説明

トルエンおよび合成ガスからのスチレンの製法

触媒を含む一個または複数の反応器中でトルエンおよび合成ガスを反応させる工程を含んでなる、スチレンの製法。合成ガスはメタンの部分酸化または水蒸気改質により、あるいはバイオマス物質の転化(conversion)により製造することができる。触媒組成物は塩基性または中性であることができ、そしてアルカリ元素、アルカリ土類元素、希土類元素、またはY、ZrおよびNbの群から選択される一種または複数の助触媒を含むことができる。生成物流は精製されたスチレン生成物に分離され、トルエンは一個または複数の反応器に再循環させることができる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する関係】
【0001】
適用できない。
【技術分野】
【0002】
本発明は一般的にスチレンの製造に関する。
【背景技術】
【0003】
スチレンは多数のプラスチック製品の製造に使用される重要なモノマーである。スチレンは一般的に、エチルベンゼンを製造し次にそれを脱水素化してスチレンを製造することにより製造される。エチルベンゼンは典型的には、ベンゼンのアルキル化を伴う一種または複数の芳香族転化工程により形成される。
【0004】
典型的には分子ふるい型の触媒を使用して実施される芳香族転化工程は化学処理工業において周知である。このような芳香族転化工程は、ベンゼンのような芳香族化合物のエチレンによるアルキル化を含み、エチルベンゼンのようなアルキル芳香族化合物を生成する。典型的にはモノアルキルおよびポリアルキルベンゼンの混合物を生成することができるアルキル化反応器が、ポリアルキルベンゼンのモノアルキルベンゼンへの転化のためのアルキル転移反応器と連結されるであろう。アルキル転移工程はポリアルキル化芳香族の割合の不均化を誘発するような条件下で操作され、それが増加したエチルベンゼンおよび減少したポリアルキル化物を含む生成物を生成することができる。アルキル化およびアルキル転移反応法の両方が使用される時は、それぞれの工程に対して、それぞれ自身の触媒を含む2基の別の反応器を使用することができる。
【0005】
エチレンは主として、エタン、プロパン、ブタンまたはナフサのような炭化水素の熱分解から得られる。エチレンはまた、種々の精製法から製造し、回収することができる。比較的純粋なエチレンの製造のための熱分解および分離法は、エチルベンゼンの製造コスト全体のかなりの部分を占める可能性がある。
【0006】
ベンゼンは、触媒の存在下で、過剰な水素とのトルエンの混合物を高温(例えば、500℃〜600℃)に加熱する工程を伴う、トルエンの水素化脱アルキルから得ることができる。これらの条件下で、トルエンは化学式:CCH+H → C+CHに従って脱アルキルを受けることができる。この反応はエネルギー入力を必要とし、前記の等式から認められるように、典型的には分離され、工程のための加熱燃料として使用することができる副産物としてのメタンを生成する。
【0007】
以上を考慮すると、熱分解および高額な分離法に頼らない、エチレンの原料としてのスチレンを製造する方法を見いだすことが望ましいと考えられる。更に、その固有の経費および、メタンを形成するために1炭素原子の喪失を伴う、トルエンのベンゼンへの転化法を回避することが望ましいと考えられる。供給物流としてベンゼンおよびエチレンの使用を伴わずにスチレンを製造することが望ましいと考えられる。
【0008】
代案として、共供給物としてメタノールまたはメタン/酸素のいずれかを使用してスチレンを製造するために、トルエンが使用されてきた。理論的には、以下に示すように、メタノール(CHOH)およびトルエン(CCH)が一緒に反応して、スチレン、水および水素ガスを形成することができる:
CHOH + CCH → C+HO+H
【0009】
しかし、実際には、メタノール(CHOH)はしばしばホルムアルデヒド(CHO)と水素ガス(H)に脱水素化する。しばしばトルエンの転化率が低いかまたはメタノールが早く反応し過ぎて、メタノールに対する選択性が低すぎて、その工程を経済的にさせない。この望ましくない副反応を回避するために、メタノールの使用を伴わないスチレンの製法が望ましいと考えられる。
【発明の概要】
【0010】
本発明の態様は一般的に、トルエン並びに、一酸化炭素(CO)および水素(H)の混合物を含んでなる合成ガスもしくはシンガスを反応させて、スチレンを含んでなる第一の生成物流を形成する工程を含んでなる、スチレンを製造する方法を含む。第一の生成物流は更に、一種または複数のベンゼン、トルエン、キシレン、水、水素、一酸化炭素またはメタンを含んでなることができる。その方法は、第一の生成物流を少なくとも一部は分離して、スチレン生成物流を形成する工程を含むことができる。トルエンは第一の生成物流から分離して、一個または複数の反応器に再循環させることができる。
【0011】
一個または複数の反応器は、トルエンおよび合成ガスを反応させてスチレンを形成するための触媒を含む反応条件下の反応帯をもつことができる。反応帯の条件は200℃〜800℃の範囲の温度および1atm〜400atm以上の圧力下であることができる。触媒は塩基性または中性であることができ、そして塩基性または中性のゼオライト触媒であることができる。
【0012】
該方法は炭質材料から合成ガスを生成する工程を含むことができる。合成ガスはメタンの部分酸化、メタンの水蒸気改質またはそれらの組み合わせにより生成することができる。合成ガスはまた、石炭の部分酸化、石炭の水蒸気改質またはそれらの組み合わせあるいはまた、バイオマスの部分酸化、バイオマスの水蒸気改質またはそれらの組み合わせにより生成することができる。合成ガスは更に、炭質材料のガス化により生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、工程中の合成ガスの生成、副産物からの合成ガスの分離(必要な場合は)、合成ガスおよびトルエンを反応させて、スチレン流を精製するために分離ユニットに送られるスチレンを含んでなる第一の生成物流の生成、によるスチレンの製造のフロー図を表す。
【図2】図2は、そこで合成ガスおよびトルエンが反応してスチレンを含んでなる生成物流を生成し、それがスチレン流を精製するための分離ユニットに送られる、合成ガスおよびトルエンの反応によるスチレンの製造のためのフロー図を表す。
【図3】図3は、触媒再生を伴う連続反応の能力をもつ本発明の態様の様相のスキーム図である。
【詳細な説明】
【0014】
トルエンは、そこで合成ガスがトルエンの側鎖アルキル化において反応して、それがスチレンの生成をもたらす、共供給物としての合成ガスの使用を伴って、スチレンを製造するために使用することができる。
【0015】
本発明において、スチレンは、式に示されるようにトルエン(CCH)との合成ガス(CO/H)の触媒反応から調製されて、スチレン(C)と水を生成することができる:
C=O+H+CCH → C+H
【0016】
トルエンおよび合成ガスは、その酸のサイトが環状炭素を活性化することが知られてい
る酸性触媒上でキシレンを生成することが知られている。本発明は、合成ガスを活性化するための貴金属または同等物と組み合わせることができる塩基性または中性の触媒の使用を伴う。高温および高圧(200℃〜800℃および1atm〜400atm)におけるこのような触媒は、トルエンおよび合成ガスからスチレンを生成することができる。他の態様において、温度は300℃〜500℃、そして圧力は50atm〜200atmの範囲にあることができる。他の態様において、温度は300℃〜500℃、そして圧力は1atm〜100atmの範囲にあることができる。
【0017】
合成ガスはしばしばアンモニアまたはメタノールの製造におけるような一般的な営業的工程に使用される。合成ガスを生成するための幾つかの一般的な方法は以下に示される。合成ガスは触媒の存在下でメタンの水蒸気改質により天然ガス(メタン/CH)から製造することができる:
CH+HO → C=O+3H
【0018】
部分酸化法もまた、酸素欠乏環境中の高温、高圧下でメタンから合成ガスを生成することが知られている。
CH+1/2O → C=O+2H
【0019】
メタンから合成ガスに到達する他の方法は、水蒸気改質と一緒に部分酸化によるものである:
3CH+HO+O → 3C=O+7H
【0020】
例えば石炭のガス化施設におけるような正確な条件下において、石炭またはコークスのような炭素原料は、水および/または酸素と反応して合成ガスを生成するであろう。石炭ガス化法はShell、GE EnergyおよびKBR(Kellogg Brown
& Root LLC)のような会社から営業的に利用可能である。反応は以下に示されるようである:
C+HO → C=O+H
C+1/2O → C=O
【0021】
他の炭質材料、例えばバイオマス、オイル・シェール、タール、アスファルト、熱可塑性樹脂およびゴムのような炭化水素基剤のポリマー物質、精油所および石油化学プラントからの重質炭化水素スラッジおよび残油、等もまた、合成ガスの生成に使用することができる。
【0022】
これらのすべての合成ガス生成工程において、確実に、炭素が酸素と反応してCOを生成しないよう注意しなければならない。
【0023】
炭素と水が反応して合成ガスを生成した後に、合成ガスをトルエン(CCH)と反応させて以下のようにスチレン(C)と水を生成することができる:
C=O+H+CCH → C+H
【0024】
この反応はトルエンと合成ガスの1:1モル比を有し、スチレンを生成するために使用される他の方法より副産物および望まれない副反応が少ない、よりクリーンな反応を提供することができる。1つの態様において、生成される水は合成ガスの生成のための反応サイクル中に再循環させることができる。反応はトルエンと合成ガスの1:1モル比を有するが、供給物流の比率は本発明内に限定はされず、操作条件および反応システムの効率に応じて変動することができる。過剰なトルエンまたは合成ガスが反応帯に供給されると、後に、未反応部分が分離され、工程中に再循環される。1つの態様において、トルエン:合成ガスの比率は100:1〜1:100の範囲にあることができる。他の態様において
、トルエン:合成ガスの比率は50:1〜1:50、20:1〜1:20、10:1〜1:10、5:1〜1:5、2:1〜1:2間の範囲にあることができる。
【0025】
合成ガスを活性化するために貴金属または同等物と組み合わせた、トルエンの側鎖を活性化するための塩基性または中性の触媒の使用は、限定されない例として200℃〜800℃および1atm〜200atmの圧力のような高温、高圧において、トルエンおよび合成ガスからスチレンを生成するにちがいない。
【0026】
トルエンおよび合成ガスの反応に適した触媒は、限定されない例としてCuO、ZnO−CuO、ZnO−CuO−Al、CuCr、ZnCrまたはZnO−CuO−Crのような金属酸化物を含むことができる。使用することができる他の触媒は、シリカまたはチタニアのような支持体上に担持された金属、例えばRu、Rh、Ni、Co、PdまたはPtを含む。これらはまたMn、Ti、Zr、V、Nb、K、CsまたはNaのような助触媒を含むことができる。本発明に使用することができる触媒の更に他の群は、MoS、WS、MoWS、CoMoSまたはNoMoSのような硫化物基剤の触媒を含む。これらの硫化物触媒はK、Rb、Cs、Ca、Sr、Ba、LaまたはCeのような助触媒を含むことができる。
【0027】
前記の触媒はアルカリ、アルカリ土類および/または希土類元素のようなトルエン助触媒を添加されることができる。添加することができる他のトルエン助触媒はY、Zrおよび/またはNbを含む。
【0028】
側鎖のアルキル化の選択性の改善は、外側の酸性サイトを妨げそして環位置上の芳香族アルキル化を最少にするために適当な化合物で分子ふるいのゼオライト物質を処理することにより達成することができる。側鎖アルキル化の選択性の改善の他の方法は、触媒構造物上に制約を課して、側鎖のアルキル化を容易にすることができる。
【0029】
本発明に適した触媒反応系は側鎖アルキル化の選択性のために改変された、一種または複数のゼオライトまたは非晶質物質を含むことができる。限定されない例は、トルエンとの合成ガスの反応性を促進することができる、一種または複数の以下:Ru、Rh、Ni、Co、Pd、Pt、Mn、Ti、Zr、V、Nb、K、CsまたはNaにより反応促進されるゼオライトであることができる。
【0030】
本発明のための触媒の支持物質として適したゼオライト物質は、シリケート基剤のゼオライトおよびフォージャサイト、モルデン沸石、ペンタシル、等のような非晶質化合物を含むことができる。シリケート基剤のゼオライトは交互のSiOとMO[式中、Mは周期表(新IUPAC)のグループ1〜16から選択される元素である]四面体よりなる。これらのゼオライトのタイプは8−、10−または12−員酸素環のチャンネルをもつ。本発明に適したゼオライトの例はZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−48、ZSM−57、等のような10−および12−員環のゼオライトを含むことができる。
【0031】
図1は前記のスチレンの製法の一態様の簡略化ブロック−フロー図である。炭質材料(1)は、合成ガスを生成する、第一の反応器のような工程(2)に供給される。工程(2)は炭質材料を合成ガスに転化させる部分酸化、水蒸気改質、ガス化または他の工程を提供する。工程(2)は、前記の合成ガスを生成する一種または複数の方法またはそれらの組み合わせ物を含むことができる一個または複数の反応器を含んでなることができる。工程(2)のガス生成物(3)は分離ユニット(4)に送られることができ、そこで合成ガス(7)は、工程(2)に再循環されることができる望まれない副産物(6)および、スチレンの製造工程から取除くことができる望まれない副産物(5)から分離される。分離
ユニット(4)は、流れ(3)の成分の分離のための、種々の条件下で操作することができる、一本または複数の蒸留管のような、一種または複数の分離段階を含んでなることができる。次に合成ガス供給物流(7)を、トルエン(8)を含んでなる供給物流と一緒に反応器(9)中に添加して、スチレンを含んでなる生成物流(10)を生成する。反応器(9)は一種または複数の反応器および/または反応帯を含んでなることができる。次に反応器(9)からのスチレンを含んでなる生成物流(10)は分離ユニット(11)に送られて、そこで水のような望まれない副産物(15)をスチレンから分離して工程から取り除くか、または水蒸気改質工程におけるように合成ガスの製造に水が使用される場合は、工程(2)に戻して再循環させることができる。分離ユニット(11)は流れ(10)の成分の分離のための種々の条件下で操作することができる一本または複数の蒸留管のような一種または複数の分離段階を含んでなることができる。未反応合成ガス(12)および未反応トルエン(13)は分離して、反応器(9)中に戻して再循環させることができる。スチレン生成物流(14)は分離ユニット(11)から取除き、必要な場合には、更なる処理(treatment)または加工(processing)にかけることができる。
【0032】
反応器および分離装置の操作条件はシステムに特異的であり、供給物流の組成および生成物流の組成に応じて変動することができる。トルエンおよび合成ガスの反応のための反応器(9)は、限定されない例として200℃〜800℃、および1atm〜200atmの圧力のような高温、高圧で操作され、そして塩基性または中性の触媒系を含むであろう。触媒系はまた、合成ガスを活性化するための貴金属または同等物であることができる。
【0033】
図2はスチレンの製法の、他の態様の簡略化ブロック−フロー図である。合成ガス供給物流(7)を、トルエン(8)を含んでなる供給物流と一緒に反応器(9)中に添加して、スチレンを含んでなる生成物流(10)を生成する。反応器(9)は一種または複数の反応器および/または反応帯を含んでなることができる。次に反応器(9)からのスチレンを含んでなる生成物流(10)は分離ユニット(11)に送られ、そこで水のような望まれない副産物(15)をスチレンから分離して工程から取除くか、または水蒸気改質法におけるように、水が合成ガスの製造に使用される場合は、工程(2)に戻して再循環させることができる。分離ユニット(11)は流れ(10)の成分の分離のための種々の条件下で操作することができる一本または複数の蒸留管のような一種または複数の分離段階を含んでなることができる。未反応合成ガス(12)および未反応トルエン(13)は分離し、反応器(9)中に戻して再循環させることができる。スチレン生成物流(14)は分離ユニット(11)から取除いて、必要な場合は、更なる処理または加工にかけることができる。
【0034】
本発明とともに使用することができる反応器の態様は、限定されない例によると、固定床反応器、流動床反応器および噴流床反応器を含むことができる。本明細書に記載されたような高温および高圧可能で、かつ反応物の触媒との接触を可能にすることができる反応器が本発明の範囲内にあると考えられる。特定の反応器システムの態様は、当業者によるように、特定の設計条件および処理能力に基づいて決定することができ、本発明の範囲を限定することを意味しない。本発明とともに使用することができる、触媒再生能を有する流動床反応器の例は図3に示される。上昇装置を使用するこのタイプの反応器システムは、必要に応じて例えば、入熱が必要な場合は上昇装置を絶縁または加熱することにより、あるいは熱の発散が必要な場合は冷却水で上昇装置を覆うことにより改変することができる。これらの設計はまた、排出ライン(図示されていない)から、再生容器からの触媒を引き出すか、または操作中にシステム中に新触媒を添加することにより、工程が作動中に触媒を取り替えるために使用することができる。
【0035】
図3は触媒再生を伴う連続的反応の能力を有する本発明の態様のスキーム図である。反応工程(20)は一般に、反応(21)および再生(22)に対する2種の主要帯を含んでなる。反応帯は通常、主反応サイトとしての垂直導管または上昇装置(23)よりなり、導管の流出液が、分離容器(24)と呼ぶことができる容量の大きなプロセス容器中に空けられる。反応物上昇装置(23)においてはトルエンおよび合成ガスのような供給物流(25)が反応器条件下で、触媒の比較的大型の流動床であることができる流動化触媒と接触される。反応の実質的完了に要する上昇装置(23)中の触媒および炭化水素の滞留時間は、特定の反応器の設計および処理能力の設計に対する必要に応じて変動することができる。上昇装置(23)を排出する流動蒸気/触媒流は、上昇装置から、通常、分離容器(24)内の上部に配置されるサイクロン(26)のような固形物−蒸気分離装置に通ることができる。反応生成物は一個または複数のサイクロン(26)により蒸気流により、運搬される触媒の部分から分離され、そして生成物はライン(27)を経てサイクロン(26)および分離容器(24)を排出することができる。消費された触媒は分離容器(24)の下方部に配置された回収装置(28)の方向に降下する。触媒は回収装置(28)に接続された導管(29)により再生容器(22)に移送することができる。
【0036】
触媒は反応帯(21)から再生容器(22)に、そして次に再度、反応帯(21)に連続的に循環させることができる。従って、触媒は必要な触媒作用を提供するのみならずまた、反応帯から反応帯への熱の移動の担体として働くことができる。再生帯(22)に移送されている反応帯(21)からの触媒は「消費済み触媒」と呼ぶことができる。「消費済み触媒」の用語は触媒粒子による触媒作用の完全な欠如を示すことを意図されない。再生容器(22)から引かれている触媒は「再生済み」触媒と呼ばれる。触媒は熱および、再生物流(30)との接触により再生容器(22)中で再生することができる。再生物流(30)は酸素を含んでなることができ、かつ蒸気を含んでなることができる。再生された触媒は、ライン(32)を介して再生容器(22)からの除去を可能にすることができる一個または複数のサイクロン(31)の使用により、再生物流から分離することができる。再生された触媒はライン(33)を介して上昇装置(23)の下方部分に移送され、そこで再度供給物流(25)と接触されて、上昇装置(23)を流動上昇することができる。
【0037】
含んでなる(comprises)、含む(includes)、有する(having)、等のような広義の用語の使用は、それらからなる(consisting of)、本質的にそれらからなる(consisting essentially of)、実質的にそれらからなる(comprised substantially of)、等のような狭義の用語に対する支持物を提供すると理解するべきである。
【0038】
用語「アルキル」は単結合炭素および水素原子のみよりなる官能基または側鎖、例えばメチルまたはエチル基を表す。
【0039】
用語「アルキル化」は他の分子に対するアルキル基の付加を表す。
【0040】
請求項のあらゆる要素に関する用語「場合により」の使用は、主題の要素が要求されるか、あるいはまた要求されないことを意味することが意図される。両方の可能性が請求の範囲内に入ることが意図される。
【0041】
用語「合成ガス」は一酸化炭素(CO)および水素(H)の混合物を含んでなる合成ガスを表す。
【0042】
用語「アルキル転移」は1つの芳香族分子から他の分子へのアルキル基の転移を表す。
【0043】
用語「ゼオライト」は通常、例えば幾らかのアルミニウム、ホウ素、ガリウム、鉄および/またはチタンとともに、シリケートの格子を含む分子ふるいを表す。以下の考察中、そして本開示を通じて、用語分子ふるいおよびゼオライトは多かれ少なかれ互換性に使用されるであろう。当業者は、ゼオライトに関する教示はまた、分子ふるいと呼ばれる物質の、より一般的な群に適用することができることを認めるであろう。
【0044】
文脈に応じて、本明細書における「本発明」に対するすべての言及は、幾つかの場合には、ある特定の態様のみを表すことができる。他の場合には、それは1個または複数の、しかし必ずしもすべてではない請求項中に引用される主題事項を表すことができる。以上は、本特許中の情報が利用可能な情報および技術と合わされる時に、当業者に本発明を製造し、使用させることができるために含まれる、本発明の態様、バージョンおよび実施例に関するが、本発明はこれらの特定の態様、バージョンおよび実施例のみに限定はされない。本発明の他の、および更なる態様、バージョンおよび実施例はそれらの基礎的範囲から逸脱せずに考案することができ、それらの範囲は以下の請求項により決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応条件にトルエンおよび合成ガスを導入して、スチレンを含んでなる第一の生成物流を形成する工程:
を含んでなる、スチレンを製造する方法。
【請求項2】
反応条件が200℃〜800℃の温度で1atm〜400atmの圧力で起る、請求項1の方法。
【請求項3】
トルエンおよび合成ガスを反応させてスチレンを形成するための触媒を含む反応条件下の一個または複数の反応器:
を更に含んでなる、請求項1の方法。
【請求項4】
触媒が塩基性または中性の触媒である、請求項3の方法。
【請求項5】
触媒が塩基性または中性のゼオライト触媒である、請求項3の方法。
【請求項6】
触媒がアルカリ元素、アルカリ土類元素、希土類元素、Y、ZrおよびNbの群から選択される一種または複数の助触媒を含んでなる、請求項3の方法。
【請求項7】
第一の生成物流が更に一種または複数のベンゼン、トルエン、キシレン、水、水素、一酸化炭素またはメタンを含んでなる、請求項1の方法。
【請求項8】
第一の生成物流を少なくとも一部は分離して、スチレン生成物流を形成する工程:
を更に含んでなる、請求項1の方法。
【請求項9】
第一の生成物流からトルエンを分離し、そして前記トルエンを一個または複数の反応器に再循環させる工程:
を更に含んでなる、請求項1の方法。
【請求項10】
炭質材料の転化により合成ガスを生成する工程:
を更に含んでなる、請求項1の方法。
【請求項11】
炭質材料の転化がメタンの部分酸化、メタンの水蒸気改質またはそれらの組み合わせを含む、請求項10の方法。
【請求項12】
炭質材料の転化が、石炭もしくはコークスの部分酸化、石炭もしくはコークスの水蒸気改質またはそれらの組み合わせを含む、請求項10の方法。
【請求項13】
炭質材料の転化がバイオマスの部分酸化、バイオマスの水蒸気改質またはそれらの組み合わせを含む、請求項10の方法。
【請求項14】
トルエンおよび合成ガスを反応させてスチレンを形成するための触媒を含む反応帯を提供する工程:
反応条件下の反応帯中でトルエンおよび合成ガスを反応させて、スチレンを含んでなる第一の生成物流を形成する工程;
第一の生成物流を少なくとも一部は分離して、スチレン生成物流を形成する工程;
第一の生成物流から未反応トルエンを取除き、そして未反応トルエンを反応帯に再循環させる工程;
を含んでなるスチレンを製造する方法。
【請求項15】
反応帯の条件が200℃〜800℃の間の温度および1atm〜400atmの間の圧力にある、請求項14の方法。
【請求項16】
触媒が塩基性または中性の触媒である、請求項14の方法。
【請求項17】
触媒が塩基性または中性のゼオライト触媒である、請求項14の方法。
【請求項18】
炭質材料の部分酸化または水蒸気改質またはそれらの組み合わせにより合成ガスを生成する工程;
を更に含んでなる、請求項14の方法。
【請求項19】
炭質材料が一種または複数のメタン、石炭、コークス、バイオマスまたはそれらの組み合わせを含んでなる、請求項18の方法。
【請求項20】
炭質材料のガス化により合成ガスを生成する工程;
トルエンおよび合成ガスを反応させてスチレンを形成するための触媒を含む反応帯を提供する工程;
トルエンおよび合成ガスの供給物流を反応帯に提供する工程;
200℃〜800℃の間の温度および1atm〜400atmの間の圧力の反応帯でトルエンおよび合成ガスを反応させて、スチレンを含んでなる第一の生成物流を形成する工程;
第一の生成物流を少なくとも一部は分離して、スチレン生成物流を形成する工程;
第一の生成物流から未反応トルエンを取除き、そして前記未反応トルエンを反応帯に再循環させる工程;
を含んでなる、スチレンを製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−500275(P2012−500275A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523927(P2011−523927)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/054138
【国際公開番号】WO2010/022037
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】