説明

トール様受容体に基づく免疫反応を調整する免疫調節ヌクレオチド(IRO)化合物

本発明はTLRのアンタゴニストとしての新規な免疫調節オリゴヌクレオチド(IRO)、およびその使用方法を提供する。これらのIROは、TLRリガンドまたはTLRアゴニストに対する反応において、TLR媒介シグナル伝達を阻害するまたは抑制する特異的な配列を有する。かかる方法は、癌、自己免疫性疾患、気道炎症、炎症性疾患、感染症、皮膚疾患、アレルギー、ぜんそくまたは病原体により引き起こされる疾患の予防および処置において有用であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、出願日2005年10月12日の米国仮出願番号第60/726,034号、出願日2006年3月21日の米国仮出願番号第60/784,243号および出願日2006年9月13日の米国仮出願番号第60/825,440号の利益を主張し、その内容全体を引例として組み入れる。
【0002】
本発明の背景
本発明は概して免疫学および免疫療法の分野に関し、ならびにより特別には免疫調節オリゴヌクレオチド(IRO)組成物およびトール様受容体媒介免疫反応の阻害および/または抑制のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の概要
トール様受容体(TLR)は免疫系の多くの細胞に存在し、先天性免疫応答に関連することが示されてきている(Hornung, V. et al., (2002) J. Immunol. 168:4531-4537)。脊椎動物において、このファミリーはTLR1〜TLR10と呼ばれる10のタンパク質からなり、それらは、細菌、菌類、寄生虫、およびウイルスからの分子パターンに関連する病原体を認識することが知られている(Poltorak, a. et al. (1998) Science 282:2085-2088; Underhill, D.M., et al. (1999) Nature 401:811-815; Hayashi, F. et. al (2001) Nature 410:1099-1103; Zhang, D. et al. (2004) Science 303:1522-1526; Meier, A. et al. (2003) Cell. Microbiol. 5:561-570; Campos, M.A. et al. (2001) J. Immunol. 167: 416-423; Hoebe, K. et al. (2003) Nature 424: 743-748; Lund, J. (2003) J. Exp. Med. 198:513-520; Heil, F. et al. (2004) Science 303:1526-1529; Diebold, S.S., et al. (2004) Science 303:1529-1531; Hornung, V. et al. (2004) J. Immunol. 173:5935-5943)。TLRは、哺乳類が異質分子に対する免疫反応を認識および開始する鍵となる手段であり、ならびに、先天性および適応的免疫反応が結合する手段をまた提供する(Akira, S. et al. (2001) Nature Immunol. 2:675-680; Medzhitov, R. (2001) Nature Rev. Immunol. 1:135-145)。TLRは、また、自己免疫、感染症、および炎症を含む、多くの疾患の発病においての役割を果たすことが示されてきており(Cook, D.N. et al. (2004) Nature Immunol. 5:975-979)、適切な薬剤を用いるTLR媒介活性化の調節により、疾患介入のための手段を提供する。
【0004】
いくつかのTLRは、細胞表面に配置され、細胞外病原体を検出し、それに対する反応を開始し、そして、他のTLRは細胞内部に配置され、細胞内病原体を検出し、それに対する反応を開始する。表1は、TLRの代表例およびそして公知のアゴニストを提示する(Diebold, S.S. et al. (2004) Science 303:1529-1531; Liew, F. et al. (2005) Nature 5:446-458; Hemmi H et al. (2002) Nat Immunol 3:196-200; Jurk M et al., (2002) Nat Immunol 3:499; Lee J et al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:6646-6651); (Alexopoulou, L. (2001) Nature 413:732-738)。
【表1】

【0005】
細菌性および合成DNAに存在するある非メチル化CpGモチーフは、免疫系を活性化し、抗腫瘍活性を誘発すると示されている。(Tokunaga T et al., J. Natl. Cancer Inst. (1984) 72:955-962; Shimada S, et al., Jpn. H Cancer Res, 1986, 77, 808-816; Yamamoto S, et al., Jpn. J. Cancer Res., 1986, 79, 866-73)。CpGジヌクレオチドを含有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いる他の研究により、免疫反応を刺激することが示されてきた(Zhao Q, et al. (1996) Biochem.Pharmacol. 26:173-182)。その後の研究により、TLR9が細菌性および合成DNAに存在する非メチル化CpGモチーフを認識することが示された(Hemmi, H. et al. (2000) Nature 408:740-745)。CpG含有ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの他の修飾は、また、TLR9を介する免疫反応のモジュレータとして作用するその能力に影響を及ぼすことができる(例えば、Zhao et al., Biochem. Pharmacol. (1996) 51:173-182;Zhao et al. (1996) Biochem Pharmacol. 52:1537-1544;Zhao et al. (1997) Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 7:495-502;Zhao et al (1999) Bioorg. Med. Chem. Lett. 9:3453-3458;Zhao et al. (2000) Bioorg. Med. Chem. Lett. 10:1051-1054;Yu, D. et al. (2000) Bioorg. Med. Chem. Lett. 10:2585-2588;Yu, D. et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. Lett. 11:2263-2267;およびKandimalla, E. et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. 9:807-813を参照のこと)。さらに、構造活性相関研究により、合成モチーフおよび非メチル化CpGジヌクレオチドから生じるものとは明白に異なる、特異的免疫反応プロフィールを誘発する新規のDNAに基づく化合物の同定を可能にしてきた。(Kandimalla, E. et al. (2005) Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 102:6925-6930. Kandimalla, E. et al. (2003) Proc. Nat. Acad. Sci. U S A 100:14303-14308; Cong, Y. et al. (2003) Biochem Biophys Res. Commun.310:1133-1139; Kandimalla, E. et al. (2003) Biochem. Biophys. Res. Commun. 306:948-953; Kandimalla, E. et al. (2003) Nucleic Acids Res. 31:2393-2400; Yu, D. et al. (2003) Bioorg. Med. Chem.11:459-464; Bhagat, L. et al. (2003) Biochem. Biophys. Res. Commun.300:853-861; Yu, D. et al. (2002) Nucleic Acids Res.30:4460-4469; Yu, D. et al. (2002) J. Med. Chem.45:4540-4548. Yu, D. et al. (2002) Biochem. Biophys. Res. Commun.297:83-90; Kandimalla. E. et al. (2002) Bioconjug. Chem.13:966-974; Yu, D. et al. (2002) Nucleic Acids Res. 30:1613-1619; Yu, D. et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. 9:2803-2808; Yu, D. et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. Lett. 11:2263-2267; Kandimalla, E. et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. 9:807-813; Yu, D. et al. (2000) Bioorg. Med. Chem. Lett. 10:2585-2588; Putta, M. et al. (2006) Nucleic Acids Res. 34:3231-3238)。
【0006】
TLRの選択的局在化およびそこから生じるシグナル伝達により、免疫反応へのそれらの役割へのいくつかの洞察が提供される。かかる免疫反応は、反応と関連する細胞のサブセットに基づく、先天性および適応的反応の両方に関連する。例えば、遅延型過敏症および細胞障害性Tリンパ球(CTL)の活性化などの古典的細胞媒介機能に関連するTヘルパー(Th)細胞は、Th1細胞である。この反応は、抗原に対する体の先天性反応であり(例えば、ウイルス感染、細胞内病原体、および腫瘍細胞)、そしてIFN−ガンマの分泌およびCTLの同時活性化をもたらす。代わりに、B細胞活性化のためのヘルパー細胞として関連する細胞は、Th2細胞である。Th2細胞は最近および寄生虫に対する反応において活性化されることが示されてきており、IL−4およびIL−5の分泌を介して体の適応的免疫反応を媒介し得る(例えば、IgE産生および好酸球活性化)。その型の免疫反応は、抗原暴露への反応において産生されるサイトカインにより影響を及ぼされ、Th1およびTh2により分泌されるサイトカインにおける差異により、これらの2つのサブセットの異なる生物学的機能という結果となり得る。
【0007】
TLRの活性化は免疫反応を開始することに関係する一方、TLRを介する免疫系の非制御刺激は免疫低下対象において、特定の疾患を悪化させ得る。近年、いくつかのグループが、合成オリゴデオキシオリゴヌクレオチド(ODN)の炎症性サイトカインの阻害剤としての使用を示してきた(Lenert, P. et al. (2003) DNA Cell Biol. 22(10):621-631)。
【0008】
ある合成ODNを用いて、Lenertらは阻害性ODNを産生する能力を報告した(Lenert, P. et al. (2003) DNA Cell Biol. 22(10):621-631)。これらの阻害性ODNは、2つのトリプレット配列、近位「CTT」トリプレットおよび遠位「GGG」トリプレットを必要とする。これらのトリプレット含有阻害性ODNに加えて、いくつかのグループは、CpG含有ODNによるTLR−9−媒介活性化を阻害できるであろう、他の特定のDNA配列を報告してきた。これらの「阻害性」または「抑制性」モチーフは、ポリ「G」(例えば、「GGGG」または「GC」配列が豊富であり、メチル化されている傾向があり、哺乳類およびあるウイルスのDNA中に存在する(例えば、Chen, Y., et al., Gene Ther. 8: 1024-1032 (2001); Stunz, L.L., Eur. J. Immunol. 32: 1212-1222 (2002)を参照のこと)。Duramadら(Duramad, O., et al., J. Immunol., 174: 5193-5200 (2005))およびJurkら(US 2005/0239733)は、配列内にGGGGモチーフを含有する阻害性DNAオリゴヌクレオチドに対する構造を記載する。Patoleらは、GGGG含有ODNは全身性ループスを抑制するであろうことを実証する(Patole, P. et al. (2005) J. Am. Soc. Nephrol. 16:3273-3280)。さらに、Gurselら(Gursel, I., et al., J. Immunol., 171: 1393-1400 (2003))は、哺乳類テロメアにおいて高頻度で存在する、TTAGGG要素が、CpG誘発免疫活性化を下方制御することを記載する。Shirotaら(Shirota, H., et al., J. Immunol., 173: 5002-5007 (2004))は、TTAGG要素を含有する合成オリゴヌクレオチドがこの活性を模倣し、あるTh1依存性自己免疫疾患の予防/処置に有効であろうことを実証する。
【0009】
対照的に、近年の研究により、ポリG含有ODNがTLRのアンタゴニストとして作用するという視点が問われている。例えば、米国特許第6,426,334号(Agrawalら)は、GGGGストリングを含有するCpGオリゴヌクレオチドを投与することにより、強力な抗ウイルスおよび制癌活性を有し、さらにこれらの化合物の投与により血清IL−12濃度の増加を引き起こすであろうことを実証する。さらにポリG配列を含有するCpGオリゴはTLR9活性化を介して免疫反応を誘発することが知られ(Verthelyi D et al, J Immunol. 166, 2372, 2001; Gursel M et al, J Leukoc Biol, 71, 813, 2001, Krug A et al, Eur J Immunol, 31, 2154, 2001)、抗腫瘍、抗ウイルス活性を示す(Ballas GK et al, J Immunol, 167, 4878, 2001; Verthelyi D et al, J Immunol, 170, 4717, 2003)。加えて、また、ポリGオリゴヌクレオチドはHIVおよびRel Aを阻害することが知られている(McShan WM, et al, J Biol Chem., 267(8):5712-21, 1992; Rando, RF et al., J Biol Chem, 270(4):1754-60, 1995; Benimetskaya L, et al., Nucleic Acids Res., 25(13):2648-56, 1997)。加えて、免疫刺激性CpGモチーフおよび4連続のGオリゴヌクレオチドを含有するODN(クラスA ODN類)は、免疫反応においてインターフェロン−γおよびTh1シフトを誘発する。さらに、前臨床疾患モデルにおいて、クラスA ODNはTLR媒介免疫反応を誘発すると示されている。
【0010】
加えて、グアノシンストリング含有オリゴヌクレオチドは、四重体(tetraplex)口座王を形成し、アプタマーとして作用し、そしてトロン便活性を阻害すると示されてきている(Bock LC et al., Nature, 355:564-6, 1992; Padmanabhan, K et al., J Biol Chem., 268(24):17651-4, 1993)。そのため、一本鎖または複数鎖構造がTLR活性化を抑制するに有効であるかは明らかではない。
【発明の開示】
【0011】
発明の概要
本発明は、TLRのアンタゴニストとしての新規の免疫オリゴヌクレオチド(IRO)化合物およびそれを用いる方法を提供する。これらのIROは、免疫刺激性モチーフに隣接する配列および/または修飾がなければ免疫刺激性であるオリゴヌクレオチドモチーフにおける1つまたは2つ以上の化学修飾を有する。
【0012】
本発明は、5−N−NCGN−N−3’、式中CGはオリゴヌクレオチドモチーフであり、およびCはシトシンまたはピリミジンヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり、およびGはグアノシン、プリンヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;N1〜N3は、それぞれの出現において、独立してヌクレオチド、ヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;Nmは、それぞれの出現において、独立してヌクレオチド、ヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチドレンされあり;
【0013】
ただし少なくとも1つのN1〜N3および/またはCおよび/またはGはヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;およびさらに、化合物は、オリゴヌクレオチドモチーフがヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合がなければ免疫刺激性である4未満の連続したグアノシンヌクレオチドを含有し;および式中mは0〜約30の数である、を有する新規のIRO組成物をさらに提供する。
【0014】
本発明は、任意のIROおよび薬学的に許容し得る担体を含む薬学的組成物をさらに提供する。
【0015】
本発明は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドモチーフ中へ、および/または免疫刺激性オリゴヌクレオチド隣接配列へと化学修飾を導入することを含む、免疫刺激性オリゴヌクレオチドモチーフを含むTLR刺激性オリゴヌクレオチドを修飾するための方法であって、かかる免疫刺激性オリゴヌクレオチドモチーフの免疫刺激性活性が化学修飾により抑制される、前記方法を提供する。
【0016】
本発明は、脊椎動物においてTLR媒介免疫反応を阻害するための方法をさらに提供し、かかる方法は、投与経路が非経口、粘膜投与、経口、舌下、経皮、局所、吸入、経鼻、エアロゾル、眼球内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃により、皮膚パッチまたは点眼薬またはうがい薬の形態で、薬学的有効量でIRO化合物を脊椎動物へと投与することを含む。いくつかの好ましい態様において、本発明によるIRO化合物を投与することを含むTLR刺激を阻害することであって、かかるTLRはTLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR7、TLR8、およびTLR9から選択される。
【0017】
本発明は、IRO化合物を投与することを含むTLRアゴニストに活性を阻害するための方法をさらに提供し、かかるIROはTLRアゴニストと同時に、先立ってまたはあとに投与される。好ましい態様において、かかるTLRアゴニストは、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR7、TLR8、およびTLR9のアゴニストから選択される。
【0018】
本発明は、TLRにより媒介される疾患を有する脊椎動物を治療的に処置するための方法をさらに提供し、かかるは薬学的有効量の本発明によるIRO化合物を脊椎動物へ投与することを含む。好ましい態様において、かかる疾患は癌、自己免疫疾患、気道炎症、炎症性疾患、感染症、皮膚疾患、アレルギー、ぜんそくまたは病原体により引き起こされる疾患である。
【0019】
いくつかの好ましい態様において、かかるIRO化合物は、1つまたは2つ以上のワクチン、抗原、抗体、細胞毒性物質、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアゴニスト、TLRアンタゴニスト、ペプチド、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、アジュバントまたは共刺激分子との組み合わせで投与される。いくつかの好ましい態様において、かかる投与経路は、非経口、粘膜投与、経口、舌下、経皮、局所、吸入、経鼻、エアロゾル、眼球内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃により、皮膚パッチまたは点眼薬またはうがい薬の形態である。
【0020】
本発明は、脊椎動物における癌、自己免疫疾患、気道炎症、炎症性疾患、感染症、皮膚疾患、アレルギー、ぜんそくまたは病原体により引き起こされる疾患を予防するための方法をさらに提供し、該方法は、脊椎動物に薬学的有効量の本発明によるIRO化合物を投与することを含む。いくつかの好ましい態様において、かかるIRO化合物を1つまたは2つ以上のワクチン、抗原、抗体、細胞毒性物質、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアゴニスト、TLRアンタゴニスト、ペプチド、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、アジュバントまたは共刺激分子との組み合わせで投与する。いくつかの好ましい態様において、かかる投与経路は非経口、粘膜投与、経口、舌下、経皮、局所、吸入、経鼻、エアロゾル、眼球内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃により、皮膚パッチまたは点眼薬またはうがい薬の形態である。
【0021】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、免疫療法用途のための免疫モジュレーター薬剤としての新規のオリゴヌクレオチドの治療的使用に関する。特に、本発明は、TLR媒介免疫反応を阻害するおよび/または抑制するためのトール様受容体(TLR)のアンタゴニストとしての免疫調節オリゴヌクレオチド(IRO)を提供する。これらのIROは内因性および/または外因性TLRリガンドまたはアゴニストに対する反応におけるTLR媒介シグナル伝達を阻害するまたは抑制する特異的な配列を有する。明細書中に引用される引例は本分野における知識のレベルを反映し、ここにその全体を引例として導入する。引用される引例および本明細書の教示の間の不一致は、後者を支持することにより解決するであろう。
【0022】
本発明は、TLRにより引き起こされる免疫反応を抑制するための方法を提供し、成人および小児科学上のヒトおよび獣医学的用途において、限定することなく、癌の処置、自己免疫疾患、ぜんそく、呼吸器系アレルギー、食物アレルギー、皮膚アレルギー、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節炎、胸膜炎、慢性感染症、炎症性疾患、炎症性腸症候群、敗血症、ならびに細菌、寄生虫、およびウイルス感染などの免疫療法用途のために用いることができる。そのため、本発明は、免疫療法のための最適レベルの免疫モジュレーターを有するIRO化合物、ならびにそのような化合物を作るおよび用いるための方法を、さらに提供する。加えて、本発明の化合物は、例えば、DNAワクチン、抗原、抗体、およびアレルゲンとの組み合わせにおいて;および化学療法の薬剤(伝統的な化学療法および近代の標的療法、ともに)および/または疾患を予防するおよび処置するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドとの組み合わせにおいて、有用である。
【0023】
定義
「オリゴヌクレオチド」の用語は、概して、複数の結合したヌクレオシド単位を含む、ポリヌクレオシドを指す。そのようなオリゴヌクレオチドは、ゲノムのまたはcDNAを含む、現存の核酸源から得ることができるが、好ましくは合成方法により作り出される。好ましい態様において、それぞれのヌクレオシド単位は、野生型オリゴヌクレオチドと比較して、限定せずに修飾したヌクレオシド塩基および/または修飾した糖単位を含む、さまざまな化学修飾および置換基を包含する。化学修飾の例は当業者に公知であり、例えば、Uhlmann E et al. (1990) Chem. Rev. 90:543; "Protocols for Oligonucleotides and Analogs" Synthesis and Properties & Synthesis and Analytical Techniques, S. Agrawal, Ed, Humana Press, Totowa, USA 1993; およびHunziker, J. et al. (1995) Mod. Syn. Methods 7:331-417; およびCrooke, S. et al. (1996) Ann.Rev. Pharm. Tox. 36:107-129に記載される。かかるヌクレオシド残基は、多数の公知のヌクレオシド内結合のうちの任意により互いに連結できる。そのようなヌクレオシド内結合は、限定なく、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホロアミダート、シロキサン、カルボネート、カルボアルコキシ、アセトアミデート、カルバメート、モルホリノ、ボラノ、チオエーテル、架橋ホスホロアミダート、架橋メチレンホスホネート、架橋ホスホロチオエート、およびスルホン ヌクレオシド内結合を含む。「オリゴヌクレオチド」の用語は、また、1つまたは2つ以上の立体特異的なヌクレオシド結合(例えば(R)−または(S)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、またはホスホトリエステル結合)有するポリヌクレオシドを包含する。明細書中で用いる、「オリゴヌクレオチド」および「ジヌクレオチド」の用語は、かかる結合がリン酸基を含むかどうかいずれにせよ、任意のそのようなヌクレオシド内結合を有するポリヌクレオシドおよびジヌクレオシドを含むことを明確に意図する。ある好ましい態様において、これらのヌクレオシド内結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、またはホスホロジチオエート結合、あるいはその組み合わせであってもよい。
【0024】
「2’−置換リボヌクレオシド」または「2’−置換アラビノシド」という用語は、概して、ペントース部分の2’位の水酸基が置換され、2’−置換または2’−O−置換リボヌクレオシドが作り出される、リボヌクレオシドまたはアラビノヌクレオシドを含む。ある態様において、該置換は、1〜6個の飽和または不飽和炭素原子を含有する低級ヒドロカルビル基、ハロゲン原子、または6〜10個の炭素原子を有するアリール基とともになされ、そこにおいて該ヒドロカルビル基、またはアリール基は、非置換であってもまたは置換であってもよく、例えば、ハロ基、水酸基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、カルボアルコキシ基、またはアミノ基である。2’−O−置換リボヌクレオシドまたは2’−O−置換アラビノシドの例は、限定なく、2’−アミノ、2’−フルオロ、2’−アリル、2’−O−アルキルおよび2’−プロパルギルリボヌクレオシドまたはアラビノシド、2’−O−メチルリボヌクレオシドまたは2’−O−メチルアラビノシドおよび2’−O−メトキシエトキシリボヌクレオシドまたは2’−O−メトキシエトキシアラビノシドを含む。
【0025】
「3’」という用語は、方向性で用いられるとき、概して、同一のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドにおけるもう1つの領域または部位からの、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド3’(下流)における領域または部位を指す。
【0026】
「5’」という用語は、方向性で用いられるとき、概して、同一のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドにおけるもう1つの領域または部位からの、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド5’(上流)における領域または部位を指す。
【0027】
「約」という用語は、正確な数が重大でないということを意味する。そのため、オリゴヌクレオチドにおけるヌクレオシド残基の数は重大でなく、1つまたは2つより少ないヌクレオシド残基、または1〜数個の追加のヌクレオシド残基を有するオリゴヌクレオチドは、上記の態様のそれぞれの同等物と考えられる。
【0028】
「アゴニスト」という用語は、概して、細胞の受容体へ結合し、反応を誘発する物質を指す。アゴニストは、しばしば、リガンドなどの天然発生の物質の作用を模倣する。
【0029】
「アンタゴニスト」の用語は、概して、アゴニストの効果を減衰させる物質を指す。
【0030】
「アジュバント」の用語は、ワクチンまたは抗原などの免疫原へと付加するとき、混合物への暴露に際し、受領ホストにおける薬剤への免疫反応を増強するまたは促進する物質を指す。
【0031】
「気道炎症」の用語は、概して、ぜんそくを限定なく含む。
【0032】
「アレルゲン」の用語は、概して、抗原または分子の抗原部分、しばし、対象への暴露に際しアレルギー反応を発する、タンパク質を指す。典型的には、かかる対象は、例えば、膨疹および発赤試験または業界で公知の任意の方法により示されるアレルゲンに対してアレルギー性である。たとえ対象の小さなサブセットのみがかかる分子への暴露に際しアレルギー性免疫反応を呈するとしても、分子はアレルゲンであると言われる。
【0033】
「アレルギー」という用語は、概して、炎症を特徴とする、不適切な免疫反応を指し、食物アレルギーおよび呼吸器系アレルギーを限定なく含む。
【0034】
「抗原」という用語は、概して、認識され、抗体またはT細胞抗原受容体により選択的に結合され、免疫反応の誘発を引き起こす物質を指す。抗原は、ペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、およびその組み合わせを、限定なく含む。抗原は天然または合成であってよく、概して、その抗原に特異的な免疫反応を誘発する。
【0035】
「自己免疫疾患」の用語は、概して「自己」構成要素が免疫系による攻撃を受ける、障害を指す。
【0036】
「TLR媒介疾患」または「TLR媒介障害」の用語は、概して、1つまたは2つ以上のTLRの活性化が要因である、任意の病態を意味する。かかる状態は、癌、自己免疫疾患、気道炎症、炎症性疾患、感染症、皮膚疾患、アレルギー、ぜんそくまたは病原体により引き起こされる疾患を限定なく含む。
【0037】
「生理学的に許容し得る」の用語は、概して、IRO化合物の有効性に干渉せず、細胞、細胞培養、組織、または有機体などの生物系に適合する原料を指す。好ましくは、かかる生物系は、例えば脊椎動物などの、生きた有機体である。
【0038】
「担体」の用語は、概して、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、バッファ、安定剤、可溶化剤、オイル、脂質、脂質含有ベシクル、ミクロスフェア、リポソームカプセル化、または製剤処方における使用のために業界で周知の他の原料を包含する。当然のことながら、担体、賦形剤、または希釈剤の特徴は、特別な用途に対する投与経路に依存するであろう。これらの原料を含有する薬学的に許容し得る処方の調製は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, ed. A. Gennaro, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990に記載される。
【0039】
「共投与」の用語は、少なくとも2つの異なる物質の、十分に近接した時間での、免疫反応を調節する投与を指す。共投与は、少なくとも2つの異なる物質を、任意の順序で、単回投与または個別の投与のいずれかでの、同時投与、ならびに7日まで隔てた時間的に隔てた順序を指す。
【0040】
「相補的」の用語は、概して、核酸へとハイブリダイズする能力を有することを意味する。かかるハイブリダイゼーションは、相補鎖間の水素結合の結果によるものであり、好ましくはワトソン−クリックまたはフーグスティン(Hoogsteen)塩基対を形成するが、他の様式の水素結合、ならびに塩基のスタッキングもまた、ハイブリダイゼーションへと導くことができる。
【0041】
「有効量」または「十分量」の用語は、概して、所望の生物学的効果、例えば有益な結果など、を及ぼすに十分な量を指す。そのため、「有効量」または「十分量」は、投与される文脈に依存するであろう。共投与する抗原への免家期反応を調整する組成物を投与する文脈において、IRO化合物および抗原の有効量は、抗原が単独で投与されるとき得られる免疫反応と比較して、所望の調節を達成するに十分な量である。有効量は、1つまたは2つ以上の投与においてであってよい。
【0042】
「組み合わせで」という用語は、概して、患者における疾患または障害を処置する過程で、IRO化合物の免疫調節効果を縮小しない、疾患または障害を処置するに有用なIRO化合物および薬剤を投与することを意味する。かかる組み合わせの処置は、IRO化合物および/または独立しての薬剤の単回投与以上を、また、含んでもよい。かかるIRO化合物および/またはかかる薬剤の投与は、同じまたは異なる経路であってよい。
【0043】
「個体」または「対象」または「脊椎動物」は、概して、ヒトなどの哺乳類を指す。哺乳類は、概して、ヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ(cattle)、ウシ(cows)、ブタ、ヒツジ、およびウサギを、限定することなく含む。
【0044】
「ヌクレオシド」の用語は、該して、糖、通常はリボースまたはデオキシリボース、およびプリンまたはピリミジン塩基からなる化合物を指す。
【0045】
「ヌクレオチド」という用語は、概して、糖に付着するリン酸基を含むヌクレオシドを指す。
【0046】
明細書中で用いる、「ピリミジンヌクレオシド」という用語は、かかるヌクレオシドの塩基構成要素がピリミジン塩基(例えば、シトシン(C)またはチミン(T)またはウラシル(U)など)である、ヌクレオシドを指す。同様に、「プリンヌクレオシド」の用語は、ヌクレオシドの塩基構成要素がプリン塩基(例えば、アデニン(A)またはグアニン(G))であるヌクレオシドを指す。
【0047】
「類似体」または「誘導体」という用語は、概して、修飾した塩基および/または糖を有する任意のプリンおよび/またはピリミジンヌクレオチドまたはヌクレオシドを指すことに用いるために、相互的に用いることができる。修飾した塩基は、グアニン、シトシン、アデニン、チミンまたはウラシルでない塩基である。修飾した糖は、リボースまたは2’デオキシリボースでない任意の糖であり、オリゴヌクレオチドに対する骨格において用いることができる。
【0048】
「阻害する」または「抑制する」という用語は、概して、そうでなければ反応の導出および/または刺激が起こるであろう、反応における反応または量的差異における減少を指す。
「非ヌクレオチドリンカー」という用語は、概して、リン含有結合を介する以外でオリゴヌクレオチドを結合するまたはオリゴヌクレオチドに結合されることができる、任意の結合または部分を指す。好ましくは、かかるリンカーは約2オングストローム〜約200オングストロームの長さである。
「ヌクレオチド結合」は、概して、リン含有結合を介して、2つのヌクレオシドの3’および5’水酸基に直接接続する、直接の3’−5’結合を指す。
【0049】
「オリゴヌクレオチドモチーフ」の用語は、ジヌクレオチドを含む、オリゴヌクレオチド配列を意味する。「1つまたは2つの修飾がなければ免疫刺激性であるオリゴヌクレオチドモチーフ」は、親オリゴヌクレオチドにおいて免疫刺激性であるが、誘導体オリゴヌクレオチドにおいて免疫刺激性ではなく、かかる誘導体オリゴヌクレオチドはかかる親オリゴヌクレオチドに基づくが、1つまたは2つ以上の修飾を有する、オリゴヌクレオチドモチーフを意味する。
【0050】
CpG、CpG、CpGおよびCpGという用語は、免疫刺激性であって、シトシンまたはシトシン類似体およびグアニンまたはグアニン類自体を含む、オリゴヌクレオチドモチーフを指す。
「処置」という用語は、概して、徴候の緩和、または疾患の進行の遅延または改善を含んでもよい、有益なまたは所望の結果を獲得することを意図するアプローチを指す。
【0051】
第1の側面において、本発明は免疫調節オリゴヌクレオチド(IRO)化合物を提供する。「IRO」という用語は、1つまたは2つ以上のTLRに対するアンタゴニストである免疫調節オリゴヌクレオチド化合物を指し、かかる化合物はオリゴヌクレオチドモチーフおよび少なくとも1つの修飾を含み、かかるオリゴヌクレオチドモチーフは、かかる化合物が4未満の連続したグアノシンヌクレオチド、好ましくは3未満の連続したグアノシンヌクレオチドを含有するという前提で、オリゴヌクレオチドモチーフの活性を抑制する1つまたは2つ以上の修飾がなければ免疫刺激性(例えば、非メチル化CpG)である。かかる修飾は、オリゴヌクレオチドモチーフに隣接する配列内の、および/またはオリゴヌクレオチドモチーフ内の、オリゴヌクレオチド5’末端内であってもよい。これらの修飾の結果、TLR調節免疫刺激を抑制するIRO化合物を生じる。かかる修飾は、ヌクレオチド/オリゴヌクレオシドモチーフに隣接するヌクレオシド、またはオリゴヌクレオチドモチーフ内の塩基、糖残基および/またはリン酸骨格であることができる。
【0052】
好ましい態様において、かかる修飾が2’アルキル化またはアルコキシ化であるとき、かかる修飾はオリゴヌクレオチドモチーフへの5’隣接ではない;かかる修飾が非帯電のヌクレオシド内結合であるとき、かかる修飾はオリゴヌクレオシドモチーフ5’隣接ではない;および、かかる修飾が3’アルキル化またはアルコキシ化であるとき、かかる修飾はオリゴヌクレオチドモチーフへの5’または3’隣接ではない。
好ましい態様において、かかるIRO化合物はアンチセンスオリゴヌクレオチドではない。
【0053】
IRO化合物の一般構造は、5’−N−NCGN−N−3’で表してもよく、式中CGは免疫刺激性モチーフであり、およびCはシトシンまたはピリミジンヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチドリンカーであり、およびGはグアノシン、プリンヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチドリンカーであり;N1〜N3は、それぞれの出現において、独立して、ヌクレオチド、ヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチドリンカーであり;Nmは、それぞれの場合において、独立してヌクレオチド、ヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチドリンカーであり;ただし少なくとも1つのN1〜N3および/またはCおよび/またはGはヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチドリンカーであり;さらに、ただし、化合物は4未満の連続したグアノシンヌクレオチド、好ましくは3未満の連続したグアノシンを含有し、式中CGの免疫刺激性活性はヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチドリンカーにより抑制され;および式中mは0〜約30の数である。
【0054】
本発明のある態様において、その5’−、3’−または2’−末端においてIRO化合物はヌクレオチド結合、または非ヌクレオチドリンカーにより、または非ヌクレオチドリンカーまたはヌクレオチド結合を介して糖を官能化することによりまたは核酸塩基を官能化することにより、共有結合的に結合する、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含んでもよい。かかるIRO化合物は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。非限定の例として、かかるリンカーは3’−水酸基に付着してもよい。かかる態様において、かかるリンカーは、例えばホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、などのリン酸塩に基づく結合により、または非リン酸塩に基づく結合により3’−水酸基へと付着する、官能基を含む。かかるリボヌクレオチドの共役の可能性のある部位は以下の式Iで示され、式中、Bは複素環の塩基を表し、Pを指す矢印はリンへの任意の付着を示す。
【化1】

【0055】
いくつかの態様において、かかる非ヌクレオチドリンカーは小分子、高分子または生分子であり、ポリペプチド、抗体、脂質、抗原、アレルゲン、およびオリゴ糖を限定なく含む。いくつかの他の態様において、かかる非ヌクレオチドリンカーは小分子である。本発明の例に対して、小分子は1,000Da未満の分子量を有する有機質部分である。いくつかの態様において、かかる小分子は750Da未満の分子量を有する。
【0056】
いくつかの態様において、かかる小分子は脂肪族または芳香族炭化水素であり、そのいずれかは、オリゴリボヌクレオチドに接続するまたはそこへと付加される直鎖における、水酸基、アミノ基、チオール基、チオエーテル基、エーテル基、アミド基、チオアミド基、エステル基、尿素基、またはチオ尿素基を限定することなく含む、1つまたは2つ以上の官能基を含むことができる。かかる小分子は環式または非環式であることができる。小分子リンカーの例は、限定なく、アミノ酸、炭水化物、シクロデキストリン、アダマンタン、コレステロール、ハプテンおよび抗生物質を含む。しかしながら、非ヌクレオチドリンカーを記載する目的に対して、「小分子」の用語はヌクレオシドを含むことを意図しない。
【0057】
いくつかの態様において、非ヌクレオチドリンカーはアルキルリンカーまたはアミノリンカーである。かかるアルキルリンカーは、分枝または非分枝、環状または非環状、置換または非置換、飽和または非飽和、キラル、アキラルまたはラセミ混合物であってよい。かかるアルキルリンカーは約2〜約18の炭素原子を有することができる。いくつかの態様において、かかるアルキルリンカーは約3〜約9の炭素原子を有する。いくつかのアルきるリンカーは、水酸基、アミノ基、チオール基、チオエーテル基、エーテル基、アミド基、チオアミド基、エステル基、尿素基、およびチオエーテル基を限定することなく含む、1つまたは2つ以上の官能基を含む。かかるアルキルリンカーは、1,2プロパンジオール、1,2,3プロパントリオール、1,3プロパンジオール、トリエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ポリエチレングリコールリンカー(例えば[−O−CH2−CH2−](n=1〜9))、メチルリンカー、エチルリンカー、プロピルリンカー、ブチルリンカー、またはヘキシルリンカーを限定することなく含むことができる。いくつかの態様において、かかるアルキルリンカーはペプチドまたはアミノ酸を含んでもよい。
【0058】
いくつかの態様において、かかる非ヌクレオチドリンカーは、表2で一覧するものを、限定することなく含んでもよい。
【表2】

【0059】
【表3】

【0060】
【表4】

【0061】
【表5】

【0062】
【表6】

【0063】
いくつかの態様において、小分子リンカーは、グリセロールまたは式HO−(CH−CH(OH)−(CH−OHで表されるグリセロールホモログであって、式中oおよびpは独立して1〜約6、1〜約4、または1〜約3の整数である。いくつかの他の態様において、かかる小分子リンカーは1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンの誘導体である。いくつかのそのような誘導体は、式HO−(CH−C(O)NH−CH−CH(OH)−CH−NHC(O)−(CH−OHを有し、式中mは0〜約10、0〜約6、2〜約6、2〜約4の整数である。
【0064】
本発明によるいくつかの非ヌクレオチドリンカーは、2つより多いオリゴヌクレオチドの付着を容認する。例えば、かかる小分子リンカーグリセロールは、オリゴヌクレオチドが共有結合的に付着してもよい3つの水酸基を有する。それゆえ、本発明によるいくつかのIROは、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーへと結合する2つまたは3つ以上のオリゴヌクレオチドを含む。かかるIROは「分枝」であると呼ばれる。
【0065】
IRO化合物は、静電相互作用、疎水的相互作用、π−スタッキング相互作用、水素結合およびその組み合わせなどの、非共有結合的に結合した少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含んでもよい。かかる非共有結合性結合の非限定の例は、ワトソン−クリック塩基対合、フーグスティン塩基対合および塩基のスタッキングを含む。
【0066】
2つまたは3つ以上のオリゴヌクレオチドが結合することができる方法のいくつかを、表3に示す。
【表7】

【0067】
ある態様において、本発明による組成物および方法において用いられる免疫調節オリゴヌクレオチドにおけるピリミジンヌクレオシドは、構造(II)を有する:
【化2】

式中:
Dは水素結合供与体であり;
D’は水素、水素結合供与体、水素結合受容体、親水基、疎水基、電子求引基および電子供与基からなる群から選択され;
Aは水素結合受容体または親水基であり;
A’は水素結合受容体、親水基、疎水基、電子求引基および電子供与基からなる群から選択され;
Xは炭素または窒素であり;および、
S’は五単糖環または六単糖環、または糖類似体である。
【0068】
ある態様において、糖環は、リン酸塩部分、修飾リン酸塩部分、またはピリミジンヌクレオシドのもう1つのヌクレオシドまたはヌクレオシド誘導体へと結合させるのに好適な他のリンカー部分とともに誘導体化される。
【0069】
いくつかの態様において、水素結合供与体は、−NH−、−NH、−SHおよび−OHを限定なく含む。好ましい水素結合受容体は、C=O、C=S、および芳香族複素環の環窒素原子、例えば、シトシンのN3など、を限定なく含む。
【0070】
いくつかの態様において、(II)はピリミジンヌクレオシド誘導体である。ピリミジンヌクレオシド誘導体の例は、5−ヒドロキシシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、またはN4−エチルシトシン、アラC、5−OH−dC、N3−Me−dC、および4−チオウラシルを限定なく含む。化学的修飾誘導体は、また、チミンまたはウラシル類自体を、限定なく含む。いくつかの態様において、(II)における糖部分S’は、糖誘導体である。適合した糖誘導体は、トレハロースまたはトレハロース誘導体、ヘキソースまたはヘキソース誘導体、アラビノースまたはアラビノース誘導体を、限定なく含む。
【0071】
いくつかの態様において、本発明による組成物および方法において用いられる免疫調節オリゴヌクレオチドにおけるプリンヌクレオシドは、構造(III)を有する:
【化3】

式中:
Dは水素結合供与体であり;
D’は水素、水素結合供与体、および親水基からなる群から選択され;
Aは水素結合受容体または親水基であり;
Xは炭素または窒素であり;
LのそれぞれはC、O、NおよびSからなる群から選択され;および、
S’は五単糖環または六単糖環、あるいは糖類似体である。
【0072】
ある態様において、糖環は、リン酸塩部分、修飾リン酸塩部分、またはピリミジンヌクレオシドをもう1つのヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体へと結合させるのに好適な他のリンカー部分とともに誘導体化される。
【0073】
ある態様において、水素結合供与体は、限定なく、−NH−、−NH、−SHおよび−OHを含む。ある態様において、水素結合受容体は、C=O、C=S、−NOおよび芳香族複素環の環窒素原子、例えばグアニンのN1、を限定なく含む。
【0074】
いくつかの態様において、(III)はプリンヌクレオシド誘導体である。プリンヌクレオシド誘導体の例は、グアノシン類似体、例えば、7−デアザ−G、7−デアザ−dG、アラ−G、6−チオーG、イノシン、イソ−G、ロキソリビン、TOG(7−チオ−8−オキソ)−G、8−ブロモ−G、8−ヒドロキシ−G、5−アミノホルマイシン B、オキソホルマイシン、7−メチル−G、9−p−クロロフェニル−8−アザ−G、9−フェニル−G、9−ヘキシル−グアニン、7−デアザ−9−ベンジル−G、6−クロロ−7−デアザグアニン、6−メトキシ−7−デアザグアニン、8−アザ−7−デアザ−G(PPG)、2−(ジメチルアミノ)グアノシン、7−メチル−6−チオグアノシン、8−ベンジルオキシグアノシン、9−デアザグアノシン、1−(B−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリン、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンなどを限定なく含む。化学的修飾誘導体は、また、アデニン類似体、例えば9−ベンジル−8−ヒドロキシ−2−(2−メトキシエトキシ)アデニン、2−アミノ−N2−O−、メチルアデノシン、8−アザ−7−デアザ−A、7−デアザ−A、ビダラビン、2−アミノアデノシン、N1−メチルアデノシン、8−アザアデノシン、5−ヨードツベルシジン、およびN1−Me−dGを限定なく含む。いくつかの態様において、(III)における糖部分S’は、式IIで定義される糖誘導体である。
【0075】
本発明のある態様において、免疫調節核酸は、少なくとも1つのB−L−デオキシ ヌクレオシドまたは3’−デオキシヌクレオシドを含有する核酸配列を含む。
【0076】
本発明のある態様において、かかる免疫調節オリゴヌクレオチドは、CpG、C*pG、C*pG*およびCpG*から選択された少なくとも1つのジヌクレオチドを含有する核酸を含み、式中、Cはシトシンまたは2’−デオキシシチジン、Gはグアノシンまたは2’−デオキシグアノシン、C*は2’−デオキシチミジン、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル))−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリン、2’−ジデオキシ−5−ハロシトシン、2’−ジデオキシ−5−ニトロシトシン、アラビノシチジン、2’−デオキシ−2’−置換アラビノシチジン、2’−O−置換アラビノシチジン、2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン、2’−デオキシ−N4−アルキル−シチジン、2’−デオキシ−4−チオウリジン、または他のピリミジンヌクレオシド類似体あり、G*は2’−デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’置換−アラビノグアノシン、2’−O−置換−アラビノグアノシン、2’−デオキシイノシン、または他のプリンヌクレオシド類似体であり、およびpはホスホジエステル、ホスホロチオエート、およびホスホロジチオエートからなる群から選択されたヌクレオシド内結合であり、そこにおいて少なくとも1つのジヌクレオチドの活性は隣接配列により調整される。
【0077】
本研究において用いられるこれらの一般構造内の特異的なIROの配列は、表4において示されるものを、限定なく含む。
【表8】

【0078】
【表9】

【0079】
【表10】

【0080】
【表11】

太字のG、AまたはU=2’−OMe;太字のT=3’−OMe;A=3’−OMe;G=7−デアザ−dG;m=P−Me;A、T、C、およびG=Β−L−デオキシヌクレオシド;X=脱塩基;X=グリセロールリンカー、X=C3−リンカー;CおよびG=3’−デオキシ−ヌクレオシド;G=アラG;C=アラC;C=5−OH−dC;C=1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリン;G=N1−Me−dG;C=N3−Me−dC;U=3’−OMe;U=dU
【0081】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドはそれぞれ、約6〜約35のヌクレオシド残基、好ましくは約9〜約30のヌクレオシド残基、より好ましくは約11〜約23のヌクレオシド残基を有する。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、約6〜約18を有する。
第2の側面において、本発明は、本発明によるIRO化合物を含む製剤処方および生理学的に許容し得る担体を提供する。
第3の側面において、本発明は、脊椎動物における免疫反応のTLR媒介誘導を阻害するまたは抑制するための方法を提供し、かかる方法は脊椎動物に本発明によるIRO化合物を投与することを含む。いくつかの態様において、かかる脊椎動物は、哺乳類である。好ましい態様において、IRO化合物を免疫抑制の必要のある脊椎動物に投与する。
【0082】
本発明の側面に従って、IRO化合物はさらなるTLRリガンドまたはTLRアゴニストに対するTLRに基づく免形反応を抑制することができる。下の例でさらに論じるように、TLRアゴニストまたはTLRリガンド(例えば、免疫調節オリゴヌクレオチド)によるTLRに基づく免疫反応の活性化は、IRO化合物の同時投与、前投与または後投与により抑制/阻害することができ、かかる抑制/阻害は、投与後延長された期間(例えば、数日)の間、維持されうる。本発明のこの有益な性質は、疾患または障害の予防および/または処置に対し独自の利点を有する。疾患を処置する過程での所定のTLRアゴニストの適用により、IRO化合物が抑制/阻害できる、不要な免疫刺激を引き起こし得る。TLRアゴニストの同時投与、前投与および/または後投与でのIRO化合物の投与により、TLRアゴニストからの治療的利益を可能とし、一方、不要な副作用を抑制/阻害する。さらに、IROの後投与により、引き続くまたは後のTLRアゴニストによる付加に対する免疫反応(例えば、アレルギー反応)を予防しうる。
【0083】
本発明の本側面による方法において、IRO化合物の投与は、任意の適合する経路によることが可能であり、非経口、粘膜投与、経口、舌下、経皮、局所、吸入、経鼻、エアロゾル、眼球内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃により、皮膚パッチまたは点眼薬またはうがい薬の形態において限定なく含む。IRO化合物の治療組成物の投与を、疾患の徴候または代理マーカーを低下させるのに有効な用量および期間において、公知の手順を用いて実行することができる。全身的に投与する場合、かかる治療組成物は、好ましくは約0.0001μM〜約10μMのIRO化合物の血中レベルを達成するに十分な用量で投与される。局所投与の場合、これよりもさらに低濃度が有効であり得、そしてさらに高濃度を耐容し得る。好ましくは、IRO化合物の総投与量は、患者1日あたり約0.001mg〜キロ体重あたり1日約200mgの範囲にわたる。治療的有効量の1つまたは2つ以上の本発明のよる治療組成物を単一の処置エピソードとしての個体へと同時に、または順に投与することが望ましいだろう。
【0084】
IRO化合物は1つまたは2つ以上のアレルゲンおよび/または抗原(自己または異種)、免疫原性タンパク質、例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、コレラ毒素Bサブユニット、または任意の他の免疫原性担体タンパク質へと任意に結合する。IROは、TLRアゴニスト(例えば、TLR2アゴニストおよびTLR9アゴニスト)、フロイント不完全アジュバント、KLH、モノホスホリルリピドA(MPL)、ミョウバン、ならびにQS−21およびイミキモドを含むサポニン、またはそれらの組み合わせを限定なく含む、他の化合物(例えばアジュバント)と組み合わせて用いることができる。
【0085】
本発明の本側面による方法は、免疫系のモデル調査に対し有用である。かかる方法は、また、ヒトまたは動物の疾患の予防的または治療的処置に対して有用である。例えば、小児学的および獣医学的ワクチン適用に対して有用である。
第4の側面のおいて、本発明は疾患または障害を有する患者を治療的に処置するための方法を提供し、かかる方法は患者に本発明によるIRO化合物を投与することを含む。さまざまな態様において、処置される疾患または障害は癌、自己免疫性疾患、感染症、気道炎症、炎症性疾患、アレルギー、ぜんそく、または病原体により引き起こされる疾患である。病原体は、細菌、寄生虫、菌類、ウイルス、ウイロイド、およびプリオンを含む。投与は本発明の第3の側面に対して記載したように実行する。
【0086】
第5の側面において、本発明は疾患または障害を予防するための方法を提供し、かかる方法は本発明によるIRO化合物を患者に投与することを含む。さまざまな態様において、予防される疾患または障害は癌、自己免疫疾患、気道炎症、炎症性疾患、感染症、アレルギー、ぜんそく、または病原体により引き起こされる疾患である。病原体は細菌、寄生虫、菌類、ウイルス、ウイロイド、およびプリオンを含む。投与は本発明の第3の側面に対して記載したように実行される。
【0087】
本発明の本側面による任意の方法において、かかるIRO化合物はIRO化合物の免疫調節効果を縮小しない疾患または状態を処置するために有用な任意の他の薬剤と組み合わせて投与することができる。本発明による任意の方法において、疾患または状態を処置するために有用な薬剤は、1つまたは2つ以上のワクチン、抗原、抗体、細胞毒性物質、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアゴニスト、TLRアンタゴニスト、ペプチド、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチンおよび/または免疫反応の特異性または強度を増強するアジュバント、タンパク質リガンド、トランス活性化因子、ペプチドおよび修飾アミノ酸を含むペプチドを限定なく含む。例えば、癌の処置において、かかるIRO化合物は、1つまたは2つ以上の化学療法化合物、標的療法薬剤および/またはモノクローナル抗体と組み合わせて投与されてもよい。代わりに、かかる薬剤は、抗原またはアレルゲンをコード化するDNAベクターを含むことができる。これらの態様において、本発明によるIRO化合物はアジュバントとして多様に作用することができる、および/または直接の免疫調節効果を作り出すことができる。
【0088】
以下の例は本発明による所定の例示的な態様をさらに記載することを意図し、本発明の範囲を限定することを意図しない。例えば、代表的なTLRリガンドが以下の例に示されるが、本発明のIROがアンタゴニストとして作用するリガンドの範囲を限定を限定しない。
【0089】
例1
免疫調節部分を含有するオリゴヌクレオチドの合成
全てのIROは標準的な手順に従って合成された(例えば、米国特許公報第20040097719号を参照のこと)。
【0090】
オリゴヌクレオチドは、標準的な線形合成または平行合成手順に従って、自動化DNA合成器(Expedite 8909; PerSeptive Biosystems, Framingham, Mass.)を用いて、1μMスケールで合成された。
【0091】
デオキシリボヌクレオシドホスホアミダイトは、(Aldrich-Sigma, St Louis, Mo)より得た。1’,2’−ジデオキシリボースホスホアミダイト、プロピル−1−ホスホアミダイト、2−デオキシウリジンホスホアミダイト、1,3−ビス−[5−(4,4’−ジメトキシトリチル)ペンチルアミジル]−2−プロパノールホスホアミダイトおよびメチルホスホンアミダイトは、Glen Research (Sterling, Va.)より得た。ベータ−L−2’−デオキシリボヌクレオシドホスホアミダイト、アルファ−2’−デオキシリボヌクレオシドホスホアミダイト、モノ−DMT−グリセロールホスホアミダイトおよびジ−DMT−グリセロールホスホアミダイトは、ChemGenes (Willmington, Mass.)より得た。(4−アミノブチル)−1,3−プロパンジオールホスホアミダイトはClontech (Palo Alto, Calif.)より得た。アラビノシチジンホスホアミダイト、アラビノグアノシン、アラビノチミジンおよびアラビノウリジンは、Reliable Pharmaceutical (St. Louis, Mo.)より得た。アラビノグアノシンホスホアミダイト、アラビノチミジンホスホアミダイトおよびアラビノウリジンホスホアミダイトは、Idera Pharmaceuticals, Inc. (Cambridge, Mass.)において合成した(Noronha et al. (2000) Biochem., 39:7050-7062)。
【0092】
全てのヌクレオシドホスホアミダイトは、31PおよびH NMRスペクトルにより特徴付けた。修飾ヌクレオシドが特定の部位に、通常の結合周期を用いて導入された。合成後、オリゴヌクレオチドは濃縮水酸化アンモニウムを用いて脱保護され、そして逆相HPLCを用いて精製され、次いで透析された。ナトリウム塩の形態の精製オリゴヌクレオチドは使用に先立って凍結乾燥された。純度をCGEおよびMALDI−TOF MSにより試験した。
【0093】
例2
TLR刺激の阻害
TLRを安定して発現するHEK293細胞(Invivogen)を、レポーター遺伝子、Seap、(Invivogen)で6時間、一過的に形質導入した。細胞を0.5μg/mlの5’-CTATCTGACGTTCTCTGT-3’(マウスCpG配列;IMO/配列番号1;:0用量)単独および多様な濃度のIRO5または6で、18時間処置した。TLR9依存性レポーター遺伝子発現は、製造者のプロトコール(Invivogen)に従って決定され、結果をTLR9刺激オリゴヌクレオチド(100%)の%活性で表現する。結果を図1に示す。これらの結果により、IRO5がIMOのTLR9アゴニスト活性を阻害することが実証される。
【0094】
例3
IRO特異的阻害TLR9刺激
TLR9またはTLR3を安定して発現するHEK293細胞(Invitrogen)をレポーター遺伝子、Seap、(Invitrogen)で6時間、一過的に形質導入した。細胞を0.5mg/molのIMO1(0.5μg/ml)、IRO5(2.0μmg/ml)、R848(5.0μg/ml)、またはポリ(I).ポリ(C)(0.5μg/ml)およびIMO+IRO、R848+IRO、またはポリ(I).ポリ(C)+IROの組み合わせで18時間処置した。TLR9またはTLR3依存性レポーター遺伝子発現は、製造者のプロトコール(Invitrogen)に従って決定され、結果をNF−kB活性における倍加変化(fold change)として表現された。結果を図2に示す。これらの結果により、IRO5はTLR9アゴニストの活性を阻害するが、TLR3のアゴニストではなく、そしてより一般的にはIROのものは選択的にTLR活性化を阻害することが実証される。
【0095】
例4
IROによる用量依存性の阻害
C57BL/6マウスに、左腋下に0.25mg/kgの刺激性5’-TCTGACG1TTCT-X-TCTTG1CAGTCT-3’(IMO/配列番号3:G1=7−デアザG、X=グリセロール)を、および右腋下に異なる用量のIRO5を皮下注射(s.c.)した。刺激性IMO3注射の2時間後に血清試料を採取し、ELISAによりIL−12レベルを決定した。結果を図3に示す。これらの結果により、IROによる用量依存性の阻害が実証される。
【0096】
例5
IROによる時間依存性の阻害
C57BL/6マウスに、左腋下に0.25mg/kgの刺激性IMO3を、および刺激性IMOの1時間前(−1h)または同時(0h)のいずれかに右腋下に1mg/kgのIRO5または5’−CTATCTCACCTTCTCTGT−5’(非CpG非刺激性対照:オリゴ/配列番号4)を皮下注射した。刺激性IMO注射の2時間後に血清試料を採取し、ELISAによりIL−12レベルを決定した。図4Aにおける結果により、刺激性IMOの1時間前(−1h)または同時(0h)のいずれかに、IRO5または(オリゴ4)の投与後の血清IL−12のレベルにおける低下が実証される。
【0097】
C57BL/6マウスに、左腋下に0.25mg/kg刺激性IMO3を皮下注射し、および刺激性IMOと同時(0h)に10mg/kgIRO102を経鼻投与した。刺激性IMO注射の2時間後に血清試料を採取し、ELISAによりIL−12レベルを決定した。図4Bにおける結果により、IMOの皮下投与と同時のIRO102の経鼻投与後の血清IL−12レベルにおける低下が実証される。
【0098】
C57BL/6マウスに、左腋下に0.25mg/kgの刺激性IMO3を、および刺激性IMO(0h)の1時間前(−1h)、24時間前(−24)または72時間前(−72)のいずれかに右腋下に2mg/kgまたは10mg/kgの刺激性IRO17、99、102を皮下注射した。刺激性IMO注射の2時間後に血清試料を採取し、ELISAによりIL−12レベルを決定した。結果を図4C〜Dに示す。これらの結果により、IROの前投与および同時投与によりTLR9のアゴニストを阻害できること、およびより一般的には、IROのものはTLR活性化を阻害できることが実証される。
【0099】
例6
TLR9刺激の阻害
C57BL/6マウスに、左腋下に0.25mg/kgの刺激性IMOを、および刺激性IMOの1時間前(−1h)または同時(0h)に右腋下に1mg/kgのIRO21または対照オリゴ4を皮下注射した。刺激性IMO注射の2時間後に血清試料を採取し、ELISAによりIL−12レベルを決定した。結果を図5Aおよび5Bに示す。これらの結果により、その5’末端に結合するCpGオリゴヌクレオチドが阻害性を示し、より一般的には、その5’末端に結合する免疫刺激性CpGオリゴヌクレオチドがTLR活性化を阻害できることが実証される。
【0100】
例7
ヒト細胞培養におけるTLR9の阻害
ヒトpDCおよびPBMCを10ugの5’−CTATCTGTCGTTCTCTGT−3’(ヒトCpG配列:IMO/配列番号2)および40ugのIRO10で、24時間培養した。結果を図6に示す。これらの結果により、IROがヒト培養細胞においてTLR9アゴニスト活性を阻害すること、より一般的にはIROがヒト細胞におけるTLRを阻害できることが実証される。
【0101】
例8
OVAにより誘発されるTh2免疫反応におけるIRO効果
結果を図7に示す。これらの結果により、IROはオボアルブミン(「OVA」)誘発Th2免疫反応への効果を有しないが、一方、IMO化合物はOVA誘発Th2反応を低下させ、Th1サイトカインの産生を引き起こすことが実証される。
【0102】
例9
Th1およびTh2免疫反応へのIMO効果のIRO阻害
結果を図8に示す。これらの結果により、IROがTh2阻害性を逆転化し、IMOにより誘発されるTh1免疫反応を阻害できることが実証される。
【0103】
例10
IMOおよびIROに対する抗体反応
マウスを、wk0およびwk2においてIMOおよびIRO5または6ならびにその組み合わせの存在下および不存在において、HBsAgで免疫化した。結果は図9に示され、IMO誘発性IgG2A免疫反応でのIROによる低下が実証される。
【0104】
例11
免疫刺激性オリゴヌクレオチドの阻害
TLR9を安定して発現するHEK293細胞(Invivogen)を、レポーター遺伝子、Seap、(Invivogen)で6時間、一過性に形質導入した。細胞を0.25μg/ml単独(IMO1;0用量)および様々な濃度のIROで、18時間処置した。TLR9依存性レポーター遺伝子発現は、製造者のプロトコール(Invivogen)に従って決定され、結果を免疫刺激性オリゴヌクレオチド活性の%阻害で表現する。結果を以下の図5および6に示す。かかる結果により、IROがIMOの活性を阻害することが実証される。
【0105】
【表12】

様々な修飾を含有するIROは、TLR9を発現するHEK293細胞におけるIMOのNF−κB活性化を阻害し、より一般的には、様々な修飾を含有するIROはIMOのNF−κBの活性化を阻害することができる。
【0106】
【表13】

様々な修飾を含有するIROは、TLR9を発現するHEK293細胞におけるIMOのNF−κB活性化を阻害し、より一般的には、様々な修飾を含有するIROはIMOのNF−κB活性化を阻害することができる。
【0107】
例12
IROによる時間依存性の阻害
C57BL/6マウスに、左腋下に0.25mg/kg〜10mg/kgのTLRアゴニストを、TLRアゴニストの1時間前(−1h)〜48時間前(−48h)または同時(oh)に右腋下に1mg/kg〜20mg/kgのIRO5、17、または37あるいは5’−TCCTGGCGGGGAAGT−3’(ポリdG対照;オリゴ配列番号49)を、皮下注射した。刺激性IMO注射の2時間後に血清試料を採取し、ELISAによりIL−12レベルを決定した。結果を以下の表7〜22に示す。これらの結果により、IROの前投与および同時投与の両方により、TLR9のアゴニストを阻害すること、およびIROの阻害活性はIMO投与48時間前に投与するときでさえも有効であることが実証される。より一般的には、これらの結果により、ILRの前投与および同時投与によりTLRアゴニストを阻害できること、およびIROの阻害活性がTLRアゴニストの投与の何時間も前に投与されるときでさえも見られることが実証される。
【0108】
【表14】

IRO5は、IRO投与後6時間以内に注射されるとき、IMO誘発性IL−12産生を阻害した。より一般的には、これらの結果により、IMOが存在するときまたはIRO投与の数時間後に最初に存在するようになるとき、IROがTLR活性化およびIMO誘発性IL−12産生を阻害できるということが実証される。
【0109】
【表15】

IRO5は、IRO投与後6時間以内に注射されるとき、IMO誘発性IL−12産生を強力に阻害した。より一般的には、これらの結果により、IMOが投与されるとき、またはIRO投与の数時間後に最初に存在するようになるとき、IROがTLR活性化およびIMO誘発性IL−12産生を実質的に阻害することが実証される。
【0110】
【表16】

IRO5は、IRO投与後48時間以内に注射されるとき、IMO誘発性IL−12産生を強力に阻害した。より一般的には、これらの結果により、IMOが投与されるとき、またはIRO投与の数時間後に最初に存在するようになるとき、IROがTLR活性化およびIMO誘発性IL−12産生を実質的に阻害できることが実証される。
【0111】
【表17】

IRO17は、IRO投与6時間以上後に注射されるとき、IMO誘発性IL−12産生を阻害した。より一般的には、これらの結果により、IMOが投与されるとき、またはIRO投与の数時間後に最初に存在するようになるとき、IROがTLR活性化およびIMO誘発性IL−12産生を阻害できることが実証される。
【0112】
【表18】

IRO37は、IRO投与後3時間以内に注射されるとき、IMO誘発性IL−12産生を阻害した。より一般的には、これらの結果により、IMOが投与されるとき、またはIRO投与の数時間後に最初に存在するようになるとき、IROがTLR活性化およびIMO誘発性IL−12産生を阻害できることが実証される。
【0113】
【表19】

TLR9アンタゴニスト活性を示すことが知られているポリdG化合物は、IRO投与後6時間以内に注射されるとき、IMO誘発性IL−12産生を阻害した。IROに対するデータ(例えば、表7におけるIRO5)と比較し、対照ポリdGオリゴアンタゴニストの効果は短期間であり、そして一過性である。
【0114】
【表20】

TLR9アンタゴニスト活性を示すことが知られているポリdG化合物は、IRO投与後6時間以内に注射されるとき、IMO誘発性IL−12産生を阻害した。IROに対するデータ(例えば、表7におけるIRO5)と比較し、対照ポリdGオリゴアンタゴニストの効果は短期間であり、そして一過性である。
【0115】
【表21】

IRO5は、IRO投与後1時間以内に注射されるとき、R848誘発性IL−12産生の低度の一過性の阻害を示す。より一般的には、これらのデータにより、IROは細胞内TLRの活性を阻害できることが実証される。
【0116】
【表22】

IRO5は、IRO投与後1時間以内に注射されるとき、ポリI.ポリC誘発性IL−12産生の低度の一過性の阻害を示す。より一般的には、これらのデータにより、IROはTLR活性化およびポリI.ポリC誘発性Il−12産生を阻害できることが実証される。
【0117】
【表23】

IRO5は、IRO投与後1時間以内に注射されるとき、IMO誘発性MCP−1産生の強力な阻害を示す。より一般的には、これらのデータにより、IROはTLR活性化およびIMO誘発性MCP−1産生を阻害できることが実証される。
【0118】
【表24】

IROは、IRO投与後1時間以内に注射されるとき、R848誘発性MCP−1産生の低度の一過性の阻害を示す。より一般的には、これらのデータにより、IROがTLR活性化および細胞内TLRを介するMCP−1産生を阻害できることが実証される。
【0119】
【表25】

IRO5は、IRO投与の1時間後以内に注射されるとき、ポリI.ポリC誘発性MCP−1産生の低度の一過性の阻害を示す。より一般的には、これらのデータにより、IROがTLRの活性化およびポリI.ポリCのMCP−1産生を阻害できることが実証される。
【0120】
【表26】

IRO5は、IRO投与後7日以内に注射されるとき、IMO誘発性IL−12産生の強力な阻害を示す。より一般的には、これらのデータにより、IROは哺乳類におけるTLR活性化およびIMO誘発性IL−12産生を阻害できることが実証される。
【0121】
【表27】

IRO5は、IRO投与後72時間以内に注射されるとき、IMO誘発性IL−12産生の強力な阻害を示す。より一般的には、これらのデータにより、IROは、IROが投与された数時間後に、哺乳類において、TLR活性化およびIMO誘発性IL−12産生を阻害できることが実証される。
【0122】
【表28】

IRO5は、IRO投与後72時間以内に注射されるとき、R848誘発性IL−12産生の阻害を示す。より一般的には、これらのデータにより、IROは、IROが投与された数時間後に、哺乳類において、細胞内TLRのアゴニストの活性およびTLRアゴニスト誘発性IL−12産生を阻害できることが実証される。
【0123】
【表29】

IRO5は、IRO投与後72時間以内に注射されるとき、ポリI.ポリC誘発性IL−12産生の阻害を示さない。
【0124】
例13
TLRアゴニストに対するIROの短期および長期遮断活性
IRO化合物の短期活性および選択性を評価するために、左側腹部へのTLRアゴニストの皮下投与1時間前(−1h)に、マウスに、右側腹部に2mg/kgのIROを皮下注射した。血清試料をTLRアゴニスト投与後2時間で採取し、Biosource (Camarill, CA)より得た複数のサイトカイン/ケモカインを検出するLuminexキットを用いて解析した。サイトカイン/ケモカイン値をLuminex 100機器上で決定された標準曲線に当てはめた平均値から決定した。Luminex解析は、STarStationソフトフェア(Applied Cytometry Systems, Sacramento, CA)を用いて実施した。以下の代表的なアゴニストを指示する用量で用いた:5’−TCTGACGTTCT−X−TCTTGCAGTCT−5’(TLR9アゴニスト;0.25mg/kg、G=7−デアザ−dG)、R848(TLR7/8アゴニスト、0.1mg/kg)、ロキソリビン(TLR7アゴニスト、100mg/kg)、Flagellin(TLR5アゴニスト、0.25mg/kg)、LPS(TLR4アゴニスト、0.25mg/kg)、ポリI.ポリC(TLR3アゴニスト、20mg/kg)、およびMALP−2(TLR2アゴニスト、0.5mg/kg)。かかる結果を図10〜12に示す。これらの結果により、IROが、TLRアゴニストに対する反応において、サイトカイン/ケモカイン産生を阻害できることが実証される。かかる効果は、細胞外TLR(例えば、TLR2、TLR4、およびTLR5)と比較して、細胞内TLR(例えば、TLR3、TLR7、TLR8、およびTLR9)に対しては、より大きい。
【0125】
IRO化合物の長期活性および選択性を評価するために、TLRアゴニスト(上記のように)を左腹側に皮下投与する72時間前(−72h)に、10mg/kgのIROを右腹側に皮下注射した。血清試料をTLRアゴニストの投与2時間後に採取し、上記のように解析した。結果を図13〜15に示す。これらの結果により、IROの前投与によりTLRアゴニストを阻害できること、およびIROの阻害活性はアゴニストの投与72時間前に投与されるときでさえ有効であることが実証される。
【0126】
例14
ループスマウスモデルにおけるIR化合物の活性
野生型(BALB/c)およびループスプローン(lupus prone)(MRL−lpr)マウスからの精製したマウス脾臓B細胞を、0.3mg/mlのIMO存在下または非存在の1mg/mlのIRO−17、あるいは0.3mg/mlのIMOまたは媒体単独で72時間培養した。結果を図16に示す。これらの結果により、IROの投与によりBリンパ球増殖を阻害できることが実証される。
【0127】
野生型(BALB/c)およびループスプローン(MRL−lpr)マウスからの精製したマウス脾臓B細胞を、0.3mg/mlのIMO存在下または非存在の1mg/mlのIRO−17、あるいは0.3mg/mlのIMOまたは媒体単独で72時間培養した。結果を図17Aに示す。これらの結果により、IROの投与によりマウスBリンパ球によるIL−6産生を阻害できることが実証される。野生型(BALB/c)およびループスプローン(NZBW)マウスからの精製マウス脾臓B細胞を、1mg/mlのIMOの存在下の0.01〜10mg/mlのIRO−17で、または10mg/mlのIRO−17、1mg/mlのIMOまたは媒体単独で、72時間培養した。結果を図17Bおよび17Cに示す。これらの結果により、IROが、マウス脾臓細胞によりIL−6およびIL−12産生を阻害できることが実証される。
【0128】
ループスプローンMRL−lprマウスに、100μgの用量のIRO−5を第9〜18週、および第21〜23週に1週間に1度、またはIRO−17を第10〜15週に開始して、第18〜21週には100μgで週あたり3度、および第22〜24週には40mgで週あたり3度、皮下注射した。血液および尿を、毎週、IRO注射前に採集した。マウスを第24週に殺処分した。血清抗DNA IgG1レベルをELISAで決定した。結果を図18A〜18Eに示す。これらの結果により、IROおよびIRO17が、ループスプローンマウスにおいてIgG1およびIgG2A産生ならびに尿中タンパク質を阻害できることが実証される。
【0129】
ループスプローンNZBWマウスに、第6週に開始して、2週間ごとに1度、300μgのIRO−5を皮下投与した。血清抗DNA IgG2aレベルを第16週および第20週において決定した。かかる結果を図19に示す。これらの結果により、IRO投与によりNZBWマウスにおいて血清抗DNA IgG2aが阻害されることが実証される。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】IMOのTLR9アゴニスト活性のIRO阻害を実証するグラフである。
【図2】1つのIRO化合物のTLR9対TLR3のアンタゴニストとしての特異性を実証するグラフである。
【図3】IROによる用量依存性の阻害を実証するグラフである。
【図4A】IROの前投与および同時投与によりTLR9のアゴニストを阻害することができることを実証するグラフである。
【図4B−4D】IROの前投与および同時投与によりTLR9のアゴニストを阻害することができることを実証するグラフである。
【図5】5’末端で結合する2つのCpGオリゴヌクレオチドがTLR阻害性を示すことを実証するグラフである。
【図6】ヒト細胞培養においてIROがTLR9アゴニスト活性を阻害したことを実証するグラフである。
【図7】OVAにおけるIRO効果によりTh2およびTh1免疫反応が誘発されたことを実証するグラフである。
【図8】IROがTh2阻害性を逆転化し、IMOにより誘発されるTh1免疫反応を阻害することを実証するグラフである。
【図9】IMOおよびIROの抗体反応を実証するグラフである。
【0131】
【図10】in vivoでのTLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR7、TLR8、およびTLR9における選択されたIROの早期阻害活性を実証するグラフである。
【図11】in vivoでのTLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR7、TLR8、およびTLR9における選択されたIROの早期阻害活性を実証するグラフである。
【図12】in vivoでのTLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR7、TLR8、およびTLR9における選択されたIROの早期阻害活性を実証するグラフである。
【図13】in vivoでのTLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR7、TLR8、およびTLR9における選択されたIROの長期アンタゴニスト活性を実証するグラフである。
【図14】in vivoでのTLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR7、TLR8、およびTLR9における選択されたIROの長期アンタゴニスト活性を実証するグラフである。
【図15】in vivoでのTLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR7、TLR8、およびTLR9における選択されたIROの長期アンタゴニスト活性を実証するグラフである。
【図16】in vitroでIROが野生型(BALB/c)およびループスプローン(MRL−lpr)マウスBリンパ球増殖を阻害することを実証するグラフである。
【図17A】in vitroでIROが、野生型(BALB/c)およびループスプローン(MPL−lpr)マウスBリンパ球およびループスプローン(NZBW)マウス脾臓細胞によるIL−6産生を阻害したことを実証するグラフである。
【図17B】同じくin vitroでIROが、野生型(BALB/c)およびループスプローン(MPL−lpr)マウスBリンパ球およびループスプローン(NZBW)マウス脾臓細胞によるIL−6産生を阻害したことを実証するグラフである。
【図17C】同じくin vitroでIROが、野生型(BALB/c)およびループスプローン(MPL−lpr)マウスBリンパ球およびループスプローン(NZBW)マウス脾臓細胞によるIL−12産生を阻害したことを実証するグラフである。
【図18A】IROを注射されたMRL−lprマウスが、血清において抗DNA IgG1抗体のレベルを低下させることを実証するグラフである。
【図18B】IROを注射されたMRL−lprマウスが、血清において抗DNAIgG2a抗体のレベルを低下させることを実証するグラフである。
【図18C】IROを注射されたMRL−lprマウスが、尿中のタンパク質のレベルを低下させることを実証するグラフである。
【図18D】IROを注射されたMRL−lprマウスが、血清において抗DNA IgG1およびIgG2a抗体のレベルを低下させることを実証するグラフである。
【図18E】IROを注射されたMRL−lprマウスが、尿中のタンパク質のレベルを低下させることを実証するグラフである。
【図19】NZBWマウスにおいてIROが血清抗DNA IgG2aを阻害することを実証するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫調節オリゴヌクレオチド(IRO)化合物を含むTLRアンタゴニスト。
【請求項2】
免疫刺激性モチーフに隣接する配列における1つまたは2つ以上の化学修飾を有する、請求項1に記載のアンタゴニスト。
【請求項3】
1つまたは2つ以上の化学修飾がなければ免疫刺激性であるオリゴヌクレオチドモチーフにおいて、前記修飾を有する、請求項1に記載のアンタゴニスト。
【請求項4】
1つまたは2つ以上の化学修飾がなければ免疫刺激性であるオリゴヌクレオチドモチーフにおいて、前記修飾を該オリゴヌクレオチドモチーフに隣接する配列に有する、請求項1に記載のアンタゴニスト。
【請求項5】
構造:
5−N−NCGN−N−3’
を有するIRO化合物。
式中:
CGはオリゴヌクレオチドモチーフであり、およびCはシトシンまたはピリミジンヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり、Gはグアノシン、プリンヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;
N1〜N3は、それぞれの出現において、独立して、ヌクレオチド、ヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;
Nmは、それぞれの出現において、独立して、ヌクレオチド、ヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;
ただし、少なくとも1つのN1〜N3および/またはCおよび/またはGはヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;
さらに、化合物は4未満の連続したグアノシンヌクレオチドを含有し、
そこにおいて、該オリゴヌクレオチドモチーフはヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合がなければ免疫刺激性であり、
および、そこにおいてmは約0〜約30の数である。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の組成物のいずれか1つおよび薬学的に許容し得る担体を含む、薬学的組成物。
【請求項7】
化学修飾を免疫刺激性オリゴヌクレオチドモチーフ中へとおよび/または免疫刺激性オリゴヌクレオチドモチーフ隣接配列へと導入することを含む、免疫刺激性オリゴヌクレオチドモチーフを含むTLR刺激性オリゴヌクレオチドを修飾する方法であって、該免疫刺激性オリゴヌクレオチドモチーフの免疫刺激性活性が該化学修飾により抑制される、前記方法。
【請求項8】
脊椎動物におけるTLR媒介免疫反応を阻害するための方法であって、該方法が脊椎動物へ請求項1〜5のいずれかに記載のIRO化合物を薬学的有効量で投与することを含む、前記方法。
【請求項9】
投与経路が非経口、粘膜投与、経口、舌下、経皮、局所、吸入、経鼻、エアロゾル、眼球内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃により、皮膚パッチあるいは点眼薬またはうがい薬の形態である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
IRO化合物を投与することを含む、TLR刺激を阻害するための方法。
【請求項11】
TLRがTLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR7、TLR8、およびTLR9から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項12】
IRO化合物を投与することを含む、TLRアゴニストの活性を阻害するための方法。
【請求項13】
IROをTLRアゴニストと同時に投与することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項14】
IROをTLRアゴニストに先立って投与することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項15】
TLRアゴニストが、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR7、TLR8、およびTLR9のアゴニストから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項16】
TLRにより媒介される疾患を有する脊椎動物を治療的に処置するための方法であって、該方法が脊椎動物へと請求項1〜5に記載のIRO化合物を薬学的有効量で投与することを含む、前記方法。
【請求項17】
疾患が、癌、自己免疫疾患、気道炎症、炎症性疾患、感染症、皮膚疾患、アレルギー、ぜんそくまたは病原体により引き起こされる疾患である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
IRO化合物が1つまたは2つ以上のワクチン、抗原、抗体、細胞毒性物質、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアゴニスト、TLRアンタゴニスト、ペプチド、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、アジュバントまたは共刺激分子との組み合わせで投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
投与経路が、非経口、粘膜投与、経口、舌下、経皮、局所、吸入、経鼻、エアロゾル、眼球内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃により、皮膚パッチあるいは点眼薬またはうがい薬の形態である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
脊椎動物における、癌、自己免疫疾患、気道炎症、炎症性疾患、感染症、皮膚疾患、アレルギー、ぜんそくまたは病原体により引き起こされる疾患を防ぐための方法であって、該方法が脊椎動物に請求項1〜5のいずれかに記載のIRO化合物を薬学的有効量で投与することを含む、前記方法。
【請求項21】
IRO化合物が1つまたは2つ以上のワクチン、抗原、抗体、細胞毒性物質、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアゴニスト、TLRアンタゴニスト、ペプチド、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、アジュバントまたは共刺激分子とともに組み合わせて投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
投与経路が非経口、粘膜投与、経口、舌下、経皮、局所、吸入、経鼻、エアロゾル、眼球内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃により、皮膚パッチまたは点眼薬またはうがい薬の形態である、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B−4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図18E】
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【図19】
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【公表番号】特表2009−515823(P2009−515823A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535681(P2008−535681)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/039954
【国際公開番号】WO2007/047396
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(398032717)イデラ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【氏名又は名称原語表記】Idera Pharmaceuticals, Inc.
【Fターム(参考)】