説明

トルク算出装置

【課題】車両において、比較的高精度にダンパの負荷トルクを算出する。
【解決手段】トルク算出装置(100)は、モータの角加速度を検出する角加速度検出手段(21)と、モータのトルクであるモータトルクを検出するモータトルク検出手段(21)と、クランクシャフト(15)の回転角である第1回転角を検出する第1回転角検出手段(21)と、インプットシャフト(16)の回転角である第2回転角を検出する第2回転角検出手段(21)と、検出された第1回転角に基づくクランクシャフトの回転数変化が第1所定値より大きい、又は検出された第2回転角に基づくインプットシャフトの回転数変化が第2所定値より大きいことを条件に、検出された角加速度、検出されたモータトルク及びモータの慣性モーメントに基づいて、ダンパ(14)の負荷トルクを算出する算出手段(21)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばエンジンと駆動輪との間に配置されたダンパの負荷トルク等を算出するトルク算出装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば、スプリングダンパよりもエンジン側の部材の回転を検出する第1センサと、該スプリングダンパよりも駆動輪側の部材の回転を検出する第2センサとの各々の出力信号の位相差から該スプリングダンパのストローク量を検出し、エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路中の伝達トルクを検出する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
尚、例えばクランク角センサ等のセンサには、比較的分解能の低いセンサが用いられることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−085711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の如く、特許文献1に記載の技術では、二つのセンサの出力信号の位相差に基づいてトルクを検出しているため、例えばエンジン等が過渡的な回転運動を行っている場合、例えばクランクシャフト等のダンパに連結されている回転部材の回転数変化が比較的大きくなるので、特にセンサの分解能に起因して、ダンパのトルクを精度良く求めることが困難になる可能性があるという技術的問題点がある。尚、比較的高い分解能を有するセンサを使用することも考えられるが、製造コストが増加するという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、製造コストの増加を抑制しつつ、比較的高精度にダンパの負荷トルクを算出することができるトルク算出装置を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のトルク算出装置は、上記課題を解決するために、ダンパと、前記ダンパの一端にクランクシャフトが連結されているエンジンと、前記ダンパの他端に連結されているインプットシャフトと、前記インプットシャフトに前記エンジンから独立して動力を伝達可能なモータとを備える車両に搭載され、前記モータの角加速度を検出する角加速度検出手段と、前記モータのトルクであるモータトルクを検出するモータトルク検出手段と、前記クランクシャフトの回転角である第1回転角を検出する第1回転角検出手段と、前記インプットシャフトの回転角である第2回転角を検出する第2回転角検出手段と、前記検出された第1回転角に基づく前記クランクシャフトの回転数変化が第1所定値より大きい、又は前記検出された第2回転角に基づく前記インプットシャフトの回転数変化が第2所定値より大きいことを条件に、前記検出された角加速度、前記検出されたモータトルク及び前記モータの慣性モーメントに基づいて、前記ダンパの負荷トルクを算出する算出手段とを備える。
【0008】
本発明のトルク算出装置によれば、当該トルク算出装置は、例えばトーショナルダンパ等のダンパと、該ダンパの一端にクランクシャフトが連結されているエンジンと、該ダンパの他端に連結されているインプットシャフトと、該インプットシャフトにエンジンから独立して動力を伝達可能なモータとを備える車両に搭載されている。尚、モータとインプットシャフトとの間には、例えば遊星歯車機構等が介在している。
【0009】
尚、本発明に係る「モータ」は、例えばエンジン制御用のモータであるが、例えばモータ・ジェネレータ(電動発電機)において実現されるモータであってもよい。即ち、モータとして機能し得る限りにおいて、ハイブリッド車両等に用いられるモータ・ジェネレータを意味してもかまわない。
【0010】
角加速度検出手段は、モータの角加速度を検出する。モータトルク検出手段は、モータのトルクであるモータトルクを検出する。第1回転角検出手段は、クランクシャフトの回転角である第1回転角を検出する。第2回転角検出手段は、インプットシャフトの回転角である第2回転角を検出する。
【0011】
尚、「検出」とは、例えば電気的、物理的、化学的、機械的又は機構的な検出手段により直接的に又は間接的に検出することに限定されず、例えばこれら直接的又は間接的に検出された値を例えば電気的な信号又はデータとして取得することを含み、更には、このように取得された信号又はデータ等から予め設定されたアルゴリズムや算出式に基づいて算出又は導出することをも含む包括概念である。
【0012】
例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる算出手段は、検出された第1回転角に基づくクランクシャフトの回転数変化(即ち、回転数の時間微分値)が第1所定値より大きい、又は検出された第2回転角に基づくインプットシャフトの回転数変化が第2所定値より大きいことを条件に、検出された角加速度、検出されたモータトルク及びモータの慣性モーメントに基づいて、ダンパの負荷トルクを算出する。
【0013】
「第1所定値」及び「第2所定値」は、モータの角加速度、モータトルク及びモータの慣性モーメントに基づいて、ダンパの負荷トルクを算出するか否かを決定する値であり、予め固定値として、或いは何らかの物理量又はパラメータに応じた可変値として設定される。
【0014】
このような「第1所定値」は、実験的若しくは経験的に、又はシミュレーションによって、例えば、クランクシャフトの回転数変化と、第1回転角検出手段の分解能に起因する検出された回転角及び実際の回転角の差分との関係を求め、該差分が許容範囲の上限値となるクランクシャフトの回転数変化として、或いは該回転数変化よりも所定値だけ小さい値として設定すればよい。
【0015】
同様に、「第2所定値」は、実験的若しくは経験的に、又はシミュレーションによって、例えば、インプットシャフトの回転数変化と、第2回転角検出手段の分解能に起因する検出された回転角及び実際の回転角の差分との関係を求め、該差分が許容範囲の上限値となるインプットシャフトの回転数変化として、或いは該回転数変化よりも所定値だけ小さい値として設定すればよい。
【0016】
ところで、ダンパの負荷トルクは、クランクシャフトの回転角とインプットシャフトの回転角との差分値としてダンパの捩れ角を求め、該求められた捩れ角に基づいて、ダンパの捩れ角と負荷トルクとの関係を定めるマップ等から求められることが多い。ここで、回転角を検出する回転角センサには、比較的分解能の低い回転角センサが用いられることが多い。このため、ダンパの捩れ角に基づいて該ダンパの負荷トルクを求める方法では、クランクシャフト及びインプットシャフトの少なくとも一方の回転数変化が比較的大きくなると、回転角センサの分解能に起因して、求められる負荷トルクの精度が低下する可能性がある。
【0017】
そこで本発明では、上述の如く、算出手段により、クランクシャフトの回転数変化が第1所定値より大きい、又はインプットシャフトの回転数変化が第2所定値より大きいことを条件に、検出された角加速度、検出されたモータトルク及びモータの慣性モーメントに基づいて、ダンパの負荷トルクが算出される。
【0018】
つまり、本発明では、クランクシャフトの回転数変化が第1所定値より大きい、又はインプットシャフトの回転数変化が第2所定値より大きい場合(即ち、回転角センサの分解能に起因して負荷トルクの精度が低下する可能性がある場合)、ダンパの捩れ角を用いることなく、ダンパの負荷トルクが算出される。このため、ダンパの負荷トルクを比較的高精度に算出することができる。
【0019】
加えて、例えばクランクシャフト等の回転角を検出する回転角センサに、比較的高分解能の回転角センサを使用しなくてよいので、製造コストの増加を抑制することができる。
【0020】
尚、算出手段は、クランクシャフトの回転数変化が第1所定値より小さく、且つインプットシャフトの回転数変化が第2所定値より小さい場合には、例えばダンパの捩れ角に基づいて、該ダンパの負荷トルクを算出する。
【0021】
本発明のトルク算出装置の一態様では、前記算出手段は、前記クランクシャフトの回転数変化が前記第1所定値より小さく、且つ前記インプットシャフトの回転数変化が前記第2所定値より小さいことを条件に、前記検出された第1回転角及び前記検出された第2回転角に基づいて前記ダンパの捩れ角を算出し、前記算出された捩れ角に基づいて前記ダンパの負荷トルクを算出する。
【0022】
この態様によれば、クランクシャフトの回転数変化が第1所定値より小さく、且つインプットシャフトの回転数変化が第2所定値より小さい場合(即ち、回転角センサの分解能に起因して負荷トルクの精度が低下しない場合)は、ダンパの捩れ角に基づいて、該ダンパの負荷トルクが算出される。このため、モータの角加速度、モータトルク及びモータの慣性モーメントに基づいてダンパの負荷トルクが算出される場合に比べて、演算工程数を低減することができ、実用上非常に有利である。
【0023】
或いは、本発明のトルク算出装置の他の態様では、前記算出された負荷トルクに基づいて前記ダンパの捩れ角を算出し、前記検出された第2回転角から前記算出された捩れ角を減算して、前記エンジンのクランク角を推定する推定手段を更に備える。
【0024】
この態様によれば、例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる推定手段は、算出された負荷トルクに基づいてダンパの捩れ角を算出し、検出された第2回転角から算出された捩れ角を減算して、エンジンのクランク角を推定する。
【0025】
この結果、エンジンのクランク角を比較的高精度に求めることができる。すると、例えばクランク角情報を使用するエンジンの始動制御の性能が向上し、もって車体振動が低減される。
【0026】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係るトルク算出装置が搭載される車両の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るECUが実行するダンパ捩れ角推定処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係るダンパ負荷トルクとダンパ捩れ角との関係を規定するマップの一例である。
【図4】本発明の実施形態に係るクランク角推定処理の概念を示す概念図である。
【図5】本発明の実施形態に係るECUが実行するクランク角推定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明のトルク算出装置に係る実施形態について図面に基づいて説明する。
【0029】
先ず、本実施形態に係るトルク算出装置が搭載される車両の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るトルク算出装置が搭載される車両の構成を示すブロック図である。尚、図1には、説明の便宜上、本発明に直接関係のある部材のみを図示しており、他の部材については図示を省略している。
【0030】
図1において、車両1は、エンジン11、モータ・ジェネレータ12(MG1)、モータ・ジェネレータ13(MG2)、トーショナルダンパ14、遊星歯車機構17及び18、減速機19並びにECU(Electronic Control Unit)21を備えて構成されている。
【0031】
トーショナルダンパ14の一端には、エンジン11のクランクシャフト15が連結されており、該トーショナルダンパ14の他端には、インプットシャフト15が連結されている。
【0032】
遊星歯車機構17は、サンギヤS1と、ピニオンギヤと、該ピニオンギヤを自転及び公転可能に支持するキャリアCA1と、リングギヤR1とを備えて構成されている。他方、遊星歯車機構18は、サンギヤS2と、ピニオンギヤと、該ピニオンギヤを自転及び公転可能に支持するキャリアCA2と、リングギヤR2とを備えて構成されている。
【0033】
モータ・ジェネレータ12の回転子は、遊星歯車機構17のサンギヤS1と一体的に回転するように設けられている。他方、モータ・ジェネレータ13の回転子は、遊星歯車機構18のサンギヤS2と一体的に回転するように設けられている。
【0034】
インプットシャフト15は、遊星歯車機構17のキャリアCA1と一体的に回転するように設けられている。変速機19は、遊星歯車機構17のリングギヤR1及び遊星歯車機構18のリングギヤR2と一体的に回転するように設けられている。
【0035】
尚、遊星歯車機構18のキャリアCA2は、車両1の車体に取り付けられる非回転部材としてのケース(図示せず)に連結されている。
【0036】
トルク算出装置100は、ECU21、クランク角センサ22、並びにレゾルバ23及び24を備えて構成されている。本実施形態では、車両1の各種電子制御用のECU21の一部を、トルク算出装置100の一部として用いている。
【0037】
次に、以上のように構成された車両1に搭載されたトルク算出装置100の一部としてのECU21が実行するダンパ捩れ角推定処理について、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0038】
図2において、ECU21は、クランクシャフト15の回転数変化が所定値より大きいか否かを判定する(ステップS101)。尚、クランクシャフト15の回転数変化は、クランク角センサ22から出力される信号に基づいて求めればよい。
【0039】
クランクシャフト15の回転数変化が所定値より小さいと判定された場合(ステップS101:No)、ECU21は、インプットシャフト16の回転数変化が所定値より大きいか否かを判定する(ステップS102)。尚、インプットシャフト16の回転数変化は、例えばレゾルバ23及び24各々から出力される信号、並びに遊星歯車機構17及び18各々のギヤ比に基づいて求めればよい。また、ステップS101の処理における所定値と、ステップS102における所定値とは、同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0040】
インプットシャフト16の回転数変化が所定値より小さいと判定された場合(ステップS102:No)、ECU21は、トーショナルダンパ14の捩れ角であるダンパ捩れ角を検出する(ステップS103)。
【0041】
尚、ステップS103の処理において、ECU21は、例えば、クランク角センサ22から出力される信号に基づくクランクシャフト15の回転角(以降、適宜“クランク角”と称する)と、レゾルバ23及び24各々から出力される信号、並びに遊星歯車機構17及び18各々のギヤ比に基づくインプットシャフト16の回転角との差分を求めることによって、ダンパ捩れ角を検出する。
【0042】
次に、ECU21は、例えば図3に示すような、ダンパ負荷トルク(即ち、トーショナルダンパ14に係る負荷トルク:τ)とダンパ捩れ角(Δθdmp)との関係を規定するマップを検索して(ステップS104)、ステップS103の処理において検出されたダンパ捩れ角に応じて、ダンパ負荷トルクを算出する(ステップS105)。尚、図3は、本実施形態に係るダンパ負荷トルクとダンパ捩れ角との関係を規定するマップの一例である。
【0043】
その後、リターンされ処理を停止して待機状態となる。即ち、所定の周期によって一義的に決定される次の処理開始時期に到達するまで、ステップS101の処理の実行を停止して待機状態となる。
【0044】
ステップS101の処理において、クランクシャフト15の回転数変化が所定値より大きいと判定された場合(ステップS101:Yes)、又は、ステップS102の処理において、インプットシャフト16の回転数変化が所定値より大きいと判定された場合(ステップS102:Yes)、ECU21は、モータ・ジェネレータ12の出力トルクの値を取得する(ステップS106)。
【0045】
尚、ステップS101の処理において、クランクシャフト15の回転数変化が所定値より大きいと判定された場合、又は、ステップS102の処理において、インプットシャフト16の回転数変化が所定値より大きいと判定された場合とは、エンジン11やモータ・ジェネレータ12の等が過渡的な回転運動を行っている場合に該当する。このような場合、例えばクランク角センサ22の分解能に起因して、クランク角等を精度良く検出することが困難になる可能性があることが、本願発明者の研究により判明している。
【0046】
次に、ECU21は、レゾルバ23から出力される信号に基づいて、レゾルバ値を取得する(ステップS107)。続いて、ECU21は、取得されたレゾルバ値に基づいて、モータ・ジェネレータ12の回転角加速度の値を算出する(ステップS108)。
【0047】
次に、ECU21は、モータ・ジェネレータ12の出力トルクの値、モータ・ジェネレータ12の回転角加速度、及びモータ・ジェネレータ12の回転イナーシャ(即ち、慣性モーメント)を、次の演算式に代入して、ダンパ負荷トルクを算出する(ステップS109)。
【0048】
【数1】

尚、遊星歯車機構17のギヤ比とは、リングギヤR1の歯数/サンギヤS1の歯数である。
【0049】
次に、ECU21は、例えば図3に示すようなマップを検索して(ステップS110)、ステップS109の処理において算出されたダンパ負荷トルクに応じて、ダンパ捩れ角を推定する(ステップS111)。その後、リターンされ処理を停止して待機状態となる。
【0050】
ところで、本実施形態に係る車両1のようなハイブリッド車両では、ECU21により、クランク角情報を用いて、エンジン11の始動制御や停止制御が行われる。上述の如く、エンジン11やモータ・ジェネレータ12の等が過渡的な回転運動を行っている場合、クランク角センサ22の分解能に起因して、クランク角を精度良く検出することが困難になる可能性がある。
【0051】
そこで、本実施形態では、上記ステップS111の処理において推定されたダンパ捩れ角を用いて、クランク角を求めている。具体的には、図4に示すように、レゾルバ23のレゾルバ角(θ)、及びレゾルバ24のレゾルバ角(θ)に基づいて求められたインプットシャフト16の回転角(θip)から、上記ステップS111の処理において推定されたダンパ捩れ角(Δθdmp)を減じることにより、クランク角(θ)を求めている。
【0052】
次に、ECU21が実行するクランク角推定処理を、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0053】
図5において、ECU21は、レゾルバ23から出力される信号に基づいてレゾルバ値を取得すると共に、レゾルバ24から出力される信号に基づいてレゾルバ値を取得する(ステップS201)。
【0054】
次に、ECU21は、次の演算式によりインプットシャフト16の回転角を算出する(ステップS202)。
【0055】
【数2】

尚、遊星歯車機構18のギヤ比とは、リングギヤR2の歯数/サンギヤS2の歯数である。
【0056】
次に、ECU21は、ステップS111の処理において推定されたダンパ捩れ角(図2参照)を取得する(ステップS203)。続いて、ECU21は、ステップS202の処理において算出されたインプットシャフト16の回転角から、ステップS203の処理において取得されたダンパ捩れ角を減じることによって、クランク角を算出する(ステップS204)。その後、リターンされ処理を停止して待機状態となる。
【0057】
上述したステップS201〜S204の処理により算出されたクランク角は、比較的高精度であるため、該クランク角を用いてエンジン11が制御されることにより、例えば、エンジン11が始動される際に車両1の車体振動を低減することができる。或いは、エンジン11のクランキング動作時に消費される電力を低減することができ、燃費を向上させることができる。
【0058】
尚、本実施形態に係る「ECU21」は、本発明に係る「角加速度検出手段」、「モータトルク検出手段」、「第1回転角検出手段」、「第2回転角検出手段」、「算出手段」及び「推定手段」の一例である。
【0059】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うトルク算出装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0060】
1…車両、11…エンジン、12、13…モータ・ジェネレータ、14…トーショナルダンパ、15…クランクシャフト、16…インプットシャフト、17、18…遊星歯車機構、21…ECU、22…クランク角センサ、23、24…レゾルバ、100…トルク算出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンパと、前記ダンパの一端にクランクシャフトが連結されているエンジンと、前記ダンパの他端に連結されているインプットシャフトと、前記インプットシャフトに前記エンジンから独立して動力を伝達可能なモータとを備える車両に搭載され、
前記モータの角加速度を検出する角加速度検出手段と、
前記モータのトルクであるモータトルクを検出するモータトルク検出手段と、
前記クランクシャフトの回転角である第1回転角を検出する第1回転角検出手段と、
前記インプットシャフトの回転角である第2回転角を検出する第2回転角検出手段と、
前記検出された第1回転角に基づく前記クランクシャフトの回転数変化が第1所定値より大きい、又は前記検出された第2回転角に基づく前記インプットシャフトの回転数変化が第2所定値より大きいことを条件に、前記検出された角加速度、前記検出されたモータトルク及び前記モータの慣性モーメントに基づいて、前記ダンパの負荷トルクを算出する算出手段と
を備えることを特徴とするトルク算出装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記クランクシャフトの回転数変化が前記第1所定値より小さく、且つ前記インプットシャフトの回転数変化が前記第2所定値より小さいことを条件に、前記検出された第1回転角及び前記検出された第2回転角に基づいて前記ダンパの捩れ角を算出し、前記算出された捩れ角に基づいて前記ダンパの負荷トルクを算出することを特徴とする請求項1に記載のトルク算出装置。
【請求項3】
前記算出された負荷トルクに基づいて前記ダンパの捩れ角を算出し、前記検出された第2回転角から前記算出された捩れ角を減算して、前記エンジンのクランク角を推定する推定手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のトルク算出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−18139(P2012−18139A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157135(P2010−157135)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】