説明

トリプタンおよびNSAIDを含む組成物

5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を、NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体と組み合わせて含み、5HT1レセプターアゴニストおよびNSAIDが、互いに個別のゾーン内に位置し、各ゾーンが、活性成分および場合により担体を含む、医薬組成物。好ましい組成物は、スマトリプタンスクシネートおよびナプロキセンナトリウムを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、5HT1レセプターアゴニストをNSAID(非ステロイド系抗炎症剤)と組み合わせて活性成分として含む2種以上の活性成分を含んでなる経口投与用の医薬組成物、とくに、嚥下されることが意図された固形剤形の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
セロトニンまたはエンテラミンとしても知られる化合物5-ヒドロキシトリプタミン(5HTまたは5-HT)は、中枢神経系の内外および血管上の両方のレセプターに作用する公知の血管作用剤かつ内因性神経伝達物質である。これらのレセプターに作用する薬剤は、アゴニストの場合もあればアンタゴニストの場合もある。これらのレセプターは、いくつかのレセプターサブクラスにさらに分類され、サブクラスのいくつかは、それ自体もまたサブクラスを含有する。
【0003】
5HT1レセプターアゴニストは、さまざまな症状、とくに、頭部疼痛に関連する症状、たとえば、片頭痛、群発性頭痛、慢性発作性片側頭痛、血管障害に伴う頭痛、薬物またはその離脱に伴う頭痛、リバウンド頭痛、および緊張性頭痛の治療に有用である。5HT1レセプターアゴニストは、当技術分野で周知であり、この用語は、すべてのタイプの5HT1レセプターアゴニスト、たとえば、限定されるものではないが、5HT1様レセプターアゴニスト、5HT1Bレセプターアゴニスト、5HT1Dレセプターアゴニスト、および5HT1Fレセプターアゴニストを含むものとして広義に解釈される。とくに注目すべきものとしては、化合物スマトリプタン(たとえば、GB特許No.2162522(参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている)、ナラトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタンフロバトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、アビトリプタン、ドニトリプタン、アルニジタン、ALX-0646、LY334370、U109221、IS159、およびPNY142633が挙げられる。なかでもとくに注目すべきものとしては、化合物スマトリプタンが挙げられる。
【0004】
広範な世界的規模の臨床試験プログラムにより、片頭痛用の急性治療剤としてスマトリプタン(皮下製剤、経口製剤、経鼻製剤、および経直腸製剤の形態で販売されている)の効力および耐容性が実証されている。
【0005】
5HT1アゴニストは片頭痛の治療に有用であるが、一部の患者では、初期治療効果が現れた後、片頭痛症状が初期軽減後約1〜24時間以内に再び見られることが判明している。すなわち、片頭痛を効果的に治療する量で被験者に治療剤の投与を行って片頭痛の一時的軽減が観測された後、最初の軽減の約1〜8時間後程度の早い時期から約12〜24時間後までの間に片頭痛症状が再び現れる。特定の治療剤による治療を行った場合と同様に、個々の片頭痛患者は、この現象に対して個別の症状および時期を呈することは理解されよう。
【0006】
なんら特定の理論により拘束されるものではないが、スマトリプタンおよび他の5-HT剤は、特定の神経および血管の近傍における炎症促進性メディエーターの放出を減少させることにより、もしくは頭部内の所定の血管を収縮させるにより、またはその両方により、片頭痛患者においてそれらの有益な作用を発揮すると考えられる。しかしながら、それらは鎮痛活性を有していないと考えられる。また、それらの薬理作用は特定の血中濃度への到達および/またはその保持に依存し、かつこれらの濃度は比較的短寿命であると考えられる。最初の24時間以内の再発については十分な裏付けがなれており、最初に軽減が得られた患者の40〜50%までは再発を起こすが、その原因は不明である。
【0007】
以上に記載の状況下で起こる頭痛は、多様にかつ同義的に、「リバウンド」頭痛、「再発」頭痛、「反復性」頭痛、または「二次性」頭痛と呼ばれてきた。用語にかかわらず、現在のところ、この後発性の頭痛は、最初の頭痛を引き起こした生理学的な一連の事象の延長であるのか、または他の基礎病理もしくは反復的であるが無関係である基礎病理に起因する新たな頭痛であるのかについては不明である。後続の頭痛は、初期片頭痛症状の治療に最初に奏効した治療剤に対する反応である可能性もある。「リバウンド」、「再発」、「反復性」、および「二次性」という用語(以下に規定される)は、本明細書で使用する場合、以上に記載の頭痛の機構または原因に触れることなく、同義であるとみなされる。
【0008】
いくつかの形態の片頭痛では、アセトアミノフェンやフェナセチンのような鎮痛剤および一般的には抗炎症剤として分類されない他の非ステロイド系非オピエート鎮痛剤を用いて、特定の患者で完全軽減または部分軽減を生じることが見いだされている。これらの薬剤は、単独で摂取した場合、片頭痛のすべての症状の完全かつ迅速な軽減を提供するうえでほとんど効果を示さないが、とくに、発作の症状としてすでに悪心および嘔吐が含まれる場合、本発明に係る併用療法を用いると、それらの有効性は驚くほど増大される。
【0009】
NSAIDは、当技術分野で周知であり、とくに注目すべきものとしては、ジクロフェナク、ナブメトン、ナプロキセン、ケトロラク、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、オキサプロジン、エトドラク、インドメタシン、メフェナム酸(mefanamic acid)、トルフェナム酸、およびCOX-2選択的阻害剤、たとえば、セレコキシブ、ロフェコキシブ(VIOXX)、バルデコキシブ、パレコキシブ、4-(4-シクロヘキシル-2-メチル-5-オキサゾリル)-2フルオロベンゼンスルホンアミド(JTE-522)、MK633(エトリコキシブ)、ニメスリド、フロスリド(DFP)、2-(4-エトキシ-フェニル)-3-(4-メタンスルホニル-フェニル)-ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン、メロキシカム、RS57067、ピロキシカム、NS398、L-745,337、およびCOX-189が挙げられる。
【0010】
ナプロキセンナトリウムのようなNSAIDは、その既知の鎮痛作用により片頭痛疼痛を軽減すると考えられるが、その既知の抗炎症作用に続いて二次的に神経原性炎症および血管炎症を減少させることにより、または他の機構により、たとえば、限定されるものではないが、血小板阻害もしくはプロスタグランジン合成阻害により、症状を軽減させることも可能である。このほか、ナプロキセンおよびナプロキセンナトリウムは、12〜15時間程度の半減期を有し、長期持続効果を生じる。
【0011】
米国特許第6,060499号には、治療上有効な量の鎮痛剤、とくに長時間作用性NSAIDと協調させて治療上有効な量の5HTアゴニストを同時的に投与することを含む、ヒトにおける片頭痛の治療方法が開示されている。そのような投与は、独立した製剤の形態で計画されるかまたはユニット製剤の形態で組み合わせて行われる。米国特許第6060449号には、理論により拘束されるものではないが、5HTアゴニストを長時間作用性NSAIDと組み合わせると、再発頭痛の発生率を低くすると同時に、初期治療効果の増大を達成することが可能であると記載されている。
【0012】
なんら特定の理論により拘束されるものではないが、作用持続時間が短いために5-HTアゴニストの最初の有益な作用が消失すると同時に、a)最初の片頭痛エピソードに対する根源的トリガーが依然として存在し、かつ/またはb)疼痛および他の症状(おそらく、血管炎症および/もしくは神経原性炎症)の原因因子が依然として存在することに起因して、5-HTアゴニストに付随することの多い「再発」頭痛が起こるものと考えられる。
【0013】
これに関連して、NSAIDを5-HTアゴニストに添加すると、原因がなんであれ、効果的な抗片頭痛作用の時間が長くなり、再発頭痛の発生が回避される(または「リバウンドが緩和される」)。
【0014】
経口投与は、医薬品を投与するための好ましい経路を構成する。なぜなら、この経路は、患者にとって、とくに都合がよくかつ容認しうるものであるからである。併用療法では、2種以上の活性成分を含む1種の製剤を投与することが好ましいこともある。薬剤同士の相互作用または薬剤と賦形剤との相互作用により、1種もしくは全種の活性成分の不安定性または1種もしくは全種の活性成分の効力の変化が引き起こされる可能性があることを考えると、2種以上の活性成分を含有する製剤を調製する際の重要な要件は、成分の安定性および効力である。
【0015】
本発明者らは、驚くべきことに、スマトリプタンおよびナプロキセンナトリウムの顆粒状調剤を混合して、たとえば直接圧縮することにより1種の錠剤の形態に製剤化した場合、得られる製剤が許容できない溶解時間を有することを見いだした。たとえば、両成分の溶解が予想以上に遅くなり、吸収に遅れを生じた。これは、おそらく、ナプロキセンナトリウムによりスマトリプタン含有顆粒の溶解ができなくなっていることが原因である。
【0016】
驚くべきことに、活性成分を互いに分離させて互いに独立した個別のゾーン内に入れ、固形経口剤形に製剤化したとき、得られた製剤はスマトリプタンおよびナプロキセンナトリウムの満足すべき溶解速度を呈した。
【発明の開示】
【0017】
発明の概要
したがって、本発明は、5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を、NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体と組み合わせて含む、医薬組成物を提供する。その場合、5HT1レセプターアゴニストおよびNSAIDは、互いに個別のゾーン内に位置し、各ゾーンは、活性成分および場合により担体を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
発明の詳細な説明
本発明に従って使用するのに好適な5HT1レセプターアゴニストとしては、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタン、アビトリプタン、ドニトリプタン、アルニジタン、ALX-0646、LY334370、U1092291、IS159(すなわち、3-(2-アミノエチル)-5-[アセトアミジル-3-(4-ヒドロキシフェニル)-プロピオンアミジル-アセトアミジルオキシ]インドール)、およびPNY142633(すなわち、(s)-3,4-ジヒドロ-1-[2-[4-[4-アミノカルボニル)フェニル]-1-ピペラジニル]エチル]-N-メチル-1H-2-ベンゾピラン-6-カルボキシミド)が挙げられる。ナラトリプタンおよびスマトリプタンが好ましく、スマトリプタンがとくに好ましい。スマトリプタンの好ましい形態は、スクシネート塩、とくに1:1スクシネートである。5HT1レセプターアゴニストは、単独で使用しても互いに組み合わせて使用してもよい。
【0019】
好適なNSAIDとしては、ジクロフェナク、ナブメトン、ナプロキセン、ケトロラク、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、オキサプロジン、エトドラク、インドメタシン、メフェナム酸(mefanamic acid)、トルフェナム酸、およびCOX-2選択的阻害剤、たとえば、セレコキシブ、ロフェコキシブ(VIOXX)、バルデコキシブ、パレコキシブ、4-(4-シクロヘキシル-2-メチル-5-オキサゾリル)-2-フルオロベンゼンスルホンアミド(JTE-522)、MK633(エトリコキシブ)、ニメスリド、フロスリド、DFP(2-(4-エトキシ-フェニル)-3-(4-メタンスルホニル-フェニル)-ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン)、メロキシカム、RS57067、ピロキシカム、NS398、L-745,337、およびCOX-189が挙げられる。好ましいのは、COX-189およびナプロキセンである。とくに好ましいのはナプロキセンであり、最も好ましくはナプロキセンナトリウムの形態である。
【0020】
「製薬上許容される誘導体」とは、活性成分の任意の製薬上許容される塩、溶媒和物、エステル、もしくはアミド、またはそのようなエステルもしくはアミドの塩もしくは溶媒和物、あるいはレシピエントに投与したときに活性成分またはその活性代謝物もしくは残基を(直接的もしくは間接的に)提供することのできる任意の他の化合物を意味する。
【0021】
本発明に係る好適な製薬上許容される塩としては、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ホスフェート、およびスルフェートのような無機酸を用いて、ならびにタルトレート(tarbrate)、マレエート(maleave)、フマレート(fumerate)、スクシネート、およびスルホネートのような有機酸を用いて、形成される酸付加塩が挙げられる。
【0022】
本発明の一態様において、個別のゾーンは、賦形剤を添加することにより提供可能である。したがって、本発明は、5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体および製薬上許容される担体を、NSAIDと組み合わせて含む医薬組成物を提供する。その場合、5HT1レセプターアゴニストおよびNSAIDは、医薬組成物中においてそれぞれの製薬上許容される担体内に分散される。
【0023】
好適には、5HT1レセプターアゴニスト用の担体は、組成に関してNSAID用の担体のものと異なる。
【0024】
本発明の一実施形態では、5HT1レセプターアゴニストおよびその担体は、NSAIDおよびその担体と実質的に混合状態にある。
【0025】
好適には、5HT1レセプターアゴニストおよびその担体は、NSAIDおよびその担体と実質的に均一な混合状態にある。
【0026】
好適には、本発明に係る組成物の調製時に、あらかじめ形成しておいた5HT1レセプターアゴニスト/担体混合物をあらかじめ形成しておいたNSAID/担体混合物と混合する。たとえば、カプセルの形態で5HT1レセプターアゴニスト/担体混合物をNSAID/担体混合物と混合する。
【0027】
より好ましくは、組成物の状態で5HT1レセプターアゴニスト/担体混合物をNSAID/担体混合物と共に圧縮して、好適には錠剤を形成する。たとえば、5HT1レセプターアゴニスト/担体混合物とNSAID/担体混合物との混合物を圧縮して錠剤を形成する。
【0028】
5HT1レセプターアゴニスト用の好適な担体は、結合剤、充填剤、滑沢剤、ならびに発泡対(effervescent couple)、ウィッキング剤(wicking agent)、流動促進剤(glidant)、崩壊剤、および湿潤剤から選択される1種以上の成分を含む。
【0029】
NSAID用の好適な担体は、結合剤、充填剤、滑沢剤、発泡対、ウィッキング剤、流動促進剤、崩壊剤、および湿潤剤から選択される1種以上の成分を含む。
【0030】
本発明のより好ましい態様において、層は、活性薬剤の好適なゾーン、一般的には圧縮層を提供する。したがって、製剤は、活性薬剤の層、一般的には成形層を含みうる。
【0031】
好適な製剤は、錠剤製剤である。したがって、特定の一製剤は、活性薬剤が独立した層中に存在する多層錠剤である。特定の一製剤には、圧縮形態(たとえば錠剤)の一方の活性薬剤が粉末形態の他方の活性薬剤と共に製剤化されて含まれる。他の選択肢として、一方の活性成分のコアが他方の活性成分のオーバーコートに取り囲まれて含まれる錠剤をオーバー圧縮により調製することが可能である。
【0032】
より好ましくは、互いに個別のゾーン内に活性薬剤を含有する錠剤は、多層錠剤でありうる。たとえば、それは、一方の活性薬剤の成形物の層が圧縮されてから第1の活性薬剤の層上に他方の活性薬剤の成形物が追加され圧縮された二層錠剤でありうる。それはまた、同様にして調製された三層錠剤でありうる。適切であれば、活性成分を顆粒として製剤化しうる。
【0033】
バリヤー層、好ましくは不活性バリヤー層により、個別のゾーンを分離させうる。バリヤー層は、便宜上、ラクトースのような充填剤およびマグネシウムステアレートのような滑沢剤を含む。
【0034】
記載のごとく、便宜上、そのような組成物を錠剤またはカプセル剤として作製しうる。顆粒形態の活性薬剤の混合およびそれに続く圧縮により、錠剤およびカプセル剤を作製しうる。
【0035】
活性薬剤を、適切な賦形剤、たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、ナトリウムデンプングリコレート、ラクトース、およびマグネシウムステアレートと、組み合わせ、続いて、従来法を用いて顆粒化することにより、各活性薬剤の顆粒を取得しうる。
【0036】
いずれの活性薬剤の顆粒を作製する場合でも、好ましくは、高剪断顆粒化技術を利用する。好ましい実施形態では、両方の活性薬剤の顆粒化を行う。
【0037】
ペレット形態または顆粒形態の活性薬剤を混合し、続いて、カプセル化することにより、カプセル剤を作製しうる。
【0038】
活性薬剤を、適切な賦形剤、たとえば、微結晶性セルロースおよびラクトースと組み合わせ、続いて、従来法を用いてペレット形成を行うことにより、各活性薬剤のペレットを取得しうる。顆粒は、本明細書に記載されているように調製される。錠剤およびカプセル剤の作製は、当技術分野で周知の技術を用いて行いうる。
【0039】
本発明に関連して、「経口投与用」とは、医薬組成物が、全体を嚥下させることが意図された固形製剤の形態であり、投与前に水中に溶解または懸濁させることが本質的に意図されたものでないことを意味するが、本発明に係る組成物は、特定の実施形態では、欧州薬局方および/または英国薬局方により規定されるような分散微細度および分散速度に関して、分散性錠剤の要件を満たしうる。そのような製剤は、錠剤およびカプセル剤の形態をとることが可能であり、固形製剤を製造するための製薬技術分野で周知の従来法により調製可能である。好ましくは、本発明に係る組成物は、「嚥下」錠剤の形態である。疑問を生じないように述べておくが、「嚥下」錠剤とは、全体を嚥下させることが意図された錠剤であり(一般的には、少量の液体(たとえば水)を用いる)、投与前に水中に溶解または懸濁させることが本質的に意図されたもの(たとえば、WO92/11003に記載されているような錠剤であり、これにはまた、発泡対の両成分が実質量で含まれる)ではなく、「口内で」溶解させることが本質的に意図されたもの(「経口メルト」製剤)でもない。
【0040】
WO 92/15295 (Glaxo Group Ltd.)(参照により本明細書に組み入れられるものとする)には、公知の固形剤形医薬組成物、とくに、頭部疼痛に関連する症状の治療に有用なフィルムコーティング錠剤が開示されている。これらの製剤は、5HT1レセプターアゴニスト含有ゾーンを形成しうる。
【0041】
残念ながら、頭部疼痛に関連する症状を治療する場合、特定の欠点が存在する可能性がある。たとえば、そのような症状、とくに片頭痛は、悪心、嘔吐、ならびに胃運動機能低下および胃排出遅延の形態の胃腸機能不全に関連し、薬剤吸収の遅延および/または障害を引き起こす可能性がある。
【0042】
したがって、迅速な溶解および吸収が確実に行われるように、活性成分、とくに5HT1レセプターアゴニストを製剤化することが望ましいであろう。したがって、本発明の好ましい態様において、5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を、NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体と組み合わせて含む、医薬組成物を提供する。その場合、5HT1レセプターアゴニストおよびNSAIDは、互いに個別のゾーン内に位置し、各ゾーンは、活性成分および場合により担体を含み、さらに、少なくとも5HT1レセプターアゴニストを含むゾーンは、迅速な吸収が確実に行われるように製剤化される。
【0043】
5HT1レセプターアゴニストに適用される「迅速な吸収」とは、活性成分の約70%超、好ましくは約80%超、より好ましくは約90%超が、USPII型装置で10rpmの分析的(discriminating)パドル速度にて5分以内に模擬胃液(SGF)中に溶解されることを意味する。
【0044】
好ましい態様において、製剤は、2層以上の層を含む錠剤であり、5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含む一層は、迅速な吸収が確実に行われるように製剤化され、他の層は、NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体および場合により担体を含む。最も好ましくは、錠剤は、迅速な吸収が確実に行われるように製剤化された5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含む層と、NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体および場合により担体を含む層と、を含んでなる二層錠剤である。
【0045】
したがって、好ましい態様において、迅速な吸収が行われるように製剤化される5HT1レセプターアゴニスト層では、5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体は、崩壊剤、充填剤(好ましくは不溶性充填剤)、およびウィッキング剤と組み合わされた発泡対と共に製剤化される。この製剤は、頭部疼痛を患っている患者に対して作用開始の迅速化および/または有効度の増大を示すことが判明した。
【0046】
NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体を含む医薬製剤の層は、周知のNSAID製剤に従って製剤化可能である。これらは当業者には自明であろう。たとえば、ナプロキセンナトリウム錠剤のいくつかの異なる製剤の組成を以下の表に示す。
【表1】

【0047】
本発明のさらなる態様において、NSAID層は、迅速な吸収が行われるように、たとえば、発泡対を組み込むことにより、製剤化することも可能である。
【0048】
NSAIDに適用される「迅速な吸収」とは、活性成分の約25%超、好ましくは約50%超、より好ましくは約75%超が、USPII型装置で30rpmの分析的パドル速度にて5分以内に模擬腸液中に溶解されることを意味する。
【0049】
したがって、本発明のさらなる態様において、NSAID層では、NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体は、崩壊剤、不溶性充填剤、およびウィッキング剤と組み合わされた発泡対と共に製剤化される。
【0050】
したがって、好ましい実施形態では、本発明は、迅速な吸収が行われるように製剤化された5HT1レセプターアゴニスト層中に、発泡対の塩基成分、崩壊剤、および不溶性充填剤と共に製剤化された5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を提供する。その場合、製剤の層の乾燥重量を基準にして、塩基成分は、約5〜約50重量%を構成し、崩壊剤は、約0.5〜約10重量%を構成し、不溶性充填剤は、約20〜約99重量%を構成し、該不溶性充填剤は、約1〜約99重量%を構成するウィッキング剤を含み、活性成分の約70%超、好ましくは約80%、より好ましくは約90%は、USPII型装置で10rpmの分析的パドル速度にて5分以内に模擬胃液(SGF)中に溶解される。
【0051】
NSAIDもまた迅速な吸収が行われるように製剤化される場合、本発明は、発泡対の塩基成分、崩壊剤、および不溶性充填剤と共に製剤化されたNSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体を含む、迅速な吸収が行われるように製剤化されたNSAID層を提供する。ここで、製剤の層の乾燥重量を基準にして、塩基成分は、約5〜約50重量%を構成し、崩壊剤は、約0.5〜約20重量%を構成し、不溶性充填剤は、約30〜約80重量%を構成し、該不溶性充填剤は、約1〜約60重量%を構成するウィッキング剤を含み、活性成分の約25%超、好ましくは約50%、より好ましくは約75%は、USPII型装置で30rpmの分析的パドル速度にて5分以内に模擬腸液中に溶解される。
【0052】
好適には、迅速な吸収が行われるように製剤化された5HT1レセプターアゴニスト層では、5HT1レセプターアゴニストは、層の乾燥重量を基準にして、約0.001〜約55重量%、好ましくは約0.01〜約45%、より好ましくは約0.01〜約40%、特定的には約1〜約35%、より特定的には約20〜約35%を構成する。
【0053】
好適には、NSAID層では、NSAIDは、層の乾燥重量を基準にして、約1〜約90重量%、好ましくは約2〜約90%、より好ましくは約5〜約85%、特定的には約10〜約75%、より特定的には約60〜約75%を構成する。
【0054】
迅速な吸収が行われるように層が製剤化された本発明の一実施形態では、医薬組成物は、発泡対の酸成分をさらに含む。発泡対は、本質的に酸成分および塩基成分よりなり、成分は、水の存在下で反応してガスを生成する。
【0055】
迅速な吸収が行われるように製剤化された5HT1レセプターアゴニスト層では、酸成分は、たとえば、5HT1レセプターアゴニストもしくは製薬上許容されるその誘導体そのもの(この場合、それは、酸特性を有するか、もしくは水性環境中で酸特性を有する成分を提供しうる)、または脂肪族カルボン酸もしくはその塩、たとえば、クエン酸もしくは酒石酸およびそれらの塩を含みうる。他の選択肢として、酸成分は、医薬組成物の5HT1レセプターアゴニストゾーンの一部ではなく、NSAID層内の酸または胃酸により提供しうる。好ましくは、酸成分は、5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体である(たとえば、スマトリプタンまたはナラトリプタン、とくに、それらの塩の形態のもの、たとえば、スマトリプタンスクシネート(1:1)のようなスクシネート塩)。酸成分は、単独で使用しても互いに組み合わせて使用してもよい。好適には、酸成分は、クエン酸または酒石酸およびそれらの塩のような脂肪族カルボン酸またはその塩と共に5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含む。好適には、酸成分(5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体が酸成分として機能する場合にはそれらを含む)は、製剤の層の乾燥重量を基準にして、約55重量%まで、好ましくは約5〜約50%、より好ましくは約10〜約45%、特定的には約15〜約40%、より特定的には約20〜約35%を構成する。塩基成分は、たとえば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩または重炭酸塩、たとえば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、または炭酸カルシウムを含みうる。塩基成分は、好ましくは重炭酸ナトリウムである。塩基成分は、単独で使用しても互いに組み合わせて使用してもよい。好適には、塩基成分は、製剤の層の乾燥重量を基準にして、約5〜約50重量%、好ましくは約7〜約20%、より好ましくは約8〜約15%、特定的には約9〜約12%を構成する。酸は、モノプロトン性であってもポリプロトン性であってもよく、同様に、塩基は、一塩基性であっても多塩基性であってもよい。酸/塩基規定度(N)で計算した場合、酸成分対塩基成分の比は、便宜上、約1:10〜約10:1、好ましくは約1:5〜約5:1、より好ましくは約1:3〜約3:1、最も好ましくは約1:2〜約2:1の範囲内にありうる。
【0056】
迅速な吸収が行われるように製剤化されたNSAID層では、酸成分は、たとえば、ナプロキセンのようなNSAIDもしくは製薬上許容されるその誘導体そのもの(この場合、それは、酸特性を有するか、もしくは水性環境中で酸特性を有する成分を提供しうる)、または脂肪族カルボン酸もしくはその塩、たとえば、クエン酸もしくは酒石酸およびそれらの塩を含みうる。他の選択肢として、酸成分は、医薬組成物のNSAID層の一部ではなく、5HT1レセプターアゴニスト層内の酸もしくは胃酸により、または5HT1レセプターアゴニスト層および/もしくはNSAID層のいずれかに含まれるクエン酸のような独立した医薬剤として、提供しうる。好ましくは、酸成分は、クエン酸のような独立した医薬剤として提供される。酸成分は、単独で使用しても互いに組み合わせて使用してもよい。好適には、酸成分は、クエン酸または酒石酸およびそれらの塩のような脂肪族カルボン酸またはその塩と共に5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含む。好適には、クエン酸のような独立した医薬剤として含まれる酸成分は、製剤の層の乾燥重量を基準にして、約30重量%まで、好ましくは約0.001〜約20%、より好ましくは約0.01〜約15%、特定的には約1〜約15%、より特定的には約3〜約10%である。塩基成分は、たとえば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩または重炭酸塩、たとえば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、または炭酸カルシウムを含みうる。塩基成分は、好ましくは重炭酸ナトリウムである。塩基成分は、単独で使用しても互いに組み合わせて使用してもよい。好適には、塩基成分は、製剤の層の乾燥重量を基準にして、約5〜約50重量%、好ましくは約7〜約20%、より好ましくは約8〜約15%、特定的には約9〜約12%を構成する。酸は、モノプロトン性であってもポリプロトン性であってもよく、同様に、塩基は、一塩基性であっても多塩基性であってもよい。酸/塩基規定度(N)で計算した場合、酸成分対塩基成分の比は、便宜上、約1:10〜約10:1、好ましくは約1:5〜約5:1、より好ましくは約1:3〜約3:1、最も好ましくは約1:2〜約2:1の範囲内にありうる。
【0057】
崩壊剤は、本発明に係る組成物で使用した場合、水に接触したときに膨潤する。好適な崩壊剤は、当業者に周知であろう。その例としては、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムデンプングリコレート、架橋ポリビニルピロリドン、ポビドン、デンプン(たとえば、トウモロコシデンプン、アルファ化デンプン)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸、ナトリウムアルギネート、第三リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース、粉末セルロース、コロイド二酸化ケイ素、ドキュセートナトリウム、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸マグネシウムアルミウニム、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、およびポリビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。クロスカルメロースナトリウムが好ましい。崩壊剤は、単独で使用しても互いに組み合わせて使用してもよい。好適には、5HT1レセプターアゴニストゾーンでは、崩壊剤は、製剤の層の乾燥重量を基準にして、約0.5〜約10重量%、好ましくは約2〜約8%、より好ましくは約3〜約7%、特定的には約4〜約6%、より特定的には約5%を構成する。
【0058】
NSAID層では、崩壊剤は、製剤の層の乾燥重量を基準にして、約0.5〜約10重量%、好ましくは約1〜約8%、より好ましくは約1.5〜約6%、特定的には約2〜約4%、より特定的には約3%を構成する。
【0059】
不溶性充填剤は、本発明に係る組成物で使用した場合、嵩高さおよび安定性を提供する不活性物質である。いくつかの不溶性充填剤は、ウィッキング剤としても作用しうる。ウィッキング剤は、本発明に係る組成物で使用した場合、ポーラス性を有し、水を固形製剤中にその全体にわたって引き込む。好適なウィッキング剤は、当業者に周知であろう。その例としては、微結晶性セルロース(たとえば、AvicelTMとして入手可能)、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプン、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ケイ化微結晶性セルロース、酸化マグネシウム、およびトラガカントが挙げられるが、これらに限定されるものではない。微結晶性セルロースが好ましい。ウィッキング剤は、単独で使用しても互いに組み合わせて使用してもよい。好適には、ウィッキング剤は、製剤の層の乾燥重量を基準にして、約1〜約99重量%、好ましくは約1〜約80%、より好ましくは約5〜約65%、特定的には約12〜約55%、より特定的には約18〜約50%を構成する。他の好適な不溶性充填剤としては、第二リン酸カルシウム二水和物、無水第二リン酸カルシウム(たとえば、EmcompressTMとして入手可能)、第三リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、セルロースアセテート、粉末セルロース、カオリン、ポリメタクリレート、およびタルクが挙げられる。無水第二リン酸カルシウムが好ましい。不溶性充填剤は、単独で使用しても互いに組み合わせて使用してもよい。好適には、5HT1レセプターアゴニスト層では、不溶性充填剤は、ウィッキング剤を含めて、製剤の層の乾燥重量を基準にして、約30〜約99重量%、好ましくは約35〜約80%、より好ましくは約40〜約70%、特定的には約45〜65%を構成する。NSAID層では、不溶性充填剤は、ウィッキング剤を含めて、製剤の層の乾燥重量を基準にして、約10〜約99重量%、好ましくは約15〜約55%、より好ましくは約25〜約45%、特定的には約30〜40%を構成する。
【0060】
したがって、本発明の実施形態では、製剤の層の乾燥重量を基準にして、5HT1レセプターアゴニスト層が、約0.001〜約55重量%、好ましくは約0.01〜約45%、より好ましくは約0.1〜40%、特定的には約1〜約35%、より特定的には約20〜約35%を構成する5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含み、発泡対の塩基成分が、約5〜約50重量%、好ましくは約7〜約20%、より好ましくは約8〜約15%、特定的には約9〜約12%を構成し、崩壊剤が、約0.5〜約10重量%、好ましくは約2〜約8%、より好ましくは約3〜約7%、特定的には約4〜約6%、より特定的には約5%を構成し、不溶性充填剤が、ウィッキング剤を含めて、約35〜約80重量%、好ましくは約40〜約70%、より好ましくは約45〜約65%を構成し、かつウィッキング剤が、約1〜約80重量%、好ましくは約5〜約65%、より好ましくは約12〜約55%、特定的には約18〜約50%を構成する、以上に記載したような固形剤形医薬組成物を提供する。
【0061】
したがって、本発明の実施形態では、製剤の層の乾燥重量を基準にして、NSAID層が、約1〜約90重量%、好ましくは約2〜約90%、より好ましくは約5〜約85%、特定的には約10〜約75%、より特定的には約60〜約75%を構成するNSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体を含み、発泡対の塩基成分が、約5〜約50重量%、好ましくは約7〜約20%、より好ましくは約8〜約15%、特定的には約9〜約12%を構成し、崩壊剤が、約0.05〜約10重量%、好ましくは約1〜約8%、より好ましくは約1.5〜約6%、特定的には約2〜約4%、より特定的には約3%を構成し、不溶性充填剤が、ウィッキング剤を含めて、約10〜約99重量%、好ましくは約15〜約55%、より好ましくは約25〜約45%を構成する、以上に記載したような固形剤形医薬組成物を提供する。
【0062】
したがって、本発明のとくに好ましい実施形態では、製剤の層の乾燥重量を基準にして、5HT1レセプターアゴニスト層が、約0.001〜約55重量%、好ましくは約0.01〜約45%、より好ましくは約0.1〜40%、特定的には約1〜約35%、より特定的には約20〜約35%を構成する5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含み、発泡対の塩基成分が、約5〜約50重量%、好ましくは約7〜約20%、より好ましくは約8〜約15%、特定的には約9〜約12%を構成し、崩壊剤が、約0.5〜約10重量%、好ましくは約2〜約8%、より好ましくは約3〜約7%、特定的には約4〜約6%、より特定的には約5%を構成し、不溶性充填剤が、ウィッキング剤を含めて、約35〜約80重量%、好ましくは約40〜約70%、より好ましくは約45〜約65%を構成し、かつウィッキング剤が、約1〜約80重量%、好ましくは約5〜約65%、より好ましくは約12〜約55%、特定的には約18〜約50%を構成し、しかも製剤の層の乾燥重量を基準にして、NSAID層が、約1〜約90重量%、好ましくは約2〜約90%、より好ましくは約5〜約85%、特定的には約10〜約75%、より特定的には約60〜約75%を構成するNSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体を含み、発泡対の塩基成分が、約5〜約50重量%、好ましくは約7〜約20%、より好ましくは約8〜約15%、特定的には約9〜約12%を構成し、崩壊剤が、約0.05〜約10重量%、好ましくは約1〜約8%、より好ましくは約1.5〜約6%、特定的には約2〜約4%、より特定的には約3%を構成し、不溶性充填剤が、ウィッキング剤を含めて、約10〜約99重量%、好ましくは約15〜約55%、より好ましくは約25〜約45を構成する、以上に記載したような固形剤形二層錠剤を提供する。
【0063】
本発明のさらなる実施形態では、5HT1レセプターアゴニストゾーンが、スマトリプタンもしくはナラトリプタンまたは製薬上許容されるそれらの誘導体、好ましくはスマトリプタンまたは製薬上許容されるその誘導体、より好ましくはそのスクシネート(1:1)塩の形態のものを含む、5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含み、発泡対の塩基成分が重炭酸ナトリウムを含み、崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムを含み、かつ不溶性充填剤が微結晶性セルロースを含む、以上に記載したような医薬組成物を提供する。
【0064】
本発明のさらなる実施形態では、5HT1レセプターアゴニストゾーンが、スマトリプタンもしくはナラトリプタンまたは製薬上許容されるそれらの誘導体、好ましくはスマトリプタンまたは製薬上許容されるその誘導体、より好ましくはそのスクシネート(1:1)塩の形態のものを含む、5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含み、発泡対の塩基成分が重炭酸ナトリウムを含み、崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムを含み、かつ不溶性充填剤が第二リン酸カルシウム、好ましくは無水第二リン酸カルシウムを含む、以上に記載したような固形剤形医薬組成物を提供する。
【0065】
本発明のさらなる実施形態では、5HT1レセプターアゴニストゾーンが、スマトリプタンまたは製薬上許容されるその誘導体、好ましくはそのスクシネート(1:1)塩の形態のものを含む、5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含み、発泡対の塩基成分が重炭酸ナトリウムを含み、崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムを含み、かつ不溶性充填剤が無水第二リン酸カルシウムもしくは微結晶性セルロースまたはそれらの混合物を含む、以上に記載したような固形剤形医薬組成物を提供する。
【0066】
また、本発明に係る組成物中に1種以上の不溶性充填剤を組み込むと、従来の錠剤製剤(たとえば、WO92/15295に開示されているような製剤)と比較して製造時の取扱い性が改善された組成物が提供される。
【0067】
以上に記載の成分に加えて、本発明の医薬組成物は、製薬上許容される担体および賦形剤、たとえば、結合剤(たとえば、アルファ化デンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)および滑沢剤(たとえば、ステアリン酸、マグネシウムステアレート、タルク、ナトリウムベンゾエート、および水素化植物油)をさらに含みうる。
【0068】
多くの薬剤物質は、固有の苦味を有する。5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含む組成物の経口投与に伴って生じることのある不快な味は、固体コア上でフィルムコートを用いることにより実質的に回避することが可能である。固体コアは、5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含む。さらに、本発明に係る組成物で使用した場合、フィルムコートは、胃に到達するまで固形製剤の崩壊を遅延させる。フィルムコートはまた、嚥下を促進することが可能であり、審美的に固形製剤をより感じの良いものにすることが可能であり、しかも一般的には固形製剤の脆砕性を減少させる。
【0069】
したがって、一実施形態では、本発明は、以上に記載したような医薬組成物をフィルムコートの施された錠剤の形態で提供する。
【0070】
フィルムコーティングには好適にはポリマーが含まれうる。好適なポリマーは、当業者には周知であろう。その例としては、セルロースエーテル、たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはメチルセルロース、およびメタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマーが挙げられる。好ましくは、フィルムコーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むであろう。
【0071】
全フィルムコーティング固形分は、一般的には、製剤の乾燥重量を基準にして、約0.5〜10重量%、好ましくは約1〜約4%、より好ましくは約2〜約3%の量で、固形製剤(たとえば錠剤コア)に適用される。たとえば、約300または約400mgの重量の錠剤コアに対して約8mgのコートが使用され、約175mgの重量の錠剤コアに対して約4mgのコートが使用される。
【0072】
フィルムコーティングは、このほかに、水溶性染料、水溶性染料のアルミニウムレーキ、および無機顔料、たとえば、二酸化チタンや酸化鉄をはじめとする任意の製薬上許容される着色剤または乳白剤を含みうる。
【0073】
フィルムコーティングはまた、高分子フィルムコーティングで慣用される1種以上の可塑化剤、たとえば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジブチルセバケート(dibuty sebecate)、鉱油、ゴマ油、フタル酸ジエチル、およびトリアセチンを含有しうる。OpasprayやOpadry(Colorcon Ltd., UKから入手可能)のような専売フィルムコーティング材料を使用することが可能である。
【0074】
香味剤および/または甘味剤を用いて、経口組成物の味を改良することも可能である。
【0075】
好適な香味剤は、当業者に周知であろう。その例としては、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、バニラ、カラメル、バタースコッチ、ヘーゼルナッツ、またはミントの香味剤が挙げられる。本発明の組成物で使用するのに好適な甘味剤は、当業者に周知であろう。その例としては、スクロース、サッカリン、シクラミン酸およびそのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、マンニトール、アセスルファーム-K、ステビオシド、タウマチン、ならびにアスパルテームが挙げられる。香味剤および/または甘味剤は、単独で使用しても互いに組み合わせて使用してもよい。
【0076】
さらなる態様において、本発明は、群発性頭痛、慢性発作性片側頭痛、血管障害に伴う頭痛、薬物またはその離脱に伴う頭痛、リバウンド頭痛、緊張性頭痛、およびとくに片頭痛のような頭部疼痛に関連する症状の治療に使用するための以上に記載したような経口投与用の固形製剤医薬組成物を提供する。好適には、5HT1レセプターアゴニストは、スマトリプタンもしくはナラトリプタンまたは製薬上許容されるそれらの誘導体、好ましくはスマトリプタンまたは製薬上許容されるその誘導体、より好ましくはスマトリプタンスクシネート(1:1)塩である。好適には、NSAIDは、ナプロキセンもしくはCOX-189または製薬上許容されるそれらの塩、より好ましくはナプロキセンナトリウムである。
【0077】
治療について言及されている場合、確認された症状の軽減だけでなく予防をも包含することが意図されていることは理解されよう。
【0078】
本発明のさらなる態様に従って、群発性頭痛、慢性発作性片側頭痛、血管障害に伴う頭痛、薬物またはその離脱に伴う頭痛、リバウンド頭痛、緊張性頭痛、およびとくに片頭痛のような頭部疼痛に関連する症状を治療するための医薬の製造における以上に記載したような経口投与用の固形製剤医薬組成物の使用を提供する。好適には、5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体は、スマトリプタンもしくはナラトリプタンまたは製薬上許容されるそれらの誘導体、好ましくはスマトリプタンまたは製薬上許容されるその誘導体、より好ましくはスマトリプタンスクシネート(1:1)塩である。好適には、NSAIDは、ナプロキセンもしくはCOX-189または製薬上許容されるそれらの塩、より好ましくはナプロキセンナトリウムである。
【0079】
本発明のさらなる態様は、群発性頭痛、慢性発作性片側頭痛、血管障害に伴う頭痛、薬物またはその離脱に伴う頭痛、リバウンド頭痛、緊張性頭痛、およびとくに片頭痛のような頭部疼痛に関連する症状を患っているかまたは患いやすい哺乳動物(ヒトを含む)を治療する方法を提供する。この方法は、以上に記載したような固形製剤医薬組成物の経口投与を含む。好適には、5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体は、スマトリプタンもしくはナラトリプタンまたは製薬上許容されるそれらの誘導体、好ましくはスマトリプタンまたは製薬上許容されるその誘導体、より好ましくはスマトリプタンスクシネート(1:1)塩である。好適には、NSAIDは、ナプロキセンもしくはCOX-189または製薬上許容されるそれらの塩、より好ましくはナプロキセンナトリウムである。
【0080】
本発明に係る固形製剤組成物で活性成分として利用される化合物の量は、使用される特定の化合物に依存することは理解されよう。さらに、利用される正確な治療用量は、患者の年齢および健康状態ならびに治療対象の症状の性質に依存し、主治医の最終的自由裁量にゆだねられるであろう。
【0081】
5HT1レセプターアゴニストがスマトリプタンまたはナラトリプタンである場合、本発明に係る組成物に利用される化合物の量は、0.1mg〜250mgの範囲内であろう。組成物は、たとえば、1日1回〜4回、好ましくは1回または2回投与可能である。5HT1レセプターアゴニストがスマトリプタンである場合、スマトリプタン(好ましくは、製薬上許容される塩の形態)の量は、遊離塩基の重量で表したとき、1mg〜200mgの範囲内、好ましくは20mg〜150mg、たとえば、25、50、85、または100mgである。5HT1レセプターアゴニストがナラトリプタンである場合、ナラトリプタン(好ましくは、製薬上許容される塩の形態)の量は、遊離塩基の重量で表したとき、0.1mg〜25mgの範囲内、好ましくは1または2.5mgであろう。NSAIDがナプロキセンまたはCOX-189である場合、本発明に係る組成物に利用される化合物の量は、25mg〜1100mgの範囲内であろう。NSAIDがナプロキセンである場合、ナプロキセン(好ましくは、製薬上許容される塩の形態)の量は、遊離酸の重量で表したとき、100mg〜1100mgの範囲内、好ましくは250mg〜800mg、たとえば、454.5mgまたは500mg、またはナトリウム塩の重量で表したとき、275、350、400、500、もしくは550mgである。
【0082】
とくに好ましい実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、119mgのスマトリプタンスクシネートの形態の85mgのスマトリプタンと、500mgのナプロキセンに相当する550mgのナプロキセンナトリウムと、を含む二層錠剤であり、少なくともスマトリプタンは、迅速な吸収が行われるように製剤化される。
【0083】
とくに好ましい実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、119mgのスマトリプタンスクシネートの形態の85mgのスマトリプタンと、454.5mgのナプロキセンに相当する500mgのナプロキセンナトリウムと、を含む二層錠剤であり、少なくともスマトリプタンは、迅速な吸収が行われるように製剤化される。
【0084】
典型的には、頭部疼痛(とくに片頭痛)の治療において、組成物は、1回用量として投与され;患者がリバウンド疼痛または再発を起こした場合、主治医により与えられた指示に従って、適切な期間を置いて、その後の1回用量が投与されうる。したがって、本発明に関連して想定される頭部疼痛(とくに片頭痛)の治療では、本質的に、活性成分の急性1回用量投与が利用される。組成物は、たとえば、1日1回〜4回、好ましくは1回または2回投与可能である。
【0085】
次に、以下の実施例により本発明について具体的に説明するが、これらの実施例は、本発明を限定するものとみなされるべきものではない。
【実施例】
【0086】
実施例1
スマトリプタンスクシネート顆粒およびナプロキセンナトリウム直接圧縮物の錠剤
従来法を用いて液圧式Carverプレスで圧縮することにより、錠剤を作製した。目的は、119mgのスマトリプタンスクシネート(85mgのスマトリプタン遊離塩基に相当する)の迅速な溶解および550mgのナプロキセンナトリウム(500mgのナプロキセン遊離酸に相当する)の適切な放出速度を提供する単一の錠剤を作製することであった。スマトリプタンスクシネートの目標溶解プロファイルは、先に記載した溶解試験条件において95%が5分間で溶解されるものであった。ナプロキセンナトリウムに関して、目標プロファイルは、同一の溶解試験条件下において15分間で約57%を放出したゴールドスタンダードAnaprox(登録商標)DS(550mgのナプロキセンナトリウム, Roche)に匹敵するものであった。図1は、Anaprox(登録商標)550mg市販錠剤のナプロキセンナトリウムで得られた溶解プロファイルを示している。
【0087】
製剤開発の最初のステップは、2つの薬剤物質の併用直接圧縮物の実現可能性を調べることであった。種々の充填剤および結合剤(Anhydrous Emcompress(登録商標)、Avicel pH(登録商標)102、およびProsolv SMCCTM 90)、精選された崩壊剤、流動促進剤、および滑沢剤、ならびに入手可能なMontrose製のスマトリプタンスクシネートおよびAlbemarle Corporation製のナプロキセンナトリウムUSPを用いて、製剤を作製した。代表的な製剤を表1に示す。
【表2】

【0088】
これらの製剤には問題があったため、崩壊を促進するための発泡剤と共に優れた物理的特性を有する異なるタイプのナプロキセンナトリウムを利用して、さらなる検討を行った。以下の表2は、処方を示している。
【表3】

【0089】
カーボネート塩基(すなわち重炭酸ナトリウム)と酸との組合せにより、湿分の存在下で発泡反応が自発的に起こり、水および二酸化炭素を生成するであろう。SPI Pharma製のEffer-sodaTMは、「きわめて安定な表面改質重炭酸ナトリウム粉末であり、より大きい粒子サイズ範囲を有し、その結果として、より良好な流動特性およびより少ない付着傾向を有する」。
【0090】
しかしながら、90ミクロンのナプロキセンナトリウムの物理的特性がいかに優れていようとも、2種の薬剤物質の併用直接圧縮の努力は、失敗に終わった。
【0091】
実施例2
スマトリプタンスクシネート高速分散性錠剤(FDT)顆粒およびナプロキセンナトリウム直接圧縮物
スマトリプタンの迅速分散性製剤を併用製剤の形態で組み合わせて調べた製剤のうちの1つは、スマトリプタンスクシネート物質の迅速な崩壊を有するはずのものであった。処方を表3に示す。
【表4】

【0092】
Suma FDT製剤法を用いた結果として、この製剤では、前の製剤で観測された明らかな付着の問題は、低減されたが回避されなかった。図2は、FDT顆粒単独のときの5分間で95%と比較して5分間で33%のスマトリプタンが放出されたことを表すスマトリプタンスクシネートの溶解プロファイル(左)を示している。ナプロキセンナトリウム溶解(右)は、15分間で67%であり、Anaprox DSに匹敵する。
【0093】
FDT顆粒を製剤に組み込んだ場合、両成分の溶解は、予想以上に遅かった。この結果から、一緒にブレンドした場合、ナプロキセンナトリウムによりスマトリプタン顆粒の溶解ができなくなるという結論が導かれる。
【0094】
実施例3
次に取り組んだのは、二層錠剤であった。スマトリプタンスクシネートを含有する独立した層としてFDT顆粒製剤を導入することにより、スマトリプタン側の付着は低減された。
【0095】
ナプロキセンナトリウム物質の直接圧縮加工は、崩壊剤、滑沢剤、および充填剤を含んでいた。代表的な製剤組成を表4に示す。
【表5】

【0096】
二層錠剤の形態で2種の製剤を独立した層として組み合わせることにより、ナプロキセンナトリウムによる同様な妨害を受けることなく、錠剤からのスマトリプタンスクシネートの迅速な放出を行えるようにした。図3は、この二層法の溶解プロファイルを示している。
【0097】
FDT系二層併用錠剤からのスマトリプタンスクシネートおよびナプロキセンナトリウムの溶解プロファイルは、スマトリプタンスクシネートが5分間で95%溶解したことを示している。この結果から、スマトリプタンスクシネートを急速に放出させるうえで二層錠剤が有益であることが確認された。このほか、放出されたナプロキセンナトリウムは、15分間で約59%であり、ゴールドスタンダードAnaprox(登録商標)DSに非常に近い。
【0098】
実施例4〜6
さらなる二層製剤を表5に示す。これらはすべて、スマトリプタンスクシネートFDT層とナプロキセンナトリウム層の両方を顆粒法で加工することを含むものであった。
【表6】

【0099】
実施例4〜6の作製は、以下の標準的製剤工程を含むものであった:
・ナプロキセンナトリウム層:
- 高剪断顆粒化
- 顆粒の流動床乾燥;ミリング
- 顆粒と他の賦形剤とのドライブレンド
・スマトリプタンスクシネート層:
- 高剪断顆粒化
- 顆粒の流動床乾燥;ミリング
- 顆粒と他の賦形剤とのドライブレンド
・二層錠剤として圧縮
・従来の水系フィルムコーティング、たとえば、Opadry、Opaglos
実施例4の錠剤製剤の溶解プロファイルを図4に示す(USP I型装置、pH6.8、リン酸緩衝液、50rpm、n=6錠剤)。これは、スマトリプタンスクシネートが5分間で95%溶解されたことを示している。この結果から、スマトリプタンスクシネートを急速に放出させるうえで二層錠剤が有益であることがさらに確認された。このほか、放出されたナプロキセンナトリウムは、15分間で70%超であり、ゴールドスタンダードAnaprox(登録商標)DSを上回る。
【0100】
この説明および特許請求の範囲で構成される本出願は、任意の後続出願に関して、優先権の基礎をなすものとして使用しうる。そのような後続出願の特許請求の範囲は、任意の新規な特徴または本明細書に記載の特徴の組合せに関連しうる。これは、製品、組成物、方法、または使用のクレームの形態をとることが可能であり、たとえば、限定されるものではないが、1つ以上の次の請求項を包含しうる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】Anaprox(登録商標)550mg錠剤からのナプロキセンナトリウムの溶解プロファイルを示すグラフである。
【図2A】FDT顆粒を用いたスマトリプタンスクシネートおよびナプロキセンナトリウム直接圧縮物の溶解プロファイルを示すグラフである。
【図2B】FDT顆粒を用いたスマトリプタンスクシネートおよびナプロキセンナトリウム直接圧縮物の溶解プロファイルを示すグラフである。
【図3A】スマトリプタンスクシネートFDT顆粒およびナプロキセンナトリウム直接圧縮物を含有する二層錠剤の溶解プロファイルを示すグラフである。
【図3B】スマトリプタンスクシネートFDT顆粒およびナプロキセンナトリウム直接圧縮物を含有する二層錠剤の溶解プロファイルを示すグラフである。
【図4】スマトリプタンスクシネートFDT顆粒およびナプロキセンナトリウム顆粒を含有する二層錠剤の溶解プロファイルを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を、NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体と組み合わせて含み、該5HT1レセプターアゴニストおよび該NSAIDが、互いに個別のゾーン内に位置し、各ゾーンが、該活性成分および場合により担体を含む、医薬組成物。
【請求項2】
スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタン、アビトリプタン、ドニトリプタン、アルニジタン、ALX-0646、LY334370、U1092291、IS159、およびPNY142633よりなる群から選択される5HT1レセプターアゴニストを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記5HT1レセプターアゴニストがスマトリプタンまたはナラトリプタンである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記5HT1レセプターアゴニストがスマトリプタンである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
スマトリプタンスクシネートを含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
ジクロフェナク、ナブメトン、ナプロキセン、ケトロラク、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、オキサプロジン、エトドラク、インドメタシン、メフェナム酸(mefanamic acid)、トルフェナム酸、およびCOX-2選択的阻害剤、たとえば、セレコキシブ、ロフェコキシブ(VIOXX)、バルデコキシブ、パレコキシブ、4-(4-シクロヘキシル-2-メチル-5-オキサゾリル)-2-フルオロベンゼンスルホンアミド(JTE-522)、MK633(エトリコキシブ)、ニメスリド、フロスリド、DFP、2-(4-エトキシ-フェニル)-3-(4-メタンスルホニル-フェニル)-ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン、メロキシカム、RS57067、ピロキシカム、NS398、L-745,337、およびCOX-189よりなる群から選択されるNSAIDを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記NSAIDがCOX-189またはナプロキセンである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記NSAIDがナプロキセンである、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記ナプロキセンがナプロキセンナトリウムである、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体および製薬上許容される担体を、NSAIDと組み合わせて含む医薬組成物であって、該5HT1レセプターアゴニストおよび該NSAIDが、医薬組成物中においてそれぞれの製薬上許容される担体内に分散されている、上記医薬組成物。
【請求項11】
前記5HT1レセプターアゴニスト用の担体が、組成に関して前記NSAID用の担体のものと異なる、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記5HT1レセプターアゴニストおよびその担体が、前記NSAIDおよびその担体と実質的に混合状態にある、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
錠剤の形態である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記5HT1レセプターアゴニスト用の好適な担体が、結合剤、充填剤、滑沢剤、ならびに発泡対、ウィッキング剤、流動促進剤、崩壊剤、および湿潤剤から選択される1種以上の成分を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記NSAID用の好適な担体が、結合剤、充填剤、滑沢剤、発泡対、ウィッキング剤、流動促進剤、崩壊剤、および湿潤剤から選択される1種以上の成分を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記活性薬剤を独立した層中に存在させてなる多層錠剤である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
二層錠剤である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を、NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体と組み合わせて含み、該5HT1レセプターアゴニストおよび該NSAIDが、互いに個別のゾーン内に位置し、各ゾーンが、該活性成分および場合により担体を含み、さらに、少なくとも該5HT1レセプターアゴニストを含むゾーンが、迅速な吸収が確実に行われるように製剤化されている、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項19】
2層以上の層を含む錠剤であり、5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含む一層が、迅速な吸収が確実に行われるように製剤化されており、かつ他の層が、NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体および場合により担体を含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
迅速な吸収が確実に行われるように製剤化された5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含む層と、NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体および場合により担体を含む層と、を含んでなる二層錠剤である、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体が、崩壊剤、不溶性充填剤、およびウィッキング剤と組み合わされた発泡対と共に製剤化されている、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体が、発泡対の塩基成分、崩壊剤、および不溶性充填剤と共に製剤化されており、製剤の層の乾燥重量を基準にして、該塩基成分が約5〜約50重量%を構成し、該崩壊剤が約0.5〜約10重量%を構成し、かつ該不溶性充填剤が約20〜約99重量%を構成し、該不溶性充填剤が、約1〜約99重量%を構成するウィッキング剤を含み、該活性成分の約70%超が、USPII型装置で10rpmの分析的パドル速度にて5分以内に模擬胃液(SGF)中に溶解される、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項23】
製剤の層の乾燥重量を基準にして、前記5HT1レセプターアゴニスト層が、約0.001〜約55重量%を構成する5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含み、前記発泡対の塩基成分が約5〜約50重量%を構成し、前記崩壊剤が約0.5〜約10重量%を構成し、前記不溶性充填剤が、前記ウィッキング剤を含めて、約35〜約80重量%を構成し、かつ前記ウィッキング剤が約1〜約80重量%を構成する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記NSAID層において、前記NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体が、迅速な吸収が行われるように製剤化されている、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記NSAID層において、前記NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体が、崩壊剤、不溶性充填剤、およびウィッキング剤と組み合わされた発泡対と共に製剤化されている、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体が、発泡対の塩基成分、崩壊剤、および不溶性充填剤と共に製剤化されており、製剤の層の乾燥重量を基準にして、該塩基成分が約5〜約50重量%を構成し、該崩壊剤が約0.5〜約20%重量を構成し、かつ該不溶性充填剤が約30〜約80重量%を構成し、該不溶性充填剤が、約1〜約60%を構成するウィッキング剤を含み、該活性成分の約25%超が、USPII型装置で30rpmの分析的パドル速度にて5分以内に模擬腸液中に溶解される、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項27】
製剤の層の乾燥重量を基準にして、前記NSAID層が、約1〜約90重量%を構成するNSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体を含み、前記発泡対の塩基成分が約5〜約50重量%を構成し、前記崩壊剤が約0.05〜約10重量%を構成し、前記不溶性充填剤が、前記ウィッキング剤を含めて、約10〜約99重量%を構成する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項28】
二層錠剤であり、製剤の層の乾燥重量を基準にして、前記5HT1レセプターアゴニスト層が、約0.001〜約55重量%を構成する5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含み、前記発泡対の塩基成分が約5〜約50重量%を構成し、前記崩壊剤が約0.5〜約10重量%を構成し、前記不溶性充填剤が、前記ウィッキング剤を含めて、約35〜約80重量%を構成し、かつ前記ウィッキング剤が約1〜約80重量%を構成し、製剤の層の乾燥重量を基準にして、前記NSAID層が、約1〜約90重量%を構成するNSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体を含み、前記発泡対の塩基成分が約5〜約50重量%を構成し、前記崩壊剤が約0.05〜約10重量%を構成し、前記不溶性充填剤が、前記ウィッキング剤を含めて、約10〜約99重量%を構成する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記5HT1レセプターアゴニストゾーンが、スマトリプタンもしくはナラトリプタンまたは製薬上許容されるそれらの誘導体を含む5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含み、前記発泡対の塩基成分が重炭酸ナトリウムを含み、前記崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムを含み、かつ前記不溶性充填剤が微結晶性セルロースを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記5HT1レセプターアゴニストゾーンが、スマトリプタンもしくはナラトリプタンまたは製薬上許容されるそれらの誘導体を含む5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含み、前記発泡対の塩基成分が重炭酸ナトリウムを含み、前記崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムを含み、かつ前記不溶性充填剤が第二リン酸カルシウム、好ましくは無水第二リン酸カルシウムを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記5HT1レセプターアゴニストゾーンが、スマトリプタンまたは製薬上許容されるその誘導体を含む5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含み、前記発泡対の塩基成分が重炭酸ナトリウムを含み、前記崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムを含み、かつ前記不溶性充填剤が無水第二リン酸カルシウムもしくは微結晶性セルロースまたはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項32】
119mgのスマトリプタンスクシネートの形態の85mgのスマトリプタンと、500mgのナプロキセンに相当する550mgのナプロキセンナトリウムと、を含む、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項33】
119mgのスマトリプタンスクシネートの形態の85mgのスマトリプタンと、454.5mgのナプロキセンに相当する500mgのナプロキセンナトリウムと、を含む、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項34】
群発性頭痛、慢性発作性片側頭痛、血管障害に伴う頭痛、薬物またはその離脱に伴う頭痛、リバウンド頭痛、緊張性頭痛、および片頭痛よりなる群から選択される頭部疼痛に関連する症状の治療に使用するための、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項35】
群発性頭痛、慢性発作性片側頭痛、血管障害に伴う頭痛、薬物またはその離脱に伴う頭痛、リバウンド頭痛、緊張性頭痛、および片頭痛よりなる群から選択される頭部疼痛に関連する症状を患っているかまたは患いやすい哺乳動物を治療する方法であって、請求項1に記載の固形剤形の医薬組成物を経口投与することを含む、上記方法。
【請求項36】
前記哺乳動物がヒトである、請求項36に記載の方法。
【請求項37】
前記症状が片頭痛である、請求項36に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を、NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体と組み合わせて含む医薬組成物であって、該5HT1レセプターアゴニストおよび該NSAIDが、互いに個別のゾーン内に位置し;各ゾーンが、該活性成分および場合により担体を含み;該5HT1レセプターアゴニストが、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタン、アビトリプタン、ドニトリプタン、アルニジタン、ALX-0646、LY334370、U1092291、IS159、およびPNY142633よりなる群から選択され;該NSAIDが、ジクロフェナク、ナブメトン、ナプロキセン、ケトロラク、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、オキサプロジン、エトドラク、インドメタシン、メフェナム酸、トルフェナム酸、およびCOX-2選択的阻害剤、たとえば、セレコキシブ、ロフェコキシブ(VIOXX)、バルデコキシブ、パレコキシブ、4-(4-シクロヘキシル-2-メチル-5-オキサゾリル)-2-フルオロベンゼンスルホンアミド(JTE-522)、MK633(エトリコキシブ)、ニメスリド、フロスリド、DFP、2-(4-エトキシ-フェニル)-3-(4-メタンスルホニル-フェニル)-ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン、メロキシカム、RS57067、ピロキシカム、NS398、L-745,337、およびCOX-189よりなる群から選択される、医薬組成物。
【請求項2】
前記5HT1レセプターアゴニストがスマトリプタンまたはナラトリプタンであり、前記NSAIDがCOX-189またはナプロキセンである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記5HT1レセプターアゴニストがスマトリプタン、好ましくはスマトリプタンスクシネートであり、前記NSAIDがナプロキセン、好ましくはナプロキセンナトリウムである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記5HT1レセプターアゴニストおよび前記NSAIDが、医薬組成物中においてそれぞれの製薬上許容される担体内に分散されており、該担体が、結合剤、充填剤、滑沢剤、発泡対、ウィッキング剤、流動促進剤、崩壊剤、および湿潤剤よりなる群から選択される1種以上の成分からなる、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記5HT1レセプターアゴニスト用の担体が、組成に関して前記NSAID用の担体のものと異なる、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記5HT1レセプターアゴニストおよびその担体が、前記NSAIDおよびその担体と実質的に混合状態にある、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
錠剤の形態である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記活性薬剤を独立した層中に存在させてなる多層錠剤、好ましくは二層錠剤である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
少なくとも前記5HT1レセプターアゴニストを含むゾーンが、迅速な吸収が確実に行われるように製剤化されている、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体を含む層が、迅速な吸収が確実に行われるように製剤化されている、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記5HT1レセプターアゴニストまたは製薬上許容されるその誘導体が、崩壊剤、不溶性充填剤、およびウィッキング剤と組み合わされた発泡対と共に製剤化されている、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
NSAID層において、NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体が、迅速な吸収が確実に行われるように製剤化されている、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項13】
NSAID層において、NSAIDまたは製薬上許容されるその誘導体が、崩壊剤、不溶性充填剤、およびウィッキング剤と組み合わされた発泡対と共に製剤化されている、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記発泡対の塩基成分が重炭酸ナトリウムを含み、前記崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムを含み、かつ前記不溶性充填剤が微結晶性セルロース、第二リン酸カルシウムおよびその混合物よりなる群から選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項15】
119mgのスマトリプタンスクシネートの形態の85mgのスマトリプタンと、454.5mgのナプロキセンに相当する500mgのナプロキセンナトリウムと、を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
群発性頭痛、慢性発作性片側頭痛、血管障害に伴う頭痛、薬物またはその離脱に伴う頭痛、リバウンド頭痛、緊張性頭痛、および片頭痛よりなる群から選択される頭部疼痛に関連する症状の治療に使用するための、請求項1に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−527195(P2006−527195A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515062(P2006−515062)
【出願日】平成16年6月2日(2004.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/017257
【国際公開番号】WO2004/110492
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】