説明

トング

【課題】不使用時の省スペース化を図りつつ、簡易な構成で洗い易く衛生的なトングを提供することを目的とする。
【解決手段】使用時に挟持部5同士を離間させる弾性力を有する連結金具7を、不使用時に180°反転させ、折り曲げ部15を挟持部5に最も近づけた位置に配置し、連結金具7の一端部16及び他端部17による弾性力によって挟持部5同士を近接させるようにしたことにより、当該連結金具7によって挟持部5同士が離間することを防止でき、かくして不使用時の省スペース化を図ることができる。また連結金具7を第1のトング半体2及び第2のトング半体3に回動自在に設けるだけなので、機械的機構を全て外部に露出させ、当該機械的機構に付着した汚れ等を容易に洗い落とすことができ、かくして簡易な構成で洗い易く衛生的なトング1を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトングに関し、例えばパン等の食品や直接手で保持し難い物等この他種々の物品を間接的に保持するトングに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
例えばレストランなどにおいて、大皿に盛られた料理等を好みに応じて、自ら小皿に必要量だけ取分ける保持具としてトングが知られている。
【0003】
このようなトングは、板状でなる一対の把持部の先端に物品を挟持するための挟持部がそれぞれ設けられていると共に、当該一対の把持部の基端が弾性力を有するようにU字状に一体成形されている。これによりトングは、利用者が一対の把持部を片手で持ち、弾性力に抗して当該一対の把持部に対して外力が加えられることにより、挟持部同士が近接し、当該挟持部間で料理などの食品を挟むことができるように構成されている。
【0004】
ところで、このようなトングは、不使用時、使用者によって把持部に外力が加えられていないため、弾性力によって常に先端の挟持部の開度が最大になり、その結果その分だけ収容スペースが大きくなるので保管し難いという問題があった。そこで、このような問題点を解決するため不使用時には、挟持部同士を近接させた状態で金具によって把持部を止めることにより、挟持部同士が離間して開状態となることを防止し、収納スペースを極力小さくすることが考えられる。
【0005】
しかしながら、このようにトングと別体からなる金具を別途用いた場合には、トングの使用時、金具をトングから取り外すため、当該金具を紛失する虞があり、また金具を紛失しないようにするため使用者が当該金具を手で保持しながらトングを使用すると、当該金具が邪魔になるという問題がある。
【0006】
また、このような問題点を解決するために、挟持手段の基端側に軸支され、この挟持手段の変形方向に対して垂直な面上で回動する短円柱状の回動部材と、この回動部材の円周面に開度の異なる複数の開口を設け、回動部材を回動させることで当該開口を変え、当該開口から突出する一対の挟持手段の最大開度を制限する開度制限部とを備えたトングも考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、かかる構成のトングでは、回動部材の複雑な回動機構が短円柱状の外郭の内部空間に設けられ、当該回動機構が外部に露出しないため、当該回動機構に付着した汚れを洗い落とし難く、不衛生であるという問題があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、不使用時の省スペース化を図りつつ、簡易な構成で洗い易く衛生的なトングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1記載のトングは、先端に挟持部をそれぞれ有する第1のトング半体及び第2のトング半体と、前記第1のトング半体及び第2のトング半体の基端に設けられたV字状の連結部材と、前記第1のトング半体の基端側に前記連結部材の一端部を回動自在に設けると共に、前記第2のトング半体の基端側に前記連結部材の他端部を回動自在に設ける回動手段とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項2記載のトングは、前記連結部材は、前記一端部及び前記他端部間の折り曲げ部が前記挟持部から遠ざかった位置に配置されると、前記一端部及び前記他端部間の弾性力によって前記挟持部同士を離間させ、前記折り曲げ部が前記挟持部に近づいた位置に配置されると、前記第1のトング半体及び第2のトング半体の基端を近接させたまま、前記弾性力によって前記挟持部同士を近接させることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項3記載のトングは、前記連結部材は板状部材からなり、前記一端部の面部が前記第2のトング半体の内面に前記回動手段によって回動自在に設けられていると共に、前記他端部の面部が前記第2のトング半体の内面に前記回動手段によって回動自在に設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項4記載のトングは、前記第1及び第2のトング半体の基端には、前記第1及び第2のトング半体を回動自在に連結する回動連結部を備え、前記折り曲げ部が前記挟持部に近づいた位置に移動したとき、前記回動連結部が前記弾性力を抗して前記第1及び第2のトング半体を平行に配置させることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項5記載のトングは、前記第1及び第2のトング半体には、前記折り曲げ部が前記挟持部から遠ざかった位置及び前記折り曲げ部が前記挟持部に近づいた位置のうち少なくともいずれか一方の位置で前記連結部材を位置決めする位置決め部を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1記載のトングによれば、不使用時には連結部材を回動させることで当該連結部材によって挟持部同士が離間することを防止でき、かくして不使用時の省スペース化を図ることができる。またV字状の連結部材を第1のトング半体及び第2のトング半体に回動自在に設けるだけなので、簡易な構成となり、かつ機械的機構を全て外部に露出させることができ、かくして簡易な構成で洗い易く衛生的なトングを提供することができる。
【0015】
本発明の請求項2記載のトングによれば、不使用時の省スペース化を確実に図ることができる。
【0016】
本発明の請求項3記載のトングによれば、一端部及び他端部の面部と、第1のトング半体及び第2のトング半体の内面とを一段と確実に密着させることができ、かくして第1のトング半体及び第2のトング半体に連結部材による弾性力を確実に与えることができる。
【0017】
本発明の請求項4記載のトングによれば、折り曲げ部及び回動連結部の隙間を設けて第1のトング半体及び第2のトング半体を平行に配置させることができるので、一段と不使用時の省スペース化を図ることができる。
【0018】
本発明の請求項5記載のトングによれば、使用時及び不使用時に最適な位置に連結部材を容易に配置できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下図面に基づいて本発明の実施の形態を詳述する。
【0020】
図1において、1は全体として本発明のトングを示し、例えば全体が金属材料からなり、第1のトング半体2と第2のトング半体3との基端側に設けた回動規制機構4を介して回動自在に連結されている。
【0021】
ここで第1のトング半体2及び第2のトング半体3は、同一形状からなり、挟持部5と、把持部6と、連結金具7と共に回動規制機構4を構成する回動連結部8とが一体成形された構成を有する。なお、説明の便宜上、以下第1のトング半体2についてのみ説明する。
【0022】
把持部6は、断面長方形状の帯状からなり、一端側に連接するように挟持部5が一体成型されていると共に、他端側に連接するように回動連結部8が一体成形されている。
【0023】
この把持部6には、一側部に一体成形された板材からなる帯状の突起部11を有する。この突起部11は、第2のトング半体2の内面と対向した第1のトング半体2の内面側にほぼ直角に折り曲げられ、当該第1のトング半体2の内面から僅かに突出するように形成されている。
【0024】
挟持部5は、把持部6の幅寸法よりも長い幅寸法を有し、ほぼ楕円形状の外郭に波状の装飾が施され、把持部6の突起部11が延長した側部が内面側に向けて僅かに湾曲状に折れ曲げられた構成を有する。
【0025】
第1のトング半体2の基端に設けた回動連結部8は、板状からなり、第1のトング半体2の一側部から内面側(すなわち第2のトング半体3側)に向けてほぼ直角に折り曲げられた突起形状をなし、中心部分に貫通孔(図示せず)が穿設されている。回動連結部8は、この貫通孔と、第2のトング半体3の回動連結部8の貫通孔とを重ね、これら貫通孔に軸部材12を挿通させた状態で取り付けることで当該軸部材12を中心軸として第1のトング半体2及び第2のトング半体3が回動し得るようになされている。
【0026】
かかる構成に加えて、回動連結部8が設けられた第1のトング半体2及び第2のトング半体3の基端には、当該第1のトング半体2及び第2のトング半体3の開度を規制し、かつ当該第1のトング半体2及び第2のトング半体3間に所定の弾性力を付与する連結金具7が設けられている。
【0027】
ここで、この連結金具7は、トング1の使用時、図1に示したように、第1のトング半体2と第2のトング半体3との基端を近接させたまま、当該第1のトング半体2と第2のトング半体3との先端に設けられた挟持部5を弾性力により離間させ、把持部6に外力が加えられていないときには、当該第1のトング半体2及び第2のトング半体3をV字状に配置して挟持部5を開状態とし得る。尚、V字状の配置とは折り返し形状であり、ほぼU字状のものみ含まれるものである。
【0028】
また、この連結金具7は、トング1の不使用時、図2に示すように、第1のトング半体2及び第2のトング半体3間において回動されて折り曲げ部15が挟持部5側へ180°反転することにより、当該第1のトング半体2及び第2のトング半体3の挟持部5同士を近接させる方向に弾性力を働かせ、これにより当該第1のトング半体2及び第2のトング半体3をほぼ平行に配置し得るようになされている。
【0029】
実際上、連結金具7は、第1のトング半体2及び第2のトング半体3の幅寸法と同じ幅寸法からなる板状の金属部材により形成されており、全体としてほぼV字状に折り曲げられた板ばね構成を有する。
【0030】
すなわち、連結部材及び弾性手段としての連結金具7は、V字状の折り返された折り返し部15から一端部16及び他端部17へゆくに従って、当該一端部16側及び他端部17側間の間隔が次第に広くなってゆき、当該一端部16及び他端部17間に所定の弾性力を備えている。
【0031】
連結金具7は、V字状の一端部16が第1のトング半体2における把持部6の内面に回動手段21により回動自在に設けられていると共に、V字状の他端部17が第2のトング半体3における把持部6の内面に回動手段21により回動自在に設けられている。
【0032】
これにより連結金具7は、図3(A)に示すように、使用時に折り曲げ部15が第1のトング半体2及び第2のトング半体3の基端に配置されることにより、一端部16及び他端部17間の弾性力によって第1のトング半体2及び第2のトング半体3の挟持部5を離間させ得る。このとき連結金具7は、弾性力によって一端部16及び他端部17の面部全体が第1のトング半体2及び第2のトング半体3の内面に沿って密着し得るように構成されている。
【0033】
また、連結金具7は、弾性力に抗して第1のトング半体2及び第2のトング半体3に外力が加えられると、図3(B)に示すように、一端部16及び他端部17が互いに近づく方向に移動し、第1のトング半体2及び第2のトング半体3の先端に設けた挟持部5同士が近接し得るようになされている。
【0034】
ここで連結金具7は、第1のトング半体2及び第2のトング半体3に対して外力が加えられて挟持部5が当接すると、一端部16及び他端部17の面部が平行に配置されると共に、第1のトング半体2及び第2のトング半体3の内面がほぼ平行に配置され得る。
【0035】
このように連結金具7は、第1のトング半体2及び第2のトング半体3の内面と、一端部16及び他端部17の面部とがほぼ平行に配置されたとき、一端部16及び他端部17の面部が第1のトング半体2及び第2のトング半体3の内面に沿って摺動しながら回動し得る。
【0036】
回動手段21は、ねじ等からなる軸部22と、当該軸部22の頭部周辺をカバーするカバー体23と、当該軸部22が螺着される軸受け部24とから構成されている。回動手段21は、連結金具7の一端部16及び他端部17に穿設された貫通孔(図示せず)と、第1のトング半体2及び第2のトング半体3に穿設された貫通孔(図示せず)とが位置決めされた後、連結金具7の内面側からカバー体23を介在させて各軸部22が貫通孔に挿入され、第1のトング半体2及び第2のトング半体3の外面にそれぞれ配置した軸受け部24に螺着されることにより構成されている。
【0037】
これにより回動手段21は、一端部16及び他端部17において軸部22を中心として第1のトング半体2及び第2のトング半体3に対し連結金具7を回動自在に設けられ得る。
【0038】
かくして連結金具7は、図4(A)及び(B)に示すように、挟持部5同士を近接させた状態で、一端部16及び他端部17において軸部22を中心軸として折り曲げ部15を挟持部5に近づける方向に回動されることにより、当該折り曲げ部15が回動連結部8の第1のトング半体2及び第2のトング半体3間から展開して突出し得る。
【0039】
そして、連結金具7は、さらに折り曲げ部15を挟持部5に近づける方向に回動されることにより、図4(C)に示すように、挟持部5に最も近づけた位置において折り曲げ部15を再び第1のトング半体2及び第2のトング半体3間に収納し得るようになされている。
【0040】
なお回動手段21は、軸受け部24に対する軸部22の締め付け度合いを弱めることにより、連結金具7を回動し易くさせ、これに対して軸受け部24に対する軸部22の締め付け度合いを強めることにより、連結金具7を回動し難くさせ、かくして連結金具7の回動し易さを任意に調節できる。
【0041】
この実施の形態の場合、第1のトング半体2及び第2のトング半体3の内面には、図4(B)に示すように、所定位置に凹部30が形成されており、折り曲げ部15が挟持部5から最も遠ざかった位置及び最も近づいた位置にあるとき、連結金具7の一端部16及び他端部17の摺動面に設けた凸部31又は32が当該凹部30に嵌め込まれることにより連結金具7が正確に位置決めされ、折り曲げ部15が第1のトング半体2及び第2のトング半体3間から突出しないように配置できる。
【0042】
また、連結金具7の折り曲げ部15を挟持部5から最も遠ざけた位置となる基端に配置させた際には、当該連結金具7の側部が位置決め部としての回動連結部8に当接することにより位置決めされ、連結金具7の凸部32を凹部30に容易に嵌め込むことができる。さらに、連結金具7の折り曲げ部15を反転させて挟持部5に最も近づけた位置に配置させた際には、当該連結金具7の側部が位置決め部としての突起部11に当接することにより位置決めされ、連結金具7の凸部31を凹部30に容易に嵌め込むことができるようになされている。
【0043】
このようにして、トング1は、不使用時、図5に示すように、連結金具7の一端部16及び他端部17が、第1のトング半体2及び第2のトング半体3の基端側となる回動連結部8側に配置されることにより、一端部16及び他端部17間に働く弾性力が当該第1のトング半体2及び第2のトング半体3の基端側において第1のトング半体2及び第2のトング半体3を離間させるように働くように構成されている。
【0044】
かくしてトング1は、挟持部5同士が当接し、折り曲げ部15及び回動連結部8の幅寸法の隙間を設けて第1のトング半体2及び第2のトング半体3がほぼ平行に配置され、全体としてU字状になり得る。
【0045】
以上の構成において、トング1では、使用者が挟持部5で料理等を挟んで小皿に取り分ける等のような使用時、回動手段21を介して連結金具7を回動させ、挟持部5から最も遠ざかった基端に連結金具7の折り曲げ部15を配置させると共に、連結金具7の一端部16及び他端部17を挟持部5側に配置させる。
【0046】
これにより第1のトング半体2及び第2のトング半体3の把持部6に使用者が外力を与えないときには、連結金具7の一端部16及び他端部17間に働く弾性力によって挟持部5同士を離間させることができる。
【0047】
従って、このトング1では、使用者が第1のトング半体2及び第2のトング半体3の把持部6を把持して弾性力を抗するような外力を与えることにより、挟持部5同士を近接させることができるので、当該挟持部5間に所望の物品を容易に挟ませることができる。
【0048】
その後、使用者がトングを使用し終えて保管する等のようなトングの不使用時には、図4(A)、(B)及び(C)に示したように、挟持部5から最も遠ざかった基端にある連結金具7の折り曲げ部15を、第1のトング半体2及び第2のトング半体3間から引き出して回動させて180°反転させることにより、挟持部5に近づけた位置において第1のトング半体2及び第2のトング半体3間に当該折り曲げ部15が収納する。
【0049】
これによりトング1では、折り曲げ部15が挟持部5に最も近づく位置に配置されると共に、一端部16及び他端部17が第1のトング半体2及び第2のトング半体3の基端側となる回動連結部8側に配置されることにより、連結金具7の一端部16及び他端部17による弾性力が挟持部5同士を近接させるように働かせることができ、かくして当該連結金具7によって挟持部5同士が離間することを防止できる。
【0050】
また、このときトング1では、基端に連結回動部8を設けるようにしたことにより、当該連結回動部8によって連結金具7の一端部16及び他端部17間の弾性力を抗することができ、かくして第1のトング半体2及び第2のトング半体3の基端が離間せず、折り曲げ部15及び連結回動部の幅寸法の隙間を設けて第1のトング半体2及び第2のトング半体3をほぼ平行に配置できる。
【0051】
かくして、このトング1では、不使用時、第1のトング半体2及び第2のトング半体3に対して外力を与えなくとも、当該第1のトング半体2及び第2のトング半体3をほぼ平行に配置した状態にできるので、収容スペースを最も小さくして保管し易くできる。
【0052】
またトング1では、V字状に折り曲げられた板状の連結金具7が、第1のトング半体2及び第2のトング半体3の内面に対して軸部22や軸受け部24によって回動自在に設けられているだけなので、機械的機構を外部に全て露出させることができ、かくして使用後に全体を容易に洗うことができる。
【0053】
以上の構成によれば、第1のトング半体2及び第2のトング半体3の基端に設けられたV字状の連結金具7の一端部16及び他端部17を回動手段21により回動自在に設けるようにした。これにより、使用時に挟持部5同士を離間させる弾性力を有する連結金具7を、不使用時に180°反転させ、折り曲げ部15を挟持部5に近づけた位置に配置することで、連結金具7の一端部16及び他端部17間の弾性力によって挟持部5同士を近接させ、当該連結金具7によって挟持部5同士が離間することを防止でき、かくして不使用時の省スペース化を図ることができる。
【0054】
またV字状の連結金具7を第1のトング半体2及び第2のトング半体3に回動自在に設けるだけなので、機械的機構を全て外部に露出させ、当該機械的機構に付着した汚れ等を容易に洗い落とすことができ、かくして簡易な構成で洗い易く衛生的なトング1を提供することができる。
【0055】
また、連結金具7は、折り曲げ部15が挟持部5から遠ざかった位置に配置されると、一端部16及び他端部17間の弾性力によって挟持部5同士を離間させ、折り曲げ部15が挟持部5に近づいた位置に配置されると、第1のトング半体2及び第2のトング半体3の基端を近接させたまま、弾性力によって挟持部5同士を近接させるようにしたことにより、不使用時の省スペース化を確実に図ることができる。
【0056】
さらに、連結金具7が板状部材からなり、一端部16の面部が第2のトング半体3の内面に回動自在に設けられていると共に、他端部17の面部が第2のトング半体3の内面に回動自在に設けられているようにしたことにより、一端部16及び他端部17の面部と、第1のトング半体2及び第2のトング半体3の内面とを一段と確実に密着させることができ、かくして第1のトング半体2及び第2のトング半体3に連結金具7による弾性力を確実に与えることができる。
【0057】
さらに、第1のトング半体2及び第2のトング半体3の基端には、当該第1のトング半体2及び第2のトング半体3を回動自在に連結する回動連結部8を備え、折り曲げ部15が挟持部5に近づいた位置に移動したとき、回動連結部8が弾性力を抗するようにしたことにより、折り曲げ部15及び回動連結部8の隙間を設けて第1のトング半体2及び第2のトング半体3を平行に配置させることができるので、一段と不使用時の省スペース化を図ることができる。
【0058】
さらに、第1のトング半体2及び第2のトング半体3には、折り曲げ部15が挟持部5から遠ざかった位置及び折り曲げ部15が挟持部5に近づいた位置で連結金具7を位置決めする回動連結部8及び突起部11と、凸部31、32及び凹部30とを備えるようにしたことにより、使用時及び不使用時に最適な位置に連結金具7を容易に配置できる。
【0059】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば金属部材で形成された連結金具7に替えて、合成樹脂材等の種々の材質で形成した連結部合を用いるようにしても良い。
【0060】
また、上述した実施の形態においては、連結部材及び弾性手段として、弾性を有する連結金具7を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば弾性を有しない連結部材の一端部及び他端部間にスプリングばねを設け、当該スプリングばねによって第1のトング半体2及び第2のトング半体3に弾性力を付与する等、連結部材と弾性手段とを別体で構成するようにしても良い。
【0061】
さらに、回動連結部8を設けずに連結金具7のみで第1のトング半体2及び第2のトング半体3を連結するようにしても良く、この場合、不使用時、基端を近接させた状態で、かつ弾性力によって挟持部5同士を当接させるように連結金具7が第1のトング半体2及び第2のトング半体3の基端側に設けられ得る。
【0062】
さらに、上述した実施の形態においては、回動連結部8及び突起部11と、凸部31、32及び凹部30とを設け、連結金具7を位置決めするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、回動連結部8及び突起部11と、凸部31、32及び凹部30とのいずれか一方を設けるようにしても良い。
【0063】
さらに、回動連結部8及び突起部11のうち少なくともいずれか一方のみ、凸部31、32及び凹部30のうち少なくともいずれか一方のみを設け、折り曲げ部15が挟持部5から遠ざかった位置及び折り曲げ部15が挟持部5に近づいた位置のうちいずれか一方の位置でのみ連結金具7を位置決めするようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】使用時のトングの全体構成を示す概略図である。
【図2】不使用時のトングの全体構成(1)を示す概略図である。
【図3】連結金具の折り曲げ部を挟持部から最も遠ざけた位置に配置させたときの様子を示す概略図である。
【図4】連結金具の折り曲げ部を挟持部に最も遠ざけた位置から挟持部に最も近づけた位置まで回動させたときの様子を示す概略図である。
【図5】不使用時のトングの全体構成(2)を示す概略図である。
【符号の説明】
【0065】
1 トング
2 第1のトング半体
3 第2のトング半体
7 連結金具(連結部材)
8 回動連結部(回動連結部、位置決め部)
11 突起部(位置決め部)
15 折り返し部
16 一端部
17 他端部
21 回動手段
30 凹部(位置決め部)
31、32 凸部(位置決め部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に挟持部をそれぞれ有する第1のトング半体及び第2のトング半体と、
前記第1のトング半体及び第2のトング半体の基端に設けられたV字状の連結部材と、
前記第1のトング半体に前記連結部材の一端部を回動自在に設けると共に、前記第2のトング半体に前記連結部材の他端部を回動自在に設ける回動手段と
を備えることを特徴とするトング。
【請求項2】
前記連結部材は、前記一端部及び前記他端部間の折り曲げ部が前記挟持部から遠ざかった位置に配置されると、前記一端部及び前記他端部間の弾性力によって前記挟持部同士を離間させ、前記折り曲げ部が前記挟持部に近づいた位置に配置されると、前記第1のトング半体及び第2のトング半体の基端を近接させたまま、前記弾性力によって前記挟持部同士を近接させる
ことを特徴とする請求項1記載のトング。
【請求項3】
前記連結部材は板状部材からなり、前記一端部の面部が前記第2のトング半体の内面に前記回動手段によって回動自在に設けられていると共に、前記他端部の面部が前記第2のトング半体の内面に前記回動手段によって回動自在に設けられている
ことを特徴とする請求項2記載のトング。
【請求項4】
前記第1及び第2のトング半体の基端には、前記第1及び第2のトング半体を回動自在に連結する回動連結部を備え、
前記折り曲げ部が前記挟持部に近づいた位置に移動したとき、前記回動連結部が前記弾性力を抗して前記第1及び第2のトング半体を平行に配置させる
ことを特徴とする請求項2又は3記載のトング。
【請求項5】
前記第1及び第2のトング半体には、前記折り曲げ部が前記挟持部から遠ざかった位置及び前記折り曲げ部が前記挟持部に近づいた位置のうち少なくともいずれか一方の位置で前記連結部材を位置決めする位置決め部を備える
ことを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか1項記載のトング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−188090(P2008−188090A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22847(P2007−22847)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(591049217)新越金網株式会社 (4)
【Fターム(参考)】