説明

ドアロック装置

【課題】アンロック状態からスーパーロック状態への作動時間、およびスーパーロック状態からアンロック状態への作動時間を迅速にし、さらにロックノブの操作に係わらずスーパーロック状態を解除状態にする。
【解決手段】コネクトレバー63を第1駆動部によってロック状態とアンロック状態とに作動し、セクタギア74を第2駆動部によってスーパーロック状態と解除状態とに作動する構成において、コネクトレバー63とセクタギア74とを連係する連係手段を設ける。この結果、アンロック状態のときに第2駆動部を駆動すればスーパーロック状態になり、スーパーロック状態のときに第1駆動部を駆動すればアンロック状態になる。さらに、スーパーロック状態でロックレバーをアンロック位置に保持しつつスーパーロック作用部を解除位置へ作動したときにスーパーロック作用部の解除位置への作動を許容する作動案内手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に用いられるドアロック装置に関するもので、特にドア開放を阻止するロック状態において当該ロック状態を解除する室内側のロックノブの操作を無効化するためのスーパーロック機構を備えたドアロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の室外側からのドア開放を阻止するロック機構に加え、車両の室内側のロックノブの操作を無効化することによって、不正にロックノブを操作してロックを解除する行為を回避して防盗性を向上するスーパーロック機構を備えたドアロック装置がある。この種のドアロック装置は、リモコンの操作や、キーによってキーシリンダを回転操作したときの信号をもとに作動するアクチュエータによってスーパーロック機構を作用させてスーパーロック状態にしてロックノブの操作を無効化する。この場合、ロック機構を作用させてロック状態にする必要がある。すなわち、ドアロック装置は、ロック機構を作用させるアクチュエータを備えている。さらに、ドアロック装置は、アクチュエータを作動せずキー操作によってスーパーロック機構の作用を解除してドアの開放が可能なアンロック状態にする。
【0003】
従来のドアロック装置は、スーパーロック機構用のアクチュエータと、ロック機構用のアクチュエータとの2つのアクチュエータを有している。そして各アクチュエータの選択的な作動によってスーパーロック機構あるいはロック機構をそれぞれ作用させて、スーパーロック状態、ロック状態あるいはアンロック状態にする。このドアロック装置は、ロック機構のロックノブによる解除動作をスーパーロック機構の作用でブロックすることによってスーパーロック状態を得る(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、別の従来のドアロック装置は、上記従来のドアロック装置と同様にスーパーロック機構用のアクチュエータと、ロック機構用のアクチュエータとの2つのアクチュエータを有している。このドアロック装置は、ロック機構のロックノブによる解除動作をスーパーロック機構の作用で空振りさせることによってスーパーロック状態を得る(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、さらに別の従来のドアロック装置は、1つのアクチュエータの作動によってスーパーロック機構あるいはロック機構を作用させて、スーパーロック状態、ロック状態あるいはアンロック状態にする。このドアロック装置は、ロック機構のロックノブによる解除動作をスーパーロック機構の作用で空振りさせることによってスーパーロック状態を得る(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特許第3400747号公報
【特許文献2】特開2000−17921号公報
【特許文献3】特許第3029966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のドアロック装置(特許文献1参照)では、アンロック状態からスーパーロック状態にするには、最初にロック機構用のアクチュエータを作動してロック状態とし、その後にスーパーロック機構用のアクチュエータを作動してスーパーロック状態にしなければならない。また、スーパーロック状態からアンロック状態にするにも、最初にスーパーロック機構用のアクチュエータを作動してロック状態とし、その後にロック機構用のアクチュエータを作動してアンロック状態にしなければならない。このように、従来のドアロック装置では、ロック機構用のアクチュエータと、スーパーロック機構用のアクチュエータとを順次作動させなければならないため、作動時間がかかってしまうという問題がある。
【0008】
別の従来のドアロック装置(特許文献2参照)では、アンロック状態からスーパーロック状態にするには、最初にロック機構用のアクチュエータを作動してロック状態とし、その後にスーパーロック機構用のアクチュエータを作動してスーパーロック状態にしなければならない。このように、別の従来のドアロック装置では、アンロック状態からスーパーロック状態にするためにロック機構用のアクチュエータと、スーパーロック機構用のアクチュエータとを順次作動させなければならないため、作動時間がかかってしまうという問題がある。
【0009】
さらに別の従来のドアロック装置(特許文献3参照)では、アクチュエータに中立位置を設け、この中立位置から一方向への作動によってロック状態を介してスーパーロック状態にし、中立位置から多方向への作動によってロック状態を介してアンロック状態にしている。このため、さらに別の従来のドアロック装置では、必ずロック状態を介しているので作動時間がかかってしまうという問題がある。
【0010】
また、別の従来のドアロック装置(特許文献2参照)や、さらに別の従来のドアロック装置(特許文献3参照)では、ロック機構のロックノブによる解除動作をスーパーロック機構の作用で空振りさせることによってスーパーロック状態を得ている。この場合、ロックノブは、解除動作の位置から空振りした後に手を離せばバネなどによって元の位置(ロック状態の位置)に戻るように構成してある。しかし、スーパーロック機構をスーパーロック状態から解除状態に戻すときにロックノブが解除動作の位置に操作されている場合では、スーパーロック機構を解除状態にすることができない。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みて、アンロック状態からスーパーロック状態への作動時間、およびスーパーロック状態からアンロック状態への作動時間を迅速にすることができ、さらにロックノブの操作に係わらずにスーパーロック状態を解除状態にすることができるドアロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係るドアロック装置は、車両室内に配置してあるロックノブに連係したロックレバーが係合してあって前記ロックレバーをロック位置あるいはアンロック位置に移動させる態様で第1駆動部の駆動によって作動するロック作用部を有してなり、車両のドアハンドルによる開ドア操作が無効なロック状態にする一方で前記ドアハンドルによる開ドア操作が有効なアンロック状態にするロック機構と、ロック位置にある前記ロックレバーの前記ロック作用部に対する係合を無効化あるいは有効化させる態様で第2駆動部の駆動によって作動するスーパーロック作用部を有してなり、前記ロックレバーのロック位置からアンロック位置への操作が無効なスーパーロック状態にする一方で前記ロックレバーのロック位置からアンロック位置への操作が有効な解除状態にするスーパーロック機構とを有したドアロック装置において、前記スーパーロック作用部と前記ロック作用部とを相互に連係してあり、スーパーロック状態のときに前記ロック作用部のアンロック状態への作動にともなって前記スーパーロック作用部を解除状態に作動する一方、アンロック状態のときに前記スーパーロック作用部のスーパーロック状態への作動にともなって前記ロック作用部をロック状態に作動する連係手段と、前記連係手段に設けてあってスーパーロック状態で前記ロックレバーをアンロック位置に保持しつつ前記スーパーロック作用部を解除位置へ作動したときに当該スーパーロック作用部の解除位置への作動を許容する作動案内手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項2に係るドアロック装置は、上記請求項1において、前記連係手段は、前記ロック作用部に設けた連係アームと、前記連係アームに対して離合可能に設けてあって前記ロックレバーと一体に移動する係合アームと、前記スーパーロック作用部に設けてあって前記連係アームに係合してありスーパーロック状態のときに前記ロック作用部のアンロック状態への作動によって前記連係アームを介して前記スーパーロック作用部を解除状態に作動させる一方でアンロック状態のときに前記スーパーロック作用部のスーパーロック状態への作動によって前記連係アームを介して前記ロック作用部をロック状態に作動させる第1カム部と、前記スーパーロック作用部に設けてあって前記係合アームに係合してあり前記スーパーロック作用部の解除状態への作動によって前記係合アームを前記連係アームに対して係合させる一方で前記スーパーロック作用部のスーパーロック状態への作動によって前記係合アームを前記連係アームから離反させる第2カム部とからなり、前記作動案内手段は、前記連係アームに対して前記係合アームを係合する態様で前記連係アームから突出する突出位置に向けて弾性支持してあって前記係合アームから退く態様で前記突出位置から弾性力に抗して移動可能に設けた係合凸部と、前記係合アームに設けてあってスーパーロック状態で前記ロックレバーをアンロック位置に保持しつつ前記スーパーロック作用部を解除位置に作動したときに前記係合凸部を退避移動させる案内面とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るドアロック装置は、ロック機構をロック状態とアンロック状態とにする第1駆動部を設け、スーパーロック機構をスーパーロック状態と解除状態とにする第2駆動部を設けた構成において、ロック機構のロック作用部とスーパーロック機構のスーパーロック作用部とを連係する連係手段を設けてある。そして、アンロック状態のときに第2駆動部を駆動してスーパーロック状態にする。さらに、スーパーロック状態のときに第1駆動部を駆動してアンロック状態にする。この結果、アンロック状態からスーパーロック状態への作動時間、およびスーパーロック状態からアンロック状態への作動時間を迅速にすることが可能になり、車両への乗降が円滑になり、特に車両への乗り込みがより円滑になる。
【0015】
さらに、本発明に係るドアロック装置は、スーパーロック状態でロックレバーをアンロック位置に保持しつつスーパーロック作用部を解除位置へ作動したときに当該スーパーロック作用部の解除位置への作動を許容する作動案内手段を連係手段に設けてある。この結果、ロックノブを操作したロックレバーの位置に係わらずスーパーロック状態を解除状態にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るドアロック装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
図1〜図4は本発明の実施例であるドアロック装置を示したものである。ここで例示するドアロック装置は、自動車の前席右側に配置された前方ヒンジのサイドドア(右ハンドル車においては運転席側のドアD)においてドアハンドルとしてのアウトサイドハンドルD1とラッチ機構20との間に設けられるもので、主ケース2および副ケース3を備えている。これら主ケース2および副ケース3は、例えばそれぞれを合成樹脂によって成形したもので、互いに接合した後、ネジなどの締結手段4によって相互に締結することによりハウジング10を構成する。
【0018】
これら主ケース2および副ケース3によって構成されるハウジング10は、ドアDの室内外方向に沿って延在するラッチ機構収容部11と、このラッチ機構収容部11の室内側に位置する端部からドアDの前後方向に沿って延在するロック機構収容部12とを備え、上方から見た場合にほぼL字状を呈している。なお、図4に示すように主ケース2と副ケース3との接合面であって、車両前側の下側から上側を通過して車両後側(ラッチ機構収容部11)に至る部位には、パッキン材5を介在させてあり、所望の水密性が確保してある。
【0019】
ハウジング10のラッチ機構収容部11には、その高さ方向のほぼ中央となる位置に、室内側から室外側に向けて略水平に延在する水平切欠溝13を有したもので、ラッチ機構20を内部に収容している。
【0020】
ラッチ機構20は、従前のものと同様であり、図5に示すように自動車の車両本体側に設けたストライカSを噛合保持するためのもので、ラッチ21とラチェット22とを備えて構成してある。
【0021】
ラッチ21は、ラッチ機構収容部11の水平切欠溝13よりも上方となる位置に、車両本体の前後方向に沿って略水平に延在するラッチ軸23を介して回転可能に配設したものである。ラッチ21は、噛合溝21a、フック部21bおよび係止部21cを有している。
【0022】
ラッチ21の噛合溝21aは、ラッチ21の外周面からラッチ軸23に向けて開設して形成したものである。噛合溝21aは、ストライカSを収容することのできる幅に形成してある。
【0023】
ラッチ21のフック部21bは、噛合溝21aを下方に向けて開口させた場合に該噛合溝21aよりも室内側に位置する部分である。フック部21bは、図5−1に示すように、ラッチ21をラッチ軸23の周りに時計回りに回転させた場合に水平切欠溝13を開放する位置(開放位置)で停止する。一方、フック部21bは、ラッチ21をラッチ軸23の周りに反時計回りに回転させた場合に、図5−2に示すように水平切欠溝13を横切る位置(半ラッチ位置)、あるいは図5−3に示すように水平切欠溝13を横切る位置(ラッチ位置)で停止するように構成してある。
【0024】
ラッチ21の係止部21cは、噛合溝21aを下方に向けて開口させた場合に該噛合溝21aよりも室外側に位置する部分である。係止部21cは、図5−1に示すように、ラッチ21をラッチ軸23の周りに時計回りに回転させた場合に水平切欠溝13を横切り、かつ、水平切欠溝13の奥方(室外側)に向けて漸次上方に傾斜する状態で停止するように構成してある。なお、ラッチ21とラッチ機構収容部11との間には、図5においてラッチ21をラッチ軸23の周りに常時時計回りに向けて付勢するラッチバネ(図示せず)が設けてある。
【0025】
ラチェット22は、ラッチ機構収容部11の水平切欠溝13よりも下方で、かつ、ラッチ軸23よりも室内側となる位置に、車両本体の前後方向に沿って略水平に延在するラチェット軸24を介して回転可能に配設したものである。ラチェット22は、係合部22aおよび作用部22bを有している。
【0026】
ラチェット22の係合部22aは、ラチェット軸24から室外側に向けて径外方向に延在する部分である。係合部22aは、ラチェット22が図5において反時計回りに回転した場合にその突出端面を介して上述したラッチ21のフック部21bおよび係止部21cに係合することが可能である。ラチェット22の作用部22bは、ラチェット軸24から室内側に向けて径外方向に延在する部分である。
【0027】
図4および図6に示すようにラチェット22には、ラチェットレバー25が設けてある。ラチェットレバー25は、車両前側となる位置でラチェット22とともに一体となってラチェット軸24の周りに回転する。ラチェットレバー25は、ラチェット軸24からラチェット22の作用部22bと同一方向に向けて延在した後、車両前側(ロック機構収容部12側)に屈曲させ、その下方域を車両室内側に屈曲させてなる当接部25aと、当接部25aからさらに車両前側の上方に延在した後、車両室内側に屈曲させた動作端部25bとを有している。このラチェットレバー25は、図5に示す連係ピン26によってラチェット22と共に回転する態様で連結してある。なお、ラチェット22とラッチ機構収容部11との間には、図5においてラチェット22をラチェット軸24の周りに常時反時計回りに向けて付勢するラチェットバネ(図示せず)が設けてある。
【0028】
また、上記ラッチ機構20において、ラッチ21の上方部にはラッチ21の位置を検出するスイッチ27が配設してある。スイッチ27のアーマチュアはラッチ21の外周面に摺接し、ラッチ21の外周面から離反することによりラッチ21がラッチ位置にあることを検出し、ラッチ21がラッチ位置以外の位置(例えば、開放位置、半ラッチ位置)にあるときには車両の室内灯(図示せず)などを点灯させる。
【0029】
上記のように構成したラッチ機構20では、ドアDが車両本体に対して開放状態(開ドア状態)にある場合、図5−1に示すように、ラッチ21が開放位置に配置されることになり、車両の室内灯は点灯している。この状態からドアDを閉操作させると、車体本体側に設けたストライカSがラッチ機構収容部11の水平切欠溝13に進入し、やがてストライカSがラッチ21の係止部21cに当接することになる。この結果、ラッチ21がラッチバネ(図示せず)の弾性力に抗して図5においてラッチ軸23の周りに反時計回りに回転する。この間、ラチェット22は、ラチェットバネ(図示せず)の弾性力によって係合部22aの突出端面がラッチ21の外周面に摺接することになり、該ラッチ21の外周面形状に応じて適宜ラチェット軸24の周りに回転する。
【0030】
上述した状態からさらにドアDを閉操作すると、図5−2に示すように、水平切欠溝13に対するストライカSの進入量が漸次増大するため、ラッチ21が反時計回りにさらに回転するようになり、やがてラチェット22の係合部22aがラッチ21の噛合溝21aに至る。この状態においては、ラッチ21の係止部21cがラチェット22の係合部22aに当接することになるため、ラッチバネ(図示せず)の弾性復元力に抗して当該ラッチ21の時計回りの回転が阻止されることになる。しかも、ラッチ21のフック部21bが水平切欠溝13を横切るように配置されるため、該フック部21bによってストライカSが水平切欠溝13から離脱する方向に移動する事態、つまりドアDの車両本体に対する開動作が阻止されるようになる(半ラッチ状態)。
【0031】
上述した半ラッチ状態からドアDをさらに閉操作させると、図5−3に示すように、水平切欠溝13を進入するストライカSにより、係止部21cを介してラッチ21がラッチ軸23の周りに反時計回りにさらに回転し、ストライカSが水平切欠溝13の奥方(室外側)に至る。この間、ラチェット22は、係合部22aの上面にラッチ21のフック部21bが当接することによりラチェットバネ(図示せず)の弾性力に抗して図5においてラチェット軸24の周りに時計回りに回転し、ラッチ21のフック部21bが通過した時点でラチェットバネ(図示せず)の弾性復元力により直ちに反時計回りに回転するようになる。この結果、図5−3に示すように、ラッチ21のフック部21bがラチェット22の係合部22aに当接することになるため、ラッチバネ(図示せず)の弾性復元力に抗して当該ラッチ21の時計回りの回転が阻止されることになる。この状態においても、ラッチ21のフック部21bが水平切欠溝13を横切るように配置されるため、該フック部21bによってストライカSが水平切欠溝13の奥方(室外側)から離脱する方向に移動する事態が阻止されるようになり、結局、ドアDが車両本体に対して閉じた状態に維持され(フルラッチ状態)、車両の室内灯が消灯する。
【0032】
さらに、上述したフルラッチ状態からラチェットバネ(図示せず)の弾性力に抗してラチェット22の作用部22b、もしくはラチェットレバー25の当接部25aを図5においてラチェット軸24の周りに時計回りに回転させると、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ラッチ21がラッチバネ(図示せず)の弾性復元力により図7において時計回りに回転する。この結果、図5−1に示すように、水平切欠溝13が開放され、ストライカSが水平切欠溝13から離脱する方向に移動可能となり、ドアDを車両本体に対して開ドア操作させることができるようになり、車両の室内灯が点灯する。
【0033】
ハウジング10のロック機構収容部12には、図1〜図4に示すように、オープンレバー30、リンクレバー40、インナーハンドルレバー50、ロック機構60およびスーパーロック機構70が収容してある。
【0034】
オープンレバー30は、上記ラッチ機構20のラチェット22よりもさらに下方となる位置に、車両本体の前後方向に沿って略水平に延在するオープンレバー軸31を介して回転可能に配設したもので、図6に示すようにオープン作用端部30a、オープン動作端部30bおよび受圧部30cを有している。
【0035】
オープンレバー30のオープン作用端部30aは、オープンレバー軸31から室外側に向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端部がハウジング10の外部に突出している。このオープン作用端部30aにおいてハウジング10の外部に突出する部分には、ドアDに設けたアウトサイドハンドルD1との間を連係するリンクなどのアウトサイドハンドル連係手段32を接続してある。より詳細には、アウトサイドハンドルD1を開ドア操作した場合に、オープンレバー30が図6−2に示すようにオープンレバー軸31の周りに反時計回りに回転動作するようにアウトサイドハンドル連係手段32を接続してある。
【0036】
オープンレバー30のオープン動作端部30bは、オープンレバー軸31から室内側に向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端部がハウジング10の内部においてラチェットレバー25における当接部25aの下方域に位置している。
【0037】
オープンレバー30の受圧部30cは、オープン動作端部30bの下方に位置し、オープンレバー30の下縁部から前方に向けて屈曲した部分である。なお、オープンレバー30とロック機構収容部12との間には、図6においてオープンレバー30をオープンレバー軸31の周りに常に時計回りに向けて付勢するオープンレバーバネ33が設けてある。
【0038】
リンクレバー40は、オープンレバー30のオープン動作端部30bに装着してある。リンクレバー40は、図6および図7に示すように、その基端部に装着孔40aを有したものである。この装着孔40aは、リンクレバー40に対して車両本体の室内外方向に沿った軸心回りに回動可能に設けた回動子40aaに形成してある。リンクレバー40は、装着孔40aにオープンレバー30のオープン動作端部30bを挿通させることにより、このオープン動作端部30bと共に上下動可能に設けてあり、かつ、オープン動作端部30bに対して回動子40aaを介して車両本体の室内外方向に沿った軸心回りに回動可能に支承させてある。このリンクレバー40には、ラチェット駆動部40b、パニックレバー連結部40cおよびロック防止部40dが設けてある。
【0039】
リンクレバー40のラチェット駆動部40bは、装着孔40aからラチェットレバー25の当接部25aに向けて径外方向に延在する部分である。ラチェット駆動部40bは、リンクレバー40の上動により、ラチェットレバー25の当接部25aを押圧可能に設けてある。
【0040】
リンクレバー40のパニックレバー連結部40cは、装着孔40aからラチェットレバー25の動作端部25bの側方に向けて上方に延在する部分である。パニックレバー連結部40cの延在部分には、上下方向に長手状の長孔をなす連結用溝孔40eが形成してある。
【0041】
リンクレバー40のロック防止部40dは、ラッチ21が開放位置にあるときにラチェットレバー25の動作端部25bと隣接しリンクレバー40の回動を防止するものである。ロック防止部40dは、パニックレバー連結部40cの側方から車両後側に延在した後下方に延在する部分である。
【0042】
インナーハンドルレバー50は、図4および図7に示すように、オープンレバー30の下方域に、車両本体の室内外方向に沿って略水平に延在するインナーレバー軸51を介して回動可能に配設したものである。インナーハンドルレバー50は、インナー作用部50aおよび動作端部50bを有している。
【0043】
インナーハンドルレバー50のインナー作用部50aは、インナーレバー軸51から上方に延在する部分であり、図3に示すようにその延在端部がハウジング10の外部に突出している。インナー作用部50aにおいてハウジング10の外部に突出する部分には、ドアDの室内側に設けたインサイドハンドルD2との間を連係するリンクやワイヤなどのインサイドハンドル連係手段52を接続してある。より詳細には、インサイドハンドルD2を開ドア操作した場合に、インナーハンドルレバー50が図7−2に示すようにインナーレバー軸51の周りに反時計回りに回転するようにインサイドハンドル連係手段52を接続してある。
【0044】
インナーハンドルレバー50の動作端部50bは、インナーハンドルレバー50を図7−2に示すようにインナーレバー軸51の周りに反時計回りに回転させた場合に、オープンレバー30の受圧部30cに当接してこれを上方に押圧する。
【0045】
ロック機構60は、アウトサイドハンドルD1の開ドア操作によるオープンレバー30の回転動作をラッチ機構20に伝達するアンロック状態と、アウトサイドハンドルD1の開ドア操作によるオープンレバー30の回転動作をラッチ機構20に伝達しないロック状態とに切り換わるものである。ロック機構60は、主ケース2における副ケース3との対向面、つまり主ケース2において副ケース3によって覆われる面に、図4および図8に示すように、キーレバー61、キーサブレバー62、コネクトレバー63、セクタギア65、パニックレバー66およびウォームホイール67を備えている。
【0046】
キーレバー61は、ハウジング10の下方の位置に回動可能に配設してある。キーレバー61は、図8および図9に示すように、入力軸部611、回動凹部612、レバー部613を有してなる。
【0047】
キーレバー61の入力軸部611は、図1に参照するようにドアDに設けたキーシリンダKCをキー操作したときの回転駆動力を入力する入力部となるものである。入力軸部611には、キー操作によるキーシリンダKCの回転駆動力を伝達するリンクあるいはケーブルなどのキーシリンダ連係手段615を接続してある。より詳細には、キーシリンダKCを施錠操作した場合にキーレバー61が図9−2に示すように反時計回りに回転動作し、キーシリンダKCを解錠操作した場合にキーレバー61が図9−1に示すように時計回りに回転動作するように入力軸部611に対してキーシリンダ連係手段615を接続してある。
【0048】
キーレバー61の回動凹部612は、入力軸部611に凹設してある。回動凹部612は、副ケース3に形成した凸部(図示せず)に嵌合することにより、キーレバー61を回動可能に支承する。
【0049】
キーレバー61のレバー部613は、入力軸部611の径外方向に延在する部分である。レバー部613の延在した先端部には、キーリンク連結孔614が形成してある。
【0050】
キーサブレバー62は、図8および図9に示すように、上記キーレバー61の車両前側上方にて回動可能に配設してある。キーサブレバー62は、回動孔621、キーリンク連結部622、ロック切換用突起623、アンロック切換用突起624、ロック操作認識用突起625およびアンロック操作認識用突起626を有している。
【0051】
キーサブレバー62の回動孔621は、主ケース2においてハウジング10内(車両本体の室内側)に延在して形成した円柱状の凸部201を挿通してある。これにより、回動孔621は、キーサブレバー62を図8および図9において凸部201の周りに回動可能に配設する。
【0052】
キーサブレバー62のキーリンク連結部622は、回動孔621(凸部201)の軸心から径外方向に延在する部分である。キーリンク連結部622の先端には、キーリンク連結孔622aが形成してある。このキーリンク連結孔622aと、キーレバー61のキーリンク連結孔614とは、キーリンク627により連結してある。すなわち、キーリンク627を介して、キーレバー61の回動動作をキーサブレバー62に伝達可能である。
【0053】
キーサブレバー62のロック切換用突起623およびアンロック切換用突起624は、ともに回動孔621の軸心から径外方向に延在して形成してある。そして、キーサブレバー62の回動に際して、ロック切換用突起623によりロック機構60がアンロック状態からロック状態に切り換わる(図9−2参照)。一方、キーサブレバー62の回動に際して、アンロック切換用突起624によりロック機構60がロック状態からアンロック状態に切り換わる(図9−1参照)。
【0054】
キーサブレバー62のロック操作認識用突起625およびアンロック操作認識用突起626は、ともに回動孔621の軸心から径外方向に延在して形成してある。そして、キーサブレバー62の回動によってロック機構60をアンロック状態からロック状態に切り換えたときには、ロック操作認識用突起625がスイッチ628の検出片628aを時計回りに倒す(図9−2参照)。一方、キーサブレバー62の回動によってロック機構60をロック状態からアンロック状態に切り換えたときには、アンロック操作認識用突起626がスイッチ628の検出片628aを反時計回りに倒す(図9−1参照)。このように、ロック操作認識用突起625およびアンロック操作認識用突起626は、スイッチ628の検出片628aを作動して、キーシリンダKCのキー操作、つまり、施錠操作、解錠操作の別を識別する。
【0055】
コネクトレバー63は、本発明のロック作用部をなし、図4に示すように、上記キーサブレバー62の車両室内側に重なる態様で配設してある。図8に示すようにコネクトレバー63は、回動孔631、切換用突起632、セクタギア連結部633およびスイッチレバー634を有している。
【0056】
コネクトレバー63の回動孔631は、上記凸部201を挿通してある。これにより、回動孔631は、コネクトレバー63を図8において凸部201の周りに回動可能に配設する。すなわち、コネクトレバー63は、キーサブレバー62の回動孔621と同一軸心上に回動可能に取り付けてある。
【0057】
コネクトレバー63の切換用突起632は、キーサブレバー62の回動に応じてコネクトレバー63をアンロック位置からロック位置に、あるいはロック位置からアンロック位置に切り換える突起である。切換用突起632は、キーサブレバー62と対向する面に形成してある。より詳細には、切換用突起632は、キーサブレバー62のロック切換用突起623およびアンロック切換用突起624と当接可能に設けてある。そして、ロック切換用突起623が切換用突起632と当接し当該切換用突起632を押圧することによりコネクトレバー63がアンロック位置からロック位置に切り換わる(図9−2参照)。一方、アンロック切換用突起624が切換用突起632と当接し当該切換用突起632を押圧することによりコネクトレバー63がロック位置からアンロック位置に切り換わる(図9−1参照)。
【0058】
コネクトレバー63のセクタギア連結部633は、コネクトレバー63の回動孔631から径外方向に延在する部分である。セクタギア連結部633は、延在した先端部に連結用凸部635を備えている。なお、連結用凸部635は、セクタギア連結部633の先端部において室外側に位置する面から車両の室外方向に沿って略水平に延在してある。
【0059】
コネクトレバー63のスイッチレバー634は、コネクトレバー63の位置を検出するためのものである。スイッチレバー634は、コネクトレバー63がアンロック位置にある場合にスイッチ636をオフにする(図12参照)。一方、スイッチレバー634は、コネクトレバー63がロック位置に切り換わった場合にスイッチ636をオンにする(図13参照)。
【0060】
なお、コネクトレバー63と主ケース2との間には、バネ637を設けてある。バネ637は、コネクトレバー63の回動に際して当該コネクトレバー63をアンロック位置(図12参照)、またはロック位置(図13参照)の位置に維持する。
【0061】
セクタギア65は、図8に示すように、車両本体の室内外方向に沿って略水平に延在するギアシャフト651を介して回動可能に配設してある。セクタギア65は、コネクトレバー連結部652、ドリブンギア部654およびパニックレバー当接部655を有している。
【0062】
セクタギア65のコネクトレバー連結部652は、ギアシャフト651の径外方向に延在して形成してある。コネクトレバー連結部652には、連結用溝孔656が形成してある。この連結用溝孔656には、コネクトレバー63に形成した連結用凸部635が挿通してある。すなわち、コネクトレバー63の反時計回りの回転によってセクタギア65は、ギアシャフト651の周りに時計回りに回転する一方、コネクトレバー63の時計回りの回転によってセクタギア65は、ギアシャフト651の周りに反時計回りに回転する。
【0063】
セクタギア65のドリブンギア部654は、図8に示すように、ギアシャフト651を中心として扇形状に形成したものである。ドリブンギア部654は、その外周面に一対の外側歯654a,654b、第1受動歯654cおよび第2受動歯654dを有している。これら一対の外側歯654a,654b、第1受動歯654cおよび第2受動歯654dは、ギアシャフト651の延在方向に沿って互いに高さが異なる三段階の位置に設けてある。一対の外側歯654a,654bは、ドリブンギア部654の両側に設けたものであり、最も室内側となる位置に配設してある。第1受動歯654cは、一対の外側歯654a,654bの相互間において一方の外側歯654aに近接する位置に設けたものであり、ギアシャフト651の延在方向に沿った中間位置に配設してある。第2受動歯654dは、他方の外側歯654bと第1受動歯654cとの間となる位置に設けたものであり、最も室外側となる位置に配設してある。
【0064】
セクタギア65のパニックレバー当接部655は、セクタギア65の車両後側縁部から室内側に凸設して形成してある。
【0065】
パニックレバー66は、図4に示すように、セクタギア65とリンクレバー40とを連結するものである。図8に示すようにパニックレバー66は、ギアシャフト651に回動可能に取り付けてある。このパニックレバー66は、ギアシャフト651から下方に向けて径外方向に延在して形成してあり、連結用凸部661およびセクタギア当接部662を設けてある。
【0066】
パニックレバー66の連結用凸部661は、パニックレバー66の先端部において室内側に位置する面から車両本体の室内外方向に沿って略水平に突出した円柱部分である。この連結用凸部661は、上述したリンクレバー40の連結用溝孔40eに装着してある。
【0067】
パニックレバー66のセクタギア当接部662は、パニックレバー66の中程部において車両後方側に形成した段部分である。セクタギア当接部662は、セクタギア65のパニックレバー当接部655と当接し、連動可能である。
【0068】
なお、セクタギア65とパニックレバー66との間には、パニックスプリング663を介在させてあり、パニックレバー66のセクタギア当接部662がセクタギア65のパニックレバー当接部655と当接するように付勢してある。
【0069】
ウォームホイール67は、図8に示すように、セクタギア65の上方域に、車両本体の室内外方向に沿って略水平に延在するウォーム軸671を介して回動可能に配設したものである。このウォームホイール67には、同一軸心上に間欠歯車672を固着してある。
【0070】
ウォームホイール67の間欠歯車672は、基本歯672a、一対の第1駆動歯672bおよび一対の第2駆動歯672cを有したものである。間欠歯車672は、セクタギア65のドリブンギア部654に設けた一対の外側歯654a,654b、第1受動歯654cおよび第2受動歯654dとの間において一方向の動力伝達手段を構成している。すなわち、間欠歯車672の基本歯672a、一対の第1駆動歯672bおよび一対の第2駆動歯672cは、ドリブンギア部654の一対の外側歯654a,654b、第1受動歯654cおよび第2受動歯654dと同様に、ウォーム軸671の延在方向に沿って互いに高さが異なる三段階の位置に設けてあり、基本歯672aが外側歯654a,654bにのみ歯合し、第1駆動歯672bが第1受動歯654cにのみ歯合し、第2駆動歯672cが第2受動歯654dにのみ歯合するように構成してある。また、ウォームホイール67と主ケース2との間には、ウォームホイール67の間欠歯車672における基本歯672aがギアシャフト651の軸心に向かう状態(以下、単に中立状態という)に維持するための中立復帰バネ673が設けてある。
【0071】
セクタギア65を図12に示す位置(以下、単にアンロック位置という)から図13に示す位置(以下、単にロック位置という)までギアシャフト651の周りに時計回りに回転させた場合、セクタギア65におけるドリブンギア部654の各歯654a,654b,654c,654dが間欠歯車672のいずれの歯672a,672b,672cにも歯合しないため、ウォームホイール67を回転させることはない。同様に、セクタギア65を図13に示すロック位置から図12に示すアンロック位置までギアシャフト651の周りに反時計回りに回転させた場合にも、ウォームホイール67が回転することはない。
【0072】
ウォームホイール67は、図4に示すように、第1駆動部としての駆動モータ675の出力軸に固着したウォーム676に歯合している。そして、駆動モータ675の駆動によって、ウォームホイール67を図12に示す状態からウォーム軸671の周りに反時計回りに回転させた場合、基本歯672aが外側歯654aに歯合した後、第1駆動歯672bが第1受動歯654cに歯合し、さらに第2駆動歯672cが第2受動歯654dに歯合することになる。これにより、図13に示すように、ドリブンギア部654を介してセクタギア65がギアシャフト651の周りに時計回りに回転する。さらに、セクタギア65の時計回りへの回転に伴って、リンクレバー40が回動子40aaを介してオープンレバー30のオープン動作端部30bの周りに反時計回りに回転してロック位置に変位することになる。同時に、セクタギア65の時計回りへの回転に伴って、コネクトレバー63が反時計回りに回転してロック位置に変位することになる。
【0073】
ウォームホイール67の回転によってセクタギア65、リンクレバー40およびコネクトレバー63を図12に示すアンロック位置から図13に示すロック位置に変位させた後においては、もはや間欠歯車672によってセクタギア65を回転させることができず、中立復帰バネ673の弾性復元力により、セクタギア65を回転させることなくウォームホイール67が中立状態に復帰する。
【0074】
また、駆動モータ675の駆動によって、ウォームホイール67を図13に示す状態からウォーム軸671の周りに時計回りに回転させた場合、基本歯672aが外側歯654bに歯合した後、第2駆動歯672cが第2受動歯654dに歯合し、さらに第1駆動歯672bが第1受動歯654cに歯合することになる。これにより、図12に示すように、ドリブンギア部654を介してセクタギア65がギアシャフト651の周りに反時計回りに回転する。さらに、セクタギア65の反時計回りへの回転に伴って、リンクレバー40が回動子40aaを介してオープンレバー30のオープン動作端部30bの周りに時計回りに回転してアンロック位置に変位することになる。同時に、セクタギア65の反時計回りへの回転に伴って、コネクトレバー63が時計回りに回転してアンロック位置に変位することになる。
【0075】
ウォームホイール67の回転によってセクタギア65、リンクレバー40およびコネクトレバー63を図13に示すロック位置から図12に示すアンロック位置に変位させた後においては、もはや間欠歯車672によってセクタギア65を回転させることができず、中立復帰バネ673の弾性復元力により、セクタギア65を回転させることなくウォームホイール67が中立状態に復帰する。
【0076】
スーパーロック機構70は、上記ロック機構60がロック状態にあるとき、車両室内に配置してあるロックノブD3の操作をロック機構60に伝達する解除状態と、ロックノブD3の操作をロック機構60に伝達しないスーパーロック状態とに切り換わるものである。スーパーロック機構70は、主ケース2における副ケース3との対向面、つまり主ケース2において副ケース3によって覆われる面に、図4および図8に示すように、連係アーム71、回動軸72、係合アーム73、セクタギア74およびウォームホイール75を備えている。
【0077】
連係アーム71は、本発明の連係手段を構成し、上記コネクトレバー63に設けてある。連係アーム71は、コネクトレバー63の回動孔631からセクタギア連結部633に相反する径外方向に延在してある。連係アーム71は、延在した先端部の室内側の面に係合凸部711を備えている。係合凸部711は、車両の室内方向に突設してあり略矩形状を呈している。また、連係アーム71は、延在した先端部の室外側の面に連係ピン713を備えている。連係ピン713は、車両の室内方向に延在してある。
【0078】
連係アーム71の係合凸部711は、本発明の作動案内手段を構成している。図10に示すように係合凸部711は、その突設した先端面が連係アーム71の延在する先端に傾いた傾斜面711aをなしている。また、係合凸部711は、連係アーム71に凹設した凹孔711bに圧縮バネ711cを介して挿通してある。係合凸部711は、凹孔711bの開口部に設けた蓋部711dに係合することによって、圧縮バネ711cの弾性力によって連係アーム71から突出した突出位置に向けて弾性支持されている。
【0079】
回動軸72は、上記コネクトレバー63の回動中心となる凸部201に設けてある。凸部201の中心部分には、軸孔201aが設けてあって、回動軸72は、この軸孔201aに挿通してある。回動軸72は、その一端が軸孔201aに回動可能に挿通してあり、その他端が副ケース3を貫通してハウジング10の外部に突出してある。すなわち、回動軸72は、主ケース2と副ケース3との間で、上記キーサブレバー62およびコネクトレバー63と同一軸上にて回動可能に支承してある。この回動軸72は、ハウジング10の内部において上記コネクトレバー63の室内側に位置する摺動案内部721を一体に有している。摺動案内部721は、回動軸72の径外方向に延在する板体からなり、当該板体の面にて回動軸72の所定の径外方向に向けて延在する案内突起722を備えている。
【0080】
係合アーム73は、本発明の連係手段を構成し、回動軸72に係合してある。係合アーム73は、回動軸72を挿通するとともに、摺動案内部721の案内突起722に係合しつつ回動軸72の所定の径外方向に延在する係合長孔731を有している。すなわち、係合アーム73は、回動軸72とともに常に回動可能に設けてあって、かつ、回動軸72の所定の径外方向に摺動可能に設けてある。
【0081】
また、係合アーム73は、回動軸72における所定の径外方向に延在した先端側に挿通溝732を有している。挿通溝732は、回動軸72をほぼ中心として円弧状に形成してあり、かつ、図8において回動軸72をほぼ中心とした反時計回り方向にのみ開口して形成してある。そして、挿通溝732の奥側には、回動軸72の所定の径外方向に延在した係合溝部733を設けてある。図12に示すように挿通溝732には、連係アーム71に設けた係合凸部711が遊挿してある。また、係合溝部733には、係合凸部711が係合される。係合溝部733と係合凸部711とは、係合アーム73が回動軸72に近づく方向に摺動したときに互いに係合する(図12および図13参照)。そして、係合溝部733と係合凸部711とが互いに係合した場合、係合アーム73は、コネクトレバー63と一体に回動する状態になる。一方、係合溝部733と係合凸部711とは、係合アーム73が回動軸72から離れる方向に摺動したときに互いの係合から離反する(図14参照)。そして、係合溝部733と係合凸部711とが互いの係合から離反した場合、係合アーム73は、コネクトレバー63と別体に回動する状態になる。
【0082】
また、係合アーム73は、回動軸72における所定の径外方向に延在した先端部の室外側の面に連動ピン734を備えている。連動ピン734は、車両の室内方向に延在してある。
【0083】
図11に示すように係合アーム73には、本発明の作動案内手段を構成する案内面735を設けてある。案内面735は、図11−2に示すように連動ピン734を設けた係合アーム73の車両室内側の面(下面)であって、図11−1に示すように係合溝部733から挿通溝732の開口方向に向かって延在するフック状の部分に設けてある。この案内面735は、図11−2に示すように係合アーム73の延在した先端側から挿通溝732に向かって傾いて設けてあり、かつ、係合溝部733から挿通溝732の開口方向(フック状の先端に向かって傾いて設けてある。
【0084】
上記回動軸72においてハウジング10の外部に突出してある他端には、ロックレバー76が取り付けてある。すなわち、ロックレバー76は、係合アーム73と一体となって回動軸72とともに常に回動可能に設けてある。このため、上述したように係合アーム73の係合溝部733と連係アーム71の係合凸部711とが互いに係合している場合、ロックレバー76は、連係アーム71を介してコネクトレバー63と一体に回動する状態になる。一方、係合溝部733と係合凸部711とが互いの係合から離反している場合、ロックレバー76は、連係アーム71を介さずコネクトレバー63と別体に回動する状態になる。
【0085】
ロックレバー76は、図3に示すようにボタン連結部76aを有している。ボタン連結部76aは、回動軸72から径外方向に延在するロックレバー76の先端部分である。このボタン連結部76aには、車両の室内側に設けたロックノブD3との間を連係するリンクやワイヤなどのロックノブ連係手段77を接続してある。すなわち、ロックレバー76がコネクトレバー63と一体に回動するとき、ロックノブD3をアンロック位置からロック位置に施錠操作した場合、その駆動力がロックノブ連係手段77を介してロックレバー76に伝達され、当該ロックレバー76が図3において反時計回り(ロック位置)に回転動作して回動軸72を反時計回りに回転させる。一方、ロックノブD3をロック位置からアンロック位置に解錠操作した場合、その駆動力がロックノブ連係手段77を介してロックレバー76に伝達され、当該ロックレバー76が時計回り(アンロック位置)に回転動作して回動軸72を時計回りに回転させる。このように、ロックノブD3を操作したハウジング10の外部からの駆動力は、ロックノブ連係手段77を介してロックレバー76に伝達されて回動軸72に入力される。
【0086】
なお、コネクトレバー63がアンロック位置からロック位置に移行した場合、ロックレバー76は、アンロック位置からロック位置に回転して、ロックノブ連係手段77を介してロックノブD3がロック位置に移行する。一方、コネクトレバー63がロック位置からアンロック位置に移行した場合、ロックレバー76は、ロック位置からアンロック位置に回転して、ロックノブ連係手段77を介してロックノブD3がアンロック位置に移行する。
【0087】
セクタギア74は、本発明のスーパーロック作用部をなし、図8に示すように、車両本体の室内外方向に沿って略水平に延在するギアシャフト741を介して回動可能に配設してある。セクタギア74は、アーム連結部742およびドリブンギア部743を有している。
【0088】
セクタギア74のアーム連結部742は、ギアシャフト741の径外方向に延在して形成してある。アーム連結部742には、本発明の連係手段を構成する第1カム部としての連係アーム連結用溝孔744が形成してある。連係アーム連結用溝孔744には、コネクトレバー63設けた連係アーム71に形成した連係ピン713が挿通してある。この連係アーム連結用溝孔744は、図14に示すようにセクタギア74が時計回り方向(スーパーロック位置)に回転している場合にのみ、ロック位置にあるコネクトレバー63を時計回り(アンロック位置)に回転することによってセクタギア74を図12に示すようにギアシャフト741の周りに反時計回り(解除位置)に回転させる。一方、連係アーム連結用溝孔744は、図12に示すようにコネクトレバー63が時計回り方向(アンロック位置)に回転している場合にのみ、解除位置にあるセクタギア74を時計回り(スーパーロック位置)に回転することによってコネクトレバー63を図14に示すように反時計回り(ロック位置)に回転させる。なお、連係アーム連結用溝孔744は、その他の場合では、コネクトレバー63とセクタギア74との相対的な回転を無効化する。
【0089】
また、アーム連結部742には、本発明の連係手段を構成する第2カム部としての係合アーム連結用溝孔745が形成してある。係合アーム連結用溝孔745には、係合アーム73に形成した連動ピン734が挿通してある。この係合アーム連結用溝孔745は、図14に示すようにセクタギア74が時計回り(スーパーロック位置)に回転したときに、係合アーム73を回動軸72から離れる方向に摺動させて、係合溝部733と係合凸部711との係合を離反させる。一方、係合アーム連結用溝孔745は、図12および図13に示すようにセクタギア74が反時計回り(解除位置)に回転したときに、係合アーム73を回動軸72に近づく方向に摺動させて、係合溝部733と係合凸部711とを係合させる。
【0090】
セクタギア74のドリブンギア部743は、図8に示すように、ギアシャフト741を中心として扇形状に形成したものである。ドリブンギア部743は、その外周面に一対の外側歯743a,743b、第1受動歯743cおよび第2受動歯743dを有している。これら一対の外側歯743a,743b、第1受動歯743cおよび第2受動歯743dは、ギアシャフト741の延在方向に沿って互いに高さが異なる三段階の位置に設けてある。一対の外側歯743a,743bは、ドリブンギア部743の両側に設けたものであり、最も室内側となる位置に配設してある。第1受動歯743cは、一対の外側歯743a,743bの相互間において一方の外側歯743aに近接する位置に設けたものであり、ギアシャフト741の延在方向に沿った中間位置に配設してある。第2受動歯743dは、他方の外側歯743bと第1受動歯743cとの間となる位置に設けたものであり、最も室外側となる位置に配設してある。
【0091】
なお、セクタギア74と主ケース2との間には、バネ746を設けてある。バネ746は、セクタギア74の回動に際して当該セクタギア74を図12あるいは図13に示す解除位置、または図14に示すスーパーロック位置に維持する。
【0092】
ウォームホイール75は、図8に示すように、セクタギア74の下方域に、車両本体の室内外方向に沿って略水平に延在するウォーム軸751を介して回転可能に配設したものである。このウォームホイール75には、同一軸心上に間欠歯車752を固着してある。
【0093】
ウォームホイール75の間欠歯車752は、基本歯752a、一対の第1駆動歯752bおよび一対の第2駆動歯752cを有したものである。間欠歯車752は、セクタギア74のドリブンギア部743に設けた一対の外側歯743a,743b、第1受動歯743cおよび第2受動歯743dとの間において一方向の動力伝達手段を構成している。すなわち、間欠歯車752の基本歯752a、一対の第1駆動歯752bおよび一対の第2駆動歯752cは、ドリブンギア部743の一対の外側歯743a,743b、第1受動歯743cおよび第2受動歯743dと同様に、ウォーム軸751の延在方向に沿って互いに高さが異なる三段階の位置に設けてあり、基本歯752aが外側歯743a,743bにのみ歯合し、第1駆動歯752bが第1受動歯743cにのみ歯合し、第2駆動歯752cが第2受動歯743dにのみ歯合するように構成してある。また、ウォームホイール75と主ケース2との間には、ウォームホイール75の間欠歯車752における基本歯752aがギアシャフト741の軸心に向かう状態(以下、単に中立状態という)に維持するための中立復帰バネ753が設けてある。
【0094】
セクタギア74を図12あるいは図13に示す位置(以下、単に解除位置という)から図14に示す位置(以下、単にスーパーロック位置という)までギアシャフト741の周りに時計回りに回転させた場合、セクタギア74におけるドリブンギア部743の各歯743a,743b,743c,743dが間欠歯車752のいずれの歯752a,752b,752cにも歯合しないため、ウォームホイール75を回転させることはない。同様に、セクタギア74を図14に示すスーパーロック位置から図13に示す解除位置までギアシャフト741の周りに反時計回りに回転させた場合にも、ウォームホイール75が回転することはない。
【0095】
ウォームホイール75は、図4に示すように、第2駆動部としての駆動モータ755の出力軸に固着したウォーム756に歯合している。そして、駆動モータ755の駆動によって、ウォームホイール75を図12あるいは図13に示す状態からウォーム軸751の周りに反時計回りに回転させた場合、基本歯752aが外側歯743aに歯合した後、第1駆動歯752bが第1受動歯743cに歯合し、さらに第2駆動歯752cが第2受動歯743dに歯合することになる。これにより、図14に示すように、ドリブンギア部743を介してセクタギア74がギアシャフト741の周りに時計回りに回転してスーパーロック位置に変位することになる。
【0096】
ウォームホイール75の回転によってセクタギア74を図12あるいは図13に示す解除位置から図14に示すスーパーロック位置に変位させた後においては、もはや間欠歯車752によってセクタギア74を回転させることができず、中立復帰バネ753の弾性復元力により、セクタギア74を回転させることなくウォームホイール75が中立状態に復帰する。
【0097】
また、駆動モータ755の駆動によって、ウォームホイール75を図14に示す状態からウォーム軸751の周りに時計回りに回転させた場合、基本歯752aが外側歯743bに歯合した後、第2駆動歯752cが第2受動歯743dに歯合し、さらに第1駆動歯752bが第1受動歯743cに歯合することになる。これにより、図13に示すように、ドリブンギア部743を介してセクタギア74がギアシャフト741の周りに反時計回りに回転して解除位置に変位することになる。
【0098】
ウォームホイール75の回転によってセクタギア74を図14に示すスーパーロック位置から図13に示す解除位置に変位させた後においては、もはや間欠歯車752によってセクタギア74を回転させることができず、中立復帰バネ753の弾性復元力により、セクタギア74を回転させることなくウォームホイール75が中立状態に復帰する。
【0099】
上述したドアロック装置では、ドアDの閉塞状態(閉ドア状態)において、図12に示すようにロック機構60がアンロック状態にある場合、図6−1および図7−1に示すように、リンクレバー40のラチェット駆動部40bがラチェットレバー25における当接部25aの下方域に配置される。
【0100】
このアンロック状態において、アウトサイドハンドルD1を開ドア操作し、オープンレバー30を図6−1においてオープンレバー軸31の周りに反時計回りに回転動作させる。これにより、図6−2に示すように、オープン動作端部30bの上動に伴ってリンクレバー40のラチェット駆動部40bがラチェットレバー25の当接部25aを押圧して上動させることになる。この結果、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ドアDを車両本体に対して開動作させることができるようになる。
【0101】
また、アンロック状態において、インサイドハンドルD2を開ドア操作し、インナーハンドルレバー50を図7−1においてインナーレバー軸51の周りに反時計回りに回転動作させる。これにより、図7−2に示すように、インナーハンドルレバー50の動作端部50bの上動に伴ってリンクレバー40のラチェット駆動部40bがラチェットレバー25の当接部25aを押圧して上動させることになる。この結果、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ドアDを車両本体に対して開動作させることができるようになる。
【0102】
ドアDの閉塞状態において、図12に示すようにロック機構60がアンロック状態にあるとき、ロックノブD3を施錠操作すると、図13に示すように反時計回りに回転したロックレバー76が回動軸72を反時計回りに回転させる。すると、この回動軸72の回転に伴ってコネクトレバー63が凸部201の周りに反時計回りに回転する。これにより、コネクトレバー63に対して連結用凸部635および連結用溝孔656を介して連結してあるセクタギア65をギアシャフト651の周りに時計回りに回転させることになる。セクタギア65が時計回りに回転すると、セクタギア65のパニックレバー当接部655がパニックレバー66のセクタギア当接部662を押圧し、パニックレバー66がギアシャフト651の周りに時計回りに回転することになる。さらにこのパニックレバー66の回転に伴って、リンクレバー40が反時計方向に回転し、ロック機構60がロック状態となる。
【0103】
このロック状態においては、アウトサイドハンドルD1を開ドア操作し、オープンレバー30を図1において時計回りに回転動作させても、図13に示すように、リンクレバー40のラチェット駆動部40bとラチェットレバー25の当接部25aとが離間しているので、ラチェット駆動部40bと当接部25aとが互いに当接することがなく、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態も解除されない。この結果、ドアDが車両本体に対して閉じた状態に保持されることになり、車両を施錠することが可能になる。
【0104】
なお、図12に示すアンロック状態から図13に示すロック状態への移行に関しては、必ずしもロックノブD3の施錠操作に限らず、駆動モータ675(図4に示す)によってウォームホイール67をウォーム軸671の周りに反時計回りに回転させることでセクタギア65をギアシャフト651の周りに時計回りに回転させてもよい。あるいは、図9−2に示すようにキーシリンダKCのキー操作によってキーサブレバー62を凸部201の周りに反時計回りに回転させてもよい。
【0105】
図13に示すロック状態にあるとき、ロックノブD3を解錠操作すると、図12に示すように時計回りに回転したロックレバー76が回動軸72を時計回りに回転させる。すると、この回動軸72の回転に伴ってコネクトレバー63が凸部201の周りに時計回りに回転する。これにより、コネクトレバー63に対して連結用凸部635および連結用溝孔656を介して連結したセクタギア65をギアシャフト651の周りに反時計回りに回転させることになる。セクタギア65が反時計回りに回転すると、パニックスプリング663によって付勢したパニックレバー66がセクタギア65と連動してギアシャフト651の周りに反時計回りに回転することになる。さらにこのパニックレバー66の回転に伴って、リンクレバー40が時計回りに回転し、ロック機構60がアンロック状態となる。
【0106】
なお、図13に示すロック状態から図12に示すアンロック状態への移行に関しては、必ずしもロックノブD3の解錠操作に限らず、駆動モータ675(図4に示す)によってウォームホイール67をウォーム軸671の周りに時計回りに回転させることでセクタギア65をギアシャフト651の周りに反時計回りに回転させてもよい。あるいは、図9−1に示すようにキーシリンダKCのキー操作によってキーサブレバー62を凸部201の周りに時計回りに回転させてもよい。
【0107】
ところで、ドアDの開放状態において、ロック機構60がアンロック状態にある場合、ロックノブD3のみを施錠操作してロック機構60をロック状態にすることはできない。これは、ドアDの開放状態、すなわち、ラッチ21とラチェット22が当接係合状態にないときには、図4および図6−1に示すように、ラチェットレバー25の動作端部25bとリンクレバー40のロック防止部40dとが隣接し、ラチェットレバー25の動作端部25bがリンクレバー40の反時計回りへの回転を阻止するからである。しかしながら、ドアDの開放状態において、アウトサイドハンドルD1またはインサイドハンドルD2を開ドア操作したままロックノブD3を施錠操作すれば、ロック機構60をロック状態にすることができる。これは、ドアDの開放状態であっても、アウトサイドハンドルD1またはインサイドハンドルD2の開ドア操作により、図6−2および図7−2に示すように、リンクレバー40が上動し、ラチェットレバー25の動作端部25bとリンクレバー40のロック防止部40dとの隣接関係を解消し、ラチェットレバー25の動作端部25bがリンクレバー40の反時計回りへの回転を阻止することがないからである。そして、ドアDの開放状態において、ロック機構60をロック状態にした後は、通常のようにドアDを閉塞すれば、ドアDが施錠される。
【0108】
ドアDの閉塞状態において、図13に示すようにロック機構60がロック状態にあるとき、駆動モータ755(図4に示す)によってウォームホイール75をウォーム軸751の周りに反時計回りに回転させる。すると、図14に示すようにセクタギア74をギアシャフト741の周りに時計回りに回転させることになる。これにより、セクタギア74に設けた係合アーム連結用溝孔745がギアシャフト741の周りに時計回りに移動することになる。係合アーム連結用溝孔745が移動すると、当該係合アーム連結用溝孔745に挿通してある係合アーム73の連動ピン734が回動軸72の所定の径外方向(図14中のS1方向)に移動する。そして、連動ピン734の移動にともなって係合アーム73が回動軸72から離れる方向(図14中のS1方向)に摺動して、係合溝部733と係合凸部711との係合が離反して、スーパーロック機構70がスーパーロック状態となる。
【0109】
このスーパーロック状態において、ロックノブD3を解錠操作すると、図15に示すように時計回りに回転したロックレバー76が回動軸72を時計回りに回転させる。しかしながら、係合溝部733と係合凸部711との係合が離反しているため、ロックレバー76と一体に回転するのは係合アーム73だけであり、コネクトレバー63は回転しない。すなわち、ロック位置にあるロックレバー76のコネクトレバー63に対する係合を無効化し、ロックレバー76をコネクトレバー63に対して空振りさせて、当該ロックレバー76のロック位置からアンロック位置への操作が無効になる。この結果、ロックノブD3やロックレバー76が操作されても、ドアDが車両本体に対して閉じた状態に保持されることになり、車両を施錠することが可能になる。
【0110】
なお、図には明示しないが、ロックレバー76には、図14に示すスーパーロック状態においてロックノブD3をアンロック位置へ操作して図15に示すように回転したときに、図14に示す位置に戻る態様でバネ部材などによって付勢してある。しかし、バネ部材は、ロック状態もしくはアンロック状態のときにロックノブD3によるアンロック状態もしくはロック状態への操作を阻害することはない。
【0111】
なお、図14に示すスーパーロック状態への移行に関しては、必ずしも図13に示すロック状態からでなくてもよい。具体的には、図12に示すロック機構60がアンロック状態にあるとき、駆動モータ755(図4に示す)によってウォームホイール75をウォーム軸751の周りに反時計回りに回転させる。すると、図14に示すようにセクタギア74をギアシャフト741の周りに時計回りに回転させることになる。これにより、セクタギア74に設けた連係アーム連結用溝孔744がギアシャフト741の周りに時計回りに移動することになる。連係アーム連結用溝孔744が移動すると、当該連係アーム連結用溝孔744に挿通してある連係アーム71の連係ピン713を回動軸72の周りに反時計回りに移動させる。そして、この連係ピン713の移動に伴ってコネクトレバー63が反時計回りに回転されてロック機構60がロック状態となる。同時に、上記のごとくセクタギア74に設けた係合アーム連結用溝孔745がギアシャフト741の周りに時計回りに移動することになる。係合アーム連結用溝孔745が移動すると、当該係合アーム連結用溝孔745に挿通してある係合アーム73の連動ピン734が回動軸72の所定の径外方向(図14中のS1方向)に移動する。そして、連動ピン734の移動にともなって係合アーム73が回動軸72から離れる方向(図14中のS1方向)に摺動して、係合溝部733と係合凸部711との係合が離反して、スーパーロック機構70がスーパーロック状態となる。
【0112】
図14に示すスーパーロック状態にあるとき、駆動モータ755(図4に示す)によってウォームホイール75をウォーム軸751の周りに時計回りに回転させる。すると、図13に示すようにセクタギア74をギアシャフト741の周りに反時計回りに回転させることになる。これにより、セクタギア74に設けた係合アーム連結用溝孔745がギアシャフト741の周りに反時計回りに移動することになる。係合アーム連結用溝孔745が移動すると、当該係合アーム連結用溝孔745に挿通してある係合アーム73の連動ピン734が回動軸72の所定の径外方向(図13中のS2方向)に移動する。そして、連動ピン734の移動にともなって係合アーム73が回動軸72に近づく方向(図13中のS2方向)に摺動して、係合溝部733と係合凸部711とが係合して、スーパーロック機構70が解除状態となり、ロック機構60がロック状態となる。
【0113】
一方、図14に示すスーパーロック状態にあるとき、駆動モータ675(図4に示す)によってウォームホイール67をウォーム軸671の周りに時計回りに回転させる。すると、図12に示すようにセクタギア65をギアシャフト651の周りに反時計回りに回転させる。これにより、ロック機構60がアンロック状態となる。同時に、セクタギア65の回転に伴ってコネクトレバー63が凸部201の周りに時計回りに回転する。コネクトレバー63が回転すると、当該コネクトレバー63に設けた連係アーム71の連係ピン713が共に時計回りに移動する。すると、連係ピン713が連係アーム連結用溝孔744を介してセクタギア74をギアシャフト741の周りに反時計回りに回転させることになる。これにより、セクタギア74に設けた係合アーム連結用溝孔745がギアシャフト741の周りに反時計回りに移動することになる。係合アーム連結用溝孔745が移動すると、当該係合アーム連結用溝孔745に挿通してある係合アーム73の連動ピン734が回動軸72の所定の径外方向(図13中のS2方向参照)に移動する。そして、連動ピン734の移動にともなって係合アーム73が回動軸72に近づく方向(図13中のS2方向参照)に摺動して、係合溝部733と係合凸部711とが係合して、図12に示すようにスーパーロック機構70が解除状態となる。
【0114】
なお、図14に示すスーパーロック状態から図12に示す解除状態(ロック機構60のアンロック状態)への移行は、駆動モータ675の駆動に限らず、図9−1に示すようにキーシリンダKCのキー操作によってキーサブレバー62を凸部201の周りに時計回りに回転させることで、図12に示すようにコネクトレバー63を凸部201の周りに時計回りに回転させてもよい。すなわち、キーシリンダKCのキー操作によってスーパーロック状態から解除状態に移行することにより、駆動モータ675や駆動モータ755の故障、あるいはバッテリーの電圧が低下した時でもスーパーロック状態の解除が可能である。
【0115】
ところで、図15に示すようにスーパーロック状態において、ロックノブD3を解錠操作すると、図15に示すように時計回りに回転したロックレバー76が回動軸72を時計回りに回転してアンロック位置に移動する。その後、ロックノブD3を解錠操作したままにすると、ロックレバー76がアンロック位置に保持される。このように、スーパーロック状態でロックレバー76をアンロック位置に保持したときに、スーパーロック機構70の駆動モータ755を駆動してセクタギア74を解除位置に作動させた場合には以下のように作動する。
【0116】
すなわち、スーパーロック状態でロックレバー76をアンロック位置に保持したときには、図15に示すように係合アーム73における挿通溝732の開口部分の位置に連係アーム71の係合凸部711が位置する。このとき、図16−1に示すように係合凸部711の傾斜面711aと、係合アーム73の案内面735とが相互に向き合っている。この状態で、スーパーロック機構70の駆動モータ755を駆動してセクタギア74をギアシャフト741の周りに反時計回りに回転させる。すると、セクタギア74に設けた係合アーム連結用溝孔745の移動に伴い、係合アーム連結用溝孔745に挿通してある係合アーム73の連動ピン734を介して図16−2に示すように係合アーム73が回動軸72に近づく方向に摺動する。係合アーム73が摺動すると、案内面735と傾斜面711aとが当接して、移動する案内面735によって案内され、係合凸部711が圧縮バネ711cの弾性力に抗して凹孔711b内に没入移動する。すると、係合凸部711が係合アーム73のフック状の部分の下面に潜り込んで係合凸部711が係合アーム73から退く。この結果、セクタギア74の解除位置への作動が許容されることになる。その後、ロックレバー76のアンロック位置への保持が解かれたときに、図示しないバネ部材によってロックノブD3(ロックレバー76および係合アーム73)がロック位置へ戻る。すると、図16−3に示すように係合凸部711が係合アーム73のフック状の部分の下面に潜り込んだままで、案内面735によって係合凸部711が係合溝部733に係合する位置に案内されて移動して、図13に示すようにスーパーロック機構70が解除状態となる。
【0117】
このように構成したドアロック装置では、ロック機構60をロック状態とアンロック状態とにする駆動モータ675を設け、スーパーロック機構70をスーパーロック状態と解除状態とにする駆動モータ755を設けた構成において、連係手段を構成する連係アーム71(係合凸部711,連係ピン713)、係合アーム73(連動ピン734)、セクタギア74に設けた連係アーム連結用溝孔744および係合アーム連結用溝孔745を設けてある。そして、上記連係手段によって、アンロック状態のときにスーパーロック機構70の駆動モータ755を駆動してスーパーロック状態にすることが可能である。さらに、連係手段によってスーパーロック状態のときにロック機構60の駆動モータ675を駆動してアンロック状態にすることが可能である。この結果、アンロック状態からスーパーロック状態への作動時間、およびスーパーロック状態からアンロック状態への作動時間を迅速にすることが可能になり、車両への乗降が円滑になり、特に車両への乗り込みがより円滑になる。また、本ドアロック装置では、スーパーロック状態において、ロックレバー76をコネクトレバー63に対して空振りさせているため、ロックノブによるロック状態の解除動作をブロックする従来のもの(特許文献1参照)と比較して各構成が衝突することがないので各構成に負荷がかかる事態を防止することが可能である。
【0118】
さらに、上述したドアロック装置では、作動案内手段として連係アーム71の係合凸部711を突出位置から没入移動するように構成し、この係合凸部711の傾斜面711aに当接する態様で係合アーム73に案内面735を設けてある。そして、スーパーロック状態でロックレバー76をアンロック位置に保持しつつスーパーロック機構70の駆動モータ755を駆動した場合に、係合凸部711の傾斜面711aと案内面735とが当接して、移動する案内面735によって案内され、係合凸部711が圧縮バネ711cの弾性力に抗して凹孔711b内に没入移動する。このため、係合アーム73から係合凸部711が退くのでセクタギア74の解除位置への作動が許容される。この結果、ロックノブD3の操作に係わらずにスーパーロック状態を解除状態にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の実施例であるドアロック装置を車両後方側から見た図である。
【図2】図1に示したドアロック装置を室外側から見た図である。
【図3】図1に示したドアロック装置を室内側から見た図である。
【図4】図1に示したドアロック装置について副ケースを外して室内側から見た図である。
【図5−1】ドアの開放状態のラッチ機構を示す概念図である。
【図5−2】半ラッチ状態のラッチ機構を示す概念図である。
【図5−3】フルラッチ状態のラッチ機構を示す概念図である。
【図6−1】初期状態におけるオープンレバーとリンクレバーとの関係を示す概念図である。
【図6−2】アウトハンドルを開ドア操作したときのオープンレバーとリンクレバーとの関係を示す概念図である。
【図7−1】初期状態におけるインナーハンドルレバーとリンクレバーとの関係を示す概念図である。
【図7−2】インサイドハンドルレバーを開ドア操作したときのインナーハンドルレバーとリンクレバーとの関係を示す概念図である。
【図8】ロック機構およびスーパーロック機構を示す一部分解した概念図である。
【図9−1】キー操作によってアンロック状態にしたときのロック機構を示す概念図である。
【図9−2】キー操作によってロック状態にしたときのロック機構を示す概念図である。
【図10】連係アームの係合凸部を示す断面図である。
【図11−1】係合アームの案内面を示す概念図(平面視)である。
【図11−2】係合アームの案内面を示す概念図(側面視)である。
【図12】アンロック状態にしたときのロック機構およびスーパーロック機構を示す概念図である。
【図13】ロック状態にしたときのロック機構およびスーパーロック機構を示す概念図である。
【図14】スーパーロック状態にしたときのロック機構およびスーパーロック機構を示す概念図である。
【図15】スーパーロック状態にしたときの動作を示す概念図である。
【図16−1】作動案内手段の動作を示す概念図である。
【図16−2】作動案内手段の動作を示す概念図である。
【図16−3】作動案内手段の動作を示す概念図である。
【符号の説明】
【0120】
60 ロック機構
61 キーレバー
611 入力軸部
612 回動凹部
613 レバー部
614 キーリンク連結孔
615 キーシリンダ連係手段
62 キーサブレバー
621 回動孔
622 キーリンク連結部
623 ロック切換用突起
624 アンロック切換用突起
625 ロック操作認識用突起
626 アンロック操作認識用突起
627 キーリンク
628 スイッチ
63 コネクトレバー
631 回動孔
632 切換用突起
633 セクタギア連結部
634 スイッチレバー
635 連結用凸部
636 スイッチ
637 バネ
65 セクタギア
651 ギアシャフト
652 コネクトレバー連結部
654 ドリブンギア部
655 パニックレバー当接部
656 連結用溝孔
66 パニックレバー
661 連結用凸部
662 セクタギア当接部
663 パニックスプリング
67 ウォームホイール
671 ウォーム軸
672 間欠歯車
673 中立復帰バネ
675 駆動モータ
676 ウォーム
70 スーパーロック機構
71 連係アーム
711 係合凸部
711a 傾斜面
711b 凹孔
711c 圧縮バネ
711d 蓋部
713 連係ピン
72 回動軸
721 摺動案内部
722 案内突起
73 係合アーム
731 係合長孔
732 挿通溝
733 係合溝部
734 連動ピン
735 案内面
74 セクタギア
741 ギアシャフト
742 アーム連結部
743 ドリブンギア部
744 連係アーム連結用溝孔
745 係合アーム連結用溝孔
746 バネ
75 ウォームホイール
751 ウォーム軸
752 間欠歯車
753 中立復帰バネ
755 駆動モータ
756 ウォーム
76 ロックレバー
77 ロックノブ連係手段
201 凸部
201a 軸孔
D3 ロックノブ
KC キーシリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内に配置してあるロックノブに連係したロックレバーが係合してあって前記ロックレバーをロック位置あるいはアンロック位置に移動させる態様で第1駆動部の駆動によって作動するロック作用部を有してなり、車両のドアハンドルによる開ドア操作が無効なロック状態にする一方で前記ドアハンドルによる開ドア操作が有効なアンロック状態にするロック機構と、
ロック位置にある前記ロックレバーの前記ロック作用部に対する係合を無効化あるいは有効化させる態様で第2駆動部の駆動によって作動するスーパーロック作用部を有してなり、前記ロックレバーのロック位置からアンロック位置への操作が無効なスーパーロック状態にする一方で前記ロックレバーのロック位置からアンロック位置への操作が有効な解除状態にするスーパーロック機構と
を有したドアロック装置において、
前記スーパーロック作用部と前記ロック作用部とを相互に連係してあり、スーパーロック状態のときに前記ロック作用部のアンロック状態への作動にともなって前記スーパーロック作用部を解除状態に作動する一方、アンロック状態のときに前記スーパーロック作用部のスーパーロック状態への作動にともなって前記ロック作用部をロック状態に作動する連係手段と、
前記連係手段に設けてあってスーパーロック状態で前記ロックレバーをアンロック位置に保持しつつ前記スーパーロック作用部を解除位置へ作動したときに当該スーパーロック作用部の解除位置への作動を許容する作動案内手段と
を備えたことを特徴とするドアロック装置。
【請求項2】
前記連係手段は、
前記ロック作用部に設けた連係アームと、
前記連係アームに対して離合可能に設けてあって前記ロックレバーと一体に移動する係合アームと、
前記スーパーロック作用部に設けてあって前記連係アームに係合してありスーパーロック状態のときに前記ロック作用部のアンロック状態への作動によって前記連係アームを介して前記スーパーロック作用部を解除状態に作動させる一方でアンロック状態のときに前記スーパーロック作用部のスーパーロック状態への作動によって前記連係アームを介して前記ロック作用部をロック状態に作動させる第1カム部と、
前記スーパーロック作用部に設けてあって前記係合アームに係合してあり前記スーパーロック作用部の解除状態への作動によって前記係合アームを前記連係アームに対して係合させる一方で前記スーパーロック作用部のスーパーロック状態への作動によって前記係合アームを前記連係アームから離反させる第2カム部と
からなり、
前記作動案内手段は、
前記連係アームに対して前記係合アームを係合する態様で前記連係アームから突出する突出位置に向けて弾性支持してあって前記係合アームから退く態様で前記突出位置から弾性力に抗して移動可能に設けた係合凸部と、
前記係合アームに設けてあってスーパーロック状態で前記ロックレバーをアンロック位置に保持しつつ前記スーパーロック作用部を解除位置に作動したときに前記係合凸部を退避移動させる案内面と
からなる
ことを特徴とする請求項1に記載のドアロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【図16−3】
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【公開番号】特開2006−16827(P2006−16827A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194606(P2004−194606)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000006183)三井金属鉱業株式会社 (1,121)
【Fターム(参考)】