説明

トルエンを選択的に不均化する触媒

トルエンを選択的に不均化するための触媒は、(a)平均粒径が0.3〜6μmであり、SiO/Alのモル比が20〜120であるZSM−5の分子篩を45〜95wt%、(b)周期表の元素である2B族、3B族、希土類元素およびNi以外の8族の金属、またはそれらの酸化物の少なくとも1つを0.01〜30wt%、(c)周期表の元素である5A族、6B族およびアルカリ土類金属、またはそれらの酸化物の少なくとも1つを0〜20wt%、(d)有機ポリシロキサンに由来するシリカの不活性な表面コーティングを1〜25wt%、ならびに(e)バインダーを1〜50wt%含んでいる。トルエンをp−キシレンへ選択的に不均化するための方法は、トルエンを選択的に不均化する条件下において、トルエンを含んでいる反応蒸気を、上記触媒と接触させる工程を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルエンを形状選択的に不均化するための触媒、その調製およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
トルエンの不均化によって、トルエンはより貴重なベンゼンおよびキシレンに変換される。キシレンの生成物は一般に、熱力学的に平衡な場合に3種の異性体の混合物であり、最も貴重とされるp−キシレンは、約24%の割合を占めるのみである。それ故、選択的にp−キシレンを生成するための新しい方法として、形状選択的な不均化が画策されている。トルエンを不均化するための従来の触媒は、主要な活性成分として大口径のモルデナイトを含んでいるため、キシレンの3種の異性体に対して形状選択性を示さない。ZSM−5の分子篩は、10員環から成る孔を有する3次元構造である。ZSM−5の分子篩の孔は、分子直径が0.63nmであるp−キシレンを迅速に拡散させることができる一方、分子直径が0.69nmであるo−キシレンおよびm−キシレンの拡散係数が極めて低いことが見出された。トルエンの不均化の系に存在する各種の、ZSM−5の分子篩の孔における拡散係数の関係は、以下の通りである:ベンゼン≧トルエン>エチルベンゼン≒p−キシレン>o−キシレン≒m−キシレン。このことは、トルエンの不均化が形状選択的に触媒されて、キシレンの生成物中において熱力学的に平衡なときのp−キシレンの濃度よりも高い濃度のp−キシレンの異性体が得られる可能性があることを示唆している。しかし、上記分子篩の孔から拡散したp−キシレンに富む生成物は、分子篩の外面に存在する酸性部位において異性化反応を受け、この異性化反応の速度は、不均化反応の速度よりもかなり速い。このため、生成物は熱力学的に平衡なときの組成に迅速に到達する。いくつかの研究では、空間速度が速く、転換がより少ない条件下において粒度が大きいZSM−5を使用することによって、形状選択性を実現できることが示されている。しかし、このような方法は、工業的に実用化されていない。
【0003】
米国特許第5,367,099号明細書、米国特許第5,607,888号明細書および米国特許第5,476,823号明細書には、トルエンを選択的に不均化する触媒を調製するために、ZSM−5の分子篩の構造を修飾すること、即ち、細孔の大きさを減少させて、外面に存在する酸性部位を保護することが開示されている。触媒を調製する際に、熱分解性のポリマーを、分子篩の外面上に配置する。次いで分子篩を高温処理して、ポリマーを熱分解する。これによって、分子篩の外面上の酸性部位を保護する不活性なコーティングを形成し、細孔の大きさをある程度減少させる。このような表面の修飾によって、p−キシレンに対する触媒の選択性は大きく増大する。
【0004】
米国特許第5,365,003号明細書には、形状選択的に炭化水素を転換するための、方法および触媒が開示されている。この触媒は、(i)分子篩の結晶と、有機ケイ素化合物と、必要に応じてバインダーとを含んでいる混合物を凝集させる工程、ならびに(ii)生じた凝集物を焼成する工程を含んでいる方法によって調製される。触媒を次いで、トルエンをキシレンへ変換するための反応条件下において、効率よくp−キシレンへ修飾するための選択性を付与する剤(high efficiency p-xylene trim selectivating agent)と置換芳香族化合物との混合物に接触させることによって、選択性を2回付与された触媒を製造してもよい。効率よくp−キシレンへ修飾するための選択性を付与する剤としては、例えば有機珪素化合物が挙げられる。
【0005】
中国特許出願第00119772.X号明細書は、トルエンを選択的に不均化するための、貴金属によって修飾された触媒が開示されている。この触媒は、(i)水素の形態のZSM−5の分子篩を20〜90wt%、(ii)ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、白金および金から選択される少なくとも1種の貴金属を0.005〜5wt%、ならびに(iii)バインダーとしてのシリカまたはアルミナを9〜75wt%含んでいる。さらにこの触媒は必要に応じて、クロム、ニッケル、モリブデン、タングステン、アンチモンおよびビスマスから選択される少なくとも1種の元素を含んでいる。貴金属によって修飾された、水素の形態のZSM−5の分子篩を含んでいる触媒は、トルエンを選択的に不均化する触媒活性を増強する場合があるが、貴金属によって修飾された分子篩の触媒は、トルエンの比較的顕著な水素化および脱アルキルという副反応を引き起こすため、p−キシレンの生成物の収率が減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,367,099号明細書
【特許文献2】米国特許第5,607,888号明細書
【特許文献3】米国特許第5,476,823号明細書
【特許文献4】米国特許第5,365,003号明細書
【特許文献5】中国特許出願第00119772.X号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
いくつかの研究では、トルエンを不均化する形状選択的な触媒反応が実施されている。しかしながら、トルエンを形状選択的に不均化するための触媒であって、より高い触媒活性を有すると同時に、トルエンの水素化および脱アルキル化という副反応をほとんどまたは全く引き起こさない触媒が、未だに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、適切な修飾元素またはその酸化物を選択し、それらの量を制御し、シリカの不活性な表面コーティングと併用することによって、得られた金属で修飾されたZSM−5の分子篩の触媒が、トルエンを形状選択的に不均化するためのより高い触媒活性とp−キシレンに対する高い選択性とを有しており、トルエンの水素化および脱アルキルという副反応をほとんど引き起こさないことを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明の目的は、トルエンを形状選択的に不均化するための触媒を提供することである。該触媒は、
(a)平均粒径が0.3〜6μmであり、Alに対するSiOのモル比が20〜120であるZSM−5の分子篩を45〜95wt%、
(b)2B族の金属、3B族の金属、希土類元素およびニッケル以外の8族の金属、ならびにそれらの酸化物から成る群より選択される少なくとも1つの金属を0.01〜30wt%、
(c)5A族の金属、6B族の金属およびアルカリ土類金属、ならびにそれらの酸化物から成る群より選択される少なくとも1つの金属を0〜20wt%、
(d)有機ポリシロキサンに由来するシリカの不活性な表面コーティングを1〜25wt%、ならびに、
(e)バインダーを1〜50wt%含んでいる。
【0010】
本発明の別の目的は、トルエンをp−キシレンへ形状選択的に不均化するための方法を提供することである。該方法は、トルエンを不均化する条件下において、トルエンを含んでいる反応蒸気を、本発明のトルエンを形状選択的に不均化するための触媒と接触させる工程を含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の態様では、本発明はトルエンを形状選択的に不均化するための触媒を提供する。
【0012】
本発明の触媒は、ZSM−5の分子篩を45〜95wt%、より好ましくは60〜90wt含んでいる。合成された場合のZSM−5の分子篩の形状は、一般的に針状である。本発明に使用されるZSM−5の分子篩の平均粒径は、0.3〜6μmである。またZSM−5の分子篩のSiO/Alのモル比は、20〜120、より好ましくは25〜50である。
【0013】
本発明の触媒は、2B族の金属、3B族の金属、希土類元素およびニッケル以外の8族の金属、ならびにそれらの酸化物から選択される少なくとも1つの金属を0.01〜30wt%、好ましくは0.1〜15wt%の量で含んでいる。好ましい2B族の金属としては、亜鉛およびカドミウムが挙げられる。好ましい3B族の金属としては、スカンジウムおよびイットリウムが挙げられる。好ましい希土類元素としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジムおよびサマリウムが挙げられる。好ましい8族の金属としては、鉄およびコバルトが挙げられる。
【0014】
本発明の触媒は、5A族の金属、6B族の金属およびアルカリ土類金属、ならびにそれらの酸化物から選択される少なくとも1つの金属を0〜20wt%、好ましくは0.1〜10wt%の量で含んでいる。好ましい5A族の元素としては、リン、ヒ素、アンチモンおよびビスマスが挙げられる。好ましい6B族の金属としては、クロム、モリブデンおよびタングステンが挙げられる。
【0015】
本発明の触媒は、バインダーを1〜50wt%、好ましくは2〜30wt%含んでいる。バインダーは、SiO、Al、TiOおよび粘土から少なくとも1つ選択されることが好ましい。
【0016】
また、本発明の触媒は、有機ポリシロキサンに由来するシリカの不活性な表面コーティングを1〜25wt%、好ましくは1.5〜20wt%含んでいる。有機ポリシロキサンは、ジメチルポリシロキサン、メチルアミノポリシロキサン、メチルヒドロキシルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルプロピルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサンおよびそれらの混合物から選択されることが好ましく、ジメチルポリシロキサンであることがより好ましい。有機ポリシロキサンは、約4よりも大きい重合度を有していてもよい。好ましい実施形態では、本発明に使用される有機ポリシロキサンは、20℃において約0.02〜100Pa・s、好ましくは0.03〜10Pa・s、より好ましくは0.05〜1Pa・sの粘度を有している。
【0017】
一実施形態では、本発明の触媒は、
(i)ZSM−5の分子篩、バインダーの前躯体、全ての修飾元素の前躯体および水を混合して混合物を作製し、混合物を押し出して押出物を作製する工程;
(ii)押出物を乾燥し、必要に応じて焼成して、触媒の前躯体を得る工程;
(iii)有機ポリシロキサンを用いて触媒の前躯体を処理する工程;ならびに、
(iv)有機ポリシロキサンを用いて処理された触媒の前躯体を焼成して、触媒を得る工程を含んでいる方法によって調製されてもよい。
【0018】
別の実施形態では、本発明の触媒は、
(i)ZSM−5の分子篩、バインダーの前躯体、修飾元素の一部の前躯体および水を混合して混合物を作製し、混合物を押し出して押出物を作製する工程;
(ii)押出物を乾燥し、必要に応じて焼成する工程;
(iii)イオン交換処理または含浸処理によって、(ii)工程から得られた押出物に残りの修飾元素を組み込み、次いで、押出物を乾燥し、必要に応じて焼成して、触媒の前躯体を得る工程;
(iv)有機ポリシロキサンを用いて触媒の前躯体を処理する工程;ならびに、
(v)有機ポリシロキサンを用いて処理された触媒の前躯体を焼成して、触媒を得る工程を含んでいる方法によって調製されてもよい。
【0019】
さらに別の実施形態では、本発明の触媒は、
(i)ZSM−5の分子篩、バインダーの前躯体および水を混合して混合物を作製し、混合物を押し出して押出物を作製する工程;
(ii)押出物を乾燥し、必要に応じて焼成する工程;
(iii)イオン交換処理または含浸処理によって、(ii)工程から得られた押出物に全ての修飾元素を組み込み、次いで、押出物を乾燥し、必要に応じて焼成して、触媒の前躯体を得る工程;
(iv)有機ポリシロキサンを用いて触媒の前躯体を処理する工程;ならびに、
(v)有機ポリシロキサンを用いて処理された触媒の前躯体を焼成して、触媒を得る工程を含んでいる方法によって調製されてもよい。
【0020】
バインダーの前躯体は、SiOのゾル、Alのゾル、TiOのゾルおよび酸処理された粘度の少なくとも1つであってもよい。酸処理された粘度としては、例えば1Nの硝酸で洗浄された粘度が挙げられる。バインダーの前躯体は、最終の触媒中におけるバインダーの含有量が1〜50wt%、好ましくは2〜30wt%になるような量で使用される。
【0021】
修飾元素の前躯体は、空気中での焼成によって修飾元素の酸化物を形成することが可能な任意の化合物である。修飾元素の前躯体としては、特に限定されないが、無機酸、無機化合物の塩、無機化合物の水酸化物、無機酸化物および修飾元素を含んでいる有機金属化合物が挙げられる。
【0022】
上記方法において、使用される水の量は、工程(i)から得られる混合物の固形分を基準として40〜140wt%であってもよい。水は、単独で加えられてもよいし、溶媒として加えられてもよいし、または別の成分の分散媒として加えられてもよい。
【0023】
イオン交換処理または含浸処理によって、修飾元素を分子篩の触媒に組み込むための手法および条件は、技術的に公知である。
【0024】
乾燥を実施するための条件および焼成を実施するための条件は、当業者にとって公知である。例えば、乾燥は、約40〜約200℃、好ましくは約50〜約150℃、より好ましくは約60〜約100℃の温度で、約0.5〜約48時間、好ましくは約1〜約24時間実施されてもよい。また、乾燥は、室温で風乾することによって達成されることが好都合である。焼成は、約250〜約1100℃、好ましくは約300〜約900℃、より好ましくは約350〜約700℃の温度で約1〜約24時間、好ましくは約2〜12時間実施されてもよい。
【0025】
有機ポリシロキサンを用いた触媒の前躯体の処理は、以下のようにして実施されてもよい。有機ポリシロキサンの化合物を不活性な有機溶媒に溶解し、生じた溶液を触媒の前躯体と混合する。次いで、有機溶媒を蒸発させる。必要に応じて混合物を加熱および/または減圧しながら、有機溶媒を蒸発させてもよい。
【0026】
また、有機ポリシロキサンを用いた触媒の前躯体の処理は、以下のようにして実施されてもよい。有機ポリシロキサンの化合物を不活性な有機溶媒に溶解し、生じた溶液をドラム乾燥器中において、加熱された触媒の前躯体上に噴霧する。これによって、触媒の前躯体上に有機ポリシロキサンのコーティングを形成する。
【0027】
不活性な有機溶媒としては、特に限定されないが、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンおよびシクロヘキサンが挙げられる。有機溶媒中の有機ポリシロキサン化合物の溶液の濃度は、特に限定されないが、一般的に5〜40wt%、好ましくは10〜30wt%であることが好都合である。処理は1回以上実施されてもよい。有機ポリシロキサンは、最終の触媒中におけるシリカコーティングの含有量が1〜25wt%、好ましくは1.5〜20wt%になるような量で使用される。
【0028】
第2の態様では、本発明は、トルエンをp−キシレンへ形状選択的に不均化するための方法を提供する。この方法は、トルエンを不均化する条件下において、トルエンを含んでいる反応蒸気を、本発明のトルエンを形状選択的に不均化するための触媒と接触させる工程を含んでいる。
【0029】
本発明は、当業者に公知であるトルエンを不均化する方法および条件を使用してもよい。このような方法は、バッチ反応器(batch reactor)、流動層反応器、または固定層反応器中において実施されてもよい。
【0030】
好ましい実施形態では、このような方法は、固定層反応器中において実施され、さらに以下の反応条件が用いられてもよい。反応器の注入口における温度は、約350〜約540℃、好ましくは約400℃〜約500℃であり;圧力は、約0.1〜約30MPa、好ましくは約0.5〜約7MPaであり;WHSVは、約0.1〜20h−1、好ましくは1.0〜5.0h−1であり;炭化水素に対する水素のモル比は、約0.1〜20、好ましくは約1〜5である反応条件。
【0031】
本発明の触媒は、トルエンを選択的に不均化するためのより高い触媒活性と、より高いp−キシレン選択性とを有しており、トルエンの顕著な水素化および脱アルキル化という副反応を引き起こさない。
【実施例】
【0032】
以下の各実施例を用いて本発明をさらに説明する。
【0033】
〔実施例1〕
平均粒径が1.7μmであり、SiO/Alのモル比が31である水素の形態の36gのZSM−5を、33.2gのシリカゾル(12wt%のSiOを含んでいる。)、0.8gの化学的に純粋な硝酸亜鉛[Zn(NO・6HO]および2mlの水と混練した後に、押し出して、1.7mmの直径を有する円筒形の押出物を形成した。この押出物を風乾し、次いで空気中において520℃で2時間焼成することによって、成形された触媒の前躯体を得た。
【0034】
この触媒の前躯体に、40mlのn−ヘキサンと10.0gの20℃で0.1Pa・sの粘度を有するジメチルポリシロキサンとから形成された溶液を加え、次いで油浴中において90℃でn−ヘキサンを蒸留した。蒸留後に、残渣をマッフル炉中において520℃で3時間焼成し、冷却した。上記修飾手順を繰り返すことによって、触媒の質量が22%増加し、形状選択性を2回付与された触媒Aを得た。
【0035】
〔実施例2〕
平均粒径が2.2μmであり、SiO/Alのモル比が50である水素の形態の32gのZSM−5を、24gのチタニアのゾル(25wt%のTiOを含んでいる。)、3.72gの化学的に純粋な硝酸スカンジウム[Sc(NO・5HO]、0.2mlの化学的に純粋な硝酸および8mlの水と混練した後に、押し出して、1.7mmの直径を有する円筒形の押出物を形成した。この押出物を風乾し、520℃で2時間焼成することによって、成形された触媒の前躯体を得た。
【0036】
この触媒の前躯体に、40mlのn−ヘキサンと8.0gの20℃で0.1Pa・sの粘度を有するメチルアミノポリシロキサンとから形成された溶液を加え、次いで油浴中において90℃でn−ヘキサンを蒸留した。蒸留後に、残渣をマッフル炉中において520℃で3時間焼成し、冷却した。上記修飾手順を繰り返すことによって、触媒の質量が18%増し、形状選択性を2回付与された触媒Bを得た。
【0037】
〔実施例3〕
平均粒径が4μmであり、SiO/Alのモル比が60である水素の形態の28gのZSM−5を、22.4gのチタニアのゾル(27wt%のTiOを含んでいる。)、4.6gの酸処理された粘土、0.11gの化学的に純粋な硝酸セリウム[Ce(NO・6HO]、7.36gの化学的に純粋な硝酸クロム[Cr(NO・9HO]、0.2mlの化学的に純粋な硝酸および5mlの水と混練した後に、押し出して、1.7mmの直径を有する円筒形の押出物を形成した。この押出物を風乾し、520℃で2時間焼成することによって、成形された触媒の前躯体を得た。なお、酸処理された粘土は、1重量部の粘土を、3重量部の1Nの硝酸水溶液中に周囲温度で6時間浸した後に、粘土をろ過して、ほぼ中性になるように水でこの粘土を洗浄して、生じた固体を550℃で4時間焼成することによって得られた。
【0038】
この触媒の前躯体に、40mlのn−ヘキサンと4gの20℃で0.1Pa・sの粘度を有するメチルアミノポリシロキサンとから形成された溶液を加え、次いで油浴中において90℃でn−ヘキサンを蒸留した。蒸留後に、残渣をマッフル炉中において520℃で3時間焼成し、冷却した。上記修飾手順を繰り返すことによって、触媒の質量が8%増加し、形状選択性を2回付与された触媒Cを得た。
【0039】
〔実施例4〕
平均粒径が3μmであり、SiO/Alのモル比が25である水素の形態の24gのZSM−5を、10gのシリカゾル(40wt%のSiOを含んでいる。)、6.0gの酸処理された粘土、14.14gの化学的に純粋な硝酸鉄[Fe(NO・9HO]、4.28gの化学的に純粋なモリブデン酸アンモニウム[(NHMo24・6HO]、0.2mlの化学的に純粋な硝酸および26mlの水と混練した後に、押し出して、1.7mmの直径を有する円筒形の押出物を形成した。この押出物を風乾し、520℃で2時間焼成することによって、成形された触媒の前躯体を得た。なお、酸処理された粘土は、1重量部の粘土を、3重量部の1Nの硝酸水溶液中に周囲温度で6時間浸した後に、粘土をろ過して、ほぼ中性になるように水でこの粘土を洗浄して、生じた固体を550℃で4時間焼成することによって得られた。
【0040】
この触媒の前躯体に、40mlのn−ヘキサンと2.4gの20℃で0.1Pa・sの粘度を有するジメチルポリシロキサンとから形成された溶液を加え、次いで油浴中において90℃でn−ヘキサンを蒸留した。蒸留後に、残渣をマッフル炉中において520℃で3時間焼成し、冷却した。上記修飾手順を繰り返すことによって、触媒の質量が5%増加し、形状選択性を2回付与された触媒Dを得た。
【0041】
〔実施例5〕
平均粒径が3μmであり、SiO/Alのモル比が112である水素の形態の19.2gのZSM−5を、6.8gの酸処理された粘土、11.55gの化学的に純粋な硝酸カドミウム[Cd(NO・4HO]、8.43gの化学的に純粋な硝酸プラセオジウム[Pr(NO・6HO]、29.48gの化学的に純粋な硝酸クロム[Cr(NO・9HO]、1.68gの化学的に純粋な硝酸カルシウム[Ca(NO・4HO]、0.2mlの化学的に純粋な硝酸および24mlの水と混練した後に、押し出して、1.7mmの直径を有する円筒形の押出物を形成した。この押出物を風乾し、520℃で2時間焼成することによって、成形された触媒の前躯体を得た。なお、酸処理された粘土は、1重量部の粘土を、3重量部の1Nの硝酸水溶液中に周囲温度で6時間浸した後に、粘土をろ過して、ほぼ中性になるように水でこの粘土を洗浄して、生じた固体を550℃で4時間焼成することによって得られた。
【0042】
この触媒の前躯体に、40mlのn−ヘキサンと1.2gの20℃で0.08Pa・sの粘度を有するメチルヒドロキシルポリシロキサンとから形成された溶液を加え、次いで油浴中において90℃でn−ヘキサンを蒸留した。蒸留後に、残渣をマッフル炉中において520℃で3時間焼成し、冷却した。上記修飾手順を繰り返すことによって、触媒の質量が2%増加し、形状選択性を2回付与された触媒Eを得た。
【0043】
〔実施例6〕
平均粒径が1.8μmであり、SiO/Alのモル比が100である水素の形態の26gのZSM−5を、15gのシリカゾル(40wt%のSiOを含んでいる。)、11.70gの化学的に純粋な硝酸亜鉛[Zn(NO・6HO]、10.88gの化学的に純粋な硝酸コバルト[CoNO・6HO]、1.60gの化学的に純粋なモリブデン酸アンモニウム[(NHMo24・6HO]、0.68gの化学的に純粋な硝酸バリウム[Ba(NO]、0.46gの化学的に純粋なリン酸および26mlの水と混練した後に、押し出して、1.7mmの直径を有する円筒形の押出物を形成した。この押出物を風乾し、520℃で2時間焼成することによって、成形された触媒の前躯体を得た。
【0044】
この触媒の前躯体に、40mlのn−ヘキサンと8gの20℃で0.1Pa・sの粘度を有するメチルアミノポリシロキサンとから形成された溶液を加え、次いで油浴中において90℃でn−ヘキサンを蒸留した。蒸留後に、残渣をマッフル炉中において520℃で3時間焼成し、次いで冷却しすることによって、形状選択性を1回付与された触媒の前躯体を得た。
【0045】
この形状選択性を1回付与された触媒の前躯体に、40mlのn−ヘキサンと14gの20℃で0.2Pa・sの粘度を有するメチルフェニルポリシロキサンとから形成された溶液を加え、次いで油浴中において90℃でn−ヘキサンを蒸留した。蒸留後に、残渣をマッフル炉中において520℃で3時間焼成し、冷却した。このようにして、触媒の質量が15%増加し、形状選択性を2回付与された触媒Fを得た。
【0046】
〔実施例7〕
平均粒径が5μmであり、SiO/Alのモル比が90である水素の形態の22gのZSM−5を、8gのシリカゾル(20wt%のSiOを含んでいる。)、0.46gの化学的に純粋な硝酸パラジウム[Pb(NO・HO]、19.57gの化学的に純粋な硝酸ニオブ[Nb(NO・XHO]、8.76gの硝酸亜鉛[Zn(NO・6HO]、12.85gの化学的に純粋な酢酸アンチモン[Sb(CHCOO)]、5.08gの化学的に純粋な硝酸マグネシウム[Mg(NO・6HO]、0.5mlの化学的に純粋な硝酸および26mlの水と混練した後に、押し出して、1.7mmの直径を有する円筒形の押出物を形成した。この押出物を風乾し、520℃で2時間焼成することによって、成形された触媒の前躯体を得た。
【0047】
この触媒の前躯体に、40mlのn−ヘキサンと2gの20℃で0.2Pa・sの粘度を有するメチルフェニルポリシロキサンとから形成された溶液を加え、次いで油浴中において90℃でn−ヘキサンを蒸留した。蒸留後に、残渣をマッフル炉中において520℃で3時間焼成し、冷却した。上記修飾手順を繰り返すことによって、触媒の質量が2%増加し、形状選択性を2回付与された触媒Gを得た。
【0048】
〔実施例8〕
平均粒径が4.5μmであり、SiO/Alのモル比が45である水素の形態の30gのZSM−5を、30gのシリカゾル(20wt%のSiOを含んでいる。)、13.16gの硝酸亜鉛[Zn(NO・6HO]および1.06gの化学的に純粋な硝酸セリウム[Ce(NO・6HO]と混練した後に、押し出して、1.7mmの直径を有する円筒形の押出物を形成した。この押出物を風乾し、520℃で2時間焼成することによって、成形された触媒の前躯体を得た。
【0049】
この触媒の前躯体に、40mlのn−ヘキサンと10gの20℃で0.1Pa・sの粘度を有するジメチルポリシロキサンとから形成された溶液を加え、次いで油浴中において90℃でn−ヘキサンを蒸留した。蒸留後に、残渣をマッフル炉中において520℃で3時間焼成し、冷却した。上記修飾手順を繰り返すことによって、触媒の質量が20%増加し、形状選択性を2回付与された触媒Hを得た。
【0050】
〔実施例9〕
平均粒径が2.5μmであり、SiO/Alのモル比が34である水素の形態の24gのZSM−5を、5.6gの酸処理された粘土、20.17gの化学的に純粋な酢酸ランタン[La(CHCOO)]、0.01gの化学的に純粋なパラタングステン酸アンモニウム[(NH10(W・HO]、0.02gの化学的に純粋な硝酸ビスマス[Bi(NO・6HO]、0.4mlの硝酸および24gの水と混練した後に、押し出して、1.7mmの直径を有する円筒形の押出物を形成した。この押出物を風乾し、520℃で2時間焼成することによって、成形された触媒の前躯体を得た。なお、酸処理された粘土は、1重量部の粘土を、3重量部の1Nの硝酸水溶液中に周囲温度で6時間浸した後に、粘土をろ過して、ほぼ中性になるように水でこの粘土を洗浄して、生じた固体を550℃で4時間焼成することによって得られた。
【0051】
この触媒の前躯体に、40mlのn−ヘキサンと0.8gの20℃で0.1Pa・sの粘度を有するジメチルポリシロキサンとから形成された溶液を加え、次いで油浴中において90℃でn−ヘキサンを蒸留した。蒸留後に、残渣をマッフル炉中において520℃で3時間焼成し、次いで冷却することによって、形状選択性を1回付与された触媒の前躯体を得た。
【0052】
この形状選択性を1回付与された触媒の前躯体に、40mlのn−ヘキサンと0.8gの20℃で0.1Pa・sの粘度を有するメチルアミノポリシロキサンとから形成された溶液を加え、次いで油浴中において90℃でn−ヘキサンを蒸留した。蒸留後に、残渣をマッフル炉中において520℃で3時間焼成し、次いで冷却することによって、形状選択性を2回付与された触媒の前躯体を得た。
【0053】
この形状選択性を2回付与された触媒の前躯体に、40mlのn−ヘキサンと0.8gの20℃で0.08Pa・sの粘度を有するメチルヒドロキシルポリシロキサンとから形成された溶液を加え、次いで油浴中において90℃でn−ヘキサンを蒸留した。蒸留後に、残渣をマッフル炉中において520℃で3時間焼成し、冷却した。このようにして、触媒の質量が3%増加し、形状選択性を3回付与された触媒Iを得た。
【0054】
〔実施例10〕
平均粒径が2.8μmであり、SiO/Alのモル比が34である水素の形態の28gのZSM−5を、14gのシリカゾル(20wt%のSiOを含んでいる。)、16.19gの化学的に純粋な硝酸鉄[Fe(NO・9HO]、4.23gの化学的に純粋な硝酸セリウム[Ce(NO・6HO]、1.02gの化学的に純粋な硝酸サマリウム[Sm(NO・6HO]、7.77gの化学的に純粋な硝酸ビスマス[Bi(NO・6HO]、1.27gの化学的に純粋な硝酸マグネシウム[Mg(NO・6HO]、1.06gの化学的に純粋な硝酸クロム[Cr(NO・9HO]、0.4mlの硝酸および24gの水と混練した後に、押し出して、1.7mmの直径を有する円筒形の押出物を形成した。この押出物を風乾し、520℃で2時間焼成することによって、成形された触媒の前躯体を得た。
【0055】
この触媒の前躯体に、40mlのn−ヘキサンと6gの20℃で0.1Pa・sの粘度を有するジメチルポリシロキサンとから形成された溶液を加え、次いで油浴中において90℃でn−ヘキサンを蒸留した。蒸留後に、残渣をマッフル炉中において520℃で3時間焼成し、冷却した。上記修飾手順を繰り返すことによって、触媒の質量が12%増加し、形状選択性を2回付与された触媒Jを得た。
【0056】
〔比較例1〕
平均粒径が3μmであり、SiO/Alのモル比が25である水素の形態の24gのZSM−5を、20gのシリカゾル(40wt%のSiOを含んでいる。)、7.6gの酸処理された粘土、0.66gの化学的に純粋な硝酸パラジウム[Pb(NO・HO]、0.2mlの化学的に純粋な硝酸および10mlの水と混練した後に、押し出して、1.7mmの直径を有する円筒形の押出物を形成した。この押出物を風乾し、520℃で2時間焼成することによって、成形された触媒の前躯体を得た。なお、酸処理された粘土は、1重量部の粘土を、3重量部の1Nの硝酸水溶液中に周囲温度で6時間浸した後に、粘土をろ過して、ほぼ中性になるように水でこの粘土を洗浄して、生じた固体を550℃で4時間焼成することによって得られた。
【0057】
この触媒の前躯体に、40mlのn−ヘキサンと1.2gの20℃で0.1Pa・sの粘度を有するジメチルポリシロキサンとから形成された溶液を加え、次いで油浴中において90℃でn−ヘキサンを蒸留した。蒸留後に、残渣をマッフル炉中において520℃で3時間焼成し、冷却した。上記修飾手順を繰り返すことによって、触媒の質量が2%増加し、形状選択性を2回付与された比較触媒1を得た。
【0058】
〔比較例2〕
平均粒径が11μmであり、SiO/Alのモル比が31である水素の形態の36gのZSM−5を、26.5gのシリカゾル(40wt%のSiOを含んでいる。)、0.0.8gの硝酸亜鉛[Zn(NO・6HO]、0.04gの化学的に純粋な85%のリン酸、0.02gの化学的に純粋なモリブデン酸アンモニウム[(NHMo24・6HO]および8mlの水と混練した後に、押し出して、1.7mmの直径を有する円筒形の押出物を形成した。この押出物を風乾し、520℃で2時間焼成することによって、成形された触媒の前躯体を得た。
【0059】
この触媒の前躯体に、40mlのn−ヘキサンと8gの20℃で0.1Pa・sの粘度を有するジメチルポリシロキサンとから形成された溶液を加え、次いで油浴中において90℃でn−ヘキサンを蒸留した。蒸留後に、残渣をマッフル炉中において520℃で3時間焼成し、冷却した。上記修飾手順を繰り返すことによって、触媒の質量が18%増加し、形状選択性を2回付与された比較触媒2を得た。
〔実施例13〕
実施例1〜10において調製した触媒A〜Jを、固定層の評価装置を用いて評価し、トルエンの不均化に対する触媒活性およびトルエンの選択性を得た。装填された触媒の量は5.0gであり、重量空間速度(weight hourly space velocity)は4.0h−1であり、反応温度は425℃であり、反応圧力は2.1MPaであり、炭化水素に対する水素のモル比は2であった。反応の結果を下記表1に示す。同一条件下において得られた比較触媒1,2の評価結果を、比較のために示す。
【0060】
トルエンの転換率=(反応器に供給されたトルエンの重量−反応器から排出されるトルエンの重量)/(反応器に供給されたトルエンの重量)×100%。
【0061】
p−選択性=(反応流出物中のp−キシレンの含有量)/(反応流出物中のキシレンの含有量)×100%。
【0062】
【表1】

【0063】
実施例1〜10および比較例1,2の要約を下記表2に示す。
【0064】
本発明は、典型的な実施形態を参照して記載されているが、当業者によって本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の変更および修飾がなされ得ることを理解されたい。それ故、本発明は、本発明の実施を意図する最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されることなく、添付の特許請求の範囲に含まれる全ての実施形態を包含している。
【0065】
【表2】

【0066】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、全てのことを目的として、参照することによって全体が本明細書に援用される中国特許出願第200610117849.2号明細書(2006年11月2日出願)の利益を主張するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)平均粒径が0.3〜6μmであり、Alに対するSiOのモル比が20〜120であるZSM−5の分子篩を45〜95wt%、
(b)2B族の金属、3B族の金属、希土類元素およびニッケル以外の8族の金属、ならびにそれらの酸化物から成る群より選択される少なくとも1つの金属を0.01〜30wt%、
(c)5A族の金属、6B族の金属およびアルカリ土類金属、ならびにそれらの酸化物から成る群より選択される少なくとも1つの金属を0〜20wt%、
(d)有機ポリシロキサンに由来するシリカの不活性な表面コーティングを1〜25wt%、ならびに、
(e)バインダーを1〜50wt%含んでいる、トルエンを形状選択的に不均化するための触媒。
【請求項2】
上記バインダーが、SiO、Al、TiOおよび粘土から成る群より少なくとも1つ選択される、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
上記ZSM−5の分子篩のSiO/Alのモル比が、25〜50である、請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
上記ZSM−5の分子篩の含有量が60〜95wt%である、請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
上記2B族の金属、3B族の金属、希土類元素およびニッケル以外の8族の金属、ならびにそれらの酸化物から成る群より選択される少なくとも1つの金属の含有量が、0.1〜15wt%である、請求項1に記載の触媒。
【請求項6】
上記5A族の金属、6B族の金属およびアルカリ土類金属、ならびにそれらの酸化物から成る群より選択される少なくとも1つの金属の含有量が、0.1〜10wt%である、請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
上記2B族の元素が亜鉛およびカドミウムの少なくとも1つであり、
上記3B族の金属がスカンジウムおよびイットリウムの少なくとも1つであり、
上記希土類元素がランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジムおよびサマリウムの少なくとも1つであり、
上記8族の元素が鉄およびコバルトの少なくとも1つであり、
上記5A族の元素がリン、ヒ素、アンチモンおよびビスマスの少なくとも1つであり、
上記6B族の元素がクロム、モリブデンおよびタングステンの少なくとも1つである、請求項1に記載の触媒。
【請求項8】
上記有機ポリシロキサンが、ジメチルポリシロキサン、メチルアミノポリシロキサン、メチルヒドロキシルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルプロピルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサンおよびそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載の触媒。
【請求項9】
上記有機ポリシロキサンがジメチルポリシロキサンである、請求項8に記載の触媒。
【請求項10】
請求項1に記載のトルエンを形状選択的に不均化するための触媒を調製する方法であって、
(i)ZSM−5の分子篩、バインダーの前躯体、全ての修飾元素の前躯体および水を混合して混合物を作製し、混合物を押し出して押出物を作製する工程;
(ii)押出物を乾燥し、必要に応じて焼成して、触媒の前躯体を得る工程;
(iii)有機ポリシロキサンを用いて触媒の前躯体を処理する工程;ならびに、
(iv)有機ポリシロキサンを用いて処理された触媒の前躯体を焼成して、触媒を得る工程を含んでいるか、
(i)ZSM−5の分子篩、バインダーの前躯体、修飾元素の一部の前躯体および水を混合して混合物を作製し、混合物を押し出して押出物を作製する工程;
(ii)押出物を乾燥し、必要に応じて焼成する工程;
(iii)イオン交換処理または含浸処理によって、(ii)工程から得られた押出物に残りの修飾元素を組み込み、次いで、押出物を乾燥し、必要に応じて焼成して、触媒の前躯体を得る工程;
(iv)有機ポリシロキサンを用いて触媒の前躯体を処理する工程;ならびに、
(v)有機ポリシロキサンを用いて処理された触媒の前躯体を焼成して、触媒を得る工程を含んでいるか、または、
(i)ZSM−5の分子篩、バインダーの前躯体および水を混合して混合物を作製し、混合物を押し出して押出物を作製する工程;
(ii)押出物を乾燥し、必要に応じて焼成する工程;
(iii)イオン交換処理または含浸処理によって、(ii)工程から得られた押出物に全ての修飾元素を組み込み、次いで、押出物を乾燥し、必要に応じて焼成して、触媒の前躯体を得る工程;
(iv)有機ポリシロキサンを用いて触媒の前躯体を処理する工程;ならびに、
(v)有機ポリシロキサンを用いて処理された触媒の前躯体を焼成して、触媒を得る工程を含んでいる方法。
【請求項11】
上記バインダーの前躯体が、SiOのゾル、Alのゾル、TiOのゾルおよび酸処理された粘度の少なくとも1つであり、該バインダーの前躯体は、最終の触媒中におけるバインダーの含有量が1〜50wt%になるような量で使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記水の量は、上記工程(i)から得られる混合物の固形分を基準として、40〜140wt%であり、水は単独で加えられるか、溶媒として加えられるか、または別の成分の分散媒として加えられる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
上記有機ポリシロキサンを用いた触媒の前躯体の処理は、
有機ポリシロキサンの化合物を不活性な有機溶媒に溶解し、生じた溶液を触媒の前躯体と混合し、次いで、必要に応じて混合物を加熱および/または減圧しながら、有機溶媒を蒸発させることによって実施されるか、あるいは、
有機ポリシロキサンの化合物を不活性な有機溶媒に溶解し、生じた溶液をドラム乾燥器中において加熱された触媒の前躯体上に噴霧して、触媒の前躯体上に有機ポリシロキサンのコーティングを形成することによって実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
トルエンを不均化する条件下において、トルエンを含んでいる反応蒸気を、請求項1に記載のトルエンを形状選択的に不均化するための触媒と接触させる工程を含んでいる、トルエンをp−キシレンへ形状選択的に不均化するための方法。

【公表番号】特表2010−508146(P2010−508146A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535546(P2009−535546)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【国際出願番号】PCT/CN2007/003120
【国際公開番号】WO2008/052445
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(503191287)中国石油化工股▲ふん▼有限公司 (35)
【出願人】(509128052)中国石油化工股▲ふん▼有限公司上海石油化工研究院 (4)
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI RESEARCH INSTITUTE OF PETROCHEMICAL TECHNOLOGY SINOPEC
【住所又は居所原語表記】NO.1658 PUDONG BEI ROAD,PUDONG NEW AREA,SHANGHAI 201208,CHINA
【Fターム(参考)】