説明

トイレ装置

【課題】
電源電圧が異なる地域に設置する場合であっても仕様を変更する必要がないトイレ装置を提供すること。
【解決手段】
被加熱物を加熱するためのヒータと、ヒータへの供給電源の電圧を検出する電圧検出手段と、供給電源と前記ヒータとの間に設けられたスイッチをオン及びオフすることによりヒータへ供給する電力を制御する制御手段とを有するトイレ装置において、ヒータを制御する制御情報として、少なくとも第1の制御パターン情報と第2の制御パターン情報とを記憶した記憶手段を備え、制御手段は、電圧検出手段によって検出された電圧が所定値以上のときに、スイッチのオン及びオフを第1の制御パターンとして位相制御を用いて行い、所定値未満のときに、スイッチのオン及びオフを第2の制御パターンとしてパターン制御を用いて行うこととした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ装置に関し、特に、便座、局部を洗浄する洗浄水、又は局部を乾燥するための空気を加熱するヒータを備えたトイレ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、トイレ装置には、便座、局部を洗浄する洗浄水、局部を乾燥するための空気を加熱するために複数のヒータが設けられていた。
【0003】
これらトイレ装置に設けられるヒータは、通常、100Vの商用電源から供給される電力を熱に変換することにより便座や洗浄水や局部乾燥用空気などを加熱するようにしていた。
【0004】
このようなトイレ装置では、ヒータにより加熱される便座や洗浄水や局部乾燥用の空気の温度がトイレ装置の使用感に大きく影響を及ぼすので、これら便座や洗浄水や局部乾燥用の空気は、常時一定の適温に保っておくことが望ましい。
【0005】
しかし、商用電源の電圧は、常に一定ではなく、例えば90V〜110Vの間で時間的に不規則に変化するものである。
【0006】
このように、電源電圧が時間的に変化すると、その変化に応じてヒータによる加熱量も変化するため、便座や洗浄水や局部乾燥用空気の温度を常に一定の適温に保つことができない。
【0007】
そのため、この種のトイレ装置には、通常、ヒータへの通電を制御することによってヒータによる加熱量を調整して、便座や洗浄水や局部乾燥用空気の温度を常に一定の適温に保つようにしていた。
【0008】
このようなトイレ装置として、供給電源の半波を1単位とし、この半波単位でヒータへの通電と非通電とを制御するパターン制御と呼ばれる通電制御を行う制御手段を備えたものが考案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−247264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記従来のトイレ装置は、供給電源の半波単位でヒータへの通電を制御するパターン制御を行っていたため、供給電源の電圧が異なる国や地域で使用するためには製品の仕様を変更する必要があった。
【0010】
すなわち、電源電圧が100Vの地域用に仕様を設定されているトイレ装置を電源電圧が200Vの地域で使用した場合、ヒータには供給電源の半波長の電圧を印加する度に定格電力を超える電力が供給されることとなるため、電源電圧が200Vの地域で使用しても定格を超えないヒータに取り替えるか、トイレ装置に200Vを100Vに変圧する変圧器を設けるなど、使用する国や地域に応じてそれぞれ製品の仕様を変更しなければならなかった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、請求項1に係る本発明では、被加熱物を加熱するためのヒータと、ヒータへの供給電源の電圧を検出する電圧検出手段と、供給電源とヒータとの間に設けられたスイッチをオン及びオフすることによりヒータへ供給する電力を制御する制御手段とを有するトイレ装置において、ヒータを制御する制御情報として、少なくとも第1の制御パターン情報と第2の制御パターン情報とを記憶した記憶手段を備え、制御手段は、電圧検出手段によって検出された電圧が所定値以上のときに、スイッチのオン及びオフを第1の制御パターンで行い、所定値未満のときに、スイッチのオン及びオフを第2の制御パターンにより行うこととした。
【0012】
また、請求項2に係る本発明では、請求項1に記載のトイレ装置において、供給電源のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出手段を備え、第1の制御パターンは位相制御であり、第2の制御パターンはパターン制御であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に係る本発明では、請求項2に記載のトイレ装置において、制御手段は、位相制御を、ゼロクロス点からの第1の期間及び次のゼロクロス点までの第2の期間、スイッチをオンにし、第1の期間後から第2の期間前までの間、スイッチをオフにすることによって行うことを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に係る本発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトイレ装置において、外部装置と通信するためのインターフェイスを有し、複数の制御パターン情報は、インターフェイスを介して書き換え可能としたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に係る本発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトイレ装置において、制御手段は、電圧検出手段で検出された電圧に応じた制御パターンによる制御を開始した後は、供給電源からの電力供給が停止するまで、その制御を継続することを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に係る本発明では、請求項1〜5のいずれか1項に記載のトイレ装置において、制御手段は、電圧検出手段で検出された電圧に応じた制御パターンによる制御を開始した後、電圧検出手段で検出された電圧が所定値を超えたとき、その制御を停止することを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に係る本発明では、請求項6に記載のトイレ装置において、制御手段は、電圧検出手段で検出された電圧が所定値を超えたことを報知する報知手段を設けたことを特徴とする。
【0018】
また、請求項8に係る本発明では、請求項1〜7のいずれか1項に記載のトイレ装置において、供給電源電圧を整流及び平滑後にトランスへ入力し、所定の周波数でトランスへ流れる電流をオン・オフすることによって所定の電圧へ降圧するスイッチング電源回路を備え、電圧検出手段は、スイッチング電源回路におけるトランスのオン時間に基づいて、ヒータへの供給電源の電圧を検出することを特徴とする。
【0019】
また、請求項9に係る本発明では、請求項1〜8のいずれか1項に記載のトイレ装置において、供給電源に接続され、局部に洗浄水を断続的に吐水させるための電磁ポンプと、電磁ポンプを制御する複数のポンプ制御情報を記憶した記憶手段とを備え、制御手段は、電圧検出手段で検出された電圧に応じたポンプ制御情報により電磁ポンプのオン及びオフを制御することを特徴とする。
【0020】
また、請求項10に係る本発明では、請求項1〜9のいずれか1項に記載のトイレ装置において、被加熱物は、便座、局部を洗浄する洗浄水、又は局部を乾燥するための空気であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、以下に記載するような効果を奏する。
【0022】
請求項1に係る本発明では、被加熱物を加熱するためのヒータと、ヒータへの供給電源の電圧を検出する電圧検出手段と、供給電源とヒータとの間に設けられたスイッチをオン及びオフすることによりヒータへ供給する電力を制御する制御手段とを有するトイレ装置において、ヒータを制御する制御情報として、少なくとも第1の制御パターン情報と第2の制御パターン情報とを記憶した記憶手段を備え、制御手段は、電圧検出手段によって検出された電圧が所定値以上のときに、スイッチのオン及びオフを第1の制御パターンで行い、所定値未満のときに、スイッチのオン及びオフを第2の制御パターンにより行うこととしたため、供給される電圧に適した制御パターンで制御することができるので、電源電圧の異なる地域でも、ヒータの仕様を変更する必要がないトイレ装置を提供することができる。
【0023】
また、請求項2に係る本発明では、請求項1に記載のトイレ装置において、供給電源のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出手段を備え、第1の制御パターンは位相制御であり、第2の制御パターンはパターン制御であることを特徴とするため、電圧が高いときに位相制御を適用することで、制御パターンをパターン制御のままとしたときに比べ、ヒータの温度制御の追従性を向上させることができる。
【0024】
また、請求項3に係る本発明では、請求項2に記載のトイレ装置において、制御手段は、位相制御を、ゼロクロス点からの第1の期間及び次のゼロクロス点までの第2の期間、スイッチをオンにし、第1の期間後から第2の期間前までの間、スイッチをオフにすることによって行うことを特徴とするため、位相制御によって発生するノイズを低減することが可能となる。
【0025】
また、請求項4に係る本発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトイレ装置において、外部装置と通信するためのインターフェイスを有し、複数の制御パターン情報は、インターフェイスを介して書き換え可能としたことを特徴とするため、トイレ装置を設置した後であっても、制御性能を向上させることが可能となる。
【0026】
また、請求項5に係る本発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトイレ装置において、制御手段は、電圧検出手段で検出された電圧に応じた制御パターンによる制御を開始した後は、供給電源からの電力供給が停止するまで、その制御を継続することを特徴とするため、ヒータの制御動作を開始した後に、瞬間的な瞬停、減電圧などの不安定な電圧の供給が行われた場合であっても、制御動作を切換えることがなく、安定的な制御が可能となる。
【0027】
また、請求項6に係る本発明では、請求項1〜5のいずれか1項に記載のトイレ装置において、制御手段は、電圧検出手段で検出された電圧に応じた制御パターンによる制御を開始した後、電圧検出手段で検出された電圧が所定値を超えたとき、その制御を停止することを特徴とするため、ヒータの制御動作を開始した後に、異常に高い電圧が供給されるとヒータの制御を停止することができるので、ヒータを適切に保護することができる。
【0028】
また、請求項7に係る本発明では、請求項6に記載のトイレ装置において、制御手段は、電圧検出手段で検出された電圧が所定値を超えたことを報知する報知手段を設けたことを特徴とするため、電圧異常を報知することができ、使用者に適切に異常を知らせることができる。
【0029】
また、請求項8に係る本発明では、請求項1〜7のいずれか1項に記載のトイレ装置において、供給電源電圧を整流及び平滑後にトランスへ入力し、所定の周波数でトランスへ流れる電流をオン・オフすることによって所定の電圧へ降圧するスイッチング電源回路を備え、電圧検出手段は、スイッチング電源回路におけるトランスのオン時間に基づいて、ヒータへの供給電源の電圧を検出することを特徴とするため、スイッチング電源における制御信号を用いて供給電源の電圧を検出することができ、電圧検出手段の構成が簡易になる。
【0030】
また、請求項9に係る本発明では、請求項1〜8のいずれか1項に記載のトイレ装置において、供給電源に接続され、局部に洗浄水を断続的に吐水させるための電磁ポンプと、電磁ポンプを制御する複数のポンプ制御情報を記憶した記憶手段とを備え、制御手段は、電圧検出手段で検出された電圧に応じたポンプ制御情報により電磁ポンプのオン及びオフを制御することを特徴とするため、検出した電圧に対応して制御内容を変更することができ、電源電圧の異なる地域でも、ポンプの仕様を変更する必要がないトイレ装置を提供することができる。
【0031】
また、請求項10に係る本発明では、請求項1〜9のいずれか1項に記載のトイレ装置において、被加熱物は、便座、局部を洗浄する洗浄水、又は局部を乾燥するための空気であることを特徴とするため、電源電圧の異なる地域でも、便座、局部を洗浄する洗浄水、又は局部を乾燥するための空気を加熱するヒータの仕様を変更する必要がないトイレ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0033】
図1は、本実施形態に係るトイレ装置1を示す機能ブロック図である。なお、図1では説明を簡単に行うため、各ヒータ12、13、14及び電磁ポンプ4に対する通電制御に関わる部分のみを図示することとし、その他の構成要件については図示を省略している。
【0034】
(トイレ装置全体の説明)
図1に示すように、本実施形態に係るトイレ装置1は、トイレ装置1全体の動作を制御するマイコン2と、このマイコン2により通電制御され被加熱物を加熱するヒータ部3と、洗浄水を使用者の局部へ向けて断続的に吐水するための電磁ポンプ4と、トイレ装置1の動作状態などを使用者に報知する報知手段として機能するディスプレイ5と、供給電源となる商用電源6の電圧を所定の電圧に降圧するスイッチング電源回路7と、スイッチング電源回路7により降圧した商用電源に基づいてヒータ部3へ印加されている電圧を検出する電圧検出手段として機能する電圧検出回路8と、商用電源6のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出手段として機能するゼロクロス検出回路9と、外部装置10と通信するためのインターフェイス11とを備えている。
【0035】
ここで、ヒータ部3は、便座を温めるためのヒータ(以下、「便座ヒータ12」という。)と、便座の温度を検出する便座センサ12aと、使用者の局部を洗浄する洗浄水を温めるためのヒータ(以下、「温水ヒータ13」という。)と、温水の温度を検出する温水センサ13aと、洗浄水により洗浄した使用者の局部を乾燥する風を温めるためのヒータ(以下、「温風ヒータ14」という。)と、温風の温度を検出する温風センサ14aとを備えている。
【0036】
また、マイコン2は、制御手段15と記憶手段16とを備えている。
【0037】
制御手段15は、図示しないCPU(中央処理装置)を備えており、このCPUが記憶手段16から所定の動作プログラムを読み出して動作することにより、便座ヒータ12への通電制御を行う便座制御部12bとして機能する他、温水ヒータ13への通電制御を行う温水制御部13b、温風ヒータ14への通電制御を行う温風制御部14b、電磁ポンプ4を駆動するポンプ駆動部4b、ディスプレイ5を駆動するディスプレイ駆動部5bとして機能するものである。
【0038】
記憶手段16は、CPUを動作させるための動作プログラムの他、各ヒータ12、13、14及び電磁ポンプ4を制御するために必要な制御情報を記憶するメモリであり、具体的には、各ヒータ12、13、14を駆動させるためのヒータ駆動設定情報や、各ヒータ12、13、14の定格電力値を示す定格電力値情報、電磁ポンプ4を駆動させるためのポンプ制御情報、スイッチング周期30KHzにおけるパルス時間に関する情報、各ヒータ12、13、14への通電制御を行う際に用いる制御パターン情報などの制御情報を記憶させるようにしている。
【0039】
(ヒータ部の説明)
ヒータ部3における各ヒータ12、13、14は、これら各ヒータ12、13、14にそれぞれ対応して設けている各センサ12a、13a、14aにより検出された温度に応じて商用電源6から供給される電力によって動作する。
【0040】
そして、この電力の供給は、所定の制御パターンに基づいて行われ、これにより便座、温水、温風の各温度を適温に保つようにしている。
【0041】
しかも、各ヒータ12、13、14は、電圧検出回路8により検出した電圧に基づいて、その制御パターンを変えるようにしている。
【0042】
すなわち、このヒータ部3では、電圧検出回路8により検出した電圧が所定値(たとえば、150V)以上であった場合に第1の制御パターンとしての位相制御を行い、所定値未満であった場合に第2の制御パターンとしてのパターン制御を行うようにしている。
【0043】
これにより、供給される電圧に適した制御パターンで制御することができるので、電源電圧の異なる地域でも、各ヒータ12、13、14の仕様を変更する必要がないトイレ装置1を提供することができる。
【0044】
ここで用いる制御パターンは、位相制御に用いる制御パターンを第1の制御パターン情報とし、パターン制御に用いる制御パターンを第2の制御パターン情報として予め記憶手段16に記憶させておくようにしており、制御手段15は、電圧検出回路8により検出した電圧に基づいて、いずれかの制御パターン情報を選択して各ヒータ12、13、14に対する通電制御を行うようにしている。
【0045】
位相制御に用いる第1の制御パターン情報とは、商用電源6から供給される交流電流を全波整流することにより得た波形の半波毎に、その波形の一部に対応する電力を各ヒータ12、13、14へ供給するように電源供給用のスイッチ22(図4参照。)をオン・オフすることにより、各ヒータ12、13、14への供給電力を制御するための制御情報である。
【0046】
この第1の制御パターン情報に対応する位相制御用の制御パターンは、図2に示すように、商用電源6から供給される交流電流を全波整流した波形のゼロクロス点からの第1の期間t1、及び、次のゼロクロス点までの第2の期間t2の期間だけ、後述するスイッチ回路21をオンし、第1の期間t1から第2の期間t2までの間、スイッチ回路21をオフにする制御パターンである。
【0047】
そして、第1の期間t1及び第2の期間t2の時間を調整することによって、各ヒータ12、13、14に供給する電力を制御するようにしており、図2中の斜線部の面積に対応した電力が各ヒータ12、13、14に供給される。
【0048】
このように、商用電源6の電圧が所定値よりも高いときに、図2に示すような位相制御を行うため、パターン制御に比べて、各ヒータ12、13、14の温度制御の追従性を向上させることができる。
【0049】
しかも、この制御パターンでは、第1の期間t1の始点と終点、及び、第2の期間t2の始点と終点とはゼロクロス点を基準に位相設定しているため、各ヒータ12、13、14への通電をオン/オフする際、各ヒータ12、13、14に印加される電圧を任意の電圧以下とすることが可能となるため、位相制御によって発生するノイズを低減することができる。
【0050】
また、パターン制御に用いる第2の制御パターン情報とは、商用電源6から供給される交流電流を全波整流することにより得た波形の半波毎に、その波形に対応した電力を供給するか否かによって各ヒータ12、13、14への供給電力を制御するための制御情報である。
【0051】
この第2の制御パターン情報に対応するパターン制御用の制御パターンは、図3(a)、(b)に示すように、商用電源6から供給される交流電流を全波整流した波形を1単位とし、この半波単位で各ヒータ12、13、14への通電と非通電(スイッチ回路21のオンとオフ)とを制御する制御パターンである。なお、このパターン制御では、図3中の斜線部の面積に対応した電力が各ヒータ12、13、14に供給される。
【0052】
すなわち、商用電源6から供給される電力のうちの50%の電力を各ヒータ12、13、14に供給する場合には、図3(a)に示すように、商用電源6から供給される交流電流を全波整流した波形の半波分の期間通電状態とした後、半波分の期間非通電状態とする制御を繰り返し行うパターンにより通電制御を行う。
【0053】
また、商用電源6から供給される電力のうちの25%の電力を各ヒータに供給する場合には、図3(b)に示すように、商用電源6から供給される交流電流を全波整流した波形の半波分の期間通電状態とし、その後、4半波分の期間非通電状態とする制御を繰り返し行うパターンにより通電制御を行う。
【0054】
このように、商用電源6の電圧が所定値よりも低いときに、図3(a)、(b)に示すようなパターン制御を行い、しかも、通電の開始点と終了点とはいずれもゼロクロス点と一致するため、通電状態と非通電状態との切り替えを行う際に発生するノイズを低減することができる。
【0055】
以下、トイレ装置1による温水ヒータ13への通電制御を行う各回路について、図4を用いて具体的に説明する。図4では、トイレ装置1において、温水ヒータ13の制御に関係する部分のみを図示するようにしており、便座ヒータ12及び温風ヒータ14に関しても同様の回路により通電制御を行うため、その説明は省略する。
【0056】
図4に示すように、このトイレ装置1が有するスイッチング電源回路7は、交流の商用電源6を整流するダイオードブリッジ17と、このダイオードブリッジ17により整流された電流を平滑するコンデンサC1と、このコンデンサC1により平滑された電流の電圧を所定の電圧へ降圧するトランス18と、トランス18に流れる電流のオン・オフを切替えるスイッチングトランジスタT1と、このスイッチングトランジスタT1の動作を制御するスイッチング用IC19の駆動電圧(VCC25)及び、後述するスイッチ回路21のフォトトランジスタPT2のソースへ印加する電圧(VCC25)を供給する所定電圧供給回路30とを備えている。
【0057】
そして、このスイッチング電源回路7は、スイッチング用IC19から入力される制御信号に基づいてスイッチングトランジスタT1を所定のタイミングでオン・オフさせることにより、トランス18の一時側コイル18aに流れる直流電流を所定周波数の交流電流に変換し、二次側コイル18bに所定の電圧へ降圧された交流電流が流れるようにしている。
【0058】
また、所定電圧生成回路30は、抵抗R30と、コンデンサC30と、コイル18cとダイオードD30とにより構成している。
【0059】
そして、スイッチング電源回路7が動作を開始する際に、まず、商用電源6から供給される交流電流により、コンデンサC30が所定量の電荷を充電し、このコンデンサC30が充電した電荷を放電することにより、スイッチング用IC19の駆動電圧(VCC25)及び、スイッチ回路21のフォトトランジスタPT2のソースへ印加する電圧(VCC25)を供給するようにしている。
【0060】
その後、スイッチングIC19が動作を開始した後、コンデンサC30は、トランス18の二次側コイル18bに励起される電圧に応じてコイル18cに発生する電流により所定量の電荷を充放電して、スイッチ回路21のフォトトランジスタPT2のソースへ印加する電圧(VCC25)を供給するようにしている。
【0061】
電圧検出回路8は、スイッチング電源回路7の二次側コイル18bに交流電流が流れている時間(トランス18のオン時間)に基づいて温水ヒータ13に印加されている電圧を検出する回路であり、直列に接続した2個の抵抗R1、R2と、直列に接続した2個の保護用ダイオードD1、D2とにより構成している。
【0062】
ゼロクロス検出回路9は、フォトカプラ20を備えており、このフォトカプラ20の入力側(発光ダイオードLED1、LED2の両端)に電源電圧が印加され、フォトカプラ20の出力側(フォトトランジスタPT1)から電源波形のゼロクロス点を検出した信号をマイコン2に入力するようにしている。
【0063】
このとき、発光ダイオードLED1、LED2は、電源電圧の値が0V若しくは0V近傍となったタイミングで発光し、この光によりフォトトランジスタPT1がオンする。
【0064】
これにより、マイコン2には、電源電圧が0V若しくは0V近傍となるタイミングで立ち上がる信号が入力され、このフォトカプラ20からマイコン2に入力される信号の立ち上がるタイミングが電源電圧のゼロクロス点としてマイコン2に認識される。
【0065】
また、温水ヒータ13と商用電源6との間にはスイッチ回路21を設けており、このスイッチ回路21をオン・オフすることにより、温水ヒータ13への通電と非通電とを切替えることで温水ヒータ13へ供給する電力を制御する。
【0066】
このスイッチ回路21は、スイッチ22と、トランジスタT2に接続されたコイル23とにより構成している。
【0067】
このスイッチ回路21は、電力供給用のフォトカプラ40と、電力供給用のトランジスタT40とを備えている。
【0068】
そして、電力供給用のフォトカプラ40は、マイコン2から入力される制御信号に基づくタイミングで発光ダイオードLED40が点灯及び消灯し、この発光ダイオードLED40が点灯している時間だけフォトトランジスタPT40がオン状態となる。
【0069】
電力供給用のトランジスタT40は、電力供給用のフォトカプラ40のフォトトランジスタPT40がオン状態の間だけオン状態となり、温水ヒータ13へ商用電源6からの電力を供給するように構成している。
【0070】
なお、図4中に示す符号17aは、温水ヒータ13に商用電源6から負の電圧が印加されることを防止するために設けたダイオードブリッジである。
【0071】
また、商用電源6と温水ヒータ13との間にはフューズ24を備えており、電源電圧が300Vを超えるとこのフューズ24が切れ、温水ヒータ13に異常に高い電圧が印加されて温水ヒータ13が破損することを未然に防止するようにしている。
【0072】
以下、このように構成したトイレ装置1の動作について具体的に説明する。なお、以下の説明では温水ヒータ13の通電制御を例に挙げて説明することとし、便座ヒータ12及び温風ヒータ14の通電制御は、定格電力値が異なる以外、温水ヒータ13の通電制御とほぼ同様であるため、その説明は省略することとする。
【0073】
第1実施形態のトイレ装置1における制御手段15は、図5に示すフローチャートに従って温水ヒータ13に対する通電制御を行う。
【0074】
まず、トイレ装置1に商用電源6が投入されると(ステップS1)、制御手段15は、投入された商用電源6の電圧を検出する(ステップS2)。
【0075】
次に制御手段15は、電源電圧が所定値である300Vを超えたか否かの判断を行う(ステップS3)。
【0076】
ここで制御手段15は、電源電圧が300Vを超えたと判断した場合に、ディスプレイ駆動部5bを動作させることにより、トイレ装置1に異常に高い電圧が供給されている旨をディスプレイ5に表示させ(ステップS10)、その後、動作を停止して(ステップS11)処理を終了し、電源電圧が300Vを超えていないと判断した場合に、処理をステップS4へ移す。また、ここで電源電圧が300Vを超えたにも関わらず、電圧検出回路8がそのことを検出することができなかった場合であっても、上記したようにフューズ24が切断されるため、温水ヒータ13が過電圧により破損することはない。
【0077】
そして、このように、トイレ装置1に異常に高い電圧が供給されていることをディスプレイ5に表示させることにより、使用者に適切に異常を知らせることができると共に、異常に高い電圧からトイレ装置1を保護することができる。
【0078】
ステップS4において制御手段15は、電源電圧が所定値である150V以上であるか、電源電圧が150V未満であるかの判断を行う。
【0079】
ここで制御手段15は、電源電圧が150V以上であると判断した場合に、記憶手段16から第1の制御パターン情報である位相制御用の制御パターン情報と、温水ヒータ13に対して位相制御による通電制御を行うための動作プログラムを読み込む(ステップS5)。
【0080】
次に制御手段15は、ステップS5で記憶手段16から読み込んだ制御パターン情報と動作プログラムとに基づいて温水ヒータ13に対して位相制御による通電制御を行う(ステップS6)。
【0081】
次に制御手段15は、商用電源6から温水ヒータ13に印加されている電圧を検出し、検出した電圧が300Vを超えているか否かの判断を行い(ステップS7)、電源電圧が300Vを超えていないと判断した場合に、処理をステップS6へ戻し、商用電源6からの電力供給が停止されるまでステップ6の処理とステップ7の処理とを繰り返し継続して行う。
【0082】
一方、ステップS7において制御手段15は、電源電圧が300Vを超えていると判断した場合に、ディスプレイ駆動部5bを動作させることにより、温水ヒータ13に異常に高い電圧が印加されている旨をディスプレイ5に表示させ(ステップS8)、その後、温水ヒータ13への通電を停止して(ステップS9)処理を終了する。
【0083】
また、ステップS4において制御手段15は、電源電圧が150V未満であると判断した場合に、記憶手段16から第2の制御パターン情報であるパターン制御用の制御パターン情報と、温水ヒータ13に対してパターン制御による通電制御を行うための動作プログラムを読み込む(ステップS12)。
【0084】
次に制御手段15は、ステップS12で記憶手段16から読み込んだ制御パターン情報と動作プログラムとに基づいて温水ヒータ13に対してパターン制御による通電制御を行う(ステップS13)。
【0085】
次に制御手段15は、商用電源6から温水ヒータ13に印加されている電圧を検出し、検出した電圧が300Vを超えているか否かの判断を行い(ステップS14)、電源電圧が300Vを超えていないと判断した場合に、処理をステップS13へ戻し、商用電源6からの電力供給が停止されるまでステップS13の処理とステップ14の処理とを繰り返し継続して行う。
【0086】
一方、ステップS14において制御手段15は、電源電圧が300Vを超えていると判断した場合に、ディスプレイ駆動部5bを動作させることにより、温水ヒータ13に異常に高い電圧が印加されている旨をディスプレイ5に表示させ(ステップS15)、その後、温水ヒータ13への通電を停止して(ステップS16)処理を終了する。
【0087】
このように、第1実施形態のトイレ装置1は、電圧検出回路8により検出した商用電源6の電圧値に応じて、パターン制御又は位相制御のいずれかの制御パターンを選択して通電制御を行うことができるので、電源電圧の異なる国に設置した場合であっても、その国の電源電圧に対応した制御パターンによる通電制御を行うことができ、温水ヒータ13に定格を超える電力が供給されることがないため、温水ヒータ13の仕様を変更することなく、電源電圧の異なる国に設置して使用することができる。
【0088】
また、このトイレ装置1を日本国内で使用する場合、家庭内の単相100Vでの使用が一般的であるが、最近普及してきた単相200Vでも使用可能となる。さらに、単相100Vで使用していても、何らかの不具合で屋内配線のセンタータップのアースが浮いて、単相100V以上の電圧が印加される場合が発生しても安全に動作するので安心である。
【0089】
(第2実施形態)
上記した第1実施形態では、商用電源6の電圧が所定値である150V以上か、或いは150V未満かによって、温水ヒータ13への制御パターンを変えるようにしたが、本第2実施形態では、その制御に加え、電圧検出回路8により検出した電圧によって、さらに適切な温水ヒータ13への通電制御を可能とするものである。
【0090】
より具体的には、電圧検出回路8によって検出した電圧の範囲に応じて、温水ヒータ13の温度制御範囲、駆動位相時間、及び、パターン制御のパターンを変更することによって、適切な温水ヒータ13への通電制御を可能とするものである。
【0091】
また、この第2実施形態に係るトイレ装置1は、第1実施形態に記載したトイレ装置1の構成と基本的に同様であるが、記憶手段16に記憶させる情報及び、その情報に基づく温水ヒータ13への制御が異なる。
【0092】
このトイレ装置1の記憶手段16には、第1実施形態のトイレ装置1と同様に温水ヒータ13に位相制御を行うための制御パターン情報及び、パターン制御を行うための制御パターン情報、これらのパターン情報に基づいて制御手段15が動作するための動作プログラムに加え、図5に示す動作電圧条件情報、図6に示す温度制御範囲情報、図7に示すヒータ駆動設定情報、図8に示すヒータの定格電力値情報、図9に示すスイッチング周期30KHz時のパルス時間を示す情報などを記憶させている。
【0093】
そして、制御手段15は、電圧検出回路8が検出した電圧に基づいて、記憶手段16からその電圧に対応する各情報を読み出して温水ヒータ13に対して通電制御を行う。
【0094】
ここで、記憶手段16に記憶させている各種情報について具体的に説明する。
【0095】
動作電圧条件情報は、図6に示すように、トイレ装置1を設置する各国における商用電源6の電圧値の上限値、標準値、下限値を示す情報と、各国で用いる制御パターンとをそれぞれ対応させた情報である。
【0096】
また、この動作電圧条件情報は、トイレ装置1を製造する際に予め記憶手段16に記憶させておくものであり、トイレ装置1を出荷する際には、出荷予定国を予め記憶手段16に設定した後出荷するようにしている。
【0097】
なお、動作電圧条件情報及び出荷予定国は、トイレ装置1を設置した後に、外部装置10からインターフェイス11を介して記憶手段16に記憶させることもでき、これにより、トイレ装置1を設置した後であっても、制御性能を向上させることが可能となる。
【0098】
温度制御範囲情報は、図7に示すように、トイレ装置1を設置する国毎に、その国おける温水温度、便座温度、温風吹き出し温度の上限及び下限を示す情報であり、制御手段15が通電制御を行う場合に、これら各温度が温度制御範囲情報の上限と下限との間におさまるように制御するための情報である。
【0099】
また、このトイレ装置1において制御手段15は、温水センサ13aが温度制限範囲情報の上限値を超える温度を検出した場合に通電制御を停止するようにして、温水ヒータ13の保護と、使用者の安全を図るようにしている。
【0100】
ヒータ駆動設定情報は、図8に示すように、トイレ装置1を設置する国と、温水ヒータ13の定格電力と、各国において商用電源6のゼロクロス点から温水ヒータ13への電力の供給を開始して停止するまでの位相時間とをそれぞれ対応させた情報であり、制御手段15が温水ヒータ13に対して位相制御による通電制御を行う際に参照する情報である。なお、図8では、温水ヒータ13のヒータ駆動設定情報だけを図示しているが、記憶手段16には便座ヒータ12、温風ヒータ14についても、それぞれヒータ駆動設定情報を記憶させるようにしている。
【0101】
ヒータの定格電力値情報は、図9に示すように、温水ヒータ13、便座ヒータ12、温風ヒータ14の各定格電力値を示す情報であり、制御手段15は、各ヒータ12、13、14の通電制御を行う際に、この定格電力値を超えないように制御するようにしている。
【0102】
スイッチング周期30KHz時のパルス時間は、図10に示すように、トイレ装置1を設置する国と、その国において電圧検出回路8が商用電源6の電圧を検出する際に検出するスイッチング電源回路7の二次側コイル18bに発生する交流波形のパルス時間の上限及び下限とをそれぞれ対応させた情報である。
【0103】
そして、制御手段15は、電圧検出手段8により、この上限値又は下限値を超えるパルス時間を検出した場合に、温水ヒータ13への給電を停止して、温水ヒータ13を適切に保護するようにしている。
【0104】
以下、第2実施形態のトイレ装置1における制御手段15の温水ヒータ13に対する通電制御について、図11に示すフローチャートに沿って説明する。
【0105】
まず、トイレ装置1に商用電源6が投入されると(ステップS21)、制御手段15は、記憶手段16から、出荷前に予め設定しておいた動作電圧条件情報を読み込む(ステップS22)。
【0106】
次に制御手段15は、電圧検出回路8が検出した商用電源6の電圧値を取得し(ステップS23)、検出した電圧値が300Vよりも高いか否かの判断を行う(ステップS24)。
【0107】
ここで制御手段15は、電源電圧が300Vよりも高いと判断した場合に処理をステップS28へ移し、電源電圧が300V以下であると判断した場合に処理をステップS25へ移す。
【0108】
ステップS28において制御手段15は、ディスプレイ駆動部5bを動作させてトイレ装置1に異常が発生している旨をディスプレイ5に表示させ(ステップS28)、その後、温水ヒータ13への通電を停止して処理を終了する。また、ここで電源電圧が300Vを超えたにも関わらず、電圧検出回路8がそのことを検出することができなかった場合であっても、上記したようにフューズ24が切断されるため、温水ヒータ13が過電圧により破損することはない。
【0109】
ステップS25において制御手段15は、ステップS22で読み込んだ動作電圧条件情報の電圧と、電圧検出回路8から取得した電圧値とを比較し、一致していると判断した場合に処理をステップS26へ移し、一致していないと判断した場合に処理をステップS28へ移してトイレ装置1に異常が発生している旨をディスプレイ5に表示させた後、温水ヒータ13への通電を停止して制御を終了する。
【0110】
ステップS26において、制御手段15は、ステップS22で読み込んだ動作電圧条件情報に基づいて、パターン制御又は位相制御のいずれか一方の制御パターンを選択して温水ヒータ13への通電制御を行う。
【0111】
このとき、制御手段15は、温水センサ13aから入力される温水の温度情報を参照しながら温水ヒータ13をフィードバック制御すると共に、温水の温度が予め設定された国における温水温度の上限及び下限を超えないように通電制御をするようにしている。
【0112】
また、制御手段15は、動作電圧条件情報に基づいた通電制御を行った後に、商用電源6の電圧が300Vを超えているか否かの判断を行い(ステップS27)、電源電圧が300Vを超えていないと判断した場合には、処理をステップS26へ移し、商用電源6からの電力供給が停止されるまでステップS26とステップS27とを繰り返し継続して行い、電源電圧が300Vを超えていると判断した場合には、処理をステップS30へ移す。
【0113】
ステップS30において制御手段15は、ディスプレイ駆動部5bを動作させてトイレ装置1に異常が発生している旨をディスプレイ5に表示させ、その後、温水ヒータ13への通電を停止して制御を終了する。
【0114】
このように、第2実施形態のトイレ装置1では、予め記憶手段16に動作電圧条件情報、温度制御範囲情報、ヒータ駆動設定情報、ヒータの定格電力値情報、スイッチング周期30KHz時のパルス時間などの複数種類の情報を、トイレ装置1を設置する可能性のある複数の国の分記憶させておき、出荷前に出荷先の国を設定するだけで、その国の商用電源6に応じた適切な通電制御を行うことができ、出荷する国毎に温水ヒータ13の仕様を変更する必要がない。
【0115】
また、第1及び第2実施形態のトイレ装置1が備える制御手段15は、便座ヒータ12、温水ヒータ13、温風ヒータ14への通電制御の他、電磁ポンプ4に対しても通電制御を行う。
【0116】
そのため、記憶手段16には、ポンプ制御情報を記憶させるようにしており、このポンプ制御情報は、図12に示すように、使用者の局部を洗浄する際の洗浄水の水勢を7段階(ST1〜ST7)に分割し、各ステップにおいて電磁ポンプ4へ供給する電力を算出した情報であり、制御手段15が電磁ポンプ4に位相制御を行う際、商用電源8から1波長分の電力が入力される時間に対する電磁ポンプ4のオン時間をパーセント換算した情報である。
【0117】
そして、制御手段15は、電圧検出回路8により検出した商用電源6の電圧に対応する国(設定)のポンプ制御情報に基づいて、電磁ポンプ4をオン・オフさせるように制御を行うようにしている。
【0118】
そのため、第1及び第2実施形態に記載のトイレ装置1は、電源電圧の異なる地域(国)でも電磁ポンプ4の仕様を変更する必要がない。
【0119】
このように、本発明に係るトイレ装置は、設置する国や地域の電源電圧に応じて、ヒータや電磁ポンプへの通電に用いる制御パターンを変更することにより、ヒータや電磁ポンプに対して定格を超えない電力を供給することができるので、設置する国や地域毎にヒータや電磁ポンプの仕様を変更する必要がなく、異なる電源電圧の国に出荷するトイレ装置において共通のヒータや電磁ポンプを搭載できるようになり、製造コストを低減できるトイレ装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本実施形態に係るトイレ装置を示す機能ブロック図である。
【図2】第1の制御パターン情報を示す波形図である。
【図3】第2の制御パターン情報を示す波形図である。
【図4】本実施形態に係るトイレ装置を示す回路図である。
【図5】第1実施形態における制御手段の制御フローチャートである。
【図6】動作電圧条件情報を示す説明図である。
【図7】温度制御範囲情報を示す説明図である。
【図8】ヒータ駆動設定情報を示す説明図である。
【図9】ヒータの定格電力値情報を示す説明図である。
【図10】スイッチング周期30KHz時のパルス時間を示す説明図である。
【図11】第2実施形態における制御手段の制御フローチャートである。
【図12】電磁ポンプ駆動設定情報を示す説明図である。
【符号の説明】
【0121】
1 トイレ装置
2 マイコン
3 ヒータ部
4 電磁ポンプ
4b ポンプ駆動部
5 ディスプレイ
5b ディスプレイ駆動部
6 商用電源
7 スイッチング電源回路
8 電圧検出回路
9 ゼロクロス検出回路
10 外部装置
11 インターフェイス
12 便座ヒータ
12a 便座センサ
12b 便座制御部
13 温水ヒータ
13a 温水センサ
13b 温水制御部
14 温風ヒータ
14a 温風センサ
14b 温風制御部
15 制御手段
16 記憶手段
17、17a ダイオードブリッジ
18 トランス
18a 一時側コイル
18b 二次側コイル
18c コイル
19 スイッチング用IC
20 フォトカプラ
21 スイッチ回路
23 コイル
40 電力供給用のフォトカプラ
C1、C30 コンデンサ
R1、R2、R4、R5、R30 抵抗
D1、D2、D30 ダイオード
T1 スイッチングトランジスタ
T40 電力供給用のトランジスタ
LED1、LED2、LED3、LED40 発光ダイオード
PT1、PT2 フォトトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を加熱するためのヒータと、前記ヒータへの供給電源の電圧を検出する電圧検出手段と、前記供給電源と前記ヒータとの間に設けられたスイッチをオン及びオフすることにより前記ヒータへ供給する電力を制御する制御手段とを有するトイレ装置において、
前記ヒータを制御する制御情報として、少なくとも第1の制御パターン情報と第2の制御パターン情報とを記憶した記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記電圧検出手段によって検出された電圧が所定値以上のときに、前記スイッチのオン及びオフを前記第1の制御パターンで行い、所定値未満のときに、前記スイッチのオン及びオフを前記第2の制御パターンにより行うことを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記供給電源のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出手段を備え、
前記第1の制御パターンは位相制御であり、前記第2の制御パターンはパターン制御であることを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記位相制御を、前記ゼロクロス点からの第1の期間及び次のゼロクロス点までの第2の期間、前記スイッチをオンにし、前記第1の期間後から前記第2の期間前までの間、前記スイッチをオフにすることによって行うことを特徴とする請求項2に記載のトイレ装置。
【請求項4】
外部装置と通信するためのインターフェイスを有し、
前記複数の制御パターン情報は、前記インターフェイスを介して書き換え可能としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記電圧検出手段で検出された電圧に応じた前記制御パターンによる制御を開始した後は、前記供給電源からの電力供給が停止するまで、その制御を継続することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記電圧検出手段で検出された電圧に応じた前記制御パターンによる制御を開始した後、前記電圧検出手段で検出された電圧が所定値を超えたとき、その制御を停止することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記電圧検出手段で検出された電圧が所定値を超えたことを報知する報知手段を設けたことを特徴とする請求項6に記載のトイレ装置。
【請求項8】
前記供給電源電圧を整流及び平滑後にトランスへ入力し、所定の周波数で前記トランスへ流れる電流をオン・オフすることによって所定の電圧へ降圧するスイッチング電源回路を備え、
前記電圧検出手段は、
前記スイッチング電源回路における前記トランスのオン時間に基づいて、前記ヒータへの供給電源の電圧を検出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項9】
前記供給電源に接続され、局部に洗浄水を断続的に吐水させるための電磁ポンプと、
前記電磁ポンプを制御する複数のポンプ制御情報を記憶した記憶手段とを備え、
前記制御手段は、前記電圧検出手段で検出された電圧に応じた前記ポンプ制御情報により前記電磁ポンプのオン及びオフを制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項10】
前記被加熱物は、便座、局部を洗浄する洗浄水、又は局部を乾燥するための空気であることを請求項1〜9のいずれか1項に記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−31942(P2007−31942A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−212291(P2005−212291)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】