説明

トランクピストンエンジン用潤滑油組成物

【課題】トランクピストンエンジン用の潤滑油組成物を提供する。
【解決手段】(a)主要量の、少なくとも一種のIII種基材油、少なくとも一種のIV種基材油、およびそれらの混合物からなる群より選ばれる基材油;(b)少なくとも一種の清浄添加剤;および(c)少なくとも一種の分散添加剤を少なくとも含むトランクピストンエンジン用潤滑油組成物であって、そのトランクピストンエンジン用潤滑油組成物中の上記の少なくとも一種の分散添加剤の濃度が、潤滑油組成物の全質量に基づき有効量基準で少なくとも約0.1質量%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にトランクピストンエンジン用潤滑油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
トランクピストンエンジンは、様々な種類や品質のディーゼル燃料および重油を用いて運転される。これらの燃料は通常、アスファルテン、すなわち一般に最も重質で最も極性が強い石油の留分を高濃度で含有している。アスファルテンは、アルキル側鎖を含む多環芳香族シートの構造を含むと考えられている非常に複雑な化合物であり、一般に潤滑油には不溶性である。重油と従来の潤滑油組成物がトランクピストンエンジンの様々な温度領域で混ざり合うと、黒スラッジ(例えば、アスファルテン堆積物もしくは他の堆積物)や、他のアスファルテン誘導堆積物(例えば、アンダークラウン堆積物)を生成しがちである。黒スラッジもしくは堆積物の生成は、トランクピストンエンジンの定期点検期間と維持費とに悪影響を及ぼす可能性がある。それゆえ、これらの潤滑剤の性能面では、残油との相溶性が重要である。
【0003】
今日、世界の様々な地域の産業において、トランクピストンエンジン油のI種基材油をII種基材油で置き換えようとする動きがある。II種基材油は一般にI種基材油よりも芳香族含量が少なく、その結果、I種基材油ではなくII種以上の基材油をトランクピストンエンジン用潤滑油に使用すると、(残油としても知られている)重油との相溶性の低下をもたらす。この重油相溶性の低下は、I種基材油に比べてII種以上の基材油ではアスファルテンの溶解度がずっと低いことに起因すると考えられる。概して重油相溶性の低下の問題は、代表的には、清浄剤を含有するトランクピストンエンジン用潤滑油添加剤パッケージの量を増やすことによって対応している。
【0004】
重油で作動するトランクピストンエンジン内で改善された性能を示す潤滑油組成物を開発するために、多くの試みがなされている。例えば、特許文献1は、潤滑粘度の油、過塩基性金属清浄剤、および耐摩耗添加剤を含み、分散剤を含まない潤滑油組成物を開示しており、上記組成物が当該成分による分散効果を実質的に示さない場合には、上記組成物は少量の分散剤を含むことができるとしている。
【0005】
同様に、特許文献2は、潤滑粘度の油、過塩基性金属清浄剤、および耐摩耗添加剤を含み、分散剤を含まない潤滑油組成物を開示しており、上記組成物は、分散剤を1質量%以下ならば含むことができるとしている。
【0006】
特許文献3は、(a)II種基材油および(b)塩基度指数が2未満である中性もしくは過塩基性の金属炭化水素置換ヒドロキシベンゾエート清浄剤を含む潤滑油組成物を開示している。特許文献3は、さらに塩基度指数が2未満である中性もしくは過塩基性の金属サリチレート清浄剤がII種基材油におけるアスファルテン分散性を改善することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1154012号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1209218号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0093387号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、改善された重油相溶性を示すことのできる、改善されたトランクピストンエンジン用潤滑油組成物を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの態様では、(a)主要量の、少なくとも一種のIII種基材油、少なくとも一種のIV種基材油、およびそれらの混合物からなる群より選ばれる基材油;(b)少なくとも一種の清浄添加剤;および(c)少なくとも一種の分散添加剤を含み、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物における上記少なくとも一種の分散添加剤の濃度が、該潤滑油組成物の全質量に基づき活量(有効量)基準で少なくとも約0.1質量%であるトランクピストンエンジン用潤滑油組成物が提供される。
【0010】
本発明の第二の態様では、(a)主要量の、ASTM D3238−95(2005)の試験方法により決定される少なくとも約70%のパラフィン系炭素量を有する少なくとも一種のIII種基材油;(b)少なくとも一種の清浄添加剤;および(c)少なくとも一種の分散添加剤を含み、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物における上記少なくとも一種の分散添加剤の濃度が、該潤滑油組成物の全質量に基づき活量基準で少なくとも約0.1質量%であるトランクピストンエンジン用潤滑油組成物が提供される。
【0011】
本発明の第三の態様では、トランクピストンエンジンの潤滑を、(a)主要量の、少なくとも一種のIII種基材油、少なくとも一種のIV種基材油、およびそれらの混合物からなる群より選ばれる基材油;(b)少なくとも一種の清浄添加剤;および(c)少なくとも一種の分散添加剤を含み、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物における上記少なくとも一種の分散添加剤の濃度が、該潤滑油組成物の全質量に基づき活量基準で少なくとも約0.1質量%であるトランクピストンエンジン用潤滑油組成物を用いて実施して、トランクピストンエンジンにおける黒スラッジおよび堆積物の生成を低減させるための方法が提供される。
【0012】
本発明の第四の態様では、トランクピストンエンジンの作動を、(a)主要量の、少なくとも一種のIII種基材油、少なくとも一種のIV種基材油、およびそれらの混合物からなる群より選ばれる基材油;(b)少なくとも一種の清浄添加剤;および(c)少なくとも一種の分散添加剤を含み、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物における上記少なくとも一種の分散添加剤の濃度が、潤滑油組成物の全質量に基づき活量基準で少なくとも約0.1質量%であるトランクピストンエンジン用潤滑油組成物を用いて行なう方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
驚くべきことに、少なくとも一種のIII種基材油および/または少なくとも一種のIV種基材油を含むトランクピストンエンジン用潤滑油組成物において、少なくとも一種の分散添加剤を活量基準で少なくとも約0.1質量%使用することによって、アスファルテンの堆積による、特にアルキル置換ヒドロキシベンゾエート清浄剤の化学変化に基づくトランクピストンエンジン油における堆積物が減少することが見出された。I種およびII種基材油において観察されることとは対照的に、高い分散剤濃度においても、分散剤濃度の増加に伴って、堆積物の減少がより顕著になる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に関し、(a)主要量の、少なくとも一種のIII種基材油、少なくとも一種のIV種基材油、およびそれらの混合物からなる群より選ばれる基材油;(b)少なくとも一種の清浄添加剤;および(c)少なくとも一種の分散添加剤を含み、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物における上記少なくとも一種の分散添加剤の濃度が、該潤滑油組成物の全質量に基づき活量基準で少なくとも約0.1質量%であるトランクピストンエンジン用潤滑油組成物を提供する。
【0015】
本明細書が開示する発明内容の理解を容易にするため、本明細書が使用する用語、略語、そして他の簡略表記の多くを、以下に定義する。定義されていない用語、略語そして簡略表記は、いずれも、この出願が提出された時期に当業者によって使用されている通常の意味を有する。
【0016】
本明細書において使用する「主要量」との用語は、潤滑油組成物における基油の濃度が少なくとも約40質量%であることを意味する。ある態様では、「主要量」は、潤滑油組成物における基油の濃度が少なくとも約50質量%であることを意味する。別の態様では、「主要量」は、潤滑油組成物における基油の濃度が少なくとも約60質量%であることを意味する。さらに別の態様では、「主要量」は、潤滑油組成物における基油の濃度が少なくとも約70質量%であることを意味する。さらにまた別の態様では、「主要量」は、潤滑油組成物における基油の濃度が少なくとも約80質量%であることを意味する。別の態様では、「主要量」は、潤滑油組成物における基油の濃度が少なくとも約90質量%であることを意味する。
【0017】
「有効量(活量)基準」との用語とは、全てのトランクピストンエンジン用潤滑油組成物において、特定の添加剤の濃度もしくは量を定義する際に、その特定の添加剤の活性成分のみを考慮することを意味する。希釈剤および当該添加剤の他の不活性成分、例えば希釈油は、いずれも除外される。別に定義する場合を除き、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に関する記載において、一種以上の分散添加剤について本明細書が示す濃度は、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物における分散剤の(希釈油のような分散添加剤における不活性成分ではない)濃度を意味する。
【0018】
「トランクピストンエンジン油」との用語は、トランクピストンエンジンのクランクケースとシリンダとの双方を潤滑するために使用される油である。「トランクピストン」との用語は、ピストンのスカートもしくはトランクを意味する。トランクピストンは、クロスヘッド・スリッパが圧力をクロスヘッドガイドに伝える場合と同じ方法で、連接棒の角により生じた圧力をシリンダライナの側に伝える。トランクピストンエンジンは、一般に中速(約250乃至約1000rpm)の4ストローク圧縮点火(ディーゼル)エンジンである。従って、本明細書に記載するトランクピストンエンジン用潤滑油組成物とトランクピストンエンジン油(TPEO)と(まとめて「潤滑油組成物」)は、4ストロークのトランクピストンエンジンもしくは4ストロークのディーゼル舶用エンジンのような、任意のトランクピストンエンジンもしくは圧縮点火(ディーゼル)舶用エンジンを潤滑下に運転するために使用される。
【0019】
一般的に、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物で使用するための基油には、一種以上のIII種基材油および/または一種以上のIV種基材油が含まれる。III種基材油および/またはIV種基材油は、API公報1509、14版、1996年(すなわち、乗用車用モーター油およびディーゼルエンジン油に関するAPI基油の互換性ガイドライン)で定義される通り、潤滑粘度の石油誘導基材油であってもよい。上記公報は、その全てを参照用として、本明細書の記載とする。APIガイドラインは、基材油を、異なる様々な工程を用いて製造できる潤滑成分として定義している。III種基材油は一般に、0.03質量%以下の(ASTM D2270により決定される)全硫黄量、90質量%以上の(ASTM D2007により決定される)飽和物含有量、および120以上の(ASTM D4294、ASTM D4297、もしくはASTM D3120により決定される)粘度指数(VI)を有する。ある態様では、上記基材油がIII種基材油もしくは二種類以上の異なるIII種基材油の配合物である。
【0020】
一般的に、石油から誘導されるIII種基材油は、厳密に水素化処理した鉱物油である。水素化処理は、水素を基材油に反応させて処理することを含み、それにより炭化水素からヘテロ原子を除き、オレフィン類と芳香族とをそれぞれアルカン類とシクロパラフィン類とに還元し、さらに非常に厳密な水素化処理では、ナフテン環構造を非環状直鎖およびイソアルカン類(「パラフィン類」)まで開環させる。ある態様では、III種基材油は少なくとも約70%のパラフィン系炭素量(%C)を有し、これはASTM D3238−95(2005)の試験方法「n−d−M法により石油の炭素分布を計算し構造基を分析するための標準試験方法」により決定される。別の態様では、III種基材油は少なくとも約72%のパラフィン系炭素量(%C)を有する。別の態様では、III種基材油は少なくとも約75%のパラフィン系炭素量(%C)を有する。別の態様では、III種基材油は少なくとも約78%のパラフィン系炭素量(%C)を有する。別の態様では、III種基材油は少なくとも約80%のパラフィン系炭素量(%C)を有する。別の態様では、III種基材油は少なくとも約85%のパラフィン系炭素量(%C)を有する。
【0021】
別の態様では、III種基材油は約25%以下のASTM D3238−95(2005)により決定されるナフテン系炭素量(%C)を有する。別の態様では、III種基材油は約20%以下のナフテン系炭素量(%C)を有する。別の態様では、III種基材油は約15%以下のナフテン系炭素量(%C)を有する。別の態様では、III種基材油は約10%以下のナフテン系炭素量(%C)を有する。
【0022】
多くの市販のIII種基材油(例、シェブロンUCBO基材油;ユーコンYubase基材油;シェルXHVITM基材油;およびエクソンモービルExxsynTM基材油)が利用できる。
【0023】
ある態様では、本発明で使用するためのIII種基材油は、フィッシャー−トロプシュ誘導基油である。「フィッシャー−トロプシュ誘導」との用語において、生成物、留分、もしくは原料油は、フィッシャー−トロプシュ法において種々の段階にて生成する。例えば、フィッシャー−トロプシュ基油は、原料油がフィッシャー−トロプシュ合成から回収されるワックス状原料油である処理によって生成する(例えば、米国特許出願公開第2004/0159582号、同第2005/0077208号、同第2005/0133407号、同第2005/0133409号、同第2005/0139513号、同第2005/0139514号、同第2005/0241990号、同第2005/0261145号、同第2005/0261146号、同第2005/0261147号、同第2006/0016721号、同第2006/0016724号、同第2006/0076267号、同第2006/013210号、同第2006/0201851号、同第2006/020185号、および同第2006/0289337号;米国特許第7018525号および同第7083713号;並びに米国特許出願番号第11/400570号、同第11/535165号、および同第11/613936号の各明細書を参照)。上記各明細書は、参照用として本明細書の記載とする。一般的に、上記の処理は完全もしくは部分的な水素異性化脱ワックス工程を含み、二機能触媒もしくは選択的にパラフィン類を異性化できる触媒を用いる。水素異性化による脱ワックスは、水素異性化条件下の異性化ゾーン内でワックス状原料油を水素異性化触媒に接触させることにより実施される。
【0024】
フィッシャー−トロプシュ合成による生成物は、例えば、市販のSASOLTMスラリー相フィッシャー−トロプシュ技術、市販のシェルTM中度留出物の合成(SMDS)方法、もしくは市販されていないがエクソンTMアドバンスド・ガス変換(AGC−21)方法のような良く知られている処理により得ることができる。これらの方法その他の詳細は、例えば、国際公開第9934917号、同第9920720号、および同第05107935号;欧州特許出願公開第776959号および同第668342号;米国特許第4943672号、同第5059299号、および同第5733839号;米国再発行特許発明第39073号;並びに米国特許出願公開第2005/0227866号の各明細書に記載されている。フィッシャー−トロプシュ合成による生成物は、1乃至約100の炭素原子を有するか、場合によっては100を超える炭素原子を有する炭化水素を含むことがあり、一般にパラフィン類、オレフィン類、および酸素添加生成物が含まれる。
【0025】
別の態様では、基油は、少なくとも一種のIV種基材油もしくはポリアルファオレフィン(PAO)である。PAOは、一般に低分子量のアルファオレフィン類(例、少なくとも6の炭素原子を含むアルファオレフィン類)のオリゴマー化によって製造される。ある態様では、アルファオレフィン類は10の炭素原子を含むアルファオレフィン類である。PAOは、必要とされる最終的な基材油の粘度に基づき正確に混合される二量体、三量体、四量体等の混合物である。PAOは、オリゴマー化後に一般に水素化され、残存する不飽和物は全て除かれる。
【0026】
ある態様では、本発明で使用するための基油は、二種類以上、三種類以上、もしくはさらに四種類以上の異なる分子量および粘度を有するIII種基材油および/またはIV種基材油の配合物もしくは混合物であってもよい。配合物は、例えば、以下に述べる粘度およびTBN値のような、トランクピストンエンジンにおける使用に適した性質を有する基油を創り出すために適切な任意の方法によって処理することができる。
【0027】
必要な場合には、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物は、III種もしくはIV種基材油以外の基材油、例えばI種基材油および/またはII種基材油を少量含むことができる。
【0028】
本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物は、トランクピストンエンジンにおける使用に適した任意の全塩基価(TBN)を持つことができる。「全塩基価」もしくは「TBN」の用語は、試料1g中のミリグラム単位のKOHと当量になる塩基の量を意味する。すなわち、より大きなTBN数は、より多くのアルカリ性生成物およびそれにより示されるアルカリ度が大きいことを反映している。トランクピストンエンジン用潤滑油組成物のTBNは、ASTM D2896のような任意の適切な方法で測定できる。一般的に、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物は、少なくとも約12のTBNを持つ。ある態様では、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物は、約20乃至約60のTBNを持つ。別の態様では、本発明のトランクピストン・エンジン潤滑油組成物は、約30乃至約50のTBNを持つ。
【0029】
本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物は、トランクピストンエンジンにおける使用に適した任意の粘度を有することができる。一般に、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物は、100℃において約5乃至約25センチストローク(cSt)の範囲の粘度を有する。ある態様では、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物は、100℃において約10乃至約20cStの範囲の粘度を有する。トランクピストンエンジン用潤滑油組成物の粘度は、任意の適切な方法(例えばASTM D2270)によって測定できる。
【0030】
本発明のトランクピストン・エンジン潤滑油組成物は、一種以上の清浄剤を含むことがある。清浄剤は、任意の過塩基性もしくは中性の清浄剤であってもよい。ある態様では、清浄剤は、過塩基性アルキルヒドロキシベンゾエート清浄剤(例、過塩基性アルキル置換ヒドロキシ安息香酸の過塩基性金属塩清浄剤)その他およびそれらの混合物のようなアルキル置換ヒドロキシ安息香酸の塩である。一般に、過塩基性清浄剤は、塩基源(例、生石灰)および酸性過塩基化化合物(例、二酸化炭素)の添加のような方法により、添加剤のTBNを増加させた任意の清浄剤である。
【0031】
ある態様では、アルキル置換ヒドロキシ安息香酸の塩からなる清浄剤もしくはアルキル置換ヒドロキシ安息香酸のアルキル基のような清浄剤中に含まれるアルキル基の少なくとも約75モル%(例、少なくとも約80モル%、少なくとも約85モル%、少なくとも約90モル%、少なくとも約95モル%、もしくは少なくとも約99モル%)がC20以上である。別の態様では、清浄剤はアルキル置換ヒドロキシ安息香酸から誘導されるアルキル置換ヒドロキシ安息香酸の塩であって、上記アルキル基は少なくとも75モル%のC20以上の直鎖状アルファオレフィン類を含む直鎖状アルファオレフィン類の残基である。必要とされる場合、アルキル置換ヒドロキシ安息香酸の塩(例、過塩基性塩)は、アルキル置換ヒドロキシ安息香酸のアルカリ土類(例、カルシウムもしくはマグネシウム)塩である。
【0032】
別の態様では、一種以上の清浄剤は、アルキル置換ヒドロキシ安息香酸とアルキル置換フェノールとの混合物の過塩基性塩(例えば、過塩基性アルカリ土類金属塩)である。別の態様では、一種以上の清浄剤は、アルキル置換ヒドロキシ安息香酸の過塩基性塩および/またはアルキル置換フェノールの過塩基性塩を、アルキル置換ヒドロキシ安息香酸およびアルキル置換フェノールの一種以上の非過塩基性塩と組み合わせたものである。別の態様では、一種以上の清浄剤は、他の過塩基性塩(清浄剤の塩以外)を含まないアルキル置換ヒドロキシ安息香酸の過塩基性塩である。この点に関して、清浄剤は、アルキルヒドロキシベンゾエート(もしくはアルキル置換ヒドロキシ安息香酸の塩)と会合するアニオン(例、有機アニオン)を任意の適切な濃度で含むことができる。
【0033】
別の態様では、アルキル置換ヒドロキシ安息香酸の塩からなる清浄剤もしくはアルキル置換ヒドロキシ安息香酸のアルキル基のような清浄剤中に含まれるアルキル基の少なくとも約50モル%(例、少なくとも約60モル%、少なくとも約70モル%、少なくとも約80モル%、少なくとも約85モル%、少なくとも約90モル%、少なくとも約95モル%、もしくは少なくとも約99モル%)が約C14乃至約C18である。
【0034】
適切な金属清浄剤の代表的な例は、限定される訳ではないが、硫化もしくは非硫化アルキルもしくはアルケニルフェネート、アルキルもしくはアルケニル芳香族スルホネート、ホウ素化スルホネート、硫化もしくは非硫化多価ヒドロキシアルキルもしくはアルケニル芳香族化合物の金属塩、アルキルもしくはアルケニルヒドロキシ芳香族スルホネート、硫化もしくは非硫化硫黄アルキルもしくはアルケニルナフテネート、アルカン酸の金属塩、アルキルもしくはアルケニル多価酸の金属塩、その他、およびそれらの混合物を含む。金属清浄剤の他の限定されない例は、限定される訳ではないが金属スルホネート、フェネート、サリチレート、ホスホネート、チオホスホネート、およびそれらの組合せを含む。上記金属は、スルホネート、フェネート、サリチレート、もしくはホスホネート清浄剤を製造するために適した金属にすることができ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属その他である。そのような金属の例は、Ca、Mg、Ba、K、Na、Liその他を含む。ある態様では、清浄剤を製造するために適した金属は、CaもしくはMgのようなアルカリ土類金属である。別の態様では、清浄剤を製造するために適した金属は、Caである。
【0035】
ある態様では、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物は、アルキル置換ヒドロキシ安息香酸の塩でない清浄剤を含まない。ある態様では、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物は、スルホン酸の塩を含まない。別の態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物は、アルキル置換ヒドロキシ安息香酸の塩でないアルキルフェノール清浄剤を含まない。別の態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物は、サリチレート起源の清浄剤を含まない。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物の清浄剤は、アルキルフェネートを含まない。
【0036】
一般に、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物中に存在する清浄剤の量は、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物の全質量に基づいて、約0.1質量%乃至約35質量%の範囲内にする。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物中に存在する清浄剤の量は、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物の全質量に基づいて、約0.25質量%乃至約25質量%の範囲内にする。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物中に存在する清浄剤の量は、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物の全質量に基づいて、約0.5質量%乃至約20質量%の範囲内とする。
【0037】
トランクピストンエンジン用潤滑油組成物の「石鹸分」は、組成物中での一種以上の清浄剤の生成に寄与した界面活性剤アニオン、例えば、アルキルヒドロキシベンゾエートアニオンの濃度を意味する。本発明の目的のため、界面活性剤の濃度は、kg単位の油当たりミリモル単位の界面活性剤により記載する。石鹸濃度は、公知技術(例、滴定、液体クロマトグラフィー、透析、その他)もしくは米国特許第5558802号明細書の開示内容によって定義することができる。ある態様では、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物中での石鹸分は、kg単位のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物を基準として約250ミリモル単位(ミリモル/kg)未満である。別の態様では、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物中の石鹸分は、約230ミリモル/kg未満とする。別の態様では、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物中の石鹸分は、約200ミリモル/kg未満とする。当業者が容易に認識しているように、石鹸分は単一の清浄剤もしくは清浄剤の混合物から得られる。
【0038】
トランクピストンエンジン用潤滑油組成物は、本発明で使用するため任意の状態であってもよい一種以上の分散添加剤(「分散剤」)も含むことができる。ある態様では、分散剤は、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物において、任意の適切な分散剤および希釈油(例えば、任意のI種油、II種油、もしくはそれらの混合物)を任意の適切な処理で用いて、分散物または懸濁液の状態で混合もしくは配合される。ある態様では、希釈油はトランクピストンエンジン用潤滑油組成物の基油(例、I種基材油)とは異なる油である。別の態様では、希釈油はトランクピストンエンジン用潤滑油組成物の基油と同じ油である。
【0039】
分散剤は、任意の最適な分散剤のみであっても、複数の分散剤の混合物であってもよい。無灰分散剤の例は、限定される訳ではないが、ポリアルキレンコハク酸無水物;ポリアルキレンコハク酸無水物の窒素不含誘導体;コハク酸イミド、カルボン酸アミド、炭化水素モノアミン、炭化水素ポリアミン、マンニッヒ塩基、ホスホノアミド、およびホスホルアミドからなる群より選ばれる塩基性窒素化合物;トリアゾール(例、アルキルトリアゾールおよびベンゾトリアゾール);カルボキシレートエステルを一種以上の追加の極性官能基(アミン、アミド、イミン、イミド、ヒドロキシル、カルボキシル、その他を含む)と共に含む共重合体(例、長鎖アルキルアクリレートもしくはメタクリレートと上記官能基のモノマーとの共重合により製造される生成物);その他、およびそれらの混合物を含む。これらの分散剤の誘導体(例、ホウ素化コハク酸イミドのようなホウ素化分散剤)も使用できる。これらの分散剤および他の適した分散剤は、モルチェ(Mortier)他、「潤滑剤の化学および技術」第2版、ロンドン、スプリンガー社、第3章、86〜90頁(1996年);およびレスリー・アール・ルドニック、「潤滑添加剤:化学および応用」ニューヨーク、マーセル・デッカー社、第5章、137〜170頁(2003年)に記載されており、いずれの記載も、それらの全てを参照用として、本明細書の記載とする。
【0040】
ある態様では、分散剤はコハク酸イミドもしくはその誘導体である。別の態様では、分散剤は、ポリイソブテニルコハク酸無水物(PIBSA)とポリアミンとの反応により得られるコハク酸イミドもしくはその誘導体である。別の態様では、分散剤は、PIBSAとポリアミンとの反応により得られ、PIBSAがポリブテンとマレイン酸無水物から(例えば、塩素もしくは塩素原子含有化合物のいずれも使用しない熱反応法により)製造されるコハク酸イミドもしくはその誘導体である。
【0041】
別の態様では、分散剤は、PIBSAと一種以上のアルキレンポリアミンとの間の縮合反応によるコハク酸イミドの反応生成物である。PIBSAは、この態様において、高メチルビニリデンポリイソブテン(PIB)とマレイン酸無水物との熱反応生成物であってもよい。ある態様では、分散剤は、主に約500乃至約3000の数平均分子量(Mn)を有するPIBから誘導されるビスコハク酸イミドの反応生成物である。ある態様では、PIBは約700乃至2700のMnを有する。別の態様では、分散剤は、主に少なくとも約600、少なくとも約800、少なくとも約1000、少なくとも約1100、少なくとも約1200、少なくとも約1300、少なくとも約1400、少なくとも約1500、少なくとも約1600、少なくとも約1700、少なくとも約1800、少なくとも約1900、少なくとも約2000、少なくとも約2100、少なくとも約2200、少なくとも約2300、少なくとも約2400、少なくとも約2500、少なくとも約2600、少なくとも約2700、少なくとも約2800、少なくとも約2900、もしくは少なくとも約3000のMnを有するPIBから誘導されるビスコハク酸イミドの反応生成物である。
【0042】
別の態様では、分散剤は、主に約1000MnのPIBから誘導されるビスコハク酸イミドの反応生成物であり、引き続きホウ素化され、コハク酸イミドにおいて約0.1乃至約3質量%のホウ素濃度を実現する。別の好ましい態様において、分散剤は、主に約1300MnのPIBから誘導されるビスコハク酸イミドの反応生成物であり、引き続きホウ素化され、コハク酸イミドにおいて約0.1乃至約3質量%のホウ素濃度を実現する。別の態様では、分散剤は、主に約2300MnのPIBから誘導されるビスコハク酸イミドの反応生成物であり、引き続きエチレンカーボネートと反応させる。
【0043】
分散剤は、高分子量のアルケニルもしくはアルキル置換コハク酸無水物とモル当たり4乃至10の窒素原子(平均値)もしくは5乃至7の窒素原子(平均値)を有するポリアルキレンポリアミンとの反応により製造されるコハク酸イミドであってもよい。アルケニルもしくはアルキルコハク酸イミド化合物のアルケニルもしくはアルキル基は、このような観点から、約900乃至3000の数平均分子量を有するポリブテンから誘導できる。ある態様では、ポリブテニルコハク酸無水物の製造のため、ポリブテンとマレイン酸無水物との間の反応を、塩素を用いる塩化処理により実施できる。従って、ある態様では、ポリブテニルコハク酸無水物から製造されるポリブテニルコハク酸イミドと同様に、結果として得られるポリブテニルコハク酸無水物は、おおよそ2000乃至3000ppm(質量)の範囲に塩素含量を有する。対照的に、塩素を使用しない熱処理は、30ppm(質量)未満程度の範囲の塩素含量を有するポリブテニルコハク酸無水物とポリブテニルコハク酸イミドとを生じる。それゆえ、熱処理により製造されるコハク酸無水物から誘導されるコハク酸イミドが、ある態様ではトランクピストンエンジン用潤滑油組成物における塩素含量が少量になるため、好ましい。
【0044】
別の態様では、分散剤は、ホウ酸、アルコール、アルデヒド、ケトン、アルキルフェノール、環状カーボネート(例、エチレンカーボネート)、有機酸、コハク酸アミド、コハク酸エステル、コハク酸エステル−アミド、ペンタエリスリトール、フェネート−サリチレート、それらの後処理剤の類似物その他、およびそれらの組合せから選ばれる化合物で後処理された変性アルケニルもしくはアルキルコハク酸イミドを含む。好ましい変性コハク酸イミドは、ホウ酸もしくはホウ素含有化合物で後処理されたアルケニルもしくはアルキル−コハク酸イミドのようなホウ素化アルケニルもしくはアルキルコハク酸イミドである。別の態様では、分散剤は、後処理されていないアルケニルもしくはアルキルコハク酸イミドを含む。
【0045】
本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.1質量%よりも多く、例えば、潤滑油組成物の全質量に基づき活量基準で約0.1質量%乃至約5質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.1質量%乃至約4質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.1質量%乃至約3質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.1質量%乃至約2質量%である。
【0046】
別の態様では、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.2質量%よりも多く、例えば、潤滑油組成物の全質量に基づいて活量基準で約0.2質量%乃至約5質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.2質量%乃至約4質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.2質量%乃至約3質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.2質量%乃至約2質量%である。
【0047】
別の態様では、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.3質量%よりも多く、例えば、潤滑油組成物の全質量に基づき活量基準で約0.3質量%乃至約5質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.3質量%乃至約4質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.3質量%乃至約3質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.3質量%乃至約2質量%である。
【0048】
別の態様では、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.5質量%よりも多く、例えば、潤滑油組成物の全質量に基づき活量基準で約0.5質量%乃至約5質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.5質量%乃至約4質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.5質量%乃至約3質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.5質量%乃至約2質量%である。
【0049】
別の態様では、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.7質量%よりも多く、例えば、潤滑油組成物の全質量に基づき活量基準で約0.7質量%乃至約5質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.7質量%乃至約4質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.7質量%乃至約3質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約0.7質量%乃至約2質量である。
【0050】
ある態様では、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約1質量%よりも多く、例えば、潤滑油組成物の全質量に基づき活量基準で約1質量%乃至約5質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約1質量%乃至約4質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約1質量%乃至約3質量%である。ある態様では、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に含まれる一種以上の分散剤の量は、活量基準で約1質量%乃至約2質量%である。
【0051】
本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物は、トランクピストンエンジン用潤滑油を製造する当業者に知られている任意の方法で製造できる。その成分は、任意の順序で任意の方法により添加できる。成分を配合、混合、もしくは溶解するため、任意の適切な混合もしくは分散器具を使用できる。配合、混合、もしくは溶解は、ブレンダー、アジテーター、ディスパーザー、ミキサー(例、プラネタリーミキサーおよびダブルプラネタリーミキサー)、ホモジナイザー(例、ゴーリンホモジナイザーもしくはラニーホモジナイザー)、ミル(例、コロイドミル、ボールミル、もしくはサンドミル)、またはこの技術で知られているその他の混合もしくは分散器具で実施できる。
【0052】
本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物は、任意の機能を与えるための従来のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物の添加剤も含むことができ、これにより、これらの添加剤が分散もしくは溶解している最終的なトランクピストンエンジン用潤滑油組成物が得られる。例えば、トランクピストンエンジン用潤滑油組成物に、酸化防止剤、耐摩耗剤、錆止め剤、曇り除去剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、摩擦緩和剤、流動点降下剤、消泡剤、補助溶媒、パッケージ混合剤、腐食防止剤、無灰分散剤、染料、極圧剤、その他、およびそれらの混合物を配合することができる。様々な添加剤が知られており、市販されている。これらの添加剤もしくはそれらの類似化合物は、通常の配合処理によって、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物の製造に使用できる。適切な添加剤のいくつかは、モルチェ(Mortier)他、「潤滑剤の化学および技術」第2版、ロンドン、スプリンガー社(1996年);およびレスリー・アール・ルドニック、「潤滑添加剤:化学および応用」ニューヨーク、マーセル・デッカー社(2003年)に記載されており、いずれの記載も参照のため、本明細書の記載とする。
【0053】
酸化防止剤の例は、限定される訳ではないが、アミン型、例えば、ジフェニルアミン、フェニル−アルファ−ナフチルアミン、N,N−ジ(アルキルフェニル)アミン類;およびアルキル化フェニレンジアミン類;フェノール系、例えば、BHT、立体障害のあるアルキルフェノール類、具体的には、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、および2,6−ジ−tert−ブチル−4−(2−オクチル−3−プロパン酸)フェノール;およびそれらの混合物を含む。
【0054】
耐摩耗剤の例は、限定される訳ではないが、ジアルキルジチオリン酸亜鉛およびジアリールジチオリン酸亜鉛、例えば「様々な潤滑の機構において幾つかのジアルキル−およびジアリール−ジチオリン酸金属の化学構造と効果との関係」との表題で潤滑の科学4−2、1992年1月号において公表(例えば97〜100頁参照)されたボーン(Born)外の文献に記載のもの;アリールリン酸および亜リン酸、硫黄含有エステル、リン硫黄化合物、金属もしくは灰を含有しないジチオカルバメート、キサンテート、硫化アルキル、その他、およびそれらの混合物を含む。
【0055】
錆止め剤の例は、限定される訳ではないが、非イオン性ポリオキシアルキレン剤(例、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、およびポリエチレングリコールモノオレエート);ステアリン酸および他の脂肪酸;ジカルボン酸;金属石鹸;脂肪酸アミン塩;重質スルホン酸の金属塩;多価アルコールの部分的なカルボン酸エステル;リン酸エステル;(短鎖)アルケニルコハク酸;それらの部分的なエステルおよびそれらの窒素含有誘導体;合成アルカリールスルホネート(例、金属ジノニルナフタレンスルホネート);その他、およびそれらの混合物を含む。錆止め剤の量は、約0.01質量%乃至約10質量%の範囲で変更することができる。
【0056】
摩擦緩和剤の例は、限定される訳ではないが、アルコキシル化脂肪族アミン;ホウ素化脂肪族エポキシド;脂肪族ホスファイト、脂肪族エポキシド、脂肪族アミン、ホウ素化アルコキシル化脂肪族アミン、脂肪酸の金属塩、脂肪酸アミド、グリセロールエステル、ホウ素化グリセロールエステル;脂肪族イミダゾリン(米国特許第6372696号明細書に開示されており、その内容は参照のため本明細書の記載とする);並びにC乃至C75、好ましくはC乃至C24、最も好ましくはC乃至C20の脂肪酸エステルとアンモニア、アルカノールアミン、その他、およびそれらの混合物からなる群より選ばれる窒素含有化合物との反応生成物から得られる摩擦緩和剤を含む。摩擦緩和剤の量は、約0.01質量%乃至約10質量%の範囲で変更することができる。
【0057】
消泡剤の例は、限定される訳ではないが、アルキルメタクリレートの重合体;ジメチルシリコーンの重合体、その他、およびそれらの混合物を含む。
【0058】
流動点降下剤の例は、限定される訳ではないが、ポリメタクリレート、アルキルアクリレート重合体、アルキルメタクリレート重合体、ジ(テトラパラフィンフェノール)フタレート、テトラパラフィンフェノールの縮合物、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、およびそれらの組合せを含む。ある態様では、流動点降下剤は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリアルキルスチレン、その他、およびそれらの組合せを含む。流動点降下剤の量は、約0.01質量%乃至約10質量%の範囲で変更することができる。
【0059】
抗乳化剤の例は、限定される訳ではないが、アニオン性界面活性剤(例、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、その他)、非イオン性アルコキシル化アルキルフェノール樹脂、アルキレンオキシドの重合体(例、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、およびエチレンオキシド、プロピレンオキシド、その他のブロック共重合体)、油溶性酸のエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、その他、およびそれらの組合せを含む。抗乳化剤の量は、約0.01質量%乃至約10質量%の範囲で変更することができる。
【0060】
腐食防止剤の例は、限定される訳ではないが、ドデシルコハク酸の半エステルもしくはアミド、リン酸エステル、チオホスフェート、アルキルイミダゾリン、サルコシン、その他、およびそれらの組合せを含む。腐食防止剤の量は、約0.01質量%乃至約5質量%の範囲で変更することができる。
【0061】
極圧剤の例は、限定される訳ではないが、硫化した動物もしくは植物の脂肪もしくは油、硫化した動物もしくは植物の脂肪酸エステル、全てもしくは部分的にエステル化した三価もしくは五価のリンの酸のエステル、硫化したオレフィン、ジヒドロカルビルポリスルフィド、硫化したディールス−アルダー付加物、硫化したジシクロペンタジエン、脂肪酸エステルとモノ不飽和オレフィンとの硫化もしくは共硫化した混合物、脂肪酸、脂肪酸エステル、およびアルファオレフィンの共硫化した配合物、官能基置換ジヒドロカルビルポリスルフィド、チアアルデヒド、チアケトン、エピチオ化合物、硫黄含有アセタール誘導体、テルペンおよび非環状オレフィンの共硫化した配合物、およびポリスルフィドオレフィン生成物、リン酸エステルもしくはチオリン酸エステルのアミン塩、その他、およびそれらの組合せを含む。極圧剤の量は、約0.01質量%乃至約5質量%の範囲で変更することができる。
【0062】
以上述べた添加剤をそれぞれ使用する場合は、潤滑剤に望ましい性質を与えるため機能的に有効な量で使用する。すなわち、例えば、添加剤が摩擦緩和剤である場合、この摩擦緩和剤の機能的な有効量は、必要とする摩擦機能を潤滑剤に付与するために充分な量である。一般に、これらの添加剤それぞれを使用する際の濃度は、別に特定する場合を除き、潤滑油組成物の全質量に基づき約0.001%乃至約20質量%、そしてある態様では約0.01%乃至約10質量%の範囲である。
【0063】
必要ならば、本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油添加剤は、添加剤パッケージもしくは濃縮物として提供でき、その中の添加剤は、実質的に不活性な通常は液体の有機希釈剤(その例としては、鉱物油、ナフサ、ベンゼン、トルエン、もしくはキシレン)に加えて、添加剤濃縮物を形成する。これらの濃縮物は、通常はそのような希釈剤を約20質量%乃至約80質量%含む。通常は100℃において約4乃至約8.5cStの粘度、そして好ましくは100℃において約4乃至約6cStの粘度を有する中性油を希釈剤として用いるが、添加剤および最終潤滑油と相溶性がある合成油、並びに他の有機液体も用いることができる。添加剤パッケージは、通常は上記のような一種以上の様々な添加剤を必要とされる量かつ少なくとも90質量%の飽和炭化水素および70未満の粘度指数と少なくとも約25質量%の環状脂肪族炭化水素含量とを有する基油を含む必要な量の基材油と直接組み合わせることを容易にする比率で含む。
【0064】
本発明のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物は、エンジン速度が毎分約200乃至約2000回転(rpm)、例えば約400乃至約1000rpmで、シリンダ当りの制動馬力(BHP)が約50乃至約5000、好ましくは約100乃至約3000、最も好ましくは約100乃至約2000である4ストロークのトランクピストンエンジンに使用するのに適していると言える。補助発電用途や陸上発電用途で用いられるエンジンにも適している。
【0065】
以下の限定的ではない実施例は、本発明を説明するものである。
【実施例】
【0066】
以下の基油を実施例において使用した:
【0067】
I種:主要量の、エクソンモービル社から入手できるCORETM600N基材油を含む基油。
【0068】
II種:主要量の、シェブロン社から入手できる600RII種基材油を含む基油。
【0069】
従来のIII種:主要量の、SKエナジー社から入手できるYubase8基材油を含む基油。
【0070】
GTLIII種:フィッシャー−トロプシュ法で誘導されるGTL1およびGTL2の二種類の基材油の混合物。
【0071】
IV種:主要量の、シェブロンフィリップスケミカル社から入手できるシンフルードTMPAO8基材油を含む基油。
【0072】
基材油の性質を下記表1に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
実施例において、以下の添加剤が使用されている。
【0075】
150TBNのC20+アルキル置換ヒドロキシベンゾエート:5.35質量%のCaを含み、TBNが150であり、アルキル基の少なくとも90モル%がC20以上であるアルキル置換ヒドロキシ安息香酸から誘導されるアルキル置換ヒドロキシ安息香酸のカルシウム塩を含む過塩基性カルシウムアルキルヒドロキシベンゾエート清浄剤の油濃縮物であって;米国特許出願公開第2007/0027043号明細書の実施例3に記載の方法に従い製造されている。
【0076】
350TBNのC20+アルキル置換ヒドロキシベンゾエート:12.5質量%のCaを含み、TBNが350であり、アルキル基の少なくとも90モル%がC20以上であるアルキル置換ヒドロキシ安息香酸から誘導されるアルキル置換ヒドロキシ安息香酸のカルシウム塩を含む過塩基性カルシウムアルキルヒドロキシベンゾエート清浄剤の油濃縮物であって;米国特許出願公開第2007/0027043号明細書の実施例1に記載の方法に従い製造されている。
【0077】
170TBNのC14乃至C18アルキル置換ヒドロキシベンゾエート:低分子量の過塩基性カルシウムアルキルヒドロキシベンゾエート清浄剤の市販の油濃縮物であって、上記清浄剤は主に、約6.0質量%のCaを含み、みかけのTBNが170であり、アルキル基の少なくとも95モル%がC14乃至C18であるアルキル置換ヒドロキシ安息香酸から誘導されるカルシウムアルキルヒドロキシベンゾエートを含むモノアルキル化ヒドロキシベンゾエート清浄剤からなる。
【0078】
280TBNのC14乃至C18アルキル置換ヒドロキシベンゾエート:低分子量の過塩基性カルシウムアルキルヒドロキシベンゾエート清浄剤の市販の油濃縮物であって、上記清浄剤は主に、約10質量%のCaを含み、みかけのTBNが280であり、アルキル基の少なくとも95モル%がC14乃至C18であるアルキル置換ヒドロキシ安息香酸から誘導されるカルシウムアルキルヒドロキシベンゾエートを含むモノアルキル化ヒドロキシベンゾエート清浄剤からなる。
【0079】
分散剤:主に、1000MのPIBから誘導されるポリイソブテニルコハク酸無水物および重質ポリアミンとジエチレントリアミン(DETA)とのアミン混合物の反応から得られるビスコハク酸イミド分散剤である。
【0080】
以下の研究における全てのトランクピストンエンジン油(TPEO)は、おおよそ40TBNとなるように配合された。I種およびII種のTPEOはSAE40の粘度等級で配合され、III種およびIV種のTPEOはSAE30の粘度等級で配合された。いずれの等級でも、典型的なTPEOである。III種およびIV種の基材油は、I種およびII種の基材油よりもはるかに高い粘度指数を有しているため、異なる粘度等級の結果として、トランクピストンエンジンの通常の作動温度である200℃において2.1乃至2.55cStになる。
【0081】
残油との相溶性は、以下に記載する黒スラッジ試験を用いて評価した。この研究において例証する全てのTPEOも、0.67質量%の二級ジアルキルジチオリン酸亜鉛耐摩耗剤および0.04質量%の消泡剤を含んでいた。
【0082】
(黒スラッジ堆積物(BSD)試験)
試験油の試料は重油と混合して、試験混合物を生成した。各試験混合物は、加熱した金属試験片上に汲み上げた。金属試験片は、一定の時間内、試験温度に調節されている。冷却および洗浄後、金属試験片を乾燥および秤量した。それぞれのスチール製試験片の質量を決定し、スチール製試験片上に残る堆積物の質量を測定し、スチール製試験片の質量との変化として記録した。
【0083】
(分散剤なしでTPEOを含む150TBNおよび350TBNのC20+清浄剤の研究)
5種類の異なる基油において、残油との相溶性を調節するための従来のアルキルヒドロキシベンゾエート含有TPEOの処方を評価するために研究を実施した。全ての処方は、10.19質量%の350TBNのC20+清浄剤と3.17質量%の150TBNのC20+清浄剤とを含んでいた。結果を下記表2に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
データが示すように、III種およびIV種の基材は、III種およびIV種の基材油よりも問題が深刻である。特にIII種基材油は、問題が特別に深刻なようである。
【0086】
(石鹸分の研究)
III種およびIV種の基材油において、様々な石鹸分の影響についても、研究を行った。潤滑油組成物の「石鹸」分は、組成物中における一種以上の清浄剤の処方による界面活性剤濃度を意味する。従来のI種およびII種の処方による方法では、界面活性を有する石鹸の量を増加させることにより、残油との相溶性を改善する。III種およびIV種の基材油についての結果を、下記表3に示す。
【0087】
【表3】

【0088】
データが示すように、石鹸分の増加は、III種およびIV種の基材油の残油との相溶性に対して、I種基材油について観察されるものと比較すると、あるとしてもわずかな効果しか示さない。
【0089】
(分散剤濃度の研究)
分散剤を、上記表2に示すようなアルキルヒドロキシベンゾエート清浄剤の処方を含むII種およびIV種のTPEOに加えることによる効果について、研究を行った。この研究の結果を下記表4に示す。
【0090】
【表4】

【0091】
データが示すように、分散剤をIII種およびIV種のTPEOに加えると、残油との相溶性が顕著に改善される。この効果は、低石鹸処方および高石鹸処方とのいずれにも存在することも認められる。それゆえ、分散剤を使用することにより、III種およびIV種のTPEOにおいて、高価な清浄剤界面活性剤の大部分でなければ、その多くを置き換えることができる。さらに分散剤を、1質量%を超える活性で添加することにより、I種基材油で認められるものと同じ程度まで相溶性が改善される。
【0092】
(170TBNおよび280TBNのC14乃至C18清浄剤含有TPEOの研究)
上記と同様の研究を、C14乃至C18アルキル置換ヒドロキシベンゾエート清浄剤を含む従来のTPEOの処方でも実施した。結果を下記表5に示す。分散剤を含まないIII種およびIV種のTPEOについても、残油との相溶性に関して非常に深刻な問題があり、少量の分散剤の添加により相溶性が大幅に改善されることが判明した。
【0093】
【表5】

【0094】
本明細書に開示した態様については様々な変更を成しうることが理解されるであろう。従って、上記の説明は、限定的に理解されるべきではなく、単に好ましい態様の例示であると理解すべきである。例えば、上述した本発明を実施する最良の形態として行ったことは、説明のためでしかない。当該分野の熟練者であれば、本発明の範囲及び真意から逸脱することなく、その他の配合や方法を実施することができよう。また、当該分野の熟練者であれば、本出願に添付した特許請求の範囲の真意及び範囲内で、他の変更を考慮するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)主要量の、少なくとも一種のIII種基材油、少なくとも一種のIV種基材油、およびそれらの混合物からなる群より選ばれる基油;
(b)少なくとも一種の清浄添加剤;および
(c)少なくとも一種の分散添加剤;
を含むトランクピストンエンジン用潤滑油組成物であって、
トランクピストンエンジン用潤滑油組成物における上記の少なくとも一種の分散添加剤の濃度が、当該潤滑油組成物の全質量に基づいて、有効量基準で少なくとも0.1質量%であるトランクピストンエンジン用潤滑油組成物。
【請求項2】
上記トランクピストンエンジン用潤滑油組成物が少なくとも12の全塩基価を有する請求項1のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物。
【請求項3】
上記基油が少なくとも一種のIII種基材油である請求項1のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物。
【請求項4】
上記基油がASTM D3238−95(2005)の試験方法により決定される少なくとも70%のパラフィン系炭素量を有する少なくとも一種のIII種基材油である請求項1のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物。
【請求項5】
上記少なくとも一種のIII種基材油が少なくとも一種のフィッシャー−トロプシュ誘導基材油を含む請求項3のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物。
【請求項6】
上記基油が少なくとも一種のIV種基材油を含む請求項1のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物。
【請求項7】
上記少なくとも一種の清浄添加剤が少なくとも一種のアルキル置換ヒドロキシ安息香酸の塩を含む請求項1のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物。
【請求項8】
上記少なくとも一種の清浄添加剤がアルキル置換ヒドロキシ安息香酸の塩を含み、上記のアルキル基の少なくとも75モル%がC20以上である請求項1のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物。
【請求項9】
上記少なくとも一種の清浄添加剤がアルキル置換ヒドロキシ安息香酸の塩を含み、上記のアルキル基の少なくとも50モル%がC14乃至C18である請求項1のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物。
【請求項10】
上記少なくとも一種の分散添加剤がポリアルキレンコハク酸イミドを含む請求項1のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物。
【請求項11】
上記少なくとも一種の分散添加剤がポリアルキレンビスコハク酸イミドを含み、上記少なくとも一種の清浄添加剤がアルキル置換ヒドロキシ安息香酸の塩を含む請求項1のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物。
【請求項12】
トランクピストンエンジン用潤滑油組成物における上記少なくとも一種の分散添加剤の濃度が、潤滑油組成物の全質量に基づいて有効量基準で少なくとも1質量%である請求項1のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物。
【請求項13】
トランクピストンエンジン用潤滑油組成物が200ミリモル/kg未満の石鹸分を含有する請求項1のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物。
【請求項14】
さらに、酸化防止剤、耐摩耗剤、錆止め剤、曇り除去剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、摩擦緩和剤、流動点降下剤、消泡剤、補助溶媒、パッケージ混合剤、腐食防止剤、染料、極圧剤、およびそれらの混合物からなる群より選ばれる一種以上のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物の添加剤を含む請求項1のトランクピストンエンジン用潤滑油組成物。
【請求項15】
トランクピストンエンジンにおける黒スラッジおよび堆積物の生成を軽減する方法であって、トランクピストンエンジンの潤滑を請求項1乃至14のいずれか一項に従うトランクピストンエンジン用潤滑油組成物を用いて行なうことを含む方法。

【公表番号】特表2013−506046(P2013−506046A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532231(P2012−532231)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/050490
【国際公開番号】WO2011/041289
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(501381217)シェブロン・オロナイト・テクノロジー・ビー.ブイ. (11)
【出願人】(598037547)シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシー (135)
【Fターム(参考)】