装置450は、編集面積の大きさに代えて、又は加えて、編集の頻度、編集の重要度等により算出される編集寄与度に基づいて処理を行ってもよい。共有画面管理配信装置450は、算出された編集寄与度に基づいて、低遅延回線を割り当てる処理等を行う。
【0019】
<第5の実施形態>
第5の実施形態は、共有画面表示操作装置660が共有画面管理配信装置450を内包する構成が第4の実施形態と異なる。図13に、本実施形態のシステムの構成を示す。本実施形態では、共有画面操作装置150は、第2の実施形態に係る撮影部101の代わりに操作データ取得部151を有し、共有画面管理配信装置450は、合成映像を配信する代わりに共有画面データを配信する。なお、その他の構成については基本的に第2の実施形態に示す構成と同様であるので、説明を省略する。また、図13において、第4の実施形態と同一の部分については、図10に付した符号と同一の符号を付している。
【0020】
<第6の実施形態>
本実施形態では、共有画面表示装置260が第5の実施形態に係る共有画面管理配信装置450の機能を内包する。図14に、本実施形態のシステムの構成を示す。第5の実施形態に係る共有画面管理配信装置450の各機能は、プログラム用記憶領域207にプログラムコードとして格納され、RAM205にロードされたのちCPU204によって実行されることで実現される。なお、本実施形態は、第5の実施形態に係る通信線300の機能を共有画面表示装置260内部の配線によって置き換えたものであり、基本的に第5の実施形態と同様であるので、その他の構成については説明を省略する。また、図14において、第5の実施形態と同一の部分については、図13に付した符号と同一の符号を付している。
【0021】
<第7の実施形態>
本実施形態では、第1から第6の何れかの実施形態に係るシステム(データ配信システム)を用いる。本実施形態に係る配信木組み替え手段は、各ノードにおける同時送信セッション数及び最大遅延許容値を制約条件として、寄与データソースノードとルートノードとの間のデータ配信遅延を最小化するようにALM配信木を組み替える。また、本データ配信装置400(映像合成配信装置410、共有画面管理配信装置450、映像表示撮影装置620、共有画面表示操作装置660)は、各ノードにおけるデータ配信遅延及びデータ配信不安定度をパラメータとする後述の評価関数を有する。データ配信装置400は、ALM配信木の組み替えパターンの候補が複数個あるときには、ALM配信木の組み替え後の評価関数出力値が最小の組み替えパターンを選択する手段を有している。
【0022】
図15を参照して、寄与データソースの変更に伴い本データ配信システムで行われるALM配信木の組み替え方法を説明する。
図15(a)には、寄与データソースの変更前のALM配信木が示され、データ受信装置600(1)とデータ受信装置600(2)とが寄与データソースノードとして示されている。ここでは、データ受信装置600(3)に寄与データソースが変更された場合に、配信木組み替え手段がALM配信木の組み替えパターンをどのように選び出すかを説明する。付言するならば、データ受信装置600は、映像表示撮影装置610、映像表示撮影装置620、共有画面表示操作装置650、及び共有画面表示操作装置660の何れかである。
図16に、本実施形態におけるALM配信木の組み合わせの全てのパターンを示す。図16に示すように、パターンは、パターン(a)からパターン(p)までの16通り存在する。また、図17(a)に、各ノードにおける同時送信可能セッション数、及び最大遅延許容値を示し、図17(b)に、各ノード間の伝送遅延を示す。
ルートノードであるデータ配信装置400から各データ受信装置600までの伝送遅延を合計した値が各データ受信装置600におけるデータ配信遅延であり、配信木組み替え手段は、図18(a)に示す値を算出する。ここで、配信木組み替え手段は、パターン(i)がデータ受信装置600(3)の同時送信可能セッション数を超えており、パターン(p)がデータ配信装置400の同時送信可能セッション数を超えているため、これらのパターンを探索パターンから外している。また、配信木組み替え手段は、パターン(e)とパターン(h)とがデータ受信装置600(1)の最大遅延許容値を超えているため、これらのパターンを探索パターンから外している。そして、配信木組み替え手段は、残ったパターンのうち、データ受信装置600(3)のデータ配信遅延が最小(この例では、200ミリ秒)となるパターンとしてパターン(g)、パターン(k)、パターン(m)、パターン(n)、パターン(o)を抽出する。
【0023】
また、図17(a)に、故障や配信グループからの離脱の頻度を示す。また、図17(b)に、各ノード間のデータパケット欠落頻度を示す。図19に、データ配信遅延とデータ配信不安定度とをパラメータとする評価関数の例を示す。なお、データ配信不安定度は、本実施形態では、離脱・故障頻度(換言するならば、データストリーム断絶頻度)及びデータパケット欠落頻度である。
各データ受信装置600におけるデータパケット欠落頻度は、データ配信装置400から各データ受信装置600までのデータパケット欠落頻度を合計した値であり、配信木組み替え手段は、図18(b)に示す値を算出する。また、各データ受信装置600におけるデータストリーム断絶頻度は、データ配信装置400から各データ受信装置600までの離脱・故障頻度を合計した値であり、配信木組み替え手段は、図18(c)に示す値を算出する。
配信木組み替え手段は、データ配信遅延、データパケット欠落頻度、データストリーム断絶頻度、及び評価関数に基づいて図18(d)に示す値(評価関数出力値)を算出する。そして、配信木組み替え手段は、データ配信遅延が最小となるパターン(g)、(k)、(m)、(n)、(o)のうち、評価関数出力値が最小となるパターンであるパターン(o)を抽出する。したがって、配信木組み替え手段は、寄与データソースが変更された後のALM配信木を図15(b)に示すように変更する。
【0024】
<第8の実施形態>
本実施形態では、第7の実施形態に係るデータ配信システムを用いる。本データ配信システムでは、評価関数出力値の最大許容値が2000と定められている。このため、第7の実施形態のような寄与データソースの変更が起きた場合には、配信木組み替え手段は、パターン(o)抽出するが、パターン(o)の評価関数値が2157であるため、ALM配信木の組み替え自体を行わない。
【0025】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウェア(プログラム)をパソコン等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。また、本発明は、係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0026】
110 映像撮影装置、210 映像表示装置、300 通信線、410 映像合成配信装置、500 ネットワーク、610 映像表示撮影装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータ受信装置のうち寄与データを生成しているノードを寄与データソースノードとし、前記寄与データソースノードから送信された寄与データに基づいて生成された配信データを複数のデータ受信装置にネットワークを介して配信するデータ配信手段と、
前記配信データを配信するデータ配信装置を配信データソースノードとし、前記配信データを配信する配信順序を示す配信構造を記憶装置に記憶する記憶手段と、
前記配信データソースノードから前記寄与データソースノードまでのデータ配信遅延が減少するように、前記寄与データの寄与度に応じて前記配信構造を組み替える組替手段と、
を有することを特徴とするデータ配信装置。
【請求項2】
前記配信データの生成とは、前記寄与データを基にした合成であることを特徴とする請求項1記載のデータ配信装置。
【請求項3】
前記寄与データの寄与度が高いほど、前記寄与データに係る寄与データソースノードへのデータ配信遅延を少なくする遅延低減手段を更に有することを特徴とする請求項1記載のデータ配信装置。
【請求項4】
前記配信構造は、木構造であり、前記配信データソースノードは、前記木構造のルートノードであることを特徴とする請求項1記載のデータ配信装置。
【請求項5】
複数のデータ受信装置のうち寄与データを生成しているノードを寄与データソースノードとし、前記寄与データソースノードから送信された寄与データに基づいて生成された配信データを複数のデータ受信装置にネットワークを介して配信するデータ配信工程と、
前記配信データを配信するデータ配信装置を配信データソースノードとし、前記配信データを配信する配信順序を示す配信構造を記憶装置に記憶する記憶工程と、
前記配信データソースノードから前記寄与データソースノードまでのデータ配信遅延が減少するように、前記寄与データの寄与度に応じて前記配信構造を組み替える組替工程と、
を有することを特徴とするデータ配信方法。
【請求項6】
コンピュータを、
複数のデータ受信装置のうち寄与データを生成しているノードを寄与データソースノードとし、前記寄与データソースノードから送信された寄与データに基づいて生成された配信データを複数のデータ受信装置にネットワークを介して配信するデータ配信手段と、
前記配信データを配信するデータ配信装置を配信データソースノードとし、前記配信データを配信する配信順序を示す配信構造を記憶装置に記憶する記憶手段と、
前記配信データソースノードから前記寄与データソースノードまでのデータ配信遅延が減少するように、前記寄与データの寄与度に応じて前記配信構造を組み替える組替手段と、
して機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
複数のデータ受信装置のうち寄与データを生成しているノードを寄与データソースノードとし、前記寄与データソースノードから送信された寄与データに基づいて生成された配信データを複数のデータ受信装置にネットワークを介して配信するデータ配信手段と、
前記配信データを配信するデータ配信装置を配信データソースノードとし、前記配信データを配信する配信順序を示す配信構造を記憶装置に記憶する記憶手段と、
前記配信データソースノードから前記寄与データソースノードまでのデータ配信遅延が減少するように、前記寄与データの寄与度に応じて前記配信構造を組み替える組替手段と、
を有することを特徴とするデータ配信装置。
【請求項2】
前記配信データの生成とは、前記寄与データを基にした合成であることを特徴とする請求項1記載のデータ配信装置。
【請求項3】
前記寄与データの寄与度が高いほど、前記寄与データに係る寄与データソースノードへのデータ配信遅延を少なくする遅延低減手段を更に有することを特徴とする請求項1記載のデータ配信装置。
【請求項4】
前記配信構造は、木構造であり、前記配信データソースノードは、前記木構造のルートノードであることを特徴とする請求項1記載のデータ配信装置。
【請求項5】
複数のデータ受信装置のうち寄与データを生成しているノードを寄与データソースノードとし、前記寄与データソースノードから送信された寄与データに基づいて生成された配信データを複数のデータ受信装置にネットワークを介して配信するデータ配信工程と、
前記配信データを配信するデータ配信装置を配信データソースノードとし、前記配信データを配信する配信順序を示す配信構造を記憶装置に記憶する記憶工程と、
前記配信データソースノードから前記寄与データソースノードまでのデータ配信遅延が減少するように、前記寄与データの寄与度に応じて前記配信構造を組み替える組替工程と、
を有することを特徴とするデータ配信方法。
【請求項6】
コンピュータを、
複数のデータ受信装置のうち寄与データを生成しているノードを寄与データソースノードとし、前記寄与データソースノードから送信された寄与データに基づいて生成された配信データを複数のデータ受信装置にネットワークを介して配信するデータ配信手段と、
前記配信データを配信するデータ配信装置を配信データソースノードとし、前記配信データを配信する配信順序を示す配信構造を記憶装置に記憶する記憶手段と、
前記配信データソースノードから前記寄与データソースノードまでのデータ配信遅延が減少するように、前記寄与データの寄与度に応じて前記配信構造を組み替える組替手段と、
して機能させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−288025(P2010−288025A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139538(P2009−139538)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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