説明

トロンボキサンA2受容体アンタゴニストとシクロオキシゲネーゼ−1の阻害剤との組み合わせを伴う組成物および方法

本発明は、炎症、痛みおよび心血管の疾患の治療において使用することができる方法および組成物を対象とする。トロンボキサンA2受容体アンタゴニストとシクロオキシゲナーゼ−1の阻害剤との組み合わせを伴う方法および組成物を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる、2003年8月7日に出願された米国仮出願第60/492,975号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、シクロオキシゲネーゼ−1(COX−1)阻害剤とトロンボキサンA2受容体アンタゴニストとの両方を含有する組成物を対象とする。該組成物を、患者のさまざまな心血管の症状、痛みおよび炎症を治療するために使用することができる。また、本発明は、それによって患者を治療する方法を含む。
【背景技術】
【0003】
NSAIDおよび他のシクロオキシゲネーゼ−1阻害剤
NSAID類は、最も一般的に服用される痛みおよび炎症用薬物のうちの1つである。また、1つのNSAID(アスピリン)の慢性的な使用は、心血管の疾病の低減される発生率に関連しており、および、現在、多くの人々が、自分の発作(stroke)および血栓塞栓症のリスクを低減するために、低用量のアスピリンを日常的に服用する。アスピリンは、シクロオキシゲネーゼ−1(COX−1)(トロンボキサンの産生に貢献する酵素)を阻害することによって、この効力を発揮する可能性がある。また、さまざまな程度に、他のNSAID類もCOX−1および第2のシクロオキシゲナーゼ(COX−2)を阻害する(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4参照)。COX−1の阻害は、NSAID類の消化管の副作用と関連すると広く信じられているため、COX−2に対する高度の特異性を有する化合物が開発されており、およびいくつかは現在市販されている。
【0004】
より最近の研究は、多くの者に、一方のシクロオキシゲナーゼ酵素をブロックするが、他方をブロックしないという知識を再検討させている(非特許文献5、および非特許文献6参照)。COX−2は、血管を拡張して血小板が凝集することを予防するプロスタサイクリンの産生を促進する。この活性の喪失は、COX−1によるトロンボキサン産生の連続誘導と相まって、有害な心血管の事象のリスクを著しく増大させる可能性がある。
【0005】
トロンボキサンA2受容体アンタゴニスト
トロンボキサンA2/プロスタグラジンH2受容体アンタゴニストは、とりわけ、動脈もしくは静脈の血栓症、不安定狭心症、一過性虚血発作、および高血圧症の治療に有効であることが報告されている(特許文献1参照)。それらは、7−オキサビシクロヘプタン置換されたプロスタグラジン類似体類(特許文献1、非特許文献7参照)、ベンゼンアルコン酸類(benzenealkonic acids)(特許文献2参照)、およびベンゼンスルホンアミド誘導体類(特許文献3参照)を含む。さらに、特許文献4は、片頭痛のような症状を治療するためのトロンボキサンシンテターゼ阻害剤および受容体アンタゴニストの使用を、提案する(特許文献4参照)。また、それは、これらの化合物がNSAID類を含むさまざまな他の薬剤との組み合わせにおいて使用されてもよいことを提案する。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,100,889号明細書
【特許文献2】米国特許第5,618,941号明細書
【特許文献3】米国特許第5,597,848号明細書
【特許文献4】国際公開第99/45905号パンフレット
【非特許文献1】Vaneら、Am.J.Med.第104巻:2S-8S(1998年)
【非特許文献2】Griswoldら、Med.Res.Rev.第16巻(2):181-206(1996年)
【非特許文献3】Lane、J.Rheumatol第24巻(増刊49):20-4(1997年)
【非特許文献4】Lipskyら、J.Rheumatol.第24巻(増刊49):9-14(1997年)
【非特許文献5】Mukherjeeら、JAMA286:954-959(2001年)
【非特許文献6】Science296:539-541(2002年)
【非特許文献7】Rosenfeldら、Cardiovascular Drug Rev.第19巻:97-115(2001年)
【非特許文献8】Remington's Pharmaceutical Sciences 第16版、A.Oslo編、Easton、PA(1980年)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、トロンボキサン受容体アンタゴニストおよびCOX−1阻害剤(例えば、COX−1に作用するNSAID類)は、相補的な活性を有し、およびそれらを組み合わせてそれらの有効性を増大させることができるという構想に基づく。従って、組み合わせて投与される場合、これらの化合物の投薬量を当技術分野において標準的に使用される投薬量未満に減少させてもよく、結果として、望まれない副作用のリスクを低減することができる。例えば、より低投薬量のCOX−1阻害剤は、これらの薬物に付随する消化管の副作用を低減するはずである。
【0008】
トロンボキサン受容体アンタゴニストは、受容体結合のレベルで活性をブロックするのに対し、一方COX−1阻害剤は、トロンボキサンの産生をブロックする。これらの相乗効果は、発作および末梢動脈疾病(例えば、アテローム性動脈硬化)を含む種々の疾病および症状を予防することにおいて、より有効である組成物をもたらす。また、組み合わせは、心血管のリスクの点で、より安全であるNSAID製品をもたらすはずである。これは、COX−2に強い効力を発揮する、すなわち、COX−2を阻害することに比較的特異的であるNSAID類について特に当てはまる。本発明は、組成物、治療用パッケージおよび治療方法を含む。
【0009】
その第1の態様において、本発明は、COX−1阻害剤およびトロンボキサンA2受容体アンタゴニストを含有する単位用量形態における医薬組成物を対象とする。これらの薬物は、患者に対する組成物の1つまたは複数の単位用量の投与に際して、治療上有効である量で存在するが、しかし、その中において、薬物の1つまたは両方は、単独で使用される場合に治療上有効であると認められるよりも低投薬量で存在する。用語「単位用量」または「単位投薬形態」は、単一の薬物投与の実体をいう。一例として、COX−1阻害剤およびトロンボキサンA2受容体アンタゴニストの両方を組み合わせる単一の錠剤、カプセル剤、糖衣錠、注射用バイアル、またはシリンジが、単位用量形態となるであろう。本明細書中で使用される際に、用語「COX−1阻害剤」は、COX−1を阻害する薬剤をいい、およびそれは、COX−2を同様に阻害してもしなくてもよい。しかしながら、該用語は、COX−2に特異的な阻害剤を含まない。本明細書中で使用される際に、「COX−2に特異的な阻害剤」は、COX−2の50%の阻害を引き起こす投薬量において、COX−1を10%未満阻害する化合物である。用語「治療上有効」は、その薬物を与える目的の治療作用を生じさせるのに十分な薬物が存在することを意味する。例えば、患者の痛みを治療する場合ならば、NSAIDの「治療上有効」量は、痛みの激しさまたは持続時間を低減するのに十分な投薬量であろう。患者の炎症を治療する場合ならば、付随する痛みまたは腫れを低減するのに十分な薬物が存在することが必要とされるであろう。同様に、患者に心血管障害を発現するリスクを低減するための薬物を投与する場合ならば、この低減を成し遂げるのに十分な量が与えられるべきであろう。
【0010】
好ましいCOX−1阻害剤は、NSAID類、具体的にはインドブフェン(好ましくは20〜2000mg/単位用量、およびより好ましくは40〜500mg/単位用量;40〜6000mg/日);フルルビプロフェン(具体的には、2〜200mg/単位用量、2〜600mg/日);ナプロキセン(具体的には、50〜600mg/単位用量、50〜3000mg/日);オキサプロジン(具体的には、40〜600mg/単位用量、および40〜1800mg/日);インドメタシン(具体的には、1〜100mg/単位用量、1日あたり1〜500mg);ケトロラク(具体的には、1〜100mg/単位用量、1日あたり1〜500mg);メフェナム酸(具体的には、50〜1000mg/単位用量、1日あたり50〜3000mg);ナブメトン(具体的には、用量あたり50〜1000mg、1日あたり50〜3000mg);およびエトドラク(具体的には、単位用量あたり5〜600mg、および1日あたり5〜1800mg)である。本明細書中に使用される全ての投薬量は、患者に対する投与に基づき、本発明の目的のために、患者は人間に限定される。最も好ましいCOX−1阻害剤は、インドブフェンである。組成物中にアスピリンを使用してもよいが、しかしながら、この薬剤に付随する消化管障害および他の障害を回避するために、アスピリン以外のCOX−1阻害剤を使用することが概して好ましい。
【0011】
組成物中に使用されてもよいトロンボキサンA2受容体アンタゴニストは、特許文献1に記載されるもののような7−オキサビシクロヘプタン置換されたプロスタグラジン類似体類、ベンゼンアルコン酸類、およびベンゼンスルホンアミド誘導体類を、典型的には、単位用量あたり1〜1000mgおよび1日あたり1〜5000mgで含む。最も好ましいトロンボキサン受容体アンタゴニストは、具体的には5〜500mgのイフェトロバン(ifetroban)である。別段に示されない限りは、COX−1阻害剤またはトロンボキサンA2受容体アンタゴニストへの言及は、当技術分野において知られている薬物の全ての医薬上許容される形態を含むことが理解されよう。例えば、薬物の任意の医薬上許容される塩を組成物中に使用してもよい。しかしながら、列挙される重量は、例えばその酸または塩基の形態における薬物自体を言及する。
【0012】
前述のように、COX−1阻害剤およびトロンボキサン受容体アンタゴニストは、2つの異なるレベルで作用してトロンボキサンの影響を低減させるので、どちらかの薬物が単独で使用されるならば要求されるであろうよりも少ない個別の投薬量(すなわち、単回において服用される薬剤の量)および1日の投薬量を使用して、治療目的を成し遂げることができる。同様に、単位投薬形態は、どちらかの薬物が唯一の作用薬剤であるならば必要とされるであろうよりも低量のCOX−1阻害剤およびトロンボキサンA2受容体アンタゴニストを含有することができる。本発明の目的のために、これらの低減された投薬量を、それぞれ、「相乗的な投薬量」、「相乗的な1日の投薬量」、および「相乗的な単位投薬量」という。より正確に表現すると、化合物の相乗的な投薬量は、それが投与される唯一の作用薬剤である場合に、同一の化合物の最小限の有効な用量(すなわち、患者に与えることができ、および有益な治療効果を依然として得ることができる最小限の量)よりも少ない治療上有効な投薬量である。例えば、単位投薬形態中に存在することができる薬物の最も少ない治療上有効量は、薬物が唯一の活性成分である場合に40mgであるならば、相乗的な単位投薬量は、治療上有効である40mgよりも少ない薬物の任意の投薬量であろう。
【0013】
具体的な例は、100mg未満(例えば、5〜90mg)およびできれば50mg未満(例えば、5〜45mg)の個別の用量において、かつ1日あたり200mg未満(例えば、5〜190mgまたは10〜140mg;あるいは20〜90mg)の1日用量で与えられる、50mg未満(例えば、5〜45mg、5〜40mgまたは5〜30mg)での単位投薬形態におけるインドブフェン;50mg未満(例えば2〜45mg)の個別の投薬量において与えられ、かつ1日あたり100mg未満(例えば、5〜90mgまたは10〜75mg;あるいは10〜40mg)の1日用量で与えられる、50mg未満(例えば、2〜45mg、5〜40mgまたは5〜30mg)での単位投薬形態におけるフルルビプロフェン;200mg未満(例えば10〜90mg)の個別の投薬量において与えられ、かつ1日あたり200mg未満(例えば、5〜175mgまたは10〜140mg;あるいは20〜90mg)の1日用量で与えられる、200mg未満(例えば、10〜190mg、20〜140mgまたは30〜90mg)の単位投薬形態におけるナプロキセン;200mg未満(例えば5〜190mg)の個別の投薬量において与えられ、かつ1日あたり200mg未満(例えば、5〜175mgまたは10〜150mg;あるいは20〜90mg)の1日用量で与えられる、200mg未満(例えば、5〜190mg、10〜140mgまたは20〜90mg)の単位投薬形態におけるオキサプロジン;25mg未満(例えば1〜20mg)の個別の投薬量において与えられ、かつ1日あたり75mg未満(例えば、1〜70mgまたは1〜60mg;あるいは2〜50mg)の1日用量で与えられる、25mg未満(例えば、1〜20mg、2〜15mgまたは1〜10mg)の単位投薬形態におけるインドメタシン;10mg未満(例えば0.1〜9mg)の個別の投薬量において与えられ、かつ1日あたり10mg未満(例えば、0.1〜9mgまたは0.5〜7mg;あるいは0.5〜5mg)の1日用量で与えられる、10mg未満(例えば、0.1〜9mg、0.1〜5mgまたは0.5〜5mg)の単位投薬形態におけるケトロラク;100mg未満(例えば1〜90mg)の個別の投薬量において与えられ、かつ1日あたり100mg未満(例えば、2〜90mgまたは5〜75mg;あるいは5〜40mg)の1日用量で与えられる、100mg未満(例えば、1〜90mg、2〜40mgまたは5〜30mg)の単位投薬形態におけるメフェナム酸;500mg未満(例えば5〜450mg)の個別の投薬量において与えられ、かつ1日あたり1000mg未満(例えば、50〜900mgまたは50〜490mg;あるいは50〜190mg)の1日用量で与えられる、500mg未満(例えば、5〜450mg、50〜390mgまたは50〜190mg)の単位投薬形態におけるナブメトン;および、200mg未満(例えば2〜190mg)の個別の投薬量において与えられ、かつ1日あたり600mg未満(例えば、50〜590mgまたは50〜390mg;あるいは50〜190mg)の1日用量で与えられる、200mg未満(例えば、2〜190mg、2〜140mgまたは5〜90mg)の単位投薬形態におけるエトドラクである。それぞれの場合において、量は、錠剤またはカプセル剤のような固体の経口投薬形態の想定に基づく。
【0014】
また、トロンボキサンA2受容体アンタゴニストの相乗的な投薬量、相乗的な1日の投薬量および相乗的な単位投薬量を使用しても良い。上記で論じた定義に従って、相乗的な量は、(COX−1阻害剤との組み合わせにおいて)治療目的を成し遂げるのに十分なトロンボキサンA2受容体アンタゴニストの量であり、これは、それが単独で使用される場合のトロンボキサン受容体アンタゴニストの最小限の有効量よりも少ない。アンタゴニスト、例えばイフェトロバンは、組み合わせにおいて200mg未満(例えば、10〜190mg、10〜140mg、または10〜90mg)で存在し、および体重1kgあたり1mg未満(例えば、0.5〜0.9mg/kg、0.5〜0.7mg/kg)の個別の用量または1日の合計用量のどちらかとして投与されてもよい。この点において最も好ましい組成物は、どちらかまたは両方が相乗的な量で存在するインドブフェンおよびイフェトロバンを有する単位投薬形態、好ましくは、経口投与のための錠剤またはカプセル剤である。同様に、好ましい治療方法は、どちらかまたは両方が相乗的な投薬量または相乗的な1日の投薬量で与えられる、インドブフェンおよびイフェトロバンの相互適時な投与を伴う。上記に言及される具体的な治療目的は、COX−1阻害剤またはトロンボキサンA2受容体阻害剤の投与に起因すると考えられているなんらかの正の効果を有する。具体的な治療目的は、動脈もしくは静脈の血栓症のリスクを低減させること、不安定狭心症の発生率および激しさを低減させること、一過性虚血発作の発生率または激しさを低減させること、高血圧症を軽減させること、およびアテローム性動脈硬化症の数または激しさを低減させることである。
【0015】
上述される治療用薬剤、例えばCOX−1阻害剤およびトロンボキサンA2受容体アンタゴニストを、治療用パッケージの形態で供給してもよい。それぞれのパッケージは、単位用量形態で治療用薬剤を備える1つまたは複数の完成薬剤容器を有し、およびCOX−1阻害剤またはトロンボキサンA2受容体アンタゴニストに応答する症状の治療または予防におけるそれらの使用を指示するラベル表示を含む。好ましい症状は、心血管の症状(例えば、動脈もしくは静脈の血栓症、末梢動脈疾病、狭心症または高血圧症)を含む。COX−1阻害剤、トロンボキサンA2受容体アンタゴニスト、またはそれら両方は、前記1つまたは複数の単位用量において、相乗的な単位投薬量で存在してもよい。
【0016】
また、本発明は、患者のCOX−1阻害剤またはトロンボキサンA2受容体アンタゴニストに応答する症状を、上述の医薬組成物のどちらかを投与することによって、または2つの薬物を相互に適時な方式で順次的に投与する(すなわち、第2の薬物の投与の際、第1の薬物が治療上有効である量で依然として存在する間に、第2の薬物を投与する。好ましくは、1つまたは両方の薬物を相乗的な投薬量で投与する)ことによって、治療または予防する方法を含む。前述の任意の具体的な症状を、この方法において処理してもよい。好ましい薬剤は、イフェトロバンおよびインドブフェンである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
A.COX−1阻害剤およびトロンボキサンA2受容体アンタゴニスト
本明細書中に記載されるCOX−1阻害剤の全ては、当技術分野において何年にもわたってよく知られており、および商業的に購入しても、または標準的な方法を使用して合成してもよい。同様に、さまざまなトロンボキサンA2受容体アンタゴニストが開示されており、およびビシクロヘプタン置換されたプロスタグラジン類似体類(特許文献1、非特許文献7参照)、ベンゼンアルコン酸類(特許文献2参照)、およびベンゼンスルホンアミド誘導体類(特許文献3参照)に関して、これらの化合物を合成するための方法が記載されている。本発明における使用に適当な薬剤を得るために、これらの従来の方法のうちいずれを使用してもよい。
【0018】
B.投与の経路
上述の方法および組成物は、いかなる投薬形態または投与の経路にも適合する。従って、薬剤を、経口、鼻腔内、経直腸、舌下、頬側、非経口、もしくは、経皮で投与してもよい。投薬形態は、錠剤、トローチ、カプセル剤、キャプレット、糖衣錠、薬用キャンデー、非経口剤、液体、粉末、ならびに皮膚表面に対する移植または投与用に設計される製剤を含んでもよい。最も好ましい投薬形態は、経口投与用の錠剤またはカプセル剤である。全ての投薬形態を、当技術分野において標準的な方法を使用して調製してもよい(例えば、非特許文献8参照のこと)。
【0019】
活性成分を、医薬組成物において普通に採用される任意のビヒクルおよび賦形剤、例えば、タルク、アラビアゴム、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、カカオバター、水性または非水性溶媒、油類、パラフィン誘導体類、グリコール類等との併用において使用してもよい。また、着色剤および香料を、経口投与用に設計される調合物に添加してもよい。水、またはエタノール、1,2−プロピレングリコール、ポリグリコール類、ジメチルスルホキシド、脂肪族アルコール類(fatty alcohols)、トリグリセリド類、グリセリンの部分エステル類などのような生理学的に適合性の有機溶媒を使用して、溶液を調製することができる。活性成分を含有する非経口組成物は、慣用技術を使用して調製してもよく、および無菌の等張食塩水、水、1,3−ブタンジオール、エタノール、1,2−プロピレングリコール、水と混合されるポリグリコール類、リンゲル液等を含む。
【0020】
C.治療方法
本明細書中に記載されるCOX−1阻害剤およびトロンボキサン受容体アンタゴニストの組み合わせは、末梢動脈疾病、動脈もしくは静脈の血栓症、不安定狭心症、一過性虚血発作、および高血圧症の治療および予防において特に有用である。従って、本発明は、COX−1阻害剤と組み合わせてトロンボキサンA2受容体アンタゴニストを投与することによって、これらの症状を治療する方法を含む。これらの薬剤は、相互に適時な方式で与えられるべきであり、および内在する疾病の症状を低減するのに十分な量で送達されるべきである。好ましくは、薬剤は、本明細書中に記載されるような単位投薬形態において、一緒に送達される。
【0021】
D.投薬量
治療用薬剤については、熟練した開業医が、臨床医学において十分に確立された方法を使用して、ケースバイケースで投薬量を調節することが期待される。さまざまな薬剤の好適な量に関する全般的な指導は、上記に提供される。しかしながら、これらは単に指針に過ぎない。なぜならば、実際の用量は、それぞれの患者に特有の臨床的な因子に基づいて、担当医によって慎重に選択されおよびバランスを調整されるからである。最適な1日用量は、当技術分野において知られている方法によって決定され、および、患者の年齢、疾病の状況、投与される個々の薬剤に付随する副作用のような因子、ならびに他の臨床的に関連する因子によって影響される。いくつかの場合においては、患者は、本発明の組み合わせによる治療を開始する時点において、既に薬物療法を受けている可能性がある。許容できない有害な副作用が患者によって報告されないことを条件として、これらの他の薬物療法を継続してもよい。1日の投薬量を、単一回または多数回の投薬計画のどちらかにおいて提供してもよく、後者が概して好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)COX−1阻害剤と;
(b)トロンボキサンA2受容体アンタゴニストと
を含み、
前記COX−1阻害剤、前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニスト、またはそれら両方は、相乗的な単位投薬量で存在することを特徴とする単位用量形態の医薬組成物。
【請求項2】
前記COX−1阻害剤がアスピリン以外のNSAIDであることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記NSAIDが、インドブフェン;フルルビプロフェン;ナプロキセン;オキサプロジン;インドメタシン;ケトロラク;メフェナム酸;ナブメトン;およびエトドラクからなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記NSAIDがインドブフェンであることを特徴とする請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記インドブフェンが50mg未満の量で存在することを特徴とする請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストが、7−オキサビシクロヘプタン置換されたプロスタグラジン類似体;ベンゼンアルコン酸;またはベンゼンスルホンアミド誘導体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストが、7−オキサビシクロヘプタン置換されたプロスタグラジン類似体であることを特徴とする請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記7−オキサビシクロヘプタン置換されたプロスタグラジン類似体が、イフェトロバンであることを特徴とする請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記イフェトロバンが、200mg未満の量で存在することを特徴とする請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記COX−1阻害剤が50mg未満の量のインドブフェンであり、および前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストが200mg未満の量のイフェトロバンであることを特徴とする請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物が、経口投与のための錠剤またはカプセル剤の形態であることを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
患者に投薬するための治療用パッケージであって、
(a)1つまたは複数の単位用量であって、それぞれの単位用量は、
(i)COX−1阻害剤と;
(ii)トロンボキサンA2受容体アンタゴニストと
を含み、
前記COX−1阻害剤および前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストは、患者に対する1つまたは複数の前記単位用量の投与の際に治療上有効であるために十分な量で存在する、1つまたは複数の単位用量と;
(b)それら単位用量のための完成薬剤容器であって、前記容器は前記1つまたは複数の単位用量を封入し、および、心血管の症状;末梢動脈疾病;動脈もしくは静脈の血栓症;狭心症;一過性虚血発作;発作;および高血圧症からなる群から選択される症状の治療または予防における前記1つまたは複数の単位用量の使用を指示するラベル表示をさらに含む完成薬剤容器と
を含むことを特徴とする治療用パッケージ。
【請求項13】
前記ラベル表示が、心血管の症状の治療または予防における前記1つまたは複数の単位用量の使用を指示することを特徴とする請求項12に記載の治療用パッケージ。
【請求項14】
前記ラベル表示が、末梢動脈疾病;および動脈もしくは静脈の血栓症からなる群から選択される症状の治療または予防における前記1つまたは複数の単位用量の使用を指示することを特徴とする請求項12に記載の治療用パッケージ。
【請求項15】
前記ラベル表示が、発作;および高血圧症からなる群から選択される症状の治療または予防における、前記1つまたは複数の単位用量の使用を指示することを特徴とする請求項12に記載の治療用パッケージ。
【請求項16】
患者に投薬するための治療用パッケージであって、
(a)1つまたは複数の単位用量であって、それぞれの単位用量は、
(i)COX−1阻害剤と;
(ii)トロンボキサンA2受容体アンタゴニストと
を含み、
前記COX−1阻害剤、前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニスト、またはそれら両方は、前記1つまたは複数の単位用量において相乗的な単位投薬量で存在する、1つまたは複数の単位用量と;
(b)それら単位用量のための完成薬剤容器であって、前記容器は、前記1つまたは複数の単位用量を封入し、およびCOX−1阻害剤またはトロンボキサンA2受容体アンタゴニストに応答する症状の治療または予防における前記1つまたは複数の単位用量の使用を指示するラベル表示をさらに含む完成薬剤容器と
を含むことを特徴とする治療用パッケージ。
【請求項17】
前記COX−1阻害剤がアスピリン以外のNSAIDであることを特徴とする請求項12から16のいずれかに記載の治療用パッケージ。
【請求項18】
前記NSAIDが、インドブフェン;フルルビプロフェン;ナプロキセン;オキサプロジン;インドメタシン;ケトロラク;メフェナム酸;ナブメトン;およびエトドラクからなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の治療用パッケージ。
【請求項19】
前記NSAIDが、前記1つまたは複数の単位用量形態のそれぞれにおいて50mg未満の量で存在するインドブフェンであることを特徴とする請求項18に記載の治療用パッケージ。
【請求項20】
前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストが、7−オキサビシクロヘプタン置換されたプロスタグラジン類似体;ベンゼンアルコン酸;またはベンゼンスルホンアミド誘導体であることを特徴とする請求項18に記載の治療用パッケージ。
【請求項21】
前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストが、7−オキサビシクロヘプタン置換されたプロスタグラジン類似体であることを特徴とする請求項20に記載の治療用パッケージ。
【請求項22】
前記7−オキサビシクロヘプタン置換されたプロスタグラジン類似体が、イフェトロバンであり、かつ前記1つまたは複数の単位用量形態のそれぞれにおいて200mg未満の量で存在することを特徴とする請求項21に記載の治療用パッケージ。
【請求項23】
前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストが、7−オキサビシクロヘプタン置換されたプロスタグラジン類似体;ベンゼンアルコン酸;またはベンゼンスルホンアミド誘導体であることを特徴とする請求項12から16のいずれかに記載の治療用パッケージ。
【請求項24】
前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストがイフェトロバンであることを特徴とする請求項23に記載の治療用パッケージ。
【請求項25】
前記COX−1阻害剤が、前記1つまたは複数の単位用量形態のそれぞれにおいて50mg未満の量で存在するインドブフェンであり、および前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストが、前記1つまたは複数の単位用量形態のそれぞれにおいて200mg未満の量で存在するイフェトロバンであることを特徴とする請求項12から16のいずれかに記載の治療用パッケージ。
【請求項26】
患者の疾病または症状を治療または予防する方法であって、前記疾病または症状がCOX−1阻害剤またはトロンボキサンA2受容体アンタゴニストのいずれかに応答し、前記患者に請求項1から5のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
COX−1阻害剤に応答する患者の疾病または症状を治療または予防する方法であって、前記患者に、
(a)相乗的な投薬量のCOX−1阻害剤と;
(b)項(a)の相乗的な投薬量のCOX−1阻害剤と総合して前記疾病または症状の予防または治療において有効である投薬量のトロンボキサンA2受容体アンタゴニストと
を相互適時に投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
前記疾病または症状が、炎症または痛みであることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記COX−1阻害剤が、アスピリン以外のNSAIDであることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記NSAIDが、インドブフェン;フルルビプロフェン;ナプロキセン;オキサプロジン;インドメタシン;ケトロラク;メフェナム酸;ナブメトン;およびエトドラクからなる群から選択されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記NSAIDが、100mg未満の投薬量のインドブフェンであることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストが、7−オキサシクロヘプタン置換されたプロスタグラジン類似体;ベンゼンアルコン酸;またはベンゼンスルホンアミド誘導体であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストを、1〜1000mgの投薬量で投与することを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストが、5〜500mgのイフェトロバンであることを特徴とする請求項27から31に記載の方法。
【請求項35】
トロンボキサンA2受容体アンタゴニストに応答する患者の疾病または症状を治療または予防する方法であって、前記患者に、
(a)相乗的な投薬量のトロンボキサンA2受容体アンタゴニストと;
(b)項(a)のトロンボキサンA2アンタゴニストの相乗的な投薬量と総合して前記疾病または症状の予防または治療において有効である投薬量のCOX−1阻害剤と
を相互適時に投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
前記疾病または症状が、発作;動脈もしくは静脈の血栓症;不安定狭心症;一過性虚血発作;および高血圧症からなる群から選択されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記COX−1阻害剤がアスピリン以外のNSAIDであることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記NSAIDが、インドブフェン;フルルビプロフェン;ナプロキセン;オキサプロジン;インドメタシン;ケトロラク;メフェナム酸;ナブメトン;およびエトドラクからなる群から選択されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストが、7−オキサシクロヘプタン置換されたプロスタグラジン類似体;ベンゼンアルコン酸;またはベンゼンスルホンアミド誘導体であることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストが、体重1kgあたり1.0mg未満の投薬量で前記患者に投与されるイフェトロバンであることを特徴とする請求項35から39に記載の方法。
【請求項41】
患者の心血管の症状;末梢動脈疾病;動脈もしくは静脈の血栓症;狭心症;一過性虚血発作;発作;および高血圧症からなる群から選択される症状を治療する方法であって、
前記患者に、
(a)COX−1阻害剤と;
(b)トロンボキサンA2受容体アンタゴニストと
を相互に適時な方式で投与することを含み、
前記COX−1阻害剤および前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストを治療上有効量で投与することを特徴とする方法。
【請求項42】
前記疾病または症状が、心血管の疾病または症状であることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記疾病または症状が、末梢動脈疾病;および動脈もしくは静脈の血栓症からなる群から選択されることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記疾病または症状が、発作;および高血圧症からなる群から選択されることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記COX−1阻害剤がアスピリン以外のNSAIDであることを特徴とする、請求項41から44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記NSAIDが、インドブフェン;フルルビプロフェン;ナプロキセン;オキサプロジン;インドメタシン;ケトロラク;メフェナム酸;ナブメトン;およびエトドラクからなる群から選択されることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記NSAIDが、1日あたり40〜6000mgの用量で前記患者に投与されるインドブフェンであることを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記トロンボキサンA2受容体が、1日あたり5〜5000mgの用量で前記患者に投与されるイフェトロバンであることを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストが、7−オキサビシクロヘプタン置換されたプロスタグラジン類似体;ベンゼンアルコン酸;またはベンゼンスルホンアミド誘導体であることを特徴とする、請求項41から44のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストが、7−オキサシクロヘプタン置換されたプロスタグラジン類似体であることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記7−オキサビシクロヘプタン置換されたプロスタグラジン類似体が、イフェトロバンであることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記COX−1阻害剤が、1日あたり40〜6000mgの用量で投与されるインドブフェンであり、および前記トロンボキサンA2受容体アンタゴニストが、1日あたり5〜5000mgの用量で投与されるイフェトロバンであることを特徴とする、請求項41から44のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2007−508242(P2007−508242A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522433(P2006−522433)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002523
【国際公開番号】WO2005/016334
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(503312790)ビー.エム.アール.エイ. コーポレイション ベスローテン フェンノートシャップ (1)
【Fターム(参考)】