説明

トイレ収納ベンチ

【課題】従来、災害が発生した際の簡易トイレは、テントとともに防災倉庫などのスペースを利用して保管されていた。しかし保管するための倉庫のスペースに限りがあるため、備蓄できる簡易トイレの数には限りがあった。このため、通常時はベンチとして利用が可能な収納スペースの必要のないベンチが提案されている。しかしこのような簡易トイレは、設置かかる時間や、設置場所が限られたり、費用が大きいなど問題により普及が進んでいない。
【解決手段】本件発明では、通常時にはベンチとして利用可能であって、災害などが発生し、水道などのインフラが使用できない事態が発生した場合には、ベンチの脚をトイレとして使用し、ベンチの座面である板状体をタンカとして利用可能なトレイ収納ベンチを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、通常時にはベンチとして利用可能であって、災害などが発生し、水道などのインフラが使用できない事態が発生した場合には、ベンチの脚をトイレとして使用し、ベンチの座面である板状体をタンカとして利用可能なトレイ収納ベンチに関する。
【背景技術】
【0002】
平成20年10月27日に内閣府中央防災審議会首都直下地震避難対策等専門調査会は、首都直下型地震が発生した場合、特に都心部においてトイレが大幅に不足すると報告している。このように、都心部では避難所などのトイレや店舗のトイレ、さらに仮設トイレや簡易トイレなどの備蓄があるにもかかわらず、トイレが不足することが予想されている。
【0003】
近年このようなトイレ不足を解消する目的で特許文献1に示すようなトイレが設置されている。特許文献1に示したトイレは、通常の状態では公園などのベンチとして利用され、災害が発生し、トレイとして使用する場合には、ベンチの座面部分である板状体を取り外し、脚をトイレの便座として使用する。このような、災害用のトイレは、通常ベンチとして利用可能であるため、収納場所を準備する必要がない。
【特許文献1】実用新案登録第3114047号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、トイレの不足に対する一助となる特許文献1の技術ではあるが、設置に多大な費用と工期が必要となる。特許文献1に記載の技術は、ベンチ下の地中にベンチと接続されたタンクが設けられ、このタンクに汚物が溜められる。このため、特許文献1に記載の技術は、設置の際に、地面を掘り起こし、地中にタンクを設置する必要があり、設置に多大な費用と工期が必要となってしまう。また、ベンチとして設置可能なのは、地中にタンクが設置可能な屋外であって、場所の広い公園などに限定されてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本件発明では上記課題に鑑み次に示すトイレ収納ベンチを提供する。すなわち第一の発明としては、上面に洋式便座を備え、下面に便座開口と通じる排出口を備えたボックス状の脚と、前記脚にわたされ、通常時用にはベンチ座面として利用可能であり、非常時用には側端部から引き出し可能な握り手を用いるタンカとして利用可能な板状体と、からなるトイレ収納ベンチを提供する。
【0006】
第二の発明としては、脚上に配置される板状体には、通常時用に前記脚に収納可能で、非常時用にタンカを地面に下ろした際のタンカ脚となる支柱を備えた第一の発明に記載のトイレ収納ベンチを提供する。
【0007】
第三の発明としては、前記便座開口と排出口とは、筒状のシートで連結されている第一の発明または第二の発明に記載のトイレ収納ベンチを提供する。
【0008】
第四の発明としては、脚には、これを簡易便器として利用する際に洋式便座左右に組み付け配置用の肘置きが収納されている第一の発明から第三の発明のいずれか一に記載のトイレ収納ベンチを提供する。
【0009】
第五の発明としては、脚には、これを簡易便器として利用する際に洋式便座背面に組み付け配置用の背もたれが収納されている第一の発明から第四の発明のいずれか一に記載のトイレ収納ベンチを提供する。
【0010】
第六の発明としては、脚の地面側面には、脚をふたを除いたマンホール上に配置して簡易トイレとして利用する際にマンホール穴内周で自身のずれを食い止めるための突き出し収納自在のマンホール穴落下防止突起が備えられている第一の発明から第五の発明のいずれか一に記載のトイレ収納ベンチを提供する。
【0011】
第七の発明としては、脚の地面側面には、脚をふたを除いたマンホール上に配置して簡易トイレとして利用する際にマンホール穴内周で自身のずれを食い止めるための固定マンホール穴落下防止突起が備えられている第一の発明から第五の発明のいずれか一に記載のトイレ収納ベンチを提供する。
【0012】
第八の発明としては、洋式便座を備えた上面は、人が座って足を下ろす辺以外の辺に立設壁が備えられている第一の発明から第七の発明のいずれか一に記載のトイレ収納ベンチを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本件発明のトレイ収納ベンチは、通常時はベンチとして、災害発生時にはタンカや簡易便器として使用することが可能である。これにより、災害発生時に使用するトイレを保管する場所を確保する必要が無くなる。さらに、ベンチとして使用する場所と、トイレとして使用する場所は同一である必要がないため、ベンチとして自由な場所で使用することが可能である。また肘置きや背もたれを脚内部に収納することが可能であるため、簡易便器として使用しない場合も、肘置きや背もたれの収納場所を確保する必要がない。さらに、トイレとして使用する際に、マンホール穴落下防止突起や固定マンホール穴落下防止突起を設けることで、何かしらの原因で簡易便器がマンホール穴からずれて、マンホール穴に落下するのを防止することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0015】
実施形態1は、主に請求項1、請求項2および請求項3などに関する。実施形態2は、主に請求項4および請求項5などに関する。実施形態3は主に請求項6および請求項7などに関する。実施形態4は主に請求項8などに関する。
<実施形態1>
<実施形態1 概要>
【0016】
本実施形態は、簡易便器として利用可能なボックス状の脚を有し、ベンチの座面となる板状体がタンカとして利用可能なトイレ収納ベンチである。このトレイ収納ベンチは、通常時はベンチ、災害などが発生した場合には、脚は簡易便器として、座面はタンカとして利用可能な構成となっている。
<実施形態1 構成>
【0017】
図1に本実施形態のトイレ収納ベンチの概念図を示した。(a)は本実施形態のトイレ収納ベンチの通常状態であって、ベンチとして使用している状態である。また(b)は、災害発生時など、脚を簡易便座として、また板状体をタンカとして使用している状態である。本実施形態のトレイ収納ベンチは、上面に洋式便座(0101)を備え、下面に便座開口(0102)と通じる排出口(0103)を備えたボックス状の脚(0104)と、前記脚にわたされ、通常時用にはベンチ座面として利用可能であり、非常時用には側端部から引き出し可能な握り手(0105)を用いるタンカとして利用可能な板状体(0106)と、からなる。
【0018】
図2の(a)にボックス状の脚の概念図を示した。「脚」は、ボックス状、つまり箱状の形状となっており、上面に洋式便座(0201)、下面には便座開口(0202)と通じる排出口(0203)が設けられている。ボックス状の脚の下面に設けられた排出口は、便座開口から入った汚物を、ボックス状の脚の外に排出するための開口である。本実施形態のトイレ収納ベンチは災害などが発生した際に、後述するタンカとして利用する板状体を取り外し、ボックス状の脚を、図2の(b)のようにマンホール(0204)など下水道の入り口上部に設置し、簡易便器として使用する。この排出口は、ボックス状の脚から汚物を下水へ排出する役割を担っている。
【0019】
上面の便座開口と下面の排出口は、内部を汚物が通過可能な筒にて連結されている。この上面の便座開口と下面の排出口を連結する部材は、ステンレスなどの金属や陶器などで構成しても良いが、重量が重くなるので、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコン樹脂などの樹脂や、樹脂にガラス繊維などを含む複合材料で構成することが望ましい。また、上面の便座開口と下面の排出口を連結する部材の少なくとも汚物が通る側の表面は、汚れがつきにくい素材で構成したり、フッ素コートなどでコーティングされていることが望ましい。
【0020】
また、この連結する部材は、筒状のシートであることが望ましい。この筒状のシートは、前述の樹脂や複合材料で構成され、通常時であって、簡易便器として使用していない状態で折りたためることが望ましい。図3に本実施形態のトイレ収納ベンチの脚部分の概念図を示した。(a)は、災害発生時など、簡易便器として使用する状態であって、筒状のシート(0301)により、上面の便座開口(0302)と下面の排出口(0303)が連結された状態である。(b)は、簡易便器として使用していない状態である。(b)の状態のとき、筒状のシートを折りたたむ(0304)ことで、ボックス状の脚内に広い空間を確保できるため、トイレットペーパー(0305)の他、簡易便器として使用する際に必要な備品を収納することが可能である。なお、この際には下面の排出口は、板などによって塞ぐことで、備品を収納する空間を広くすることも可能である。
【0021】
「板状体」は、通常時にはベンチ座面として使用し、非常時にはタンカとして利用可能となっている。この板状体を非常時にタンカとして利用する場合には、脚から板状体を取り外し、板状体の座面裏側の側端部から握り手を引き出し、タンカとして使用する。図4にタンカとして使用する場合の板状体の概念図を示した。図4の(a)のように、座面として使用している板状体(0401)を脚(0402)から取り外し、端部から(b)のように握り手(0403)を引き出してタンカとして使用する。この際、タンカに乗せられた人を固定するベルトや、タンカを運ぶ人の肩にかけるベルトなどの備品は、前述した脚の内部に保管することが望ましい。
【0022】
また、板状体には、通常時用に前記脚に収納可能で、非常時用にタンカを地面に下ろした際のタンカ脚となる支柱を備えていることが望ましい。図5にタンカ脚となる支柱を備えたタンカの側面図を示した。(a)は板状体(0501)をベンチ座面として使用している状態である。このとき、タンカ脚となる支柱(0502)は、脚(0503)内に収納されている。このとき、タンカ脚となる支柱は、脚に設けられた穴に嵌合した状態で収納されている。このように、タンカ脚となる支柱が脚内に収納されることで、板状体と脚が固定され、ベンチとして使用している時に座面となっている板状体が脚からずれる心配が無くなる。(b)のように、タンカとして使用する場合には、脚に設けられたタンカ脚となる支柱が嵌合している穴から、支柱を抜き出す。これにより、脚から取り外された板状体は、タンカ脚を有するタンカとして使用される。タンカ脚は、単に前述のように、ベンチとして使用する際に脚と板状体がずれないように配置されているだけではなく、地面などにタンカを置いた際に有効である。
【0023】
例えば、図6に示したように、タンカ(0601)を地面に置いた状態から、持ち上げを行う場合を考える。タンカに人(0602)が乗っていない状態では何ら問題は無いが、人が乗った状態で、タンカを持ち上げる場合、タンカを運ぶ人(0603)が、確実にタンカの握り手(0604)を握ることが必要である。しかし、図6の(a)に示したようなタンカ脚(0605)を有さないタンカの場合、握り手が地面と接してしまうため、タンカを運ぶ人の手が握り手を握ることが困難である。一方、(b)のように、タンカ脚を有するタンカの場合、地面にタンカを置いた状態でも、握り手は地面に接することが無いため、タンカを運ぶ人は、容易に握り手を握ることが可能である。
【0024】
尚、本実施形態において、板状体は2つの脚に対して1つの板状体をわたしてもよいが、図7の(a)のように、3つの脚(0701)に1つの板状体(0702)をわたしても良いし、(b)のように、3つの脚に2つの板状体をわたすことで構成しても良い。板状体に対する脚の数については、簡易便器としての需要量や、タンカとしての需要量、設置するスペースのサイズなどに応じて適時変更可能な設計事項である。
【0025】
板状体がわたされている脚の間を収納スペースとして使用することも可能である。図1や図5、図7に示したトイレ収納ベンチでは、板状体がわたされている脚の間は空間が設けられていた。しかし、このスペースに脚とは別の収納ボックスを設置することも可能である。例えば、図8に示したように、脚(0801)と脚(0802)の間に収納ボックス(0803)を設置した場合、その内部に脚を簡易便器として使用する際に、簡易便器を囲うためのテント(0804)や支柱(0805)、簡易便器で使用するトイレットペーパー(0806)など、その他非常時に必要な備品を収納することが可能である。
【0026】
また、本実施形態のトイレ収納ベンチの脚は、単なる直方体のボックス状として図示しているが、このような単純な直方体のボックスに座った場合、図9の(a)のような状態となる。この状態で、人は膝を直角に曲げ、足が地面に対して垂直に立った状態となっている。しかし、本来、人が椅子などに座った状態では、脚は自身の体の方向、つまり90度より内側に曲げ、足は地面に対して斜めに立った状態となっている。特に座った状態から起立するには、膝を90度より内側に曲げた状態から起立する方が楽に起立することが可能である。このため、図9の(a)に示した単純な直方体の脚は、起立がしにくい形状である。そこで、図9の(b)のように、使用する人の膝が90度以上曲がるように、脚に凹みを設けると良い。このように凹みを設けることで、起立などの動作がしやすくなる。
【0027】
さらに、本実施形態のトイレ収納ベンチの特徴として、ベンチとして使用する場所と、簡易便器として使用する場所は、別の場所であっても良い点である。引用文献1に示した非常用トイレでは、トイレの場所は固定であり、ベンチとして使用する場所も、同一の場所でなければならなかった。一方で本件発明は、簡易便器として使用する場合には、脚を移動することで任意の場所で使用することが可能である。前述のように、マンホールなどの上に設置することが最善ではあるが、マンホールが破損している場合や、マンホールが近くに無い場合などは、脚内部の筒状のシートなどをビニールの袋などで構成したり、専用の容器を用いるたりすることで、マンホール上以外の場所でも使用することが可能である。このように、本実施形態のトイレ収納ベンチは、ベンチとして使用する場合には屋内に設置し、簡易便器として使用する際には屋外に移動させて簡易便器として使用することが可能である。
<実施形態1 効果>
【0028】
本実施形態のトイレ収納ベンチは、通常時はベンチとして、災害発生時にはタンカや簡易便器として使用することが可能である。これにより、災害発生時に使用するトイレを保管する場所を確保する必要が無くなる。さらに、ベンチとして使用する場所と、トイレとして使用する場所は同一である必要がないため、ベンチとして自由な場所で使用することが可能である。
<実施形態2>
<実施形態2 概要>
【0029】
本実施形態は、実施形態1のトイレ収納ベンチに、脚を簡易便器として使用する際に、洋式便座の左右に肘置きを設置したり、洋式便座の背面に背もたれを設置したりすることが可能なトイレ収納ベンチである。肘置きおよび背もたれは、通常の状態、つまりトイレ収納ベンチをベンチとして使用している際には、ボックス状の脚内部に収納されている。
<実施形態2 構成>
【0030】
本実施形態のトイレ収納ベンチは、脚にこれを簡易便器として利用する際に、洋式便座左右に組み付け配置用の肘置きが収納されたり、洋式便座背面に組み付け配置用の背もたれが収納されている。
【0031】
図10に本実施形態のトイレ収納ベンチの脚の概念図を示した。本実施形態のトイレ収納ベンチは、脚(1001)を簡易便器として使用する際に、脚に収納された肘置き(1002)や背もたれ(1003)を設置して使用する。図10の(a)には、脚に肘置きおよび背もたれが収納された状態を示した概念透視図である。脚を簡易便器として使用する際には、脚に収納されている肘置きおよび背もたれを取り出し、(b)のように、脚の上面に設けられた穴(1004)に、肘置きおよび背もたれの脚を挿入しネジなどで固定し、(c)のような状態で簡易便器として使用する。このような肘置きや背もたれは、簡易便器であっても設置することが望ましい。特にお年寄りなどがトイレを使用する際に転倒する恐れもあり、肘置きや背もたれは必須である。しかし、この肘置きや背もたれは、本実施形態のトイレ収納ベンチをベンチとして使用する際には、座面である板状体を固定するには邪魔となる。そこで、肘置きや背もたれを取り外し可能とし、さらに脚に収納することを可能にすることで、新たな収納場所を確保する必要もなくなる。
【0032】
また、肘置きや背もたれを挿入する脚の上面に設けられた穴は、実施形態1で述べたタンカ脚となる支柱を収納する穴として使用することも可能である。
<実施形態2 効果>
【0033】
本実施形態のトイレ収納ベンチのように、簡易便器の左右や背面に肘置きや背もたれを配置することで、お年寄りや体の不自由な人が簡易便器を使用した際に転倒などを防止することが出来る。また肘置きや背もたれを脚内部に収納することが可能であるため、簡易便器として使用しない場合も、肘置きや背もたれの収納場所を確保する必要がない。
<実施形態3>
<実施形態3 概要>
【0034】
本実施形態のトイレ収納ベンチは、図11の(a)に示したように、脚(1101)を簡易便器として使用する際に、マンホール(1102)のふたを取り外した上に配置して簡易便器として使用する。この際、(b)のように簡易便器が何かしらの原因で移動し、(c)のように脚がマンホールのふたからずれてしまうと、脚がマンホールの穴に落下する恐れがある。仮に、使用中だった場合には、使用している人もマンホールへ落下してしまう恐れがある。そこで、本実施形態のトイレ収納ベンチでは、脚がマンホールの穴からずれないように、ずれを食い止めるための突き出し収納自在のマンホール穴落下防止突起や固定マンホール穴落下防止突起を備えている。
<実施形態3 構成>
【0035】
本実施形態のトイレ収納ベンチは、脚の地面側面に、脚をふたを除いたマンホール状に配置して簡易便器として利用する際に、マンホール穴内周で自身のずれを食い止めるための突き出し収納自在のマンホール穴落下防止突起または、固定マンホール穴落下防止突起が備えられている。
【0036】
図12にマンホール穴落下防止突起を有するトイレ収納ベンチの脚の概念図を示した。(a)はマンホール上ではなく、地面に置いた場合の脚(1201)である。このとき、マンホール穴落下防止突起(1202)は、脚に収納されている。このトイレ収納ベンチの脚を簡易便器として使用する際に、ふたを取り外したマンホール上(1203)に設置した状態が(b)である、このとき、マンホール穴落下防止突起は、脚より突き出されている。この(b)のように、マンホール穴落下防止突起が脚から突き出された状態で、簡易便器がマンホール上を移動した場合、(c)のように、マンホール穴落下防止突起が、マンホール穴の壁面(1204)に当たり、簡易便器のずれを食い止める。これにより、マンホール穴上の簡易便器のずれが抑制され、簡易便器がマンホール穴に落下するのを防止する。
【0037】
図13に固定マンホール穴落下防止突起を有するトイレ収納ベンチの脚(1301)の概念図を示した。(a)は、マンホール上ではなく、地面に置いた場合の脚である。固定マンホール穴落下防止突起(1302)は、前述した突き出し収納自在のマンホール穴落下防止突起とは異なり、地面に置いた状態でも、突起は脚内に収納されず、脚の一部として機能している。このトイレ収納ベンチの脚を簡易便器として使用する際に、ふたを取り外したマンホール上(1303)に設置すると、(b)のような状態となる。この簡易便器をマンホール上を移動してずれた場合、(c)のように、固定マンホール穴落下防止突起が、マンホール穴の壁面(1304)に当たり、簡易便器のずれを食い止める。これにより、マンホール穴上の簡易便器のずれが抑制され、簡易便器がマンホール穴に落下するのを防止する。
<実施形態3 効果>
【0038】
本実施形態のトイレ収納ベンチのように、マンホール穴落下防止突起や固定マンホール穴落下防止突起を設けることで、何かしらの原因で簡易便器がマンホール穴からずれて、マンホール穴に落下するのを防止することが可能となる。
<実施形態4>
<実施形態4 概要>
【0039】
本実施形態は、トイレ収納ベンチを簡易便器として使用する際に、人が座って足を下ろす辺以外の辺に立設壁が備えられている。この立設壁は、脚上面の汚れが、洋式便座の左右や洋式便座の背面方向を汚すのを防止し、さらに上面を洗浄しやすくするために設置されている。
<実施形態4 構成>
【0040】
図14の(a)に本実施形態のトイレ収納ベンチの概念図を示した。本実施形態のトイレ収納ベンチは、脚(1401)の洋式便座(1402)を備えた上面に、人が座って足を下ろす辺以外の辺に立設壁(1403、1404、1405)が備えられている。
【0041】
立設壁は、洋式便座を備えた上面から、最低1cm程度の高さをもって設置されている。ただし、立設壁の高さが高すぎた場合、ベンチとして使用する際に板状体を設置するのを妨げてしまうので、立設壁の高さは5cm以下とすることが望ましい。立設壁は、脚の洋式便座を備えた上面が汚れた場合、その汚れが洋式便座の左右や後方に流れるのを防いでいる。また、上面を水などで洗浄する際に、洗浄水が洋式便座の左右や後方に流れるのを防ぎ、洗浄しやすい構造となっている。またさらに、図14の(b)のように洋式便座を備えた上面を、便座開口方向に向かって傾斜させることで、より上面の洗浄をしやすくすることも可能である。
<実施形態4 効果>
【0042】
本実施形態のトイレ収納ベンチのように、洋式便座を備えた上面から立設壁を設けることで、洋式便座を備えた上面の汚れが拡散するのを防ぎ、さらに、上面を洗浄しやすくなるような効果が得られる。
<具体例>
【0043】
図15に本件発明のトレイ収納ベンチの具体例を示した。図15の(a)は、通常時にベンチとして使用している場合である。このとき本件発明のトイレ収納ベンチは、高さが略360mmで、長さが略1800mmである。板状体の奥行きは略540mmで、ボックス状の脚の奥行きは490mmである。また(b)のように非常時にボックス状の脚をトイレとして利用する場合、奥行きと幅が略490mm、高さが320mmのトイレとなる。このとき、便座の周囲に取り付ける肘置きの高さは、便座が配置された面から略150mm、奥行きは485mmである。また背面に取り付けられた背もたれの高さは、便座が配置された面から略230mm、幅は425mmである。さらに、(c)のように、板状体をタンカとして利用する場合、タンカの長さは略1800mm、幅は略540mm、板状体の厚さは略40mmである。タンカに設けられたタンカの脚となる支柱の高さは略120mmで、握り手の長さは略200mmである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施形態1のトイレ収納ベンチを説明するための概念図
【図2】実施形態1のトイレ収納ベンチを説明するための概念図
【図3】実施形態1のトイレ収納ベンチを説明するための概念図
【図4】実施形態1のトイレ収納ベンチを説明するための概念図
【図5】実施形態1のトイレ収納ベンチを説明するための概念図
【図6】実施形態1のトイレ収納ベンチを説明するための概念図
【図7】実施形態1のトイレ収納ベンチを説明するための概念図
【図8】実施形態1のトイレ収納ベンチを説明するための概念図
【図9】実施形態1のトイレ収納ベンチを説明するための概念図
【図10】実施形態2のトイレ収納ベンチを説明するための概念図
【図11】実施形態3のトイレ収納ベンチを説明するための概念図
【図12】実施形態3のトイレ収納ベンチを説明するための概念図
【図13】実施形態3のトイレ収納ベンチを説明するための概念図
【図14】実施形態4のトイレ収納ベンチを説明するための概念図
【図15】本件発明の具体例
【符号の説明】
【0045】
0101 洋式便座
0102 便座開口
0103 排出口
0104 脚
0105 握り手
0106 板状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に洋式便座を備え、下面に便座開口と通じる排出口を備えたボックス状の脚と、
前記脚にわたされ、通常時用にはベンチ座面として利用可能であり、非常時用には側端部から引き出し可能な握り手を用いるタンカとして利用可能な板状体と、からなるトイレ収納ベンチ。
【請求項2】
脚上に配置される板状体には、通常時用に前記脚に収納可能で、非常時用にタンカを地面に下ろした際のタンカ脚となる支柱を備えた請求項1に記載のトイレ収納ベンチ。
【請求項3】
前記便座開口と排出口とは、筒状のシートで連結されている請求項1または2に記載のトイレ収納ベンチ。
【請求項4】
脚には、これを簡易便器として利用する際に洋式便座左右に組み付け配置用の肘置きが収納されている請求項1から3のいずれか一に記載のトイレ収納ベンチ。
【請求項5】
脚には、これを簡易便器として利用する際に洋式便座背面に組み付け配置用の背もたれが収納されている請求項1から4のいずれか一に記載のトイレ収納ベンチ。
【請求項6】
脚の地面側面には、脚をふたを除いたマンホール上に配置して簡易トイレとして利用する際にマンホール穴内周で自身のずれを食い止めるための突き出し収納自在のマンホール穴落下防止突起が備えられている請求項1から5のいずれか一に記載のトイレ収納ベンチ。
【請求項7】
脚の地面側面には、脚をふたを除いたマンホール上に配置して簡易トイレとして利用する際にマンホール穴内周で自身のずれを食い止めるための固定マンホール穴落下防止突起が備えられている請求項1から5のいずれか一に記載のトイレ収納ベンチ。
【請求項8】
洋式便座を備えた上面は、人が座って足を下ろす辺以外の辺に立設壁が備えられている請求項1から7のいずれか一に記載のトイレ収納ベンチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−125231(P2010−125231A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305573(P2008−305573)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(593065590)株式会社エスエスシー (51)
【Fターム(参考)】