説明

トランスポンダ機能を有する無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置

本発明は、無線周波数識別トランスポンダの改良された機能を実現する無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置に関し、特に、無線周波数識別トランスポンダとして機能するようなリーダ装置に関する。無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置は、リーダロジックユニット(300, 310)と、無線周波数インタフェース(150)と、アンテナ(160)とを有する。上記リーダ装置はリーダ動作モードで無線周波数識別トランスポンダ(700)と通信を行うように構成される。上記リーダ装置はトランスポンダロジックユニット(200, 210, 510)も有する。トランスポンダロジックユニットは、リーダ装置(600)がトランスポンダ動作モードで無線周波数識別トランスポンダとして機能するように、リーダ装置と無線周波数インタフェースに接続される。特に、トランスポンダロジックユニットは、無線周波数識別トランスポンダ用の別のリーダ装置と通信するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数識別トランスポンダの改良された読み取り機能を実現するための通信装置に関する。特に、本発明は、無線周波数識別トランスポンダとして機能することが可能な無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願明細書でRFIDタグとも呼ばれる無線周波数識別子(RFID)トランスポンダは、物体のラベリング(labeling)用として広く用いられており、本人の身元確認を行ったり、RFIDタグを有する物体の認識を行ったりするためのものである。基本的に、RFIDタグの各々は、電子回路と、無線周波数(RF)および高周波数(HF)インタフェースとを具備しており、この無線周波数(RF)および高周波数(HF)インタフェースはアンテナおよび電子回路に結合される。RFIDタグは、一般に、小型容器内に収納される。RFIDタグの利用に関して設定される必要条件(すなわち、データ送信レート、問い合わせ信号(interrogation signal)のエネルギ、および送信範囲等)に応じて、数十〜数百KHz(キロヘルツ)から数GHz(ギガヘルツ)(採用されている幾つかの例示周波数を示すだけでも、例えば134kHz、13.56MHz、および860〜928MHz等が存在する)の範囲内の異なる無線周波数で異なるタイプのデータ送信/情報送信が行われる。ここで、RFIDタグは、2つの主要タイプのRFIDタグ、すなわち、例えば或る一定周波数のRF信号等の問い合わせ信号を生成するRFIDタグリーダによって活性化される受動型のRFIDタグと、電力供給用のバッテリーまたは蓄電池等の固有の電源を備えた能動型のRFIDタグとに区分することができる。
【0003】
受動型の誘導RFIDタグは、活性化用の電磁場(問い合わせ信号)を通すことにより活性化される。このRFIDタグは、電磁場で干渉を引き起こす電磁場の周波数で共振する。この干渉は、RFIDタグリーダによって検出されて評価され得る。受動型の誘導RFIDタグと、これらの誘導RFIDタグの送信範囲とによって得ることができる情報量は制限される。
【0004】
受動型のRFIDタグ、すなわち、反射型のRFIDタグは、RFIDタグリーダによって放射された問い合わせ信号の少量の電磁エネルギを反射するものである。RFIDタグリーダへ送信されるようにRFIDタグに格納されているRFIDタグ情報を埋め込むために、何らかの方法で上記反射信号を変調または符号化することが可能である。より詳細には、反射型のRFIDタグは、問い合わせ信号の電磁エネルギを受信し、少量の電磁エネルギを変換して、RFIDタグの電子部品の活性化を図るものである。RFIDタグの電子部品は、クロック信号と格納済みのRFIDタグ情報とを含むデータストリームを生成し、上記反射信号でもって上記データストリームの変調または符号化を行うことができる。
【0005】
能動型のRFIDタグは小型化された送受信装置を備え、従来方式によるマイクロプロセッサ技術をベースとするものである。この能動型のRFIDタグは、データ送信を行うために選定されてもよいし、自律的に送信を行うようにしてもよい。上記マイクロプロセッサ技術によって、受信したRF信号(問い合わせ信号)の解析を行うための、および、対応するRF応答信号を生成するためのソフトウェアのアルゴリズムを実行することが可能になる。
【0006】
特に、能動型のRFIDタグによって、さらに多量の情報を供給することと、より長い送信範囲を持つこととが可能になる。RFIDタグの複雑さに応じて、RFIDタグに不揮発状態で格納されている情報は、読み取り専用情報であってもよいし、あるいは、RFIDライタとして動作するRFIDタグリーダによって修正を行うことが可能(再プログラム可能)になる。
【0007】
RFIDタグは、無線読み出しアクセスを可能にする情報格納装置のような多数の応用分野で利用される。より詳細には、これらの応用分野として、電子的物品監視(EAS)、格納管理システム、盗難防止システム、アクセス制御、識別システム(人、ペット、野生生物、子供等)、市外通話料金の徴収、トラフィック管理システム、軌道車識別、および高額資産管理等を含むことができる。これらの応用分野は、上記に列挙したものに限定されるものではない。RFIDタグの動作周波数は、数kHz(キロヘルツ)から数GHz(ギガヘルツ)までの周波数帯域内に存在する。RFIDタグは、RFIDタグの目的と利用用途とに適合する種々の容器を備えたものであってもよい。オフィスブロックのような制御されたエリアに立ち入るためのキーに替わるものとして利用されるRFIDタグは、キーホルダの形で一体化されたものであってもよいし、あるいは、ポケットの中に収納されるクレジットカードの形状をしたものであってもよい。さらに、RFIDタグは、このRFIDタグ自体に接着剤を付けたり、商品や製品等に貼り付けられる接着ラベルやフィルム等の上へ固着されてもよい。
【0008】
マイクロプロセッサをベースとする携帯端末装置の市場は依然急成長を続けているし、移動端末装置の受け入れは衰えていない。携帯端末装置は、いつでも、どこでも情報データの検索、処理、修正および追加を行う能力をユーザに提供している。さらに、RFIDタグリーダを有する携帯端末装置は、当業者にとって周知のものである。このような携帯端末装置は、さらなる処理を行うためにRFIDタグ情報を受信することが可能である。例えば、RFIDタグのRFIDタグ情報を受信する際に携帯端末装置を採用することによって、製品の一意的なラベリングに使用されるバーコードの代用とすることが可能である。
【0009】
従来の技術によるRFIDタグとRFIDタグリーダとを教示するために、以下の説明で図1を参照することにする。図1は、従来の技術によるRFIDタグおよびRFIDタグリーダの利用を記述するための概略的なブロック図である。
【0010】
第1のアプローチでは、RFIDタグリーダとRFIDタグとの間の従来の技術による通信を教示することとする。このブロック図は、アプリケーション400を動作させ、RFIDタグ700とアプリケーション400との間でデータフローを確立するためにタグリーダ機能を有する携帯端末装置(図1では携帯電話と表記する)1を示すものである。この携帯端末装置1は、RFIDタグ700と通信するように構成される任意の電子端末装置である。
【0011】
上記の携帯端末装置1は、この携帯端末装置1で処理されるアプリケーション400とRFIDタグ700との間の通信を可能にするRFIDタグリーダに接続される。このRFIDタグリーダは、スタンドアローン型のユニットとして実現されてもよい。このユニットは、携帯端末装置1に対し着脱可能に接続されたものであってもよいし、あるいは、携帯端末装置1の中に埋め込まれたものであってもよい。
【0012】
図1に例示のRFIDタグ700は、格納コンポーネント(MEM)750、およびマイクロプロセッサ(μP)またはマイクロコントローラ(μC)710を具備するものである。アンテナ760は、RFIDタグ700が問い合わせ信号を受信し、このような問い合わせ信号の受信時等に応答信号の送信を可能にするものである。格納コンポーネント750には、本発明に基づいて少なくともタグ識別シーケンスを含むRFIDタグ情報が含まれる。このタグ識別シーケンスは、複数の個別サービス処理を行うのに好適である。問い合わせ信号および応答信号に関しては、無線通信リンク5を介して携帯端末装置1に対して通信が行われる。上記無線通信リンク5は、無線周波数(RF)通信リンクであるか、あるいは、利用周波数に応じて、実際上は高周波数(HF)通信リンクである。RFIDタグリーダとRFIDタグとの結合は、誘導性を有することが望ましい。
【0013】
格納コンポーネント750は、揮発性メモリまたは不揮発性メモリとして具体化された読み取り専用の格納コンポーネントまたは読み取り/書き込み(すなわち、ランダムアクセス)用の格納コンポーネントのいずれか一方であってもよい。読み取り専用の格納コンポーネントの場合には、RFIDタグリーダは格納済み情報の検索が可能であるのに対して、読み取り/書き込み用の格納コンポーネントの場合には、RFIDタグリーダは情報の読み取りと、情報の書き込みとが可能になる。1乃至幾つかのコマンドをRFIDタグ700へ送信するために携帯端末装置1で動作するアプリケーション400が行う情報の要求は、RFIDタグリーダとRFIDタグ700との間で確立される通信リンクによりサポートされ、要求された情報を含むような対応する応答によって、RFIDタグ700は上記情報の要求に応えることになる。このようにして受信した要求された情報は、最初に要求を呈示したアプリケーション400へ供給され、このアプリケーション400にて処理されることになる。1乃至幾つかのコマンドは単に問い合わせ信号であってもよいし、あるいは、変調によって問い合わせ信号の中に埋め込まれたものであってもよい。RFIDタグリーダは、RFIDタグ700とアプリケーション400との間のデータフローを確立する。
【0014】
RFIDタグの利用の増加によって、RFIDタグリーダとRFIDタグとの間での広範に適用可能な通信構成を確立するための標準化への努力が促進されている。このような標準化は、2002年12月付けの近距離場通信規格(near field communication standard:ECMA−340)の形で、ECMAインターナショナル(スイスのジュネーブ)により確立されている。上記の規格では、RFIDタグリーダとRFIDタグとで使用される近距離場通信インタフェースおよびプロトコル(NFCIP−1)のための通信モードが規定されている。この規格では、能動通信モードおよび受動通信モードの双方のモードも規定され、ネットワーク化された製品のための近距離場通信用互換装置、および、消費者用機器のための近距離場通信用互換装置を利用する通信ネットワークの実現が図られている。上記規格は、特に、変調方式、符号化、転送速度およびRF/HFインタフェースのフレームフォーマット、ならびに、初期化方式と、初期化中のデータの衝突制御とに必要な条件を指定するものである。さらに、ECMA規格には、プロトコル起動とデータ交換方法とを含むトランスポートプロトコルが規定されている。
【0015】
前述のRFIDタグリーダとRFIDタグとの通信は、受動通信モードによってカバーされている。能動通信モードは、複数のRFIDタグリーダ間の通信に関するものである。
【0016】
これに対応して第2のアプローチでは、複数のRFIDタグリーダ間の従来の技術による通信について図1を参照しながら教示することにする。ここでは、RFIDタグリーダに接続された第2の携帯端末装置2(図1では携帯電話と表記する)が設けられている。RFIDタグリーダはスタンドアローン型ユニットとして実現されてもよい。このスタンドアローン型ユニットは、携帯端末装置2に対し着脱可能に接続されてもよいし、あるいは、携帯端末装置2の中に埋め込まれてもよい。携帯端末装置1および携帯端末装置2の双方のRFIDタグリーダは、能動通信モードをサポートしている。これは、前述の近距離場通信インタフェースおよびプロトコル(NFCIP−1)の規格を採用することにより、上記RFIDタグリーダの双方が相互に通信を行うように構成されることを意味するものである。能動通信モード中、携帯端末装置1と携帯端末装置2とが関与している2つのRFIDタグリーダのうちの一方のRFIDタグリーダがRFIDタグのシミュレーションを能動的に行うのに対して、他方のRFIDタグリーダはRFIDタグリーダのシミュレーションを能動的に行う。それぞれ無線周波数通信リンクおよび高周波数通信リンク(RF/HF通信リンク)になる無線通信リンク6を介して、データ通信が確立される。この無線通信リンク6は、携帯端末装置1で動作するアプリケーション400と、携帯端末装置2で動作するアプリケーション410との間のデータフローを実現する。
【0017】
しかしながら、RFIDタグリーダの問い合わせ信号によって活性化される受動型のRFIDタグとは対照的に、関与している双方のRFIDタグリーダは常時独立に活性化される。すなわち、上記双方のRFIDタグリーダはそれぞれ固有の電源を有しており、上記双方のRFIDタグリーダ間のデータ通信に用いられる無線周波数/高周波数(RF/HF)信号の生成を行う。したがって、RFIDタグのシミュレーションを能動的に行うRFIDタグリーダは、能動型のRFIDタグと考えることができる。
【0018】
RFIDタグリーダの相互通信によって提供される利点にもかかわらず、前述の説明に関する幾つかの欠点が認められる場合がある。一つのRFIDタグリーダと他のRFIDタグリーダとの間の相互通信の実現は開発時に大きな努力を必要とする。なぜならば、この場合、インタフェースおよびプロトコルの規定が非常に複雑であり、さらに、当然のことながら、異なるメーカーのRFIDタグリーダ間での相互運用性を保証するために要求される著しく複雑な機能が、上記のインタフェースおよびプロトコルの規定によって示されるからである。さらに、一つのRFIDタグリーダと他のRFIDタグリーダとの間の相互通信の実現は、関与している個々のRFIDタグリーダへのエネルギの供給を必要とし、バッテリーまたは蓄電池から電力の供給を受ける携帯用装置という点から見て、このエネルギの供給は厄介な問題となる可能性がある。さらに、状況によっては、携帯用装置が望まれなかったり、例えば、飛行機内や病院内では禁止されたりすることさえある。携帯電話(すなわち、携帯用装置)に埋め込まれているRFIDタグリーダであって、この埋め込まれているRFIDタグリーダが一つのRFIDタグリーダと他のRFIDタグリーダとの間の相互通信をサポートし、上記携帯電話のユーザが固定のRFIDタグリーダとの相互通信の確立を望んでいるものと想定する。上記の埋め込まれているRFIDタグリーダを活性化しなければならないという事実に起因して、これらの前述の環境では相互通信の実行は不可能となる。なぜならば、上記の埋め込まれているRFIDタグリーダの活性化は、携帯電話の好ましくない活性化または禁止された活性化を結果としてもたらすことになるからである。
【0019】
さらに、一つのRFIDタグリーダと他のRFIDタグリーダとの間の相互通信は、従来の技術による多数の携帯端末装置内に設けられているブルートゥース(Bluetooth(登録商標))のような良好に確立された短距離用通信規格と競合することになる。特に、一つのRFIDタグリーダと他のRFIDタグリーダとの間の相互通信サポートの実施が複雑な企てになると考えられる場合、同様の機能を実現するための競合する通信解決方法を実施することは経済的ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、無線周波数(RF)識別トランスポンダ用の改良されたリーダ装置であって、少なくとも無線周波数識別トランスポンダと通信するように構成され、かつ、電力の供給を受けていない状態で無線周波数識別トランスポンダの機能を実現することが可能なリーダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の目的は、独立形式の請求項1に記載のリーダ装置によって達成される。また一方で、本発明の目的は、独立形式の請求項14に記載の携帯用電子装置、ならびに独立形式の請求項17に記載の携帯用電子装置とリーダ装置とを有するシステムによって達成される。さらに、本発明に基づく種々の実施形態は、従属形式の請求項に規定されている。
【0022】
本発明の態様によれば、無線周波数インタフェース(無線周波数フロントエンドとしても図示されている)とアンテナとを有する無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置が提供される。このリーダ装置は、リーダ動作モードで、すなわち、無線周波数トランスポンダを用いてリーダ装置を動作させるための一般に周知の方法で、少なくとも無線周波数識別トランスポンダと通信を行うように構成される。上記リーダ装置はトランスポンダロジックユニットを備える。このトランスポンダロジックユニットは無線周波数インタフェースに接続され、これによって、リーダ装置がトランスポンダ動作モードで無線周波数識別トランスポンダとして作用するように構成される。特に、トランスポンダロジックユニットは、無線周波数識別トランスポンダ用の別のリーダ装置との通信をサポートするものである。
【0023】
本発明の実施形態に基づくリーダ装置によるトランスポンダロジックユニットの包含と統合化とが、空間的統合化に限定されるものではないことを理解されたい。なぜならば、所定の規定の中に、トランスポンダロジックユニットの論理的関連付けとリーダ装置内への統合化も含まれているからである。このことは、一方で、リーダ装置とトランスポンダロジックユニットとが共用のハウジング内に収納可能であり、他方で、リーダ装置およびトランスポンダロジックユニットの双方を異なるハウジング内に取り囲んだり、別個に動作し、かつ、互いに相互接続することで論理エンティティを形成するようにしたりすることが可能であることを意味するものである。この場合、空間的統合化およびロジックによる統合化の双方は本発明の範囲に属するものとする。したがって、上記トランスポンダロジックユニットは上記リーダ装置に接続されることが可能であり、当該リーダ装置に割り当てられることになる。好適には、上記トランスポンダロジックユニットが接続され、統合されることが望ましい。
【0024】
本発明の一つの実施形態によれば、上記リーダ装置は、無線周波数インタフェースに接続され、リーダ動作モードをサポートするリーダロジックユニットをさらに備えるものである。
【0025】
本発明の一つの実施形態によれば、トランスポンダ動作モードにおいて、いずれのリーダ装置の電源からも独立して動作可能である。本発明の一つの実施形態によれば、上記リーダ装置は、トランスポンダ動作モードで受動型の無線周波数識別トランスポンダとして作用する。本発明の一つの実施形態によれば、上記リーダ装置は、トランスポンダ動作モードで受動型の読み取り専用の無線周波数識別トランスポンダとして作用する。
【0026】
本発明の一つの実施形態によれば、トランスポンダロジックはトランスポンダメモリを具備する。本発明の一つの実施形態によれば、トランスポンダメモリは、不揮発性の格納コンポーネントである。本発明の一つの実施形態によれば、トランスポンダメモリは、設定変更可能な格納コンポーネントである。
【0027】
本発明の一つの実施形態によれば、トランスポンダロジックは、スイッチを介して無線周波数インタフェースに結合される。このスイッチは、リーダ動作モードとトランスポンダ動作モードとの間で選択を行うことができるように動作することが可能である。
【0028】
本発明の一つの実施形態によれば、リーダ装置が活性化されていない期間中は、上記リーダ装置はトランスポンダ動作モードで動作する。本発明の一つの実施形態によれば、上記リーダ装置が活性化されていない期間中は、当該リーダ装置はトランスポンダ動作モードで自動的に動作する。
【0029】
本発明の一つの実施形態によれば、無線周波数インタフェースは、リーダ動作モードおよびトランスポンダ動作モードにおいて、上記リーダ装置の動作に必要な信号を供給する。
【0030】
本発明の一つの実施形態によれば、上記リーダ装置は近距離場通信(ECMA−340)規格をサポートする。このリーダ装置は、受動通信モードと能動通信モードとを用いてリーダ動作モードで動作することが可能であり、上記リーダ装置は、ショウ通信モード(show communication mode )を用いてトランスポンダ動作モードで動作することが可能である。
【0031】
本発明の一つの実施形態によれば、上記リーダ装置は、能動通信モードを用いてリーダ動作モードで動作することが可能である。
【0032】
本発明の一つの態様によれば、無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置に接続された携帯用電子装置が提供される。この無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置は、無線周波数インタフェース(無線周波数フロントエンド)とアンテナとを有する。上記リーダ装置は、リーダ動作モードにて少なくとも無線周波数識別トランスポンダと通信を行うように構成される。上記リーダ装置は、さらに、トランスポンダロジックユニットを備える。このトランスポンダロジックユニットは無線周波数インタフェースに接続され、上記リーダ装置はトランスポンダ動作モードで無線周波数識別トランスポンダとして作用するように構成される。特に、上記トランスポンダロジックユニットは、無線周波数識別トランスポンダ用の別のリーダ装置との通信をサポートするものである。
【0033】
本発明の一つの実施形態によれば、上記リーダ装置は、当該リーダ装置の前述の実施形態のいずれの実施形態にも従うリーダ装置である。本発明の一つの実施形態によれば、携帯用電子装置のスイッチをオンにすることによって、公衆地上移動通信ネットワーク(public land mobile network:PLMN)を介して通信が行われる。
【0034】
本発明の一つの態様によれば、携帯用電子装置と、この携帯用電子装置と接続される無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置とを有するシステムが提供される。この無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置は、無線周波数インタフェース(無線周波数フロントエンド)とアンテナとを有する。上記リーダ装置は、リーダ動作モードにて少なくとも無線周波数識別トランスポンダと通信を行うように構成される。上記リーダ装置は、さらに、トランスポンダロジックユニットを備える。このトランスポンダロジックユニットは無線周波数インタフェースに接続され、上記リーダ装置がトランスポンダ動作モードで無線周波数識別トランスポンダとして作用するように構成される。特に、上記トランスポンダロジックは、無線周波数識別トランスポンダ用の別のリーダ装置との通信をサポートするものである。
【0035】
本発明の一つの実施形態によれば、上記リーダ装置は、当該リーダ装置の前述の実施形態のいずれの実施形態にも従うリーダ装置である。本発明の一つの実施形態によれば、携帯用電子装置のスイッチをオンにすることによって、公衆地上移動通信ネットワーク(PLMN)を介して通信が行われる。
【0036】
本発明についてさらに理解を深めるために添付図面が示されているが、これらの添付図面は本願明細書の一部に組み入れられ、本願明細書の一部を構成するものである。これらの添付図面は本発明の実施形態を例示し、本願明細書における記述と一緒になって本発明の原理を説明するのに役立つものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
添付図面に例示されている本発明の実施形態(実施例)について以下詳細に説明する。いずれの図面および本願明細書の関連説明部分においても、可能な限り、前述した構成要素と同様の部分または類似の部分を参照するために同一の参照番号を用いることとする。
【0038】
以下に詳述するような本発明に関連したタグリーダの実施形態は、図1に図示されるような携帯端末装置に取り付けられたり、埋め込まれたりするタグリーダであることに留意されたい。特に、携帯端末装置1は移動電話、個人向け携帯型情報通信機器、スマートフォン、および消費者用移動電子機器等であってもよく、このような携帯端末装置のスイッチをオンにして、公衆地上移動通信ネットワーク(PLMN)、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network :WLAN)、およびブルートゥース(Bluetooth(登録商標))ネットワーク等のような無線データ通信を介して通信を行うことが可能になる。公衆地上移動通信ネットワーク(PLMN)とは、現在一般に利用されている任意のセルラデータ通信ネットワークあるいは将来利用され得る任意のセルラデータ通信ネットワークであると理解されたい。特に、公衆地上移動通信ネットワーク(PLMN)は、現在利用されている移動通信規格の選択を列挙するだけでも、広域通信システム(global communication system :GSM)、一般移動通信サービス地上アクセスネットワーク(universal mobile telecommunication services terrestrial access network:UTRAN)、合衆国個人用通信システム(United States personal communication system:US PCS)、および個人用ディジタルセルラシステム(personal digital cellular system:PDC)等を挙げることができる。
【0039】
本発明に基づくタグリーダの実施形態についての説明は、ECMAインターナショナル(スイスのジュネーブ)によって2002年12月に公開された近距離場通信規格(ECMA−340)に基づいて行われるものであることにさらに留意されたい。特に、近距離場通信規格/インタフェースおよびプロトコル(NFCIP−1)という観点から本発明の実施形態の説明を行うこととする。
【0040】
図2は、本発明の一実施形態によるRFIDタグ機能を有するRFIDタグリーダ装置(無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置とも呼ばれる)600の実現を可能にするような機能ブロック図を示すものである。例示のRFIDタグリーダ装置600には、RFIDタグリーダ機能を表すRFIDタグリーダユニット(図2ではタグリーダユニットと表記する)300と、RFIDタグ機能を表すRFIDタグユニット200とが含まれる。双方の機能ユニット、すなわち、RFIDタグリーダユニット300およびRFIDタグユニット200は、(それぞれ対応する)無線周波数(RF)インタフェース(および高周波数(HF)インタフェース)と、動作に利用される無線周波数(RF)に適合するアンテナとを必要とする。図1に例示の実施形態は、共用のRFインタフェース150と、双方の機能ユニットが利用する共用のアンテナ160とを示すものである。RFインタフェース150のような無線周波数インタフェース、および、本発明の実施形態に基づいて本願明細書の説明部分に記載されているアンテナ160のようなアンテナは、それぞれ、RFIDタグおよびトランスポンダの技術分野において好適な任意の使用無線周波数を使用するように構成されることを理解されたい。特に、本発明の実施形態によって前述の少なくとも典型的な動作周波数が実現可能となる。
【0041】
RFIDタグリーダ機能の場合、アンテナ160は、一つ以上の問い合わせ信号を送信して、RFIDタグから情報を検索するために一つ以上の応答信号を受信するように構成される。前述の近距離場通信規格(ECMA−340)に照らして、アンテナ160はこの規格に従って通信できるように構成される。RFIDタグリーダユニット200の機能に応じて、上記アンテナは、受動通信モードでRFIDタグと通信し、さらに、能動通信モードで別のRFIDタグリーダ装置600と通信を行うように構成される。
【0042】
RFIDタグ機能の場合、アンテナ160は、一つ以上の問い合わせ信号を受信し、かつ、RFIDタグユニット200から検索された情報を伝送する一つ以上の応答信号を送信するのに十分適したものとなる。
【0043】
アンテナ160は、一つ以上の信号接続部40を介してRFインタフェース150に接続される。この信号接続部40は、RFインタフェース150によって生成されるRF/HF信号をアンテナ160に供給し、かつ、アンテナ160が受信したRF/HF信号を受け入れる。
【0044】
RFインタフェース150は、アンテナ160により送信されかつ受信される信号をそれぞれ変調しかつ復調する役割を果たすものである。したがって、RFインタフェース150は、RFIDタグリーダユニット300とRFIDタグユニット200とにそれぞれ結合されることになる。特に、RFインタフェース150は、変調および送信を行う信号をRFIDタグリーダユニット300から受信し、復調済みの信号をRFIDタグリーダユニット300に送信する。RFインタフェース150は、RFIDタグユニット200にも復調済みの信号を送信し、変調および送信を行う信号をRFIDタグユニット200から受信する。より詳しくいえば、RFインタフェースは、RFIDタグユニット200の動作に必要なさらに別の信号を供給するが、詳細には上記の信号は電源信号(電圧信号)およびクロック信号である。この場合、電源信号は、問い合わせ用の電磁場の結合から得られるのに対して、クロック信号は、RFインタフェースの中に含まれる復調装置から取得される。上記の電源信号およびクロック信号は、RFIDタグリーダ装置の問い合わせ信号によって活性化された受動型のRFIDタグとして機能するRFIDタグユニット200の動作に対して必須のものである。
【0045】
図2に例示のRFIDタグリーダ装置600はスイッチ(図2ではスイッチユニットと表記する)100を具備している。このスイッチ100が動作することによって、RFIDタグリーダ機能とRFIDタグ機能との間の切り替えが行われる。スイッチ100は、RFIDタグリーダユニット300と、RFIDタグユニット200と、RFインタフェース150との間に配置され、切り替えライン110を介して切り替え信号を供給する切り替え入力によって動作する。より詳細には、信号接続部20によって少なくとも複数種の信号の伝送が行われる。これらの信号には、RFIDタグリーダユニット300によって生成され、RFインタフェース150による変調と、アンテナ160による送信とが行われる信号と、アンテナ160によって受信され、RFインタフェース150による復調と、RFIDタグリーダユニット300への出力とが行われる信号とが含まれる。この場合、信号接続部20は、スイッチ100によって、RFインタフェース150の方へ切り替えられる。このRFインタフェース150は、信号接続部30を介してスイッチ100に接続されている。
【0046】
同様に、信号接続部50によって少なくとも複数種の信号の伝送が行われる。これらの信号には、RFIDタグユニット200に供給するためにアンテナ160が受信し、RFインタフェース150が復調した信号と、RFインタフェース150によって変調するために、および、アンテナ160によって送信するためにRFIDタグユニット200が生成した信号とが含まれる。信号接続部50は、スイッチ100によって、RFインタフェース150の方へ切り替えられる。このRFインタフェース150は、信号接続部30を介してスイッチ100に接続されている。前述の電源信号およびクロック信号は、スイッチ100を介してRFインタフェース150からRFIDタグユニット200へ供給される。これらの電源信号およびクロック信号は、信号接続部30と信号接続部50とを介して送信される信号の一部であってもよい。
【0047】
切り替え状態またはスイッチ100の位置に応じて、RFIDタグリーダユニット300がRFインタフェース150に結合されるか、または、RFIDタグユニット200がRFインタフェース150に結合されるかのいずれかとなる。前者の場合には、RFIDタグリーダ機能が利用可能となるのに対して、後者の場合には、RFIDタグ機能が利用可能となる。
【0048】
RFIDタグリーダ装置600、したがってRFIDタグリーダユニット300には、通信接続部10によって示されるインタフェースが設けられている。このインタフェースによって、携帯端末装置1または携帯端末装置2と同様の携帯端末装置700にて動作するアプリケーション400が、RFIDタグリーダ装置600と、特に、RFIDタグリーダユニット300とそれぞれ通信を行うことが可能になる。RFIDタグリーダ装置600とアプリケーションとの間のインタフェースとして機能するインタフェースは、RFIDタグリーダ装置600へのアプリケーション400のアクセスを可能にする適切なハードウェア用インタフェースおよびソフトウェア用インタフェースによって確立される。
【0049】
近距離通信規格(ECMA−340)に戻ってこの規格を参照すると、図2に示されるような機能ユニットによって例示される実施形態から見て、前述したようなRFIDタグリーダが意図する機能と、RFIDタグ機能とによって、標準化された受動通信モードおよび能動通信モードに追加されるようなさらに別の通信モードの確立が可能になる。
【0050】
以上詳述したように、近距離場通信規格(ECMA−340)は、RFIDタグリーダ装置の動作を処理し、能動通信モードを提供するものであり、一つ以上のRFIDタグとの通信に利用されることが望ましい。さらに、近距離場通信規格(ECMA−340)は、受動通信モードを提供し、別のRFIDタグリーダ装置との通信用として意図されるものである。能動通信モードおよび受動通信モード双方の通信モードは、電源を介してRFIDタグリーダ装置との通信の活性化を必然的に必要とするものである。能動通信モードの場合、電源の必要性は明らかである。なぜならば、一つ以上の受動型のRFIDタグとの通信が、通信すべきRFIDタグリーダ装置の一つ以上の問い合わせ信号を介して行われる受動型のRFIDタグの活性化を必要とするからである。受動通信モードの場合、
【0051】
さらに、能動通信モードおよび受動通信モードは、RFIDタグリーダ装置の読み取り機能および書き込み機能の処理を可能にする。これは、読み取り機能を有するRFIDタグリーダ装置が一つ以上のRFIDタグに格納されている情報の検索を行うように構成されることを意味するものである。読み取り機能は、RFIDタグリーダ装置の少なくとも基本的な機能である。書き込み機能を有するRFIDタグリーダ装置は、格納すべき情報をRFIDタグに追加するように構成され、および/または、RFIDタグに格納されている情報を修正するように構成される。RFIDタグに格納されている情報の追加および/または修正は、RFIDタグの能力および/またはRFIDタグリーダ装置の許可に依存することに留意されたい。上記書き込み機能は、RFIDタグリーダ装置の改良された機能である。
【0052】
図2に示されている機能ユニットが例示する実施形態に照らして、上記に詳述したようなRFIDタグ機能を採用して、ショウ通信モードとして示すことになる新たな通信モードの確立を図るようにしてもよい。ショウ通信モードでは、RFIDタグ機能が切り替えられるのに対して、RFIDタグリーダ機能は動作しなくなる。ショウ通信モードは公知の通信モードから区別され、RFIDタグ機能によって受動型のRFIDタグの物理的利点が得られることになる。これによって、内部電源はまったく不要となる。このような事実は、RFIDタグのシミュレーション機能と考えられるような受動通信モードとは明らかな対照をなすものである。上記のような本質的な利点は、以下に記載する利用状況の事例を参照することによって、さらに明確なものとなる。さらに、RFIDタグ機能の実施構成例を取り扱う利点は、本発明の実施形態に基づくRFIDタグリーダ装置に照らして明らかになるであろう。
【0053】
上記に例示されているように、RFIDタグリーダ装置600が検索可能な情報であって、RFIDタグユニット200に格納されている情報は、適切な格納コンポーネントに格納される。この格納コンポーネントは、読み取り専用の格納コンポーネントまたは設定変更可能な格納コンポーネントであってもよい。設定変更可能な可能格納コンポーネントの場合、複数種の格納技術が適用可能であり、特に、設定変更可能な不揮発性の格納技術が興味の対象となる。
【0054】
図1の場合と同様に、図2に具体化されているようなRFIDタグリーダ装置600は、図1に示されている携帯端末装置1および携帯端末装置2のような携帯端末装置700に取り付けられているか、または、当該携帯端末装置700に埋め込まれているものと想定する。従来方式のように、携帯端末装置700にて実行されるアプリケーションが、RFIDタグリーダ装置600と携帯端末装置700との間で交換されるデータのインタフェースとして機能する直列インタフェースのようなインタフェースをRFIDタグリーダ装置600に設けることによって、RFIDタグリーダ装置600により提供される機能を利用できるようにしてもよい。アプリケーションプログラムインタフェース(API)層が、アプリケーション400およびアプリケーション410のようなアプリケーションとRFIDタグリーダ装置600との間の通信をサポートするようにしてもよい。
【0055】
これまでは、複数の機能ユニットによる上記実施形態に基づくRFIDタグリーダ装置600の動作について説明したが、以下の図3aおよび図3bでは、さらに詳細な具体化されたRFIDタグリーダ装置が例示されている。
【0056】
図3aは、本発明に基づくRFIDタグリーダ装置の一つの実施形態を示すブロック図である。
【0057】
図3aに示すように、RFIDタグリーダ装置600は、リーダロジック310、オプションのリーダメモリ320、RFインタフェース150およびアンテナ160を備える。これらの構成部品によって、完全な従来方式のタグリーダ装置が確立される。本発明に関連して、例示のRFIDタグリーダ装置600は、マトリックススイッチ100、タグロジック210およびタグメモリ250をさらに備える。アプリケーション400がRFIDタグリーダ装置600と通信できるようにするために、RFIDタグリーダ装置600は適切なインタフェースを介して端末装置700に結合される。例示のRFIDタグリーダ装置600は、その設計時に、図2に関連して説明したような複数の機能ユニットの配置構成に対応するものとなる。
【0058】
アンテナ160およびRFインタフェース150は、RFIDタグリーダの動作と、RFIDタグの動作とに用いられる共用ユニットである。マトリックススイッチ100はスイッチライン110を介して制御され、端末装置700によって、切り替え信号が上記スイッチライン110に供給される。代替的に、本発明の範囲を逸脱することなく、RFIDタグリーダ装置600自身によってスイッチ100の切り替え状態の制御を行うようにしてもよい。そうすることによって、さらに高い可読性(readability )を保証することが可能になる。ショウ通信モードでは、上記に規定されているように、アンテナ160およびRFインタフェース150がスイッチ100を介してタグロジック210に結合されるのに対して、他の全ての通信モードでは、アンテナ160およびRFインタフェース150はスイッチ100を介してリーダロジック310に結合される。RFIDタグの外部から目に見えるような物理的なプロパティにおいて、RFIDタグ機能が受動型のRFIDタグに対応しているため、RFインタフェースは、(図示の)スイッチ100を介して、または切り替えを行わずに、少なくとも電源信号およびクロック信号を直接(図示されていない)タグロジック210に付加的に出力することができる。
【0059】
ショウ通信モードでは、すなわち、RFIDタグ機能を動作させる際は、RFインタフェース150によって、要求元のRFIDタグリーダ装置からRFIDタグへのアナログ無線周波数送信チャネルと、RFIDタグのタグロジック210との間でインタフェースが形成される。要求元のRFIDタグリーダ装置から出力される変調済みRF(HF)信号は、復調によってRFインタフェース150にて再構築され、上記タグロジックでの再処理用ディジタル・シリアルデータ列が作成される。タグロジック210は、アドレス用ロジックおよび/またはセキュリティ用ロジックとして機能するディジタルロジックとして具体化することが望ましい。RFインタフェース150内のクロック・パルス発生回路は、要求元のRFIDタグリーダ装置により供給されるRF(HF)フィールドの搬送周波数からデータ搬送波用システムクロックを生成する。RFインタフェース150は、要求元のRFIDタグリーダ装置へデータを返送するために送信されるディジタルデータによって制御されるようなロード変調器(load modulator)または反射型変調器(または、周波数分割器等の任意の代替的な処理手段)をさらに組み込んだものであってもよい。さらに、RFインタフェース150は、整流済み安定化電源電圧としてタグロジック210に供給される電流をアンテナ160から取り出す。
【0060】
タグロジック210は、受動読み取り専用のRFIDタグ構成と、書き換え可能なRFIDタグ構成とをサポートするものであってもよい。受動読み取り専用のRFIDタグは、RFIDタグリーダ装置の問い合わせゾーンに入るや否や、タグロジック210に関連するタグメモリ250に格納されている情報の連続送信を開始する。原則的には、別個の構成部品として示されるタグメモリ250はタグロジック210に含まれるものであってもよい。この格納済み情報は、RFIDタグの本来の目的に関するタグ識別番号を含むものであってもよい。しかしながら、上記の格納済み情報はこれに限定されるものではない。タグロジック210の実現性および複雑さに依存して、上記の格納済み情報に基づく非常に複雑な動作も生じる可能性がある。この場合、これらの動作は、例えば問い合わせ信号で変調されたコマンド等の、問い合わせゾーンで追加送信されるコマンドが指示するものであってもよい。
【0061】
典型的には、受動読み取り専用のRFIDタグとRFIDタグリーダ装置との間の通信は片方向であり、RFIDタグは、RFIDタグリーダ装置へ上記の格納済み情報を連続して送信する。しかしながら、RFIDタグリーダ装置からRFIDタグへデータ送信を行うことは可能である。RFIDタグリーダ装置によってデータと共に書き込むことが可能な書き換え可能なRFIDタグの構成は、専らタグメモリ250の実施構成例のみに依存する可変メモリ容量を用いて実現することができる。典型的には、RFIDタグへの書き込みおよび読み取りのアクセスは複数のブロックにて実行される場合が多い。これらのブロックは、予め規定されたバイト数を集合させることにより形成され、次いで、これらのブロックの読み取りや書き込みが行われる。
【0062】
状態マシンとして、単純な実施構成でタグロジック210を実現してもよい。
【0063】
能動通信モードおよび/または受動通信モードにおいて、すなわち、RFIDタグリーダ機能を動作させる際に、RFインタフェース150は送信装置および受信装置を形成する。
【0064】
RFIDタグリーダ機能と連携して動作する際に、RFインタフェース150は以下の機能を実行することが望ましい。このRFインタフェース150は、問い合わせ信号として機能する無線周波数/高周波数(RF/HF)送信出力信号を生成し、RFIDタグを活性化し、RFIDタグに電力を供給するように構成される。さらに、RFインタフェース150は、搬送周波数で送信信号を変調して、問い合わせがなされたRFIDタグへデータおよび/または命令を送信し、問い合わせがなされたRFIDタグが返送した応答信号の受信および復調を行うように構成される。
【0065】
特珠用途向け集積回路(ASIC)モジュール、マイクロコントローラ(μC)、およびマイクロプロセッサ(μP)等としてリーダロジック310を実装してもよい。RFIDタグリーダ装置600を埋め込んだり、RFIDタグリーダ装置600を取り付けたりした端末装置700との通信を可能にするために、リーダロジック310にも(RS232インタフェース等の)直列インタフェースのようなデータ通信インタフェースを設けている。このデータ通信インタフェースによって、RFIDタグリーダ装置600(スレーブ)と、端末装置700で実行される外部アプリケーション400(マスタ)との間でのデータ交換が行われる。
【0066】
リーダロジック310は、オプションのリーダメモリ320と関連づけられたものであってもよい。従来方式のように、別個のリーダメモリ320はRFIDタグリーダ機能には必要ではないが、端末装置700、およびRFIDタグまたは別のRFIDタグリーダ装置との通信用バッファ記憶装置として、リーダメモリ320を使用してもよい。
【0067】
本発明に照らして、タグメモリ250が設定変更可能である場合もある。すなわち、タグメモリに格納されている情報の変更、追加、処理および/または削除を行うことも可能である。本発明の実施形態によれば、設定変更可能なタグメモリ250に格納されている情報の構成を端末装置700、および、端末装置700で実行されるアプリケーションに限定するようにしてもよい。さらに、設定変更可能なタグメモリ250へのアクセスを端末装置700で実行される一つ以上の専用アプリケーションに限定し、格納済み情報の種類に応じて、それぞれ要求されかつ必要となる可能性のあるデータの完全性を確保するようにしてもよい。
【0068】
端末装置700と、メモリタグ250に対して端末装置700で実行される一つ以上のアプリケーションとを接続する専用インタフェース(図示せず)を介して、中に格納されている情報を構成するタグメモリ250へのアクセスをそれぞれ確立するようにしてもよい。代替的に、中に格納されている情報を構成するタグメモリ250へのアクセスは、それぞれ、リーダロジック310およびマイクロプロセッサ(μP)/マイクロコントローラ(μC)を介して(仲介して)確立してもよい。このマイクロプロセッサ(μP)/マイクロコントローラ(μC)には、RFIDタグリーダ装置600と、端末装置700と、この端末装置700でそれぞれ実行される一つ以上のアプリケーションとの間のデータ通信のインタフェースとして機能するインタフェースが設けられている。
【0069】
例えば、タグメモリ250に格納されている情報の構成が、端末装置700で実行されるある特定のアプリケーションに限定される場合、外部から目に見えるようなRFIDタグのプロパティは、読み取り専用のRFIDタグと同様のものになる。これは、別の通信用のRFIDタグリーダ装置600がRFIDタグ機能へ切り替えられたときに、RFIDタグリーダ装置が読み取り専用のRFIDタグとしてRFIDタグリーダ装置600を認識することを意味するものである。特に、RFIDタグリーダ装置600がRFIDタグ機能へ切り替えられたときに、別の通信用のRFIDタグリーダ装置は、RFIDタグリーダ装置600を受動読み取り専用のRFIDタグとして認識する。
【0070】
設定変更可能なタグメモリ250とは、他の通信用のRFIDタグリーダ装置に対して読み取り専用属性を示す一方で、タグメモリ250に格納されている情報が上記に教示した状況の下で修正可能なダイナミックタグメモリ(dynamic tag memory)250であると理解することができる。原則的には、タグメモリ250の記憶容量には、タグメモリ250に格納されている情報専用の利用範囲に上記記憶容量を適合させるような制限は設けられていない。特に、この記憶容量は、典型的には受動読み取り専用の小型RFIDタグ用の量となるような量にしてもよい。RFIDタグリーダ装置から出力される問い合わせ信号の電界エネルギが受動型のRFIDタグの活性化用として用いられるという事実に起因して、その間で通信が行われる受動読み取り専用のRFIDタグとRFIDタグリーダ装置との間の距離には制限が設けられる。これは、受動読み取り専用のRFIDタグと、受動型のRFIDタグに格納されている情報を検索するRFIDタグリーダ装置とが適切な距離で隔置されている限り、2つの通信用装置(それぞれRFIDタグおよびRFIDタグリーダ装置)のうちの一方が動作している場合でも、受動型のRFIDタグに格納されている情報の送信を行う必要があることを意味するものである。記憶容量、および、RFIDタグとRFIDタグリーダ装置との間の情報通信量が小さければ小さいほど、信頼性の高い送信が行われる蓋然性は高くなる。典型的な受動読み取り専用のRFIDタグ、したがってタグメモリ250には、100バイト〜150バイトの記憶容量を設けることも可能であるが、これに限定されるものと本発明を理解すべきではない。
【0071】
代替的に、タグロジック210の形で実現可能なセキュリティ用ロジックによって、書き換え可能タイプのRFIDタグの場合と同様の、さらに、特に書き換え可能な受動型のRFIDタグの場合と同様のタグメモリ250の設定変更可能性を付与することを許可してもよい。この場合、セキュリティ用ロジックによって、情報の完全性および/または認証済みアクセスが保証されることになる。
【0072】
不揮発性の格納コンポーネントとして設定変更可能なタグメモリを実現してもよい。例えば、プログラム可能なリードオンリメモリ(PROM)または電気的に消去可能なリードオンリメモリ(EEPROM)を採用してもよい。しかしながら、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)、フェライトランダムアクセスメモリ(FRAM(登録商標))、またはポリマ材料を含む不揮発性ランダムアクセスメモリのような有望な設定変更可能な不揮発性の格納技術を採用してもよい。このように列挙された不揮発性の格納コンポーネントは上記メモリに限定されるものではなく、さらに別の設定変更可能な不揮発性の格納技術の利用も可能である。設定変更可能な不揮発性の格納技術への取り組みが主として行われている。なぜならば、本発明の利点の一つとして(上記で説明したRFIDタグリーダ装置600のRFIDタグ機能に対応する)、ショウ通信モードがいずれの電源にも依存していないからである。
【0073】
図3bは、本発明に基づくRFIDタグリーダ装置の代替的な実施形態を示すブロック図である。図3bに例示のRFIDタグリーダ装置の実施形態は、幾つかの点で図3aに図示のRFIDタグリーダ装置の実施形態と同様のものである。共用のRFインタフェース150と共用のアンテナ160とは、RFIDタグリーダ機能用およびRFIDタグ機能用として機能する。リーダロジック310は、端末装置700に対するデータ通信用インタフェース、および、端末装置700で実行されるアプリケーション400に対するデータ通信用インタフェースとしてそれぞれ機能するマイクロコントローラ(μC)310およびマイクロプロセッサ(μP)310によって実現される。さらに、上記リーダロジック310は、RFIDタグ(受動通信モード)との通信用として上記インタフェースおよびプロトコル・フレームワークを動作させ、さらに、特に能動通信モードをサポートする際に、RFIDタグリーダ装置と通信するための上記インタフェースおよびプロトコル・フレームワークを動作させるマイクロコントローラ(μC)310およびマイクロプロセッサ(μP)310によって実現される。オプションのリーダメモリ320は、マイクロコントローラ(μC)310およびマイクロプロセッサ(μP)310とそれぞれ関連づけられる。
【0074】
スイッチ/ロジックコンポーネント(図3bではスイッチ/ロジックと表記する)510は、上記に詳述したようなRFIDタグリーダ機能とRFIDタグ機能との間の切り替えが行えるようにするために、RFインタフェース150とリーダロジック310との間に配置される。スイッチ/ロジックコンポーネント510は、RFIDタグ機能の実現に必要なタグロジックを実装するものである。これに対応して、タグメモリ250はスイッチ/ロジックコンポーネント510に接続される。
【0075】
共用のRFインタフェース150は、RFIDタグリーダ機能およびRFIDタグ機能の動作に必要な信号をスイッチ/ロジックコンポーネント510に供給する。この実施形態において、スイッチ/ロジックコンポーネント510は、マイクロプロセッサ(μP)310が必要とする信号をマイクロプロセッサ(μP)310まで通過させることになる。これらの信号の通過は、スイッチ/ロジックコンポーネント510の切り替え状態に依存する。代替的に、スイッチ/ロジックコンポーネント510とマイクロプロセッサ(μP)310とは、スイッチ/ロジックコンポーネント510の機能およびマイクロプロセッサ(μP)310の機能を動作させるように構成される共用のロジックコンポーネント(図示せず)内に実装することが可能である。
【0076】
前述のように、スイッチ/ロジックコンポーネント510およびスイッチ100の切り替え状態は、それぞれ、RFIDタグリーダ装置600の機能を規定するものである。この切り替え状態、したがって切り替え動作は、上記に教示したように、適切なRFIDタグリーダ装置600の動作を保証するために重要なものである。一つの実施形態によれば、スイッチ/ロジックコンポーネント510およびスイッチ100の切り替え状態はスイッチライン110を介して出力される切り替え信号によって制御される。この切り替え信号は、RFIDタグリーダ装置600の接続先の端末装置700によって生成される。端末装置700で実行される専用アプリケーションによる切り替え状態の制御が危機状態になったり、その信頼性が低下したりする場合がある。なぜならば、端末装置700の突発的な電力の低下や予期しない電力の低下が生じた場合、切り替え状態が未確定状態になったり、切り替え状態がそれ以前の切り替え状態のままになっていたりして、RFIDタグ機能の切り替えが行われなくなる場合があるからである。このような状況のために不都合が生じることになる場合がある。
【0077】
本発明によるRFIDタグリーダ装置600のさらに信頼性の高い実施形態では、切り替え状態の選択は半自律的にまたは自律的に(それぞれ半自律動作モードおよび自律動作モードに対応する)行われる場合がある。半自律動作モードとは、例えば、突発的な電力の低下や予期しない電力の低下が生じた場合、あるいは、常時RFIDタグリーダ装置600の電源が切れている場合は、RFIDタグ機能が選択され、これに応じて切り替え状態がRFIDタグ機能に適合されることを意味する。同様に、端末装置700、および、端末装置700で実行される一つ以上のアプリケーションが、それぞれRFIDタグリーダ機能の選択/切り替えを指示した場合、RFIDタグリーダ装置600がRFIDタグリーダ機能によって動作可能になることも可能である。したがって、RFIDタグリーダ機能を選択すべき旨の明確な指示が存在しない場合、RFIDタグリーダ装置600のRFIDタグ機能がデフォルトで動作することになる。
【0078】
自律動作モードでは、スイッチ、すなわち、スイッチ100およびスイッチ/ロジックコンポーネント510は、RFIDタグ機能とRFIDタグリーダ機能との間の切り替えを自律的に選択する切り替えロジックをそれぞれ具備する。
【0079】
RFIDタグリーダ機能が、近距離場通信規格(ECMA−340)に準拠して受動通信モードと能動通信モードとをサポートすることが可能であること、および、RFIDタグ機能が、上記に規定され詳細に記述されたようなショウ通信機能をサポートすることが可能であることに留意されたい。
【0080】
利用事例
以下、例示の利用事例の概観を示すこととする。これらの事例に照らして本発明の利点が明らかになるであろう。
【0081】
(a)アクセスキー
RFIDタグの代表的な利用範囲として、制御/調査/限定が行われるアクセス領域に対するアクセス制御、および従来のキーにとって代わるRFIDタグの利用が挙げられる。RFIDタグを用いて、ドアの開閉、車両の始動、およびコンピュータへのアクセスの取得等が可能になる。例えば、従来の技術による自動車のキーの中に上記のようなRFIDタグを埋め込むことによって、窃盗の防止や、オフィスのドアを開くキーの交換が行われる。アクセス制御を行うために、アクセス制御システムのRFIDタグリーダ装置は、従来方式の受動読み取り専用のRFIDタグであるRFIDタグから情報の検索を行う。この情報はアクセス制御システムによりチェックされ、アクセスの許可/不許可が決定される。
【0082】
上記に教示したような受動通信モードをサポートするRFIDタグリーダ装置を使用する場合、受動通信モードにてRFIDタグリーダ装置を動作させるための上記のような電源利用要件は重大な欠点となる。電源のエネルギ(電力の供給)が切れるや否や、RFIDタグリーダ装置はそれ以上動作不能となり、受動通信モードでRFIDタグのシミュレーションを行うように構成されるRFIDタグリーダ装置の機能障害に起因してアクセスは拒否される。
【0083】
本発明の一つの実施形態にそれぞれ関連するショウ通信モードの実施構成例およびRFIDタグ機能によって、アクセスに必要な情報が、いずれの電源にも依存せずに常に検索用として利用可能となることが保証される。
【0084】
ダイナミックタグメモリとも呼ばれる設定変更可能なタグメモリを具備する本発明の一つの実施形態によれば、この設定変更可能なタグメモリによって、アクセス情報の格納、格納済みアクセス情報の修正、格納済みアクセス情報の削除、および/またはタグメモリへの新たなアクセス情報の追加が可能になる。このような設定変更可能なタグメモリは、例えば、一時アクセス情報に関連して有用であり、この一時アクセス情報を採用して、例えばホテルの部屋のドアを開いたり、レンタカーを始動したり、解雇後にそのオフィスへの従業員のアクセスを取り消したりすることが可能になる。
【0085】
(b)存在表示/存在制御
存在識別および存在制御は、例えば、窃盗予防システム取引として運用される電子的物品監視として周知の応用に関連するものである。さらに、存在識別は、従業員の在社制御、学内における学生の存在等のような出席リストの管理を行う応用範囲での利用も可能になる。このような存在識別および存在制御は、電子的物品監視の場合と同じように動作可能なものであってもよく、問い合わせゾーンの範囲内に存在するビルの入口に設置することが望ましい。問い合わせゾーンを通過し、自分の存在を示す意図を有する個々の人は、その人に関連した対応する識別情報が格納されているRFIDタグを担持することになる。
【0086】
このような存在識別/存在制御用アプリケーションとして、上記に教示したような受動通信モードをサポートするRFIDタグリーダ装置を利用する場合、受動通信モードでRFIDタグリーダ装置を動作させる電源利用要件は、上記で説明した第1の事例と同じように重大な欠点となる。電源のエネルギ(電力の供給)が切れるや否や、RFIDタグリーダ装置はそれ以上動作不能となり、やはり受動通信モードでのRFIDタグリーダ装置の機能障害に起因して存在識別/存在制御もそれ以上動作不能となる。
【0087】
本発明の一つの実施形態とそれぞれ関連するショウ通信モードの実施構成例およびRFIDタグ機能によって、存在識別/存在制御に必要な情報が、いずれの電源にも依存せずに常に検索用として利用可能となることが保証される。
【0088】
(c)電子チケット、支払い、ロイヤルティカード、および業務用名刺/Vカード情報、...
利用事例「アクセスキー」および利用事例「存在表示/存在制御」について行った説明は、別の同様の対応する利用範囲にも同じように当てはまるものである。全ての利用事例に共通して、情報が提供され、前述のタイプのRFIDタグリーダ装置を備えた装置の電力供給状態に依存せずにRFIDタグリーダ装置による情報検索が行われる。このような情報は、電子チケット、電子支払い、ロイヤルティカード、業務用名刺、およびVカード情報等に関する情報を含むものであってもよい。検索対象情報として提供される有用情報の列挙は無制限にあり、したがって、上記列挙情報のセットは単に例示にすぎない。
【0089】
提供された情報がいずれの電源にも依存せずに絶対確実に検索可能である場合、本発明の一つの実施形態に準拠する改良されたRFIDタグリーダ装置は、好ましい態様で常に利用可能になる。特に、RFIDタグリーダ装置への電力供給にも役立つ携帯用電子装置の電源は信頼性の高いものではない。なぜならば、ユーザが、携帯用電子装置に電力を供給する蓄電池の再充電を忘れたり、消耗した電池を交換して新しい電池を挿入するのを忘れたりする場合があるからである。
【0090】
設定変更可能なタグメモリの利点は、前述の利用事例と関連して明らかである。
【0091】
(d)供給連鎖管理
供給連鎖管理は、個々の製品を個々に追跡する現代の生産環境で非常に重要なものである。供給連鎖管理の追跡を目的として、個々の製品に付けられたRFIDタグは、追跡に必要な対応する情報を含むRFIDタグを設けた個々の製品の識別および位置を自動的に処理する。
【0092】
電子装置の製造中、特に携帯用電子装置の製造中に、これらの装置にはそれぞれ電力が供給されず、動作電源が装備されていない。この場合、受動通信モードで動作可能なRFIDタグリーダ装置であっても供給連鎖管理の追跡を実施する目的に利用することはできない。なぜならば、受動モード通信は、RFIDタグリーダ装置の活性化を必要とするからである。これとは対照的に、本発明の一つの実施形態によるRFIDタグリーダ装置は、追跡に必要な情報の提供に有効なものである。本発明の一つの実施形態によるRFIDタグリーダ装置に対して追跡に必要な情報を提供することも可能であり、さらに、RFIDタグ機能(ショウ通信モード)が当該機能の点で受動型のRFIDタグに対応しているという事実に起因して、このRFIDタグリーダ装置はタグメモリに格納されている格納済み追跡情報を提供する能力を有するものとなる。さらに、タグメモリを設定変更可能な形で具体化する場合、追跡情報は、製造中に追跡を実施するためにタップメモリに格納され、その後消去されて、前述のような任意の利用範囲のためのRFIDタグ機能を利用することができるようになる。
【0093】
(e)ペアリング(pairing)情報(ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))
本発明の一つの実施形態に準拠する改良されたRFIDタグリーダ装置を採用することによって、改良されたRFIDタグリーダ装置に接続された装置と、改良されたRFIDタグリーダ装置からペアリング情報を検索するRFIDタグリーダ装置に接続された装置との間でデータ通信接続を確立するために必要なペアリング情報の提供が可能になる。このペアリング情報は、例えば、無線通信リンクをベースとするブルートゥースを設定するための構成データを含むものであってもよい。したがって、この構成データは、無線通信接続に関する装置固有の情報を含むことが可能となる。
【0094】
インタフェースに対する変更に起因して、構成データの変更や構成データの交換が必要な場合でさえ、設定変更可能なタグメモリは、有効なペアリング情報の提供をサポートすることになる。
【0095】
これまで、RFIDタグリーダとRFIDタグとの間の通信と、一つのRFIDタグリーダと他のRFIDタグリーダとの間の通信とをサポートするRFIDタグリーダ装置に関連して本発明について説明したことに留意されたい。上記の説明を考慮したときに、一つのRFIDタグリーダと他のRFIDタグリーダとの間の通信のサポートは、オプションの特徴であって、本発明の実施形態に基づくRFIDタグリーダ装置にとって必須のものではないことを理解されたい。本発明の実施形態に基づくRFIDタグリーダ装置のRFIDタグ機能(ショウ通信モードとも呼ばれる)は、任意の利用範囲で一つのRFIDタグリーダと他のRFIDタグリーダとの間の通信を代替するサポートを行うことが可能である。利用事例「ペアリング情報」を参照すると、この事例では、極めて複雑なものとなる完全な一つのRFIDタグリーダと他のRFIDタグリーダとの間の通信のサポートが、経済的観点から見て実用にかなったものではないことを認識することができる。
【0096】
経済的な観点から見て、共用のRFインタフェースと共用のアンテナの利用は経済的に理にかなったものであり、適正な価格のRFIDタグリーダ装置の提供をサポートするものとなることをさらに付記しておく。
【0097】
技術の進歩につれて、多くの方法で本発明の概念の実現が可能になることは当業者にとって明らかである。したがって、本発明およびその実施形態は、前述の記載例に限定されるものではなく、特許請求の範囲における請求項の範囲内で変更することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】RFIDタグリーダとRFIDタグとの間の従来の技術による通信を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態によるRFIDタグリーダの複数の機能ユニットを示すブロック図である。
【図3a】本発明に基づくRFIDタグリーダの一つの実施形態を示すブロック図である。
【図3b】本発明に基づくRFIDタグリーダの代替的な実施形態を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数インタフェース(150)とアンテナ(160)とを有し、これによって、リーダ動作モードにて前記無線周波数識別トランスポンダ(700)と通信するように構成される無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置において、
前記無線周波数インタフェース(150)に接続されることが可能であって該無線周波数インタフェース(150)と関連づけられたトランスポンダロジックユニット(200、210、510)を備えており、該トランスポンダロジックユニット(200、210、510)はトランスポンダ動作モードにて動作することが可能であり、
前記無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置は、前記トランスポンダ動作モードで無線周波数識別トランスポンダ(700)として作用することを特徴とする無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置。
【請求項2】
前記無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置が、さらに、リーダロジックユニット(300、310)を備えており、該リーダロジックユニット(300、310)は、前記無線周波数インタフェース(150)に接続され、かつ、前記リーダ動作モードでの動作を可能にする請求項1に記載の無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置。
【請求項3】
前記トランスポンダ動作モードにおいて、いずれの電源からも独立して動作可能である請求項1または2に記載の無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置。
【請求項4】
前記トランスポンダ動作モードにおいて、前記無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置が、受動型の無線周波数識別トランスポンダ(700)として動作するように構成される請求項2または3に記載の無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置。
【請求項5】
前記トランスポンダ動作モードで、無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置が、読み取り専用の無線周波数識別トランスポンダ(700)として作用する請求項2または3に記載の無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置。
【請求項6】
前記トランスポンダロジックユニット(200)がトランスポンダメモリ(250)を具備する請求項1から5のいずれか一項に記載の無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置。
【請求項7】
前記トランスポンダメモリ(250)が不揮発性である請求項6に記載の無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置。
【請求項8】
前記トランスポンダメモリ(250)が設定変更可能である請求項6または7に記載の無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置。
【請求項9】
前記トランスポンダロジックユニット(200)が、スイッチユニット(100、510)を介して前記無線周波数インタフェース(150)に結合され、前記スイッチユニット(100、510)は、前記リーダ動作モードと前記トランスポンダ動作モードとの間で選択を行うことができるように動作することが可能である請求項1から8のいずれか一項に記載の無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置。
【請求項10】
前記無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置が活性化されていない期間中は、前記トランスポンダ動作モードで自律的に動作する請求項1から9のいずれか一項に記載の無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置。
【請求項11】
前記無線周波数インタフェース(150)が、前記リーダ動作モードおよび前記トランスポンダ動作モードにおいて、前記無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置の動作に必要な信号を供給するように構成される請求項1から10のいずれか一項に記載の無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置。
【請求項12】
無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置が、近距離場通信(ECMA−340)規格をサポートしており、さらに、受動通信モードを用いて前記リーダ動作モードで動作することが可能であり、かつ、ショウ通信モードを用いて前記トランスポンダ動作モードで動作することが可能である請求項1から11のいずれか一項に記載の無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置。
【請求項13】
前記無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置が、能動通信モードを用いて前記リーダ動作モードで動作することが可能である請求項12に記載の無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置。
【請求項14】
無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置(600)に接続される携帯用電子装置であって、前記無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置(600)が、無線周波数インタフェース(150)とアンテナ(160)とを有し、これによって、前記無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置(600)がリーダ動作モードにて少なくとも前記無線周波数識別トランスポンダ(700)と通信を行うように構成される携帯用電子装置において、
前記無線周波数インタフェース(150)に接続されることが可能であって該無線周波数インタフェース(150)と関連づけられたトランスポンダロジックユニット(200、210、510)を備えており、該トランスポンダロジックユニット(200、210、510)はトランスポンダ動作モードにて動作することが可能であり、
前記無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置(600)は、前記トランスポンダ動作モードで無線周波数識別トランスポンダ(700)として作用することを特徴とする携帯用電子装置。
【請求項15】
前記無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置(600)が、請求項1から13のいずれか一項に記載の無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置である請求項14に記載の携帯用電子装置。
【請求項16】
前記携帯用電子装置のスイッチをオンにして、公衆地上移動通信ネットワークを介して通信を行うように構成される請求項14または15に記載の携帯用電子装置。
【請求項17】
携帯用電子装置と、該携帯用電子装置に接続される無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置(600)とを有するシステムであって、前記無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置(600)が、無線周波数インタフェース(150)とアンテナ(160)とを有し、これによって、前記無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置(600)がリーダ動作モードにて少なくとも前記無線周波数識別トランスポンダ(700)と通信を行うように構成されるシステムにおいて、
前記無線周波数インタフェース(150)に接続されるトランスポンダロジックユニット(200、210、510)を備えており、該トランスポンダロジックユニット(200、210、510)はトランスポンダ動作モードにて動作することが可能であり、
前記無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置(600)は、前記トランスポンダ動作モードで無線周波数識別トランスポンダ(700)として作用することを特徴とするシステム。
【請求項18】
前記前記無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置(600)が、請求項1から13のいずれか一項に記載の無線周波数識別トランスポンダ用リーダ装置である請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記携帯用電子装置のスイッチをオンにして、公衆地上移動通信ネットワークを介して通信を行うように構成される請求項17または18に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−516623(P2007−516623A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504352(P2005−504352)
【出願日】平成15年7月22日(2003.7.22)
【国際出願番号】PCT/IB2003/002900
【国際公開番号】WO2005/008575
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】