説明

トンネル電流検知を使用する微小電気機械システム(MEMS)をベースにしたセンサを較正するための方法およびシステム

【課題】微小電気機械システム(MEMS)センサの第1の要素(40a)と第2の要素(40b)の間のトンネル電流(42)を制御する。
【解決手段】システムは、各要素間にトンネル電流を供給するトンネル電流励起源(50)、および少なくとも1つの要素の動きに応答したトンネル電流の変化を監視するトンネル電流モニタ(52)を備える。システムはまた、各要素のうちの少なくとも1つを位置決めする位置決め装置(86)と、位置決め装置を制御して、システムを参照モードで構成するために、各要素のうちの少なくとも1つを、各要素間の第1の間隔で配置し、ならびにシステムを検知モードで構成するために、各要素を第2の間隔で配置し、それにより、システムは参照モードに対して較正される、トンネル電流モニタと連通した制御装置(88)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に電流および磁界の検知装置に関する。より詳細には、本開示は、トンネル電流検知を使用する微小電気機械システム(MEMS)電流センサおよび磁界センサに関する。
【背景技術】
【0002】
導電体(current carrying conductor)は、導電体の近傍に磁界を発生することが知られている。導電体によって生じる磁界は、その導電体によって生じる磁界内に配置された他の導電体との間に力を誘起できることも知られている。したがって、電流を検知するのに使用される1つの手法は、導電体内を流れる電流によって誘起される磁界を測定するセンサの使用を含む。生成された磁界は、導電体内を流れる電流に比例するので、このようなセンサは、磁界の大きさを使用して電流値を決定することができる。
【0003】
磁界を使用して電流を測定する電流センサは、高電圧回路に接触する必要がないので、安全の点では高電圧の用途に適している。しかし、高電圧の用途で磁界を使用して電流を測定する既存の電流センサに関しては、いくつか不利な点がある。一般に、既存の電流センサは、起こり得る電流フローのレベル変化に耐えることができる厚みのある導体を必要とするので、波形率(form factor)は大きくなる傾向にある。この電流フローで加熱が生じ、それにより、電流センサの効率が低減し、センサ精度での誤り要因となる可能性がある。既存の電流センサは、大きくかさばるので、その物理的および電気的な動作特性により、より小さい規模の環境では、これまでその使用が妨げられてきた。
【特許文献1】米国特許第7,112,951号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、改良された微小電気機械システム(MEMS)センサが提供されることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の一例では、本発明は、微小電気機械システム(MEMS)センサの第1の要素と第2の要素の間のトンネル電流を制御するシステムを含み、第1の要素および第2の要素は互いに相隔たり、少なくとも第1の要素は、刺激が少なくとも第1の要素に作用するのに応答して、第2の要素に対して移動可能である。このシステムは、MEMSセンサの第1の要素と第2の要素の間にトンネル電流を供給するトンネル電流励起源、および第2の要素に対して少なくとも第1の要素が移動することに応答してトンネル電流が変化することを監視するためのトンネル電流モニタを備える。このシステムはまた、第1の要素および第2の要素のうちの少なくとも1つを互いに対して位置決めするための位置決め装置と、参照モードでシステムを構成するために、第1の要素と第2の要素の間の第1の間隔で、第1の要素および第2の要素のうちの少なくとも1つを位置決めするための位置決め装置、ならびに検知モードでシステムを構成するために、第2の間隔で、第1の要素および第2の要素のうちの少なくとも1つを位置決めするための位置決め装置を制御するための、トンネル電流モニタと連通している制御装置とを備え、それにより、システムは参照モードに対して較正される。
【0006】
実施形態の別の例では、本発明は、微小電気機械システム(MEMS)センサの第1の要素と第2の要素の間のトンネル電流を制御するための方法を含み、第1の要素および第2の要素は互いに相隔たり、刺激が第1の要素および第2の要素のうちの少なくとも1つに作用するのに応答して、少なくとも第1の要素は、第2の要素に対して移動可能である。この方法は、MEMSセンサの第1の要素と第2の要素の間にトンネル電流を生成するためのトンネル電流励起源を設けるステップ、および第2の要素に対して少なくとも第1の要素が移動することに応答してトンネル電流が変化することを監視するためのトンネル電流モニタを設けるステップを含む。この方法は、参照モードでシステムを構成するために、第1の要素と第2の要素の間の第1の間隔で、第1の要素および第2の要素のうちの少なくとも1つを位置決めするステップと、検知モードでシステムを構成するために、第1の間隔とは異なる第2の間隔で、第1の要素および第2の要素のうちの少なくとも1つを位置決めするステップとをさらに含み、それにより、システムは参照モードに対して較正される。
【0007】
添付図を参照して以下の詳細な説明を読むとき、本発明の上記その他の特徴、態様、および利点がよりよく理解されよう。添付図においては、各図面を通して同じ文字は同じ部分を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、電流検知用に構成されたMEMSセンサの各実施形態を説明するが、他の物理的現象によって生成されセンサに加えられる刺激に応答して、その物理的現象を検知するために、それだけには限らないが、例示的な各実施形態も使用してよいと考えられる。図1には、本明細書に記載され以下で全体的に「電流センサ100」と呼ばれている、電流および磁界を検知するように構成されたMEMSセンサの例示的な実施形態が示してある。図に示すように、電流Iを運ぶ導体4は、磁界20を生成する。本開示の一実施形態によれば、電流センサ100を使用して、導電体と物理的に接触することなく、導電体4内の電流Iを検知することができる。図示した実施形態によれば、MEMS電流センサ100は、電流Iによって生成される磁界20内に電流センサ100が配置されるときに生じるローレンツ力を使用することにより、導体4によって運ばれる電流Iを検知し決定するように動作する。一実施形態では、電流センサ100は、磁界を検知し、それに応答して、測定すべきそれぞれの導体内に存在する電流を表示するためのトンネル電流ベースの磁気MEMS構成部品を有する磁界検知構成部品を備える。
【0009】
本明細書に記載の電流センサ100などMEMSベースの電流および磁界のセンサの有利なサイズにより、スペースが限られている用途での電流の検知が容易になる。さらに、MEMSベースの構成部品を使用することで、非常に正確で、高信頼で、頑強で、検知されている電流に対する誤りが皆無かそれに近い電流センサが実現する。少なくとも部分的には、MEMS電流センサ100を使用して電流を検知するための、本明細書に記載の非接触検知方法により、MEMS電流センサ100は、検知されている電流の大きさおよび/または方向に影響を及ぼさないことが好ましい。たとえば、MEMSベースの構成部品の寸法およびその感度を考慮すると、MEMS電流センサ100は、検知されまたは測定されている電流における、測定可能ないかなるばらつきまたは変化をももたらさないまたは引き起こさないことが好ましい。さらに、MEMS電流センサ100は、既存の電流センサをしのいで、その費用が低減されることおよびサイズが著しく低減されることで有利である。さらに、マイクロリソグラフィ技術および微細加工技術のおかげで、確度および精度が増すことにより、MEMS電流センサ100の製造は有利になる。
【0010】
現在、MEMSは一般的に、たとえば、微細加工技術により共通の基板上にいくつかの様々な要素、たとえば、機械要素、電気機械的要素、センサ、アクチュエータ、および電子装置を集積することができるミクロン規模の構造体を指す。しかし、MEMS装置において現在使用可能な多くの技法および構造は、ほんの2、3年で、ナノテクノロジーベースの装置、たとえば、サイズが100ナノメートルより小さくてもよい構造体を用いて使用可能になることが企図される。したがって、この文書全体を通して説明している実施形態の例は、MEMSベースの装置を指してもよいが、本発明のうちの発明性のある各態様は、広義に解釈すべきであり、ミクロンサイズの装置に限定すべきではないと思われる。
【0011】
図2は、MEMSベースの電流センサ100のMEMSベースの磁界検知構成部品25の一実施形態を示す概略図である。MEMSベースの磁界検知構成部品25は、磁界20などの磁界を検知し、導体4など対応する導電体内の電流を表示する。検知された電流の表示には、検知されている電流に関する振幅および方向成分の両方が含まれ得る。一実施形態では、検知された電流の表示は、検知されている電流の電気的な表示である。
【0012】
図2に示した実施形態では、MEMSベースの磁界検知構成部品25は、トンネル電流ベースの磁気MEMS構成部品30、出力構成部品70、および補償装置55を備える。トンネル電流ベースの磁気MEMS構成部品30は、磁界を検知し、それに応答して、検知された磁界を対応する電流Iの機械的な表示器に変換する。出力構成部品70は、測定されている導体内の電流Iを示す出力を出す。一実施形態では、出力構成部品70からの出力は、測定されている導体内を流れる電流の振幅および符号を示し表す電気信号の形をとってもよい。さらなる処理のために、出力構成部品70は、メモリ、指示器(たとえば、表示画面)、および/または他の装置もしくは機器(たとえば、デジタル信号プロセッサまたはコンピュータベースのアナライザ)とインターフェースしてもよい。
【0013】
図示した実施形態では、トンネル電流ベースの磁気MEMS構成部品30は、電流Iの磁気的な表示を機械的変化に変換するための磁気機械変換器35を備える。一実施形態では、磁気機械変換器35は、コイルなどの導体でもよい。さらに、図示されたトンネル電流ベースの磁気MEMS構成部品30は、トンネル電流ベースの磁気MEMS構成部品30に対する構造用支持具を実現するための構造用構成部品40を備える。構造用構成部品40は、1つまたは複数の異質なまたは均質な構造体、装置、材料、アセンブリ、サブシステムなどを表してもよい。たとえば、一実施形態では、構造用構成部品40は、第1の固定要素の形での第1の構造用要素、および可動要素の形での第2の構造用要素を表してもよい。一実施形態では、構造用構成部品40は、磁気機械変換器35がもたらす機械的な変化に応答し、電流Iを表す機械的な表示器を実現する。機械的な表示器は、磁界の検知を登録またはそうでなければ表示する構造用構成部品40によってもたらされる動きを表してもよい。一実施形態では、機械的な表示器は、構造用構成部品40の変位でもよい。一実施形態では、構造用構成部品40には、1つまたは複数のディフレクタブルメンブラン(deflectable membrane)、片持ちばり、ビーム、ダイヤフラム、曲げ材、空洞、表面微細加工された構造体、バルク微細加工された構造体、くし形構造体、ブリッジ、またはどんな数の他の構造装置も含まれ得る。さらに、構造用構成部品40によって実現される機械的な表示器は、機械的な表示器のベクトル空間値を表してもよく、機械的な表示器のベクトル空間値を表すのに使用することができる、関連する振幅、方向、速度、およびそれらの他のあらゆる特性のうちの1つまたは複数を含む。
【0014】
一実施形態では、トンネル電流ベースの磁気MEMS構成部品30は、構造用構成部品40によって実現される機械的な表示器を検知された電流Iを表す電気信号に変換するための電気的な変換器75への、少なくとも1つの機械的変化を含む。一実施形態では、機械電気変換器75は、出力段80による判読および/またはさらなる処理のために、検知された機械的な表示器を変換する。一実施形態では、機械電気変換器75は、トンネル電流技法に基づく。具体的には、機械電気変換器75には、トンネル電流構成部品82を有するトンネル電流回路76が含まれ得る。一実施形態では、構造用構成部品40の固定要素と検知された電流Iに応答して変位する可動要素との間のトンネル電流を確立し、監視し、維持するようにトンネル電流構成部品82を構成してもよい。
【0015】
トンネル電流構成部品82は、たとえば、位置決め装置86と一緒に動作して、それとの間のトンネル電流を確立するトンネルチップ(tunneling tip)84などのトンネル電流集束要素に結合されてもよい。本発明の一態様では、トンネルチップ84と位置決め装置86の間のトンネル電流の値は、可動要素の変位を示してもよい。一実施形態では、位置決め装置86には、たとえば、構造用構成部品40の固定要素および可動要素のうちの1つまたは両方に配置された、1つまたは複数の電極が含まれ得る。たとえば、可動要素上に配置された位置決め装置86の電極は、固定要素上に配置されたトンネルチップ82と対にされて、トンネルチップ84と電極の間のトンネル電流を確立するためのトンネルチップ/電極対を形成してもよい。
【0016】
一実施形態では、補償装置55を使用して、磁界の強さを機械的に示すための磁気機械変換器35のコイル内にバイアス電流を確立してもよい。補償装置55を使用して、たとえば、機械的許容範囲、センサのエージング、温度、環境要因、などによる影響を補償してもよい。補償装置55には、励起源(電流源など)60および制御装置65が含まれ得る。励起源60は、MEMS電流センサ100が使用するための励起量(excitation quanta)(すなわち、励起エネルギー量)を供給してもよい。制御装置65は、たとえば、励起源60の励起量の切換および印加を制御してもよい。制御装置65は、たとえば、スイッチ、アナログプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、デジタルコンピューティング装置、またはアナログコンピューティング装置でよい。この例では、制御装置は、磁気機械変換器35に供給されるバイアス電流の少なくともオン、オフ、および値を制御する。
【0017】
図2の出力構成部品70、トンネル電流ベースの磁気MEMS構成部品30、および補償装置55は別個の構成部品として示してあるが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、これらの構成部品およびそれらそれぞれの機能ブロックをさらに組み合わせ、またはさらに分割することができる。
【0018】
図3には、トンネル電流ベースの磁気MEMS構成部品30の一実施形態が示してある。図3では、トンネル電流ベースの磁気MEMS構成部品30は、第1の構造用要素40a、および第1の構造用要素40aの実質上反対側に配置される第2の構造用要素40bとして示される構造用構成部品40を備える。図3に示されるように、第1の構造用要素40aは固定要素でよく、第2の構造用要素40bは、第1の構造用要素40aとの間隔が空けられ、第1の構造用要素40aに対して移動可能な可動要素でよい。たとえば、第2の構造用要素40bには、支持端46bに固定され自由端46aで自由に移動することができる片持ちばりが含まれ得る。
【0019】
一実施形態では、第2の構造用要素40bは、コイルが電流によって励振されるときに磁界に応答する、導体コイルなどの機械的検知構成部品45を備える。第1の機械的検知構成部品45は、機械的検知構成部品45に含まれるまたは結合される導電性の領域または材料(本明細書では「電極」と呼ばれている)を表してもよい。一実施形態では、第1および第2の構造用要素40aおよび40bは、それぞれ第1および第2の基板を表す。たとえば、機械的検知構成部品45は、シリコンなどの基板上に配置されたまたは基板内に形成された、金属など、各々導体材料の層、領域、または配線を表してもよい。一実施形態では、第1の構造用要素40aは、中に空洞を有する基板28を表す。
【0020】
別の実施形態では、構造用要素40a、40bは、それぞれ第1および第2のトンネル電流回路要素41aおよび41bを備える。トンネル電流回路要素41aおよび41bは、それぞれ第1および第2の構造用要素40a、40bに含まれるまたは結合される電極を表してもよい。第1のトンネル電流回路要素41aは、第1のトンネル電流回路要素41aと第2のトンネル電流回路要素41bとの間に確立されるトンネル電流42を検知するためのトンネルチップとして構成してもよい。第1の構造用要素40aにはまた、第1の構造用要素40aに含まれるまたは結合される電極などの、位置決め要素43が含まれ得る。位置決め要素43は、機械的検知構成部品45と一緒に動作し、図2の位置決め装置86などに対して、第1の構造用要素と第2の構造用要素の間の分離距離dを制御するように構成されてもよい。
【0021】
一実施形態によれば、トンネル電流ベースの磁気MEMS構成部品30の動作中、第1の構造用要素40aと第2の構造用要素40bとの間に差動電圧を加えてもよく、それにより、トンネル電流回路要素41aと41bの間にトンネル電流42が生じる。トンネル電流回路要素41aと41bの間のトンネル電流42の値は、要素41aと41bの間の距離dの関数なので、距離dが変化すると、トンネル電流42の値の変化など、対応する変化がトンネル電流42内に生じることになる。図4には、トンネル電流回路要素41aと41bの間の距離dが増加するのに応じて、トンネル電流42の値がどのように変化することがあるのかを示す例示的なグラフ19が示してある。グラフ19上の点11は、d=0のとき、たとえばトンネル電流回路要素41aおよび41bが接触しているときのオーム性伝導状態を示す。この状態では、トンネル電流42は、一定のオーム接触電流になる。グラフ19上の点12は、dが十分に大きく、その結果トンネル電流回路要素41aと41bの間にトンネル電流が存在しないときの開路状態を示す。点11と12の間では、曲線17は、トンネル電流段階13でのトンネル電流42の指数型変化を表す。したがって、トンネル電流回路要素41aと41bの間の距離dは、トンネル段階(tunneling phase)でのトンネル電流の検知された値に基づいて求めてもよい。
【0022】
図3で示した実施形態に戻ると、トンネル電流ベースの磁気MEMS構成部品30が外部の導電体の近傍に配置され、わずかなバイアス電流が磁気機械変換器35の第1の機械的検知構成部品45内を流れるときに、外部の導体によって生成される磁界が磁気機械変換器35に力(たとえば、ローレンツ力)を作用させるように、機械的検知構成部品45を備える磁気機械変換器35は、第2の構造用要素40aに結合されてもよい。使用されるバイアス電流は、マイクロアンペア(μA)またはミリアンペア(mA)の範囲でよいが、典型的なバイアス電流は、1〜10mAでもよい。さらに、トンネル電流ベースの磁気MEMS構成部品30の修正なしに、DCまたはACバイアス電流を使用してもよい。さらに、装置の共振周波数と一致する周波数でACバイアス電流を駆動することにより、装置の感度をさらに増大させることが可能である。
【0023】
ローレンツ力により、第2の構造用要素40b(たとえば可動要素)は、磁界の方向に応じて、第1の構造用要素40aの平面に本質的に垂直な方向で第1の構造用要素40aに近づきまたは遠ざかるように、支持端46bの周りで自由端46aにおいてたわむことになる。第2の構造用要素40bに生じるたわみの振幅および方向は、電流I(図1参照)およびその極性に比例する。したがって、電流導体内を流れる電流Iは、第2の構造用要素40b内に生じるたわみの度合いに基づいて検知されてもよい。その結果生じるたわみは、距離dを増大または減少させ、引き続き、たとえば図4のトンネル曲線17に従って、トンネル電流42の値を変化させる。トンネル電流42の値を検知することによって、距離dを求めてもよい。
【0024】
主にローレンツ力を使用することに関連して議論してきたが、磁気機械変換器35は、相互インダクタンス、可動ループ、および/または外部の導電体によって生成される磁界を使用するように修正してもよい。さらに、他の特性関係を使用して、検知されている電流に応じた機械的な表示器の機械的な表示(a mechanical indicator of the mechanical indicator)を得てもよい。
【0025】
一実施形態では、力平衡または平衡状態を得るため、および/または能動検知もしくはゼロバランス検知を実行するために、ローレンツ力を生成するコイルとして形成される電流導電性電極などの位置決め要素43を使用してもよい。たとえば、トンネル電流回路要素41aと41bの間の基準電流値(たとえば、図4の曲線17上の点15)など、所望のトンネル電流値を維持するために、位置決め要素43を使用して距離dを制限してもよい。実施形態の一例として、図4の曲線17上の点15は、基準距離に対応する基準電流値として選択してもよい。第2の構造用要素40bを基準距離から遠ざけてたわませるように作用する静電力または磁力などの力は、第2の構造用要素40bをトンネル電流回路要素41aと41bの間の距離dにまで戻すことにより、ゼロにしてもよい。たわんだ第2の構造用要素40bを基準距離まで戻すのに必要となる復元力の測定値を変換して、たわみを引き起こすローレンツ力を生成する導体内を流れる電流の値を示してもよい。たわんだ第2の構造用要素40bを基準距離に戻すのに十分な、磁気機械変換器35上の所望のローレンツ復元力を生み出す磁界を生成するために、位置決め要素43内の電流を制御することにより、復元力を生成してもよい。
【0026】
前述のMEMS電流センサなど、トンネル電流ベースのMEMSセンサでは、センサのトンネルチップと整合電極の間の間隔を制御することが望ましい。重要なことには、オフセット電圧または温度応答性の回路変化など、電子装置における製造プロセスまたは様々な不完全性によって保証される精度よりもよい精度にまで間隔をより小さく維持することが必要になることがある。間隔が大き過ぎる場合、トンネル電流は小さ過ぎて測定できない、または始動しないことになる。間隔が小さ過ぎる場合、オーム接触により、センサの測定挙動が変わることもある。したがって、各検知要素の正確な間隔、および一貫したトンネル電流動作点の維持は、トンネル電流ベースのセンサでは重要である。
【0027】
図5は、図2のMEMSベースの磁界検知構成部品25など、MEMSセンサにおいてトンネル電流を制御するのに使用してもよい、トンネル電流制御システム90の一例のブロック図である。トンネル電流制御システム90には、トンネル電流構成部品82、および図3に示すようなトンネル電流ベースの磁気MEMS構成部品30の第1の構造用要素40aと第2の構造用要素40bとの間のトンネル電流を制御するための関連要素が含まれ得る。第1の構造用要素40aおよび第2の構造用要素40bは、互いに距離dだけ離れていてもよい。要素40a、40bのうちの1つまたは両方は、要素40a、40bのうちの1つまたは両方に作用する刺激に応答して、互いに対して移動可能でもよい。トンネル電流構成部品82には、第1の構造用要素40aと第2の構造用要素40bとの間にトンネル電流42を供給するためのトンネル電流励起源50が含まれ得る。トンネル電流励起源50は、トンネル電流回路要素41aと41bの間の距離dを監視するために使用してもよいトンネル電流を生成するように構成してもよい。たとえば、トンネル電流励起源50は、トンネル電流42を生成するための電流源の役割を果たしてもよい。別の実施形態の例では、トンネル電流励起源50は、第1の構造用要素40a上のトンネルチップ41aと、第2の構造用要素40b上の、トンネルチップ41aの反対側の電極41bとの間に差動電圧を加えることなどにより、要素40a、40bの間に電位差を生成してもよい。
【0028】
トンネル電流構成部品82にはまた、要素40a、40bのうちの1つまたは両方の互いに対する動きに応答するトンネル電流42での変化を監視するためのトンネル電流モニタ52が含まれ得る。位置決め装置86は、第1の要素40aおよび第2の要素40bのうちの少なくとも1つを互いに対して位置決めするように構成されてもよい。図3に示すように、位置決め装置86には、位置決め要素43および/または電極41bが含まれ得る。位置決め要素43には、要素40a、40bを互いに対して位置決めするように構成される静電素子、磁気素子、熱素子、および/または圧電素子が含まれ得る。
【0029】
トンネル電流構成部品82にはまた、第1の構造用要素40aおよび第2の構造用要素40bのうちの少なくとも1つを所望の間隔で位置決めするための位置決め装置86を制御するための、トンネル電流モニタ52と連通しているトンネル電流制御装置88が含まれ得る。初めに、要素40a、40bを、それらの間のオーム接触タイプの電流を達成するために互いに十分近接して位置決めし、次いで、要素40a、40bを、所望のトンネル電流を達成するために互いに十分に離れるように位置決めすることにより、電気的なおよび/または機械的なバイアスなどのバイアスを取り除くように、センサを構成しまたは較正してもよいことが、発明者には革新的に理解されてきた。たとえば、結果として構造用要素40a、40bの装置間の間隔がばらつき、その結果これら様々な間隔に対応するトンネル電流の動作値における対応する差となることがある製作公差を補償するために、このような較正技法を使用してもよい。
【0030】
実施形態の一例として、MEMSベースの磁界検知構成部品25の各構造用要素は、100nmの範囲のサイズでよい。現行のMEMS製造技法を使用すると、このような小さなスケールでは、十分に厳しい公差を維持することが難しいことがある。したがって、図4の曲線17上の点11と12の間で所望のトンネル電流を達成するための一貫した要素間隔など、所望のモードで動作するようにトンネルベースのMEMS電流センサを構成してもよいようにするために、本明細書に記載の較正技法の例は、製作公差および/または他の機械的な差に関連する問題を解決する助けとなることがある。さらに、ここで述べるMEMSセンサは、10ナノアンペアの範囲で動作してもよいので、電気的なバイアスを取り除いて、一貫した動作を確実にすることは重要である。したがって、この較正技法を使用して、電気構成部品の動作時の差、ならびに/または、時間経過および/もしくは温度による構成部品のドリフトの結果生じることがあるバイアスを補償してもよい。
【0031】
図6は、トンネル電流構成部品82の一例の回路図である。トンネル電流構成部品82には、図3の要素41aおよび41bなど、各トンネル電流回路要素間の距離dを監視するのに使用されるトンネル電流を生成するように構成されるトンネル電流励起源50が含まれ得る。たとえば、トンネル電流発生器50は、要素41aと41bの間のトンネル電流を生成することができる両者間の電位を確立するように構成されてもよい。
【0032】
トンネル電流構成部品82にはまた、生成されたトンネル電流を監視するためのトンネル回路モニタ52が含まれ得る。たとえば、トンネル回路モニタ52には、トンネル電流回路要素41aおよび41bにおけるそれぞれの電圧を比較するための比較器56が含まれ得る。それぞれの電圧間の比較に基づいて、比較器56は、図3の位置決め要素43を駆動して、トンネル電流回路要素41bと41aの間の所望のトンネル電流を維持するために、第1の構造用要素40aに対して第2の構造用要素40bを位置づけるための位置決め信号58を生成してもよい。位置決め信号58に基づいて位置決め要素43を駆動するための電力は、電圧源55が含まれ得るドライバ回路54によって供給されてもよい。
【0033】
実施形態の一例では、トンネル電流構成部品82は、MEMSベースの磁界検知構成部品25内の電気的および/または機械的なバイアスなどのバイアスを取り除くように、構成されまたは較正されてもよい。したがって、たとえばトンネル電流モニタ52と連通している制御装置88は、位置決め装置86を制御して、参照モードにおいてトンネル電流制御システム90を構成するための構造用要素40a、40bの間の第1の間隔で、第1の構造用要素40aおよび第2の構造用要素40bのうちの少なくとも1つを位置づけるように構成されてもよい。参照モードには、図6のトンネル回路要素41a、41bの間のオーム接触から生じるオーム伝導電流状態などの基準電流状態が含まれ得る。オーム接触は、制御装置88によって指令されて、1つまたは両方の要素40a、40bを十分に近づけて、トンネル回路要素41a、41bの間のオーム接触を生じるように位置決め装置43を操作してもよい。別の実施形態では、参照モードには、基準抵抗状態が含まれ得る。基準抵抗状態には、トンネル回路要素41a、41bの間のオーム接触を表す不変抵抗などの線形抵抗特性が含まれ得る。
【0034】
トンネル電流制御装置88はまた、構造用要素40a、40bのうちの少なくとも1つまたは両方を、検知モードにおいてトンネル電流制御システム90を構成するための第1の間隔とは異なる第2の間隔で位置決めするように構成されてもよく、それにより、トンネル電流制御システム90は、参照モードに対して較正される。たとえば、トンネル電流制御装置88は、構造用要素40a、40bの間隔をさらに空けることなどにより、構造用要素40a、40bを参照モード位置から遠ざけるように構成してもよい。トンネル電流制御装置88は、センサに近接した導体内を流れる電流によって誘起される磁力など、センサに作用する他の刺激によるトンネル電流の変化を検知するために、トンネル回路要素41a、41bの間に所望のトンネル電流が生じるように、構造用要素40a、40bを位置づけしてもよい。たとえば、トンネル電流制御装置88は、図4の曲線17上の点11と12の間でトンネル電流を達成するため、構造用要素40a、40bを位置決めするように構成されてもよい。
【0035】
トンネル電流制御装置82には、参照モードにおいてMEMSベースの磁界検知構成部品25を構成するために、位置決め装置86を制御して第1の要素40aおよび第2の要素40bを十分に近づけ、次いで、第1の要素40aおよび第2の要素40bを離して検知モードに移動させるための、バイアス電圧発生器などの第1の制御回路92が含まれ得る。たとえば、第1の制御回路92は、比較器56への入力における電圧を制御して、要素40a、40bを移動させるための適切な信号58を生成してもよい。第1の制御回路92には、位置決め装置86を励振するための可変電圧を供給するための、デジタルポテンショメータなどの分圧器回路網(voltage divider network)94が含まれ得る。別の実施形態の例では、第1の制御回路90には、位置決め装置86を励振するためのアナログ可変電圧を供給するためのデジタル−アナログ変換器92(点線で示す)が含まれ得る。
【0036】
別の実施形態の例では、トンネル電流制御装置82には、トンネル電極41bとトンネル電流集束要素41aとの間の電位差を制御するための第2の制御回路96が含まれ得る。たとえば、第2の制御回路92は、トンネル電極41bの電圧を制御して、トンネル電極41bとトンネル電流集束要素41との間の所望の電位差を生成してもよい。第2の制御回路96には、所望の電位差を生成するための可変電圧を供給するための、デジタルポテンショメータなどの分圧器回路網98が含まれ得る。別の実施形態の例では、第1の制御回路96には、アナログ可変電圧を供給して所望の電位差を生成するためのデジタル−アナログ変換器92(点線で示す)が含まれ得る。
【0037】
図7は、図5および6に示されるセンサなど、微小電気機械システム(MEMS)センサの第1の要素と第2の要素との間のトンネル電流を制御するための方法の一例の流れ図102である。この方法には、第1の構造用要素40aと第2の構造用要素40bとの間の電位を変化または掃引させるステップ104と、要素のうちの1つまたは両方を移動してオーム性伝導状態を識別するステップ106により、オーム性伝導状態を決定するステップが含まれ得る。この方法には、たとえば、変化した電位、およびその変化した電位に応答して第1の要素40aと第2の要素40bの間で生成される電流42に基づいて、抵抗特性を決定するステップ108が含まれ得る。抵抗特性が、非線形関係などの非オーム伝導を示す関係を含むとき(ステップ110)、この方法には、繰返しステップ104〜108が含まれ得る。抵抗特性が、線形関係などのオーム伝導を示す関係を含むとき(ステップ110)、この方法には、オーム性伝導状態を識別するステップ112と、次いで、線形特性から、トンネル電流伝導点に対するオーム性を示す非線形特性に移動するなど、抵抗特性が変化するまで、1つまたは両方の要素を互いから離して移動させるステップ114とが含まれ得る。トンネル電流伝導点に対するオーム性が識別されるとき(ステップ118)、この方法には、要素40aと40bの間の所望のトンネル電流を達成するよう、1つまたは両方の要素40a、40bの相対位置を互いに所定の量だけ調整するステップ120が含まれ得る。別の実施形態の例では(点線で示す)、この方法には、伝導遷移点に対するオーム性を確立する位置に要素40a、40bを置くステップと、次いで所望のトンネル電流値を達成するために要素40a、40bの間の電流を調整するステップ122とが含まれ得る。たとえば、図5のトンネル電極41bとトンネル電流集束要素41aとの間の電位を調整して、所望のトンネル電流値を達成することにより、電流42を調整してもよい。この時点で、刺激の検知124を実行してもよい。別の実施形態の例では、この方法には、ステップ104〜120(および/または122)を周期的に実行して、センサが較正された状態に確実にするステップが含まれ得る。たとえば、各ステップ、すなわち較正を実行する頻度は、検知される交流の周波数などの、刺激の頻度とは異なるように選択してもよい。
【0038】
図8は、図5および6に示すセンサなど、微小電気機械システム(MEMS)センサの第1の要素と第2の要素の間のトンネル電流を制御するための方法の他の実施形態の例の流れ図126である。この方法には、図5の要素40a、40bのうちの1つまたは両方を移動させて、オーム性伝導状態を識別するステップ130が含まれ得る。この方法には、図5のトンネル電極41bとトンネル電流集束要素41aとの間の電流42が一定になるときを決定するステップ132が含まれ得る。したがって、電流42が一定に、すなわちオーム性伝導状態を示す状態になるまで、要素40a、40bを移動させてもよい。オーム伝導状況での動作が識別されるとき(ステップ134)、この方法には、要素40a、40bをオーム性伝導状態から分離するステップが含まれ得る。たとえば、各要素を分離するステップには、定電流からトンネル電流伝導点に対してオーム性を示す(140)可変電流まで移動することなどにより、電流42が変化するまで(138)1つまたは両方の要素40a、40bを互いから離すステップ136が含まれ得る。トンネル電流伝導点に対するオーム性140が識別されるとき、この方法には、要素40aと40bの間の所望のトンネル電流42を達成するよう、1つまたは両方の要素40a、40bの相対位置を互いに所定の量だけ調整するステップ142が含まれ得る。別の実施形態の例では(点線で示す)、この方法には、伝導遷移点に対するオーム性を確立する位置に要素40a、40bを置くステップと、次いで図5のトンネル電極41bとトンネル電流集束要素41aとの間の電位を調整することなどにより、所望のトンネル電流値を達成するために各要素間の電流を所定の量だけ調整するステップ144とが含まれ得る。この時点で、刺激を検知するステップ146が実行されてもよい。別の実施形態の例では、この方法には、ステップ128〜142(および/または144)を周期的に実行して、センサが較正された状態に確実にするステップが含まれ得る。たとえば、各ステップ、すなわち較正を実行する頻度は、検知される交流などの刺激の頻度とは異なるように選択してもよい。
【0039】
微細加工のバッチ生産技法、および関連する費用効率により、本明細書に記載のMEMSベースの電流センサ100は、たとえばフォトリソグラフィおよびエッチングを使用して、大ロットで製造することができる。前述の通り、図2のMEMS装置は、本開示に従って企図される電流センサの一例に過ぎない。MEMSベースの電流センサ100の他の実施形態には、たとえば、磁界整形(magnetic field shaping)、磁界検知、電流値指示、および他の目的のための電流センサにおいて、複数のMEMS装置を使用することが含まれ得る。
【0040】
本発明のある種の実施形態が、本明細書に示され記載されてきたが、こうした実施形態は、ほんの一例として示してある。本明細書における本発明から逸脱することなく、数多くの変形、変更、および置換えが当業者には理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲によってのみ限定されるものである。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】MEMSベースの電流および磁界のセンサを表す概略図である。
【図2】トンネル電流ベースのMEMS電流センサの実施形態の一例を示す概略図である。
【図3】トンネル電流ベースの磁気MEMS構成部品の態様の概略側面断面を示す図である。
【図4】分離距離によりトンネル電流が指数関数的に変化することを示す、トンネル電流対分離距離のグラフの例である
【図5】トンネル電流構成部品を表す概略回路ブロック図である。
【図6】トンネル電流構成部品を表す概略回路図である。
【図7】MEMSセンサの各要素間のトンネル電流を制御するための方法の一例の流れ図である。
【図8】MEMSセンサの各要素間のトンネル電流を制御するための方法の別の例の流れ図である。
【符号の説明】
【0042】
4 導体
11 点
12 点
13 トンネル電流段階
15 点
17 曲線
19 例示的なグラフ
20 磁界
25 MEMSベースの磁界検知構成部品
28 空洞を有する基板
30 トンネル電流ベースの磁気MEMS構成部品
35 磁気機械変換器
40 構造用構成部品
40a 第1の構造用要素
40b 第2の構造用要素
41a 第1のトンネル電流回路要素
41b 第2のトンネル電流回路要素
42 トンネル電流
43 位置決め要素
45 機械的検知構成部品
46a 自由端
46b 支持端
50 トンネル電流励起源
52 トンネル電流モニタ
54 ドライバ回路
55 補償装置
56 比較器
58 位置決め信号
60 励起源
65 制御装置
70 出力構成部品
75 機械電気変換器
76 トンネル電流回路
80 出力段
82 トンネル電流構成部品
84 トンネルチップ
86 位置決め装置
88 トンネル電流制御装置
90 トンネル電流制御システム
92 第1の制御回路
94 分圧器回路網
96 第2の制御回路
98 分圧器回路網
100 電流センサ
102 流れ図
104 電位を変化させることにより、オーム性伝導状態を決定する
106 1つまたは両方の要素を移動させるステップ
108 抵抗特性を決定するステップ
110 非線形関係
112 オーム性伝導状態を識別するステップ
114 各要素を互いから離して移動させるステップ
116 抵抗を変化させる
118 電流伝導点を識別する
120 1つまたは両方の要素の相対位置を調整するステップ
122 各要素間の電流を調整するステップ
124 検知
126 流れ図
132 電流が一定になるときを決定するステップ
134 オーム伝導の状況が識別される
136 1つまたは両方の要素を互いから離すステップ
138 電流が変化する
140 定電流から可変電流まで移動するステップ
142 1つまたは両方の要素の相対位置を調整するステップ
144 各要素間の電流を所定の量だけ調整するステップ
146 刺激の検知

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小電気機械システム(MEMS)センサの第1の要素(40a)と第2の要素(40b)の間のトンネル電流(42)を制御するシステム(90)であって、前記第1の要素および前記第2の要素は互いに相隔たり、少なくとも前記第1の要素(40a)は、少なくとも前記第1の要素(40a)に作用する刺激に応答して、前記第2の要素(40b)に対して移動可能であり、
MEMSセンサ(100)の第1の要素(40a)と第2の要素(40b)の間にトンネル電流(42)を供給するトンネル電流励起源(50)と、
前記第2の要素(40b)に対する少なくとも前記第1の要素(40a)の動きに応答した前記トンネル電流(42)の変化を監視するトンネル電流モニタ(52)と、
前記第1の要素(40a)および前記第2の要素(40b)のうちの少なくとも1つを、互いに対して位置決めする位置決め装置(86)と、
前記位置決め装置(86)を制御して、前記システム(90)を参照モードで構成するために、前記第1の要素(40a)および前記第2の要素(40b)のうちの少なくとも1つを、前記第1の要素(40a)と前記第2の要素(40b)の間の第1の間隔で配置し、前記システムを検知モードで構成するために、前記第1の要素(40a)および前記第2の要素(40b)のうちの少なくとも1つを、第2の間隔で配置し、それにより前記システム(90)は前記参照モードに対して較正される、前記トンネル電流モニタ(52)と連通した制御装置(88)とを備えるシステム。
【請求項2】
前記参照モードは基準電流状態を含む、請求項1記載のシステム(90)。
【請求項3】
前記参照モードはオーム性伝導電流状態を含む、請求項1記載のシステム(90)。
【請求項4】
前記参照モードは基準抵抗状態を含む、請求項1記載のシステム(90)。
【請求項5】
前記基準抵抗状態は線形抵抗特性を含む、請求項4記載のシステム(90)。
【請求項6】
前記線形抵抗特性は不変抵抗を含む、請求項5記載のシステム(90)。
【請求項7】
前記位置決め装置(86)は、静電素子、磁気素子、熱素子、および圧電素子のうちの少なくとも1つを備える、請求項1記載のシステム(90)。
【請求項8】
前記トンネル電流励起源(50)は、
前記第1の要素(40a)および前記第2の要素(40b)のうちの1つに配置されたトンネル電極(43)と、
第1の要素(40a)および前記第2の要素(40b)のうちのもう一方に配置され、前記トンネル電極(43)に近接したトンネル電流集束要素(41a)とを備える、請求項1記載のシステム(90)。
【請求項9】
前記トンネル電流集束要素(41a)はトンネルチップを備える、請求項8記載のシステム(90)。
【請求項10】
前記制御装置(88)は、前記システムを前記参照モードで構成するために、前記位置決め装置(86)を励振して、前記第1の要素(40a)および前記第2の要素(40b)を十分近づけるための第1の制御回路(たとえば92)を備える、請求項8記載のシステム(90)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−164611(P2008−164611A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338447(P2007−338447)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】