説明

トナーの製造方法

【課題】 本発明によれば、少なくともカーボンブラックおよび重合性単量体を含有する単量体系を、水系媒体中で懸濁重合することによって重合トナーを製造する場合において、簡便な手法でカーボンブラックの重合阻害が起因となっている重合時間の長時間化、重合温度の高温化、更には液滴状態の長時間化による粗大粒子の発生を防ぐトナーの製造方法を提供することができる。
【達成手段】 少なくとも着色剤としてカーボンブラックおよび重合性単量体を含有する単量体組成物を水系媒体中で懸濁重合することによってトナーを製造する製造方法において、開始剤として過酸化物を用い、かつ該単量体組成物に少なくとも1種のポルフィン骨格またはポルフィン類似骨格を有する重合補助剤を含有させることを特徴とするトナーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真、静電印刷、磁気記録のような、画像形成方法において静電荷画像を顕像化するためのトナーおよびトナー粒子の製造方法に関するものである。特に、トナーで形成された画像を記録材に加熱定着させる定着方式に供される乾式トナーの製造方法に関するものである。更に詳しくは懸濁重合法によりカーボンブラックを用いたトナーを重合する製造する過程において、カーボンブラックの重合阻害を防ぎ、かつ反応温度の低減や反応時間の軽減を実現する手法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来電子写真用トナーとしては、一般的に熱可塑性樹脂中に着色剤を溶融混合し、均一に分散した後、微粉砕装置、分級機により所望の粒径を有するいわゆる粉砕法トナーが主流であったこの製造方法はかなり優れたトナーを製造し得るが、高速で微粉砕する場合に広い粒径範囲の粒子が形成されやすい、微粒子化しにくいといった問題があった。一方これらの粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、懸濁重合重合法によるトナーの製造方法が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。懸濁重合法においては、重合性単量体、着色剤、重合開始剤、さらに必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、その他添加剤からなる単量体組成物を、分散安定剤を含有する連続相、例えば水相中に、適当な攪拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行なわせることで、所望の粒径を有するトナー粒子を得ることができる。ここで、懸濁重合法においては、重合初期は水系に少なくとも着色剤を含む単量体系は液滴状態で存在する。その後重合が進むにつれ、単量体は高分子化し、粒子は固体となる。
【0003】
一方、黒色顔料として一般的に用いられるカーボンブラックは重合開始剤の活性ラジカルを捕捉する性質を持ち、単量体中に存在すると、存在しない場合に比べて重合の開始時間が遅くなったり、重合度が上がらなかったりするいわゆる重合阻害を起こしやすい。特に、開始剤に過酸化ベンゾイル等の過酸化物系開始剤を用いた場合その重合阻害が著しい。よってカーボンブラックを用いて懸濁重合法によりトナーを調整する場合、重合阻害により、開始剤効率が落ちるため、より長い重合時間を要したり、より高い重合温度が必要とされるという不具合が生じていた。また重合度があがらず液滴状態が長く続くために反応中に凝集を起し、粗大粒子が発生するという問題があった。
【0004】
これらの問題点を解決するために、例えば重合阻害性に対しては、表面をグラフト化したカーボンブラックを使用する方法や(例えば特許文献4参照)、アルミニウムカップリング剤で表面処理したカーボンブラックを使用する方法(例えば特許文献5参照)等が提案されている。しかしながら、こられの方法はカーボンブラックを表面処理する工程が煩雑で手間が掛かり、製造費用がかさむため、工業的には困難であった。
【0005】
また着色剤としてpH7以上で、一次粒径が20〜80mμの範囲内のカーボンブラックを用い、かつ重合開始剤として分子量250以下の非芳香属系有機過酸化物を用いる方法(例えば特許文献6参照)が、また分子量250以下の非芳香族有機過酸化物を用い、かつ重合温度が75℃から100℃の範囲内で懸濁重合をする方法(例えば特許文献7参照)がそれぞれ提案されている。しかしながら、この提案においては、開始剤種やカーボンブラック種を限定したものであり、分子量やTgなどのトナー設計の際に重要な開始剤種の選定に限定があった。
【特許文献1】特公昭36−10231号
【特許文献2】特公昭43−10799号
【特許文献3】特公昭51−14895号
【特許文献4】特開昭56−116044号
【特許文献5】特開昭63−210849号
【特許文献6】特開平10−20555号
【特許文献7】特開平10−20548号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、少なくともカーボンブラックおよび重合性単量体を含有する単量体系を、水系媒体中で懸濁重合することによって重合トナーを製造する場合において、簡便な手法でカーボンブラックの重合阻害が起因となっている重合時間の長時間化、重合温度の高温化、更には液滴状態の長時間化による粗大粒子の発生を防ぐトナーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は下記の本発明によって達成される。
【0008】
少なくとも着色剤としてカーボンブラックおよび重合性単量体を含有する単量体系を水系媒体中で懸濁重合することによってトナーを製造する製造方法において、開始剤として過酸化物を用い、かつ該単量体組成物に少なくとも1種のポルフィン骨格またはポルフィン類似骨格を有する重合補助剤を含有させることを特徴とするトナーの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、少なくともカーボンブラックおよび重合性単量体を含有する単量体系を、水系媒体中で懸濁重合することによって重合トナーを製造する場合において、簡便な手法でカーボンブラックの重合阻害が起因となっている重合時間の長時間化、重合温度の高温化、更には液滴状態の長時間化による粗大粒子の発生を防ぐトナーの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下発明の重合補助剤について説明する。
【0011】
本発明者らは、懸濁重合法によりトナーを製造するにあたり、重合開始剤として過酸化物開始剤を用い、かつ重合単量体系に予め重合補助剤として少なくとも1種のポルフィン骨格あるいはポルフィン類似骨格をもつ化合物を添加することで過酸化物の分解が促進されることを発見した。すなわち、過酸化物系開始剤と、本発明の重合補助剤を組み合わせることで、開始剤を大量に用いたり、反応温度を高くしたり、反応時間を長くしたりすることなく、重合添加率の高い懸濁重合カーボンブラック粒子を製造できることを見出し、本発明に至った。
【0012】
以下、さらに本発明の詳細を説明する。
【0013】
発明のビニル系共重合体を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、公知、市販の如何なる過酸化物系開始剤を用いることが出来る。
【0014】
メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、t―ブチルパーオキシピバレート、t―ブチルペルオキシイソブチレート等の有機過酸化物系開始剤などがあげられる。
【0015】
さらにこれら上記の重合開始剤の中でも、10時間半減期温度が180℃以下であるものは後で述べる本発明の重合補助剤と組み合わせて用いた場合に、より好適に効果を発現する。
【0016】
これら重合開始剤は所望の分子量を得るために好適に使用され、二種類以上を組み合わせても良い。
【0017】
本発明に用いることのできる重合補助剤の特徴はポルフィン、あるいはポルフィン類似骨格である。これらの骨格はベンゼン環が平面状に広がった大平面状化合物であり、酸化還元反応触媒としての能力をもつ。この性質が過酸化物開始剤に対して還元剤として作用し過酸化物開始剤の分解を補助した結果、開始剤効率が上がったものと推測される。本発明の重合補助剤は、単量体系に予め分散しておけるため操作が簡便であり、かつ添加量は少量であるためにトナー性能に大きく影響しない。よって洗浄などで除去する必要はないという利点も持つ。
【0018】
上記したポルフィン、あるいはポルフィン類似骨格としては例えば、テトラエニルポルフィン、シトポルフィリン、ウロポルフィリンI〜IV、コプロポルフィリンI〜IV、ヘマトポルフィリン、メソポルフィリン、プロトポルフィリン、ロドポルフィリン、フィロポルフィリン、エチオポルフィリンI〜IV、ピロポルフィリン、ジュウテロポルフィリン等のポルフィリン類、クロロフィル等などに代表される鉄、銅、マグネシウムなどを中心金属として含むポルフィリン金属錯体類、フタロシアニン、およびフタロシアニンブルー等に代表される、銅、鉄、マグネシウム、アルミ、等を中心金属として含むフタロシアニン金属錯体類等が挙げられる。これらの重合補助剤は単独あるいは2種以上を適宜用いることができる。
【0019】
汎用性、コスト等を考慮に入れると上記した中でもフタロシアニン骨格を有する化合物がより好適に用いられる。
【0020】
更に、上記した本発明の重合補助剤は固体触媒と推測されるので、単量体中ではより小粒径に分散され、表面積が多い状態であることが好ましい。発明者の検討によれば一次粒径が500nm以下である場合により好適に機能が発現される。
【0021】
また上記したように本発明の重合補助剤の粒径はより小さいことが好ましく、そのためには本発明のトナーの製造方法においては、単量体中でより細かく分散させる工程を含んでいることが好ましい。
【0022】
本発明の開始剤の添加量は、目的とする重合度、分子量により変化するが、一般的には重合性単量体に対して0.5から20質量%、より好ましくは10質量%以下であることが、トナーの分子量分布を制御し、かつ反応条件のラチチュードを広げることから好ましい。また上記した開始剤は、分子量、重合度を調節する目的で10時間半減期温度を参考に、単独あるいは混合して利用することができる。
【0023】
更に本発明において、重合補助剤は、過酸化物開始剤に対して10質量%〜200質量%添加することにより、より好適に機能を発現することができる。
【0024】
本発明において使用されるカーボンブラックとしては、従来知られているファーネス法、チャンネル法、サーマル法で製造されたカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、種々の副生カーボンブラック等をいずれも使用することができが、好ましくはpHが7以上であり、より好ましくは7.5〜10.5である。pHが7より小さいということは、カルボキシル基等の官能基が多く残存していることを意味し、この場合、カルボキシル基の会合が強くなり、カーボンブラックがトナー表面に存在しやすくなるため、高湿下でのベタ均一性の低下等を引き起こす。逆に、極端にpHが高すぎるとカーボンブラックがトナー表面に遊離しやすくなるため、pHは10.5以下であることが更に好ましい。
【0025】
更に,カーボンブラックは、単量体成分に対して2%以上20%以下であることが好ましい。これより少ないと着色力におとり、画像濃度が薄かったりがさつきが目立つなどの問題がある。またそれより多いと定着が悪くなるなどの不具合を生じる。
【0026】
本発明に用いることの出来る懸濁重合の単量体としてはビニル単量体などが挙げられる。例えば、芳香族ビニル単量体[例えば、スチレン、アルキルスチレン(例えば、ビニルトルエンなど)、α−アルキルスチレン(例えば、α−メチルスチレンなど);α,β−不飽和カルボン酸[例えば、(メタ)アクリル酸などのモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの多価カルボン酸又はそれらの酸無水物(例えば、無水マレイン酸など)];(メタ)アクリル酸のエステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチルなどの(メタ)アクリル酸C1〜C14アルキルエステル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルレート(ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど)、グリシジル(メタ)アクリレート];(メタ)アクリルアミド又はその誘導体(例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなど);マレイミド又はその誘導体(例えば、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなど)など];(メタ)アクリロニトリル;カルボン酸ビニルエステル[例えば、酢酸ビニルなど];共役ジエン系単量体[例えば、ブタジエン、イソプレンなど];オレフィン系単量体[例えば、エチレン、プロピレンなど];ハロゲン化ビニル[例えば、塩化ビニルなど];ハロゲン化ビニリデン[例えば、塩化ビニリデンなど]などが挙げられる。
【0027】
また本発明においては必要に応じて上記した単量体と合わせて架橋性単量体を用いて架橋成分を調整することもできる。架橋性単量体として、例えば、多官能重合性単量体[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミドなど]を使用してもよい。さらに [エポキシ基含有単量体[グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグリシジルエーテル、1−アリルオキシ−3,4−エポキシブタン、1−(3−ブテニルオキシ)−2,3−エポキシプロパン、4−ビニル−1−シクロヘキセン−1,2−エポキシドなど]、メチロール基含有単量体又はその誘導体[N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのN−C1〜C14アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチロール(メタ)アクリルアミドなど]などを使用してもよい。
【0028】
これらの重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0029】
また本発明のトナーの製造方法においては、必要に応じて重合終了後、系から開始剤に含まれる希釈溶剤等の除去を目的とした蒸留除去工程を適宜用いることができる。
【0030】
更に、トナー粒子の帯電量を調節するために、シリカ、チタン、アルミナ等の一般的な無機微粒子や有機微粒子を用いてもよい。
【0031】
以下、製造例をもって本発明をされに詳細に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。また実施例に記載されている「部」は全て質量部を意味する。
【実施例1】
【0032】
(トナーの合成例1)
カーボンブラック(デグサ社:Nipex35;pH=9)7質量部と銅フタロシアニン5質量部、スチレン単量体97質量部およびn−ブチルアクリレート単量体3質量部を投入し単量体組成物を調製した。
【0033】
マスターバッチ分散液をアトライターより取り出し、これに開始剤として日本油脂社製ナイパーBW(10時間半減期温度:73.6度)5部を溶解させ、単量体組成物を調整した。
【0034】
一方イオン交換水710部に、0.1mol/リットルのNa3PO4水溶液430部を投入し、60℃に加温した後、上記単量体組成物をTKホモミキサーを用いて12,000rpmで10分間攪拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、反応容器に移し、パドル攪拌翼で120rpmの攪拌下において、60℃で5時間、更に80℃で5時間の重合を行った。上記の重合の終了後、スラリーを冷却し、塩酸を加えリン酸カルシウム化合物を溶解させた後、濾過、水洗、真空下で乾燥してカーボンブラックトナーを得た。
【0035】
日立製作所製S−4500形電界放出形走査型電子顕微鏡を用いて、トナーの5000倍の写真をとり、その写真から、累積300個以上になるように粒子径を測定し、数平均粒子径を算出したところ、6.2μmであった。また、この結果から、18μm以上のトナーの個数%を求めたところ0.2%であり、粒子の凝集が極めて少ないことが確認された。
【0036】
上記の方法で得られたトナー5質量部と、粒径40μmのフェライトコアにシリコーン樹脂をコートしてなるキャリア粒子95質量部とを混合することによって2成分系現像剤を調製し、更に、上記の現像剤を使用し、温度25℃、湿度30%Rhの環境下で、キヤノン製フルカラーレーザーコピア複写機CLC700改造機を用いて画像を形成したところ、良好な画像がえられた。
【実施例2】
【0037】
実施例1で銅フタロシアニン5部を用いたのをテトラフェニルポルフィン(東京化成)3部に変え、開始剤がナイパーPW5部であったのを日本油脂社製パーブチルPV(10時間半減期温度54.6℃)に変えた以外は同様にしてブラックトナーを調製した。実施例1と同様に数平均粒子径を測定したところ7.1μmであった。また18μm以上のトナーの個数%は0.5%であり比較的少ない量であった。実施例1と同様に画だしを行ったところ良好な画が得られた。
【実施例3】
【0038】
実施例1で重合補助剤として銅フタロシアニン5部を用いたのをクロロフィル7部(東京化成)に変え、開始剤として過酸化ベンゾイル5部であったのを、日本油脂社性パーブチルI(10時間半減期温度:98.7度)に変えた以外は同様にしてブラックトナーを調製した。実施例1と同様に数平均粒子径を測定したところ5.9μmであった。また18μm以上のトナーの個数%は0.1%であり少ない量であった。実施例1と同様に画だしを行ったところ良好な画が得られた。
【実施例4】
【0039】
実施例1の単量体組成物調製の際に銅フタロシアニン5部を入れたのを、カーボンブラックのみで調整した。ついで、実施例1の開始剤を溶解させる工程において、開始剤としてナイパーPW5部を溶解したのを、開始剤を日本油脂社製パーブチルIB(10時間半減期温度:77.3度)、さらに重合補助剤として鉄フタロシアニン5部を加えた。それ以外は同様にしてブラックトナーを調整した。実施例1と同様に数平均粒子径を測定したところ8.9μmであった。また18μm以上のトナーの個数%は0.8%であり比較的少ない量であった。実施例1と同様に画だしを行ったところ良好な画が得られた。
【実施例5】
【0040】
実施例1においてカーボンブラックとしてNipex35を用いたのをNipex150(デグサ社:pH=4)に変え、さらに重合補助剤として銅フタロシアニンを用いたのをフタロシアニン(東京化成)に変えた以外は同様にしてブラックトナーを作成した。実施例1と同様に数平均粒子径を測定したところ7.5μmであった。また18μm以上のトナーの個数%は0.3%であり比較的少ない量であった。実施例1と同様に画だしを行ったところ若干濃度が薄いものの良好な画が得られた。
【0041】
(比較例1)
(比較トナーの合成例1)
実施例1で銅フタロシアニンを添加しない以外は同様にしてトナーを製造した。その結果、重合が進まず、粒子を得ることができなかった。
【0042】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも着色剤としてカーボンブラックおよび重合性単量体を含有する単量体組成物を水系媒体中で懸濁重合することによってトナーを製造する製造方法において、開始剤として過酸化物を用い、かつ該単量体組成物に少なくとも1種のポルフィン骨格またはポルフィン類似骨格を有する重合補助剤を含有させることを特徴とするトナーの製造方法。
【請求項2】
重合補助剤がフタロシアニン骨格であることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
【請求項3】
過酸化物開始剤に対して10質量%〜200質量%の重合補助剤を添加することを特徴とする請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
【請求項4】
過酸化物の添加量が単量体に対して7質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項5】
重合補助剤の一次粒径が500nm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項6】
過酸化物の10時間半減期温度が150℃以下であることを特徴とする1乃至5のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項7】
カーボンブラックのpHが7以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項8】
過酸化物が非芳香族系であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のトナーの製造方法によって製造されたトナー。

【公開番号】特開2006−30373(P2006−30373A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205949(P2004−205949)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】