説明

ドアパネル

【課題】安価な金型により製作可能な構造を有するドアパネルを提供する。
【解決手段】外側板21に対し凹凸状にプレス成形した内側板23を一体化する。内側板23は、左右方向中央部に、外側板21に接合する左右方向に直線的な接合部27と、接合部27に対し膨出成形した左右方向に直線的な補強用凸部29aとを、上下方向に交互に配置する。内側板23の左右方向一側部には、一側の共通金型により成型したヒンジ取付側成型部61を設け、左右方向他側部には、他側の共通金型により成型したラッチ取付側成型部62を設け、左右方向中央部には、交換可能な中駒金型により成型した中間成型部63を設ける。この中間成型部63は、ヒンジ取付側成型部61とラッチ取付側成型部62との間に連続的に成型する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外側板と内側板を備えたドアパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
図17は、作業機械としての油圧ショベル10を示し、下部走行体11に上部旋回体12が旋回可能に設けられ、この上部旋回体12上にキャブ13、作業装置14、エンジンなどの動力装置15が搭載されている。動力装置15は、上部カバー16およびサイドドア17などにより覆われている。サイドドア17は、一側のヒンジにより開閉自在に取付けられ、他側のラッチ装置19により閉じ状態が保持される。
【0003】
この種のドアパネル構造としては、外側板の内側面に、外側板に対して凹凸状にプレス成型された内側板が固定された2重構造のカバー体構造がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−228412号公報(第3頁、図7−8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなプレス成型品は、個々に金型を作成する必要があり、サイズ違いのみの場合は、共通形状部分のみ固定してサイズ違い部分のみ中駒金型を入れる調整型金型(アジャスタブル金型)にする場合もある。
【0005】
しかしながら、上記のようなドアパネル構造では、内側板が強度を必要とすることから複雑な凹凸形状にプレス成型する必要があり、このため、アジャスタブル金型にし難い問題があり、サイズの異なるドアパネルごとに、金型全体を異なるものに製作して用いており、金型に要する費用が高額になるため、ドアパネルの製造コストが高くなっている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、安価な金型により製作可能な構造を有するドアパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された発明は、外側板と、外側板の内側面に固定されるとともに外側板に対して凹凸状に成型された内側板とを具備し、内側板は、左右方向中央部に、凹状に成形されて外側板に接合された左右方向に直線的な接合部と、接合部に対し膨出成形された左右方向に直線的な補強用凸部とが、上下方向に交互に配置された構成のドアパネルである。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載のドアパネルにおける内側板が、左右方向一側部に設けられ、一側の共通金型により成型されてヒンジが取付けられるヒンジ取付側成型部と、左右方向他側部に設けられ、他側の共通金型により成型されてラッチ装置が取付けられるラッチ取付側成型部と、左右方向中央部に設けられ、一側の共通金型と他側の共通金型との間にあって交換可能な中駒金型によりヒンジ取付側成型部とラッチ取付側成型部との間に連続的に成型された中間成型部とを具備したものである。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項1または2記載のドアパネルにおいて、外側板と内側板との間の空間に充填された発泡材を具備したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載された発明によれば、内側板は、左右方向中央部に、凹状に成形されて外側板に接合された左右方向に直線的な接合部と、接合部に対し膨出成形された左右方向に直線的な補強用凸部とが、上下方向に交互に配置された構造を有するドアパネルであるから、高い強度を確保しつつ、左右方向中央部のみを交換可能な安価な金型により製作可能であり、ドアパネルの製造コストを低減できる。
【0011】
請求項2に記載された発明によれば、内側板のヒンジ取付側成型部を一側の共通金型により成型し、ラッチ取付側成型部を他側の共通金型により成型し、中間成型部を交換可能な中駒金型により連続的に成型するので、中駒金型のみを交換することで、種々のサイズのドアパネルを安価に製造できる。
【0012】
請求項3に記載された発明によれば、外側板と内側板との間に充填された発泡材により振動を吸収して、ドアパネル自体から発生する音を効果的に減衰させることができ、すなわち音の減衰効果が高く、低騒音化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を、図1乃至図10に示された第1グループ例と、図11乃至図16に示された第2グループ例とを参照しながら説明する。
【0014】
先ず、図1乃至図10に示された第1グループ例を、図1乃至図5に示された第1実施の形態、図6に示された第2実施の形態、図7に示された第3実施の形態、図8に示された第4実施の形態、図9に示された第5実施の形態、図10に示された第6実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図5は、作業機械としての油圧ショベル10を示し、下部走行体11に上部旋回体12が旋回可能に設けられ、この上部旋回体12上にキャブ13、作業装置14、エンジンなどの動力装置15が搭載されている。動力装置15は、上部カバー16およびサイドドア17などにより覆われている。サイドドア17は、後述するヒンジにより開閉自在に取付けられ、後述するラッチ装置により閉じ状態が保持される。
【0016】
図1乃至図4は、サイドドア17のドアパネル20を示し、図3に示されるように、このドアパネル20は、外側板21と、この外側板21に対し凹凸状にプレス成形されて外側板21の内側面に凹部を固定されるとともに凸部と外側板21との間に空間22を形成する内側板23と、これらの外側板21と内側板23との間の空間22に充填された発泡材24とを具備している。
【0017】
外側板21は、内側板23の1.2〜5.0倍の板厚にする。言い換えれば、内側板23は、外側板21より薄い板厚の鉄板を用いる。例えば、外側板21を1.2mmの鉄板とした場合、内側板23は、相反する強度と加工性とを満足するために、0.6mm、0.8mmなどの薄い鉄板を用いることが望ましく、これは金型1回打ちに適するので、所定の強度が得られるように以下に説明する種々の凹凸部をプレスにより成形する。
【0018】
発泡材24は、図3に示されるように内側板23の内面に貼付された未発泡状態のシート状の発泡素材24aを、外側板21と内側板23との間の空間22内で加熱して発泡させ、成形する。発泡素材24aは、20倍程度の体積膨張率を有する高発泡性のゴム系吸音材が望ましい。発泡素材24aの加熱は、焼付塗装用加熱設備を用いて、焼付塗装と同時に行なうことが望ましい。
【0019】
内側板23は、図1および図4に示されるように、凹状に成形されて外側板21に接合された凹部としての接合部27,28と、これらの接合部27,28に対し膨出成形された凸部29とを具備している。接合部27は、換気用の窓穴を穿設することが可能な規則正しく配置された大型の角形凹部であり、接合部28は、ドアパネル20の上下振動を防止するフレーム側係止部材と嵌合する小型の円形凹部である。
【0020】
図3に示されるように、外側板21の周縁部31は、内側板23の全周の周縁部32を包みこむように折返して押しつぶすように全周縁部をヘミング加工する。すなわち、外側板21は、内側板23の周縁部32を包みこむように折返し平坦に押しつぶして形成された周縁部31により内側板23の周縁部32を咬込み結合するへミング加工部33を備えている。
【0021】
外側板21と内側板23の接合部27との間には、接着剤34が塗布されている。へミング加工部33においては、塗布された接着剤34により外側板21と内側板23とを接合するとともにシールする。接着剤34は、粘性と熱硬化性を有するペーストタイプ構造用接着剤が望ましい。
【0022】
図1および図4に示されるように、外側板21の周縁部31にて外側板21の角部の折返し部分、および中間折曲部の折返し部分をそれぞれ切欠いて、角部切欠き溝36および中間折曲部切欠き溝37が形成されている。
【0023】
図4に示されるように、外側板21と、この外側板21に対し位置決めされて外側板21の内側面に固定される内側板23との間には、これらに挟まれるようにして、ヒンジ取付用の内部補強板41が固定されている。
【0024】
この内部補強板41は、中央部に凹凸部が繰返し形成された凹凸接合部42が設けられ、この凹凸接合部42の一端側および他端側に、複数のボルト挿入孔43h,44hがそれぞれ穿設されたナット取付面部43,44がそれぞれ連続的に形成され、これらのナット取付面部43,44に隣接して、一方の位置決め用嵌合部45および他方の位置決め用嵌合部46が凹溝状に形成されている。
【0025】
この内部補強板41に対し、内側板23のヒンジ取付側の凸部29には、中央部に凹凸部が繰返し形成された凹凸接合部47が設けられ、この凹凸接合部47の一端側および他端側には、複数のボルト挿入孔48h,49hがそれぞれ穿設されたヒンジ取付面部48,49がそれぞれ平面状に成形され、これらのヒンジ取付面部48,49に隣接して、一方の位置決め用嵌合部51および他方の位置決め用嵌合部52が下方へ突出する突起状に形成されている。
【0026】
内部補強板41は、一方の位置決め用嵌合部45と他方の位置決め用嵌合部46の大きさが異なる。同様に、内側板23は、一方の位置決め用嵌合部51と他方の位置決め用嵌合部52の大きさが異なる。内部補強板41と内側板23の一方の対応位置にそれぞれ設けられた一方の位置決め用嵌合部45と位置決め用嵌合部51は、相互に凹凸嵌合し、内部補強板41と内側板23の他方の対応位置にそれぞれ設けられた他方の位置決め用嵌合部46と位置決め用嵌合部52は、相互に凹凸嵌合する。
【0027】
内側板23のヒンジ取付面部48,49上には、複数のボルト挿入孔53h,54hをそれぞれ有するヒンジ53,54が当接される。
【0028】
内部補強板41のナット取付面部43,44の裏面には、各ボルト挿入孔43h,44hと同心状にそれぞれナット(図示せず)が接着または溶接により予め一体化されている。
【0029】
そして、ヒンジ53,54のボルト挿入孔53h,54hと、内側板23のヒンジ取付面部48,49のボルト挿入孔48h,49hとに挿入したボルト55bを、内部補強板41のナット取付面部43,44の裏面に一体化されたナットに螺合して、これらのボルト55bおよびナットによりヒンジ53,54を締着固定する。これらのヒンジ53,54により、ドアパネル20を上部旋回体12上の機体側フレーム(図示せず)に開閉自在に取付ける。
【0030】
図3に示されるように、内側板23は、凹状に形成されて外側板21に密着された接合部27に対し、凸部29が膨出成形されているが、この凸部29の中間部に段差状の補強変形部56が形成されている。凸部29および補強変形部56は、図1に示されるように凹状の接合部27に沿って無端状に形成されている。
【0031】
図1および図4に示されるように、内側板23は、外側板21に接着剤34により接着された接合部27中に、接着剤34を溜める接着剤溜め空間を有する接着剤溜め部58を備えている。この内側板23の接着剤溜め部58は、横方向の接合部27を複数に仕切るように、縦方向に凸状に設けられている。
【0032】
図1および図4に示されるように、内側板23は、接合部27に対し膨出成形された凸部29を備えているが、その凸部29の中でも、左右方向に直線的に膨出成形された突状の補強用凸部29aには、この補強用凸部29aを横断する方向に凹状の強化用凹部59が形成されている。
【0033】
図4に示されるように、外側板21および内側板23には、ラッチ装置19を取付けるための取付穴60a,60bがそれぞれ設けられ、これらが組合わされて、図1に示される取付穴部60が形成されている。ラッチ装置19は、上部旋回体12上の機体側フレーム(図示せず)から突出されたフック部材(ストライカ)と係合して、閉じ状態のドアパネル20をロックする機構である。
【0034】
図1に示されるように、内側板23は、左右方向中央部に、凹状に成形されて外側板21に接合された左右方向に直線的な接合部27と、接合部27に対し膨出成形された左右方向に直線的な補強用凸部29aとが、上下方向に交互に配置されている。
【0035】
このような凹凸形状の内側板23は、左右方向一側部(左側部)に設けられてヒンジ53,54が取付けられるヒンジ取付側成型部61が、図2(a)または(b)に示された一側の共通金型A1,A2により成型され、また、左右方向他側部(右側部)に設けられてラッチ装置19が取付けられるラッチ取付側成型部62が、図2(a)または(b)に示された他側の共通金型B1,B2により成型され、さらに、左右方向中央部に設けられた中間成型部63が、図2(a)または(b)に示された一側の共通金型A1,A2と他側の共通金型B1,B2との間にあって交換可能な中駒金型C1,C2またはD1,D2により、ヒンジ取付側成型部61とラッチ取付側成型部62との間に連続的に成型されたものである。
【0036】
次に、このドアパネル20の製造工程を説明する。
【0037】
図1に示されたドアパネル20を作成する場合は、図2(a)に示されるように、下側の共通金型A1、中駒金型C1および共通金型B1を一体化した金型と、上側の共通金型A2、中駒金型C2および共通金型B2を一体化した金型との間に、内側板素材23aを供給し、内側板23をプレス成型する。
【0038】
なお、後述する図6乃至図10に示されたドアパネル20を作成する場合は、図2(b)、(c)、(d)、(e)に示されるように、下側の共通金型A1、中駒金型D1,E1,F1またはG1および共通金型B1を一体化した金型と、上側の共通金型A2、中駒金型D2,E2,F2またはG2および共通金型B2を一体化した金型との間に、内側板素材23b、23c、23d、23eを供給するか、または図2(f)に示されるように、下側の中駒金型を有さない共通金型A1および共通金型B1を一体化した金型と、上側の中駒金型を有さない共通金型A2および共通金型B2を一体化した金型との間に、内側板素材23fを供給し、内側板23をプレス成型する。
【0039】
同様に、外側板21も分割型一体金型によりプレス成型する。
【0040】
内側板23の凸部29内に、または図示しないが外側板21の内側面に、発泡素材24aを貼付し、内側板23の一側の凸部29内にヒンジ取付用の内部補強板41を接合し、さらに、内側板23の凹部としての接合部27および内部補強板41に、外側板21との接着に必要な熱硬化性の接着剤34を塗布し、外側板21と内側板23とを位置決めして重ね合わせ、外側板21の周縁部31をへミング加工で内側板23の周縁部32を挟んで折返し、折つぶすことにより、外側板21の内側面に内側板23および内部補強板41を接合する。
【0041】
そして、焼付塗装用加熱設備の加熱により、接着剤34を硬化させて外側板21に内側板23および内部補強板41を接着し、さらに、焼付塗装用加熱設備の加熱により、図3に示されるように発泡素材24aを発泡させて、空間22内に発泡材24を充填し、さらに、焼付塗装用加熱設備の加熱により、外側板21および内側板23の外表面に予め吹付けられた塗料を焼付ける。
【0042】
例えば、接着剤34の熱硬化は、150℃で5分間の加熱をし、発泡材24の発泡は、150℃で20分間の加熱をし、焼付塗装は、180℃〜200℃で20分間の加熱をする。これらの加熱は、既存の焼付塗装用加熱設備を用いて行なうことができる。
【0043】
最後に、図1に示されるように、内側板23のヒンジ取付面部48,49および内部補強板41にボルト55bによりヒンジ53,54を取付けるとともに、外側板21および内側板23の取付穴部60にラッチ装置19を取付ける。
【0044】
次に、図6乃至図10に示された種々のドアパネル20の実施の形態を説明する。なお、ドアパネル20の基本構造および製造工程の説明は、上記のものと同様であるので、省略する。
【0045】
図6は、第2実施の形態を示し、外側板21の内側面に、外側板21に対して凹凸状に成型された内側板23が固定され、この内側板23は、左右方向中央部に、凹状に成形されて外側板21に接合された左右方向に直線的な接合部27と、接合部27に対し膨出成形された左右方向に直線的な補強用凸部29aとが、上下方向に交互に配置されている。なお、図1と同一のものには、同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
この図6のような凹凸形状の内側板23は、左右方向一側部(左側部)に設けられてヒンジ53,54が取付けられるヒンジ取付側成型部61が、図2(b)に示された一側の共通金型A1,A2により内側板素材23bから成型され、また、左右方向他側部(右側部)に設けられてラッチ装置19が取付けられるラッチ取付側成型部62が、図2(b)に示された他側の共通金型B1,B2により内側板素材23bから成型され、さらに、左右方向中央部に設けられた中間成型部63が、図2(b)に示された一側の共通金型A1,A2と他側の共通金型B1,B2との間にあって交換可能な中駒金型D1,D2により、ヒンジ取付側成型部61とラッチ取付側成型部62との間に連続的に成型されたものである。
【0047】
図7は、第3実施の形態を示し、外側板21の内側面に、外側板21に対して凹凸状に成型された内側板23が固定され、この内側板23は、左右方向中央部に、凹状に成形されて外側板21に接合された左右方向に直線的な接合部27と、接合部27に対し膨出成形された左右方向に直線的な補強用凸部29aとが、上下方向に交互に配置されている。なお、図1と同一のものには、同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
この図7のような凹凸形状の内側板23は、左右方向一側部(左側部)に設けられてヒンジ53,54が取付けられるヒンジ取付側成型部61が、図2(c)に示された一側の共通金型A1,A2により内側板素材23cから成型され、また、左右方向他側部(右側部)に設けられてラッチ装置19が取付けられるラッチ取付側成型部62が、図2(c)に示された他側の共通金型B1,B2により内側板素材23cから成型され、さらに、左右方向中央部に設けられた中間成型部63が、図2(c)に示された一側の共通金型A1,A2と他側の共通金型B1,B2との間にあって交換可能な中駒金型E1,E2により、ヒンジ取付側成型部61とラッチ取付側成型部62との間に連続的に成型されたものである。
【0049】
図8は、第4実施の形態を示し、外側板21の内側面に、外側板21に対して凹凸状に成型された内側板23が固定され、この内側板23は、左右方向中央部に、凹状に成形されて外側板21に接合された左右方向に直線的な接合部27と、接合部27に対し膨出成形された左右方向に直線的な補強用凸部29aとが、上下方向に交互に配置されている。なお、図1と同一のものには、同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
この図8のような凹凸形状の内側板23は、左右方向一側部(左側部)に設けられてヒンジ53,54が取付けられるヒンジ取付側成型部61が、図2(d)に示された一側の共通金型A1,A2により内側板素材23dから成型され、また、左右方向他側部(右側部)に設けられてラッチ装置19が取付けられるラッチ取付側成型部62が、図2(d)に示された他側の共通金型B1,B2により内側板素材23dから成型され、さらに、左右方向中央部に設けられた中間成型部63が、図2(d)に示された一側の共通金型A1,A2と他側の共通金型B1,B2との間にあって交換可能な中駒金型F1,F2により、ヒンジ取付側成型部61とラッチ取付側成型部62との間に連続的に成型されたものである。
【0051】
図9は、第5実施の形態を示し、外側板21の内側面に、外側板21に対して凹凸状に成型された内側板23が固定され、この内側板23は、左右方向中央部に、凹状に成形されて外側板21に接合された左右方向に直線的な接合部27と、接合部27に対し膨出成形された左右方向に直線的な補強用凸部29aとが、上下方向に交互に配置されている。なお、図1と同一のものには、同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
この図9のような凹凸形状の内側板23は、左右方向一側部(左側部)に設けられてヒンジ53,54が取付けられるヒンジ取付側成型部61が、図2(e)に示された一側の共通金型A1,A2により内側板素材23eから成型され、また、左右方向他側部(右側部)に設けられてラッチ装置19が取付けられるラッチ取付側成型部62が、図2(e)に示された他側の共通金型B1,B2により内側板素材23eから成型され、さらに、左右方向中央部に設けられた中間成型部63が、図2(e)に示された一側の共通金型A1,A2と他側の共通金型B1,B2との間にあって交換可能な中駒金型G1,G2により、ヒンジ取付側成型部61とラッチ取付側成型部62との間に連続的に成型されたものである。
【0053】
図10は、第6実施の形態を示し、外側板21の内側面に、外側板21に対して凹凸状に成型された内側板23が固定され、この内側板23は、左右方向中央部に、凹状に成形されて外側板21に接合された左右方向に直線的な接合部27と、接合部27に対し膨出成形された左右方向に直線的な補強用凸部29aとが、上下方向に交互に配置されている。なお、図1と同一のものには、同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
この図10のような凹凸形状の内側板23は、左右方向一側部(左側部)に設けられてヒンジ53,54が取付けられるヒンジ取付側成型部61が、図2(f)に示された一側の共通金型A1,A2により内側板素材23fから成型され、また、左右方向他側部(右側部)に設けられてラッチ装置19が取付けられるラッチ取付側成型部62が、図2(f)に示された他側の共通金型B1,B2により内側板素材23fから成型されている。なお、この実施の形態では、中間成型部が存在しないので、中駒金型を省略できる。
【0055】
次に、図11乃至図16に示された本発明に係る第2グループ例を説明する。なお、図1乃至図10に示された第1グループ例と同様の部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0056】
図11は、ドアパネル製造金型例を示し、図11(a)に示されるように、下側の共通金型A1、中駒金型C1および共通金型B1を一体化した金型と、上側の共通金型A2、中駒金型C2および共通金型B2を一体化した金型との間に、内側板素材23aを供給し、図12に示された内側板23をプレス成型する。
【0057】
さらに、図11(b)に示されるように、下側の共通金型A1、中駒金型D1および共通金型B1を一体化した金型と、上側の共通金型A2、中駒金型D2および共通金型B2を一体化した金型との間に、内側板素材23bを供給し、図13に示された内側板23をプレス成型する。
【0058】
さらに、図11(c)に示されるように、下側の共通金型A1、中駒金型E1および共通金型B1を一体化した金型と、上側の共通金型A2、中駒金型E2および共通金型B2を一体化した金型との間に、内側板素材23cを供給し、図14に示された内側板23をプレス成型する。
【0059】
さらに、図11(d)に示されるように、下側の共通金型A1、中駒金型F1および共通金型B1を一体化した金型と、上側の共通金型A2、中駒金型F2および共通金型B2を一体化した金型との間に、内側板素材23dを供給し、図15に示された内側板23をプレス成型する。
【0060】
さらに、図11(e)に示されるように、下側の共通金型A1、中駒金型G1および共通金型B1を一体化した金型と、上側の共通金型A2、中駒金型G2および共通金型B2を一体化した金型との間に、内側板素材23eを供給し、図16に示された内側板23をプレス成型する。
【0061】
同様に、外側板21も分割型一体金型によりプレス成型する。
【0062】
図12は、ドアパネル20の第7実施の形態を示し、外側板21の内側面に、外側板21に対して凹凸状に成型された内側板23が固定され、この内側板23は、左右方向中央部に、凹状に成形されて外側板21に接合された左右方向に直線的な接合部27と、接合部27に対し膨出成形された左右方向に直線的な補強用凸部29aとが、上下方向に交互に配置されている。なお、図1と同一の部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
この図12のような凹凸形状の内側板23は、左右方向一側部(左側部)に設けられてヒンジ53,54が取付けられるヒンジ取付側成型部61が、図11(a)に示された一側の共通金型A1,A2により内側板素材23aから成型され、また、左右方向他側部(右側部)に設けられてラッチ装置19が取付けられるラッチ取付側成型部62が、図11(a)に示された他側の共通金型B1,B2により内側板素材23aから成型され、さらに、左右方向中央部に設けられた中間成型部63が、図11(a)に示された一側の共通金型A1,A2と他側の共通金型B1,B2との間にあって交換可能な中駒金型C1,C2により、ヒンジ取付側成型部61とラッチ取付側成型部62との間に連続的に成型されたものである。
【0064】
図13は、ドアパネル20の第8実施の形態を示し、外側板21の内側面に、外側板21に対して凹凸状に成型された内側板23が固定され、この内側板23は、左右方向中央部に、凹状に成形されて外側板21に接合された左右方向に直線的な接合部27と、接合部27に対し膨出成形された左右方向に直線的な補強用凸部29aとが、上下方向に交互に配置されている。なお、図1と同一の部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
この図13のような凹凸形状の内側板23は、左右方向一側部(左側部)に設けられてヒンジ53,54が取付けられるヒンジ取付側成型部61が、図11(b)に示された一側の共通金型A1,A2により内側板素材23bから成型され、また、左右方向他側部(右側部)に設けられてラッチ装置19が取付けられるラッチ取付側成型部62が、図11(b)に示された他側の共通金型B1,B2により内側板素材23bから成型され、さらに、左右方向中央部に設けられた中間成型部63が、図11(b)に示された一側の共通金型A1,A2と他側の共通金型B1,B2との間にあって交換可能な中駒金型D1,D2により、ヒンジ取付側成型部61とラッチ取付側成型部62との間に連続的に成型されたものである。
【0066】
図14は、ドアパネル20の第9実施の形態を示し、外側板21の内側面に、外側板21に対して凹凸状に成型された内側板23が固定され、この内側板23は、左右方向中央部に、凹状に成形されて外側板21に接合された左右方向に直線的な接合部27と、接合部27に対し膨出成形された左右方向に直線的な補強用凸部29aとが、上下方向に交互に配置されている。なお、図1と同一の部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
この図14のような凹凸形状の内側板23は、左右方向一側部(左側部)に設けられてヒンジ53,54が取付けられるヒンジ取付側成型部61が、図11(c)に示された一側の共通金型A1,A2により内側板素材23cから成型され、また、左右方向他側部(右側部)に設けられてラッチ装置19が取付けられるラッチ取付側成型部62が、図11(c)に示された他側の共通金型B1,B2により内側板素材23cから成型され、さらに、左右方向中央部に設けられた中間成型部63が、図11(c)に示された一側の共通金型A1,A2と他側の共通金型B1,B2との間にあって交換可能な中駒金型E1,E2により、ヒンジ取付側成型部61とラッチ取付側成型部62との間に連続的に成型されたものである。
【0068】
図15は、ドアパネル20の第10実施の形態を示し、外側板21の内側面に、外側板21に対して凹凸状に成型された内側板23が固定され、この内側板23は、左右方向中央部に、凹状に成形されて外側板21に接合された左右方向に直線的な接合部27と、接合部27に対し膨出成形された左右方向に直線的な補強用凸部29aとが、上下方向に交互に配置されている。なお、図1と同一の部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
この図15のような凹凸形状の内側板23は、左右方向一側部(左側部)に設けられてヒンジ53,54が取付けられるヒンジ取付側成型部61が、図11(d)に示された一側の共通金型A1,A2により内側板素材23dから成型され、また、左右方向他側部(右側部)に設けられてラッチ装置19が取付けられるラッチ取付側成型部62が、図11(d)に示された他側の共通金型B1,B2により内側板素材23dから成型され、さらに、左右方向中央部に設けられた中間成型部63が、図11(d)に示された一側の共通金型A1,A2と他側の共通金型B1,B2との間にあって交換可能な中駒金型F1,F2により、ヒンジ取付側成型部61とラッチ取付側成型部62との間に連続的に成型されたものである。
【0070】
図16は、ドアパネル20の第11実施の形態を示し、外側板21の内側面に、外側板21に対して凹凸状に成型された内側板23が固定され、この内側板23は、左右方向中央部に、凹状に成形されて外側板21に接合された左右方向に直線的な接合部27と、接合部27に対し膨出成形された左右方向に直線的な補強用凸部29aとが、上下方向に交互に配置されている。なお、図1と同一の部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0071】
この図16のような凹凸形状の内側板23は、左右方向一側部(左側部)に設けられてヒンジ53,54が取付けられるヒンジ取付側成型部61が、図11(e)に示された一側の共通金型A1,A2により内側板素材23eから成型され、また、左右方向他側部(右側部)に設けられてラッチ装置19が取付けられるラッチ取付側成型部62が、図11(e)に示された他側の共通金型B1,B2により内側板素材23eから成型され、さらに、左右方向中央部に設けられた中間成型部63が、図11(e)に示された一側の共通金型A1,A2と他側の共通金型B1,B2との間にあって交換可能な中駒金型G1,G2により、ヒンジ取付側成型部61とラッチ取付側成型部62との間に連続的に成型されたものである。
【0072】
図1および図6乃至図10に示されたドアパネル20に対して、図12乃至図16に示されたドアパネル20の内側板23は、ヒンジ取付側成型部61およびラッチ取付側成型部62に接着剤溜め部58を有しておらず、また、ラッチ取付側成型部62に設けられた凹状の接合部28の設置箇所が異なる。この接合部28の凹部内には、フレーム側の凸部が嵌合してドアパネル20の振動を防止する。
【0073】
次に、上記各実施の形態から得られる共通の効果を説明する。
【0074】
外側板21とこの外側板21より薄い内側板23とで形成された中空の閉断面構造により軽量化を図ることができるとともに、内側板23とこれより厚い(内側板23の1.2〜5.0倍の板厚を有する)外側板21とで形成された十分な高さをもった中空の閉断面構造により、外側からの衝撃に対して十分な強度を確保できる強固なドアパネルを安価に提供できる。
【0075】
すなわち、外側板21と内側板23とで形成される中空の閉断面構造により十分な強度を確保できるとともに、内側板23は、図3に示されるように外側板21に密着された接合部27に対し膨出成形された凸部29の中間部に補強変形部56を段差状に形成し、この段差状に形成された補強変形部56により、凸部29の高さを稼ぐことにより、負荷方向に対する断面2次モーメントは凸部29の高さの3乗に比例するため、単に凸部29を形成した内側板23より、さらなる強度の向上を図ることができ、ドアパネル全体の強度を向上できる。
【0076】
さらに、外側板21と内側板23との間に充填された発泡材24により振動を吸収して、ドアパネル自体から発生する音を効果的に減衰させることができ、すなわち音の減衰効果が高く、低騒音化を図ることができる。
【0077】
また、内側板23は、左右方向中央部に、凹状に成形されて外側板21に接合された左右方向に直線的な接合部27と、接合部27に対し膨出成形された左右方向に直線的な補強用凸部29aとが、上下方向に交互に配置された構造を有するドアパネル20であるから、高い強度を確保しつつ、左右方向中央部のみを交換可能な安価な金型により製作可能であり、ドアパネル20の製造コストを低減できる。
【0078】
例えば、図1に示されたドアパネルをベースとして、図6乃至図10に示されるように紋様を変更するとともに、共通金型A1,A2と中駒金型C1,C2、D1,D2、E1,E2、F1,F2またはG1,G2との間、および共通金型B1,B2と中駒金型C1,C2、D1,D2、E1,E2、F1,F2またはG1,G2との間の金型つなぎ部の直線を確保すると、全てのドア幅に対して、外側板21と内側板23の接合部27に酷暑対策用の開口を開けたとしても、耐久性を確保しつつ、中間成型部63をアジャスタブル化することが可能となった。
【0079】
要するに、内側板23のヒンジ取付側成型部61を一側の共通金型A1,A2により成型し、ラッチ取付側成型部62を他側の共通金型B1,B2により成型し、中間成型部63を交換可能な中駒金型C1,C2、D1,D2、E1,E2、F1,F2またはG1,G2により連続的に成型するので、中駒金型C1,C2、D1,D2、E1,E2、F1,F2またはG1,G2のみを交換することで、あるいは中駒金型を無くすことで、図1、図6乃至図10に示されるような種々のサイズのドアパネルを安価に製造できる。
【0080】
図11乃至図16に示された実施形態の場合も同様である。
【0081】
本発明は、図5または図17に示された油圧ショベルなどの作業機械のドアパネルに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係るドアパネルの第1実施の形態を示す内面図である。
【図2】(a)は同上ドアパネルの製造金型の第1実施の形態を示す概要図、(b)は第2実施の形態を示す概要図、(c)は第3実施の形態を示す概要図、(d)は第4実施の形態を示す概要図、(e)は第5実施の形態を示す概要図、(f)は第6実施の形態を示す概要図である。
【図3】同上ドアパネルの拡大断面図である。
【図4】同上ドアパネルの分解斜視図である。
【図5】同上ドアパネルを備えた作業機械の平面図である。
【図6】本発明に係るドアパネルの第2実施の形態を示す内面図である。
【図7】本発明に係るドアパネルの第3実施の形態を示す内面図である。
【図8】本発明に係るドアパネルの第4実施の形態を示す内面図である。
【図9】本発明に係るドアパネルの第5実施の形態を示す内面図である。
【図10】本発明に係るドアパネルの第6実施の形態を示す内面図である。
【図11】(a)は同上ドアパネルの製造金型の第7実施の形態を示す概要図、(b)は第8実施の形態を示す概要図、(c)は第9実施の形態を示す概要図、(d)は第10実施の形態を示す概要図、(e)は第11実施の形態を示す概要図である。
【図12】本発明に係るドアパネルの第7実施の形態を示す内面図である。
【図13】本発明に係るドアパネルの第8実施の形態を示す内面図である。
【図14】本発明に係るドアパネルの第9実施の形態を示す内面図である。
【図15】本発明に係るドアパネルの第10実施の形態を示す内面図である。
【図16】本発明に係るドアパネルの第11実施の形態を示す内面図である。
【図17】従来のドアパネルを備えた作業機械の斜視図である。
【符号の説明】
【0083】
19 ラッチ装置
20 ドアパネル
21 外側板
22 空間
23 内側板
24 発泡材
27 接合部
29a 補強用凸部
53,54 ヒンジ
61 ヒンジ取付側成型部
62 ラッチ取付側成型部
63 中間成型部
A1,A2 一側の共通金型
B1,B2 他側の共通金型
C1,C2、D1,D2、E1,E2、F1,F2、G1,G2 中駒金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側板と、
外側板の内側面に固定されるとともに外側板に対して凹凸状に成型された内側板とを具備し、
内側板は、
左右方向中央部に、
凹状に成形されて外側板に接合された左右方向に直線的な接合部と、
接合部に対し膨出成形された左右方向に直線的な補強用凸部とが、
上下方向に交互に配置された
ことを特徴とするドアパネル。
【請求項2】
内側板は、
左右方向一側部に設けられ、一側の共通金型により成型されてヒンジが取付けられるヒンジ取付側成型部と、
左右方向他側部に設けられ、他側の共通金型により成型されてラッチ装置が取付けられるラッチ取付側成型部と、
左右方向中央部に設けられ、一側の共通金型と他側の共通金型との間にあって交換可能な中駒金型によりヒンジ取付側成型部とラッチ取付側成型部との間に連続的に成型された中間成型部と
を具備したことを特徴とする請求項1記載のドアパネル。
【請求項3】
外側板と内側板との間の空間に充填された発泡材
を具備したことを特徴とする請求項1または2記載のドアパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−121177(P2009−121177A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298011(P2007−298011)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】