説明

トーブ用織物およびその製造方法およびトーブ

【課題】硬い風合いを有するトーブ用織物およびその製造方法およびトーブを提供する。
【解決手段】熱融着成分と芯成分とからなり熱融着成分がその表面に配された熱接着性複合繊維を少なくとも用いて織物を織成した後、該織物に熱処理を施すことにより、前記熱融着成分を溶融させることにより、熱接着性複合繊維により経糸と緯糸とが熱融着した箇所を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬い風合いを有するトーブ用織物およびその製造方法およびトーブに関する。
【背景技術】
【0002】
アラブ諸国では、トーブとよばれる民族衣装が多くの人々に着用されている。近年では、かかるトーブにも、高機能化や高級感化が強く要求されており、例えば、特許文献1では、防透け性、紫外線遮蔽性、柄だし性、ドレープ性に優れたトーブ用織編物が提案されている。
【0003】
また最近では、硬い風合いのトーブが流行となっており、樹脂仕上げにより硬い風合いを出す方法が採用されている。
【特許文献1】特開平11−269721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、硬い風合いを有するトーブ用織物およびその製造方法およびトーブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記課題を達成するため鋭意検討した結果、熱融着成分がその表面に配された熱接着性複合繊維を用いて織物を構成し、該熱接着性複合繊維により経糸と緯糸とを部分的に熱融着させることにより、硬い風合いを有するトーブ用織物が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0006】
かくして、本発明によれば「トーブ用織物であって、該織物に、熱融着成分と芯成分とからなり熱融着成分がその表面に配された熱接着性複合繊維が含まれ、かつ該熱接着性複合繊維により経糸と緯糸とが熱融着した箇所を有することを特徴とするトーブ用織物。」が提供される。
【0007】
その際、前記の熱融着成分が、融点もしくは軟化点が200℃以下の共重合ポリエステルからなることが好ましい。また、前記の芯成分がポリエステルからなることが好ましい。また、前記の熱接着性複合繊維が他の繊維との複合糸として織物中に含まれることが好ましい。かかる混紡糸が織物の経糸および/または緯糸に配されていることが好ましい。
【0008】
本発明のトーブ用織物において、織物中に含まれる熱接着性複合繊維の重量割合が織物重量に対して15〜80重量%の範囲内であることが好ましい。また、織物において、下記式により算出されるカバーファクター(CF)が2000〜4000の範囲内であることが好ましい。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
【0009】
本発明のトーブ用織物において、熱接着性複合繊維が配される方向のループ硬さが20.0cN以上であることが好ましい。また、熱接着性複合繊維が配される方向のループ反発率が50.0%以上であることが好ましい。
【0010】
また、本発明によれば「熱融着成分と芯成分とからなり熱融着成分がその表面に配された熱接着性複合繊維を少なくとも用いて織物を織成した後、該織物に熱処理を施すことにより、前記熱融着成分を溶融させることを特徴とするトーブ用織物の製造方法。」が提供される。
また、本発明によれば「前記のトーブ用織物を用いてなるトーブ。」が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、硬い風合いを有するトーブ用織物およびその製造方法およびトーブが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明で使用する熱接着性複合繊維は熱融着成分と芯成分とからなり、熱融着成分がその表面に配されている。
ここで、熱融着成分として配されるポリマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、非弾性ポリエステル系ポリマー及びその共重合物、ポリオレフィン系ポリマー及びその共重合物、ポリビニルアルコ−ル系ポリマー等を挙げることができる。
【0013】
ポリウレタン系エラストマーとしては、分子量が500〜6000程度の低融点ポリオール、例えばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等と、分子量500以下の有機ジイソシアネート、例えばp,p’−ジフェニールメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート水素化ジフェニールメタンイソシアネート、キシリレンイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、例えばグリコールアミノアルコールあるいはトリオールとの反応により得られるポリマーである。
【0014】
これらのポリマーのうちで、特に好ましいのはポリオールとしてはポリテトラメチレングリコール、またはポリ−ε−カプロラクタムあるいはポリブチレンアジペートを用いたポリウレタンである。この場合の有機ジイソシアネートとしてはp,p’−ビスヒドロキシエトキシベンゼンおよび1,4−ブタンジオールを挙げることができる。
【0015】
また、ポリエステル系エラストマーとしては熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステル共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオールあるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンメタノール等の脂環式ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜5000程度のポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−ポリプロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレンオキサイド)クリコールのうち少なくとも1種から構成される三元共重合体を挙げることができる。
【0016】
特に、接着性や温度特性、強度の面からすればポリブチレン系テレフタレートをハード成分とし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルエステルが好ましい。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。むろん、この酸成分の一部(通常30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていても良く、同様にグリコール成分の一部(通常30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されていても良い。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分はブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってよい。
【0017】
共重合ポリエステル系ポリマーとしては、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類および/またはヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸類と、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、パラキシレングリコールなどの脂肪族や脂環式ジオール類とを所定数含有し、所望に応じてパラヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類を添加した共重合エステル等を挙げることができ、例えばテレフタル酸とエチレングリコールとにおいてイソフタル酸および1,6−ヘキサンジオールを添加共重合させたポリエステル等が使用できる。
【0018】
また、ポリオレフィンポリマーとしては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。
上記の熱融着成分の中でも、融点もしくは軟化点が200℃以下(好ましくは50〜160℃)の共重合ポリエステル系ポリマーが、織物の風合いを硬くする上で特に好ましい。
【0019】
一方、芯成分としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリピバロラクトン、またはこれらの共重合体などが例示され、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0020】
なお、上述の熱融着成分または芯成分を形成するポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消し剤、着色剤、その他各種の改良剤等も必要に応じて配合されていても良い。
【0021】
また、熱接着性複合繊維において、熱融着成分が、少なくとも1/2の表面積を占めるものが好ましい。重量割合は、熱融着成分と芯成分が、複合比率で30/70〜70/30の範囲にあるのが適当である。熱接着性複合繊維の形態としては、特に限定されないが、熱融着成分と芯成分とが、サイドバイサイド、芯鞘型であるのが好ましく、より好ましくは芯鞘型である。その際、芯部が同心円状、若しくは、偏心状にあってもよい。
【0022】
かかる熱接着性複合繊維において、単糸繊度としては、1〜15dtex(より好ましくは1〜10dtex、特に好ましくは1〜3dtex)であることが好ましい。また、熱接着性複合繊維は長繊維でもよいが、繊維長が3〜100mmに裁断されていることが好ましい。さらには、捲縮を付与されていることが好ましく、かかる異方冷却によりスパイラル状捲縮を付与、捲縮数が3〜40個/2.54cm(好ましくは7〜15個/2.54cm)となるように通常の押し込みクリンパー方式による機械捲縮を付与など、種々の方法を用いればよいが、嵩高性、製造コスト等の面から機械捲縮を付与するのが最適である。
【0023】
本発明のトーブ用織物において、前記の熱接着性複合繊維が他の繊維との複合糸として織物中に含まれることが好ましい。その際、他の繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリピバロラクトン、またはこれらの共重合体からなる短繊維が好ましい。また、単糸繊度としては、0.5〜30dtex(より好ましくは1〜10dtex、特に好ましくは1〜3dtex)であることが好ましい。また、繊維長が3〜100mmに裁断されていることが好ましい。さらには、熱接着性複合繊維と同様の捲縮が施されていることが好ましい。
【0024】
前記の熱接着性複合繊維と他の繊維の重量比率は、着用快適性を損なわない程度の硬い風合いを得る上で(熱接着性複合繊維/他の繊維)10/90〜30/70であることが好ましい。
また、前記の熱接着性複合繊維と他の繊維との複合形態としては、混紡糸、コアスパン、空気混繊糸、複合仮撚糸、合撚糸などが例示される。
【0025】
本発明のトーブ用織物において、前記の混紡糸が織物の経糸および/または緯糸に配されていることが好ましい。例えば、前記の混紡糸が織物の経糸および緯糸のうちどちらか一方に配され、他方に、必要に応じて仮撚捲縮加工が施されたポリエステルマルチフィラメントが配されていると、着用快適性を損なわない程度の硬い風合いが得られ好ましい。
【0026】
本発明のトーブ用織物において、織物中に含まれる熱接着性複合繊維の重量割合が織物重量に対して15〜80重量%の範囲内であることが好ましい。熱接着性複合繊維の重量割合が15重量%よりも小さいと、本発明の主目的である硬い風合いが得られないおそれがある。逆に、熱接着性複合繊維の重量割合が80重量%よりも大きいと、風合いが硬くなりすぎて着用快適性が損なわれるおそれがある。
【0027】
また、着用快適性を損なわない程度の硬い風合いを得る上で、下記式により算出されるカバーファクター(CF)が2000〜4000の範囲内であることが好ましい。該カバーファクター(CF)が2000よりも小さいと硬い風合いが得られないおそれがある。逆に、該カバーファクター(CF)が4000よりも大きいと、着用快適性が損なわれるおそれがある。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
【0028】
本発明のトーブ用織物において、前記のように熱接着性複合繊維が織物に含まれ、かつ該熱接着性複合短繊維により経糸と緯糸とが熱融着した箇所が存在することが肝要である。このように経糸と緯糸とが熱融着した箇所が存在することにより硬い風合いが得られる。その際、該熱接着性複合繊維の単繊維同士が熱融着していてもよい。
【0029】
このように該熱接着性複合繊維を熱融着させるには、熱融着成分と芯成分とからなり熱融着成分がその表面に配された熱接着性複合繊維を少なくとも用いて織物を織成した後、該織物に熱処理を施すことにより、前記熱融着成分を溶融させるとよい。その際、熱処理方法としては、織物の通常の仕上げ工程で用いられる染色加工、プレセット、ファイナルセットなどによる熱処理でよい。また、本発明の目的が損なわれない範囲内であれば、常法の撥水加工、起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
【0030】
かくして得られたトーブ用織物において、硬い風合いという点で熱接着性複合繊維が配される方向のループ硬さが20.0cN以上(好ましくは30〜80cN)であることが好ましい。また、熱接着性複合繊維が配される方向のループ反発率が50.0%以上(好ましくは50〜80%)であることが好ましい。
【0031】
次に、本発明のトーブは前記のトーブ用織物を用いてなるトーブである。かかるトーブは前記のトーブ用織物を用いているので、硬い風合いを呈する。
【実施例】
【0032】
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
(1)融点(軟化点)
Du Pont社製 熱示差分析計990型を使用し、昇温20℃/分で測定し、融解ピークをもとめた。融解温度が明確に観測されない場合には、微量融点測定装置(柳本製作所製)を用い、ポリマーが軟化して流動を始めた温度を軟化点とする。
(2)繊維の捲縮数
JIS L 1015 7.12に記載の方法により測定した。
(3)ループ硬さ
JIS−L−1096曲げ反発性C法(ループ圧縮法)により測定した。
(4)ループ反発率
JIS−L−1096曲げ反発性C法(ループ圧縮法)により測定した。
(5)総合評価
硬い風合いと着用快適性の総合評価として、優れているものを○、やや劣るものを△、劣るものを×とした。
【0033】
[実施例1]
熱接着性成分の共重合ポリエステルとしてテレフタル酸とイソフタル酸とを80/20(モル%)で混合した酸成分と、エチレングリコールとテトラメチレングリコールとを50/50(モル%)で混合したジオール成分とから共重合ポリエステルを得た。該共重合ポリエステルの軟化点は73℃であった。この共重合ポリエチレンテレフタレートを熱接着性成分として鞘部に配し、ガラス転位点67℃、融点256℃のポリエチレンテレフタレートを減圧乾燥後、芯部とし、芯鞘型複合溶融紡糸装置に供給し、体積比50/50の複合比率で、紡糸温度290℃、吐出量650g/分で、紡糸口金から溶融紡出した。油剤を付与し、900m/分で引き取って未延伸芯鞘型複合繊維を得た。
【0034】
この未延伸繊維を集束し、11万dtex(10万デニール)のトウにして、まず72℃の温水中で2.5倍に延伸した後、80℃の温水中で更に1.15倍に延伸し油剤を付与した後、35℃まで自然に冷却された押し込み式クリンパーで捲縮を付与し、繊維長51mmに切断して単糸繊度2.2dtexの熱接着性複合短繊維を得た。このときの捲縮数は13個/2.54cmであった。
【0035】
この複合繊維20%(重量)と、常法により得られた単繊維の太さが1.7dtex、繊維長が51mm、捲縮数が13個/2.54cmポリエチレンテレフタレート短繊維(ポリエチレンテレフタレートの融点256℃)80%(重量)とを用いて常法により混紡し、綿番手20/−の混紡糸(A)を得た。次いで、経糸に帝人ファイバー製、ポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸FD84dtex/72fil、緯糸に前記混紡糸(A)を使用し、経密度70本/cm、緯密度26本/cmで平組織織物を製織した。そして常法の染色加工を施すことにより、カバーファクター2800の織物(熱接着性複合繊維の含有率56重量%)を得た。
【0036】
該織物において、前記熱接着性複合繊維の熱融着成分が溶融することにより経糸と緯糸とが熱融着した箇所があり、熱接着性複合繊維の単繊維同士が部分的に熱融着していた。また、該織物において、ループ硬さ57.5cN、ループ反発率67.5%、総合評価○であった。
また、該織物を用いてトーブを縫製し着用したところ、硬い風合いを呈し着用快適性にも優れるものであった。
【0037】
[実施例2]
実施例1において、緯糸に混紡糸(A)と綿番手20/−の通常のポリエチレンテレフタレートからなる紡績糸を1:1で使用する以外は、実施例1と同様に製織・染色加工をすることにより織物を得た。
該織物において、前記熱接着性複合繊維の熱融着成分が溶融することにより経糸と緯糸とが熱融着した箇所があり、熱接着性複合繊維の単繊維同士が部分的に熱融着していた。また、該織物において、ループ硬さ33.8cN、ループ反発率66.0%、総合評価○であった。
【0038】
[比較例1]
実施例1において、緯糸を綿番手20/−の通常のポリエチレンテレフタレートからなる紡績糸に変える事以外は、実施例1と同様に製織・染色加工をすることにより織物を得た。
該織物において経糸と緯糸とが熱融着した箇所はなく、ループ硬さ4.9cN、ループ反発率37.2%、総合評価×であった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、硬い風合いを有するトーブ用織物およびその製造方法およびトーブが得られ、その工業的価値は極めて大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トーブ用織物であって、該織物に、熱融着成分と芯成分とからなり熱融着成分がその表面に配された熱接着性複合繊維が含まれ、かつ該熱接着性複合繊維により経糸と緯糸とが熱融着した箇所を有することを特徴とするトーブ用織物。
【請求項2】
前記の熱融着成分が、融点もしくは軟化点が200℃以下の共重合ポリエステルからなる、請求項1に記載のトーブ用織物。
【請求項3】
前記の芯成分がポリエステルからなる、請求項1または請求項2に記載のトーブ用織物。
【請求項4】
前記の熱接着性複合繊維が他の繊維との複合糸として織物中に含まれる、請求項1〜3のいずれかに記載のトーブ用織物。
【請求項5】
前記の混紡糸が織物の経糸および/または緯糸に配されてなる、請求項4に記載のトーブ用織物。
【請求項6】
織物中に含まれる熱接着性複合繊維の重量割合が織物重量に対して15〜80重量%の範囲内である、請求項1〜5のいずれかに記載のトーブ用織物。
【請求項7】
織物において、下記式により算出されるカバーファクター(CF)が2000〜4000の範囲内である、請求項1〜6のいずれかに記載のトーブ用織物。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
【請求項8】
熱接着性複合短繊維が配される方向のループ硬さが20.0cN以上である、請求項1〜6のいずれかに記載のトーブ用織物。
【請求項9】
熱接着性複合短繊維が配される方向のループ反発率が50.0%以上である、請求項1〜6のいずれかに記載のトーブ用織物。
【請求項10】
熱融着成分と芯成分とからなり熱融着成分がその表面に配された熱接着性複合繊維を少なくとも用いて織物を織成した後、該織物に熱処理を施すことにより、前記熱融着成分を溶融させることを特徴とするトーブ用織物の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載のトーブ用織物を用いてなるトーブ。

【公開番号】特開2008−2027(P2008−2027A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173771(P2006−173771)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】