説明

トイレットロール包装体の製造方法

【課題】紙片が封入されていないトイレットロール包装体を製造工程内で検出することが可能なトイレットロール包装体の製造方法を実現すること。
【解決手段】トイレットロール包装体10完成後に、製造ライン上に設けられた検出部50によってトイレットロール包装体10に封入されているメッセージカード10を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトイレットロールを包装したトイレットロール製品の製造方法に関し、特に、トイレットロール包装体に広告宣伝機能を持たせたトイレットロール製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺なトイレットペーパーがこれと実質的に同幅の紙管に巻かれた構造のトイレットロールは、一般家庭や、百貨店、駅などの公衆が立ちよる店舗等の化粧室、イベント会場等の特設トイレや公衆トイレにおいても常備されているのが一般的となっている。このようなトイレットロールは、所定個数ずつフィルム包装したのち箱詰めして出荷される。最近では、ポリエチレンフィルム等の樹脂フィルムを使用して、所定個数のトイレットロールをまとめてパック詰めしたのち、主に段ボール包装箱に収納して封印し、出荷先に運搬・供給している。
【0003】
近年、広告宣伝文や懸賞応募葉書等を印刷した紙片を用いてトイレットロール包装体に情報伝達機能を持たせる事が行われている。このような、トイレットロール包装体に情報伝達機能を持たせる方法としては、特許文献1に開示されているような、弱粘着テープを用いてトイレットロール包装体の外面に紙片を貼り付ける方法か、或いは特許文献2に開示されているような、トイレットロールの包装前に接着糊をトイレットロールの外周面に塗布して紙片を接着し、その後、紙片を接着したトイレットロールを含む複数個のトイレットロールを包装フィルム内に封入して包装する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平06−59258号公報
【特許文献2】特願2008−180857号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし何れの方法においても、製造工程において紙片が不用意に欠落し、紙片が無い状態で包装されたトイレットロールが出荷されて店頭に陳列されてしまうことがある。
【0006】
よって本発明は、紙片が封入されていないトイレットロール包装体を製造工程内で検出することが可能なトイレットロール包装体の製造方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため本発明のトイレットロール包装体の製造方法は、複数個のトイレットロールが整列した状態で樹脂フィルムによって梱包され、前記トイレットロールと前記樹脂フィルムとの間に紙片を封入したトイレットロール包装体の製造方法において、前記トイレットロール包装体の製造ライン上で、前記トイレットロールの包装が完了した後に、センサから光を送信し、前記トイレットロール包装体に前記紙片が封入されている場合には、前記光は前記紙片に当たり、前記トイレットロール包装体に前記紙片が封入されていない場合には、前記光は前記トイレットロールの芯の中空孔を通過することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によればトイレットロール包装体の製造方法において、トイレットロール包装体の製造ライン上で、トイレットロールの包装が完了した後に、センサから光を送信し、トイレットロール包装体に紙片が封入されている場合には、光は紙片に当たり、トイレットロール包装体に紙片が封入されていない場合には、光をトイレットロールの芯の中空孔に通過させる。これによって、紙片が封入されていないトイレットロール包装体を製造工程内で検出することが可能なトイレットロール包装体の製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】トイレットロール包装体を製造する製造ラインの主要部を示した図である。
【図2】メッセージカード供給部の平面図である。
【図3】図2のメッセージカード供給部の正面図である。
【図4】図2におけるIV−IV矢視に沿った断面形状を示した図である。
【図5】図3におけるV−V矢視に沿った断面形状を示した図である。
【図6】図5の状態からトイレットロールユニットをメッセージカードと共に樹脂フィルム内に押し込んだ状態の断面構造を示した図である。
【図7】紙片の有無をセンサによって検出する検出部を示した側面図である。
【図8】図7の検出部を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(基本的構成)
以下、図面を参照して本発明の実施形態の基本的な構成について説明する。
図1は、トイレットロール包装体を製造する製造ラインの主要部を示した図である。本実施形態におけるトイレットロール11を包装する製造ラインには、トイレットロール搬入部17と、本発明にかかる紙片としての葉書等のメッセージカードを供給するメッセージカード供給部18と、袋掛け/挿入部19と、ヒートシール部20とが配されている。
【0011】
トイレットロール搬入部17は、トイレットロール11を3段4列ずつ整列させた状態(以下、これをトイレットロールユニット11Uと記述する)で、これらを袋掛け/挿入部19の後述する挿入位置Piにある挿入誘導部材21に向けて搬入する処理を行う。このため、トイレットロール搬入部17には、図示しない搬送手段と、左右一対の案内保持板22とが組み込まれている。その搬送手段は、トイレットロールユニット11Uを挿入部19に向けて間欠的に搬入するためのものである。また、左右一対の案内保持板22は、トイレットロールユニット11Uの整列状態がくずれないように保持するためのものである。
【0012】
本実施形態における案内保持板22は、トイレットロールユニット11Uの搬送方向と直交する方向に対向した状態で設けられており、搬送されるトイレットロールユニット11Uを両側から挟むように配されている。トイレットロールユニット11Uの搬送方向に沿った案内保持板22の下流端側には、上下に重ねられたトイレットロール11、特に上側に位置するトイレットロール11の上下方向の位置を規制するための位置規制手段23が設けられている。位置規制手段23は、案内保持板22の相互に対向する面からそれぞれ突出し、その突出量が下流端に向けて漸増する一対の斜面23sとこれら一対の斜面23sが集まる稜部23tとを有する略三角錘状をなす(図2、図3参照)。位置規制手段23の稜部23tは、トイレットロールユニット11Uの搬送方向に沿って延在し、位置規制手段23の一対の斜面23sは、トイレットロールの外周面の曲率に対応した凹湾曲面となっている。このような位置規制手段23を形成したことにより、上下に重なるトイレットロールユニット11Uの位置を正しく保持することができる。この結果、トイレットロールユニット11Uを樹脂フィルム12内に挿入する際に、後述するメッセージカード供給部18との干渉を確実に回避することが可能となる。
【0013】
図2は、メッセージカード供給部18の平面図であり、図3は、その正面図である。また、図4は、図2中のIV−IV矢視に沿った断面形状を示した図である。本実施形態におけるメッセージカード供給部18は、カードホルダー24に整列状態で収容されたメッセージカード16を一枚ずつ取り出す。そして、これを投入直前位置Pwにて待機状態にあるトイレットロールユニット11Uと、挿入位置Piにある挿入誘導部材21の他端側に位置する樹脂フィルム12の一端側の封止部13との間にメッセージカード16を差し込む処理を行う。この処理を行うため、挿入位置Piにある挿入誘導部材21の側方には、カード案内部材25が配されている。このカード案内部材25には、メッセージカード16を立てた状態でその下部を収容するスロット25sが左右方向に形成されており、このスロット25sに沿ってメッセージカード16を移動させることができるようになっている。スロット25sの底面は、トイレットロール搬入部17の投入直前位置Pwにあるトイレットロールユニット11Uの搬送支持面26よりも多少、高めに設定されている。
【0014】
カード案内部材25が立設された台板27には、カードクランプ装置28が搭載されたスライダー29を左右方向に往復動可能に支持するスライダー案内部材30も立設されている。カードクランプ装置28は、メッセージカード16の上端部を把持し得る一対のクランプ爪28cと、このクランプ爪28cの開閉、つまりメッセージカード16のクランプまたはアンクランプを行うためのアクチュエーター28aとを具えている。クランプ爪28cは、先のカード案内部材25の上方に位置し、図2、図3中、実線で示すカード受取位置Prと、図2、図3中、二点鎖線で示すカード保持位置Phとの間を往復動し得るようになっている。カード受取位置Prは、後述するカードホルダー24から供給されるメッセージカード16がカード案内部材25に投入される位置である。また、カード保持位置Phは、待機状態にあるトイレットロールユニット11Uと、挿入位置Piにある挿入誘導部材21の他端側に位置する樹脂フィルム12の一端側の封止部13との間でメッセージカード16を保持する位置である。
【0015】
なお、図2に示すように、待機位置Pwにおけるトイレットロールユニット11Uは、挿入位置Piにある挿入誘導部材21の他端側に近接状態となる。また、カード保持位置Phのクランプ爪28cの先端側は、上下に重なるトイレットロール11の間の隙間に位置し、つまりトイレットロールユニット11Uの搬送方向に沿って位置規制手段23と重なるように設定されている。これにより、投入直前位置Pwにおけるトイレットロールユニット11Uを挿入誘導部材21側に押し込む際に、クランプ爪28cがトイレットロールユニット11Uと干渉しないように配慮されている。このように、上下に隣接するトイレットロール11の間に形成される空隙を利用してメッセージカード16を保持することにより、トイレットロールユニット11Uがメッセージカード16に接触するまでメッセージカード16をクランプ爪28cで保持し続けることができる。この結果、メッセージカード16が倒れてジャミングを起こすような不具合を確実に防止することが可能となる。
【0016】
挿入位置Piにある挿入誘導部材21の直近の台板27上には、回転軸31aをトイレットロールユニット11Uの搬送方向と平行に設定したアイドルスプロケット31が回転自在に支持されている。このアイドルスプロケット31と、台板27に設置されたカード送り込み用モーター32に装着された駆動スプロケット33とには、無端の歯付きベルト34が巻き掛けられている。この歯付きベルト34には先のスライダー29が連結されており、カード送り込み用モーター32の正逆転駆動により、クランプ爪28cをカード受取位置Prとカード保持位置Phとの間で往復駆動させることができる。なお、カード保持位置Phにてクランプ爪28cをクランプ状態からアンクランプ状態に切り換えた場合、メッセージカード16がトイレットロールユニット11Uの搬送支持面26上に落下することとなる。しかしながら、本実施形態ではこの状態においてもメッセージカード16の上端がアンクランプ状態のクランプ爪28cにわずかに引っ掛かり、メッセージカード16が倒れるような不具合を未然に防止するようになっている。仮に、メッセージカード16の上端がクランプ爪28cから抜け外れたとしても、メッセージカード16の倒れを阻止することができる。その理由は、メッセージカード16が投入直前位置Pwにあるトイレットロールユニット11Uの一端面11a側と、挿入位置Piにある挿入誘導部材21の他端側に位置する樹脂フィルム12の一端側の封止部13とで挟まれた状態となるためである。投入直前位置Pwにあるトイレットロールユニット11Uと挿入誘導部材21の他端側に位置する樹脂フィルム12の一端側の封止部13との間の間隔は、ここに差し込まれるメッセージカード16の高さよりも狭く設定されている。
【0017】
先のカード案内部材25の上方には、多数のメッセージカード16を整列状態で収容するカードホルダー24が設置されている。このカードホルダー24からメッセージカード16を一枚ずつ取り出してこれをカード案内部材25側に導くカード給送装置35がこれらカード案内部材25とカードホルダー24との間に組み込まれている。本実施形態におけるカード給送装置35は、カード吸引レバー36と、一対の給送ローラー37a、37bと、一方の給送ローラー37aに押し当てられる無端の案内ベルト38と、シュート39とを含む。カード吸引レバー36は、カードホルダー24から1枚ずつメッセージカード16を引き出し、これを回転する給送ローラー37a、37bの間に導く。給送ローラー37a、37bの間に導かれたメッセージカード16は、一方の給送ローラー37aと案内ベルト38との間に送り込まれる。給送ローラー37aと案内ベルト38とは同期回転し、これらの間にメッセージカード16を挟み込んでこれをシュート39からカード案内部材25のスロット25s内へと導くようになっている。
【0018】
図5は、図3中のV−V矢視に沿った断面形状を示した図であり、図6は、図5の状態からトイレットロールユニット11Uをメッセージカード16と共に樹脂フィルム12内に押し込んだ状態の断面構造を示した図である。
【0019】
袋掛け/挿入部19では、一端に封止部13が形成された筒状をなす樹脂フィルム12の開口端部12oを、挿入誘導部材21の一端側、つまりトイレットロールユニット11Uの搬送方向に沿った下流側の外周面にかぶせる。そして、その一端側を挿入誘導部材21の他端側へと裏返した状態で差し込んで、挿入誘導部材21の他端側、つまりトイレットロールユニット11Uの搬送方向に沿った上流側に位置させる(図5参照)。次に、投入直前位置Pwにあるトイレットロールユニット11Uをメッセージカード16と共に挿入誘導部材21の他端側からこの挿入誘導部材21に通して樹脂フィルム12を元の状態に押し戻す。さらに、トイレットロールユニット11Uがメッセージカード16と共に収容された状態の樹脂フィルム12を挿入誘導部材21から抜き外す(図6参照)。このような処理を行うため、袋掛け/挿入部19には、樹脂フィルム把持装置40と、挿入誘導部材21と、空気吹き込み装置41と、ユニット送り込み装置とが組み込まれている。また、基端側に一方の封止部13と共に取手15があらかじめ形成され、かつ先端側が開口端となった袋状をなす樹脂フィルム12を折り畳んだ状態で巻き取られた樹脂フィルム12の図示しないストックヤードがその袋掛け位置に隣接して配されている。挿入誘導部材21は、トイレットロールユニット11Uを樹脂フィルム12内に押し込む際に、このトイレットロールユニット11Uの移動を案内する。挿入誘導部材21は、トイレットロールユニット11Uの搬送方向と直交する方向に沿って間隔をあけて2組配され、これらは共通の図示しないサドル上に設置されている。サドルは、トイレットロールユニット11Uの搬送方向と直交する左右方向に往復動し、2組の挿入誘導部材21を交互に挿入位置Piと袋掛位置Pbとに切り替える。つまり、一方の組の挿入誘導部材21が挿入位置Piにある場合、他方の組の挿入誘導部材21が袋掛位置Pbにあり、逆に一方の組の挿入誘導部材21が袋掛位置Pbにある場合、他方の組の挿入誘導部材21が挿入位置Piにある。
【0020】
樹脂フィルム12の開口端部12oを挿入誘導部材21の一端側の外周面にかぶせ、その一端側を挿入誘導部材21の他端側へと裏返した状態で差し込んで挿入誘導部材21の他端側に位置させる処理は、袋掛位置Pbにある挿入誘導部材21に対して行われる。従って、先の樹脂フィルム12のストックヤードは、2組の挿入誘導部材21に対応して2組設けられており、袋掛位置Pbを挿入位置Piの左右に2箇所設定されている。また、投入直前位置Pwにあるトイレットロールユニット11Uをメッセージカード16と共に挿入誘導部材21の他端側からこの挿入誘導部材21に通して樹脂フィルム12を元の状態に押し戻す処理は、挿入位置Piにある挿入誘導部材21に対して行われる。各挿入誘導部材21は、トイレットロールユニット11Uの搬送方向と直交する方向に対向する左右一対のバケット21bを有し、これら一対のバケット21bは、これらの対向方向に沿って相互に逆向きに同期状態で左右に往復動する。つまり、一対のバケット21bはこれらの間隔が広がった拡幅状態(図1中、実線で示す)と、これらの間隔が狭まった縮寸状態(図1中、二点鎖線で示す)とに切り替え可能である。
【0021】
樹脂フィルム把持装置40は、ストックヤードの一番上に位置する樹脂フィルム12の開口端部12o側を真空引きによって吸引把持し、これを袋掛け位置Pbで待機している挿入誘導部材21の一端側にかぶせるためのものである。この場合、樹脂フィルム12の開口端部12oを挿入誘導部材21の一端側の外周面にかぶせ終わるまで、一対のバケット21bは縮寸状態にあってこの作業を円滑に行なうことができるように配慮している。樹脂フィルム12の開口端部12oを挿入誘導部材21の一端側の外周面にかぶせ終えた後、一対のバケット21bが拡幅状態へと拡がって樹脂フィルム12の開口端部12oを内側から保持する。空気吹き込み装置41は、樹脂フィルム12がかぶせられた袋掛け位置Pbにある挿入誘導部材21に対し、トイレットロールユニット11Uの搬送方向に沿った下流側から高圧の空気を吹き込むことができるようになっている。これにより、樹脂フィルム12の一端側、つまり取手15側を挿入誘導部材21の他端側へと裏返した状態で差し込んで挿入誘導部材21の他端側に位置させることができる。
【0022】
ユニット送り込み装置は、図2、図5中の投入直前位置Pwにあるトイレットロールユニット11Uを挿入位置Piにある挿入誘導部材21に装着された樹脂フィルム12側へと押し込むためのものであり、そのための押し棒42を具えている。投入直前位置Pwにあるトイレットロールユニット11Uと次のトイレットロールユニット11Uとの間には隙間が形成されており、これらの間に出し入れされる押し棒42が挿入誘導部材21を通り越して前進する。そして、トイレットロールユニット11Uをメッセージカード16と共に収容した状態の樹脂フィルムを挿入誘導部材21から抜き出す。この場合、一対のバケット21bは少なくともトイレットロールユニット11Uがここを通過するまでは拡幅状態にあるが、これが袋掛け位置Pbに移動するまで、この拡幅状態に保持しておいても特に問題はない。
【0023】
ヒートシール部20(図1参照)は、トイレットロールユニット11Uおよびメッセージカード16が収容された樹脂フィルム12の開口端部12oを塞いで封止部14を形成する。ヒートシール部20には、樹脂フィルム12の開口端部12oを挟んでこれを封止するための一対の加熱ブレード43が配されている。これら一対の加熱ブレード43は、その対向方向に沿って逆向きに同期状態で往復動する。このような、各工程を経てトイレットロール包装体10が完成する。
【0024】
(特徴的構成)
以下、図面を参照して本発明の実施形態の特徴的な構成について説明する。
図7は、本発明の特徴的な構成である、紙片の有無をセンサによって検出する検出部50を示した側面図であり、図8は、図7の検出部5を示した正面図である。本実施形態のトイレットロール包装体の製造方法では、トイレットロール包装体10の完成後に、検出部50においてメッセージカード16がトイレットロール包装体10内に封入されているかどうかを反射式光学センサ51によって検出している。以下に、その検出方法を説明する。
【0025】
本実施形態の透過式光学センサ51は、サーボモータ56を介して台座57に回転自在に取り付けられたアーム53の先端に取り付けられており、搬送されてきたトイレットロール包装体10内のメッセージカード16を検出可能になっている。矢印α方向からトイレットロール包装体10が搬送されてくる前の状態は、アーム53が図7中実線で示した下に降りている状態(以下、この状態を検出状態という)にある。この状態で、矢印α方向にコンベア54上を搬送されてきたトイレットロール包装体10は、トイレットロール包装体10の搬送経路上で待機しているストッパプレート55に当接することによって停止する。ストッパプレート55にトイレットロール包装体10が当接すると、センサ52がこれを検知し、この検知信号に基づいて、反射式光学センサ51がメッセージカード16の検出を開始する。センサ52は、アーム53に取り付けられ、アーム53と一体に変位可能となっている。本実施形態では、センサ52として反射式光学センサが用いられ、トイレットロール包装体10の搬送経路に向けて投光し、トイレットロール包装体10がストッパプレート55に当接したときにトイレットロール包装体10からの反射光を受信してこれを検知する。
【0026】
本実施形態では、トイレットロール11の芯に設けられた中空孔を利用してメッセージカード16の検出を行っている。アーム53が検出状態にあるときに、反射式光学センサ51は、トイレットロール11の芯の中空孔と対峙する位置にある。反射式光学センサ51は、光を送信する送信部と光を受信する受信部とに分かれている。メッセージカード16はトイレットロール11の芯の中空孔を塞ぐように封入されており、アーム53が検出状態にあるとき、反射式光学センサ51はメッセージカード16と対向する位置になる。この状態で、反射式光学センサ51の送信部から光を送信すると、光はメッセージカード16に当たって反射し、反射式光学センサ51の受信部で受信される。また、トイレットロール包装体10にメッセージカード16が封入されていない場合は、反射式光学センサ51の送信部から送信された光は、トイレットロール11の芯の中空孔を通って抜けてしまうため、反射式光学センサ51の受信部で受信されることはない。このように、トイレットロール11の芯の中空孔を利用して、トイレットロール包装体10にメッセージカード16が封入されているかどうかを反射式光学センサ51で判断することができる。
【0027】
本実施形態では、図8のように、2個の反射式光学センサ51を用いてメッセージカード16の検出を行っている。2個の反射式光学センサ51はいずれもトイレットロール11の芯の中空孔と対向した位置にある。2個の反射式光学センサ51で同時に検出を開始し、いずれか一方でメッセージカード16が検出されればトイレットロール包装体10へのメッセージカード16の封入が有りと判断している。メッセージカード16の大きさは、トイレットロール包装体10へのメッセージカード16の封入位置のばらつきにかかわらず、反射式光学センサ51と対向する少なくとも一つのトイレットロール11の芯の中空孔を塞ぐ大きさであることが好ましい。このようにすることで、メッセージカード16の封入位置にばらつきが生じても確実にメッセージカード16の有無を判断することができる。なお、反射式光学センサ51の数は2個に限定するものではなく、2個以上または1個のように、メッセージカード16のサイズや形状に合わせて変更することが可能である。また、反射式光学センサ51は電磁波を送受信可能な構成としてもよい。
【0028】
反射式光学センサ51でのメッセージカード16の検出が終わると、サーボモータ56が回転を開始し、アーム53は、図7中2点鎖線で示した非検出位置まで動き停止する。そして、ストッパの外れたトイレットロール包装体10が、矢印α方向へと搬送され、トイレットロール包装体10の後端がセンサ58の位置を通過すると、センサ58がこれを検知する。センサ58がトイレットロール包装体10の通過を検知すると、この検知信号に基づいてアーム53を検出状態にするようにサーボモータ56が回転を始め、アーム53は再び検出状態となる。本実施形態では、センサ58として透過式光学センサが用いられ、トイレットロール包装体10の後端が通過したときにトイレットロール包装体10の搬送経路に向けて発した光を受信してこれを検知する。
【0029】
以上のようにして、メッセージカード16の有無を検出した結果、メッセージカード16が無いと判断されたトイレットロール包装体10は、後の工程で取り除かれ製品として出荷されることは無い。もちろん、検出部50において無いと判断されたトイレットロール包装体10を取り除くような構成でもよい。
【0030】
このように、トイレットロール包装体10完成後に、製造ライン上に設けられた検出部50によって、反射式光学センサで芯の中空孔を利用して、トイレットロール包装体10に封入されているメッセージカード10を検出する。これによって、紙片が封入されていないトイレットロール包装体を製造工程内で検出することが可能なトイレットロール包装体の製造方法を実現することができた。
【0031】
(他の実施形態)
以下、本発明の他の実施形態について説明する。なお、他の実施形態の基本的な構成は前述の実施形態と同様であるため、以下では、特徴的な構成についてのみ説明する。
【0032】
本実施形態では、メッセージカード16の検出にUV(紫外線)を照射する反射式光学センサ(以下、UV反射式光学センサという)を用いている。UV反射式光学センサは、紫外線を発光する送信部と光を受信する受信部とを備えており、メッセージカード16に含まれている、紫外線を照射すると発光する発光物質の発光を受信部が検知するように構成されている。
【0033】
このように、トイレットロール包装体10完成後に、製造ライン上に設けられた検出部50によって、UV反射式光学センサを利用して、トイレットロール包装体10に封入されているメッセージカード10を検出する。これによって、紙片が封入されていないトイレットロール包装体を製造工程内で検出することが可能なトイレットロール包装体の製造方法を実現することができた。
【符号の説明】
【0034】
10 トイレットロール包装体
11 トイレットロール
12 樹脂フィルム
13 封止部
14 封止部
16 メッセージカード(紙片)
18 メッセージカード供給部
24 カードホルダー
50 検出部
51 反射式光学センサ
53 アーム
54 コンベア
55 ストッパプレート
57 台座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のトイレットロールが整列した状態で樹脂フィルムによって梱包され、前記トイレットロールと前記樹脂フィルムとの間に紙片を封入したトイレットロール包装体の製造方法において、
前記トイレットロール包装体の製造ライン上で、前記トイレットロールの包装が完了した後に、センサから光を送信し、前記トイレットロール包装体に前記紙片が封入されている場合には、前記光は前記紙片に当たり、前記トイレットロール包装体に前記紙片が封入されていない場合には、前記光は前記トイレットロールの芯の中空孔を通過することを特徴とするトイレットロール包装体の製造方法。
【請求項2】
前記センサを2個用いることを特徴とする請求項1に記載のトイレットロール包装体の製造方法。
【請求項3】
前記2個のセンサが送信した光の一方が、前記紙片に当たれば、前記紙片が有ると判断することを特徴とする請求項2に記載のトイレットロール包装体の製造方法。
【請求項4】
前記光は紫外線であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のトイレットロール包装体の製造方法。
【請求項5】
前記紙片に、紫外線を照射すると発光する発光物質が含まれていることを特徴とする請求項4に記載のトイレットロール包装体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−31935(P2011−31935A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179480(P2009−179480)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】