説明

ドア構造

【課題】 開き戸用ドア、又は引戸用ドアを対象とし、湿度の変化や気温の変化によって反りにくいドア構造の提供。
【解決手段】 ドアは中央R部2とこの中央R部2の両端に取付けられる縦部材1,1とで構成され、上記中央R部2は2枚の表面板3,3の間に厚さの違う複数本の心材4a,4b,4bを挟み込むことで、該表面板3,3は滑らかな凸状曲面を形成した形状とし、上記縦部材1,1の内側端には凹溝6,6を全長にわたって設け、この凹溝6,6に上記中央R部2の先端部を嵌合して固着している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は開き戸用ドア、及び引戸用のドアであって、中央部の両面が滑らかな凸状を成しているドア構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
開き戸用ドアは出入口に蝶番などの継手を介して開閉可能に取付けられ、引戸用ドアは上レールに吊設されてスライドすることが出来る。又、引戸用ドアの場合、下レールに乗って移動する戸車を取付けている場合もある。ところで、該ドアの形態は一般的に縦長の長方形を成し、縦枠と横枠にて枠組みした枠体内部にペーパーコアを充填し、両面には表面材を貼着した構造と成っている。
【0003】
図4は従来の一般的なドア構造を示す横断面図である。同図の(イ)は縦枠、(ロ)は表面材、(ハ)はペーパーコアを夫々表している。該ドアの表面材(ロ)、(ロ)は木質で構成され、ドアを境として両面側の湿度や温度に違いが生じるならば、両表面材(ロ)、(ロ)の伸び縮みの差異に基づき、該ドアに反りが発生する。上記縦枠(イ)、(イ)の厚さ寸法が大きい場合にはドアの反りも抑制されるが、厚さの薄いドアであれば縦枠(イ)、(イ)を太くすることは出来ない。
【0004】
図5は反った状態のドアを表している。表側表面材(ロ)が伸び、裏側表面材が縮んだ場合で、ドアは反って同図のようになる。両表面材(ロ)、(ロ)は枠体及びペーパーコア(ハ)の両面に貼着されているだけで、湿度や温度の差異によってその伸縮度に変化が生じ、同図のように反ってしまう。ドアに反りが発生すると、閉じた際に戸当りとの間に隙間が生じる。
【0005】
特開2008−45304号に係る「ドア」は、反りを抑制した構造と成っている。すなわち、縦芯材と横芯材とが方形状に枠組された四方芯材と、該四方芯材で囲まれた内部空間を仕切る桟材と、補強層と、内部空間に充填された樹脂発泡体と、表面側及び裏面側に貼着された化粧材などからなり、該補強層は、金属板とプラスチック積層板とが縦芯材、横芯材の表面上で突き合わされた状態としており、金属板としてはガルバニウム鋼板が用いられている。
【0006】
特開2006−291590号に係る「ドア及びその製造方法」は、内部に金属パイプを有すると共に、ドア内外を通ずる空気出入孔が形成され、これにより反りが少ないドアを提供すると共に、金属パイプを非接着にて組付けドアの廃棄時、金属パイプを取り出し易くしている。
そこで、左右の棧と上下部の棧が組付けられ、上下部の棧には空気出入孔が形成されている。左右の棧と平行に一対の中棧が設けられ、この一対の中棧間に金属パイプが非接着で挿着セットされた状態で面材が接合されている。
【0007】
反りを抑制した構造のドアはこれらの他にも色々存在している。しかし、反り防止の為に構造が複雑化し、重量が大きくなり、必然的に製造コストは高くなる。
【特許文献1】特開2008−45304号に係る「ドア」
【特許文献2】特開2006−291590号に係る「ドア及びその製造方法」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、反りを抑制したドアは色々知られているが、上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であって、簡単な構造で反りが抑制され、しかも外観・意匠の点においても目新しく、好ましいドア構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るドア構造は、基本的構造は3ピースにて構成され、両縦枠部と中央R部が組み合わされている。中央R部とは2枚の表面板の間に厚さの異なる心材を挟み込んで構成し、その結果、両表面板は表面側に突出した滑らかな凸状曲面を形成する。該心材は中央及びその他の適当な位置にバランスをとって配置され、表面板と心材は互いに接着・固定されている。
【0010】
そして、両側に設けられる縦枠部の内側端には凹溝が長手方向に設けられ、この凹溝に中央R部の先端部が嵌合して組み付けられる。勿論、先端部は凹溝に嵌ると共に、外れないように接着される。ここで、中央R部は両表面板の間に心材が所々に配置されていて、各心材の間は空間と成っているが、上端及び下端に上板及び下板を取付けて空間を塞ぐこともある。又、複数本の各心材が位置ズレしないように互いに連結する場合もある。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るドアは両縦枠部と中央R部を組合せて構成しているが、該中央R部はその両表面板が滑らかに湾曲していることで、反り難くなる。すなわち、間に心材を挟んで湾曲し、その為に表面板には初期応力(内部応力)が前以て付勢された状態にあり、この初期応力を超えるような応力が作用しない限り、そりは発生しない。すなわち、両表面板が湿気、熱、その他の影響で伸縮に伴って歪みが発生しても、この歪みに基づく応力が上記初期応力を超えない限り、反り難くなる。
【0012】
一方、ドアの中央に中央R部を設けることで、該ドアのデザインが斬新化する。中央部に厚さの薄い平坦な板材を組み込んだ構造のドアは数多く存在しているが、滑らかな凸状曲面を形成した中央R部は本発明独自の形態であり、反り防止機能と共に、外観・意匠における効果を備えている。
【実施例】
【0013】
図1は本発明に係るドア構造を示す実施例である。同図の1は縦枠部、2は中央R部を夫々表し、両縦枠部1,1にて中央R部2を両側から挟んだ構造と成っている。上記縦枠部1は概略長方形断面の細長い枠材であり、その材料は一般に木質とし、しかも厚さ寸法は小さい為に強度・剛性は低く、その為に反りを防止する役目は殆どない。ところで、本発明に係るドアを構成する縦枠部1及び中央R部2の材料は基本的に木質とするが具体的には限定しない。中央R部2を構成する表面板3は合板又は中質繊維板が使用される場合が多い。
【0014】
図2は中央R部2を示している。同図の3は表面板、4は心材を示し、両表面板3,3の間に1本の心材4aと2本の心材4b,4bが介在し、両表面板3,3は滑らかな凸状曲面を形成している。同図に示す中央R部2は、説明の都合上、その両表面板3,3の曲率を大きく描いているが、中央の心材4aを中心として両側には厚さを小さくした心材4b,4bが配置されている。従って、これら各心材4a,4b,4bを挟み込んだ両表面板3,3は滑らかな凸状に湾曲する。時には、5本の心材、又は7本の心材を使用することも可能である。
【0015】
ここで、各心材4a,4b,4bと両表面板3,3は接着剤にて接着されて、中央R部2を構成している。しかし、心材4a,4b,4bと接着した両表面板3,3は滑らかな凸状に湾曲するが、両先端は同図に示すごとく接合することはなく、両先端は多少開口して隙間を有す。ところで、このように構成した中央R部の両先端には縦枠部1,1が取付けられる。
【0016】
図3は上記縦枠部1を単独で表している具体例であり、同図のように概略長方形断面の枠材から成っている。そして、内側端5には凹溝6を形成している。該凹溝6は縦枠部1の全長にわたって設けられ、この凹溝6に中央R部2の先端部が嵌合して接着される。ここで、凹溝6の断面形状は中央R部2の先端部断面形状と成っていて、凹溝6に嵌合した状態で該凹溝6との間に隙間を生じないようにしている。
【0017】
このように、中央R部2の両端に縦枠部1,1を嵌合することで、前記図1に示すドアが完成する。ところで、本発明のドアは中央R部2を前以て製作し、この中央R部2の両端に別途製作した縦枠部1,1を嵌合して組立てる場合に限定するものではない。例えば、2枚の平坦な表面板3,3の両端に縦枠部1,1を嵌合し、この状態で両表面板3,3を拡げ、間に心材4a,4b,4bを嵌めることも出来る。
【0018】
すなわち、本発明ではドアの組み立て方法に関しては限定しないことにする。両表面板3,3の間に心材4a,4b,4bを配置し、凹状に湾曲した押え面を有す両金型によって押圧することで、両表面材3,3は金型の押え面に馴染んで滑らかな凸状曲面に湾曲し、この状態で中央R部2の両端部を縦枠部1,1の凹溝6,6に嵌めて組立てることも可能である。
【0019】
ところで、複数本の心材4a,4b,4bを挟み込んで滑らかな凸状曲面に湾曲して構成される中央R部2は、ある程度の膨らみを有すことで剛性は向上する。2枚の平坦な表面板3,3を重ね合わせただけの中央部材に比較して、その強度・剛性は大きい。しかも、滑らかな凸状に湾曲することで、表面材3,3には所定の初期応力(内部応力)が存在している。
【0020】
この初期応力があることで、例えば湿度の変化や気温の変化によって表面板3,3が伸縮する場合、この伸縮に伴って生じる応力が上記初期応力以内であれば、表面板3,3を貼り合せた中央R部2が反ることはない。少なくとも、その反りは抑制され、ひいては反りにくいドアとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るドア構造を示す実施例。
【図2】ドアを構成する中央R部の具体例。
【図3】ドアを構成する縦部材。
【図4】従来のドア横断面図。
【図5】ドアが反った場合の形状。
【符号の説明】
【0022】
1 縦部材
2 中央R部
3 表面板
4 心材
5 内側端
6 凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開き戸用ドア、又は引戸用ドアであって、ドアは中央R部と該中央R部の両端に取付けられる縦枠部とで構成され、上記中央R部は2枚の表面板の間に厚さの違う複数本の心材を挟み込むことで、該表面板は滑らかな凸状曲面に湾曲した形状とし、上記縦枠部の内側端には凹溝を全長にわたって設け、この凹溝に上記中央R部の先端部を嵌合して固着したことを特徴とするドア構造。
【請求項2】
上記複数本の心材を互いに連結した請求項1記載のドア構造。
【請求項3】
上記両表面板の間に挟み込んだ心材を表面板と接着剤を介して固定した請求項1、又は請求項2記載のドア構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−53549(P2010−53549A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217666(P2008−217666)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000105693)コマニー株式会社 (105)
【Fターム(参考)】