説明

ドアロック操作装置

【課題】キー挿入孔に挿入された不正キーに対して過大な操作力が加えられた場合にロック機構が操作されることを確実に防止し、かつキーに要求される機械的な強度を小さくする。
【解決手段】ドアロック操作装置10では、ロータ38におけるキー挿入孔70へ正規キーを挿入すれば、ロータブロック108、インナブロック110及びアウタブロック112がアウタスリーブ34の回転を拘束すると共に、インナスリーブ36を回転可能とするので、車両におけるドアノブに対する操作時に、第1リンク部材を介してリンクレバー54に操作力Fを伝達すると、リンクレバー54がアウタスリーブ34の連結軸50を中心として回転する。これにより、第2リンク部材が解錠方向の操作力をロック機構に伝達するので、この操作力によりロック機構が施錠状態から解錠状態に操作される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両におけるドア等を施錠状態又は解錠状態とするためのロック機構を操作するためのドアロック操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のサイドドア等には、キーシリンダ後端部の回転により揺動リンクが揺動してドアロックが解除されるドアロック装置が使用されているものがあり、特許文献1にはこの種のドアロック装置の一例が開示されている。以下この公報に開示された構造について説明する。
【0003】
図8及び図9に示されるように、このドアロック装置170では、キーシリンダ172のインナシリンダ176(ロータ)がアウタシリンダ174(ケーシング)に対してキーシリンダ172の軸方向(図8の矢印M方向及び矢印N方向)へ移動可能となっている。また、インナシリンダ176にキー180を押し込むと、インナシリンダ176が図8の矢印M方向へ移動し、インナシリンダ176の後端部に形成されたフック182が、クラッチケース184に揺動可能に支持されたブッシュ186の前端部に形成されたノッチ188に嵌合するようになっている。ブッシュ186の後端部には、施錠及び解錠を行うロック機構を作動させるロッド192が接続されており、インナシリンダ176に押し込んだキー180を一方向及び他方向へ回転させると、ロッド192が施錠方向及び解錠方向(図8の矢印X方向及び矢印Y方向)へ移動するようになっている。
【特許文献1】実開昭62−14064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたようなドアロック装置(ドアロック操作装置)では、ロータのキー挿入孔に正規キーとは識別コードが一致しないキー(非正規キー)やドライバ等のキー代替物を挿入し、これを介してロータに過大な力を伝達すると、ロータの回転及び軸方向への移動を拘束する拘束部材が破壊されるおそれがある。このようにして拘束部材が破壊されると、非正規キーやキー代替物(これらを包括して「不正キー」という。)からの操作力がロック機構に伝達可能になるので、ロック機構が不正解錠されてしまう。
【0005】
また、特許文献1に記載されたようなドアロック操作装置では、ロータの回転抵抗及びロック機構の作動抵抗に抗してキー挿入孔に挿入されたキー(正規キー)を回転させる必要があることから、ロック機構に対する操作時にキーに作用するトルクが比較的大きなものになる。このため、キーの機械的な強度を十分に大きなものとするために、キー寸法(特に、肉厚)が大型化する。
【0006】
本発明の目的は、上記事実を考慮して、キー挿入孔に挿入された不正キーに対して過大な操作力を加えてもロック機構が操作されることを確実に防止でき、しかもキーに要求される機械的な強度を十分に小さいものにできるドアロック操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係るドアロック操作装置は、キーが挿入されるキー挿入孔が形成されたロータと、前記ロータを相対的に回転可能に収容する筒状のインナスリーブと、前記インナスリーブを相対的に回転可能に収容する筒状のアウタスリーブと、前記アウタスリーブを回転可能に収容する筒状のケーシングと、前記キー挿入孔へのキー挿入時に、前記ロータ及び前記ケーシングに対する前記アウタスリーブの回転を拘束すると共に、前記インナスリーブを回転可能とし、前記キー挿入孔へのキー未挿入時に、前記ロータ及び前記ケーシングに対する前記インナスリーブの回転を拘束すると共に、前記アウタスリーブを回転可能とするキー判定手段と、一端部が前記インナスリーブに固定されると共に、該インナスリーブから外周側へ延出した他端部に第1の支軸部が設けられたインナレバーと、一端部が前記アウタスリーブに固定されると共に、該アウタスリーブから外周側へ延出した他端部に第2の支軸部が設けられたアウタレバーと、一端部及び他端側にそれぞれ前記第1の支軸部及び前記第2の支軸部に相対的に回転可能に連結される第1の軸受部及び第2の軸受部が設けられたリンクレバーと、車両におけるドアノブ及び、前記リンクレバーにおける前記第1の軸受部と前記第2の軸受部との中間部にそれぞれ連結され、ドアノブに対する操作時に該ドアノブから前記リンクレバーに前記インナレバー及び前記アウタレバーの回転接線方向に沿った操作力を伝達する第1の連動手段と、車両におけるドアに対するロック機構及び前記リンクレバーにそれぞれ連結され、前記リンクレバーが前記第2の支軸部を中心として回転すると、ロック機構を解錠状態とするための解錠方向の操作力を前記リンクレバーからロック機構に伝達し、前記リンクレバーが前記第1の支軸部を中心として回転すると、ロック機構を施錠状態とするための施錠方向の操作力を前記リンクレバーからロック機構に伝達する第2の連動手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記請求項1に係るドアロック操作装置では、ロータにおけるキー挿入孔へキー(正規キー)を挿入すれば、キー判定手段が、ロータ及び前記ケーシングに対するアウタスリーブの回転を拘束すると共に、インナスリーブを回転可能とするので、車両におけるドアノブに対する操作時に、第1の連動手段がドアノブからリンクレバーにおける第1の軸受部と第2の軸受部との中間部にインナレバー及びアウタレバーの回転接線方向に沿った操作力を伝達すると、リンクレバーがアウタスリーブにおける第2の支軸部を中心として回転する。これにより、第2の連動手段がロック機構を解錠状態とするための解錠方向の操作力をロック機構に伝達するので、この操作力によりロック機構が施錠状態から解錠状態になる。
【0009】
また上記請求項1に係るドアロック操作装置では、キー挿入孔へのキーの未挿入時には、キー判定手段がロータ及びケーシングに対するインナスリーブの回転を拘束すると共に、アウタスリーブを回転可能とするので、車両におけるドアノブに対する操作時に、第1の連動手段がドアノブからリンクレバーにおける第1の軸受部と第2の軸受部との中間部にインナレバー及びアウタレバーの回転接線方向に沿った操作力を伝達すると、リンクレバーがインナレバーにおける第1の支軸部を中心として回転する。
【0010】
これにより、第2の連動手段が、ロック機構を施錠状態とするための施錠方向の操作力をリンクレバーからロック機構に伝達するので、この操作力によりロック機構が解錠状態から施錠状態になる。
【0011】
従って、請求項1に係るドアロック操作装置によれば、キー挿入孔に挿入されたキーに操作力を加えることなく、ロック機構を施錠状態及び解錠状態の何れにも操作できるので、キー挿入孔に挿入された不正キー(非正規キー及びキー代替物)に対して過大な操作力を加えてもロック機構が操作されることを確実に防止でき、しかもキーに要求される機械的な強度を十分に小さいものにできる。
【0012】
また本発明の請求項2に係るドアロック操作装置は、請求項1記載のドアロック操作装置において、前記キー判定手段は、前記ロータ内に軸直角方向に沿ってそれぞれ移動可能に配置されると共に、一端面に係合凹部が形成され、前記キー挿入孔にキーが挿入されると、該キーに設けられた被係合部に係合して所定の待機位置から正規位置に移動し、前記キー挿入孔からキーが抜き取られると、前記正規位置から前記待機位置に復帰するタンブラ部材と、前記ロータ内の前記タンブラ部材に対して接離可能に設けられ、前記タンブラ部材が前記正規位置にあると、前記係合凹部に係合して、前記ロータ及び前記ケーシングに対する前記アウタスリーブの回転を拘束すると共に、前記インナスリーブを回転可能とし、前記タンブラ部材が前記待機位置にあると、前記係合凹部から離脱して、前記ロータ及び前記ケーシングに対する前記インナスリーブの回転を拘束すると共に、前記アウタスリーブを回転可能とするロック部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明に係るドアロック操作装置によれば、キー挿入孔に挿入された不正キーに対して過大な操作力を加えてもロック機構が操作されることを確実に防止でき、しかもキーに要求される機械的な強度を十分に小さいものにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るドアロック操作装置について図面を参照して説明する。
【0015】
(実施形態の構成)
図1には本発明の実施形態に係るドアロック操作装置が配置された車両におけるサイドドアが示され、図2及び図3には本発明の実施形態に係るドアロック操作装置が示されている。なお、図中、符号Sは装置の軸心を示しており、この軸心Sに沿った方向を装置の軸方向として以下の説明を行う。ここで、装置の軸方向は車両の左右方向(図2の矢印IN方向及び、その反対方向)に略一致している。また便宜上、車両の上下方向(図2の矢印UP方向及び、その反対方向)を装置の高さ方向とし、車両の前後方向(図2の矢印FR方向及び、その反対方向)を装置の幅方向として以下の説明を行う。
【0016】
本実施形態に係るドアロック操作装置10は、図1に示される自動車におけるサイドドア12に配置されたロック機構14(図5参照)を操作者が施錠状態又は解錠状態とするために設けられている。またロック機構14は、施錠状態に操作されると、車体における乗車口を閉鎖する位置(閉鎖対置)にあるサイドドア12をドアノブ30の操作により開放できないようにロックし、また解錠状態に操作されると、操作者がドアノブ30を操作してサイドドア12を開閉できるように、サイドドア12に対するロックを解除する。
【0017】
図2に示されるように、ドアロック操作装置10には、その外殻部として略円筒状のケーシング16が設けられている。このケーシング16は軸方向へ細長く形成されている。またケーシング16は、その軸方向先端側(図3では、左側)の端部が開口端とされ、後端側の端部が円板状の底板部18により閉塞されている。底板部18には、中央部に円形開口20が形成されると共に、この円形開口20とケーシング16の周壁部との間に軸心Sを中心とする周方向へ延在するアウタスリット22及びインナスリット24がそれぞれ形成されている。
【0018】
アウタスリット22とインナスリット24は、軸心Sを挟んで底板部18の径方向一端部及び他端部にそれぞれ配置されており、アウタスリット22は、軸心Sを中心とする径方向に沿ってインナスリット24の外周側に位置している。またドアロック操作装置10は、図3に示されるように、ケーシング16の先端部に取付けられてケーシング16の開口を閉塞する円板状の蓋板26を備えており、この蓋板26の中央部には、後述するキー72の先端側が挿通可能なスリット状の挿通口28が形成されている。
【0019】
本実施形態に係るドアロック操作装置10は、車両におけるサイドドア12に配置される。このとき、図1に示されるように、蓋板26の挿通口28がサイドドア12におけるドアノブ30の側方に開口するように、ケーシング16及び蓋板26がドアノブパネル32の内側に配置される。なお、蓋板26がサイドドア12の外装部の一部となるように、蓋板26をドアノブパネル32の外表面に固定するようにして良い。
【0020】
図3に示されるように、ドアロック操作装置10は、ケーシング16の内部に配置される円筒状のアウタスリーブ34と、このアウタスリーブ34の内周側に同心的に配置される円筒状のインナスリーブ36とを備えている。アウタスリーブ34は、その外周面をケーシング16の内周面に周方向に沿ってスライド可能となるように当接させており、これにより、ケーシング16内で軸心Sを中心として回転可能になっている。
【0021】
またインナスリーブ36は、その外周面をアウタスリーブ34の内周面に周方向に沿ってスライド可能となるように当接させており、これにより、アウタスリーブ34内で軸心Sを中心として相対的に回転可能になっている。従って、アウタスリーブ34及びインナスリーブ36は、それぞれ双方向へ独立して回転可能になっている。ここで、アウタスリーブ34は、径方向に沿った厚さがインナスリーブ36の厚さと等しくなっている。
【0022】
ドアロック操作装置10は、インナスリーブ36の内周側に同心的に配置される円柱状のロータ38を備えている。このロータ38には、その外周面をインナスリーブ36の内周面に周方向に沿ってスライド可能となるように当接させており、これにより、インナスリーブ36内で軸心Sを中心として回転可能になっている。
【0023】
ケーシング16では、底板部18及び蓋板26によりアウタスリーブ34及びインナスリーブ36の軸方向への移動が制限されている。またケーシング16内には、ロータ38の後端面と底板部18との間にコイルスプリング40が圧縮状態で介装されており、このコイルスプリング40はロータ38を常に軸方向に沿って蓋板26側へ付勢している。これにより、ロータ38は、その先端面が蓋板26の裏面側へ圧接した状態とされる。
【0024】
図3に示されるように、ドアロック操作装置10は、アウタスリーブ34の後端面に連結固定されるアウタレバー42と、インナスリーブ36の後端面に連結固定されるインナレバー44とを備えている。アウタレバー42は、軸心Sを中心とする径方向に沿って細長いプレート状に形成されており、内周側の端部にはケーシング16の先端側へ略直角に屈曲したブラケット部46が一体的に形成されている。このブラケット部46は、アウタスリット22内を通って底板部18を貫通し、その先端部がアウタスリーブ34の後端面へ突き当てられ、連結ねじ49(図5参照)により固定されている。
【0025】
またインナレバー44も、軸心Sを中心とする径方向に沿って細長いプレート状に形成されており、内周側の端部にはケーシング16の先端側へ略直角に屈曲したブラケット部48が一体的に形成されている。このブラケット部48は、インナスリット24内を通って底板部18を貫通し、その先端部がアウタスリーブ34の後端面へ突き当てられ、アウタスリーブ34と同様に、連結ピン49(図5参照)により固定されている。ここで、アウタレバー42及びインナレバー44は、ドアノブ30が操作されていない初期状態では、図5に示されるように、それぞれ軸心Sを通過する同一直線状に保持されている。
【0026】
図3に示されるように、アウタレバー42には、外周側の端部に軸方向に沿って外側へ突出する丸棒状の連結軸50が設けられている。またインナレバー44にも、外周側の端部に軸方向に沿って外側へ突出する丸棒状の連結軸52が設けられている。これら一対の連結軸50、52の軸心Sまでの距離(軸心Sを中心とする回転半径)は互いに等しい長さになっている。
【0027】
図2に示されるように、ドアロック操作装置10は、アウタレバー42及びインナレバー44の軸方向外側に配置され、これらのアウタレバー42及びインナスリーブ36にそれぞれ連結されるリンクレバー54を備えている。このリンクレバー54は径方向に沿って細長いプレート状に形成されている。リンクレバー54には、長手方向一端部(図2では、上端部)にアウタレバー42の連結軸50に対応する長孔56が穿設されると共に、他端側にインナレバー44の連結軸52に対応する長孔58が穿設されている。これらの長孔56、58は、それぞれ径方向を長手方向とする長円形に形成されている。
【0028】
リンクレバー54には、軸心Sに沿って円形の第1連結孔60が穿設されている。この第1連結孔60には、図5に示されるように、ロッド状の第1リンク部材62の一端部が相対的に回動可能に連結されている。第1リンク部材62は、その他端部がドアノブ30の揺動軸から外周側へ延出する揺動レバー31に連結されており、操作者によりドアノブ30に対して揺動操作が行われると、その操作力を、第1連結孔60を介してリンクレバー54に伝達する。なお、ドアノブ30は、付勢部材(図示省略)により常に揺動方向に沿ってドアパネル側へ付勢されており、操作者から解放されると、図1に示される未操作位置へ復帰する。
【0029】
このとき、第1リンク部材62がリンクレバー54に伝達する操作力Fは、軸心Sを中心とする径方向であって、初期位置にあるアウタレバー42及びインナレバー44の長手方向と直交する方向と略一致している。この操作力Fの方向は、初期位置にある連結軸50及び連結軸52の軸心Sを中心とする回転接線方向と実質的に一致している。
【0030】
図5に示されるように、リンクレバー54には、長孔56に対して外周側へ直線的に延出する延長部64が一体的に形成されている。この延長部64は、ケーシング16の外周側まで延出しており、その先端部には円形の第2連結孔66が穿設されている。この第2連結孔66には、ロッド状の第2リンク部材68の一端部が相対的に回動可能に連結されている。第2リンク部材68は、その他端部がサイドドア12(図1参照)を施錠状態又は解錠状態とするロック機構14に連結されており、ドアノブ30が操作されると、それに連動して、リンクレバー54からロック機構14へ所定の解錠方向の操作力FU及び施錠方向の操作力FLの何れか一方を伝達する。
【0031】
ドアロック操作装置10では、アウタレバー42の連結軸50がリンクレバー54の長孔56に挿入されると共に、インナレバー44の連結軸52がリンクレバー54の長孔58に挿入されている。ここで、連結軸50は、長孔56に対して相対的に回動可能となり、かつリンクレバー54の長手方向に沿ってスライド可能となるように、長孔56内に挿入されている。また連結軸52も、長孔56に対して相対的に回動可能となり、かつリンクレバー54の長手方向に沿ってスライド可能となるように、長孔58内に挿入されている。また連結軸50、52の先端部には、長孔56、58からの脱落を防止するために、それぞれ周方向へ延在する溝部(図示省略)が形成されると共に、この溝部の外周側にE字状又はC字状の止め輪(図示省略)が嵌挿される。
【0032】
図3に示されるように、ロータ38には、その中心部に軸方向へ延在するスリット状のキー挿入孔70が形成されており、このキー挿入孔70はロータ38の先端面から後端側まで延在しており、その断面形状が径方向(本実施形態では、装置の高さ方向)に沿って細長いスリット状とされている。キー挿入孔70の断面形状は、本実施形態に係るドアロック操作装置10の規格に対応するキー72(図4参照)の断面形状に対応するものになっており、このキー挿入孔70内にはキー72が挿入及び抜脱可能となっている。
【0033】
キー72におけるキー挿入孔70内に挿入される部分は細長いプレート状のキー本体部74とされている。キー本体部74には、長手方向(装置の軸方向)に沿って異なる複数箇所(本実施形態では、5箇所)がそれぞれ後述するタンブラプレート86との係合位置とされており、キー本体部74の長手直角方向に沿った両端エッジ部(上端エッジ部及び下端エッジ部)には、5箇所の係合位置にそれぞれ対応する部位にV字状に窪んだ被係合部(図示省略)が形成されている。ここで、キー本体部74に形成される被係合部は、その深さが予め設定された複数段階(例えば、2段階)の寸法の何れかに設定されており、これらの被係合部の深さの組合せによりキー72の識別コードが構成されるようになっている。
【0034】
図2及び図3に示されるように、ロータ38には、複数個(本実施形態では、5個)のタンブラ収納室76〜84がスリット状に形成されている。これらのうち3個(先端側から奇数番目)のタンブラ収納室76、80、84はロータ38の径方向一端側に開口している。また残り2個(先端側から偶数番目)のタンブラ収納室78、82は、奇数番目のものとは180°位相が異なるロータ38の径方向他端側に開口している。5個のタンブラ収納室76〜84の軸方向に沿ったピッチは、キー72における5箇所の係合位置に設けられた被係合部の長手方向に沿ったピッチと実質的に等しくなっている。
【0035】
ここで、各タンブラ収納室76〜84は、それぞれ軸心Sを中心とする径方向であって、初期位置にあるリンクレバー54の長手方向と略一致する方向(本実施形態では、装置の高さ方向)に沿って延在している。
【0036】
図3に示されるように、ロータ38における各タンブラ収納室76〜84内には、それぞれタンブラプレート86が装置の高さ方向に沿って摺動可能に配置されている。タンブラプレート86は、図2に示されるように、装置の高さ方向を長手方向とする略長方形に形成されており、その厚さがタンブラ収納室76〜84の軸方向に沿った幅よりも僅かに小さくなっている。タンブラプレート86には、装置の高さ方向と直交する幅方向に沿った一端部に外側へ突出する矩形状の座受片88が一体的に形成されると共に、他端側の側端面に内側へ向って略V字状乃至台形状に窪んだ係合凹部90が形成されている。またタンブラプレート86には、その中央部に厚さ方向へ貫通する差込口92が形成されている。差込口92は、装置の高さ方向に沿って細長いスリット状に形成されており、高さ方向に沿った開口幅がキー本体部74の幅よりも僅かに広くなっている。
【0037】
各タンブラ収納室76〜84内にはそれぞれコイルスプリング94が配置されており、コイルスプリング94は、タンブラプレート86の座受片88とタンブラ収納室76〜84の底面部との間に圧縮状態となるように介装されている。これにより、各タンブラ収納室76〜84内に配置されたタンブラプレート86は、コイルスプリング94によりタンブラ収納室76〜84の開口端側へ常に付勢される。具体的には、タンブラ収納室76、60、84内のタンブラプレート86は常に上方へ付勢され、タンブラ収納室78、82内のタンブラプレート86は常に下方へ付勢される。これにより、各タンブラプレート86は、タンブラ収納室76〜84の開口端側の端面をインナスリーブ36の内周面へ圧接させる待機位置(図4(B)参照)に保持される。
【0038】
ドアロック操作装置10では、ロータ38がインナスリーブ36の内周側に挿入されることにより、コイルスプリング94により上方又は下方へ付勢された各タンブラプレート86がインナスリーブ36の内周面によりタンブラ収納室76〜84内から突出することが阻止され、タンブラプレート86全体がタンブラ収納室76〜84内に保持される。このとき、奇数番目のタンブラ収納室76、80,84内に配置された3枚のタンブラプレート86は、それぞれ差込口92の下端側の一部をロータ38におけるキー挿入孔70の上端側の一部に一致(オーバラップ)させ、偶数番目のタンブラ収納室78、82内に配置された2枚のタンブラプレート86は、それぞれ差込口92の上端側の一部をロータ38におけるキー挿入孔70の下端側の一部に一致(オーバラップ)させる。
【0039】
図2に示されるように、ロータ38には、装置の幅方向に沿った一端側(図2では右側)にロータホール96が形成されている。ロータホール96は、軸方向に沿った断面形状が軸方向へ細長い矩形状に形成されており、幅方向一端側(外側)が開口端としてロータ38の外周面へ開口すると共に、図4に示されるように、幅方向内側の端部が5個のタンブラ収納室76〜84内の側端面にそれぞれ開口している。
【0040】
一方、インナスリーブ36には、ロータホール96の外周端(開口端)に面してインナホール98が形成されている。インナホール98は、インナスリーブ36を径方向に沿って貫通しており、その断面形状がロータホール96の断面形状と一致している。またアウタスリーブ34には、インナホール98の外周端(開口端)に面してアウタホール100が形成されている。アウタホール100は、アウタスリーブ34を径方向に沿って貫通しており、その断面形状がロータホール96及びインナホール98の断面形状と一致している。
【0041】
ドアロック操作装置10では、ドアノブ30(図1参照)が操作されておらず、アウタレバー42及びインナレバー44がそれぞれ初期位置にある状態では、図4に示されるように、ロータホール96、インナホール98及びアウタホール100が一致し、ロータホール96、インナホール98及びアウタホールが径方向に沿って直線上に配列される。
【0042】
図4に示されるように、ケーシング16には、初期位置にあるアウタホール100の外周側にボックス状のスプリング収納部102が一体的に形成されており、このスプリング収納部102内には、アウタホール100の外周端に面して開口するスプリング収納室104が形成されている。スプリング収納室104は、その断面形状がロータホール96、インナホール98及びアウタホール100の断面形状と一致している。
【0043】
ドアロック操作装置10は、図2に示されるように、ロータホール96、インナホール98及びアウタホール100の内部に配置されるロック部材106(図2参照)を備えている。ロック部材106は、図2に示されるように、ロータブロック108、インナブロック110及びアウタブロック112からなる3分割構造とされている。ロータブロック108、インナブロック110及びアウタブロック112は、それぞれロータホール96インナホール98及びアウタホール100内にスライド可能に収納されている。
【0044】
ロータブロック108は、その外周端面をインナブロック110の内周端面へ周方向に沿って相対的に摺動可能に当接させ、インナブロック110は、その外周端面をアウタブロック112の内周端面へ周方向に沿って相対的に摺動可能に当接させている。図4に示されるように、ロータブロック108には、装置の幅方向内側の端面に軸方向へ直線的に延在する突起部114が一体的に形成されている。この突起部114は、その径方向に沿った断面形状が略V字状とされており、タンブラプレート86の係合凹部90内へ挿脱可能とされている。
【0045】
ロータブロック108の外周端面は、ロータ38と外周面と略同一の曲率半径で湾曲しており、図4(A)に示されるように、ロータブロック108の突起部114が全て(5枚)のタンブラプレート86の係合凹部90に挿入されている状態では、径方向に沿ってロータ38と外周面と同一位置に保持される。
【0046】
インナブロック110の内周端面及び外周端面は、インナスリーブ36の内周面及び外周面とそれぞれ略同一の曲率半径で湾曲しており、ロータブロック108の突起部114が全て(5枚)のタンブラプレート86の係合凹部90に挿入されている状態では、径方向に沿ってインナスリーブ36と内周面及び外周面と同一位置に保持される。
【0047】
またアウタブロック112の内周端面は、アウタスリーブ34の内周面と略同一の曲率半径で湾曲しており、ロータブロック108の突起部114が全て(5枚)のタンブラプレート86の係合凹部90に挿入されている状態では、径方向に沿ってアウタスリーブ34と内周面と同一位置に保持される。このとき、アウタスリーブ34の外周側の一部はスプリング収納室104内に挿入される。
【0048】
ドアロック操作装置10は、スプリング収納室104内に配置されて、アウタブロック112の外周端面とスプリング収納室104の外周側の壁部との間に介装されるコイルスプリング116を備えている。このコイルスプリング116は圧縮状態とされており、アウタブロック112を常に内周(タンブラプレート86)側へ付勢している。
【0049】
ドアロック操作装置10では、蓋板26の挿通口28を通してロータ38のキー挿入孔70内へキー本体部74が挿入されると、このキー本体部74が複数枚(本実施形態では、5枚)のタンブラプレート86の差込口92を挿通すると共に、各タンブラプレート86における差込口92の上側縁部又は下側縁部がキー本体部74における上端エッジ部又は下端エッジ部に圧接し、それぞれキー本体部74の被係合部に係合する。
【0050】
従って、ドアロック操作装置10では、キー挿入孔70内へキー72が挿入されると、5枚のタンブラプレート86がそれぞれ装置の高さ方向に沿ってキー72における係合相手となる被係合部と対応する位置へ摺動する。ここで、ドアロック操作装置10にも、キー72と同様に、は予め解錠のための識別コードが付与されており、タンブラプレート86の差込口92の摺動方向に沿った位置が識別コードに対応するものになっている。
【0051】
キー72は、本実施形態に係るドアロック操作装置10の規格に適合するものであれば、キー挿入孔70内へ挿入及び抜脱可能であるが、キー72としては、タンブラプレート86の係合相手となる全ての被係合部の深さが装置の識別コードと一致しているもの(以下、これを「正規キー72R」という。)と、タンブラプレート86の係合相手となる被係合部のうち少なくとも1個の深さが装置の識別コードと一致していないものが存在する。なお、正規キー72Rとは形状が一致しないキー72、及びキー72の代わりにキー挿入孔70内へ挿入可能のドライバ等のキー代替物を包括して「不正キー72I」という。
【0052】
ドアロック操作装置10では、キー挿入孔70内に正規キー72Rが挿入されると、5枚のタンブラプレート86がそれぞれ待機位置から、キー本体部74の被係合部に対応する位置へ移動する。このとき、各タンブラプレート86の係合凹部90は、図4(A)に示されるように、高さ方向に沿ってロータブロック108の突起部114と実質的に一致する位置(以下、この位置を「正規位置」という。)へ移動し、この正規位置へ保持される。
【0053】
またドアロック操作装置10では、キー挿入孔70内に不正キー72Iが挿入されると、各タンブラプレート86がキー本体部74の被係合部に係合して対応する位置へ移動し、又は被係合部に係合せずに待機位置に保持される。このとき、少なくとも1枚のタンブラプレート86は、高さ方向に沿って正規位置以外の非正規位置に移動し、又は正規位置へ移動することなく待機位置に保持される。
【0054】
ドアロック操作装置10では、キー挿入孔70に正規キー72Rが挿入され、正規キー72Rにより全てのタンブラプレート86が正規位置に移動すると、ロータホール96内に配置されたロータブロック108の突起部114が係合凹部90内へ進入する(図4(A)参照)。このとき、図4(A)に示されるように、インナブロック110の内周端面及び外周端面が径方向に沿ってインナスリーブ36の内周面及び外周面と実質的に一致すると共に、アウタブロック112の外周側の一部がスプリング収納室104内へ挿入されるので、インナスリーブ36及びインナブロック110が一体となって軸心Sを中心とする回転方向へ回転可能になり、アウタスリーブ34の回転がケーシング16により拘束される。
【0055】
またドアロック操作装置10では、キー挿入孔70に不正キー72Iが挿入され、又はキー挿入孔70にキー72が挿入されない状態では、少なくとも1枚のタンブラプレート86が非正規位置に保持されるので、突起部114の先端部が非正規位置にあるタンブラプレート86の側端部と当接し、何れの係合凹部90内へ進入できなくなる(図4(B)参照)。このとき、図4(B)に示されるように、インナブロック110の内周端面及び外周端面が径方向に沿ってアウタスリーブ34の内周面及び外周面と実質的に一致すると共に、ロータブロック108の外周側の一部がインナホール98内へ挿入されるので、アウタスリーブ34及びインナブロック110が一体となって軸心Sを中心とする回転方向へ回転可能になり、インナスリーブ36の回転がロータ38により拘束される。
【0056】
ドアロック操作装置10では、キー挿入孔70に正規キー72Rが挿入されつつ、ドアノブ30が操作されると、第1リンク部材62を介してドアノブ30からリンクレバー54に操作力Fが伝達される。このとき、インナレバー44が固定されたインナスリーブ36が回転可能とされると共に、アウタレバー42が固定されたアウタスリーブ34の回転が拘束されていることから、図6に示されるように、ドアノブ30からの操作力Fを受けたリンクレバー54は連結軸50を中心として一方向(図6では、時計方向)へ回転する。これにより、第2リンク部材68を介してリンクレバー54からロック機構14に解錠方向の操作力FUを伝達され、この操作力FUによりロック機構14が施錠状態から解錠状態に操作される。
【0057】
またドアロック操作装置10では、キー挿入孔70に不正キー72Iが挿入され、又はキー挿入孔70にキー72が挿入されていない状態で、ドアノブ30が操作されると、第1リンク部材62を介してドアノブ30からリンクレバー54に操作力Fが伝達される。このとき、インナレバー44が固定されたインナスリーブ36の回転が拘束されると共に、アウタレバー42が固定されたアウタスリーブ34が回転可能になることから、図7に示されるように、ドアノブ30からの操作力Fを受けたリンクレバー54は連結軸52を中心として他方向(図7では、反時計方向)へ回転する。これにより、第2リンク部材68を介してリンクレバー54からロック機構14に解錠方向とは反対の施錠方向の操作力FLを伝達され、この操作力FLによりロック機構14が解錠状態から施錠状態に操作される。
【0058】
そして、ドアロック操作装置10では、操作完了後、操作者がドアノブ30を解放すると、ドアノブ30が付勢部材の付勢力により図1に示される未操作位置に復帰すると共に、第1リンク部材62を介してリンクレバー54に伝達される操作力(復帰力)によりリンクレバー54、アウタレバー42及びインナレバー44がそれぞれ初期位置(図5参照)に復帰する。
【0059】
(実施形態の作用)
次に、本実施形態に係るドアロック操作装置10の作用について説明する。
【0060】
ドアロック操作装置10では、ロータ38におけるキー挿入孔70へ正規キー72Rを挿入すれば、ロック部材106を構成するロータブロック108、インナブロック110及びアウタブロック112がアウタスリーブ34の回転を拘束すると共に、インナスリーブ36を回転可能とするので、車両におけるドアノブ30に対する操作時に、第1リンク部材62を介してリンクレバー54に操作力Fを伝達すると、リンクレバー54がアウタスリーブ34の連結軸50を中心として一方向へ回転する。これにより、第2リンク部材68が解錠方向の操作力FUをロック機構14に伝達するので、この操作力FUによりロック機構14が施錠状態から解錠状態に操作される。
【0061】
またドアロック操作装置10では、キー挿入孔70へのキーの未挿入時及びキー挿入孔70へ不正キー72Iが挿入された場合には、ロック部材106を構成するロータブロック108、インナブロック110及びアウタブロック112がインナスリーブ36の回転を拘束すると共に、アウタスリーブ34を回転可能とするので、車両におけるドアノブ30に対する操作時に、第1リンク部材62がリンクレバー54に操作力Fを伝達すると、リンクレバー54がインナレバー44の連結軸52を中心として他方向へ回転する。これにより、第2リンク部材68が施錠方向の操作力FLをロック機構14に伝達するので、この操作力FLによりロック機構14が解錠状態から施錠状態に操作される。
【0062】
従って、ドアロック操作装置10によれば、キー挿入孔70に挿入されたキー72には何らの操作力を加えることなく、ドアノブ30から伝達される操作力によりロック機構14を施錠状態及び解錠状態の何れにも操作できることから、キー挿入孔70に挿入された不正キー72Iに過大な操作力を加えてもロック機構14が操作されることを確実に防止できるので、キー挿入孔70に挿入された不正キー72Iに過大な操作力を加えてロック機構14が不正に解錠されることを確実に防止でき、しかもキー72に要求される機械的な強度を十分に小さいものにできるので、キー72自体の小型化(特に、薄型化)が可能になる。
【0063】
なお、本実施形態に係るドアロック操作装置10では、アウタレバー42及びインナレバー44にそれぞれ連結軸50、52を設けると共に、リンクレバー54に連結軸50、52に相対的に回動可能に連結される長孔56、58を形成したが、これとは逆に、アウタレバー42及びインナレバー44にそれぞれ長孔56、58を設けると共に、リンクレバー54に長孔56、58にそれぞれ相対的に回動可能に挿入される連結軸50、52を設けるようにしても良い。またドアロック操作装置10では、リンクレバー54における延長部64に代えて、この延長部64とは反対側へ延出する延長部をリンクレバー54に形成すれば、ドアノブ30の操作時に、第2リンク部材68を介してロック機構14に伝達される操作力FU、FLの方向を反転できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係るドアロック操作装置が配置された車両におけるサイドドアを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るドアロック操作装置の構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るドアロック操作装置の構成を示す軸方向に沿った側面断面図である。
【図4】図2に示されるドアロック操作装置のIV-IV切断線に沿った断面図であり、(A)はキー挿入穴に正規キーが挿入された状態、(B)はキー挿入穴に不正キーが挿入された状態をそれぞれ示している。
【図5】図2に示されるドアロック操作装置を軸方向後端側から見た背面図であり、アウタレバー、インナレバー及びリンクレバーが初期位置にある状態を示している。
【図6】図2に示されるドアロック操作装置を軸方向後端側から見た背面図であり、リンクレバーがアウタレバーの連結軸を中心として回転している状態を示している。
【図7】図2に示されるドアロック操作装置を軸方向後端側から見た背面図であり、リンクレバーがインナレバーの連結軸を中心として回転している状態を示している。
【図8】従来例に係るドアロック装置を示す側断面図である。
【図9】従来例に係るドアロック装置を示すドア斜め前方内側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
10 ドアロック操作装置
14 ロック機構
16 ケーシング
30 ドアノブ
34 アウタスリーブ
36 インナスリーブ
38 ロータ
42 アウタレバー
44 インナレバー
50 連結軸(第2の支軸部)
52 連結軸(第1の支軸部)
54 リンクレバー
62 第1リンク部材(第1の連動手段)
68 第2リンク部材(第2の連動手段)
70 キー挿入孔
72 キー
74 キー本体部
86 タンブラプレート(タンブラ部材、キー判定手段)
106 ロック部材(キー判定手段)
108 ロータブロック
110 インナブロック
112 アウタブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーが挿入されるキー挿入孔が形成されたロータと、
前記ロータを相対的に回転可能に収容する筒状のインナスリーブと、
前記インナスリーブを相対的に回転可能に収容する筒状のアウタスリーブと、
前記アウタスリーブを回転可能に収容する筒状のケーシングと、
前記キー挿入孔へのキー挿入時に、前記ロータ及び前記ケーシングに対する前記アウタスリーブの回転を拘束すると共に、前記インナスリーブを回転可能とし、前記キー挿入孔へのキー未挿入時に、前記ロータ及び前記ケーシングに対する前記インナスリーブの回転を拘束すると共に、前記アウタスリーブを回転可能とするキー判定手段と、
一端部が前記インナスリーブに固定されると共に、該インナスリーブから外周側へ延出した他端部に第1の支軸部が設けられたインナレバーと、
一端部が前記アウタスリーブに固定されると共に、該アウタスリーブから外周側へ延出した他端部に第2の支軸部が設けられたアウタレバーと、
一端部及び他端側にそれぞれ前記第1の支軸部及び前記第2の支軸部に相対的に回転可能に連結される第1の軸受部及び第2の軸受部が設けられたリンクレバーと、
車両におけるドアノブ及び、前記リンクレバーにおける前記第1の軸受部と前記第2の軸受部との中間部にそれぞれ連結され、ドアノブに対する操作時に該ドアノブから前記リンクレバーに前記インナレバー及び前記アウタレバーの回転接線方向に沿った操作力を伝達する第1の連動手段と、
車両におけるドアに対するロック機構及び前記リンクレバーにそれぞれ連結され、前記リンクレバーが前記第2の支軸部を中心として回転すると、ロック機構を解錠状態とするための解錠方向の操作力を前記リンクレバーからロック機構に伝達し、前記リンクレバーが前記第1の支軸部を中心として回転すると、ロック機構を施錠状態とするための施錠方向の操作力を前記リンクレバーからロック機構に伝達する第2の連動手段と、
を有することを特徴とするドアロック操作装置。
【請求項2】
前記キー判定手段は、
前記ロータ内に軸直角方向に沿ってそれぞれ移動可能に配置されると共に、一端面に係合凹部が形成され、前記キー挿入孔にキーが挿入されると、該キーに設けられた被係合部に係合して所定の待機位置から正規位置に移動し、前記キー挿入孔からキーが抜き取られると、前記正規位置から前記待機位置に復帰するタンブラ部材と、
前記ロータ内の前記タンブラ部材に対して接離可能に設けられ、前記タンブラ部材が前記正規位置にあると、前記係合凹部に係合して、前記ロータ及び前記ケーシングに対する前記アウタスリーブの回転を拘束すると共に、前記インナスリーブを回転可能とし、前記タンブラ部材が前記待機位置にあると、前記係合凹部から離脱して、前記ロータ及び前記ケーシングに対する前記インナスリーブの回転を拘束すると共に、前記アウタスリーブを回転可能とするロック部材と、
を有することを特徴とする請求項1記載のドアロック操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−101393(P2008−101393A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284758(P2006−284758)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】