説明

トリアミド誘導体及びその生産方法

【課題】抗マラリア剤として有用な化合物の提供。
【解決手段】ストレプトミセス(Streptomyces sp.)属に属する微生物を培養し、その培養物から活性物質であるトリアミド誘導体を採取した。本発明のトリアミド誘導体又はその塩は、良好な抗マラリア活性を有する一方、哺乳動物の培養細胞においては細胞障害活性が弱く、また病原菌を含む細菌、真菌種にほとんど活性を示さない。よって、本発明化合物は選択的で安全性の高い抗マラリア剤として、マラリア疾患の予防または治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、医薬、殊にマラリア疾患の予防又は治療剤として有用なトリアミド誘導体、その生産方法、並びに該トリアミド誘導体を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
マラリアはハマダラカ属(Anopheles)によって媒介される、熱帯熱マラリア原虫、4日熱マラリア原虫、3日熱マラリア原虫及び卵形マラリア原虫の4種類のプラスモディウム(Plasmodium)属マラリア原虫による感染で起こる病気の総称である。熱帯・亜熱帯で広く発生しており、年間の罹患者数は3〜5億人、死亡者数は150〜270万人ともいわれている。マラリアの根絶が難しい理由として、マラリア原虫の生活環の複雑さ、原虫の各種薬剤耐性、蚊の殺虫剤耐性、および有効な治療剤が無いことなどの技術的理由があげられる。
【0003】
一方、マラリアの発生地域は、地球温暖化によって、温帯地域にも拡大しつつあり、近い将来、より広い地域での流行が懸念されている。マラリアの撲滅に向けてワクチンの開発、媒介する蚊の生態生理の解明、マラリア原虫の生理機構や生活環、関連する遺伝情報の解明、人の免疫応答の解析、病理病態解析、新規抗マラリア剤の開発など、多くの研究活動が鋭意行われている。
【0004】
マラリアの治療に現在使用されている薬剤としては、キニーネ、クロロキン、ピリメタミン、メフロキン、アルテミシニン等がある。これらの薬剤は、副作用として、嘔吐、消化器症状、脳神経症状、QTc延長などが報告されることから、安全性の点で更なる改善が望まれている。また、これらの薬剤に対する薬剤耐性原虫の出現による感受性低下も報告され、新しいタイプのマラリア治療剤が求められている。
一方、微生物由来のポリエーテル系抗生物質である、モネンシン(monensin)、ニゲリシン(nigericin)(例えば、非特許文献1参照)及びサリノマイシン(salinomycin)(例えば、非特許文献2参照)等が、抗マラリア活性を示す物質として報告されている。しかしながら、いずれも急性経口毒性が高く、さらに抗マラリア効果も弱いことから、現在まで実用化に至っていない。
【0005】
【非特許文献1】「Life Sciences」 vol. 59(20), 309〜315頁(1996)
【非特許文献2】「Zentralbl. Bakteriol., Mikrobiol. Hyg.,」Ser A 256(3), 305〜313頁(1984)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
良好な抗マラリア活性とともに高い安全性を有する、新しいタイプのマラリアの予防または治療剤の創製が切望されている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、天然に存在する多くの微生物が産生する物質につき、鋭意検討した結果、ストレプトミセス属の放線菌Q41697株が優れた抗マラリア活性を有する新規化合物を生産することを見い出した。当該化合物は、現在までに報告または使用されている抗マラリア剤とは明らかに構造が異なる化合物である。本発明者等は、当該化合物が、強い抗マラリア活性を示すものの、哺乳動物の培養細胞に対する細胞障害活性が非常に弱く、また細菌、真菌種に対して活性を示さないことから、マラリア選択的で安全性の高い抗マラリア剤となりうることを知見して本発明を完成した。従来抗マラリア剤として報告された物質のほとんどが細胞障害性、抗細菌、抗真菌活性を有することから、本発明化合物は従来の抗マラリア剤とは異なる作用機序を有すると推察され、新しいタイプのマラリア疾患の予防および治療剤として期待されるものである。
【0008】
即ち、本発明は下記式(I)で表されるトリアミド誘導体又はその製薬学的に許容される塩に関する。
【化2】

(式中の記号は下記の意味を有する。
1:水素原子又はエチル基、
2:メチル又はヒドロキシメチル基、
3:水素原子、
ただし、R2及びR3は一体となってメチレン又はヒドロキシメチレン基を形成してもよい、
4及びR5:同一又は異なって、水素原子又はメチル基。)
【0009】
また、本発明は、ストレプトミセス(Streptomyces)属に属し、かつ前記式(I)で表されるトリアミド誘導体又はその製薬学的に許容される塩を生産する能力を有する微生物を培養し、その培養物から該トリアミド誘導体又はその製薬学的に許容される塩を単離することを特徴とする該トリアミド誘導体又はその製薬学的に許容される塩の生産方法に関する。前記式(I)で表されるトリアミド誘導体又はその製薬学的に許容される塩を生産する能力を有するストレプトミセス(Streptomyces)属に属する微生物として、ストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)Q41697株(FERM P−19382号)が挙げられ、これは本発明において最も有効に使用される菌株の1つである。本発明は、当該ストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)Q41697株にも関する。
更に、本発明は、前記式(I)で表されるトリアミド誘導体又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物、殊に、マラリア疾患の予防又は治療剤並びに殺マラリア原虫剤に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明化合物は、幾何異性体や互変異性体が存在するが、本発明にはこれらの異性体の分離したもの、あるいは混合物が包含される。更に本発明化合物は、不斉炭素原子を有しており、当該不斉炭素原子に基づく異性体が存在する。本発明はこれら光学異性体の混合物や単離されたものを包含する。
本発明化合物の塩としては、製薬学的に許容される塩であり、具体的にはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の金属を含む無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リジン、オルニチン等の有機塩基との塩等を挙げることができる。
本発明は、前記式(I)で表されるトリアミド誘導体又はその製薬学的に許容される塩の各種の水和物や溶媒和物及びこれらの結晶並びにその結晶多形の物質をも包含する。なお、本発明化合物には、生体内において代謝されて該トリアミド誘導体又はその製薬学的に許容される塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて包含される。本発明のプロドラッグを形成する基としては、Prog. Med. 5:2157-2161(1985)に記載されている基や廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻 分子設計163-198に記載されている基が挙げられる。
【0011】
(生産方法)
本発明のトリアミド誘導体は、ストレプトミセス属に属しかつ該トリアミド誘導体又はその製薬学的に許容される塩の生産能を有する微生物を用いて製造することができる。このような微生物として好ましくは、沖縄県西表島で採取された土壌より分離されたストレプトミセス(Streptomyces)属に属するストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)Q41697株である。本菌株の菌学的性状は次の通りである。
【0012】
1.各種寒天培地における性状
本菌株の各種寒天培地における性状は、表1に示す通りである。特に記載しない限り、28℃で21日間培養し、常法にしたがって観察したものである。色調の記載については色の標準(日本色彩研究所)による。表中の略号は、G:生育程度、A:気菌糸の着生及びその色相、R:裏面の色相、S:可溶性色素をそれぞれ示す。
【0013】
【表1】

【0014】
2.生理学的性質
本菌株の各種生理学的性質を表2に、また炭素源の資化性を表3に示す。表2において、生育温度は各温度(5, 10, 15, 20, 24, 28, 32, 37, 40, 45, 50℃)で、7〜21日までの観察結果、ミルクに対する作用は37℃で3〜21日までの観察結果、それ以外は特に指摘のないかぎり、28℃で2週間後の観察結果を示す。また、表3における略号は、+:資化する、−:資化しない、をそれぞれ示す。
【0015】
【表2】

【0016】
【表3】

【0017】
3.形態的特徴
本菌株は各種有機及び無機培地において良く生育し、基生菌糸の色調はうす黄茶〜黄味灰色を呈する。気菌糸は、無機塩・スターチ寒天培地、オートミール寒天培地において最も良く形成され、白〜うす黄茶色を呈する。気菌糸はよく発達した基生菌糸上に着生し、単純分岐で、その先端に最大50個程度の胞子が連鎖し、成熟に従って螺旋状になる。液体培養で基生菌糸の断片化は見られない。電子顕微鏡による観察では、胞子の形状は円筒形、大きさは0.8〜1.1μm×0.5〜0.7μmで、その表面構造はトゲ状である。胞子嚢、運動性胞子等の特殊な器官は観察されない。
【0018】
4.菌体成分の化学分析
Lechvalierらの方法(Lechvalier, MP. et al; PP277-338 in DIETZ, A et al ed., Actinomycete Taxonomy, SIM Special Publication No. 6, 1980)に従い本菌株の酸加水分解物の分析を行った結果、LL-ジアミノピメリン酸が検出された(細胞壁タイプI)。
【0019】
上記諸性状より、本菌株はストレプトミセス (Streptomyces) 属に属する菌株と判断された。そこで、本菌株をストレプトミセス エスピー (Streptomyces sp.) Q41697株と命名した。本菌株は独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19382号として寄託されている。また、微生物は人工的に又は自然に変異を起こすので、本発明のストレプトミセス エスピー (Streptomyces sp.) Q41697株は、天然から分離された微生物の他に、これを紫外線、X線、化学薬剤などで人工的に変異させたもの及びそれらの天然変異株についても包含する。
【0020】
本発明のトリアミド誘導体は、ストレプトミセス属に属しかつ該トリアミド誘導体生産能を有する微生物、好ましくはストレプトミセス エスピーQ41697株を、栄養源を含有する培地に接種し好気的に発育させることにより得ることが出来る。
培養に用いられる培地は、使用する微生物が生育可能な培地であればよく、合成培地、半合成培地あるいは天然培地を用いることができる。
栄養物としては、本発明の菌株が資化する栄養源を使用すればよい。例えば、窒素源としては、ペプトン、肉エキス、コーン・スティープリカー、綿実粉、落花生粉、大豆粉、酵母エキス、NZ−アミン、カゼインの水解物、魚粉、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の無機または有機の窒素源が使用できる。炭素源としては、糖蜜、澱粉、デキストリン、蔗糖、グルコース、マルトース、フラクトース、キシロース、ラムノース、マンニトール、グリセリン等の炭水化物あるいは脂肪等が使用できる。
【0021】
また金属塩として、Na、K、Mg、Ca、Zn、Fe等の硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩、燐酸塩、炭酸塩等が必要に応じて添加される。さらに必要に応じてバリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、リジン、アルギニン、システイン、シスチン等の他、通常知られているアミノ酸類や、オレイン酸メチル、ラード油、シリコン油、界面活性剤等の生成促進化合物または消泡剤が適宜使用される。これらのもの以外でも、該生産菌が利用し、本発明化合物の生産に役立つものであれば所望により使用することができる。
培養は、一般の抗生物質製造における培養と同様に行えばよく、その培養方法は固体培養でも液体培養でもよい。液体培養の場合は静置培養、振とう培養、攪拌培養のいずれを実施してもよいが、特に通気攪拌培養が望ましい。培養条件として、培養温度は生産菌が発育し、本発明の化合物を生産しうる温度、すなわち15〜37℃の範囲で適宜適用できるが約24〜32℃が好ましい。pHは4〜9の範囲で適宜適用できるが、6〜8が好ましい。培養時間は種々の条件によって異なり、通常1〜30日程度である。
【0022】
培養物から目的とする化合物を単離するには、微生物の代謝産物を単離する際に用いる通常の抽出、分離、精製の手段が適宜利用できる。培養物中の該物質は培養液をそのままか、又は遠心分離あるいは培養物に濾過助剤を加えて濾過して得られた培養濾液に酢酸エチル、クロロホルム、ベンゼン、トルエン等の水と混和しない有機溶剤を加えて抽出する。また、培養濾液を適宜の担体に接触させ、濾液中の生産物質を吸着させ、次いで適当な溶媒で溶出することにより該物質を分離することができる。例えば、アンバーライト(登録商標)XAD2、ダイヤイオン(登録商標、以下同じ)HP20、ダイヤイオンCHP20P、又はダイヤイオンSP850のような多孔性吸着樹脂に接触させて該物質を吸着させる。次いでメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル等の有機溶媒と水の混合液を用いて該物質を溶出させる。所望によりpH調節のためトリフルオロ酢酸等を加えてもよい。このときの有機溶媒の混合比率を低濃度より段階的に又は連続的に高濃度まで上げていくことにより、該物質を含む画分を効率よく得ることができる場合がある。
【0023】
更に、上記の各操作法を用いて得た該物質含有画分を、常用の吸着担体、例えば、活性炭、アルミナ、シリカゲル、セルロース等を用いたカラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーやゲルろ過クロマトグラフィ−、シリカゲル系ODS逆相担体のカラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や逆相固相抽出及び遠心液々分配クロマトグラフィー等の常法の分離精製法に付すことにより、より純粋な目的物質を得ることができる。
【0024】
本発明の該トリアミド誘導体又はその製薬学的に許容される塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する本発明の医薬組成物は、当分野において通常用いられている薬剤用担体、賦形剤等を用いて通常使用されている方法によって調製することができる。投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は、静注、筋注等の注射剤、坐剤、点眼剤、眼軟膏、経皮用液剤、軟膏剤、経皮用貼付剤、吸入剤、経粘膜液剤、経粘膜貼付剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
【0025】
本発明による経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、一つ又はそれ以上の活性物質が、少なくとも一つの不活性な賦形剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤やカルボキシメチルスターチナトリウム等の崩壊剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性又は腸溶性コーティング剤で被膜してもよい。
【0026】
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な溶剤、例えば精製水、エタノールを含む。この組成物は不活性な溶剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁化剤のような補助剤、甘味剤、矯味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤を含有する。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート80(商品名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解、懸濁して使用することもできる。
【0027】
通常、経口投与の場合、成人1日当り経口で0.1〜500mg、非経口で0.01〜100mgがそれぞれ適当であり、これを1日1回乃至複数回に分けて投与する。投与量は症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。投与量は種々の条件で変動するので、上記投与量範囲より少ない量で十分な場合もある。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等限定されるものではない。
【0029】
実施例1
グルコース 10g、ポテトスターチ 20g、ポリペプトン 5g、イーストエキス 5g、炭酸カルシウム 4g、蒸留水1 Lを含む培地(pH 7.0)を100 mlずつ500 ml容の三角フラスコに分注し、120℃で20分間滅菌した。ベネット寒天培地に充分に生育させたQ41697株をかき取って接種し、28℃、220回転/分の条件で4日間、振とう培養した。その培養液を同じ組成の培地の入った三角フラスコ3本に2 mlずつ種菌し、同条件で4日間培養したものを種培養液とした。同じ組成の培地100 mlが入った500 ml容三角フラスコ200本に前記の種培養液を各フラスコに2 mlずつ接種し、28 ℃、220回転/分の条件下で9日間、振とう培養を行い本培養とした。
【0030】
上記培養方法により得られた培養液20 Lを吸引濾過し、上清液と菌体画分に分離した。菌体画分には80%(V/V)アセトン水溶液20Lを添加し、3時間攪拌後、ラヂオライト#600(昭和化学工業社製)を加えて濾過し、減圧条件下得られた濾液からアセトンを留去した。この菌体抽出濃縮液は、樹脂量800mlのダイヤイオン HP20(三菱化学社製)カラムに通液させた。上清液は樹脂量2LのダイヤイオンHP20を用いた。その後、それぞれのカラムについて水洗し、次いで10%(V/V)アセトン水で洗浄後、70%(V/V)アセトン水溶液で活性画分を溶出した。この時用いた水洗液及び70%(V/V)アセトン水溶液は、それぞれ樹脂量の3倍量分を使用した。
【0031】
このカラムから得られた活性画分を減圧下で濃縮し、得られた残渣(28.0g)をディーイーエーイー セファデックス(DEAE SephadexTM)A-25 (Cl-)(アマシャムファルマシアバイオテック社製)の陰イオン交換樹脂(樹脂量 400 ml)に供し、蒸留水1.2 Lで洗浄後、2%、3%及び4%(V/V)の塩化ナトリウム水溶液、それぞれ1.2 Lを用いて溶出した。次に、活性成分が含まれる溶出液(約3.6L)をダイヤイオンHP20カラムクロマトグラフィー(樹脂量250ml)に通液し、750mlの蒸留水で洗浄後、750mlの95%(V/V)アセトン水溶液で溶出した。
【0032】
この溶出画分を減圧下で濃縮乾固して活性画分(11.0 g)を得た。本活性画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Wakosil C-300,:和光純薬工業社製 220g)に供した。クロロホルム :メタノール溶液(混合比 2:1)1.4 L、同液(混合比 1:1)1.4 L及びメタノ−ル1.4 L用いて溶出させ、分画により2つの活性画分(2.73g及び2.64g)を得た。
【0033】
化合物A、B、G、H及びJの単離・精製
前記のシリカゲルカラムクロマトグラフィーから得られた活性画分のうち一方(2.73g)を、PEGASIL PREP Glass Column (ODS- G3-300 ; 37×300mmセンシュ−科学社製)に供し、55%(V/V)アセトニトリル水溶液(トリフルオロ酢酸 0.05%(V/V)含有)で溶出後、分取することで3つの活性画分を得た。溶出画分液のアセトニトリルを減圧下留去した後、得られた残渣を固相抽出用カートリッジOasisTMHLB(Waters社製)を用いて脱塩し、それぞれの画分を濃縮乾固し、画分1(539 mg)、画分2 (271 mg)及び画分3(104 mg)を得た。画分1、画分2及び画分3は個々にHPLC ( L-column ODS ; 20.0×250mm (財)化学物質評価研究機構製) に供し、55%(V/V)アセトニトリル水溶液(トリフルオロ酢酸 0.05%(V/V)含有)で溶出し、分取を行った。
【0034】
画分1から得られた3つの活性画分は、再度HPLC ( L-column ODS ; 20.0×250mm) に供し、55%(V/V)アセトニトリル水溶液(トリフルオロ酢酸 0.05%(V/V)含有)で溶出し、分取した。得られた活性画分についてアセトニトリルを減圧下留去した後、OasisTMHLBで脱塩して、化合物H(15.2 mg) 、化合物B(145.0 mg)、及び化合物J(39.3mg)を得た。
画分2から得られた活性画分は、再度HPLC (L-column ODS ; 20.0×250mm)に供し、55%(V/V)アセトニトリル水溶液(トリフルオロ酢酸 0.05%(V/V)含有)で溶出し、分取した。得られた活性画分についてアセトニトリルを減圧下留去した後、OasisTMHLBで脱塩して、化合物A(184.0 mg)を得た。
【0035】
画分3から得られた活性画分は、再度 HPLC (L-column ODS; 20.0×250mm) に供し、65%(V/V)アセトニトリル水溶液(トリフルオロ酢酸 0.05%(V/V)含有)で溶出し、分取した。得られた活性画分についてアセトニトリルを減圧下留去した後、OasisTMHLBで脱塩した。更に HPLC (SUPELCOSILTMABZ+Plus column ; 10.0×250mmスペルコ社製) に供し、45%(V/V)アセトニトリル水溶液(トリフルオロ酢酸 0.05%(V/V)含有)で溶出し、分取した。得られた活性画分についてアセトニトリルを減圧下留去した後、OasisTMHLBで脱塩して、化合物G(7.8 mg)を得た。
【0036】
化合物C、D、E及びFの単離・精製
前記のシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Wakosil C-300)から得られた活性画分のうち他方(2.64g)を、PEGASIL PREP分取用ガラスカラム(ODS-G3-300 ; 37×300mmセンシュー科学社製)に供し、45%(V/V)アセトニトリル水溶液(トリフルオロ酢酸 0.05%(V/V)含有)で溶出し、目的物を含む溶出画分のアセトニトリルを減圧下留去し、得られた残渣をOasisTMHLBで脱塩して、濃縮乾固して活性画分(328.7 mg)を得た。
この活性画分を更にHPLC (L-column ODS; 20.0×250mm)に供し、45%(V/V)アセトニトリル水溶液(トリフルオロ酢酸 0.05%(V/V)含有)で溶出し、3つの活性ピークを分取した。得られた各活性画分液のアセトニトリルを減圧下留去した後、得られた残渣をOasisTMHLBで脱塩し、画分4(105 mg)、画分5(41 mg)及び画分6(103 mg)を得た。
【0037】
得られた画分4は、更にHPLC(SUPELCOSILTMABZ+Plus column ; 20.0×250mm スペルコ社製)に供し、45%(V/V)アセトニトリル水溶液(トリフルオロ酢酸 0.05%(V/V)含有)で溶出し、分取した。得られた活性画分からアセトニトリルを減圧下留去した後、OasisTMHLBで脱塩して、化合物C(45.3 mg)を得た。
同様に画分5(41 mg)を更に、HPLC (L-column ; 20.0×250mm) に供し、45%(V/V)アセトニトリル水溶液(トリフルオロ酢酸 0.05%(V/V)含有)で溶出し、分取した。活性画分をアセトニトリルを減圧下留去した後、OasisTMHLBで脱塩し、化合物E(5.4 mg)及び化合物F (2.8 mg ) を得た。
同様に画分6(103 mg)を更に、HPLC (L-column ; 20.0×250mm) に供し、55%(V/V)アセトニトリル水溶液(トリフルオロ酢酸 0.05%(V/V)含有)で溶出し、分取した。活性画分をアセトニトリルを減圧下除去した後、OasisTMHLBで脱塩し、化合物D (24.8 mg) を得た。
【0038】
上記抽出、分離、精製された化合物A、B、C、D、E、F、G、H及びJは以下のの物理化学的性質を有する。
(1)化合物A
1)色及び形状:白色粉末。
2)酸性、中性、塩基性の区分:酸性。
3)溶解性:メタノ−ル、ジメチルスルホキシドには溶けるが、ヘキサンにはほとんど溶けない。
4)紫外部吸収スペクトル(溶剤:メタノール):図1の通り。
5)高分解能FAB−マススペクトル:実測値 582.3021[M-H]-
理論値 582.3027[M-H]-
6)分子式:C2845 N310
7)1H−NMRスペクトル(500MHz,DMSO):図2の通り。
8)13C−NMRスペクトル(125MHz,DMSO):図3の通り。
【0039】
(2)化合物B
1)色及び形状:白色粉末。
2)酸性、中性、塩基性の区分:酸性。
3)溶解性:メタノ−ル、ジメチルスルホキシドには溶けるが、ヘキサンにはほとんど溶けない。
4)紫外部吸収スペクトル:図4の通り(溶剤:メタノール)。
5)高分解能FAB−マススペクトル:実測値 556.2877[M+H]+
理論値 556.2870[M+H]+
6)分子式:C2641 N310
7)1H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO):図5の通り。
8)13C−NMRスペクトル(100MHz,DMSO):図6の通り。
【0040】
(3)化合物C
1)色及び形状:白色粉末。
2)酸性、中性、塩基性の区分:酸性。
3)溶解性:メタノ−ル、ジメチルスルホキシドには溶けるが、ヘキサンにはほとんど溶けない。
4)紫外部吸収スペクトル:図7の通りである(溶剤:メタノール)。
5)高分解能FAB−マススペクトル:実測値 570.3026[M+H]+
理論値 570.3027[M+H]+
6)分子式:C2743 N310
7)1H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO):図8の通り。
8)13C−NMRスペクトル(100MHz,DMSO):図9の通り。
【0041】
(4)化合物D
1)色及び形状:白色粉末。
2)酸性、中性、塩基性の区分:酸性。
3)溶解性:メタノ−ル、ジメチルスルホキシドには溶けるが、ヘキサンにはほとんど溶けない。
4)紫外部吸収スペクトル:図10の通り(溶剤:メタノール)。
5)高分解能FAB−マススペクトル:実測値 584.3189[M+H]+
理論値 584.3183[M+H]+
6)分子式:C2846 N310
7)1H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO):図11の通りである。
8)13C−NMRスペクトル(100MHz,DMSO):図12の通りである。
【0042】
(5)化合物E
1)色及び形状:白色粉末。
2)酸性、中性、塩基性の区分:酸性。
3)溶解性:メタノ−ル、ジメチルスルホキシドには溶けるが、ヘキサンにはほとんど溶けない。
4)紫外部吸収スペクトル:図13の通りである(溶剤:メタノール)。
5)高分解能FAB−マススペクトル:実測値 600.3140[M+H]+
理論値 600.3132[M+H]+
6)分子式:C2846 N311
7)1H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO):図14の通りである。
8)13C−NMRスペクトル(100MHz,DMSO):図15の通りである。
【0043】
(6)化合物F
1)色及び形状:白色粉末。
2)酸性、中性、塩基性の区分:酸性。
3)溶解性:メタノ−ル、ジメチルスルホキシドには溶けるが、ヘキサンにはほとんど溶けない。
4)紫外部吸収スペクトル:図16の通りである(溶剤:メタノール)。
5)高分解能FAB−マススペクトル:実測値 582.3040[M+H]+
理論値 582.3027[M+H]+
6)分子式:C2844 N310
7)1H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO):第17図の通りである。
8)13C−NMRスペクトル(100MHz,DMSO):第18図の通りである。
【0044】
(7)化合物G
1)色及び形状:白色粉末。
2)酸性、中性、塩基性の区分:酸性。
3)溶解性:メタノ−ル、ジメチルスルホキシドには溶けるが、ヘキサンにはほとんど溶けない。
4)紫外部吸収スペクトル:図19の通りである(溶剤:メタノール)。
5)高分解能FAB−マススペクトル:実測値 598.2963[M+H]+
理論値 598.2976[M+H]+
6)分子式:C2844 N310
7)1H−NMRスペクトル(500MHz,DMSO):図20の通りである。
8)13C−NMRスペクトル(125MHz,DMSO):図21の通りである。
【0045】
(8)化合物H
1)色及び形状:白色粉末。
2)酸性、中性、塩基性の区分:酸性。
3)溶解性:メタノ−ル、ジメチルスルホキシドには溶けるが、ヘキサンにはほとんど溶けない。
4)紫外部吸収スペクトル:図22の通りである(溶剤:メタノール)。
5)高分解能FAB−マススペクトル:実測値 556.2879[M+H]+
理論値 556.2870[M+H]+
6)分子式:C2642 N310
7)1H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO):図23の通りである。
8)13C−NMRスペクトル(100MHz,DMSO):図24の通りである。
【0046】
(9)化合物J
1)色及び形状:白色粉末。
2)酸性、中性、塩基性の区分:酸性。
3)溶解性:メタノ−ル、ジメチルスルホキシドには溶けるが、ヘキサンにはほとんど溶けない。
4)紫外部吸収スペクトル:図25の通りである(溶剤:メタノール)。
5)高分解能FAB−マススペクトル:実測値 542.2733[M+H]+
理論値 542.2714[M+H]+
6)分子式:C2743N310
7)1H−NMRスペクトル(500MHz,DMSO):図26の通りである。
8)13C−NMRスペクトル(125MHz,DMSO):図27の通りである。
【0047】
前記の物理化学的性質から化合物A、B、C、D、E、F、G、H及びJの化学構造式は、下記のように決定された。表中の略号は、H:水素原子、Me:メチル基、Et:エチル基をそれぞれ示す。
【表4】

【0048】
実施例2
本発明化合物の抗マラリア活性を以下の方法で確認した。
(1)熱帯熱マラリア原虫の培養
プラスモジウム属の熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum ATCC 30932)株を被検マラリア原虫として用いた。in vitro 培養法に用いる培地として、ヒト血清入り培養法では Trager & Jensen の方法(Trager, W. & Jensen, J.B. (1976) Human malaria parasites in continuous culture. Science 193, 673-5) に従い、無血清培地を用いた培養法では 朝日らの方法を用いた(Asahi, H. & Kanazawa, T. (1994) Continuous cultivation of intraerythrocytic Plasmodium falciparum in a serum-free medium with the use of a growth-promoting factor. Parasitology 109, 397-401、 及びAsahi, H. et al. (1996) Hypoxanthine: a low molecular weight factor essential for growth of erythrocytic Plasmodium falciparum in a serum-free medium. Parasitology 113, 19-23)。培地のpHは7.4に調整後、赤血球を含むヒト血清を10%となるように添加した。マラリア原虫の培養は、酸素濃度5.0%、炭酸ガス濃度5.0〜7.5%、窒素濃度87.5〜90%の環境下で、35℃の温度で行った。ヘマトクリット値(赤血球浮遊液中に占める赤血球の体積の割合)は、5%に調整してから使用した。培養開始時の熱帯熱マラリア原虫の初期感染率は0.1%とした。24穴培養プレートを用いて上記の環境下で赤血球と共にマラリア原虫を培養し、培地は毎日交換しながら、マラリア原虫による赤血球の感染率が4%の時期に継代を行った。感染率は赤血球の薄層塗末標本を作成し、ギムザ染色を行った後に、顕微鏡(油浸、1,000×)下でマラリア原虫による感染赤血球の個数を計測した。
【0049】
(2)マラリア原虫の増殖阻害の試験方法
継代培養している感染赤血球を非感染赤血球 懸濁液で希釈して寄生赤血球(Parasitemia)の率を0.4%に調節した。培養液として、ヒト血清添加培地 (10%HSRPMI:10% heat-inactivated human serum + Basal medium (RPMI-1640))あるいは無血清培地(HGRPMI:3g/l growth promoting factor from adult bovine serum (under the trade name of Daigo's GF) + Basal medium (RPMI-1640) + 150 microM Hypoxanthine)を用い、培養液中の赤血球量はヘマトクリット値 が2%になるように調整した。被験化合物は最終濃度1×10-4〜1×10-8 Mになるように希釈し、5〜10μl添加した。次に熱帯熱マラリア原虫培養液を各ウエルに990〜995μlずつ加え、静かにピペッティングを行い培地に一様に懸濁させた。
陰性対照としては滅菌水、あるいはDMSOを10μlずつウエルに加え、陽性対象としてはクロロキンを用いた。培養条件は炭酸ガス5%、5〜7.5%酸素、87.5〜90%窒素ガス下で35℃にて、2〜4日保持した。
その後、培養2日目と4日目に薄層塗抹標本を作製し、ギムザ染色後に感染率を測定した。薬剤無添加区での増殖度を100%として50%の増殖を抑制する濃度をIC50値とした。
【0050】
(3)結果
本発明化合物は、良好にマラリア原虫の増殖を阻害し、化合物A、C、D、E、F、及びGの熱帯熱マラリアに対する増殖阻害活性(IC50値)はそれぞれ、2.35、0.77、7.55、7.18、5.85及び10.4μMであった。
【0051】
実施例3
本発明化合物のヒト培養細胞ヒーラ・エス・サン(HeLa SIII)に対する細胞障害活性を以下の方法で評価した。
ES培地に非働化した胎児牛血清を2%となるように添加した培地を試験培地として、CO2濃度5%、37℃で培養した。対数増殖期に入ったHeLa SIII細胞を、5×104cells/mlになるように培地で希釈した。供試化合物の溶液は、マラリア原虫を用いた抗マラリア活性測定時に調製した溶液を用いた。
96穴テストプレート中に、5×104個/mLに調製したHeLa SIII細胞を200μl、種々の濃度の供試化合物を2μl加え、CO2インキュベーター中で37℃、3日間培養した。培養後、細胞増殖度をCell Counting Kit(DOJINDO製)を用いて測定し、各濃度における増殖抑制率を求め、HeLa SIII細胞の増殖を50%抑制する濃度をIC50 値とした。本発明化合物のIC50値は、化合物Eが21 μg/ml、化合物A、B、C、D、F、G、H及びJはいずれも100 μg/ml以上であり、ヒト培養細胞に対する細胞障害活性は抗マラリア活性に比して弱いものであった。
【0052】
実施例4
本発明化合物をペーパーディスク法で抗菌及び抗真菌活性の試験に供した。バシラス ズブチリス(Bacillus subtilis) ATCC 6633、スタフィロコッカス アウレウス(Staphyrococcus aureus) FDA 209P、エシェリシア コリ(Escherichia coli )K-12及びカンヂダ アルビカンス(Candida albicans )、YFC 48、サッカロマイセス セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae) YFC 250、アスペルギルス ニガー(Aspergilus niger )YFC 36に対し、化合物A、B、C、D、E、F、G、H及びJは、100 μg/mlの濃度において抗菌及び抗真菌活性を示さなかった。
【0053】
【発明の効果】
本発明のトリアミド誘導体又はその塩は、前記実施例に示すように、良好な抗マラリア活性を有する。一方、哺乳動物の培養細胞に対する細胞障害活性は弱く、また細菌、真菌種にはほとんど活性を示さないことから、本発明化合物は選択的で安全性の高い抗マラリア剤として、マラリア疾患の予防または治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 化合物Aの紫外部吸収スペクトルを示す
【図2】 化合物Aの1H−NMRスペクトルを示す。
【図3】 化合物Aの13C−NMRスペクトルを示す。
【図4】 化合物Bの紫外部吸収スペクトルを示す。
【図5】 化合物Bの1H−NMRスペクトルを示す。
【図6】 化合物Bの13C−NMRスペクトルを示す。
【図7】 化合物C紫外部吸収スペクトルを示す。
【図8】 化合物Cの1H−NMRスペクトルを示す。
【図9】 化合物Cの13C−NMRスペクトルを示す。
【図10】 化合物Dの紫外部吸収スペクトルを示す。
【図11】 化合物Dの1H−NMRスペクトルを示す。
【図12】 化合物Dの13C−NMRスペクトルを示す。
【図13】 化合物Eの紫外部吸収スペクトルを示す。
【図14】 化合物Eの1H−NMRスペクトルを示す。
【図15】 化合物Eの13C−NMRスペクトルを示す。
【図16】 化合物Fの紫外部吸収スペクトルを示す。
【図17】 化合物Fの1H−NMRスペクトルを示す。
【図18】 化合物Fの13C−NMRスペクトルを示す。
【図19】 化合物Gの紫外部吸収スペクトルを示す。
【図20】 化合物Gの1H−NMRスペクトルを示す。
【図21】 化合物Gの13C−NMRスペクトルを示す。
【図22】 化合物Hの紫外部吸収スペクトルを示す。
【図23】 化合物Hの1H−NMRスペクトルを示す。
【図24】 化合物Hの13C−NMRスペクトルを示す。
【図25】 化合物Jの紫外部吸収スペクトルを示す。
【図26】 化合物Jの1H−NMRスペクトルを示す。
【図27】 化合物Jの13C−NMRスペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表されるトリアミド誘導体又はその製薬学的に許容される塩。
【化1】

(式中の記号は下記の意味を有する。
1:水素原子又はエチル基、
2:メチル又はヒドロキシメチル基、
3:水素原子、
ただし、R2及びR3は一体となってメチレン又はヒドロキシメチレン基を形成してもよい、
4及びR5:同一又は異なって、水素原子又はメチル基。)
【請求項2】
ストレプトミセス(Streptomyces)属に属し、かつ前記式(I)で表されるトリアミド誘導体又はその製薬学的に許容される塩を生産する能力を有する微生物を培養し、その培養物から該トリアミド誘導体又はその製薬学的に許容される塩を単離することを特徴とする該トリアミド誘導体又はその製薬学的に許容される塩の生産方法。
【請求項3】
ストレプトミセス(Streptomyces)属に属する微生物が、ストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)Q41697株(FERM P−19382号)である請求項2記載の生産方法。
【請求項4】
前記式(I)で表されるトリアミド誘導体又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項5】
マラリア疾患の予防又は治療剤である請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
殺マラリア原虫剤である請求項5記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2006−347881(P2006−347881A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−172540(P2003−172540)
【出願日】平成15年6月17日(2003.6.17)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【出願人】(594164564)
【Fターム(参考)】