説明

トンネル水噴霧設備

【課題】簡単な設備構成と低コストで予告放水を可能とするトンネル水噴霧設備を提供する。
【解決手段】自動弁30の2次側に設けた三方切替弁50の第1ポートP1を水噴霧ヘッド12に接続し、三方切替弁50の第2ポートP2を予告放水ヘッド16に接続する。自動弁30の遠隔起動時は三方切替弁50を第2ポートP2に接続して予告放水ヘッド16から小容量の予告放水を行い、所定時間後に三方切替弁50を第1ポートP1に切り替え、予告放水ヘッド16からの予告放水を停止すると同時に水噴霧ヘッド12から本格放水をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内に設置された水噴霧ヘッドに消火用水を供給して放水させるトンネル水噴霧設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路のトンネルには、トンネル内で発生する火災事故から人身及び車両を守るため、非常用設備が設置されている。このような非常用設備としては、火災の監視と通報のため火災検知器や非常電話が設けられ、火災の消火や延焼防止のために消火栓装置やトンネル防護のための水噴霧ヘッドから水を放水させる水噴霧設備が設けられる。
【0003】
水噴霧設備は50メートル間隔の放水区画単位に1台の水噴霧自動弁が設置され、5メートル間隔に配置した複数の水噴霧ヘッドに対し自動弁から加圧消火用水を供給して一斉に放水させる。
【0004】
また水噴霧設備には水噴霧ヘッドからの本格放水がおこなわれることを警告するため、本格放水に先立って小容量の予告放水をする予告放水機能が設けられている。
【0005】
予告放水の方法は、自動弁に対する1次側の流量を小流量とする方法、圧力を低圧とする方法、自動弁で低圧から通常圧力に段階的に切替える方法、自動弁の2次側の制水弁の開度を2段階に切替える方法などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−355324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような小容量の予告放水をするトンネル水噴霧設備にあっては、基本的に水噴霧ヘッドをそのまま使用し、水噴霧ヘッドに供給する加圧消火用水の圧力又は流量を下げて小容量の予告放水を行っていたため、消火用水の圧力または流量を2段階に調整する機構や設備が必要となり、2次側に接続された全ての水噴霧ヘッドに規定量を流すための流量の非常に多い自動弁及びその関連設備を制御する必要があるため、設備構成が複雑化してコストアップになる問題がある。
【0008】
また、予告放水を行う目的として、いきなり放水量の多い本格放水を行うとトンネル内に進入した車両の視界が遮られて車による2次災害が発生することを防ぐためと、トンネル外への避難行動に悪影響を及ぼすことを防止するために予告放水を行っている。
【0009】
しかし、従来の水噴霧設備の予告放水は、予告放水も本格放水も同じ水噴霧ヘッドをそのまま使用して全ての水噴霧ヘッドから放水されるため、各水噴霧ヘッドを設置する間隔によっては各ヘッドの放水パターンが近接するため、たとえ流量を少なくした予告放水であっても運転者の前方の視界が悪いこともある。
【0010】
本発明は、簡単な設備構成と低コストで予告放水を可能とするトンネル水噴霧設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、トンネル水噴霧設備に於いて、
トンネル内に設けられ、所定の放水区画内に放水する水噴霧ヘッドと、
開放動作により前記水噴霧ヘッド側に加圧水を供給する自動弁と、
放水区画内又はその前方に設けられ、水噴霧ヘッドよりも小容量の予告放水を行う予告放水ヘッドと、
自動弁の2次側に設けられ、自動弁の二次側に水噴霧ヘッドを接続するか予告放水ヘッドを接続するか切り替える切替弁と、
自動弁の起動開始時は切替弁を前記予告放水ヘッドに接続し小容量の予告放水を行い、所定時間後に切替弁を前記水噴霧ヘッドに接続し予告放水ヘッドからの予告放水を停止すると同時に水噴霧ヘッドから本格放水を行わせる制御装置と、
を設けたことを特徴とする。
【0012】
また本発明の別の形態にあっては、
トンネル内に設けられて所定の放水区画内に放水する水噴霧ヘッドと、
遠隔操作により開放作動して加圧水を水噴霧ヘッドへ供給する自動弁と、
放水区画又はその前方に設けられ、水噴霧ヘッドよりも小容量の予告放水を行う予告放水ヘッドと、
自動弁の1次側を予告放水ヘッドに接続する予告放水配管と、
予告放水配管に設けられ開閉動作する予告放水弁と、
自動弁の起動に先立ち予告放水弁を開放して予告放水ヘッドから小容量の予告放水を行い、所定時間後に自動弁を起動して前記水噴霧ヘッドから本格放水を行わせる制御装置と、
を設けたことを特徴とする。
【0013】
ここで、制御装置は、自動弁を起動して水噴霧ヘッドから放水を開始するときに予告放水弁を閉鎖して予告放水ヘッドからの予告放水を停止する。
【0014】
予告放水ヘッドは、旋回放水ヘッド又はフラット放水ヘッドを備える。
【0015】
予告放水ヘッドは、トンネル上面や側壁面方向に放水する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、自動弁の2次側に設けた切替弁により予告放水ヘッドから小容量の予告放水を行った後に、水噴霧ヘッドに切り替えて本格放水するため、予告放水の小容量の放水は専用の予告放水ヘッドの放水量により一義的に決まり、自動弁による予告放水を小容量とするための圧力又は流量の2段階調整の機構や設備が不要となり、簡単な設備構成で小容量の予告放水を可能とし、コスト的にも安価に実現できる。
【0017】
また水噴霧ヘッドからの本格放水が開始されると予告放水ヘッドからの予告放水は停止し、本格放水の放水量に影響を及ぼすことがなく、水源水槽の使用可能時間の減少も抑制できる。また、予告放水時に運転者の視界を妨げることがなく、2次災害を防ぎ安全に避難することができる。
【0018】
本発明の別の形態にあっても、自動弁の1次側から予告放水ヘッドを接続した予告放水配管に設けた予告放水弁の開放により予告放水ヘッドから小容量の予告放水を行った後に、自動弁を起動して水噴霧ヘッドに切り替えて本格放水するため、予告放水の小容量の放水は専用の予告放水ヘッドの放水量により一義的に決まり、自動弁の1次側又は自動弁そのものによる予告放水を小容量とするための圧力又は流量の2段階調整の機構や設備が不要となり、簡単な設備構成で小容量の予告放水を可能とし、コスト的にも安価に実現できる。
【0019】
また自動弁の起動で水噴霧ヘッドからの本格放水が開始した際に予告放水弁を閉鎖することで予告放水ヘッドからの予告放水を停止し、本格放水の放水量に影響を及ぼすことがなく、水源水槽の使用可能時間の減少も抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による水噴霧設備の実施形態を示した説明図
【図2】図1に設けた自動弁の配管系と制御系の実施形態を示した説明図
【図3】本発明で使用する予告放水ヘッドによる旋回放水パターンを示した説明図
【図4】本発明で使用する予告放水ヘッドによるフラット放水パターンを示した説明図
【図5】本発明による水噴霧設備の他の実施形態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明によるトンネル水噴霧設備の全体構成を示した説明図である。図1において、自動弁装置10はトンネル側壁のコンクリート枠体に対し枠抜きされたスペースに50メートル間隔の水噴霧区間に1台ずつ設置されている。自動弁装置10の1次側には給水配管26が接続され、給水配管26には所定圧力の加圧消火用水が充填されている。自動弁装置10の2次側には水噴霧配管14が設けられ、水噴霧配管14はコンクリート側壁に沿って立ち上がった後に長手方向に分岐され、所定間隔で複数の水噴霧ヘッド12が接続されている。
【0022】
また自動弁装置10の2次側には予告放水配管18が設けられ、予告放水配管18はコンクリート側壁に沿って立ち上がった後に長手方向に分岐され、例えば水噴霧区間の風上となる上流側、即ち車両進入側に設置された予告放水ヘッド16に接続されている。予告放水ヘッド16は水噴霧ヘッド12に対し放水量が小さく、小容量の予告放水を行う。なお、トンネル入口にもっとも近い水噴霧区間については予告放水ヘッド16をトンネル入口に設けるようにしても良い。
【0023】
自動弁装置10は信号線28を介してセンタ制御装置20に接続されている。自動弁装置10はトンネル内の火災検知に基づきセンタ制御装置20から起動信号を受信して少量量の予告放水を予告放水ヘッドから行い、所定時間経過後に予告放水を停止して水噴霧ヘッド12からの本格放水を行う。
【0024】
センタ制御装置20に対してはポンプ制御盤22と防災受信盤24が設けられている。ポンプ制御盤22は、センタ装置20からの自動弁装置の起動に伴うポンプ起動信号を受けてポンプ設備を運転し、給水配管26に加圧した消火用水を供給する。
【0025】
防災受信盤24は図示しないトンネル内に設置された火災検知装置からの火災検知信号を受信して火災警報を行うもので、火災警報に連動してセンタ制御装置20に火災移報信号を出力して、火災発生地区に対応した自動弁装置10の遠隔起動を行わせる。
【0026】
図2は図1に設けた自動弁装置10の配管系と制御系の実施形態を示した説明図である。図2において、自動弁30に対しては、制御系機器として止め弁35、常時閉の遠隔起動弁(電動弁)34、常時閉の手動起動弁36、圧力調整弁38、自動排水弁40及び遠隔三方切替弁50を設けている。
【0027】
自動弁30の1次側には給水配管26が接続され、給水配管26には所定圧力の加圧消火用水が充填されている。自動弁30の2次側には制水弁32が設けられ、その2次側に遠隔三方切替弁50を配置している。
【0028】
遠隔三方切替弁50は共通ポートP0、第1ポートP1及び第2ポートP2を持ち、共通ポートP0に自動弁30の2次側を接続し、第1ポートP1に水噴霧配管14を接続し、水噴霧配管14には複数の水噴霧ヘッド12を接続している。遠隔三方切替弁50の第2ポートP2には予告放水配管18を接続し、予告放水配管18には予告放水ヘッド16を接続している。予告放水配管18は予告放水ヘッド16の放水容量が小容量であることから、水噴霧配管14に対し予告放水量に見合う小径の配管を使用している。
【0029】
また遠隔三方切替弁50は通常監視状態(初期状態 )で共通ポートP0を第2ポートP2に連通する位置に切り替わっており、センサ制御装置20から本格放水の起動信号を受けると、共通ポートP0を第1ポートP1に連通する位置に切り替わる。
【0030】
自動弁30はシリンダ室44にピストン46を摺動自在に入れたアクチュエータが設けられており、ピストン46の移動で弁体48を移動して弁を開放するようにしている。
【0031】
自動弁30の開放動作は、通常監視時は遠隔起動弁34により行われる。遠隔起動弁34としては電動弁を使用しており、図1のセンタ制御装置20でトンネル内での車両火災が防災受信盤24からの火災移報信号により確認されたとき、担当者の放水起動操作に基づく起動信号により遠隔起動弁34が開動作する。
【0032】
遠隔起動弁34が開くと、1次側の加圧水が止め弁35、遠隔起動弁34及び圧力調整弁38を介してシリンダ室44に供給され、ピストン46を左側にストロークして、弁体48を弁座からリフトして開放する。初期状態で遠隔三方切替弁50は第2ポートP2に連通していることから、予告放水配管18に加圧消火用水を供給し、予告放水ヘッド16から小容量の予告放水を行う。
【0033】
予告放水から所定時間経過すると、センタ制御装置20から本格放水の起動信号が遠隔三方切替弁50に送られ、遠隔三方切替弁50は第2ポートP2に連通する位置から第1ポートP1に連通する位置に切り替わり、予告放水ヘッド16からの予告放水を停止し、水噴霧ヘッド12からの本格放水を開始する。
【0034】
水噴霧ヘッド12からの放水停止は、センタ制御装置20から遠隔起動弁34に停止信号を送って閉動作を行わせる。遠隔起動弁34が閉じると、圧力調整弁38を経由したシリンダ室44に対する1次側からの加圧消火用水の供給が停止する。
【0035】
自動弁30の2次側と遠隔三方切替弁50を接続する配管とドレインとの間には、自動排水弁40が接続されている。自動排水弁40は、所定圧を超える圧力が加わると閉じ、圧力が所定値を下回ると開く弁である。このため圧力調整弁38を経由して自動排水弁40に加わる加圧消火用水の圧力が低下し、所定圧以下に低下すると、自動排水弁40が開放し、シリンダ室44の加圧消火用水は圧力調整弁38及び自動排水弁40を介してドレインに流れ、ピストン46がスプリングの力で右にストロークし、弁体48を弁座に戻し、自動弁30を閉鎖状態とする。自動弁30は手動起動弁36の現場操作によっても開放させることができる。
【0036】
自動弁30を閉鎖した際には、センタ制御装置20から遠隔三方切替弁50に切替信号を送り、第2ポートP2に連通する初期位置に戻す。
【0037】
図2の実施形態によれば、予告放水ヘッド16から小容量の予告放水を行った後に、水噴霧ヘッド12に切り替えて本格放水を行うため、予告放水の小容量の放水は専用の予告放水ヘッド16の放水量により一義的に決まり、自動弁30の1次側又は自動弁30そのものによる予告放水を小容量とするための圧力又は流量の2段階調整の機構や設備が不要となり、遠隔三方切替弁50、予告放水配管18及び予告放水ヘッド16という簡単な設備構成の追加で小容量の予告放水を可能とし、コスト的にも安価に実現できる。
【0038】
また水噴霧ヘッド12からの本格放水が開始されると予告放水ヘッド16からの予告放水は停止し、本格放水の放水量に影響を及ぼすことがなく、水源水槽の使用可能時間の減少も抑制できる。また従来の本格放水と同じヘッドを使った全てのヘッドからの予告放水よりも消火用水の放水区域を限定したことで、運転者の前方の視界の妨げをより防ぐことができ安全に避難を行うことができる。
【0039】
なお、図2の遠隔三方切替弁50に代え、水噴霧配管14と予告放水配管18の分岐部分のそれぞれに遠隔開閉弁(電動弁)を設け、いずれか一方を開放し他方を閉鎖することで、予告放水と本格放水を切り替えるようにしても良い。
【0040】
図3は図2の実施形態に設けた予告放水ヘッドによる旋回放水パターンを示した説明図であり、図3(A)にトンネル平面を、図3(B)にトンネル断面を示している。
【0041】
図3にあっては、予告放水ヘッドとして予告旋回放水ヘッド16aを使用している。予告旋回放水ヘッド16aとしては、例えばヘッド本体の先端に水圧を受けて回転する回転放出穴を有するヘッドであり、自動弁30の開放で遠隔三方切替弁50を介して予告放水配管18により加圧消火用水の供給を受けると、消火用水の放出による反力を受けてヘッドの噴出し部分が旋回し、スパイラル状に放水する旋回放水パターン60による予告放水をする。
【0042】
このようにヘッドから旋回による動きのあるパターンで予告放水が行われるため、本格放水とは明らかに異なる放水パターンで放水し、本格放水を行う放水区間に向けて走行してくる自動車の運転者は予告放水による警告に確実に気付いて緊急停止することが可能となる。
【0043】
また、回転式ヘッドを採用することにより、従来のヘッドよりも少ない水量で遠くに放水することも可能となる。さらに回転ヘッドによる放水により、放水後の消火用水を分散させて粒子径を小さくして放水することができ、従来の本格放水と同じヘッドを使った予告放水よりも運転者の前方の視界の妨げをより防ぐことができ安全な避難が可能となる。
【0044】
なお、予告旋回放水ヘッド16aは自動弁30の付近に設けても良いし、水噴霧ヘッド12の間隔よりも広い間隔で複数個配置して、各ヘッドの放水パターンが近接しないように配置して運転者の良好な視界を確保して放水を行うようにしても良い。放水区域の両端に予告旋回放水ヘッド16a設けて、放水区域を挟むように予告放水を行うようにしても良い。
【0045】
図4は図2の実施形態に設けた予告放水ヘッドによるフラット放水パターンを示した説明図であり、図4(A)にトンネル平面を、図4(B)にトンネル断面を示している。
【0046】
図4にあっては、予告放水ヘッドとして予告フラット放水ヘッド16bを使用している。予告フラット放水ヘッド16bとしては、例えばトンネル断面方向に長い長方形状の放水穴を有するヘッドであり、自動弁10の開放で遠隔三方切替弁50を介して予告放水配管18により加圧消火用水の供給を受けると、トンネル断面方向に広がったフラット放水パターン62による予告放水をする。
【0047】
フラット放水パターン62は少ない放水量であっても、幅は薄いが大きく広がる放水パターンとなる予告放水が行われ、本格放水を行う放水区間に向けて走行してくる自動車の運転者は予告放水による警告に確実に気付いて緊急停止することが可能となる。
【0048】
なお、本実施形態に使用する予告放水ヘッド16としては、図3及び図4のヘッド以外に小容量のヘッドであれば適宜のヘッドを使用することができる。
【0049】
図5は図1に設けた自動弁装置10の配管系と制御系の他の実施形態を示した説明図である。図5において、自動弁30に対しては、制御系機器として止め弁35、遠隔起動弁(電動弁)34、手動起動弁36、圧力調整弁38及び自動排水弁40を設けている。
【0050】
この構成は、図2の実施形態の遠隔三方切替弁50を除いて水噴霧配管14を制水弁32の2次側に直接接続した構成と同じであり、自動弁50の開閉動作も図2の実施形態と基本的に同じになる。
【0051】
本実施形態において予告放水設備は、自動弁50の1次側から予告放水配管18を分岐して予告放水ヘッド16を接続しており、予告放水配管18の途中に遠隔予告放水弁52を設けている。
【0052】
本実施形態の動作は、図1のセンタ制御装置20から、まず遠隔予告放水弁52に開制御信号を送って開動作し、給水配管26からの加圧消火用水を直接に予告放水ヘッド16に供給して予告放水をする。
【0053】
予告放水の開始から所定時間を経過すると、センタ制御装置20は遠隔予告放水弁52に閉制御信号を送って閉鎖させ、同時に遠隔起動弁34に起動信号を送り、自動弁30の開動作を行い、開放した自動弁30から水噴霧配管14を介して加圧消火用水を供給して水噴霧ヘッド12から本格放水をする。
【0054】
図5の実施形態によれば、予告放水弁52の開動作で予告放水ヘッド16から小容量の予告放水を行った後に、自動弁30の起動により水噴霧ヘッド12から本格放水するため、予告放水の小容量の放水は専用の予告放水ヘッド16の放水量により一義的に決まり、自動弁30の1次側又は自動弁10そのものによる予告放水を小容量とするための圧力又は流量の2段階調整の機構や設備が不要となり、遠隔三方切替弁50、予告放水配管18及び予告放水ヘッド16という簡単な設備構成の追加で小容量の予告放水を可能とし、コスト的にも安価に実現できる。また予告放水ヘッド16を本格放水のヘッド位置とは関係なく運転者に予告するのに最適な場所に配置して予告を行うことができる。
【0055】
また水噴霧ヘッド12からの本格放水が開始されると予告放水弁52を閉鎖することで予告放水ヘッド16からの予告放水は停止し、本格放水の放水量に影響を及ぼすことがなく、水源水槽の使用可能時間の減少も抑制できる。
【0056】
なお、上記の実施形態にあっては、センタ制御装置20からの信号で、予告放水を開始し、所定時間後に予告放水を停止して本格放水に切り替えているが、センタ制御装置20からは起動信号のみを自動弁装置10に送り、自動弁装置10側に設けた制御装置により予告放水を開始し、所定時間後に予告放水を停止して本格放水に切り替えるようにしても良い。
【0057】
予告放水用の各ヘッドは、運転者へ本格放水の予告を行うものであるから、本格放水のような車道に向けて直接噴霧するものに限らず、トンネル上面や側壁面方向に放水し、運転者へ予告放水を行う構成として運転者の視界の妨げをより防ぐようにしてもよい。
【0058】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0059】
10:自動弁装置
12:水噴霧ヘッド
14:水噴霧配管
16:予告放水ヘッド
16a:予告旋回放水ヘッド
16b:予告フラット放水ヘッド
18:予告放水配管
26:給水配管
28:信号線
30:自動弁
34:遠隔起動弁
36:手動起動弁
40:自動排水弁
50:遠隔三方切替弁
52:遠隔予告放水弁
60:旋回放水パターン
62:フラット放水パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内に設けられ、所定の放水区画内に放水する水噴霧ヘッドと、
開放動作により前記水噴霧ヘッド側に加圧水を供給する自動弁と、
前記放水区画内又はその前方に設けられ、前記水噴霧ヘッドよりも小容量の予告放水を行う予告放水ヘッドと、
前記自動弁の2次側に設けられ、前記自動弁の二次側に前記水噴霧ヘッドを接続するか前記予告放水ヘッドを接続するか切り替える切替弁と、
前記自動弁の起動開始時は前記切替弁を前記予告放水ヘッドに接続し小容量の予告放水を行い、所定時間後に前記切替弁を前記水噴霧ヘッドに接続し前記予告放水ヘッドからの予告放水を停止すると同時に前記水噴霧ヘッドから本格放水を行わせる制御装置と、
を設けたことを特徴とするトンネル水噴霧設備。
【請求項2】
トンネル内に設けられて所定の放水区画内に放水する水噴霧ヘッドと、
開放動作により加圧水を前記水噴霧ヘッドへ供給する自動弁と、
前記放水区画又はその前方に設けられ、前記水噴霧ヘッドよりも小容量の予告放水を行う予告放水ヘッドと、
前記自動弁の1次側を前記予告放水ヘッドに接続する予告放水配管と、
前記予告放水配管に設けられ開閉動作する予告放水弁と、
前記自動弁の起動開始に先立ち前記予告放水弁を開放して前記予告放水ヘッドから小容量の予告放水を行い、所定時間後に前記自動弁を起動して前記水噴霧ヘッドから本格放水を行わせる制御装置と、
を設けたことを特徴とするトンネル水噴霧設備。
【請求項3】
請求項2記載のトンネル水噴霧設備に於いて、前記制御装置は、前記自動弁を起動して前記水噴霧ヘッドから放水を開始するときに前記予告放水弁を閉鎖して前記予告放水ヘッドからの予告放水を停止することを特徴とするトンネル水噴霧設備。
【請求項4】
請求項1又は2記載のトンネル水噴霧設備に於いて、前記予告放水ヘッドは、旋回放水ヘッド又はフラット放水ヘッドを備えたことを特徴とするトンネル水噴霧設備。
【請求項5】
請求項1又は2記載のトンネル水噴霧設備に於いて、前記予告放水ヘッドは、トンネル上面及び又は側壁面方向に放水することを特徴とするトンネル水噴霧設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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