説明

トリペプチドボロン酸又はトリペプチドボロン酸エステル、その調製方法及び使用

本発明は、式(I)により表されるトリペプチドボロン酸又はトリペプチドボロン酸エステルのプロテアソーム阻害剤、その調製方法及び使用を開示する。プロテアソーム阻害剤は、悪性腫瘍、多数種の神経系変性疾患、筋悪液質、又は糖尿病を治療するための治療剤であり、ここで悪性腫瘍は白血病、胃がん、肝臓がん又は上咽頭癌である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤製造の分野に関し、具体的には本発明は、新たな種類のトリペプチドボロン酸化合物又はトリペプチドボロン酸エステル化合物、その調製方法及び使用に関する。上記トリペプチドボロン酸化合物又はトリペプチドボロン酸エステル化合物は優れたプロテアソーム阻害活性を有し、これを様々な遺伝性疾患、例えば悪性腫瘍、様々な神経系変性疾患、筋悪液質、糖尿病等を治療するのに使用することができる。
【背景技術】
【0002】
2004年10月6日、スウェーデン王立科学アカデミーは、その年のノーベル化学賞が、イスラエルの科学者Aaron Ciechanover、Avram Hershko、及びアメリカの科学者Irwin Roseに、ユビキチン−プロテアソーム経路(以下では「UPP」と称される)により調節されるタンパク質分解プロセスの発見に対して授与されることを公表した。ユビキチン−プロテアソームにより調節されるタンパク質分解の経路は生命の領域において多大なる重要性を有することが示されている。
【0003】
ユビキチン(略してUb)は、76個のアミノ酸からなる分子量8.5kDの高度に保存されたポリペプチド鎖である。多数の分子生化学的研究、細胞研究、遺伝学的研究及び臨床研究により、ユビキチン−プロテアソームにより分解されるタンパク質のプロセスが、多くの生理学的プロセスの調節、及び様々な重要なヒトの疾患の発症にとって重要であることが示された。この分解プロセスが、神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病(HD)、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)及び糖尿病の発病にも大きな影響を有することが、最近発見されている。
【0004】
プロテアソームが、細胞周期制御に関与するタンパク質、例えばG1期及び有糸分裂期に作用するサイクリン、cdk阻害剤、腫瘍抑制タンパク質、及び他の調節タンパク質のレベルを変調させることができることはよく知られている。UPP依存性タンパク質分解経路は、細胞再生及び細胞死の制御において重要な役割を果たすことが確認されており、この経路は、神経系変性疾患、例えばPD、AD等にも大きな影響を有する。新たな阻害剤の使用により、ユビキチン−プロテアソームの更に新しく未知の機能が明らかとなるであろう。
【0005】
今日まで、見出されたプロテアソーム阻害剤は、2種類、すなわちペプチド系阻害剤及び非ペプチド系阻害剤に分類することができる。ペプチド系阻害剤は通常、短鎖ペプチド、及びそのC末端と結合した様々なファーマコフォアにより構成されており、ファーマコフォアはプロテアソームの触媒性アミノ酸残基(主に、N末端のスレオニンのヒドロキシ)と反応して可逆的又は不可逆的な共有結合複合体を形成し、該ペプチド鎖の残りはサブユニット活性部位中の他の残基と選択的に結合する。現在のところ、主要なファーマコフォアとしては、アルデヒド基(ペプチドアルデヒド)、ビニルスルホン、ボロン酸(ペプチドボロン酸)及びα’,β’−エポキシケトン等が挙げられる。
【0006】
ペプチドアルデヒド阻害剤と比較して、ペプチドボロン酸阻害剤は、これらの化合物のファーマコフォアであるボロン酸基又はボロン酸エステル基の安定性及び選択性がアルデヒド基の安定性及び選択性より良好であること、並びにホウ素物質の毒性が非常に低く、これらは最終的に環境に優しいボロン酸へと分解することができることを理由として、より良好な薬剤適合性を有する。例えば、ジペプチドボロン酸阻害剤であるPS341(英語名はボルテゾミブ又はVELCADEであり、中国語名は硼替佐米であり、万珂とも称される)は、America Millennium Pharmaceuticalsにより開発され、アメリカ合衆国、欧州連合及び中華人民共和国において既に上市されている新規な抗腫瘍薬である。この薬剤は主に、多発性骨髄腫(MM)に罹患しており少なくとも2つ以上の治療を受けた患者に対して投与されており、この薬剤は、世界中で臨床治療において現在使用されている唯一の承認済プロテアソーム阻害剤である。この薬剤は、伝統的な抗腫瘍薬に関する薬剤耐性を克服することができるため、多発性骨髄腫の治療に希望をもたらしている。
【0007】
特許文献1は、トリペプチドボロン酸エステル化合物を含む、新たな種類のボロン酸エステル化合物P−AA1−AA1−AA3−B(Z1)(Z2)を開示している。しかしながら、ほんの数種類のトリペプチド化合物しか開示されておらず、上記トリペプチド化合物の構造は、L−Leu−L−Leu−L−Leu又はL−Leu−L−Nal−L−Leuという2種類の構造のみである。この特許において提示されているデータは、ジペプチド化合物の活性がトリペプチド化合物の活性より良好であることを示している。
【0008】
特許文献2は、トリペプチドアルデヒド化合物が高い活性を有するプロテアソーム阻害剤の一種であることを報告している。しかし、これらの阻害剤のファーマコフォアがアルデヒド基であるため、これらの阻害剤の選択性及び安定性は両方とも非常に乏しい。
【0009】
これに基づき、本発明者らは研究を行い、より望ましいプロテアソーム阻害活性を有する新たな種類のトリペプチドボロン酸化合物又はトリペプチドボロン酸エステル化合物を発見した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,780,454号明細書
【特許文献2】米国特許第5,693,617号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、一般式(I):
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、R1、R2及びR3は各々独立してL−アミノ酸の側鎖であり、EはH又は2,3−ピナンジオールエステル基であり、アミノ酸はα−アミノ酸であり、好ましくはアミノ酸は天然アミノ酸である)
により表される新たな種類のトリペプチドボロン酸化合物又はトリペプチドボロン酸エステル化合物を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好ましくはR1、R2及びR3は各々独立してC1~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル、アリールメチル、又は芳香族ヘテロシクリルメチルであり、アリールメチルの芳香族環又は芳香族ヘテロシクリルメチルの芳香族環は、C1~4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル、ヒドロキシル基、アミノ基、又はハロゲンから選択される基により任意に置換することができる。
【0015】
本発明の化合物の定義では、「C1~6の直鎖又は分岐鎖のアルキル」という用語は、1個〜6個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖の飽和ヒドロカルビル、好ましくは3個〜4個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルキル、例えばプロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル又はt−ブチル等、より好ましくはイソプロピル、イソブチル又はt−ブチル、最も好ましくはイソブチルを表す。同様に、本明細書で使用される場合の「C1~4の直鎖又は分岐鎖のアルキル」という用語は、1個〜4個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖の飽和ヒドロカルビル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル又はt−ブチル等、好ましくはメチルを表す。
【0016】
本明細書で使用される場合の「アリール」という用語は、6個〜10個の炭素原子を含有する芳香族基、好ましくはフェニル又はナフチルを表す。
【0017】
本明細書で使用される場合の「芳香族ヘテロシクリル」という用語は、N、O及び/又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含有する5員又は6員のヘテロ芳香族環を表し、5員環又は6員環はベンゼン環と融合していてもよく、融合する基は例えばピロリル、ピリジル、フリル、チエニル、インジル(indyl)、ベンゾチエニル、キノリル又はイソキノリル等の基であり、より好ましくは芳香族ヘテロシクリルはインジルである。
【0018】
上の定義では、アリールメチル又は芳香族ヘテロシクリルメチルの芳香族環は、C1~4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル、ヒドロキシル基、アミノ基、又はハロゲンから選択される基により任意に置換されていてもよく、ここで「ハロゲン」という用語は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子、好ましくはフッ素原子、塩素原子又はヨウ素原子を表し、芳香族環上の置換基は、好ましくはメチル基、ヒドロキシル基、フッ素原子又は塩素原子である。
【0019】
好ましくは、上記R1、上記R2及び上記R3は各々独立してL−アミノ酸の側鎖、例えばベンジル、p−ヒドロキシベンジル、β−インジルメチル、イソブチル又は2−ナフチルメチル等であり、より好ましくは上記R3基はイソブチルである。
【0020】
上の定義によれば、本発明の化合物中のトリペプチド部分の3つのアミノ酸は好ましくは、以下のL−アミノ酸:ロイシン、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン及び2−ナフチルアラニンの任意の組合せであり、より好ましくはR3基はイソブチルであり、すなわちボロン酸又はボロン酸エステルの末端に最も近いアミノ酸はロイシンである。
【0021】
好ましくは、本発明は以下の化合物を提供する:
1.ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボレート(5a)、
2.ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボレート(5b)、
3.ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−チロシル−L−ロイシンボレート(5c)、
4.ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−チロシル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボレート(5d)、
5.ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボレート(5e)、
6.ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボレート(5f)、
7.ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボレート(5g)、
8.ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボレート(5h)、
9.ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−トリプトフィル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボレート(5i)、
10.ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−トリプトフィル−L−ロイシンボレート(5j)、
11.ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−ロイシル−L−ロイシンボレート(5k)、
12.ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−ロイシル−L−ロイシンボレート(5l)、
13.ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシル−L−ロイシンボレート(5m)、
14.N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボロン酸(6a)、
15.N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボロン酸(6b)、
16.N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−チロシル−L−ロイシンボロン酸(6c)、
17.N−ピラジンホルミル−L−チロシル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボロン酸(6d)、
18.N−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボロン酸(6e)、
19.N−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボロン酸(6f)、
20.N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボロン酸(6g)、
21.N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボロン酸(6h)、
22.N−ピラジンホルミル−L−トリプトフィル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボロン酸(6i)、
23.N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−トリプトフィル−L−ロイシンボロン酸(6j)、
24.N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−ロイシル−L−ロイシンボロン酸(6k)、
25.N−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−ロイシル−L−ロイシンボロン酸(6l)、及び
26.N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシル−L−ロイシンボロン酸(6m)。
【0022】
ここで、括弧内の通し番号は、本発明の化合物の説明に使用される通し番号である。
【0023】
本発明の別の目的は、上で言及した上記の一般式により表される化合物の調製方法を提供することであり、この方法は、出発原材料としてピラジンカルボン酸を使用する工程、所要の2つのアミノ酸を1つずつ導入する工程、及びその後、所要の第3のアミノ酸のボロン酸エステルを導入して、本発明の上記の一般式(I)のボロン酸エステルを得る工程を含み、対応するボロン酸を調製することが必要とされる場合、上で言及した上記の一般式(I)のボロン酸エステルを加水分解することにより調製を実施することができる。
【0024】
ここで、R3基がイソブチルである、すなわちボロン酸又はボロン酸エステルの末端に最も近いアミノ酸がロイシンである一般式の化合物を、出発原材料としてピラジンカルボン酸を使用することにより以下の合成経路に従って調製することができる:
【0025】
【化2】

【0026】
上記の方法はアミノ酸を1つずつ導入する工程を主に含み、アミノ酸を導入する各工程が、最初にピラジンカルボン酸をアミノ酸のメチルエステルと反応させること、その後、得られる化合物を加水分解して、対応するアミノ酸を得ることを含み、アミノ酸を導入するプロセスは、ペプチド合成において使用される通例の方法に従って実施することができる。
【0027】
ここで、原材料として使用されるロイシンボレート(本発明との関連では略してLeuBdiol−NH2)は、文献(Hall, D. G., Structure, properties, and preparation of boronic acid derivatives, WILEY-VCH Verlag GmbH & Co. KgaA, Weinheim. 2005, p8)中で開示される方法に従って調製することができ、又は以下の合成経路に従って調製することができる:
【0028】
【化3】

【0029】
ここで、原材料として本明細書で使用されるcis−キラルピナンジオール((1S,2S,3R,5S)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン−2,3−ジオール)は、より高い立体障害を有する非常に効率的なキラル試薬である。上記試薬は、市販されており、又は既知のアプローチを使用して合成することができる。
【0030】
本発明の更なる目的は、プロテアソームにより媒介される疾患を治療するために、例えば悪性腫瘍、様々な神経系変性疾患、筋悪液質、又は糖尿病等の治療に使用されるプロテアソーム阻害剤である、医薬組成物を提供することである。該組成物は、活性成分として本発明の一般式(I)のトリペプチドボロン酸化合物又はトリペプチドボロン酸エステル化合物、及び任意に薬学的担体(複数も可)を含有する。
【0031】
具体的には、該組成物は、治療上の有効量の本発明の一般式(I)の化合物、及び1種又は複数種の薬学的に許容可能な担体を含有する。好ましくは、本発明の組成物中の活性成分の含有量は0.5%〜99%であり、薬学的担体(複数も可)の含有量は1%〜99.5%である。
【0032】
本発明の組成物は、様々な従来の薬学的な剤形、例えば経口投与用の形態、非経口投与用の形態へと構築することができる。上記非経口投与用の形態は、注射投与、局所投与、吸入投与、直腸投与又は埋め込み投与に好適な様々な形態である。好ましくは該形態は注射投与に好適なもの、例えば注射剤、凍結乾燥粉末注射剤若しくは点滴溶液であり、又は該形態は経口投与に好適なもの、例えば錠剤、カプセル、顆粒、若しくは経口投与に好適な他の液体調製物、例えば溶液、乳濁液、懸濁液等である。好ましくは経口調製物は、コーティング形態又は腸溶コーティング形態へと構築することができる錠剤であり、好ましくは経口調製物は、持続放出形態又は定量放出形態へと構築することができる。
【0033】
好適な剤形を調製するために、1種又は複数種の薬学的担体を、必要に応じて活性成分中に添加することができ、上記薬学的担体は、様々な通例の薬学的補助剤、例えば賦形剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、界面活性剤、湿潤剤、保存料、甘味料及び色素等を含む。
【0034】
疾患の種類及び重症度、並びに患者の状態、例えば性別、年齢、体重(bw)等に応じて、適切な調製物及び適用される投与量が選択される。一般的には、成人に対して適用される投与量は、1mg/kg(bw)/日〜200mg/kg(bw)/日、好ましくは1mg/kg(bw)/日〜50mg/kg(bw)/日である。
【0035】
本発明の医薬組成物及びその様々な剤形は、通例の薬学的担体を使用する薬学的領域において既知の通例のアプローチに従って調製することができる。
【0036】
本発明のトリペプチドボロン酸化合物又はトリペプチドボロン酸エステル化合物は、疾患、例えば悪性腫瘍、様々な神経系変性疾患、筋悪液質、又は糖尿病等を治療するための新たなプロテアソーム阻害剤として使用することができる、プロテアソームに対する好ましい阻害活性を有する。
【0037】
本発明の別の目的は、一般式(I)の化合物、及びかかる化合物を含有する医薬組成物の薬学的な使用を提供することである。すなわち、本発明は、プロテアソーム阻害剤の調製のための一般式(I)の化合物、及び前述の化合物を含有する医薬組成物の使用、特に、疾患、例えば悪性腫瘍、様々な神経系変性疾患、筋悪液質、又は糖尿病等を治療するための薬物の調製における化合物又は医薬組成物の使用を提供する。該疾患は、様々な悪性腫瘍、神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、クロイツフェルト・ヤコブ病、及び糖尿病を含み、上記悪性腫瘍は白血病、胃がん、肝臓癌又は上咽頭癌である。
【0038】
本発明の別の目的は、様々な悪性腫瘍、神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、クロイツフェルト・ヤコブ病、又は糖尿病を治療する方法であって、治療上の有効量の一般式(I)の化合物をそれを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供することであり、ここで上記悪性腫瘍は、白血病、胃がん、肝臓癌又は上咽頭癌等である。
【0039】
本発明のトリペプチドボロン酸又はトリペプチドボロン酸エステルがプロテアソームに対する好ましい阻害活性を有し、その抗腫瘍活性が既知の薬剤ボルテゾミブの抗腫瘍活性より良好であることが判明しており、したがって悪性腫瘍を治療するために、特に多発性骨髄腫を治療するためにボルテゾミブの代わりにトリペプチドボロン酸又はトリペプチドボロン酸エステルを使用することができる。HL−60(ヒト白血病)、BGC−823(ヒト胃がん)、Bel−7402(ヒト肝臓癌)及びKB(ヒト上咽頭癌)という試験モデルに対する実験では、本発明の化合物が好ましい活性を示す。
【0040】
以下の具体的な実施形態は、本発明の技術的解決策の更なる例示のために使用するものであり、列挙される例は、本発明を例示することのみを意図しており、本発明の保護範囲を限定することは決して意図していない。
【実施例】
【0041】
調製例1 L−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩
25mlの無水メタノールを100ml容の反応フラスコに添加し、それから氷塩浴を使用して−10℃以下まで冷却し、SOCl2(7ml、96mmol)を撹拌しながらゆっくりと液滴で添加し、それから−10℃以下の温度で10分間反応させ、その後L−フェニルアラニン(1.65g、10mmol)を添加し、低温で40分間反応させ、氷塩浴を除去し、得られた溶液を室温で48時間反応させ、減圧下で濃縮し、15mlのメタノールを添加し、得られた溶液を減圧下で2回濃縮した。50mlのジエチルエーテルを添加し、放置して(standing)、針状結晶を沈殿させ、濾過し、乾燥させ、得られた粗生成物をメタノール−ジエチルエーテルから再結晶化させ、L−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩の2.0gの白色結晶を95%の収率で得た。[α]D25=+37.2°(c=1、CH3CH2OH)、m.p.:155℃〜158℃。
【0042】
調製例2 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニンメチルエステル
調製例1の生成物L−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩(1.12g、5.2mmol)を、20mlのTHFに溶解し、N−メチルモルホリン(NMM)(0.7ml、6.2mmol)で中和し、それから後で使用するために氷浴で冷却した。ピラジンカルボン酸(0.65g、5.2mmol)を別の反応フラスコに添加し、20mlのTHFで溶解し、氷水浴で冷却し、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(1.07g、5.2mmol)及びHOBt(0.84g、6.2mmol)を0℃で添加し、0℃で40分間反応させ、それに上記に従って調製、冷却及び中和したL−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩のTHF溶液を添加し、反応をTLCによりモニタリングし、2時間後に完了させ、不溶性のN,N’−ジシクロヘキシル尿素(DCU)を濾過により除去し、150mlの酢酸エチルを濾液に添加し、5%炭酸水素ナトリウム溶液、10%クエン酸溶液、5%炭酸水素ナトリウム溶液、飽和塩溶液(2×20ml)で順次洗浄した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させ、1.37gの白色固体を98%の収率で得た。m.p.:152℃〜155℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ3.26(−CH2、m、2H)、3.75(−CH3、s、3H)、5.09(−CH、m、1H)、7.15〜7.32(−Ph、m、5H)、8.23(−CONH、d、1H)、8.52(−Pyz、d、1H)、8.74(−Pyz、d、1H)、9.37(−Pyz、s、1H)。
【0043】
調製例3 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニン
調製例2の生成物N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニンメチルエステル(1.0g、3.51mmol)を、10mlのアセトンで溶解し、pH値が12〜13となるまで2N NaOHをゆっくりと液滴で添加し、溶液を氷水浴の条件下で反応させ続け、反応をTLCによりモニタリングし、2時間後に完了させた。pH値が2〜3となるまで塩酸を氷水浴の条件下で液滴で添加し、大量の白色固体を生成させ、生じた沈殿を濾過し、水及びジエチルエーテルで洗浄し、その後風乾し、0.89gの白色生成物を93.6%の収率で得た。m.p.:166℃〜169℃。1H−NMR(DMSO−d6、300MHz):δ3.23(−CH2、m、2H)、4.74(−CH、m、1H)、7.16〜7.25(−Ph、m、5H)、8.74(−CONH、t、1H)、8.86〜8.89(−Pyz、t、2H)、9.14(−Pyz、d、1H)、13.06(−COOH、s、1H)。
【0044】
調製例4 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニンメチルエステル
L−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩(0.8g、3.69mmol)を20mlのTHFで溶解し、それから塩酸をNMM(0.49ml、4.43mmol)で中和し、後で使用するために氷浴で冷却した。調製例3のN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニン(1.0g、3.69mmol)を別の反応フラスコに添加し、20mlのTHFで溶解し、氷水浴で冷却し、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(0.76g、3.69mmol)、HOBt(0.60g、4.42mmol)を0℃で添加し、0℃で40分間反応させ、それから上記に従って調製、冷却及び中和したL−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩のTHF溶液を添加し、反応をTLCによりモニタリングし、2時間後に完了させ、不溶性のDCUを濾過により除去し、80mlの酢酸エチルを濾液に添加し、5%炭酸水素ナトリウム溶液、10%クエン酸溶液、5%炭酸水素ナトリウム溶液、飽和塩溶液(2×20ml)で順次洗浄した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させ、1.52gの白色固体を95.6%の収率で得た。m.p.:111℃〜113℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ3.04(−CH2、m、2H)、3.18(−CH2、d、2H)、3.69(−CH3、s、3H)、4.82(−CH、m、2H)、6.36(−CONH、d、1H)、6.92〜7.30(−Ph、m、10H)、8.26(−CONH、d、1H)、8.54(−Pyz、d、1H)、8.76(−Pyz、d、1H)、9.33(−Pyz、s、1H)。
【0045】
調製例5 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニン
調製例4の生成物N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニンメチルエステル(1.52g、3.52mmol)を10mlのアセトンで溶解し、pH値が12〜13となるまで2N NaOHを氷水浴の条件下でゆっくりと液滴で添加し、溶液を氷水浴の条件下で反応させ続け、反応をTLCによりモニタリングし、2時間後に完了させた。pH値が2〜3となるまで塩酸を氷水浴の条件下で液滴で添加し、大量の白色固体を生成させ、生じた沈殿を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、その後風乾し、1.33gの白色生成物を90.5%の収率で得た。白色固体の融点:194℃〜196℃。1H−NMR(DMSO−d6、300MHz):δ12.88(s、1H)、9.10(s、1H)、8.90〜8.87(m、1H)、8.77〜8.73(m、1H)、8.75〜8.65(m、2H)、7.24〜7.14(m、10H)、4.84〜4.80(m、1H)、4.53〜4.50(m、1H)、3.14〜2.89(m、4H)。
【0046】
調製例6 N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニン
原材料としてナフチルアラニンメチルエステル塩酸塩を使用して、合成及び処理(work-up)の手順は調製例3に記載のものと同様とした。2.96gの赤褐色の粘着性固体を97.4%の収率で得た。1H−NMR(DMSO−d6、300MHz):δ4.78(−CH、s、1H)、6.92〜7.54(=CH、m、5H)、8.74(−CONH、−Pyz、d、2H)、8.87(−Pyz、s、1H)、9.15(−Pyz、s、1H)、10.86(−NH、s、1H)、13.04(−COOH、s、1H)。
【0047】
調製例7 N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−フェニルアラニンメチルエステル
原材料として調製例6の生成物N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニンを使用して、合成アプローチ及び処理は調製例4に記載のものと同様とした。1.89gの黄色の粘着性物質を94.2%の収率で得た。生成物を次のけん化の工程に直接使用した。
【0048】
調製例8 N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−フェニルアラニン
原材料として調製例7の生成物2bを使用して、合成アプローチ及び処理は調製例5に記載のものと同様とした。収率は77%であった。白色固体、m.p.:196℃〜197℃。1H−NMR(DMSO−d6、300MHz):δ9.07(s、1H)、8.86(d、J=2.7Hz、1H)、8.70(d、J=1.2Hz、1H)、8.68〜8.62(m、2H)、7.83〜7.72(m、4H)、7.45〜7.37(m、3H)、7.24〜7.17(m、5H)、4.93〜4.91(m、1H)、4.53〜4.50(m、1H)、3.24〜2.98(m、4H)。
【0049】
調製例9 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−チロシンメチルエステル
原材料として調製例3の生成物及びチロシンメチルエステル塩酸塩を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例4に記載のものと同様とした。黄色の粘着性物質を92%の収率で得た。生成物を次のけん化の工程に直接使用した。
【0050】
調製例10 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−チロシン
原材料として調製例9の生成物2cを使用して、合成アプローチ及び処理は調製例5に記載のものと同様とした。泡沫性固体を83%の収率で得て、生成物を次の反応に直接使用した。
【0051】
調製例11 N−ピラジンホルミル−L−チロシン
原材料としてN−ピラジンカルボン酸及びチロシンメチルエステル塩酸塩を使用して、合成アプローチは調製例3に記載のものと同様とした。乳白色の粘着性固体を89%の収率で得て、生成物を次の反応に直接使用した。
【0052】
調製例12 N−ピラジンホルミル−L−チロシル−L−フェニルアラニンメチルエステル
原材料として調製例11の生成物を使用して、合成方法及び処理は調製例4に記載のものと同様とした。2.26gの黄色の粘稠性物質を95.5%の収率で得て、生成物を次のけん化の工程に直接使用した。
【0053】
調製例13 N−ピラジンホルミル−L−チロシル−L−フェニルアラニン
原材料として調製例12の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例5に記載のものと同様とした。泡沫性固体を86%の収率で得て、生成物を次の反応に直接使用した。
【0054】
調製例14 L−ロイシンメチルエステル塩酸塩
原材料としてL−ロイシンを使用して、合成アプローチ及び処理は調製例1に記載のものと同様とした。1.7gの白色結晶を94%の収率で得た。[α]D25=+20.2°(c=1、CH3OH)、m.p.:149℃〜150℃。
【0055】
調製例15 N−ピラジンホルミル−L−ロイシンメチルエステル
原材料として調製例14の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例2に記載のものと同様とした。2.47gの赤色の粘着性液体を98%の収率で得た。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ0.97〜0.99(−CH3、m、6H)、1.69〜1.83(−CH2、−CH、m、3H)、3.78(−CH3、s、3H)、4.82〜4.90(−CH、m、1H)、8.15(−CONH、d、1H)、8.57(−Pyz、q、1H)、8.78(−Pyz、d、1H)、9.40(−Pyz、s、1H)。
【0056】
調製例16 N−ピラジンホルミル−L−ロイシン
原材料として調製例15の生成物N−ピラジンホルミル−L−ロイシンメチルエステルを使用して、合成アプローチ及び処理は調製例3に記載のものと同様とした。2.22gの白色固体を95%の収率で得た。m.p.:36℃〜38℃。1H−NMR(DMSO−d6、300MHz):δ0.88〜0.91(−CH3、t、6H)、1.57〜1.64(−CH2、m、2H)、1.81〜1.91(−CH、m、1H)、4.48〜4.55(−CH、m、1H)、8.77(−CONH、q、1H)、8.90〜8.95(−Pyz、dd、2H)、9.19(−Pyz、d、1H)、12.81(−COOH、s、1H)。
【0057】
調製例17 N−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−フェニルアラニンメチルエステル
原材料として調製例16の生成物N−ピラジンホルミル−L−ロイシンを使用して、合成アプローチ及び処理は調製例4に記載のものと同様とした。生成物は黄色の粘着性物質であり、収率は93%であった。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ0.92〜0.96(−CH3、dd、6H)、1.64〜1.79(−CH2、−CH、m、3H)、3.02〜3.20(−CH2、m、2H)、3.74(−CH3、s、3H)、4.64(−CH、m、1H)、4.88(−CH、dd、1H)、6.64(−CONH、d、1H)、7.03〜7.10(−Ph、m、5H)、8.03(−CONH、d、1H)、8.55(−Pyz、q、1H)、8.79(−Pyz、d、1H)、9.36(−Pyz、d、1H)。
【0058】
調製例18 N−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−フェニルアラニン
原材料として調製例17の生成物2eを使用して、合成アプローチ及び処理は調製例18に記載のものと同様とした。粘着性固体を95.6%の収率で得た。1H−NMR(DMSO−d6、300MHz):δ12.61(s、1H)、9.20(s、1H)、8.98〜8.91(m、1H)、8.77(s、1H)、8.66〜8.62(m、1H)、8.46〜8.44(m、1H)、7.22〜7.15(m、5H)、4.61(s、1H)、4.48〜4.46(m、1H)、3.10〜2.87(m、2H)、1.98〜1.92(m、1H)、1.62〜1.59(m、2H)、0.92〜0.88(m、6H)。
【0059】
調製例19 N−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−ナフチルアラニンメチルエステル
原材料として調製例16の生成物N−ピラジンホルミル−L−ロイシンを使用して、合成アプローチ及び処理は調製例4に記載のものと同様とした。2.1gの黄色の粘着性物質を93%の収率で得た。生成物を次のけん化の工程に直接使用した。
【0060】
調製例20 N−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−ナフチルアラニン
原材料として調製例19の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例5に記載のものと同様とした。白色固体を83%の収率で得た。m.p.:99℃〜100℃。1H−NMR(DMSO−d6、300MHz):δ9.16(s、1H)、8.89(d、J=2.4Hz、1H)、8.70(d、J=1.5Hz、1H)、8.58(d、J=9.0Hz、1H)、8.46(d、J=7.8Hz、1H)、7.79〜7.73(m、4H)、4.60〜4.57(m、1H)、4.55〜4.53(m、1H)、1.54〜1.45(m、3H)、0.83〜0.79(m、6H)。
【0061】
調製例21 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−ナフチルアラニンメチルエステル
原材料として調製例3の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例4に記載のものと同様とした。2.3gの黄色の粘着性物質を93.5%の収率で得た。生成物を次の反応に直接使用した。
【0062】
調製例22 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−ナフチルアラニン
原材料として調製例21の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例5に記載のものと同様とした。白色固体を79%の収率で得た。m.p.:191℃〜193℃。1H−NMR(DMSO−d6、300MHz):δ9.07(d、J=1.2Hz、1H)、8.86(d、J=2.7Hz、1H)、8.68(d、J=1.5Hz、1H)、8.64〜8.56(m、2H)、7.81〜7.72(m、4H)、7.42〜7.40(m、3H)、7.17〜7.11(m、5H)、4.83〜4.79(m、1H)、4.59〜4.55(m、1H)、3.26〜3.02(m、4H)。
【0063】
調製例23 N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−ナフチルアラニンメチルエステル
原材料として調製例6の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例4に記載のものと同様とした。1.89gの黄色の粘着性物質を94.2%の収率で得た。生成物を次のけん化の工程に直接使用した。
【0064】
調製例24 N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−ナフチルアラニン
原材料として調製例23の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例5に記載のものと同様とした。淡黄色固体を72%の収率で得た。m.p.:208℃〜209℃;1H−NMR(DMSO−d6、300MHz):δ9.04(s、1H)、8.84(d、J=2.4Hz、1H)、8.73〜8.69(m、1H)、8.67〜8.66(m、2H)、7.82〜7.69(m、8H)、7.74〜7.69(m、6H)、7.44〜7.35(m、6H)、4.95〜4.91(m、1H)、4.64〜4.60(m、1H)、3.28〜3.08(m、H)。
【0065】
調製例25 L−トリプトファンメチルエステル塩酸塩
原材料としてL−トリプトファンを使用して、合成アプローチ及び処理は調製例1に記載のものと同様とした。3.02gの白色結晶を93%の収率で得た。[α]D25=+16.5°(c=1、CH3OH)、m.p.:206℃〜208℃。
【0066】
調製例26 N−ピラジンホルミル−L−トリプトファンメチルエステル
原材料としてN−ピラジンカルボン酸及び調製例25の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例2に記載のものと同様とした。3.18gの赤褐色の粘着性物質を96%の収率で得て、生成物を次の反応に直接使用した。
【0067】
調製例27 N−ピラジンホルミル−L−トリプトファン
原材料として調製例26の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例3に記載のものと同様とした。2.96gの赤褐色の粘着性固体を97.4%の収率で得た。1H−NMR(DMSO−d6、300MHz):δ4.78(−CH、s、1H)、6.92〜7.54(=CH、m、5H)、8.74(−CONH、−Pyz、d、2H)、8.87(−Pyz、s、1H)、9.15(−Pyz、s、1H)、10.86(−NH、s、1H)、13.04(−COOH、s、1H)。
【0068】
調製例28 N−ピラジンホルミル−L−トリプトフィル−L−フェニルアラニンメチルエステル
原材料として調製例27の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例4に記載のものと同様とした。2.13gの黄色の粘着性物質を96.8%の収率で得て、生成物を分離することなくけん化に直接使用した。
【0069】
調製例29 N−ピラジンホルミル−L−トリプトフィル−L−フェニルアラニン
原材料として調製例28の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例3に記載のものと同様とした。収率は96.4%であった。白色固体、m.p.:74℃〜76℃。1H−NMR(DMSO−d6、300MHz):δ10.79(s、1H)、9.13(s、1H)、8.86(s、1H)、8.68(s、1H)、8.62〜8.59(m、2H)、7.54〜6.84(m、10H)、4.84(s、1H)、4.58〜4.50(m、2H)、3.20〜3.09(m、4H)。
【0070】
調製例30 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−トリプトファンメチルエステル
原材料として調製例3の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例4に記載のものと同様とした。1.65gの淡黄色の油性液体を94.8%の収率で得た。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ3.13〜3.24(−CH2、m、4H)、3.68(−CH3、s、3H)、4.90(−CH、q、1H)、5.06(−CH、m、1H)、6.79(−NH、s、1H)、6.91〜7.34(−Ph、=CH、m、10H)、8.26〜8.33(−CONH、t、2H)、8.43(−Pyz、d、1H)、8.63(−Pyz、d、1H)、9.14(−Pyz、s、1H)。
【0071】
調製例31 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−トリプトファン
原材料として調製例30の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例5に記載のものと同様とした。淡黄色の固体を93.7%の収率で得た。m.p.:106℃〜108℃。1H−NMR(DMSO−d6、300MHz):δ12.59(s、1H)、10.87(s、1H)、9.16〜9.12(m、1H)、8.89〜8.87(m、1H)、8.75〜8.72(m、1H)、8.66〜8.59(m、2H)、7.56〜6.96(m、10H)、4.88〜4.85(m、1H)、4.59〜4.56(m、1H)、3.22〜3.05(m、4H)。
【0072】
調製例32 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンメチルエステル
原材料として調製例3の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例4に記載のものと同様とした。1.20gの白色の粘着性固体を94.5%の収率で得て、生成物を次のけん化の工程に直接使用した。
【0073】
調製例33 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−ロイシン
原材料として調製例32の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例5に記載のものと同様とした。収率は93.9%であった。淡黄色の固体、m.p.:142℃〜144℃。1H−NMR(DMSO−d6、300MHz):δ12.70(s、1H)、9.15〜9.12(m、1H)、8.90〜8.88(m、1H)、8.79〜8.74(m、1H)、8.68〜8.65(m、1H)、8.57〜8.53(m、1H)、7.27〜7.15(m、5H)、4.90〜4.82(m、1H)、4.32〜4.25(m、1H)、3.21〜3.04(m、2H)、1.68〜1.54(m、3H)、0.94〜0.91(m、3H)、0.87〜0.85(m、3H)。
【0074】
調製例34 N−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−ロイシンメチルエステル
原材料として調製例16の生成物N−ピラジンホルミル−L−ロイシンを使用して、合成アプローチ及び処理は調製例4に記載のものと同様とした。1.69gの黄色の粘着性物質を91.8%の収率で得た。生成物を次のけん化の工程に直接使用した。
【0075】
調製例35 N−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−ロイシン
原材料として調製例34の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例5に記載のものと同様とした。粘着性固体を83%の収率で得て、生成物を次の反応に直接使用した。
【0076】
調製例36 N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンメチルエステル
原材料として調製例6の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例4に記載のものと同様とした。1.8gの黄色の粘着性物質を92.5%の収率で得た。生成物を次のけん化の工程に直接使用した。
【0077】
調製例37 N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシン
原材料として調製例36の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は調製例5に記載のものと同様とした。白色固体を78%の収率で得た。m.p.:98℃〜100℃。1H−NMR(DMSO−d6、300MHz):δ9.09(d、J=1.2Hz、1H)、8.86(d、J=2.7Hz、1H)、8.71〜8.70(m、2H)、8.57(d、J=7.8Hz、1H)、7.84〜7.45(m、4H)、7.43〜7.42(m、3H)、5.02〜4.96(m、1H)、4.32〜4.28(m、1H)、1.66〜1.58(m、3H)、0.89(d、J=6.6Hz、3H)、0.83(d、J=6.3Hz、3H)。
【0078】
調製例38 (1S,2S,3R,5S)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン−2,3−ジオール
Me3NO・2H2O(11.3g、102mmol)を16mlの水で溶解し、α−ピネン(13.2g、96.9mmol)、74mlのtert−ブチルアルコール、7.4mlのピリジン、及び四酸化オスミウム(60mg、0.236mmol)を撹拌しながら添加した。それから窒素ガスをパージし、10分後、反応混合物を加熱還流した。反応をTLCによりモニタリングし、15時間後に完了させた。室温まで自然冷却し、NaHSO3(1.2g、11.5mmol)、及び適当量の飽和NaCl水溶液を添加した。有機相を分離し、水層をジエチルエーテル(3×20ml)で抽出し、有機相を組み合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。生成物を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル:石油エーテル=1:30)により精製し、15.33gの白色固体を得た。収率は92.9%であった。[α]D20=−10.79°(c=5.5、トルエン)、m.p.:52℃〜54℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ0.94(−CH3、s、3H)、1.28(−CH3、s、3H)、1.32(−CH3、s、3H)、1.34〜1.38(−CH2、d、1H)、1.66(−CH2、m、1H)、1.93(−CH、m、1H)、2.01(−CH2、t、1H)、2.20(−CH、m、1H)、2.33(H2O、s、2H)、2.49(−CH2、m、1H)、4.00(−CH、q、1H);13C−NMR(CDCl3、300MHz):δ24.11、27.80、28.00、29.54、38.21、38.99、40.51、53.98、69.26、73.88;元素分析:C10182、算出値 C、70.55;H、10.66;測定値 C、70.55;H、10.67。
【0079】
調製例39 ジクロロメチルボロン酸ジメチルエステル
無水ジクロロメタン(4.26ml、66mmol)及び120mlの無水テトラヒドロフランを250ml容のフラスコに添加し、窒素ガスをパージし、−110℃まで冷却し、それからn−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(25.2ml、60mmol)をゆっくりと液滴で添加し、添加が完了した後撹拌を低温で1時間継続し、それからトリメチルボレート(7.5ml、66mmol)を添加し、低温で更に1時間撹拌した後12mlの5N HCl溶液を添加し、得られた混合物を室温まで自然加温した。反応溶液を分液漏斗中に移し、有機相を分離し、水層をジエチルエーテル(2×10ml)で抽出し、有機相を組み合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させて、9.3gの白色の粘着性固体を99.4%の収率で得た。生成物を、精製を行わずに次の反応に直接使用した。
【0080】
調製例40 ジクロロメチルボロン酸−α−ピナンジオールエステル
調製例38の生成物α−ピナンジオール(3.23g、0.019mmol)、及び調製例39の生成物ジクロロメチルボロン酸ジメチルエステル(5.38g、0.035mmol)を25ml容のフラスコに添加し、それから5mlのTHFで溶解し、室温で撹拌した。反応をTLCによりモニタリングし、18時間後完了させた。カラムクロマトグラフィ(酢酸エチル:石油エーテル=1:20)により分離して、4.92gの無色の液体を98.5%の収率で得た。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ0.85(−CH3、s、3H)、1.21(−CH2、t、1H)、1.31(−CH3、s、3H)、1.47(−CH3、s、3H)、1.92〜1.97(−CH2、−CH、m、2H)、2.15(−CH、t、1H)、2.25〜2.43(−CH2、m、2H)、4.47(−CH、q、1H)、5.40(−CH、s、1H);13C−NMR(CDCl3、75MHz):δ23.92、26.18、26.93、28.18、34.98、38.31、39.16、51.09、79.41、88.08。MS(EI):m/z 262.0(M+)、算出値m/z 262.0。
【0081】
調製例41 2−メチル−4−クロロ−ブチルボロン酸−α−ピナンジオールエステル
調製例40の生成物ジクロロメチルボロン酸−α−ピナンジオールエステル(1.18g、4.49mmol)を12mlのジメチルエーテルで溶解し、室温で撹拌した。窒素ガスをパージし、−78℃まで冷却し、それから新たに調製したt−ブチルグリニャール試薬のジエチルエーテル溶液(6ml、4.50mmol)をゆっくりと液滴で添加した。添加が完了した後、乾燥したZnCl2粉末(0.44g、3.25mmol)を添加した。得られた混合物を室温まで自然加温し、撹拌を室温で継続した。反応をTLCによりモニタリングし、18時間後完了させた。反応により生成されたMgBr2、及びZnCl2を濾過により除去し、濃縮した後カラムクロマトグラフィ(酢酸エチル:石油エーテル=1:200)により分離して、1.13gの無色の液体を88.5%の収率で得た。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ0.85〜0.94(−CH3、m、9H)、1.19(−CH、q、1H)、1.30(−CH3、s、3H)、1.42(−CH3、s、3H)、1.62(CH、m、1H)、1.75〜1.95(−CH2、m、4H)、2.10(−CH、t、1H)、2.21〜2.40(−CH2、m、2H)、3.54(−CH、m、1H)、4.37(−CH、q、1H)。13C−NMR(CDCl3、75MHz):δ21.18、22.84、23.93、25.54、26.27、26.97、28.37、35.24、38.18、39.27、42.72、51.11、86.63;MS(EI):m/z 284.2(M+)、算出値 m/z 284.6。
【0082】
調製例42 2−メチル−4−アミノ−ブチルボロン酸−α−ピナンジオールエステル塩酸塩(LeuBdiol−NH2
LiN(SiMe32(9.5ml、17.98mmol)を150ml容のナス型フラスコに添加し、窒素ガスをパージし、−78℃まで冷却し、それから調製例41の生成物2−メチル−4−クロロ−ブチルボロン酸−α−ピナンジオールエステル(4.7g、16.54mmol)のTHF溶液を、シリンジを使用してゆっくりと添加し、添加が完了した後得られた混合物を室温まで自然加温し、撹拌を室温で継続した。反応をTLCによりモニタリングし、20時間後完了させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、ジエチルエーテルで2回洗浄し、残留物を50mlの石油エーテルで溶解し、不溶性の物質を濾過により除去した。濾液を−78℃まで冷却し、ジエチルエーテル中の65mlの塩化水素を添加し、それから温度を自然にゆっくりと室温まで上昇させると、大量の乳白色固体が出現した。結晶を冷蔵により完全に沈殿させ、濾過し、生成物をジエチルエーテルで洗浄して、2.8gの乳白色固体を56.2%の収率で得た。生成物を、精製を行わずに次の反応に直接使用した。
【0083】
実施例1 ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボレート(5a)
【0084】
【化4】

【0085】
調製例5のN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニン(0.42g、1mmol)を7mlのTHFに溶解し、HOBt(0.16g、1.2mmol)及び1−エチル−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.29g、1.5mmol)を−20℃で添加し、それから30分間反応させ、その後調製例42で得られたLeuBdiol−NH2(0.3g、1mmol)、及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.26g、2mmol)を添加し、混合物を−20℃で終夜撹拌した。反応をTLCによりモニタリングし、反応を完了させた後、不溶性の物質を濾過により除去し、溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を20mlの酢酸エチルで溶解し、10%クエン酸溶液、5%炭酸水素ナトリウム溶液、飽和食卓塩溶液(3×15ml)で順次洗浄した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィにより分離して、0.54gの化合物4aを白色固体として82%の収率で得た。m.p.:78℃〜80℃。1H−NMR(CDCl3、500MHz):δ9.31〜9.26(m、1H)、8.82〜8.77(m、1H)、8.58〜8.54(m、1H)、8.23〜8.19(m、1H)、7.32〜6.99(m、10H)、6.48〜6.42(m、1H)、5.72〜5.67(m、1H)、4.80〜4.77(m、1H)、4.59〜4.55(m、1H)、4.36〜4.33(m、1H)、3.19〜3.09(m、4H)、2.90〜2.88(m、1H)、2.36〜2.22(m、2H)、2.08〜2.03(m、1H)、1.94〜1.86(m、2H)、1.47〜1.39(m、3H)、1.30〜1.28(m、3H)、1.29〜1.21(m、3H)、0.90〜0.83(m、9H);13C−NMR(CDCl3、125MHz):169.86、169.77、163.21、147.63、144.33、143.52、142.69、136.25、135.94、129.22、129.13、128.81、128.45、127.28、126.72、84.72、54.73、54.27、51.50、39.41、39.37、38.37、38.03、37.84、37.64、35.68、28.53、28.44、27.05、26.36、26.32、25.58、23.96、22.36;MS(EI):m/z 665.6(M)+
【0086】
実施例2 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボロン酸(6a)
【0087】
【化5】

【0088】
実施例1の生成物5a(0.33g、0.5mmol)を12mlのアセトンで溶解し、それにNH4OAC溶液(0.1N、11.6ml)、その後NaIO4(0.32g、1.5mmol)を添加し、それから室温で撹拌しながら反応させた。TLCにより、10時間後に反応が完了したことが示された。反応溶液に、水酸化ナトリウム溶液(2N、0.5ml)を添加し、得られた溶液をジクロロメタンで抽出した。溶液のpH値を、濃塩酸を使用して約3に調整した。それからジクロロメタン(3×15ml)で抽出し、有機相を組み合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後濾過し、それから溶媒を蒸発させて、0.19gの淡黄色固体5aを72.1%の収率で得た。m.p.:112℃〜114℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ0.88(−CH3、d、3H)、0.90(−CH3、d、3H)、1.25〜2.17(−CH2、−CH、−B(OH)2、m、5H)、2.96〜3.17(−CH、m、5H)、4.65〜4.77(−CH、m、2H)、6.38〜6.42(−CONH、m、1H)、6.84〜7.07(−Ph、−CONH、m、6H)、7.24〜7.29(−Ph、m、5H)、8.18(−CONH、s、1H)、8.53(−Pyz、s、1H)、8.77(−Pyz、s、1H)、9.15〜9.26(−Pyz、m、1H);13C−NMR(CDCl3、75MHz):δ22.51、23.17、25.66、37.30、37.54、51.70、53.64、54.96、126.75、127.41、128.41、128.54、128.88、129.20、135.66、135.89、142.72、143.32、144.28、147.75、163.32、163.58、169.74、170.01;MS(ESI):m/z 530.4907(M−H);FT−MS:m/z 532.27179(M+H)、算出値 532.27258。
【0089】
実施例3 ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボレート(5b)
【0090】
【化6】

【0091】
原材料として調製例8の生成物を使用して、合成及び処理は実施例1に記載のものと同様とし、白色固体を87%の収率で得た。m.p.:98℃〜100℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ9.13(s、1H)、8.74(d、J=2.4Hz、1H)、8.48(d、J=2.1Hz、1H)、8.23〜8.20(d、J=7.5Hz、1H)、7.80〜7.69(m、4H)、7.46〜7.43(m、2H)、7.35(d、J=8.4Hz、1H)、7.02〜6.95(m、5H)、6.53〜6.45(m、1H)、4.65〜4.57(m、1H)、4.29〜4.27(m、1H)、3.40〜3.26(m、2H)、3.13〜3.02(m、1H)、2.95〜2.84(m、1H)、2.35〜2.27(m、1H)、2.20〜2.15(m、1H)、2.04〜1.99(m、1H)、1.89〜1.80(m、1H)、1.39〜1.23(m、12H)、0.87〜0.83(m、9H);13C−NMR(CDCl3、75MHz):170.39、169.85、163.19、147.57、144.32、143.59、142.71、136.13、133.51、133.46、132.47、129.22、128.56、128.35、128.01、127.66、127.57、127.51、126.65、126.24、125.84、54.55、54.42、53.64、51.35、39.70、39.55、38.19、37.85、37.74、35.50、28.61、27.08、26.24、25.36、25.21、24.03、22.97、22.01;HRMS 算出値 C4251BN55(M+1)+ 716.3978、測定値 716.3986。
【0092】
実施例4 N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボロン酸(6b)
【0093】
【化7】

【0094】
100ml容の丸底フラスコ中で、実施例3の生成物ボロン酸エステル5b(0.357g、0.5mmol)を無水ジクロロメタンに溶解し、三臭化ホウ素のジクロロメタン溶液(1N、2.5ml)を液滴で添加し、氷浴の条件下で2時間撹拌し、それから反応をTLCによりモニタリングした。反応を完了させた後、50mlの水を液滴で添加して反応を停止させ、ジクロロメタン(15ml×4)で抽出し、有機相を組み合わせ、飽和食卓塩溶液(15ml×4)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、それから濾過し、濃縮し、0.18gの乳白色固体をエーテル/ジクロロメタンからの再結晶化により得た。収率は63.5%であった。m.p.:134℃〜135℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ9.15(s、1H)、8.73(d、J=2.4Hz、1H)、8.46(d、J=2.1Hz、1H)、8.24〜8.17(m、1H)、7.76〜7.66(m、4H)、7.44〜7.40(m、3H)、7.32〜7.25(m、1H)、6.90〜6.86(m、5H)、6.52〜6.46(m、2H)、4.81〜4.67(m、2H)、3.31〜3.26(m、1H)、3.11(d、J=6.9Hz、2H)、2.93〜2.89(m、1H)、1.92(s、br、2H)、1.55〜1.21(m、3H)、0.85〜0.82(m、6H);13C−NMR(CDCl3、75MHz):172.96、169.99、163.61、147.70、144.24、143.30、142.70、137.28、135.61、133.47、133.19、132.49、129.13、128.64、128.35、128.07、127.64、127.55、127.11、126.71、126.39、125.92、54.88、51.86、39.85、39.34、37.43、37.23、36.88、25.68、23.12、22.46。HRMS 算出値 C3236BN55(M−1)- 580.2727、測定値 580.2736。
【0095】
実施例5 ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−チロシル−L−ロイシンボレート(5c)
【0096】
【化8】

【0097】
原材料として調製例10の生成物を使用して、合成及び処理は実施例1に記載のものと同様とし、淡黄色固体を81%の収率で得た。m.p.:119℃〜120℃。1H−NMR(CD3OD、300MHz):δ9.18(s、1H)、8.68(d、J=10.2Hz、1H)、8.48(s、1H)、8.26(d、J=7.5Hz、1H)、7.82〜7.74(m、1H)、7.27〜7.18(m、5H)、6.80〜6.76(m、3H)、6.49〜6.40(m、2H)、4.82〜4.61(m、2H)、4.29〜4.27(d、J=8.1Hz、1H)、3.13〜3.06(m、2H)、2.95〜2.84(m、3H)、2.35〜2.27(m、2H)、2.04〜2.02(m、1H)、1.85〜1.80(m、2H)、1.43〜1.26(m、9H)、0.88〜0.83(m、9H);13C−NMR(CD3OD、75MHz):170.17、163.36、155.62、147.61、143.96、143.44、142.83、135.95、130.37、129.21、128.78、127.47、127.23、126.61、126.44、115.34、85.30、54.86、54.74、52.91、51.54、40.16、39.82、39.64、38.10、37.57、36.97、35.80、35.69、28.73、27.10、26.28、25.41、24.04、23.06、22.97、22.03、21.95;HRMS 算出値 C3849BN56(M+1)+ 682.3770、測定値 682.3767。
【0098】
実施例6 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−チロシル−L−ロイシンボロン酸(6c)
【0099】
【化9】

【0100】
原材料として実施例5の生成物5cを使用して、合成及び処理は実施例4に記載のものと同様とし、黄色固体を56.3%の収率で得た。m.p.:298℃〜300℃。1H−NMR(CD3OD、300MHz):δ9.13(s、1H)、8.78(t、J=2.4Hz、1H)、8.67〜8.66(dd、J=1.2、2.4Hz、1H)、7.23〜7.16(m、5H)、7.16〜7.01(m、2H)、6.66〜6.18(m、2H)、4.80〜4.73(m、2H)、3.20〜3.18(m、1H)、3.08〜3.02(m、3H)、2.68〜2.56(m、1H)、1.62〜1.54(m、2H)、1.33〜1.26(m、2H)、1.14〜1.04(m、2H)、0.89〜0.83(m、6H);13C−NMR(CD3OD、300MHz):177.69、173.05、165.13、164.95、157.77、157.68、148.79、145.59、144.96、144.79、144.49、137.82、131.47、131.35、130.34、129.56、127.97、127.40、127.16、116.41、56.11、55.90、52.87、52.67、40.70、38.82、38.49、37.65、37.30、26.83、26.61、23.89、23.69、22.31、21.83。HRMS 算出値 C2834BN56(M−1)- 546.2529、測定値 546.2527。
【0101】
実施例7 ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−チロシル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボレート(5d)
【0102】
【化10】

【0103】
原材料として調製例13の生成物を使用して、実施例1の合成アプローチに従って調製を実施し、淡黄色固体を80%の収率で得た。m.p.:90℃〜92℃。1H−NMR(CD3OD、300MHz):δ9.29(s、1H)、8.74(d、J=2.4Hz、1H)、8.50(d、J=2.1Hz、1H)、8.26(d、J=7.8Hz、1H)、7.11〜6.99(m、8H)、6.74(d、J=8.4Hz、2H)、6.74〜6.71(m、1H)、6.50〜6.42(m、1H)、4.70〜4.26(m、1H)、4.51〜4.27(m、1H)、4.29〜4.17(m、2H)、3.07〜2.93(m、5H)、2.37〜2.31(m、1H)、2.21〜2.16(m、1H)、2.06〜2.03(m、1H)、1.90〜1.80(m、2H)、1.40〜1.26(m、6H)、0.90〜0.79(m、12H);13C−NMR(CD3OD、75MHz):171.36、170.18、163.03、155.47、147.50、144.29、143.74、142.73、135.95、130.29、130.15、129.31、128.50、127.51、126.83、116.47、116.64、85.33、55.08、53.19、51.55、39.73、39.64、39.40、38.23、38.16、37.44、37.14、35.67、28.73、28.54、27.14、26.30、25.44、24.07、22.98、22.02;HRMS 算出値 C3849BN56(M+1)+ 682.3770、測定値 682.3795。
【0104】
実施例8 N−ピラジンホルミル−L−チロシル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボロン酸(6d)
【0105】
【化11】

【0106】
原材料として実施例7の生成物5dを使用して、合成及び処理の方法は実施例4に記載のものと同様とし、黄色固体を71.5%の収率で得た。m.p.:219℃〜221℃。1H−NMR(CD3OD、300MHz):δ9.15(s、1H)、8.78(d、J=2.4Hz、1H)、8.66(d、J=2.1Hz、1H)、7.24〜7.19(m、5H)、7.13〜7.00(m、2H)、6.97〜6.62(m、2H)、4.80〜4.71(m、2H)、3.11〜3.06(m、3H)、2.93〜2.87(m、1H)、2.64〜2.54(m、1H)、1.62〜1.54(m、2H)、1.40〜1.29(m、2H)、1.16〜1.11(m、2H)、0.92〜0.81(m、6H);13C−NMR(CD3OD、75MHz):177.20、173.18、164.92、157.51、148.68、145.62、144.93、144.73、137.17、136.96、131.36、130.46、130.33、129.69、129.62、128.25、128.19、116.32、56.34、56.17、52.61、40.77、38.46、38.11、37.82、26.62、23.86、21.91。ESI:MS(ESI)測定値:(M+Na/z)+ 570.2168、算出値 570.2500(M+Na)。
【0107】
実施例9 ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボレート(5e)
【0108】
【化12】

【0109】
原材料として調製例18の生成物を使用して、実施例1の合成アプローチに従って調製を実施し、収率87%を得た。白色固体を得た。m.p.:63℃〜65℃。1H−NMR(CDCl3、500MHz):δ9.32(s、1H)、8.78〜8.67(m、1H)、8.55〜8.21(m、1H)、8.10〜7.95(m、1H)、7.15〜6.99(m、6H)、6.04〜5.96(m、1H)、4.65〜4.34(m、2H)、4.30〜4.15(m、1H)、3.22〜3.01(m、2H)、2.37〜2.22(m、2H)、2.12〜2.04(m、1H)、1.93〜1.90(m、2H)、1.76〜1.63(m、3H)、1.48〜1.39(m、1H)、1.28(s、3H)、1.29〜1.22(m、3H)、0.94〜0.90(m、6H)、0.86〜0.83(m、9H);13C−NMR(CDCl3、125MHz):171.35、170.30、163.15、147.47、144.38、143.72、142.63、136.451、129.10、128.37、126.66、84.55、54.50、52.02、51.45、40.73、38.31、38.03、37.95、37.77、35.63、28.48、27.00、26.26、25.52、24.78、23.91、22.89、22.29、21.78;MS(EI):m/z 631.6(M+)。
【0110】
実施例10 N−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボロン酸(6e)
【0111】
【化13】

【0112】
原材料として実施例9の生成物5eを使用して、合成アプローチ及び処理は実施例2に記載のものと同様とした。溶媒を蒸発させて、19.7mgの黄色固体を68.4%の収率で得た。m.p.:113℃〜116℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ0.78〜0.82(−CH3、m、13H)、1.19〜1.57(−CH2、−CH、−B(OH)2、m、7H)、1.95(−CH、d、1H)、2.89〜3.09(−CH、−CH2、m、3H)、4.28〜4.41(−CH、m、1H)、4.61〜4.76(−CH、m、1H)、6.92〜7.02(−Ph、−CONH、m、6H)、7.19〜7.25(−CONH、m、1H)、7.96〜8.02(−CONH、m、1H)、8.47(−Pyz、s、1H)、8.72(−Pyz、s、1H)、9.16〜9.25(−Pyz、m、1H);MS(ESI) 測定値 m/z 496.3710(M−H)、算出値 497.2809。
【0113】
実施例11 ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボレート(5f)
【0114】
【化14】

【0115】
原材料として調製例20の生成物を使用して、合成及び処理の方法は実施例1に記載のものと同様とし、白色固体を85%の収率で得た。m.p.:140℃〜142℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ9.195(d、J=1.5Hz、1H)、8.71(d、J=2.4Hz、1H)、8.40(t、J=1.2Hz、1H)、7.93(d、J=8.1Hz、1H)、7.66〜7.61(m、4H)、7.36〜7.32(m、3H)、6.75(d、J=7.8Hz、1H)、6.00(d、J=4.8Hz、1H)、4.78〜4.71(m、1H)、4.59〜4.53(m、1H)、4.27(dd、J=8.7Hz、1H)、3.23(d、J=6.6Hz、2H)、3.14〜3.10(m、1H)、2.28〜2.20(m、1H)、2.17〜2.08(m、1H)、2.00〜2.05(m、1H)、1.87〜1.57(m、6H)、1.41〜1.27(m、9H)、0.92〜0.90(m、6H)、0.83〜0.77(m、9H);13C−NMR(CDCl3、75MHz):171.05、170.61、163.13、147.52、144.24、143.45、142.59、142.47、133.933、133.25、132.22、128.13、127.99、127.48、127.26、125.95、125.52、85.83、53.06、51.98、51.88、51.32、40.63、39.68、39.56、38.19、35.48、28.56、27.10、26.23、25.33、25.22、24.78、24.04、22.89、21.80;HRMS 算出値 C3953BN55(M+1)+ 682.4134、測定値 682.4155。
【0116】
実施例12 N−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボロン酸(6f)
【0117】
【化15】

【0118】
原材料として実施例11の生成物5fを使用して、合成及び処理の方法は実施例4に記載のものと同様とし、乳白色固体を56.3%の収率で得た。m.p.:157℃〜159℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ9.13〜9.10(m、1H)、8.67(s、1H)、8.36(s、1H)、7.98〜7.94(m、2H)、7.59〜7.29(m、7H)、7.22〜7.19(m、2H)、4.98〜4.84(m、1H)、4.41〜4.37(m、1H)、3.46〜3.35(m、2H)、3.24〜3.10(m、1H)、1.71〜1.25(m、8H)、0.88〜0.78(m、12H);13C−NMR(CDCl3、75MHz):171.48、163.92、147.65、144.15、143.31、143.07、142.56、133.56、133.22、132.25、129.16、128.69、128.24、127.51、127.10、125.98、125.58、52.95、52.77、51.91、41.12、40.23、36.76、25.68、24.72、23.12、22.83、22.44、21.69。HRMS 算出値 C2937BN55(M−1)- 546.2893、測定値 546.2906。
【0119】
実施例13 ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボレート(5g)
【0120】
【化16】

【0121】
原材料として調製例22の生成物を使用して、合成及び処理の方法は実施例1に記載のものと同様とし、白色固体を得て、収率は86%であった。m.p.:97℃〜98℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ9.13〜9.09(m、1H)、8.66(d、J=2.4Hz、1H)、8.34(d、J=1.2Hz、1H)、8.10(d、J=7.5Hz、1H)、7.62〜7.46(m、3H)、7.41〜7.21(m、9H)、6.53〜6.45(m、1H)、5.99〜5.78(m、1H)、4.76〜4.72(m、1H)、4.25(dd、J=8.7Hz、1H)、3.29〜3.22(m、1H)、3.16〜3.14(d、J=6.3Hz、2H)、3.11〜3.04(m、1H)、2.29〜2.26(m、1H)、2.17〜2.12(m、1H)、2.02〜1.98(m、1H)、1.86〜1.67(m、2H)、1.38〜1.25(m、12H)、0.87〜0.81(m、9H);13C−NMR(CDCl3、75MHz):170.53、169.85、163.19、147.50、144.04、143.28、143.15、142.63、135.96、135.89、133.66、133.54、133.20、132.19、129.20、128.78、128.14、127.96、127.48、127.28、127.21、125.92、125.53、54.56、53.36、53.01、51.34、39.88、39.70、39.57、38.05、37.60、35.57、28.57、27.09、26.22、25.32、25.16、24.03、22.91、22.01、21.92;HRMS 算出値 C4251BN55(M+1)+ 716.3978、測定値 716.3996。
【0122】
実施例14 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボロン酸(6g)
【0123】
【化17】

【0124】
原材料として実施例13の生成物5gを使用して、合成アプローチ及び処理は実施例4に記載のものと同様とし、乳白色固体を53%の収率で得た。m.p.:137℃〜138℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ9.90(s、1H)、8.61(s、1H)、8.26(s、1H)、8.09〜7.98(m、1H)、7.50〜7.23(m、12H)、7.19〜7.07(m、1H)、6.73〜6.56(m、2H)、4.88〜4.76(m、1H)、4.72〜4.67(m、1H)、3.33〜3.28(m、1H)、3.14〜3.12(d、J=6.3Hz、2H)、3.02〜2.97(m、1H)、2.04(s、br、2H)、1.51〜1.42(m、3H)、0.87〜0.80(m、6H);13C−NMR(CDCl3、75MHz):173.10、170.06、163.51、147.59、143.90、142.95、142.86、142.64、142.52、135.90、135.70、133.45、133.23、133.07、132.14、129.29、128.88、128.24、127.94、127.46、127.14、125.90、125.53、54.94、51.96、42.92、39.98、37.26、36.92、25.69、23.14、22.56;HRMS 算出値 C3235BN55(M−1)- 580.2736、測定値 580.2729。
【0125】
実施例15 ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボレート(5h)
【0126】
【化18】

【0127】
原材料として調製例24の生成物を使用して、合成及び処理は実施例1に記載のものと同様とし、白色固体を82%の収率で得た。m.p.:136℃〜137℃。1H−NMR(CD3OD、300MHz):δ9.10(s、1H)、8.63(d、J=2.4Hz、1H)、8.26(d、J=2.4Hz、1H)、8.12〜8.02(m、1H)、7.81〜7.57(m、6H)、7.53〜7.32(m、8H)、7.20〜7.17(dd、J=1.8、8.4Hz、2H)、6.51〜6.49(m、1H)、6.00(d、J=5.1Hz、1H)、4.87〜4.72(m、2H)、4.28〜4.24(dd、J=1.5、8.7Hz、1H)、3.33〜3.31(d、J=6.3Hz、2H)、3.24〜3.22(m、1H)、3.07〜3.00(m、1H)、2.33〜2.25(m、1H)、2.18〜2.13(m、1H)、2.04〜2.00(m、1H)、1.87〜1.67(m、2H)、1.36〜1.25(m、8H)、0.87〜0.74(m、12H);13C−NMR(CD3OD、75MHz):170.46、169.85、163.22、147.46、144.00、143.16、142.61、142.49、133.58、133.45、133.34、132.50、132.13、128.58、127.97、127.71、127.57、127.44、126.31、125.90、125.52、85.76、54.41、53.30、51.35、39.58、38.19、37.98、37.59、35.50、28.59、27.10、26.24、25.33、25.18、24.04、21.96;HRMS 算出値 C4653BN55(M+1)+ 766.4134、測定値 766.4148。
【0128】
実施例16 N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボロン酸(6h)
【0129】
【化19】

【0130】
原材料として実施例15の生成物5hを使用して、合成アプローチ及び処理は実施例4に記載のものと同様とし、乳白色固体を72.1%の収率で得た。m.p.:145℃〜146℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ8.95(s、1H)、8.54(s、1H)、8.16(s、1H)、8.17〜8.11(m、1H)、7.74〜7.16(m、14H)、7.08〜6.95(m、2H)、6.87〜6.50(m、2H)、4.95〜4.87(m、1H)、4.79〜4.68(m、1H)、3.28〜3.26(m、2H)、3.00〜2.86(m、1H)、2.33(s、br、2H)、1.38〜1.35(m、3H)、0.81〜0.79(m、6H);13C−NMR(CDCl3、75MHz):170.18、169.61、163.56、147.51、143.79、141.90、142.55、133.42、133.126、133.01、132.46、132.07、128.58、128.09、127.39、127.14、127.01、126.32、125.94、125.83、125.49、54.79、51.52、39.78、37.49、37.30、36.95、25.64、23.09、22.39、22.19;HRMS 算出値 C3637BN55(M−1)- 630.2893、測定値 630.2895。
【0131】
実施例17 ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−トリプトフィル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボレート(5i)
【0132】
【化20】

【0133】
原材料として調製例26の生成物を使用して、合成及び処理は実施例1に記載のものと同様とし、白色固体を78%の収率で得た。m.p.:127℃〜129℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ9.24(s、1H)、8.76(d、J=2.4Hz、1H)、8.51(d、J=2.4Hz、1H)、8.50〜8.46(m、1H)、8.22〜8.14(m、1H)、7.40〜7.38(m、5H)、7.01〜6.88(m、4H)、6.78〜6.58(m、1H)、6.09〜5.97(m、1H)、5.75〜5.71(m、2H)、4.82〜4.75(m、2H)、3.51〜3.45(m、1H)、3.31〜3.01(m、4H)、1.25〜1.23(m、10H)、0.99〜0.89(m、8H)、0.88〜0.85(m、6H);MS(EI) m/z 703.6(M−1)-
【0134】
実施例18 N−ピラジンホルミル−L−トリプトフィル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボロン酸(6i)
【0135】
【化21】

【0136】
原材料として実施例17の生成物5iを使用して、合成及び処理は実施例2に記載のものと同様とし、溶媒を蒸発させて、11.4mgの黄色の粘着性固体を49.2%の収率で得た。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ0.79(−CH3、d、6H)、1.40〜1.60(−CH2、−CH、m、3H)、1.97〜2.13(−CH2、−B(OH)2、m、10H)、3.15〜3.19(−CH、m、1H)、3.53〜3.58(−CH、m、1H)、3.75〜3.98(−CH、m、1H)、4.87〜4.98(−CH、m、1H)、5.05(−CH、s、1H)、6.89(−CONH、m、1H)、7.16〜7.19(−Ph、インドール、m、9H)、8.06(−CONH、d、1H)、8.64(−Pyz、d、1H)、9.17(−Pyz、s、1H)、9.28(−Pyz、d、1H)、9.72(−NH、s、1H)。
【0137】
実施例19 ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−チロシル−L−ロイシンボレート(5j)
【0138】
【化22】

【0139】
原材料として調製例30の生成物を使用して、合成及び処理は実施例1に記載のものと同様とし、淡黄色固体を79%の収率で得た。m.p.:153℃〜155℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ9.08(s、1H)、8.73〜8.69(m、1H)、8.48(s、1H)、8.34(s、1H)、8.11〜7.94(m、1H)、7.32〜7.21(m、5H)、7.08〜6.88(m、4H)、6.62〜6.42(m、1H)、6.01(s、1H)、5.65〜5.58(m、2H)、4.38〜4.29(m、2H)、3.20〜3.01(m、4H)、1.40〜1.24(m、10H)、0.99〜0.89(m、8H)、0.83〜0.80(m、6H);MS(EI) m/z 704.7(M+)。
【0140】
実施例20 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−トリプトフィル−L−ロイシンボロン酸(6j)
【0141】
【化23】

【0142】
原材料として実施例19の生成物5jを使用して、合成アプローチ及び処理は実施例2に記載のものと同様とし、溶媒を蒸発させて、49.3mgの黄色の粘着性固体を42.4%の収率で得た。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ0.81(−CH3、m、6H)、1.23〜1.45(−CH2、−CH、m、3H)、1.89〜2.07(−CH2、−B(OH)2、m、10H)、3.05〜3.11(−CH、m、1H)、3.33〜3.48(−CH、m、1H)、3.45〜3.78(−CH、m、1H)、4.64〜4.81(−CH、m、1H)、5.25(−CH、d、1H)、6.76(−CONH、m、1H)、7.08〜7.16(−Ph、インドール、m、9H)、8.12(−CONH、d、1H)、8.57(−Pyz、d、1H)、9.07(−Pyz、d、1H)、9.21(−Pyz、d、1H)、9.28(−NH、d、1H)。
【0143】
実施例21 ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−ロイシル−L−ロイシンボレート(5k)
【0144】
【化24】

【0145】
原材料として調製例32の生成物を使用して、合成及び処理は実施例1に記載のものと同様とし、白色固体を81%の収率で得た。m.p.:68℃〜70℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ9.33(s、1H)、8.76〜8.73(d、1H)、8.54(s、1H)、8.29〜8.10(m、1H)、7.29〜7.25(m、5H)、6.39〜6.31(m、2H)、4.82〜4.79(m、1H)、4.44〜4.41(m、1H)、4.30〜4.27(m、1H)、3.22〜3.19(m、3H)、2.32〜2.17(m、3H)、2.05〜2.02(m、1H)、1.89〜1.27(m、14H)、0.96〜0.83(m、15H);MS(EI) m/z 631.6(M+)。
【0146】
実施例22 N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−ロイシル−L−ロイシンボロン酸(6k)
【0147】
【化25】

【0148】
原材料として実施例21の生成物5kを使用して、合成アプローチ及び処理は実施例2に記載のものと同様とし、溶媒を蒸発させて、16.7mgの黄色固体を73.2%の収率で得た。m.p.:116℃〜118℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ9.30〜9.21(m、1H)、8.74(s、1H)、8.47(s、1H)、8.33〜8.29(m、1H)、7.32〜7.22(m、6H)、6.99〜6.91(m、1H)、4.93〜4.57(m、2H)、3.21(s、2H)、2.85〜2.58(m、1H)、2.18〜1.25(m、8H)、0.96〜0.82(m、12H);MS(ESI) 測定値:m/z 496.3977(M−H)、算出値:497.2809。
【0149】
実施例23 ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−ロイシル−L−ロイシンボレート(5l)
【0150】
【化26】

【0151】
原材料として調製例34の生成物を使用して、合成アプローチ及び処理は実施例1に記載のものと同様とし、粘着性固体を87%の収率で得た。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ9.41(s、1H)、8.76〜8.65(m、1H)、8.56〜8.45(m、1H)、8.18〜8.10(m、1H)、5.43〜5.38(m、1H)、4.71〜4.50(m、1H)、4.38〜4.32(m、1H)、4.07〜3.97(m、2H)、3.86〜3.84(m、H)、2.52〜2.08(m、3H)、2.04〜1.90(m、6H)、1.67〜1.60(m、2H)、1.41〜1.25(m、10H)、0.99〜0.83(m、21H);MS(EI) m/z 597.5(M)+
【0152】
実施例24 N−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−ロイシル−L−ロイシンボロン酸(6l)
【0153】
【化27】

【0154】
原材料として実施例23の生成物5lを使用して、合成アプローチ及び処理は実施例2に記載のものと同様とし、14.4mgの黄色の粘着性固体を62.8%の収率で得た。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ0.81〜0.97(−CH3、m、18H)、1.19〜2.82(−CH2、−CH、−B(OH)2、m、11H)、2.85〜2.91(−CH、m、1H)、4.53(−CH、s、1H)、4.69〜4.86(−CH、m、1H)、6.99(−CONH、d、1H)、7.16(−CONH、d、1H)、8.06〜8.28(−CONH、m、1H)、8.50(−Pyz、s、1H)、8.71(−Pyz、s、1H)、9.30(−Pyz、s、1H);MS(ESI) 測定値 m/z 462.3825(M−H)、計算値 463.2966。
【0155】
実施例25 ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシル−L−ロイシンボレート(5m)
【0156】
【化28】

【0157】
原材料として調製例36の生成物を使用して、合成及び処理の方法は実施例1に記載のものと同様とし、白色固体を81%の収率で得た。m.p.:99℃〜100℃。1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ9.31(s、1H)、8.73(s、1H)、8.49(d、J=1.8Hz、1H)、8.33(d、J=7.5Hz、1H)、7.66〜7.58(m、4H)、7.44〜7.38(m、3H)、6.48〜6.36(m、2H)、4.94〜4.85(m、1H)、4.42〜4.30(m、1H)、4.25〜4.16(m、1H)、3.39〜3.37(d、J=6.3Hz、2H)、3.19〜3.11(m、1H)、2.35〜2.27(m、1H)、2.20〜2.15(m、1H)、1.89〜1.84(m、2H)、1.68〜1.61(m、2H)、1.37〜1.36(m、3H)、1.53〜1.43(m、4H)、1.28〜1.21(m、3H)、0.94〜0.89(m、6H)、0.83〜0.79(m、9H);13C−NMR(CDCl3、75MHz):171.81、170.10、163.298、147.59、144.34、143.72、142.77、133.46、132.47、128.56、128.12、127.62、127.16、126.18、125.80、85.60、54.70、54.53、51.40、51.20、50.96、40.89、40.08、39.85、39.56、38.18、38.09、35.58、28.59、27.08、26.25、25.26、25.46、24.51、24.03、23.00、22.71、22.15、21.94;HRMS 算出値 3953BN55(M+1)+ 682.4134、測定値 682.4152。
【0158】
実施例26 N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシル−L−ロイシンボロン酸(6m)
【0159】
【化29】

【0160】
原材料として実施例25の生成物5mを使用して、合成アプローチ及び処理は実施例4に記載のものと同様とし、乳白色固体を66%の収率で得た。1H−NMR(CDCl3、300M):δ9.29(s、1H)、8.70(d、J=2.1Hz、1H)、8.45(d、J=1.8Hz、1H)、8.40(d、J=7.5Hz、1H)、7.74〜7.66(m、4H)、7.45〜7.42(m、3H)、7.37(d、J=8.7Hz、1H)、5.05〜4.93(m、1H)、4.53〜4.45(m、1H)、3.38(d、J=8.7Hz、2H)、2.98〜2.83(m、1H)、1.99(s、br、2H)、1.80〜1.51(m、1H)、1.50〜1.29(m、6H)、0.86〜0.74(m、12H);13C−NMR(CDCl3、75MHz):170.59、170.45、163.83、147.74、144.27、143.61、142.77、133.46、133.27、132.47、128.59、128.12、127.63、127.05、126.24、125.84、54.76、39.88、37.74、25.78、24.61、24.48、23.03、22.82、22.63、21.60、21.45。MS(ESI) 測定値 m/z 462.3825(M−H)、算出値 463.2966。
【0161】
試験例1 プロテアソームに対するトリペプチドボロン酸化合物又はトリペプチドボロン酸エステル化合物の阻害効果
プロテアソームの活性を、以下の蛍光ペプチドを使用してアッセイした:キモトリプシン様(CT−L)活性を決定するためのSuc−leu−leu−Val−Tyr−AMC(Sucはスクシニルを表し、AMCは7−アミノ−4−メチルクマリンを表す。SIGMAから購入した)、トリプシン様(TL)活性を決定するためのZ−Ala−Arg−Arg−AMC(Zはベンジルオキシカルボニルを表す。Calbiochemから購入した)、及びペプチジルグルタミルペプチド加水分解(PGPH)酵素活性を決定するためのZ−leu−leu−Glu−βNA(βNAはβ−ナフチルアミドを表す。SIGMAから購入した)。
【0162】
前述の活性アッセイの方法は以下の通りである:ラットの肝臓から抽出された20Sプロテアソーム1μgを、それぞれ、様々な濃度の化合物、50μMの蛍光ペプチド、及び20mMのTris−HClを含有する溶液100μLと共に37℃で1時間インキュベートした。AMC試薬及びβNA試薬から放出された蛍光を、蛍光光度計Fluostar OPTIMA(BMG Germany)により、それぞれ380nm/440nm及び335nm/410nmの励起波長/発光波長で測定した。0.1%のDMSOを溶媒対照として使用した。溶媒対照の蛍光と比較して、阻害率を算出した。上記アッセイは、陽性対照用の化合物として、抗がん薬ボルテゾミブ(白血病薬)、すなわちPS341を使用した。結果を表1に示す。
【0163】
【表1】

【0164】
試験例2 in vitroでの抗腫瘍活性の予備スクリーニング試験
この試験例において使用した試験方法は、例えば以下の参考文献(J. Immunol Method, 1983, 65, 55)を参照する、薬学分野における抗腫瘍活性試験に関する通例の方法である。
【0165】
試験モデル:A:MTT法(HL−60(ヒト白血病))、B:SRB法(BGC−823(ヒト胃がん))、C:SRB法(Bel−7402(ヒト肝臓癌))、D:SRB法(KB(ヒト上咽頭癌))。
【0166】
前述の試験を、本発明の実施例1〜実施例26の化合物を用いて実施し、試験結果を表2〜表5に示す。表中、試験結果を以下のように示す:「+++」は、3つの用量における阻害率が50%より大きいことを示す。「++」は、2つの用量における阻害率が50%より大きいことを示す。「+」は、1つの用量における阻害率が50%より大きいことを示す。
【0167】
【表2】

【0168】
【表3】

【0169】
【表4】

【0170】
【表5】

【0171】
上記の試験データは、以下のことを示す:(1)本発明のトリペプチドボロン酸又はトリペプチドボロン酸エステルは、好ましいin vitroでの抗腫瘍活性を有する。ほとんどの化合物の阻害率が5μMの濃度で90%より大きく、幾つかの化合物の阻害率は0.05μMの濃度でさえも依然として50.0%より大きい場合がある。(2)活性は、保護基ピナンジオールを除去してもしなくても、ほとんど影響されない。
【0172】
試験例3 in vitroでの抗腫瘍活性(IC50
先に言及した抗腫瘍活性の予備スクリーニング試験の結果に従って、より良好な抗腫瘍活性を有する化合物を選択して、以下の4種類の腫瘍細胞株に対するそのIC50値を測定した:HL−60(前骨髄球性白血病細胞株)、BXPC−3(ヒト膵臓がん細胞株)、U266(多発性骨髄腫細胞株)及びBGC−823(ヒト胃癌細胞株)。HL−60、BXPC−3及びU266はアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(Manassas, VA)から入手し、BGC−823(ヒト胃癌細胞株)は、中国薬科大学から入手した。
【0173】
試験方法:HL−60細胞を、20%のウシ胎児血清を含有するIMDM培地中で、5%CO2下37℃で培養した。BGC−823細胞及びBXPC−3細胞を、10%のウシ胎児血清を含有するRPMI1640培地中で、5%CO2下37℃で培養した。U266細胞を、15%のウシ胎児血清を含有するRPMI1640培地中で、5%CO2下37℃で培養した。
【0174】
細胞増殖を、標準的なMTT法により測定した。分散液(150μL、3000個の細胞を含有する)培地を96ウェルプレートの各ウェル中に添加し、増殖させ、24時間後、種々の濃度の薬剤を含有する10種類の培地(50μL)を対応するウェル中に添加し、インキュベーションを72時間継続した。それから5mg/mlのMTT(20μL)を含有する溶液を各ウェル中に添加し、37℃で更に4時間インキュベートした。それからプレートを1000rpm、4℃で5分間遠心分離し、上層の培地を慎重に廃棄した。沈殿を100μLのDMSOに溶解し、吸光度をInfinite M200(Tecan, Austria)マイクロプレートリーダーを用いて540nmで読み取った。
【0175】
結果を、3回の独立した測定の平均値であるIC50値として表した。結果を表6に示した。
【0176】
【表6】

【0177】
結果に示したように、ほとんどの化合物がPS341の選択性より良好な選択性を示し、幾つかの腫瘍株に対するその活性は、PS341の活性より明らかに高かった。例えば、BGC−823細胞の増殖に対する6c以外の全てのこれらの化合物の阻害率は、PS341の阻害率より良好であった。3種類の細胞の増殖に対する6fの阻害率は、PS341の阻害率より良好であった。
【0178】
試験例4 in vivoでの抗腫瘍活性
動物:北京医科大学の実験動物科学部(Laboratory Animal Science Department)により提供された、半数が雄で半数が雌であるICRマウス(18g〜22g)。
【0179】
腫瘍細胞株:マウスH22細胞は、天然薬・生体模倣薬国家重点実験室(State Key Laboratory of Natural and Biomimetic Drugs)の薬理学グループの細胞バンクにより提供された。
【0180】
方法:マウス腫瘍細胞を採取して処理し、処理後に5×106個/mlの細胞数まで希釈した。希釈した腫瘍細胞溶液を、無菌条件下、マウス1匹当たり0.2mlでマウスの左前肢の腋下(oxter)に接種した。接種の24時間後、マウスを複数の群に分割し、各群のマウスに1日1回10日間経口投与した。12日目に、腫瘍を剥ぎ取り、秤量し、各群の腫瘍の平均重量、標準偏差(SD)及びp値を算出した。
【0181】
【表7】

【0182】
in vivoでの抗腫瘍活性アッセイの上記の試験結果により、本発明のトリペプチドボロン酸の活性はボルテゾミブ(PS341)の活性に匹敵するものであるが、本発明の化合物の毒性は明らかに低減しており、特に化合物6gの毒性が更に低いことが示され、したがって化合物6gは、活性がより良好であり、毒性及び副作用がより低いプロテアソーム阻害剤の開発対象となる可能性を有する。
【0183】
本発明の実施形態を詳細に説明したが、多数の修正及び変更が、本発明の基本精神から逸脱することなく当業者によりなされ得ることは明らかである。これらの変更及び修正は全て本発明の範囲内にあるものとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(I):
【化1】

(式中、R1、R2及びR3は各々独立してL−アミノ酸の側鎖であり、EはH又は2,3−ピナンジオールエステル基である)
により表されるトリペプチドボロン酸化合物。
【請求項2】
前記R1、前記R2及び前記R3が各々独立してC1~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル、アリールメチル、又は芳香族ヘテロシクリルメチルであり、該アリールメチルの芳香族環又は該芳香族ヘテロシクリルメチルの芳香族環が、C1~4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル、ヒドロキシル基、アミノ基、又はハロゲンから選択される基により任意に置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記アリールがフェニル若しくはナフチルであり、前記芳香族ヘテロシクリルがインジルであり、及び/又は前記芳香族環がメチル基、ヒドロキシル基、塩素原子若しくはフッ素原子により置換される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記R1、前記R2及び前記R3が各々独立してベンジル、p−ヒドロキシベンジル、β−インジルメチル、イソブチル又は2−ナフチルメチルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記R3基がイソブチルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボレート、
ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボレート、
ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−チロシル−L−ロイシンボレート、
ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−チロシル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボレート、
ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボレート、
ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボレート、
ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボレート、
ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボレート、
ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−トリプトフィル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボレート、
ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−トリプトフィル−L−ロイシンボレート、
ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−ロイシル−L−ロイシンボレート、
ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−ロイシル−L−ロイシンボレート、
ピナンジオールN−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシル−L−ロイシンボレート、
N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボロン酸、
N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボロン酸、
N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−チロシル−L−ロイシンボロン酸、
N−ピラジンホルミル−L−チロシル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボロン酸、
N−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボロン酸、
N−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボロン酸、
N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボロン酸、
N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシンボロン酸、
N−ピラジンホルミル−L−トリプトフィル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンボロン酸、
N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−トリプトフィル−L−ロイシンボロン酸、
N−ピラジンホルミル−L−フェニルアラニル−L−ロイシル−L−ロイシンボロン酸、
N−ピラジンホルミル−L−ロイシル−L−ロイシル−L−ロイシンボロン酸、及び
N−ピラジンホルミル−L−ナフチルアラニル−L−ロイシル−L−ロイシンボロン酸
である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物を調製する方法であって、出発原材料としてピラジンカルボン酸を使用する工程、所要の2つのアミノ酸を1つずつ導入する工程、及びその後、所要の第3のアミノ酸のボロン酸エステルを導入して、一般式(I)のボロン酸エステルを得る工程、対応するボロン酸を調製することが必要とされる場合、上で言及した一般式(I)のボロン酸エステルを加水分解する工程を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物を調製する方法。
【請求項8】
前記R3基がイソブチルである場合、前記一般式の化合物を、以下の合成経路:
【化2】

に従って調製する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
活性成分として治療上の有効量の請求項1〜6のいずれか一項に記載のトリペプチドボロン酸、及び任意に1種又は複数種の薬学的担体を含有する医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物中の前記活性成分の含有量が0.5%〜99%であり、前記薬学的担体の含有量が1%〜99.5%である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記組成物が経口投与用の形態又は非経口投与用の形態へと製剤化され、該非経口投与用の形態が、注射投与用、局所投与用、吸入投与用、直腸投与用又は埋め込み投与用の形態を含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記経口投与用の形態が、錠剤、カプセル、顆粒、若しくは経口投与に好適な液体調製物、又は持続放出形態若しくは定量放出形態であり、前記注射投与用の形態が、注射剤、凍結乾燥粉末注射剤、又は点滴に好適な溶液である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
プロテアソーム阻害剤の調製における請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項9〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項14】
前記プロテアソーム阻害剤が、悪性腫瘍、様々な神経系変性疾患、筋悪液質、又は糖尿病に対する治療剤である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記悪性腫瘍が、白血病、胃がん、肝臓癌又は上咽頭癌である、請求項14に記載の使用。

【公表番号】特表2012−530085(P2012−530085A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515329(P2012−515329)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【国際出願番号】PCT/CN2010/072848
【国際公開番号】WO2010/145376
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(508369940)北京大学 (2)
【Fターム(参考)】