説明

ドアロック装置

【課題】不正解錠を防止でき、ハウジングの小型化も可能なドアロック装置を提供する。
【解決手段】ラッチ機構と、リンク49をアンロック位置およびロック位置に移動させるロックプレート54を有するロック機構と、キーシリンダ3の操作力をロックプレート54に伝達するキー操作力伝達機構と、ロック機構を収納するハウジング11とを備えたドアロック装置10において、キー操作力伝達機構は、ハウジング11の外側に位置する支持部22に回動可能に配設され、キーシリンダ3のパドル4を連結するパドル連結部86を有するとともに出力部87を有するキーロータ83と、ハウジング11の貫通穴35を貫通して外側に突出する入力部81を有するとともに回動駆動力をロックプレート54に伝達する駆動部(被係着部82)を有するキーレバー78と、キーロータ83の回転駆動力をキーレバー78に伝達する中間伝達部材(回動式レバー88)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに装着されるドアロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のドアロック装置は、車体側に設けたストライカを保持するフォークと、フォークに係合してフォークがストライカを係止した状態に保持するクローとを有するラッチ機構を備えている。また、ドアロック装置は、クローと係合可能なアンロック位置、および、クローと係合不可能なロック位置の間を移動可能としたリンクを有するロック機構を備えている。このロック機構は、キーおよびアクチュエータ等で作動するロックプレートを更に有し、このロックプレートによってリンクがロック位置およびアンロック位置に移動される。そして、ドアを開放する場合には、キー操作またはリモコン操作等を行い、ロック機構をロック状態からアンロック状態にした後、ドアハンドルを操作する。これにより、ドアハンドルに連結されたオープンレバーによってリンクが開放作動してクローと係合する。その結果、クローが回転してフォークとの係合が解除され、フォークが回転してストライカが開放される。
【0003】
ドアロック装置には、キー操作によりロックプレートを作動させるためのキーレバーがドアロック装置内に設けられている。そして、ドアに配設したキーシリンダの回転駆動力は、ドア内において上下方向に延びるように配設した細長い棒状の連結ロッドを介してキーレバーに伝達されている。
【0004】
しかし、この構造では、ドアとドアガラス等の隙間から連結ロッドを操作することが可能であり、この場合にはドアロック装置が不正に解錠されてしまう。即ち、この構造は、キーシリンダの回転駆動力を連結ロッドの上下方向の移動に変換し、この連結ロッドの上下方向の移動をドアロック装置でロックプレートの回転に更に変換するものである。よって、ドアガラスの隙間から不正な道具を挿入して連結ロッドを上下方向に操作すると、ドアロック装置を不正に解錠できる。
【0005】
これに対して特許文献1では、キーシリンダから突出するパドルをキーレバーに直接連結したドアロック装置が記載されている。このドアロック装置では、上下方向に延びる連結ロッドを介在させることなく、キーシリンダの回転駆動力を直接ロックプレートに伝達して回転させることができる。また、ドアガラス等の隙間から不正な道具を挿入しても、パドルを回転操作することは極めて困難であるため、不正解錠を防止できる。
【0006】
しかしながら、このドアロック装置では、車両(ドア)のデザインやレイアウト等の関係で、キーシリンダとストライカとが離れるような位置関係になると、キーレバーとラッチ機構との距離が長くなり、ハウジングが上下方向に大型化してしまうという問題がある。また、ドアロック装置のハウジングを構成する場合、分割して形成したケースの重合部分を超音波溶着して閉塞するようにしたものもあるが、この場合、ハウジングが大型化すると、溶着領域も多くなり、超音波の照射量を大きくしないと溶着できない場合がある。この場合には大型の超音波溶着機が必要になるため、製造コストが増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】持開2002−129804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、不正解錠を防止でき、ハウジングの小型化も可能なドアロック装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明のドアロック装置は、ストライカを係脱可能なラッチ機構と、前記ラッチ機構による前記ストライカの係止を解除可能なアンロック位置と解除不可能なロック位置とに移動可能なリンク、および、このリンクをアンロック位置およびロック位置に移動させるロックプレートを有するロック機構と、ドアに配設したキーシリンダの操作力を前記ロック機構のロックプレートに伝達するキー操作力伝達機構と、少なくとも前記ロック機構を収納するハウジングと、を備えたドアロック装置において、前記キー操作力伝達機構は、前記ハウジングの外側に位置するように前記ハウジングに一体成形した支持部に回動可能に配設され、その回転軸に沿って前記キーシリンダのパドルを連結するパドル連結部を有するとともに、回転駆動力を出力する出力部を有するキーロータと、前記ハウジング内に収納され、このハウジングに設けた貫通穴を貫通して外側に突出する入力部を有するとともに、この入力部を中心とした回動駆動力を前記ロック機構のロックプレートに伝達する駆動部を有するキーレバーと、前記キーロータの出力部と前記キーレバーの入力部に接続され、前記キーロータの回転駆動力を前記キーレバーに伝達する中間伝達部材と、を備えた構成としている。
【0010】
このドアロック装置は、キーシリンダのパドルが直接連結されるキーロータをハウジングの外側に配設したので、ハウジングを小型化でき、低コストで防水性を確保できる。また、キーロータを配設する支持部をハウジングに一体成形しているため、部品点数の増加を抑制できる。
【0011】
このドアロック装置では、前記中間伝達部材は、前記キーロータの出力部に接続するロータ接続部と、前記キーレバーの入力部に接続するレバー接続部とを有し、前記レバー接続部を中心として回動する回動式レバーからなることが好ましい。このようにすれば、中間伝達部材を外部から不正に操作することが困難になる。そのため、盗難に関する安全性を向上できる。
また、前記中間伝達部材を、前記ハウジングに対して車内側に位置するように配設することが好ましい。このようにすれば、ハウジングの支持部で中間伝達部材を遮蔽できるため、外部からの不正操作が更に困難になり、盗難に関する安全性を更に向上できる。
【0012】
さらに、前記ハウジングは、車外側に配置される第1ケースと車内側に配置される第2ケースとを有し、前記支持部を前記第1ケースに一体成形することが好ましい。このようにすれば、第2ケースを小型化できるため、製造コストを低減できる。
この場合、前記ハウジングの支持部に、前記キーロータの出力部と前記中間伝達部材のロータ接続部とを覆う防護壁を設けることが好ましい。このようにすれば、外部からの不正操作が更に困難になり、盗難に関する安全性を更に向上できる。
また、前記第1ケースに前記キーレバーを回動可能に軸着する軸部を設けるとともに、前記第2ケースに前記キーレバーの入力部を外部に貫通させる前記貫通穴を設けることが好ましい。このように、第1ケースにキーロータとキーレバーとを配置する構成とすることにより、2つの部材間の寸法精度の低下を抑制できる。よって、キーロータと中間伝達部材の間の遊びの量を少なく設定できるため、ユーザによる操作感覚を向上することができる。
【0013】
そして、前記ハウジングの支持部は、一端開口部に内向きに突出する装着段部を備え、前記キーロータに、前記装着段部の一方側の縁に当接する鍔部と、他方側の縁に係合する弾性変形可能な係合腕部を設けることが好ましい。このようにすれば、キーロータをハウジングの支持部に差し込むだけで、キーロータの組み付けを簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のドアロック装置では、キーシリンダのパドルが直接連結されるキーロータをハウジングの外側に配設したので、ハウジングを小型化でき、低コストで防水性を確保できる。また、キーロータを配設する支持部をハウジングに一体成形しているため、部品点数の増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る実施形態のドアロック装置を示す側面図である。
【図2】(A)はドアロック装置の車内側に位置する正面図、(B)は(A)の要部断面図である。
【図3】ハウジングの第1ケースを示し、(A)は正面図、(B)は断面図である。
【図4】ハウジングの第2ケースを示し、(A)は正面図、(B)は断面図である。
【図5】ドアロック装置のラッチ機構を示し、(A)はドア開放状態を示す側面図、(B)はドア閉塞状態を示す側面図である。
【図6】ドアロック装置のロック機構を示す正面図である。
【図7】図6の各部品を示す分解斜視図である。
【図8】(A)はロック作動状態を示す正面図、(B)はアンロック作動状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るドアロック装置10を示す。このドアロック装置10は、車両のドア1に装着されるもので、ハウジング11と、車体に配設したストライカ2を離脱可能に係止するラッチ機構と、このラッチ機構によるストライカ2の係止を解除可能なアンロック状態および解除不可能なロック状態に切り換えるロック機構とを備えている。そして、本実施形態では、キーシリンダ3から突出するパドル4をドアロック装置10に直接連結して不正解錠を防止しつつ、ハウジング11の小型化も可能としたものである。
【0018】
キーシリンダ3は、そのキー差込穴がドア1の外側に位置するように配設され、正規キーを差し込んでシリンダを回転操作することにより、シリンダに連結されたパドル4を介してドアロック装置10を解錠および施錠するものである。なお、このキーシリンダ3は、不正キーがキー差込穴に差し込まれると、内蔵したタンブラがシリンダに全ては没入しないため、シリンダを回転操作できない。よって、ドアロック装置10を解錠および施錠できない。
【0019】
パドル4は、シリンダに対して自在継手構造を用いて連結された金属製のものである。このパドル4の先端部には、キーロータ83に対して相対的に回転不可能に係合し、かつ、軸方向に沿って貫通移動可能なロータ連結部5が設けられている。このロータ連結部5は、周方向に所定間隔をもって径方向外向きに突出し、軸方向に沿って延びる複数の係止片6を備えている。
【0020】
図1および図2に示すように、ドアロック装置10のハウジング11は、ロック機構を収納する第1ケース12と、第1ケース12の開口部を閉塞する第2ケース26と、ラッチ機構を収納する第3ケース36とを備えている。
【0021】
第1ケース12は、図1および図3(A),(B)に示すように、ロック機構配設部13とラッチ機構カバー部20とを備えた平面視L字形状のものである。この第1ケース12は、車外側に配置されるとともに、ロック機構配設部13がドアパネルと平行に位置するように配置される。
【0022】
ロック機構配設部13には、略中央上部にロックプレート54およびキースイッチレバー73を回動可能に軸着する取付軸部14が設けられている。また、ロック機構配設部13の右側下部には、インナーレバー68を回動可能に軸着する取付軸部15が設けられている。この取付軸部15の左側部には、ノブレバー91を回動可能に配設するための軸支穴16が設けられている。この軸支穴16の上部左側には、カム部材配設部17と駆動モータ配設部18とが設けられている。駆動モータ配設部18の右横には、信号線や電力線などを電気的に接続するためのコネクタ104(図2(A)参照)を配設するコネクタ配設部19が設けられている。ラッチ機構カバー部20は、ラッチ機構を配設した第3ケース36の開口部を覆うものである。このラッチ機構カバー部20には、アウターレバー65を回動可能に装着するための取付穴部(図示せず)が設けられている。また、第1ケース12には、超音波溶着用の凹溝12aが、ラッチ機構カバー部20を除くロック機構配設部13の外周縁に沿って第2ケース26に対向する面に設けられている。
【0023】
そして、本実施形態の第1ケース12には、ロックプレート54を軸着する取付軸部14の右側上部に、キーレバー78を回動可能に軸着する支軸部21が設けられている。この支軸部21は、取付軸部14と平行な水平に突出するように設けられている。この支軸部21の外側には、キーロータ83を回転可能かつ脱落不可能に配設するための支持部22が、外方へ突出するように一体的に設けられている。この支持部22は、キーロータ83を装着する装着孔23を備えている。この装着孔23は、回転軸となる軸心が支軸部21の軸方向に沿って延びるもので、本実施形態ではドア1の外側に向けて所定角度上向きに傾斜して延びるように構成されている。装着孔23には、車内側に位置する一端開口部に内向きに突出する装着段部24が設けられている。また、支持部22の外周縁には、キーロータ83と回動式レバー88の接続部分を覆う防護壁25が車内側へ突出するように設けられている。
【0024】
第2ケース26は、図1および図4(A),(B)に示すように、第1ケース12のロック機構配設部13を閉塞するものである。この第2ケース26は、ドアパネルと平行に位置するように車内側に配置される。
【0025】
第2ケース26には、第1ケース12のラッチ機構カバー部20に装着する第3ケース36を露出させる切欠部27が設けられている。ロックプレート54の取付軸部14との対向位置には軸受部28が設けられ、インナーレバー68の取付軸部15との対向位置には軸受部29が設けられている。軸受部29の周囲には、インナーレバー68のインナーハンドル連結部70を外部に突出させるための挿通穴30が設けられている。ノブレバー91の軸支穴16の対向位置には軸支部31が設けられている。この軸支部31の下部には、ノブレバー91のロックノブ接続部93を貫通して外側に突出させる挿通穴32が設けられている。コネクタ配設部19の対向位置には、コネクタ104を外部に露出させるためのコネクタ接続口33が設けられている。第2ケース26の外面側には、挿通穴32の左横に位置するように、ドア開放用のインナーハンドル(図示せず)に接続するケーブル102、および、ドアロック用のロックノブ(図示せず)に接続するケーブル103を固定するためのケーブル固定部34が設けられている。そして、本実施形態では、キーレバー78の支軸部21の対向位置に、キーレバー78の入力部81を貫通させて外部に露出させる貫通穴35が設けられている。また、第2ケース26の第1ケース12に対向する面には、第1ケース12の凹溝12aに嵌まり込むレール状凸部26aが、切欠部27を除く第2ケース26の外周縁に沿って設けられている。
【0026】
第3ケース36は、図1および図5(A),(B)に示すように、第1ケース12のラッチ機構カバー部20に装着されるものである。この第3ケース36は、ラッチ機構カバー部20の側に配置される樹脂性のフェンスブロック37と、外側に配置される金属性のセフティプレート42とを備える。フェンスブロック37には、ストライカ2を挿通する空間となる挿通凹部38が、ラッチ機構カバー部20に向けて窪むように設けられている。この挿通凹部38の上側には、ラッチ機構を構成するフォーク44を回動可能に装着するための取付部39が設けられている。挿通凹部38の下側には、クロー46を回動可能に装着するための取付部40が設けられている。この取付部40の左側には、クロー46の操作受部48を挿通してロック機構配設部13内に突出させる挿通穴41が設けられている。セフティプレート42には、 挿通凹部38との対向位置にストライカ2を挿通する挿通溝43が設けられている。
【0027】
第3ケース36に組み付けるラッチ機構は、ストライカ2を離脱可能に係止するフォーク44と、フォーク44に係合してフォーク44がストライカ2を保持した状態を維持するクロー46とを備えている。フォーク44は、ストライカ2を挿通可能な係止溝45を備えた略U字形状のものである。このフォーク44は、スプリング(図示せず)により図5(A)に示す開放位置に付勢されている。クロー46は、フォーク44を係止する係止部47を備えている。このクロー46は、スプリング(図示せず)により図5(B)に示す係止位置に付勢されている。また、クロー46は、第3ケース36の挿通穴41を貫通してロック機構配設部13内に位置される操作受部48を備えている。
【0028】
このラッチ機構は、ドア1を閉じることによりフォーク44の係止溝45内にストライカ2が進入されると、ドア1の閉じ力に伴うストライカ2の押圧で図5(A)から図5(B)に示すように反時計回りに回動する。そして、クロー46の係止部47がフォーク44に係止することにより、フォーク44によるストライカ2の係止状態を維持する。この状態で、クロー46の操作受部48が上向きに作動されると、クロー46が時計回りに回動することにより、フォーク44とクロー46の係止が解除される。その結果、フォーク44がスプリングの付勢力で図5(A)に示す開放位置に回動し、ストライカ2の係止を解除する。
【0029】
第1ケース12に組み付けるロック機構は、ラッチ機構によるストライカ2の係止を解除可能なアンロック状態と、ストライカ2の係止を解除不可能なロック状態とに変移するものである。このロック機構は、図6に示すように、クロー46を係止解除方向に作動させるリンク49と、リンク49によるクロー46の作動を可能(アンロック状態)または不可能(ロック状態)とするロックプレート54とを備えている。
【0030】
また、ロック機構は、リンク49を介してラッチ機構を開放作動させるために、アウターオープン系としてアウターレバー65(図1に図示)を備えるとともに、インナーオープン系としてインナーレバー68を備えている。さらに、ロック機構は、アウターロック系であるキー操作力伝達機構と、インナーロック系であるノブ操作力伝達機構と、電動ロック系であるモータ操作力伝達機構とを備えている。キー操作力伝達機構は、ドア1に配設したキーシリンダ3の操作力をロックプレート54に伝達するもので、キースイッチレバー73と、キーレバー78と、キーロータ83と、中間伝達部材である回動式レバー88とを備えている。ノブ操作力伝達機構は、ドア1に配設したロックノブの操作力をロックプレート54に伝達するもので、ノブレバー91を備えている。モータ操作力伝達機構は、リモコン操作に従ってロックプレート54を作動させるもので、駆動モータ97とカム部材99とを備え、更にインナーロック系のノブレバー91を兼用している。
【0031】
図6および図7に示すように、リンク49は、アウターレバー65またはインナーレバー68の作動力を受けて上方向に移動されることにより、クロー46の操作受部48に当接してクロー46を係止解除方向に作動させるものである。このリンク49は、下端がアウターレバー65に連結されるとともに、上端がロックプレート54に連結され、ロックプレート54の回動により、アンロック位置とロック位置とに移動される。具体的には、リンク49には、下端にアウターレバー65が連結されるとともにインナーレバー68が当接する受動部50が設けられている。この受動部50の上部には、クロー46の操作受部48に当接する操作部51が設けられている。また、リンク49には、操作部51から略J字形状に延びるようにロックプレート連結部52が設けられている。ロックプレート連結部52には、上向きにスライド移動する際にロックプレート54に対して相対的に移動できるようにスライド溝53が設けられている。
【0032】
ロックプレート54は、リンク49をアンロック位置およびロック位置に移動させるもので、後述するリンク付勢スプリング60を介してリンク49と連結されている。このロックプレート54は、第1ケース12の取付軸部14に回動可能に取り付けられる筒状取付部55を備え、この筒状取付部55を頂部とした略扇形状に形成されている。筒状取付部55は、リンク付勢スプリング60を外嵌して装着する装着部の役割をなし、その左側には、リンク付勢スプリング60の一端を係止するスプリング係止部56が設けられている。ロックプレート54には、リンク49を配設する側に、ロック回転側へ向けて延びリンク付勢スプリング60を挿通する溝を有するスプリング挿通部57が設けられている。また、スプリング挿通部57と逆側であるノブレバー91を配設する側には、略U字形状をなす溝を形成したノブレバー係着部58が設けられている。さらに、ロックプレート54には、筒状取付部55の近傍にキースイッチレバー73によるアンロック作動を受けるアンロック作動受動部59が設けられている。なお、ロックプレート54においてスプリング挿通部57を設けた側の縁は、キースイッチレバー73によるロック作動を受けるロック作動受動部を構成する。
【0033】
リンク付勢スプリング60は、ロックプレート54に配設され、リンク49をロックプレート54に対してアンロック位置に向けて付勢する付勢部材である。このリンク付勢スプリング60は、筒状取付部55に外嵌される巻回部61を備えている。巻回部61から突出する線材の一端は、ロックプレート54上を延び、スプリング挿通部57を通過して延びるアーム部62とされている。このアーム部62の先端には、スプリング挿通部57上に位置するリンク49のスライド溝53に挿通して連結される連結部63が設けられている。また、巻回部61から突出する線材の他端は、スプリング係止部56に係止される係止部64を構成する。
【0034】
アウターレバー65は、ドア1の車外側に設けたアウターハンドルの操作をリンク49に伝導して、クロー46を開放作動させるものである。このアウターレバー65は、ロック機構配設部13を貫通して内外に延びるように、ラッチ機構カバー部20に回動可能に取り付けられている。アウターレバー65には、ロック機構配設部13から外部に突出する部分に、アウターハンドルを接続するアウターハンドル接続部66(図1参照)が設けられている。また、アウターレバー65には、ロック機構配設部13内に配設される端部に、リンク49の受動部50に連結されるリンク連結部67が設けられている。
【0035】
インナーレバー68は、ドア1の車内側に設けたインナーハンドルの操作をリンク49に伝導して、クロー46を開放作動させるものである。このインナーレバー68は、第1ケース12の取付軸部15に回動可能に取り付けられる取付部69を備えている。インナーレバー68には、第2ケース26の挿通穴30からハウジング11の外側に突出するように延び、インナーハンドルにケーブル102を介して連結されるインナーハンドル連結部70が設けられている。また、インナーレバー68には、組付状態で取付部69を中心とした回転軌跡上にリンク49の受動部50が位置するように、略J字形状をなすリンク作動部71が設けられている。さらに、インナーレバー68には、ロック位置に位置しているノブレバー91に係合して、ノブレバー91およびロックプレート54を介してリンク49をアンロック位置に移動させる係合部72が設けられている。
【0036】
キースイッチレバー73は、ロックプレート54を軸着する取付軸部14に軸着され、キーシリンダ3の操作力をロックプレート54に伝達して、ロックプレート54をロック位置またはアンロック位置に作動させるものである。このキースイッチレバー73は、取付軸部14に外嵌される筒状取付部74を備えている。この筒状取付部74には、同心円環状をなすようにキーレバー78に噛み合いにより係着する係着部75が設けられている。この係着部75のノブレバー91の側には、ロックプレート54のアンロック作動受動部59に当接してロックプレート54をアンロック作動させるアンロック作動部76が設けられている。また、キースイッチレバー73には、係着部75からロックプレート54の側へ扇形状に突出し、ロックプレート54の側縁に当接してロックプレート54をロック作動させるロック作動部77が設けられている。
【0037】
キーレバー78はハウジング11内に収納され、キーシリンダ3の操作力をキースイッチレバー73を介してロックプレート54に伝達して、ロックプレート54をロック位置またはアンロック位置に作動させるものである。このキーレバー78は、支軸部21に外嵌して取り付けられる筒状取付部79を備えている。この筒状取付部79の先端には、第2ケース26の貫通穴35を貫通して外側へ突出(露出)する入力部81が設けられている。具体的には、筒状取付部79には、貫通穴35を貫通する円柱状の貫通部80が設けられている。この貫通部80の先端には、回動式レバー88を相対的に回動不可能に装着する入力部81が、断面長方形状をなすように突設されている。また、筒状取付部79には、扇形状をなすように被係着部82が突設されている。この被係着部82は、キースイッチレバー73の係着部75に噛み合って係着されることにより、入力部81を中心とした回動駆動力をキースイッチレバー73を介してロックプレート54に伝達する駆動部である。
【0038】
キーロータ83は、第1ケース12の支持部22の装着孔23に回動可能に配設され、キーシリンダ3の操作力を回動式レバー88を介してキーレバー78に伝達するものである。このキーロータ83は、装着孔23より僅かに小さい外径の本体を備えている。このキーロータ83の一端には、装着孔23より大きい外径で、装着段部24の一方側の縁に当接する鍔部84が設けられている。また、キーロータ83には、周方向に所定間隔をもって弾性変形可能な係合腕部85が設けられている。この係合腕部85は、キーロータ83を装着孔23に装着することにより、装着段部24の他方側の縁に係合する。これにより、鍔部84と係合腕部85とで装着段部24を挟み込み、キーロータ83を支持部22に回転可能かつ脱落不可能に装着できる。また、キーロータ83には、鍔部84にかけて回転軸に沿って貫通するパドル連結部86が設けられている。このパドル連結部86は、略+形状に貫通した孔からなる。そして、放射状に延びる溝にロータ連結部5の係止片6を挿入することによりロータ連結部5を、相対的に回転不可能に係合可能、かつ、軸方向に沿って貫通移動可能に、直接連結する。さらに、キーロータ83には、自身の回転駆動力を出力する出力部87が設けられている。この出力部87は、鍔部84から突設した円柱状のもので、その軸心は、パドル連結部86の軸心と径方向に所定間隔をもって平行に位置する。尚、パドル連結部86は、横断面略+字形状の孔に限定されるものではなく、例えば、横断面略−字形状のものであってもよい。
【0039】
回動式レバー88は、キーロータ83の回転駆動力をキーレバー78に伝達する中間伝達部材である。この回動式レバー88は樹脂板からなり、キーレバー78の入力部81に連結するレバー接続部89と、キーロータ83の出力部87に連結するロータ接続部90とを備えている。レバー接続部89は、入力部81に対応する長方形状をなす孔からなる。これにより、回動式レバー88は、レバー接続部89を中心として回動のみ可能に構成されている。ロータ接続部90は、出力部87を貫通により接続する長円形状の孔からなる。この回動式レバー88は、キーレバー78の入力部81とキーロータ83の出力部87に接続することにより、ハウジング11の外部における車内側に位置するように配設される。尚、回転式レバー88とキーレバー78とは、キーレバー78の断面長方形状の入力部81と回転式レバー88の長方形状の孔からなるレバー接続部89とを嵌め合わせて連結するようにしているが、入力部81とレバー接続部89との形状は長方形状に限らず、その他形状でもよく、例えば、入力部81およびレバー接続部89にそれぞれセレーションを形成して嵌め合わせることで連結するようにしてもよい。
【0040】
ノブレバー91は、ドア1の車内側のロックノブの操作によりロックプレート54を作動させ、リンク49をロック位置またはアンロック位置に移動させるものである。このノブレバー91は、第1ケース12の軸支穴16に軸着するための回転軸部92を備えている。また、ノブレバー91には、第2ケース26の挿通穴32からハウジング11の外側に突出され、ロックノブにケーブル103を介して連結されるロックノブ接続部93が設けられている。さらに、ノブレバー91には、ロックプレート54のノブレバー係着部58の溝に係止される突起を有する連結アーム部94が略L字形状に延びるように設けられている。この連結アーム部94には、背部にカム部材99のカム溝101に係合するカム受部95が突設されている。また、ノブレバー91には、ノブレバー91がロック位置に移動している状態で、インナーレバー68の係合部72に係合する係合受部96が設けられている。
【0041】
駆動モータ97は、カム部材99を正転および逆転させるもので、その出力軸にはウォーム98が取り付けられている。
【0042】
カム部材99は、ノブレバー91のカム受部95の下部に位置するように回転可能に配設されるものである。このカム部材99の外周部には、ウォーム98に噛み合うウォームホイール部100が設けられている。また、カム部材99には、ノブレバー91の側に位置する上面に、ノブレバー91をロック位置およびアンロック位置へ移動させるためのカム溝101が凹設されている。このカム部材99は、付勢スプリング(図示せず)により中立位置に位置決めされている。そして、カム受部95が中心側に移動するように回転されることにより、ノブレバー91およびロックプレート54を介してリンク49をロック作動させる。また、カム受部95が外周側に移動するように回転されることにより、ノブレバー91およびロックプレート54を介してリンク49をアンロック作動させる。
【0043】
このように構成したドアロック装置10においては、第1ケース12の開口は、第2ケース26と、第3ケース36とによって閉塞される。第1ケース12と第2ケース26には、上述したように、その外形に沿って超音波溶着用の凹溝12aおよびレール状凸部26aがそれぞれ対向して設けられており、第1ケース12に第2ケース26を装着して、凹溝12aにレール状凸部26aを嵌め合わせ、超音波溶着機によってその部分に超音波の照射することにより、第1ケース12と第2ケース26との接合部分(凹溝12aおよびレール状凸部26a)が溶着される。これによって、ハウジング11内に水などが浸入することを防止できる。そして、本実施形態においては、キーロータ83をハウジング11の外側に配設しているため、第1ケース12のロック機構配設部13、および、第2ケース26を小さくでき、第1ケース12と第2ケース26との接合部分の距離(凹溝12aおよびレール状凸部26aの長さ)を短くできる。その結果、できるだけ小型の超音波溶着機を使用しての溶着が可能となり、製造コストの増大を抑制することができる。
【0044】
そして、このドアロック装置10は、キーシリンダ3のパドル4を直接連結するキーロータ83をハウジング11の外側に配設しているため、ハウジング11を小型化でき、低コストで防水性を確保できる。また、キーロータ83を配設する支持部22をハウジング11に一体成形しているため、部品点数の増加を抑制できる。しかも、支持部22は、一方の第1ケース12だけに一体成形しているため、第2ケース26は小型化できる。よって、ハウジング11を形成するために必要な材料を削減できるため、製造コストを低減できる。しかも、照射量が大きい大型の超音波溶着機を用いることなく、超音波溶着することができる。
【0045】
また、キーロータ83は、支持部22の装着段部24の一方側の縁に当接する鍔部84と、他方側の縁に係合する係合腕部85を設けた構成であるため、ハウジング11の支持部22に差し込むだけで、簡単に組み付けを行うことができる。しかも、ハウジング11の外部に配設するキーロータ83と、ハウジング11の内部に配設するキーレバー78とは、同一の第1ケース12に配設する構成としているため、2つの部材間の寸法精度の低下を抑制できる。よって、中間伝達部材である回動式レバー88との間の遊びを少なく設定できるため、ユーザによるキー操作感覚を向上することができる。
【0046】
次に、ドアロック装置10の動作について説明する。
【0047】
まず、図6に示すアンロック状態では、アウターハンドルが操作されると、アウターレバー65がリンク49の受動部50を直接上向きに移動させる。その結果、リンク49がクロー46の操作受部48を押圧して回動させることによりフォーク44との係合を解除し、フォーク44によるストライカ2の係止を解除する。
【0048】
また、インナーハンドルが開放操作されると、ケーブル102を介してインナーレバー68が回動することにより、リンク作動部71がリンク49の受動部50を上向きに押圧する。その結果、リンク49がクロー46を回動させることによりフォーク44との係合を解除し、フォーク44によるストライカ2の係止を解除する。
【0049】
このアンロック状態で、車外側のキーシリンダ3に正規キーを差し込んで施錠操作すると、図8(A)に示すように、パドル4が図中時計回りに回動することにより、キーロータ83が連動して同方向に回動する。そうすると、出力部87を介して回動式レバー88が反時計回りに回動することにより、キーレバー78が連動して同方向に回動する。その結果、キースイッチレバー73が時計回りに回動することにより、ロック作動部77がロックプレート54を押圧してロック位置へ時計回りに回動させる。これにより、リンク49が左上向きに傾斜するように回動し、操作部51がクロー46の操作受部48から離反したロック状態となる。
【0050】
また、アンロック状態で、車内側のロックノブを施錠操作すると、ケーブル103を介してノブレバー91が反時計回りに回動することにより、ロックプレート54が連動して時計回りに回動する。これにより、リンク49がクロー46から離反するように回動したロック状態となる。
【0051】
さらに、アンロック状態で、リモコンによって施錠操作すると、駆動モータ97によりカム部材99が回動することにより、インナーロック系の施錠操作と同様に、ノブレバー91およびロックプレート54が回動し、このロックプレート54に連動してリンク49がロック位置に回動する。
【0052】
このロック状態では、アウターハンドルの操作によりアウターレバー65を介してリンク49を上向きに移動させても、操作部51が操作受部48に当接しない。そのため、フォーク44によるストライカ2の係止を解除できず、ドア1を開放できない。
【0053】
但し、本実施形態では、ノブレバー91に係合受部96が設けられるとともに、インナーレバー68に係合部72が設けられている。そのため、ロック状態でインナーハンドルの操作によりドア1を開放しようとした場合には、まず、インナーレバー68の係合部72がノブレバー91の係合受部96に係合することにより、ノブレバー91が時計回りに回動する。これにより、ロックプレート54が反時計回りに回動し、リンク49をアンロック位置に移動する。続いて、インナーレバー68のリンク作動部71がリンク49の受動部50を上向きに押圧し、リンク49の操作部51がクロー46の操作受部48に当接することにより、フォーク44によるストライカ2の係止を解除してドア1を開放できる(オーバーライド機能)。
【0054】
一方、ロック状態で、車外側のキーシリンダ3に正規キーを差し込んで解錠操作すると、図8(B)に示すように、パドル4が反時計回りに回動することにより、キーロータ83が連動して同方向に回動する。そうすると、出力部87を介して回動式レバー88が時計回りに回動することにより、キーレバー78が連動して同方向に回動する。その結果、キースイッチレバー73が反時計回りに回動することにより、アンロック作動部76がロックプレート54を押圧してアンロック位置へ反時計回りに回動させる。これにより、リンク49が略真上に延びるように回動し、操作部51がクロー46の操作受部48に当接可能なアンロック状態となる。
【0055】
また、ロック状態で、車内側のロックノブを解錠操作すると、ケーブル103を介してノブレバー91が時計回りに回動することにより、ロックプレート54が連動して反時計回りに回動する。これにより、リンク49がクロー46から近接するように回動したアンロック状態となる。
【0056】
さらに、ロック状態で、リモコンによって解錠操作すると、駆動モータ97によりカム部材99が回動することにより、インナーロック系の解錠操作と同様に、ノブレバー91およびロックプレート54が回動し、このロックプレート54に連動してリンク49がアンロック位置に回動する。
【0057】
一方、ロック状態で、非ユーザが不正にドア1を解錠するために、ドア1とドアガラスの隙間から棒状の道具を挿入してアウターロック系を解錠操作しようとしても、本実施形態のドアロック装置10は不正解錠できない。即ち、不正な道具を用いた場合、上下方向の操作は容易であるが、回転操作は極めて困難である。また、ドア1内において、不正な道具で操作可能な部材はキーシリンダ3のパドル4である。そして、このパドル4は、回動させなければドアロック装置10を解錠できない。よって、アウターロック系の不正操作による解錠を防止できる。
【0058】
また、ドアロック装置10において、パドル4と連結されるキーロータ83と、ロックプレート54を動作させるキーレバー78とは、露出した回動式レバー88で連結されている。しかし、この回動式レバー88は、やはり回動により動力を伝達するものである。しかも、車内側に配設され、不正な道具で操作可能な外側は、ハウジング11によって遮蔽されている。さらに、回動式レバー88とキーロータ83との連結部分は、車内側へ突出する防護壁25によって覆われている。よって、回動式レバー88を外部から不正に操作することを確実に防止できる。そのため、盗難に関する安全性を向上できる。
【0059】
なお、本発明のドアロック装置10は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0060】
例えば、前記実施形態では、キーロータ83の出力部87とキーレバー78の入力部81に接続する中間伝達部材を回動式レバー88により構成したが、その伝達構造は希望に応じて変更が可能である。
【0061】
また、前記実施形態では、キーロータ83を配設する支持部22をハウジング11を構成する第1ケース12だけに一体的に設けたが、第2ケース26だけに一体的に設けてもよいうえ、第1および第2ケース12,26の両方で1つの支持部22を構成するように設けてもよい。
【0062】
さらに、キーシリンダ3のパドル4を連結するキーロータ83のパドル連結部86を貫通した孔により構成し、パドル4を相対的に回動不可能かつ貫通移動可能に構成したが、その連結構造は希望に応じて変更が可能である。
【0063】
また、前記実施形態においては、第1ケース12と第2ケース26との接合部分を超音波溶着によって溶着してハウジング11を封止したが、これに限定されるものではない。例えば、第1ケース12と第2ケース26との接合部分に、線形状のゴム製のパッキンを挟み込むことで、ハウジング11を封止するようにしてもよい。この場合でも、第1ケース12のロック機構配設部13の小型化によって、そのパッキンの長さを短くすることができ、その結果、パッキンの材料費を低減できるため、製造コストを低減できる。すなわち、前記実施形態に限らず、第1ケース12と第2ケース26との接合部分を短くすることで、その接合部分からの水などの浸入を防止するための部材を小さく(少なく)できるため、その分、製造コストを低減できる。
【符号の説明】
【0064】
1…ドア 2…ストライカ
3…キーシリンダ 4…パドル
5…ロータ連結部
10…ドアロック装置 11…ハウジング
12…第1ケース 13…ロック機構配設部
20…ラッチ機構カバー部 21…支軸部
22…支持部 23…装着孔
24…装着段部 25…防護壁
26…第2ケース 35…貫通穴
36…第3ケース 44…フォーク(ラッチ機構)
46…クロー(ラッチ機構) 49…リンク(ロック機構)
54…ロックプレート(ロック機構) 60…リンク付勢スプリング
65…アウターレバー 68…インナーレバー
73…キースイッチレバー 78…キーレバー
81…入力部 82…被係着部
83…キーロータ 84…鍔部
85…係合腕部 86…パドル連結部
87…出力部 88…回動式レバー(中間伝達部材)
89…レバー接続部 90…ロータ接続部
91…ノブレバー 97…駆動モータ
98…ウォーム 99…カム部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカを係脱可能なラッチ機構と、
前記ラッチ機構による前記ストライカの係止を解除可能なアンロック位置と解除不可能なロック位置とに移動可能なリンク、および、このリンクをアンロック位置およびロック位置に移動させるロックプレートを有するロック機構と、
ドアに配設したキーシリンダの操作力を前記ロック機構のロックプレートに伝達するキー操作力伝達機構と、
少なくとも前記ロック機構を収納するハウジングと、
を備えたドアロック装置において、
前記キー操作力伝達機構は、
前記ハウジングの外側に位置するように前記ハウジングに一体成形した支持部に回動可能に配設され、その回転軸に沿って前記キーシリンダのパドルを連結するパドル連結部を有するとともに、回転駆動力を出力する出力部を有するキーロータと、
前記ハウジング内に収納され、このハウジングに設けた貫通穴を貫通して外側に突出する入力部を有するとともに、この入力部を中心とした回動駆動力を前記ロック機構のロックプレートに伝達する駆動部を有するキーレバーと、
前記キーロータの出力部と前記キーレバーの入力部に接続され、前記キーロータの回転駆動力を前記キーレバーに伝達する中間伝達部材と、
を備えることを特徴とするドアロック装置。
【請求項2】
前記中間伝達部材は、前記キーロータの出力部に接続するロータ接続部と、前記キーレバーの入力部に接続するレバー接続部とを有し、前記レバー接続部を中心として回動する回動式レバーからなることを特徴とする請求項1に記載のドアロック装置。
【請求項3】
前記中間伝達部材を、前記ハウジングに対して車内側に位置するように配設したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドアロック装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、車外側に配置される第1ケースと車内側に配置される第2ケースとを有し、前記支持部を前記第1ケースに一体成形したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のドアロック装置。
【請求項5】
前記ハウジングの支持部に、前記キーロータの出力部と前記中間伝達部材のロータ接続部とを覆う防護壁を設けたことを特徴とする請求項4に記載のドアロック装置。
【請求項6】
前記第1ケースに前記キーレバーを回動可能に軸着する軸部を設けるとともに、前記第2ケースに前記キーレバーの入力部を外部に貫通させる前記貫通穴を設けたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のドアロック装置。
【請求項7】
前記ハウジングの支持部は、一端開口部に内向きに突出する装着段部を備え、
前記キーロータに、前記装着段部の一方側の縁に当接する鍔部と、他方側の縁に係合する弾性変形可能な係合腕部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のドアロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−87551(P2012−87551A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235783(P2010−235783)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】