説明

トイレ装置

【課題】使用者の退出を確実に検知して付加機能を効果的に動作させるトイレ装置を提供する。
【解決手段】吐水ノズルを用いた洗浄機能を実行可能な洗浄機能部と、使用者の使用後に所定の動作を実行すべき付加機能部と、便器に接近する使用者を検知可能な接近検知センサと、便器の前に立つ使用者を検知可能な人体検知センサと、前記接近検知センサと前記人体検知センサの検知結果に基づいて、前記付加機能部に前記所定の動作を実行させる制御部と、を備えたことを特徴とするトイレ装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ装置に関し、より具体的には吐水ノズルを用いた洗浄機能に加えて、例えば便蓋自動開閉機能や便座暖房機能などの付加機能を有するトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
腰掛便器の上に設置され、洗浄水を噴射する吐水ノズルを進退自在に収容したトイレ装置は、使用者の「おしり」などを水で洗浄する洗浄機能部を有する。また、洗浄機能部の他にも、各種の付加機能部を設けることにより、トイレ装置をさらに快適なものにすることができる。例えば、使用者を検知して便蓋や便座が自動的に開閉する便蓋(便座)自動開閉機能部を有するトイレ装置が実現されている。
【0003】
また、例えば、使用者を検知して便座やトイレ空間を急速に暖房したり、ライトを自動的に点灯したりすると、省エネルギーにつながり使い勝手も良いトイレ装置となる。さらに、使用者を検知して音楽や効果音などを流すと、癒し効果が得られ、リラックスできる快適なトイレ装置となる。
【0004】
これらの付加機能部を設ける場合、トイレ装置の使用者の有無を出来るだけ早く検知して、付加機能部を早期に動作させることが望ましい。これに対して、測距センサを使用者の有無を検知する人体検知センサとして用いる構成が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−321440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、使用者の有無を検知する人体検知センサとして測距センサを用いた場合、トイレレイアウトによっては、検知範囲内に使用者ではない物体がある場合も検知する場合がある。そのようなトイレレイアウトにおいては、使用者がトイレ室内にいない場合でも使用者が有りとの判断をしたままとなり、使用者がいない場合に動作させるべき付加機能を動作させることができない場合がある。
【0007】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、広範囲のトイレレイアウトに適用して、使用者の退出を確実に検知して付加機能を効果的に動作させるトイレ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明によれば、吐水ノズルを用いた洗浄機能を実行可能な洗浄機能部と、使用者の使用後に所定の動作を実行すべき付加機能部と、便器に接近する使用者を検知可能な接近検知センサと、便器の前に立つ使用者を検知可能な人体検知センサと、前記接近検知センサと前記人体検知センサの検知結果に基づいて、前記付加機能部に前記所定の動作を実行させる制御部と、を備えたことを特徴とするトイレ装置が提供される。
【0009】
上記構成によれば、接近する使用者を検知可能な接近検知センサと使用者の有無を検知する人体検知センサとの検知結果を判断することにより、付加機能部を第1の状態に制御することができ、使用者がいない場合の付加機能を動作させることができる。
【0010】
また、第2の発明によれば、第1の発明において、前記制御部は、前記人体検知センサにより検知なしと判断した場合には、前記接近検知センサにより検知ありと判断した場合でも、前記付加機能部に前記所定の動作を実行させることを特徴とするトイレ装置が提供される。
【0011】
上記構成によれば、人体検知センサの検知結果を検知なしと判断した場合に、接近検知センサの誤検知があっても付加機能部を第1の状態に制御することができ、確実に付加機能部を動作させることができる。
【0012】
また、第3の発明によれば、前記制御部は、前記人体検知センサにより検知ありと判断した場合において、前記接近検知センサにより検知なしと判断した後に、前記接近検知センサにより所定時間のあいだ連続して検知なしと判断し、同時に前記人体検知センサにより前記所定時間のあいだ連続して検知ありと判断した場合には、前記付加機能部に前記所定の動作を実行させることを特徴とするトイレ装置が提供される。
【0013】
上記構成によれば、接近検知センサの検知結果を所定時間連続して検知なしと判断した場合に、人体検知センサの誤検知があっても付加機能部を第1の状態に制御することにより、付加機能部を動作させることができる。
【0014】
また、第4の発明によれば、第1〜第3の発明のいずれかにおいて、使用者の便座への着座を検知可能な着座検知センサをさらに備え、前記制御部は、前記着座検知センサの検知結果もあわせて判断することにより、前記付加機能部に前記所定の動作を実行させることを特徴とするトイレ装置が提供される。
【0015】
上記構成によれば、着座検知センサの検知結果もあわせて判断することにより、より確実に使用者の有無を検知して、付加機能部を第1の状態に制御して付加機能部を動作させることができる。
【0016】
また、第5の発明によれば、第4の発明において、前記制御部は、前記着座検知センサにより検知なしと判断した場合において、前記人体検知センサにより検知なしと判断した場合は、前記接近検知センサにより検知ありと判断した場合でも、前記付加機能部に前記所定の動作を実行させることを特徴とするトイレ装置が提供される。
【0017】
上記構成によれば、着座検知センサの検知結果を検知なしと判断した場合に、人体検知センサの検知結果を判断するため、より確実に付加機能部を第1の状態に制御して付加機能部を動作させることができる。
【0018】
また、第6の発明によれば、第4または第5の発明において、前記制御部は、前記着座検知センサにより検知なしと判断した場合において、前記接近検知センサにより所定時間のあいだ連続して検知なしと判断し、同時に前記人体検知センサにより前記所定時間のあいだ連続して検知ありと判断した場合には、前記付加機能部に前記所定の動作を実行させることを特徴とするトイレ装置が提供される。
【0019】
上記構成によれば、着座検知センサの検知結果を検知なしと判断した場合に、接近検知センサの検知結果を判断するため、より確実に付加機能部を第1の状態に制御して付加機能部を動作させることができる。
【0020】
また、第7の発明によれば、前記接近検知センサは、焦電センサであり、前記人体検知センサは、測距センサであることを特徴とするトイレ装置が提供される。
上記構成によれば、焦電センサ及び測距センサの特徴をいかして使用者の有無を確実に検知して付加機能部を第1の状態に制御して付加機能部を動作させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、広範囲のトイレレイアウトに適用して、使用者の退出を確実に検知して付加機能を効果的に動作させるトイレ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係るトイレ装置の要部構成を例示するブロック図である。
【図2】接近検知センサ及び人体検知センサの検出範囲を例示する模式図である。
【図3】着座検知センサの検出範囲を例示する模式図である。
【図4】本実施例のトイレ装置の制御を例示するフローチャートである。
【図5】本実施例のトイレ装置の制御を例示する他のフローチャートである。
【図6】本実施例のトイレ装置の動作を表すタイミングチャートである。
【図7】本実施例のトイレ装置の動作を表す他のタイミングチャートである。
【図8】本実施例のトイレ装置の動作を表す他のタイミングチャートである。
【図9】本実施例のトイレ装置の動作を表す他のタイミングチャートである。
【図10】本実施例のトイレ装置において、接近検知センサが検知せず人体検知センサが検知する場合を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の形状や縦横の寸法の関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るトイレ装置の要部構成を例示するブロック図である。
図1に表したように、本実施例のトイレ装置100は、付加機能部700、接近検知センサ500、人体検知センサ420、着座検知センサ422及び制御部640を有し、これらの主要部は、本体部400(図2参照)に収納されている。
【0025】
本実施例においては、付加機能部700は、便座に座った使用者の「おしり」などに向けて水を噴出する吐水ノズル615を有する洗浄ユニット610、他の付加機能として、便蓋開閉ユニット720、便座開閉ユニット780、便座暖房ユニット210、室内暖房ユニット740、便器洗浄ユニット730、照明ユニット790などの各ユニットを有する。なお本願明細書において、「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【0026】
付加機能部700の上記各ユニットについて説明すると、便蓋開閉ユニット720は、トイレ装置100に設けられた便蓋を自動的に開閉する付加機能を提供する。便座開閉ユニット780は、トイレ装置に設けられた便座を自動的に開閉する。便座暖房ユニット210は、便座を暖め、また室内暖房ユニット740は、トイレ装置が設置されているトイレ空間を暖房する。
【0027】
便器洗浄ユニット730は、トイレ装置の便器ボウルに洗浄水を自動的に流す付加機能を提供する。照明ユニット790は、トイレ装置またはトイレ空間の一部または全体を照明する。また、洗浄ユニット610は、ノズル615、ノズル洗浄室617、ノズルモータ619を有し、便座に座った使用者の「おしり」などを洗浄する付加機能を提供する。
【0028】
これらの付加機能部の各ユニットのうち、便器洗浄ユニット730は、主に使用者の使用後に、自動的に動作する付加機能であり、他の各ユニットは、使用者の使用中に動作する付加機能である。
【0029】
なお、上記の付加機能部の構成は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。これら付加機能のすべてを備える必要は必ずしもなく、これらの1以上の任意数の付加機能を備えたものも本発明の範囲に包含される。さらに、他の付加機能を備えてもよい。
【0030】
これらの付加機能部の動作は、制御部640により制御される。制御部640には、操作部(リモコン)900からの指令が入力され、使用者の操作によりそれぞれの付加機能部の動作を手動で制御することができる。なお、本発明においては、操作部(リモコン)900は必須の要素ではなく、操作部(リモコン)900がない構成も可能である。
【0031】
制御部640には、さらに接近検知センサ500、人体検知センサ420、着座検知センサ422からの信号が入力される。なお、本実施例においては、着座検知センサ422を有する構成を例示しているが、着座検知センサ422がない構成も可能である。
【0032】
図2は、接近検知センサ及び人体検知センサの検出範囲を例示する模式図である。
図2(a)及び同図(b)は、それぞれ接近検知センサ500及び人体検知センサ420を、トイレ装置100の本体部400に設けた構成例を表している。
【0033】
接近検知センサ500は、図2(a)の矢印Aで表したように、トイレ装置100に接近する使用者10を検知する。一方、人体検知センサ420は図2(b)の矢印Bで表したように、トイレ装置100の前に立つ使用者10を検知する。
【0034】
すなわち、典型的には、接近検知センサ500は相対的に遠方の使用者10を検知可能であり、人体検知センサ420は相対的に近くにいる使用者10を検知する。このように構成すると、使用者10がトイレ装置100に接近してきた場合に、接近検知センサ500のほうが先にこれを検知できることになる。
【0035】
一方、使用者10がトイレ装置100から離れた場合には、人体検知センサ420は、接近検知センサ500よりも早く非検知となる。つまり、使用者10がトイレ装置100から離れる時には、接近検知センサ500よりも先に人体検知センサ420がこれを検出することになる。
【0036】
図2(a)に例示した接近検知センサ500としては、例えば、焦電センサや、マイクロ波によるドップラーセンサなどを用いることができる。これらのセンサは、その特性上、接近する人体を検知することが得意であり、比較的遠方から接近する人体を早く検知することができる。
【0037】
一方、人体検知センサ420としては、例えば、赤外線投光式の測距センサなどを用いることができる。これは、LED(light emitting diode)などの発光素子とPD(photodiode)などの受光素子とを内蔵し、発光素子から赤外線を所定の方向に投光して、その反射光を受光素子で検出することにより人体検知するものである。
【0038】
測距センサは、その特性上、トイレ装置100の前の所定の範囲にある物体を高い確度で検知することができ、物体がこの範囲から離れると、高い確度で非検知となる。従って、使用者10がトイレ装置100から離れる時に、より早くこれを検出することができる。
【0039】
図3は、着座検知センサの検出範囲を例示する模式図である。
着座検知センサ422は、便座200に座った使用者10を検知し、便座200が開いた状態では動作を行わない。本具体例においては、着座検知センサ422はトイレ装置100の本体部400に設けられ、図3の矢印Cで表したように、便座200に座った使用者10を検知する。
【0040】
着座検知センサ422としては、赤外線投光式の測距センサなどを用いることができ、その投光方向を便座200の直上とすればよい。また、便座後方に設けて、その投光方向を斜め前方としてもよい。なお、本体部400から便座200の側方に延在する袖部を設け、この袖部に着座検知センサ422を設けてもよい。この場合も、袖部から便座に座った使用者10を検知することが可能である。
【0041】
次に、本実施例のトイレ装置100の制御部640の動作について説明する。
図4は、本実施例のトイレ装置の制御部の処理ステップを例示するフローチャートである。図4においては、制御部640が、付加機能部700を停止の状態にある初期状態から待機状態である第1の状態に制御し、さらに、使用中の状態である第2の状態に制御する際に実行する処理ステップを表している。なお、図4においては、「人体検知センサ」、「接近検知センサ」及び「着座検知センサ」を、それぞれ「人体センサ」、「接近センサ」及び「着座センサ」と略記している。
【0042】
初めに、付加機能部700は、停止状態にある(ステップS10)。
この状態から、まず、制御部640は、付加機能部700を待機状態である第1の状態に制御する(ステップS11)。またこのとき、接近検知センサ500は動作(ON)状態、人体検知センサ420及び着座検知センサ422は動作していない(OFF)状態である。
【0043】
「第1の状態」は、具体的には、例えば便蓋開閉ユニット720の場合は、便蓋300を閉じた状態である。また、便座開閉ユニット780の場合は、便座200を閉じた状態である。便座暖房ユニット210の場合は、便座200の暖房を低レベルに維持しているかあるいは停止している状態である。室内暖房ユニット740の場合は、トイレ空間の暖房を低レベルとしているかあるいは停止している状態である。照明ユニット790の場合は、照明を低レベルとしているかあるいは消灯している状態である。
【0044】
そして、使用者10がトイレ装置100に接近し、接近検知センサ500がこれを検知すると(ステップS12:Y)、制御部640は、付加機能部700を第2の状態になるように動作させる(ステップS13)。また、接近検知センサ500が使用者を検知しない場合は、使用者10を検知するまで、ステップS12を繰り返す。
【0045】
ここで、「第2の状態」とは、「第1の状態」とは異なる状態である。
具体的には、例えば便蓋開閉ユニット720の場合は、便蓋300を開いた状態である。また、便座開閉ユニット780の場合は、便座200を開いた状態である。便座暖房ユニット210の場合は、便座200の暖房を開始し、あるいは高レベルにする状態である。室内暖房ユニット740の場合は、トイレ空間の暖房を開始し、あるいは高レベルにする状態である。照明ユニット790の場合は、照明を点灯するか、あるいは高レベルにする状態である。
【0046】
そして、制御部640は、人体検知センサ420を動作(ON)させる(ステップS14)。
また、着座検知センサ422を有する場合は(ステップS15:Y)、着座検知センサ422を動作(ON)させる(ステップS16)。
【0047】
なお、本実施例においては、付加機能部700が動作(ON)状態にある場合を第2の状態と呼んでいるが、第2の状態には、人体検知センサ420及び着座検知センサ422を動作(ON)状態とすることを含めてもよい。
【0048】
図5は、本実施例のトイレ装置の制御部の処理ステップを例示する他のフローチャートである。
図5においては、制御部640が付加機能部700を、動作状態である第2の状態から、待機状態である第1の状態に制御する際に実行する処理ステップを表している。なお、図5においては、「人体検知センサ」、「接近検知センサ」及び「着座検知センサ」をそれぞれ「人体センサ」、「接近センサ」、「着座センサ」と略記している。
【0049】
初めに、付加機能部700は第2の状態にある。
まず、制御部640は、トイレ装置100が着座検知センサ422を有する場合(ステップS21:Y)は、使用者10の着座を検知しなくなるまで着座検知センサ422の検知結果の監視を続ける(ステップS22)。
【0050】
また、トイレ装置100が着座検知センサ422を有しない場合(ステップS21:N)は、ステップS23の処理に進む。
【0051】
着座検知センサ422が使用者の着座を検知しない場合(ステップS22:N)、ステップS23の処理に進み、人体検知センサ420の検知結果を監視する(ステップS23)。
【0052】
人体検知センサ420の検知結果が人体有りの場合(ステップS23:Y)は、次のステップS24に進み、また人体検知センサ420の検知結果が人体を検知しない場合(ステップS23:N)は、使用者が退室したと判断し、ステップS25に進む。
【0053】
ステップS24において、接近検知センサ500を監視して、連続して所定時間T1の時間、使用者の接近を検知しない場合(ステップS24:Y)は、使用者が退室したと判断し、ステップS25に進む。使用者の接近を検知した場合(ステップS24:N)は、接近検知センサ500の監視を繰り返す(ステップS24)。なお、使用者の接近を検知した場合は、ステップS23に戻ってもよい。
【0054】
ステップS25において、付加機能部700を第1の状態に制御する。
また、人体検知センサ420を停止(OFF)状態にする(ステップS26)。
さらに、トイレ装置100が着座検知センサ422を有する場合(ステップS27:Y)は、着座検知センサ422を停止(OFF)状態にする(ステップS28)。
【0055】
トイレ装置100は、第1の状態に戻る。制御部640は、図4に表したステップS12の処理ステップに戻り、以下同様の実行を繰り返す。
このようにして、本実施例のトイレ装置100は、制御部640により、第1の状態に戻ることになる。使用者の退室後に動作する付加機能、例えば、便器洗浄ユニット730を確実に動作させることができる。
【0056】
次に、本実施例のトイレ装置100の典型的な動作例をタイミングチャートを用いて説明する。
図6は、本実施例のトイレ装置の動作を表すタイミングチャートである。
使用者がトイレ室に入室すると、接近検知センサ500がこれを検知し、付加機能部が第1の状態から第2の状態に遷移する。例えば、便蓋開閉ユニット720の便蓋300が閉じた状態から開いた状態に遷移する。そして、使用者がトイレ装置にさらに接近すると、人体検知センサ420がこれを検知する。
【0057】
その後、使用者が便座200に着座すると、接近検知センサ500は非検知となり、使用者が便座200から立ち上がると、接近検知センサ500は再びこれを検知する。この間、人体検知センサ420は、ずっと使用者を検知した状態にある。
【0058】
使用者がトイレ装置100の使用を終了し、トイレ装置100から離れると、人体検知センサ420が非検知となる。すると制御部640は、付加機能部を「第1の状態」になるように動作させる。例えば、便蓋開閉ユニット720は便蓋300が開いた状態から閉じた状態に遷移する。そして、使用者がトイレ室から退室すると、接近検知センサ500は非検知状態となる。
【0059】
図7は、本実施例のトイレ装置の動作を表す他のタイミングチャートである。
本具体例の場合、使用者の入室、移動、着座、用便、離座までは、図6に関して前述した具体例と同様である。しかし、その後、使用者が便器からトイレ室のドアまで移動し、さらにトイレ室から退室しても、人体検知センサ420が検知状態のままである。これは例えば、使用者がトイレ装置の使用中に人体検知センサ420の検知窓にハンカチなどの物を置いたまま退室した場合などにあたる。このような場合には、図7に表したように、所定時間(T1)接近検知センサ500が使用者10を検知せず、人体検知センサ420が検知状態であれば、付加機能部を「第1の状態」になるように動作させる。例えば、便蓋開閉ユニット720は便蓋300が開いた状態から閉じた状態に遷移する。このようにすれば、人体検知センサ420が使用者とは異なる対象物を誤検知しているような場合でも、付加可能部を確実に「第1の状態」に戻すことができる。
【0060】
図8は、本実施例のトイレ装置の動作を表す他のタイミングチャートである。
図8においては、トイレ装置100が着座検知センサ422を有する場合を例示している。
制御部640は、例えば便座200が閉じている場合は、人体検知センサ420と着座検知センサ422による検知の状態を適宜観測する。
【0061】
図8に表したように、着座検知センサ422は、使用者が便座200に着座し、離座するまでの間、検知状態にある。そして、使用者がトイレ装置100の使用を終了し、便座200から離座すると着座検知センサ422が非検知となる。さらに、トイレ装置100から離れると、人体検知センサ420が非検知となる。すると制御部640は、付加機能部700を第1の状態になるように動作させる。
【0062】
図9は、本実施例のトイレ装置の動作を表す他のタイミングチャートである。
本具体例においては、着座検知センサ422は、使用者の離座により非検知状態に遷移している。しかし、図7に関して前述した具体例と同様に、使用者がトイレ室から退室した後も、人体検知センサ420は検知状態のままである。これは、図7に関して前述したように、例えば、使用者が人体検知センサ420の検知窓に物を置いたまま退室した場合などに相当する。このような場合には、図9に表したように、所定時間(T1)のあいだ接近検知センサ500が使用者10を検知せず、人体検知センサ420が検知状態、着座検知センサ422が非検知状態であれば、付加機能部700を第1の状態になるように動作させる。こうすることにより、人体検知センサ420が誤検知したような場合でも、付加機能部を確実に「第1の状態」に戻すことができる。
【0063】
図10は、本実施例のトイレ装置において、接近検知センサが検知せず人体検知センサが検知する場合を例示する模式図である。
図10に表したように、使用者10が接近検知センサ500の検知範囲A内におらず、動くことのないトイレ室内の検知物990が人体検知センサ420の検知範囲Bにあることがあり得る。例えば、トイレ装置の近傍に、花瓶や電気ストーブなどを置いた場合などである。このような場合、接近検知センサ500は検知せず、人体検知センサ420が検知したままの状態となる。
【0064】
この状態になっても、本実施例のトイレ装置100においては、付加機能部700を第2の状態から第1の状態になるように自動で制御される。確実に使用者退室後の付加機能を動作させることができる。
【0065】
このようにして付加機能部700を第1の状態にした後、制御部640は、図4に表したように、付加機能部700を第1の状態から第2の状態に制御する動作を実行する。
すなわち、接近検知センサ500によりモニタし、使用者10の接近を検知した時には、ステップS12以降の制御を実行する。
【0066】
以上説明したように、トイレ装置100は、使用しない状態にあるとき、確実に付加機能部700を第2の状態から第1の状態にすることができる。
【0067】
その結果、例えば、使用者10がトイレ装置100に接近したとき、接近検知センサ500で付加機能部700を第2の状態にし、使用が終わってトイレ装置100から離れたとき、トイレ室内の検知物990が人体検知センサ420の検知範囲内にあり、検出状態でも、使用者10は不在と判断し、付加機能部700を第1の状態にすることができる。
【0068】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、トイレ装置を構成する各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0069】
その他、本発明の実施形態として上述したトイレ装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのトイレ装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0070】
10 使用者、 100 トイレ装置、 200 便座、 300 便蓋、 210 便座暖房ユニット、 400 本体部、 420 人体検知センサ、 422 着座検知センサ、 500 接近検知センサ、 610 洗浄ユニット、 615 ノズル、 617 ノズル洗浄室、 619 ノズルモータ、 640 制御部、 700 付加機能部、 720 便蓋開閉ユニット、 730 便器洗浄ユニット、 740 室内暖房ユニット、 780 便座開閉ユニット、 790 照明ユニット、 800 便器、 900 操作部(リモコン)、 990 検知物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水ノズルを用いた洗浄機能を実行可能な洗浄機能部と、
使用者の使用後に所定の動作を実行すべき付加機能部と、
便器に接近する使用者を検知可能な接近検知センサと、
便器の前に立つ使用者を検知可能な人体検知センサと、
前記接近検知センサと前記人体検知センサの検知結果に基づいて、前記付加機能部に前記所定の動作を実行させる制御部と、
を備えたことを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記人体検知センサにより検知なしと判断した場合には、前記接近検知センサにより検知ありと判断した場合でも、前記付加機能部に前記所定の動作を実行させることを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記人体検知センサにより検知ありと判断した場合において、前記接近検知センサにより検知なしと判断した後に、前記接近検知センサにより所定時間のあいだ連続して検知なしと判断し、同時に前記人体検知センサにより前記所定時間のあいだ連続して検知ありと判断した場合には、前記付加機能部に前記所定の動作を実行させることを特徴とする請求項1または2に記載のトイレ装置。
【請求項4】
使用者の便座への着座を検知可能な着座検知センサをさらに備え、
前記制御部は、前記着座検知センサの検知結果もあわせて判断することにより、前記付加機能部に前記所定の動作を実行させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記着座検知センサにより検知なしと判断した場合において、前記人体検知センサにより検知なしと判断した場合は、前記接近検知センサにより検知ありと判断した場合でも、前記付加機能部に前記所定の動作を実行させることを特徴とする請求項4記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記着座検知センサにより検知なしと判断した場合において、前記接近検知センサにより所定時間のあいだ連続して検知なしと判断し、同時に前記人体検知センサにより前記所定時間のあいだ連続して検知ありと判断した場合には、前記付加機能部に前記所定の動作を実行させることを特徴とする請求項4または5に記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記接近検知センサは、焦電センサであり、
前記人体検知センサは、測距センサであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−174565(P2010−174565A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20615(P2009−20615)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】