説明

ドアロック装置

【課題】マニュアル仕様とオート仕様の両方に使用でき、マニュアル仕様の場合に小型化および軽量化を可能とする。
【解決手段】ストライカ1を係脱可能なラッチ機構と、ラッチ機構によるストライカ1の係止を解除可能なアンロック位置と解除不可能なロック位置とに切換可能で、ドア開放用のハンドルの操作により動作されるドア開放機構と、車内用ロックノブまたは車外用キーシリンダの操作によりドア開放機構をアンロック位置またはロック位置に移動させるマニュアルロック機構とを備えたドアロック装置において、ドア開放機構およびマニュアルロック機構を配設する第1ハウジング10を設け、第1ハウジング10に、電気的信号の入力によりドア開放機構をアンロック位置またはロック位置に移動させるオートロック機構を配設する第2ハウジング42を装着可能な第2ハウジング装着部23を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに装着されるドアロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のドアロック装置は、車体側に設けたストライカを保持するフォークと、フォークに係合してフォークがストライカを係止した状態に保持するクローとを有するラッチ機構を備えている。また、ドアロック装置は、クローと係合可能なアンロック位置と、クローと係合不可能なロック位置とに切換可能なドア開放機構を備えている。さらに、ドアロック装置は、ドア開放機構をアンロック位置またはロック位置に移動させるロック機構を備えている。このロック機構は、車内側に配設したロックノブまたは車外側に配設したキーシリンダの操作により動作するマニュアルロック機構と、車内に設置したロックスイッチまたはリモコンの操作などにより動作するオートロック機構とを有する。
【0003】
特許文献1には、ラッチ機構、ドア開放機構、マニュアルロック機構およびオートロック機構を構成する各部品を、閉鎖したハウジング内に配設することにより、盗難防止および防水性を向上したドアロック装置が記載されている。また、ハウジング内には、ドア開放機構がロック状態になっているのか、アンロック状態になっているのかを検出するためのロック状態検出手段が収容されている。
【0004】
一方、ドアロック装置は、車両によっては、ラッチ機構、ドア開放機構およびマニュアルロック機構だけを搭載することがある(マニュアル仕様)。この場合、ハウジングは、オートロック機構を搭載するオート仕様と同じものを使用し、オートロック機構を搭載しないだけとする。これにより、複数種のハウジングを製造することに伴うコストの増大を防止している。
【0005】
しかしながら、マニュアル仕様としたドアロック装置のハウジングは、内部にオートロック機構を搭載するための空間が存在する。そして、このドアロック装置は、マニュアル仕様のためだけに製造されたドアロック装置と比較すると、ハウジングが大きく、ドア内で無駄にスペースを占有するという不都合がある。また、ハウジングが大きいため、全体の重量も重くなるという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−262902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、マニュアル仕様とオート仕様の両方に使用でき、マニュアル仕様の場合に小型化および軽量化が可能なドアロック装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明のオート仕様のドアロック装置は、ストライカを係脱可能なラッチ機構と、前記ラッチ機構による前記ストライカの係止を解除可能なアンロック位置と、前記ラッチ機構による前記ストライカの係止を解除不可能なロック位置とに切換可能で、ドア開放用のインナーハンドルまたはアウターハンドルの操作により動作されるドア開放機構と、車内用ロックノブまたは車外用キーシリンダの操作により前記ドア開放機構をアンロック位置またはロック位置に移動させるマニュアルロック機構と、
電気的信号の入力により前記ドア開放機構をアンロック位置またはロック位置に移動させるオートロック機構と、を備えたドアロック装置において、少なくとも前記ドア開放機構および前記マニュアルロック機構を配設する第1ハウジングと、前記オートロック機構を配設する第2ハウジングとを設け、前記第1ハウジングの外側に、前記第2ハウジングを装着する第2ハウジング装着部を設け、前記第1および第2ハウジングに、前記オートロック機構の回転駆動力を前記ドア開放機構に伝達するための第1および第2連通孔を互いに連通するように設けた構成である。
【0009】
また、本発明のマニュアル仕様のドアロック装置は、ストライカを係脱可能なラッチ機構と、前記ラッチ機構による前記ストライカの係止を解除可能なアンロック位置と、前記ラッチ機構による前記ストライカの係止を解除不可能なロック位置とに切換可能で、ドア開放用のインナーハンドルまたはアウターハンドルの操作により動作されるドア開放機構と、車内用ロックノブまたは車外用キーシリンダの操作により前記ドア開放機構をアンロック位置またはロック位置に移動させるマニュアルロック機構と、を備えたドアロック装置において、少なくとも前記ドア開放機構および前記マニュアルロック機構を配設する第1ハウジングを設け、前記第1ハウジングに、電気的信号の入力により前記ドア開放機構をアンロック位置またはロック位置に移動させるオートロック機構を配設する第2ハウジングを装着可能な第2ハウジング装着部を設けた構成である。
【0010】
このドアロック装置は、ドア開放機構およびマニュアルロック機構を第1ハウジングに収容し、オートロック機構を第2ハウジングに収容する構成としている。そして、オート仕様とする場合には、オートロック機構を搭載した第2ハウジングを第1ハウジングに装着してドアロック装置を構成し、マニュアル仕様とする場合には、第2ハウジングを装着することなく第1ハウジングだけでドアロック装置を構成する。
【0011】
オート仕様のドアロック装置は、オートロック機構がドア開放機構を配設した第1ハウジングとは異なる第2ハウジングに配設されているが、その回転駆動力を各ハウジングの連通孔を通してドア開放機構に伝達できる。また、このドアロック装置は、ドア開放機構およびマニュアルロック機構が閉鎖した第1ハウジング内に収容され、オートロック機構が閉鎖した第2ハウジング内に収容されているため、防水性および盗難防止性を維持できる。
【0012】
マニュアル仕様のドアロック装置は、第1ハウジングにドア開放機構とマニュアルロック機構とを配設しているため、確実にマニュアルロック機構の駆動力をドア開放機構に伝達できる。また、第1ハウジングには、オートロック機構を収容するスペースを設ける必要がないため、小型化および軽量化が可能となる。さらに、このドアロック装置は、ドア開放機構およびマニュアルロック機構が閉鎖した第1ハウジング内に収容されているため、防水性および盗難防止性を維持できる。
【0013】
オート仕様のドアロック装置では、前記第1ハウジングの第1連通孔に、前記マニュアルロック機構を構成する切換レバーを回動可能に配設するとともに、前記第2ハウジングの第2連通孔に、前記オートロック機構の回転駆動力を出力する出力軸を配設し、前記切換レバーおよび前記出力軸を、前記第1および第2連通孔を通して相対的に回動不可能に連結し、前記オートロック機構が前記マニュアルロック機構を介して前記ドア開放機構をアンロック位置またはロック位置に移動させる構成としている。このようにすれば、第2ハウジングに収容したオートロック機構を簡単に連結できる。また、マニュアルロック機構を兼用してオートロック機構の回転駆動力をドア開放機構に伝達するため、第1ハウジング内に配設する部品構成を簡素化できる。
【0014】
また、前記第1ハウジングに、前記ドア開放機構のアンロック状態またはロック状態を検出して電気的信号として出力するロック状態検出手段と、このロック状態検出手段からの電気的信号を外部へ出力するためのコネクタとを配設し、このコネクタを配設する前記第1ハウジングのコネクタ配設部を、前記第2ハウジング装着部の内側に位置するように設け、このコネクタ配設部に前記オートロック機構へ電力供給するための接続端子を貫通配置する端子挿通孔を設けることが好ましい。このようにすれば、マニュアル仕様およびオート仕様のいずれの場合でも、同じコネクタを使用でき、外部コネクタとの接続作業も同様に1箇所で行うことができる。
【0015】
さらに、前記第1および第2ハウジングの間に、前記第1および第2連通孔を囲繞するように環状シール部材を配設することが好ましい。このようにすれば、連通孔からの浸水を防止できるため、防水性を確保できる。
【0016】
そして、マニュアル仕様のドアロック装置では、前記第2ハウジングを装着しない第1ハウジングは、前記第2ハウジングに配設する前記オートロック機構の回転駆動力を前記ドア開放機構に伝達するための連通孔を閉塞することが好ましい。このようにすれば、第1ハウジング内への浸水を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のドアロック装置では、オート仕様の場合、ドア開放機構およびマニュアルロック機構が閉鎖した第1ハウジング内に収容され、オートロック機構が閉鎖した第2ハウジング内に収容されているため、防水性および盗難防止性を維持できる。また、マニュアル仕様の場合、第1ハウジングには、オートロック機構を収容するスペースを設ける必要がないため、小型化および軽量化できる。さらに、防水性および盗難防止性を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るオート仕様のドアロック装置を示す分解斜視図である。
【図2】オート仕様のドアロック装置の組立状態を示す斜視図である。
【図3】(A)はオート仕様のドアロック装置の組立状態を示す背面図、(B)はマニュアル仕様のドアロック装置の組立状態を示す背面図である。
【図4】(A)はオート仕様のドアロック装置の正面図、(B)は(A)の側面図である。
【図5】オート仕様の第1ハウジングの第1ケースを示し、(A)は外面側を示す正面図、(B)は内面側を示す背面図、(C)は側面図である。
【図6】マニュアル仕様の第1ハウジングの第1ケースを示し、(A)は外面側を示す正面図、(B)は内面側を示す背面図である。
【図7】第1ハウジングの第2ケースを示し、(A)は外面側を示す正面図、(B)は内面側を示す背面図、(C)は側面図である。
【図8】ドアロック装置の第1ハウジングの第3ケースおよびラッチ機構を示し、(A)はドア開放状態を示す側面図、(B)はドア閉塞状態を示す側面図である。
【図9】第2ハウジングの第1ケースを示し、(A)は外面側を示す正面図、(B)は内面側を示す背面図、(C)は側面図である。
【図10】第2ハウジングの第2ケースを示し、(A)は外面側を示す正面図、(B)は内面側を示す背面図、(C)は側面図である。
【図11】(A)は第1ハウジングに配設するドア開放機構およびマニュアルロック機構を示す正面図、(B)は第2ハウジングに配設するオートロック機構を示す背面図である。
【図12】オート仕様のドアロック装置を示し、(A)はアンロック状態を示す正面図、(B)はロック状態を示す正面図である。
【図13】マニュアル仕様のドアロック装置を示し、(A)はアンロック状態を示す正面図、(B)はロック状態を示す正面図である。
【図14】(A)はオート仕様の切換レバーと伝達レバーを示す部分断面斜視図、(B)はオート仕様のドアロック装置の要部断面図である。
【図15】(A)はマニュアル仕様の切換レバーを示す部分断面斜視図、(B)はマニュアル仕様のドアロック装置の要部断面図である。
【図16】(A)は第1ハウジングにロック状態検出手段およびコネクタを配設した状態を示す正面図、(B)はオート仕様のドアロック装置の要部断面図、(C)はマニュアル仕様のドアロック装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0020】
図1および図2は、本発明の実施形態に係るドアロック装置を示す。このドアロック装置は、車両のドアに装着されるもので、車体に配設したストライカ1を係脱可能なラッチ機構と、ラッチ機構によるストライカ1の係止を解除するドア開放機構と、ドア開放機構をアンロック位置またはロック位置に移動させるマニュアルロック機構およびオートロック機構とを備えている。
【0021】
そして、本実施形態では、ラッチ機構、ドア開放機構およびマニュアルロック機構を第1ハウジング10に収容するとともに、オートロック機構を第2ハウジング42に収容し、この第2ハウジング42を第1ハウジング10に対して選択的に装着可能としている。これにより、ドアロック装置は、図3(A)に示すように、第1ハウジング10と第2ハウジング42とで構成したオート仕様と、図3(B)に示すように、第1ハウジング10だけで構成したマニュアル仕様とを、選択できるように構成している。
【0022】
図1および図4(A),(B)に示すように、第1ハウジング10は、ドア開放機構およびマニュアルロック機構を収納する2種の第1ケース11A,11Bと、第1ケース11A,11Bの開口部を閉塞する第2ケース26と、ラッチ機構を収納する第3ケース34とを備えている。そのうち、第1ケース11Aはオート仕様であり、第1ケース11Bはマニュアル仕様である。
【0023】
オート仕様の第1ケース11Aは、図4(B)および図5(C)に示すように、ドア開放機構およびマニュアルロック機構を配設する第1配設部12と、ラッチ機構を配設した第3ケース34を配設する第2配設部18とを備えた平面視L字形状のものである。
【0024】
図5(B)に示すように、第1配設部12には、略中央上部にロックプレート74およびキースイッチレバー78を回動可能に軸着する取付軸部13が設けられている。また、略中央下部には、インナーレバー71を回動可能に軸着する取付軸部14が設けられている。この取付軸部14の左側部には、切換レバー83Aを回動可能に配設するためのレバー装着部15Aが設けられている。オート仕様のレバー装着部15Aは、貫通した孔により構成した第1連通孔である。取付軸部13の左側には、コネクタ115を配設するコネクタ配設部16が設けられている。このコネクタ配設部16は、略半円形状をなすように突出して形成されている。コネクタ配設部16の中心には、オートロック機構へ電力供給するための接続端子118を貫通配置する一対の端子挿通孔17が設けられている。
【0025】
第2配設部18は、ラッチ機構を配設した第3ケース34の開口部を覆うものである。図5(C)に示すように、第2配設部18には、下部にアウターレバー68を回動可能に装着する取付穴部19が設けられている。この取付穴部19の横には、第1配設部12との境界に位置するように、アウターレバー68を貫通させて第1配設部12内に配置するレバー挿通孔20が設けられている。また、第2配設部18の上部には、キーレバー80を回動可能に装着する取付穴部21が設けられている。この取付穴部21の横には、第1配設部12との境界に位置するように、キーレバー80を貫通させて第1配設部12内に配置するレバー挿通孔22が設けられている。
【0026】
そして、本実施形態の第1ケース11Aには、図5(A),(C)に示すように、外面側に第2ハウジング42を装着するための第2ハウジング装着部23が設けられている。この第2ハウジング装着部23は、コネクタ配設部16の外面側と、レバー装着部15Aの外面側とで構成されている。これらは、それぞれ内面側に向けて段状に窪む平面部24a,24bとされている。また、平面部24aの上部および平面部24bの下部には、それぞれネジ締付部25a,25bが設けられている。
【0027】
マニュアル仕様の第1ケース11Bは、図6(A),(B)に示すように、レバー装着部15Bおよびコネクタ配設部16の端子挿通孔17を閉塞した点で、第1ケース11Aと相違する。具体的には、第1ケース11Bのレバー装着部15Bは、切換レバー83Bを回動可能に装着する凸部により構成されている。第1ケース11Bのコネクタ配設部16は、閉塞により端子挿通孔17が無い状態となっている。
【0028】
本実施形態の第1ケース11Bは、レバー装着部15Bおよび端子挿通孔17を樹脂成型時に閉塞している。なお、これら第1ケース11A,11Bを成形する金型は、レバー装着部15A,15Bおよびコネクタ配設部16の形成位置が別部品の入れ子によって構成されている。そして、入れ子を交換するだけで、孔を有する第1ケース11Aと孔が無い第1ケース11Bとを、選択的に成形している。但し、孔を有する第1ケース11Aだけを樹脂成形し、レバー装着部15Bは孔を閉塞するとともに凸部を形成し、端子挿通孔17は孔を閉塞する別部品で嵌め込んで、第1ケース11Bを構成してもよい。
【0029】
第2ケース26は、オート仕様およびマニュアル仕様の両方に兼用されるもので、第1ケース11A,11Bの第1配設部12の開口部と同一形状に形成されている。この第2ケース26は、第1ケース11A,11Bに対して超音波溶着などによって固着される。図7(A)〜(C)に示すように、第2ケース26には、第1ケース11A,11Bの第2配設部18に装着する第3ケース34を露出させる切欠部27が設けられている。ロックプレート74の取付軸部13との対向位置には軸受部28が設けられ、インナーレバー71の取付軸部14との対向位置には軸受部29が設けられている。これら軸受部28,29は、それぞれ閉塞された凹部からなる。軸受部29の周囲には、インナーレバー71のインナーハンドル連結部72を外部に突出させるための挿通穴30が設けられている。切換レバー83A,83Bのレバー装着部15A,15Bの対向位置には軸支部31が設けられている。この軸支部31は、切換レバー83A,83Bの軸を外部に突出させる貫通孔を有する。コネクタ配設部16の対向位置には、コネクタ115を外部に露出させるためのコネクタ接続口32が設けられている。第2ケース26の外面側には、軸受部29の横に位置するように、ドア開放用のインナーハンドル(図示せず)に接続するケーブル119A、および、ドアロック用のロックノブ(図示せず)に接続するケーブル119Bを固定するためのケーブル固定部33が設けられている。
【0030】
第3ケース34は、図4(B)および図8(A)、(B)に示すように、第1ケース11A、11Bの第2配設部18に装着されるものである。この第3ケース34は、第2配設部18の側に配置される樹脂性のフェンスブロック35と、外側に配置される金属性のセフティプレート40とを備える。フェンスブロック35には、ストライカ1を挿通する空間となる挿通凹部36が、第2配設部18に向けて窪むように設けられている。この挿通凹部36の上側には、ラッチ機構を構成するフォーク59を回動可能に装着するための取付部37が設けられている。挿通凹部36の下側には、クロー61を回動可能に装着するための取付部38が設けられている。この取付部38の左側には、クロー61の操作受部63を挿通して第1配設部12内に突出させる挿通穴39が設けられている。セフティプレート40には、挿通凹部36との対向位置にストライカ1を挿通する挿通溝41が設けられている。
【0031】
図1および図4(A),(B)に示すように、第2ハウジング42は、オートロック機構を配設する第1ケース43と、第1ケース43の開口部を閉塞する第2ケース52とを備えている。そして、第1ケース11Aを用いたオート仕様の第1ハウジング10の第2ハウジング装着部23に装着することにより、この第1ハウジング10から外側に突出するように固定される。これにより、マニュアルロック機能だけを搭載した第1ハウジング10に、オートロック機能を具備させるものである。
【0032】
第1ケース43は、第1ハウジング10の側に位置するように配設されるものである。この第1ケース43は、図9(A)〜(C)に示すように、大略、矩形状をなす本体の一側から第1ケース11Aの平面部24a,24b上に延びる突出部44a,44bを設けたような略B字形状をなす。第1ケース43の下部には、閉塞された軸支穴45aを有するカム部材配設部45が設けられている。このカム部材配設部45の突出部44bの側には、伝達レバー配設部46が設けられている。この伝達レバー配設部46の逆側には、ウォーム配設部47が設けられ、その上部には、駆動モータ配設部48が設けられている。これら配設部45〜48は、第1ケース11Aの側である外向きに膨出するように形成されている。突出部44aには、第1ケース11Aの端子挿通孔17と連通する一対の端子挿通孔49が設けられている。伝達レバー配設部46の一部である突出部44bの中心には、伝達レバー94の出力軸96を貫通配置する軸挿通孔50が設けられている。この軸挿通孔50は、第1ケース11Aの第1連通孔であるレバー装着部15Aと互いに連通するように形成された第2連通孔である。また、突出部44a,44bには、第1ケース11Aのネジ締付部25a,25bに一致するネジ孔を備えたブラケット部51a,51bが突設されている。
【0033】
第2ケース52は、第1ケース43の開口部と同一形状に形成され、この第1ケース43に対して超音波溶着などによって固着されるものである。図10(A)〜(C)に示すように、第2ケース52には、カム部材配設部45と一致する閉塞された軸支穴53aを有するカム部材カバー部53が設けられている。また、伝達レバー配設部46との対向位置には、軸挿通孔50と軸心が一致する支軸部54aを有する伝達レバーカバー部54が設けられている。駆動モータ配設部48との対向位置には、駆動モータカバー部55が設けられている。そして、端子挿通孔49の対向位置から駆動モータカバー部55にかけて延びるように、配線部56が設けられている。これらカバー部53〜55および配線部56は、外向きに膨出するように形成されている。また、ウォーム配設部47との対向位置には、駆動モータ108の駆動軸を軸支する軸支部57が設けられている。
【0034】
このように構成した第2ハウジング42は、第1ハウジング10の第2ハウジング装着部23に希望に応じて装着可能である。そして、第1ケース11Aを用いたオート仕様の第1ハウジング10に第2ハウジング42を装着すると、第1連通孔であるレバー装着部15Aと第2連通孔である軸挿通孔50が一致し、第1ハウジング10内と第2ハウジング42内とが互いに連通する。また、各ハウジング10,42の端子挿通孔17,49が一致して互いに連通する。但し、第1ケース11Bを用いたマニュアル仕様の第1ハウジング10には、孔からなるレバー装着部15Aおよび端子挿通孔17が設けられていないため、第2ハウジング42を装着したとしても、第2ハウジング42内とは連通しない。
【0035】
図14(B)および図16(B)に示すように、本実施形態では、第1ケース11Aを用いたオート仕様の第1ハウジング10と第2ハウジング42の間には、防水用のシール部材58を配設する構成としている。シール部材58は、レバー装着部15Aと軸挿通孔50、および、各端子挿通孔17,49を囲繞し、かつ、第1ケース11Aと第1ケース43に圧接されることにより、各孔を通して第1および第2ハウジング10,42内への浸水を防止する環状の防水パッドである。
【0036】
ラッチ機構は、第3ケース34に組み付けられるもので、図8(A),(B)に示すように、ストライカ1を離脱可能に係止するフォーク59と、フォーク59に係合してフォーク59がストライカ1を保持した状態を維持するクロー61とを備えている。このラッチ機構は、ドアを閉じることによりフォーク59の係止溝60内にストライカ1が進入されると、ドアの閉じ力に伴うストライカ1の押圧で図5(A)から図5(B)に示すように反時計回りに回動する。そして、クロー61の係止部62がフォーク59に係止することにより、フォーク59によるストライカ1の係止状態を維持する。この状態で、クロー61の操作受部63が上向きに作動されると、クロー61が時計回りに回動されることにより、フォーク59とクロー61の係止が解除される。その結果、フォーク59が図示しないスプリングの付勢力で図5(A)に示す開放位置に回動し、ストライカ1の係止を解除する。
【0037】
ドア開放機構は、ラッチ機構によるストライカ1の係止を解除可能なアンロック位置と、ストライカ1の係止を解除不可能なロック位置とに変移可能なものである。このドア開放機構は、図11(A)に示すように、クロー61を係止解除方向に作動させるリンク64と、リンク64を介してラッチ機構を開放作動させるアウターレバー68およびインナーレバー71を備えている。
【0038】
リンク64は、アウターレバー68またはインナーレバー71の作動力を下端の受動部65で受けることにより、上方向に移動されるものである。図12(A)および図13(A)に示すアンロック位置では、略中央の操作部66がクロー61の操作受部63に当接して、クロー61を係止解除方向に作動させる。そのため、ラッチ機構によるストライカ1の係止を解除できる。また、リンク64は、上方のロックプレート連結部67がロックプレート74に連結され、このロックプレート74の回動によりアンロック位置およびロック位置に移動される。図12(B)および図13(B)に示すロック位置では、操作部66がクロー61の操作受部63と当接不可能な位置に離間する。そのため、アウターレバー68またはインナーレバー71によって上方向に移動されても、クロー61を係止解除方向に作動できない。よって、ラッチ機構によるストライカ1の係止を解除できない。
【0039】
アウターレバー68は、第1ケース11A,11Bの第1配設部12を貫通して内外に延びるように、第2配設部18に回動可能に取り付けられるものである。このアウターレバー68は、ドアの車外側に設けたアウターハンドル(図示せず)が操作されると、図4(B)に示す外側へ突出したアウターハンドル接続部69が時計回り(下向き)に移動する。その結果、第1配設部12内に位置する先端のリンク連結部70が上向きに移動することにより、リンク64を上向きに移動させる。
【0040】
インナーレバー71は、図11(A)に示すように、第1ケース11A,11Bの第1配設部12に回動可能に取り付けられるものである。このインナーレバー71は、ドアの車内側に設けたインナーハンドルにケーブル119Aを介して連結されており、インナーハンドルが操作されると、第1ハウジング10から外側へ突出したインナーハンドル連結部72が左向きに引っ張られる。その結果、反時計回りに回動することにより、下端のリンク作動部73がリンク64の受動部65に当接し、リンク64を上向きに移動させる。
【0041】
マニュアルロック機構は、車外用キーシリンダおよび車内用ロックノブの操作により、リンク64をアンロック位置およびロック位置に移動させるものである。このマニュアルロック機構は、リンク64を移動させるロックプレート74と、アウターロック系であるキー操作力伝達機構と、インナーロック系であるノブ操作力伝達機構とを備えている。キー操作力伝達機構は、ドアの車外側に配設したキーシリンダの操作力をロックプレート74に伝達するもので、キースイッチレバー78とキーレバー80とを有する。ノブ操作力伝達機構は、ドアの車内側に配設したロックノブの操作力をロックプレート74に伝達するもので、2種の切換レバー83A,83Bとノブレバー92とを有する。そのうち、切換レバー83Aはオート仕様であり、切換レバー83Bはマニュアル仕様である。また、本実施形態では、ロックプレート74および切換レバー83Aは、オートロック機構の回転駆動力をドア開放機構に伝達する役割を兼ねる。
【0042】
ロックプレート74は、第1ケース11A,11Bの第1配設部12に回動可能に取り付けられるものである。このロックプレート74は、キースイッチレバー78または切換レバー83A,83Bによって時計回りに回動されることによりリンク係着部75が左側へ移動し、リンク64をアンロック位置からロック位置へ移動させる。また、反時計回りに回動されることによりリンク係着部75が右側へ移動し、リンク64をロック位置からアンロック位置へ移動させる。なお、ロックプレート74は、キースイッチレバー78によるアンロック作動を突出したアンロック作動受動部76で受け、キースイッチレバー78によるロック作動を右側縁部で受ける。また、切換レバー83A,83Bによるアンロック作動およびロック作動を、リンク係着部75と逆側に位置する切換レバー係着部77で受ける。
【0043】
キースイッチレバー78は、第1ケース11A,11Bの第1配設部12にロックプレート74と同一軸心となるように回動可能に取り付けられるものである。このキースイッチレバー78は、キーレバー80によってキーレバー係着部79が時計回りに回動されることにより、ロックプレート74を介してリンク64をロック位置へ移動させる。また、キーレバー係着部79が反時計回りに回動されることにより、ロックプレート74を介してリンク64をアンロック位置へ移動させる。
【0044】
キーレバー80は、一端のスイッチレバー係着部81が第1ケース11A,11Bの第1配設部12内に位置するように、第2配設部18に回動可能に取り付けられるものである。このキーレバー80は、第2配設部18のレバー挿通孔22を通して第1ハウジング10の外部に連結した連結レバー82(図1参照。)が、キーシリンダの操作によって回動されることにより、第1配設部12内のスイッチレバー係着部81が上下に移動する。これにより、キースイッチレバー78を時計回りまたは反時計回りに回動させる。
【0045】
切換レバー83A,83Bは、第1ケース11A,11Bの第1配設部12のレバー装着部15A,15Bに回動可能に配設されるものである。この切換レバー83A,83Bは、ノブレバー92によって反時計回りに回動されることにより、先端のロックプレート係着部84がロックプレート74をロック位置へ回動させる。また、時計回りに回動されることにより、ロックプレート係着部84がロックプレート74をアンロック位置へ回動させる。
【0046】
オート仕様の切換レバー83Aは、図14(A),(B)に示すように、板状に延びるロックプレート係着部84の端部に、上向きに突出する軸部85を備えている。この軸部85の上方には、環状をなす溝からなるシール部材配設部86が設けられている。軸部85の上端面には、断面矩形状をなすノブレバー連結部87が突設されている。このノブレバー連結部87には、上端面から軸部85にかけて延びる連結穴88が設けられている。また、切換レバー83Aには、軸部85と反対側に孔からなるレバー装着部15Aに回動可能に嵌め込まれる断面円形状の軸着部89が下向きに突設されている。この軸着部89の下端面には、断面矩形状をなす伝達レバー連結部90が突設されている。
【0047】
マニュアル仕様の切換レバー83Bは、図15(A),(B)に示すように、切換レバー83Aと同様の軸部85、シール部材配設部86、ノブレバー連結部87および連結穴88を備えている。そして、軸着部89および伝達レバー連結部90の代わりに、第1ケース11Bの凸部からなるレバー装着部15Bに回動可能に配設する軸穴部91が、上向きに窪むように設けられている。
【0048】
ノブレバー92は、図4(A)、図14(B)および図15(B)に示すように、第1ハウジング10の第2ケース26から突出した切換レバー83A,83Bのノブレバー連結部87に外嵌して連結される切換レバー連結孔93を備えている。このノブレバー92は、車内のロックノブにケーブル119Bを介して連結されており、ロックノブがロック操作されると、ケーブル119Bを介してノブレバー92がロック方向へ回転して切換レバー83A,83Bを反時計回りに回動させる。また、ロックノブがアンロック操作されると、ケーブル119Bを介してノブレバー92がアンロック方向へ回転して切換レバー83A,83Bを時計回りに回動させる。
【0049】
オートロック機構は、車内に設置したロックスイッチまたはリモコンの操作などによって電気的信号(電力)が入力されることにより、リンク64をアンロック位置またはロック位置に移動させるものである。このオートロック機構は、図11(B)に示すように、伝達レバー94と、ギア部材101と、カム部材104と、ウォーム107と、駆動モータ108とを備えている。そして、駆動モータ108の回転駆動力を、マニュアルロック機構の切換レバー83Aおよびロックプレート74を介して、ドア開放機構のリンク64に伝達する構成としている。
【0050】
伝達レバー94は、第2ハウジング42の第1ケース43の軸挿通孔50に回動可能に装着されるものである。この伝達レバー94は、図14(A),(B)に示すように、先端にギア部95を備えている。このギア部95と反対側の端部には、軸挿通孔50に回動可能に嵌め込まれる出力軸96が設けられ、その端面に伝達レバー連結部90を連結する矩形状の切換レバー連結穴97が凹設されている。また、出力軸96の反対側には、出力軸96と同様の軸着部98が設けられ、その端面に第2ケース52の支軸部54aに回動可能に嵌合する軸穴部99が設けられている。そして、伝達レバー94は、ギア部材101が回転すると、先端のギア部95の噛みあいにより回転し、その回転力を切換レバー83Aに伝達する。
【0051】
ギア部材101は、図11(B)および図14(B)に示すように、第2ハウジング42の軸支穴45a,53a間に配設する別体の軸部材100に回動可能に配設されている。このギア部材101は、外周部に伝達レバー94のギア部95に噛み合うギア部102を備えている。また、ギア部材101は、カム部材104のカム溝105内に配設され、カム部材104の回転を外向きに突出した押圧受部103で受けて、時計回りおよび反時計回りに回動する。そして、この回転力をギア部102によって伝達レバー94に伝達する。
【0052】
カム部材104は、第2ハウジング42内においてギア部材101と同一の軸部材100に回動可能に配設されている。このカム部材104は、ギア部材101の一部を内部に位置させるカム溝105を備え、その押圧部105aでギア部材101を押圧して回動させる。また、カム部材104の外周面にはウォームホイール部106が設けられ、このウォームホイール部106でウォーム107の回転力を受けて回転する。
【0053】
ウォーム107は、駆動モータ108の駆動軸に固定された状態で、第2ハウジング42のウォーム配設部47に配設される。駆動モータ108は、第2ハウジング42の駆動モータ配設部48に配設され、通電方向の切り換えにより正転および逆転が可能なものである。駆動モータ108の駆動軸は、第2ケース52の軸支部57に軸支されている。
【0054】
以上の部品からなるドアロック装置は更に、ドア開放機構のリンク64がアンロック状態であるかロック状態であるかを検出するためのロック状態検出機構を備えている。このロック状態検出機構は、図16(A)に示す基板109に敷設した固定接点部材110a〜110cと、図11(A)に示すロックプレート74に配設した可動接点部材111とからなる。リンク64がアンロック位置の場合、ロックプレート74の可動接点部材111の接点部112aが固定接点部材110cと短絡し、接点部112bが固定接点部材110aと短絡することにより、アンロック状態であることを検出できる。リンク64がロック位置の場合、可動接点部材111の接点部112aが固定接点部材110cと短絡し、接点部112bが固定接点部材110bと短絡することにより、ロック状態であることを検出できる。
【0055】
また、運転席のドアに配設するドアロック装置には、キーシリンダにキーを差し込んでアンロック操作およびロック操作したことを検出するキー操作検出機構が搭載されている。このキー操作検出機構は、図16(A)に示す基板109に敷設した固定接点部材110c〜110eと、図11(A)に示すキースイッチレバー78に配設した可動接点部材113とからなる。キーシリンダが操作されていない場合、キースイッチレバー78の可動接点部材113の接点部114aが固定接点部材110cと短絡し、接点部114bが絶縁されることにより、非操作状態を検出できる。キーシリンダがアンロック操作された場合、接点部114aが固定接点部材110cと短絡し、接点部114bが固定接点部材110dと短絡することにより、アンロック操作を検出できる。キーシリンダがロック操作された場合、接点部114aが固定接点部材110cと短絡し、接点部114bが固定接点部材110eと短絡することにより、ロック操作を検出できる。
【0056】
基板109には、信号線や電力線などを電気的に接続し、電力や電気的信号を入出力するためのコネクタ115が配設されている。このコネクタ115は、略長方形有底筒状であり、第1ケース11A,11Bのコネクタ配設部16に配設され、その接続開口部が第2ケース26のコネクタ接続口32から外部へ露出される。また、コネクタ115の底部には、第1ケース11Aの端子挿通孔17に対応する位置に2つの端子貫通孔115aが設けられている。固定接点部材110a〜110eのうち、固定接点部材110a〜110dは、その端の接続端子部がコネクタ115内に配設される。また、固定接点部材110eは、抵抗116を介して固定接点部材110dに電気的に接続されている。さらに、固定接点部材110cには、基準電流が通電されている。よって、固定接点部材110aからアンロック検出状態が出力される。また、固定接点部材110bからロック検出状態が出力される。さらに、固定接点部材110dからアンロック操作状態およびロック操作状態が出力される。そして、いずれの操作状態であるかは、抵抗116による出力電圧の違いで判断できる。
【0057】
また、オート仕様の第1ハウジング10では、オートロック機構の駆動モータ108への電力供給をコネクタ115によって電気的に接続する構成としている。第2ハウジング42の第1ケース43には、駆動モータ108に電力を供給するための一対のターミナル117a,117bが配設されている。このターミナル117a,117bは導電性を有する金属板からなり、その一端が駆動モータ108に接続されている。ターミナル117a,117bの他端は、コネクタ接続用の接続端子118とされ、この接続端子118が端子挿通孔49を通して第2ハウジング42の外部に突出されている。
【0058】
オート仕様の第1ハウジング10の第2ハウジング装着部23に第2ハウジング42を配置すると、第2ハウジング42から突出した接続端子118が、第1ケース11Aの端子挿通孔17と一致する。また、第2ハウジング42の軸挿通孔50から露出した伝達レバー94の出力軸96が、第1ケース11Aのレバー装着部15Aから突出した切換レバー83Aの伝達レバー連結部90と一致する。そして、第1ハウジング10に対して第2ハウジング42を装着してネジ止めすると、図14(A)に示すように、切換レバー83Aと伝達レバー94とが一体的に回動するように連結されるとともに、図16(B)に示すように、接続端子118が端子挿通孔17、および、端子貫通孔115aを通してコネクタ115内に配置される。
【0059】
このオート仕様のドアロック装置は、車両の中央制御手段(ECU)からアンロック信号(アンロック方向の電流)が入力されると、駆動モータ108を正転させることにより、ウォーム107、カム部材104、ギア部材101、伝達レバー94、切換レバー83Aおよびロックプレート74を介してリンク64を図12(A)に示すアンロック位置に移動させることができる。また、ECUからロック信号(ロック方向の電流)が入力されると、駆動モータ108を逆転させることにより、同一部品を介してリンク64を図12(B)に示すロック位置に移動させることができる。
【0060】
また、車内のロックノブがアンロック操作されると、ノブレバー92、切換レバー83Aおよびロックプレート74を介してリンク64を図12(A)に示すアンロック位置に移動させることができる。また、ロックノブがロック操作されると、同一部品を介してリンク64を図12(B)に示すロック位置に移動させることができる。
【0061】
さらに、車外のキーシリンダがアンロック操作されると、キーレバー80、キースイッチレバー78およびロックプレート74を介してリンク64を図12(A)に示すアンロック位置に移動させることができる。また、キーシリンダがロック操作されると、同一部品を介してリンク64を図12(B)に示すロック位置に移動させることができる。
【0062】
マニュアル仕様のドアロック装置は、車内のロックノブがアンロック操作されると、ノブレバー92、切換レバー83Bおよびロックプレート74を介してリンク64を図13(A)に示すアンロック位置に移動させることができる。また、ロックノブがロック操作されると、同一部品を介してリンク64を図13(B)に示すロック位置に移動させることができる。
【0063】
また、車外のキーシリンダがアンロック操作されると、キーレバー80、キースイッチレバー78およびロックプレート74を介してリンク64を図13(A)に示すアンロック位置に移動させることができる。また、キーシリンダがロック操作されると、同一部品を介してリンク64を図13(B)に示すロック位置に移動させることができる。
【0064】
そして、オート仕様およびマニュアル仕様のいずれのドアロック装置でも、アンロック状態でインナーハンドルが操作されると、インナーレバー71を介してリンク64を上向きに移動させ、クロー61を回動させてフォーク59によるストライカ1の係止を解除できる。また、アウターハンドルが操作されると、アウターレバー68を介してリンク64を上向きに移動させて、同様にストライカ1の係止を解除できる。
【0065】
一方、ロック状態では、インナーハンドルが操作されてインナーレバー71を介してリンク64を上向きに移動させても、リンク64がクロー61に当接できないためフォーク59によるストライカ1の係止を解除できない。また、アウターハンドルが操作されてアウターレバー68を介してリンク64を上向きに移動させても、同様にストライカ1の係止を解除できない。
【0066】
このように、本発明のドアロック装置は、ドア開放機構およびマニュアルロック機構を第1ハウジング10に収容し、オートロック機構を第2ハウジング42に収容する構成としている。そして、オート仕様とする場合には、オートロック機構を搭載した第2ハウジング42を第1ハウジング10に装着してドアロック装置を構成し、マニュアル仕様とする場合には、第2ハウジング42を装着することなく第1ハウジング10だけでドアロック装置を構成する。
【0067】
そして、オート仕様のドアロック装置は、オートロック機構がドア開放機構を配設した第1ハウジング10とは異なる第2ハウジング42に配設されているが、その回転駆動力を各ハウジング10,42の連通孔であるレバー装着部15Aと軸挿通孔50を通してドア開放機構に伝達できる。また、このオート仕様のドアロック装置は、ドア開放機構およびマニュアルロック機構が閉鎖した第1ハウジング10内に収容され、オートロック機構が閉鎖した第2ハウジング42内に収容されているため、防水性および盗難防止性を維持できる。
【0068】
また、第1ハウジング10のレバー装着部15Aに、マニュアルロック機構を構成する切換レバー83Aを配設し、第2ハウジング42の軸挿通孔50に、オートロック機構の回転駆動力を出力する出力軸96を配設し、これらの連結によりオートロック機構がマニュアルロック機構を介してドア開放機構を作動させる構成としている。よって、第2ハウジング42に収容したオートロック機構を簡単に連結できる。また、マニュアルロック機構を兼用してオートロック機構の回転駆動力をドア開放機構に伝達するため、第1ハウジング10内に配設する部品構成を簡素化できる。さらに、第1および第2ハウジング10,42の間には、レバー装着部15Aと軸挿通孔50を囲繞するようにシール部材58を配設しているため、これら孔15A,50からの浸水を防止でき、防水性を確保できる。
【0069】
一方、マニュアル仕様のドアロック装置は、第1ハウジング10にドア開放機構とマニュアルロック機構とを配設しているため、確実にマニュアルロック機構の駆動力をドア開放機構に伝達できる。また、第1ハウジング10には、オートロック機構を収容するスペースを設ける必要がないため、小型化および軽量化が可能となる。さらに、このマニュアル仕様のドアロック装置は、ドア開放機構およびマニュアルロック機構が閉鎖した第1ハウジング10内に収容されているため、防水性および盗難防止性を維持できる。
【0070】
また、第2ハウジング42を装着しない第1ハウジング10は、第2ハウジング42のオートロック機構と連結するための連通孔を閉塞したレバー装着部15Bとしているため、第1ハウジング10内への浸水を確実に防止できる。
【0071】
そして、本実施形態のドアロック装置は、第1ハウジング10に、ドア開放機構のアンロック状態またはロック状態を検出して出力するロック状態検出手段と、電気接続用のコネクタ115とを配設し、そのコネクタ115を配設する第1ハウジング10のコネクタ配設部16を、第2ハウジング装着部23の内側に位置するように設け、オートロック機構へ電力供給するための端子挿通孔17を設けている。よって、マニュアル仕様およびオート仕様のいずれの場合でも、同じコネクタ115を使用でき、外部コネクタとの接続作業も同様に1箇所で行うことができる。
【0072】
なお、本発明のドアロック装置は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0073】
即ち、本発明は、第1ハウジング10に必ず必要なドア開放機構とマニュアルロック機構とを配設し、別体の第2ハウジング42には車両によっては必要としないオートロック機構を配設し、第1ハウジング10には第2ハウジング42を装着可能な第2ハウジング装着部23を設けた構成であれば、全ての構成を含む。
【0074】
そして、前記実施形態では、オートロック機構による回転駆動力をドア開放機構に伝達するために、マニュアルロック機構を利用する構成としたが、この構成に限定されるものではなく、直接リンク64をアンロック位置またはロック位置に移動可能に連結する構成としてもよい。
【0075】
また、ラッチ機構、ドア開放機構、マニュアルロック機構およびオートロック機構の構成は、希望に応じて変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…ストライカ
10…第1ハウジング
11A,11B…第1ケース
15A…レバー装着部(第1連通孔)
15B…レバー装着部(閉塞した凸部)
16…コネクタ配設部
17…端子挿通孔
23…第2ハウジング装着部
26…第2ケース
32…コネクタ接続口
42…第2ハウジング
43…第1ケース
49…端子挿通孔
50…軸挿通孔(第2連通孔)
52…第2ケース
58…シール部材
59…フォーク(ラッチ機構)
61…クロー(ラッチ機構)
64…リンク(ドア開放機構)
68…アウターレバー(ドア開放機構)
71…インナーレバー(ドア開放機構)
74…ロックプレート(マニュアルロック機構)
78…キースイッチレバー(マニュアルロック機構)
80…キーレバー(マニュアルロック機構)
82…連結レバー(マニュアルロック機構)
83A,83B…切換レバー(マニュアルロック機構)
89…軸着部
90…伝達レバー連結部
92…ノブレバー(マニュアルロック機構)
94…伝達レバー(オートロック機構)
96…出力軸
97…切換レバー連結穴
101…ギア部材(オートロック機構)
104…カム部材(オートロック機構)
107…ウォーム(オートロック機構)
108…駆動モータ(オートロック機構)
109…基板
110a〜110e…固定接点部材(ロック状態検出手段)
111…可動接点部材(ロック状態検出手段)
115…コネクタ
117a,117b…ターミナル
118…接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカを係脱可能なラッチ機構と、
前記ラッチ機構による前記ストライカの係止を解除可能なアンロック位置と、前記ラッチ機構による前記ストライカの係止を解除不可能なロック位置とに切換可能で、ドア開放用のインナーハンドルまたはアウターハンドルの操作により動作されるドア開放機構と、
車内用ロックノブまたは車外用キーシリンダの操作により前記ドア開放機構をアンロック位置またはロック位置に移動させるマニュアルロック機構と、
電気的信号の入力により前記ドア開放機構をアンロック位置またはロック位置に移動させるオートロック機構と、
を備えたドアロック装置において、
少なくとも前記ドア開放機構および前記マニュアルロック機構を配設する第1ハウジングと、前記オートロック機構を配設する第2ハウジングとを設け、
前記第1ハウジングの外側に、前記第2ハウジングを装着する第2ハウジング装着部を設け、
前記第1および第2ハウジングに、前記オートロック機構の回転駆動力を前記ドア開放機構に伝達するための第1および第2連通孔を互いに連通するように設けたことを特徴とするドアロック装置。
【請求項2】
前記第1ハウジングの第1連通孔に、前記マニュアルロック機構を構成する切換レバーを回動可能に配設するとともに、前記第2ハウジングの第2連通孔に、前記オートロック機構の回転駆動力を出力する出力軸を配設し、
前記切換レバーおよび前記出力軸を、前記第1および第2連通孔を通して相対的に回動不可能に連結し、前記オートロック機構が前記マニュアルロック機構を介して前記ドア開放機構をアンロック位置またはロック位置に移動させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のドアロック装置。
【請求項3】
前記第1ハウジングに、前記ドア開放機構のアンロック状態またはロック状態を検出して電気的信号として出力するロック状態検出手段と、このロック状態検出手段からの電気的信号を外部へ出力するためのコネクタとを配設し、
前記コネクタを配設する前記第1ハウジングのコネクタ配設部を、前記第2ハウジング装着部の内側に位置するように設け、このコネクタ配設部に前記オートロック機構へ電力供給するための接続端子を貫通配置する端子挿通孔を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドアロック装置。
【請求項4】
前記第1および第2ハウジングの間に、前記第1および第2連通孔を囲繞するように環状シール部材を配設したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のドアロック装置。
【請求項5】
ストライカを係脱可能なラッチ機構と、
前記ラッチ機構による前記ストライカの係止を解除可能なアンロック位置と、前記ラッチ機構による前記ストライカの係止を解除不可能なロック位置とに切換可能で、ドア開放用のインナーハンドルまたはアウターハンドルの操作により動作されるドア開放機構と、
車内用ロックノブまたは車外用キーシリンダの操作により前記ドア開放機構をアンロック位置またはロック位置に移動させるマニュアルロック機構と、
を備えたドアロック装置において、
少なくとも前記ドア開放機構および前記マニュアルロック機構を配設する第1ハウジングを設け、
前記第1ハウジングに、電気的信号の入力により前記ドア開放機構をアンロック位置またはロック位置に移動させるオートロック機構を配設する第2ハウジングを装着可能な第2ハウジング装着部を設けたことを特徴とするドアロック装置。
【請求項6】
前記第2ハウジングを装着しない第1ハウジングは、前記第2ハウジングに配設する前記オートロック機構の回転駆動力を前記ドア開放機構に伝達するための連通孔を閉塞していることを特徴とする請求項5に記載のドアロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−87555(P2012−87555A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235849(P2010−235849)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】