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ドップラ式速度計
説明

ドップラ式速度計

【課題】ドップラ効果を利用して速度を計測するドップラ式速度計において正確な速度を得る。
【解決手段】所定周波数の送信波を送信する送信手段110と、送信波の反射波を受信する受信手段120と、反射波に基づくドップラ信号の周波数スペクトルを検出するスペクトル検出手段141と、を備え、検出した周波数スペクトルを用いて速度を計測するドップラ式速度計1であって、速度に対するドップラ信号の基準周波数スペクトルと検出した周波数スペクトルとの相関から基準周波数スペクトルを特定するスペクトル特定手段142と、特定した基準周波数スペクトルに対応する速度を反射波に基づいて検出した速度として出力する速度出力手段143と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドップラ効果を利用して速度を計測するドップラ式速度計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波やマイクロ波を用いたドップラ式速度計では、反射波の周波数スペクトルにおける強度がピーク値となったときのドップラ周波数から測定対象物の速度を求めることが一般的である(特許文献1参照)。例えば、移動体にドップラ式速度計を搭載して対地速度を計測したり、上方に設置したドップラ式速度計によってベルトコンベア等の移動速度を計測したりする利用態様がある。
【0003】
また、従来のドップラ式速度計では、速度の計測精度を高めるためにホーンアンテナが適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−280935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ドップラ式速度計の小型化や製造コストの低減を考慮し、大きくて重さのあるホーンアンテナの代りに小さくて軽いパッチアンテナ等を用いることが要求されている。
【0006】
しかしながら、パッチアンテナには、ホーンアンテナに比べて、「ビーム幅が広い(指向性が広い)」という特性がある。そのため、パッチアンテナは、速度計測の際に広範囲から反射してきた信号を受信することになる。その結果、計測して得られる信号には様々な方向からの信号が混ざり合い、ドップラ信号の周波数スペクトルはブロードになり、周波数スペクトルのピークが埋もれて検出が困難になるおそれがある。
【0007】
したがって、受信信号の周波数スペクトルにおけるピークからドップラ周波数を特定する方法では、パッチアンテナのようなビーム幅が広いアンテナを使用して正確な速度を計測することが困難であった。
【0008】
また、測定対象物の速度が高速になるとドップラ信号の周波数スペクトルはブロードになってしまうため、ピークの検出が困難となり、正確な速度の計測ができなくなるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、周波数スペクトルにおけるピーク値からドップラ周波数を特定しない方法で速度を計測できるドップラ式速度計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの態様は、所定周波数の送信波を送信する送信手段と、前記送信波の反射波を受信する受信手段と、前記反射波に基づくドップラ信号の周波数スペクトルを検出するスペクトル検出手段と、を備え、前記検出した周波数スペクトルを用いて速度を計測するドップラ式速度計であって、速度に対応するドップラ信号の基準周波数スペクトルと前記検出した周波数スペクトルとの相関から基準周波数スペクトルを特定するスペクトル特定手段と、前記特定した基準周波数スペクトルに対応する速度を前記反射波に基づいて検出した速度として出力する速度出力手段と、を備えることを特徴とするドップラ式速度計である。
【0011】
ここで、前記スペクトル特定手段は、速度毎に求められた複数の前記基準周波数スペクトルから前記検出した周波数スペクトルに最も近似する基準周波数スペクトルを特定することが好適である。
【0012】
また、前記基準周波数スペクトルは、前記送信手段及び前記受信手段に含まれるアンテナの強度分布、前記アンテナと前記反射波を反射する照射対象物との幾何学的な配置、並びに、速度とドップラ周波数との関係から生成されることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、周波数スペクトルにおいてピーク値を特定し難い場合であっても速度を正確に計測することができる。特に、ホーンアンテナに比べてビーム幅が広いパッチアンテナを用いた場合であっても速度を正確に計測できるので、小型で安価なパッチアンテナを利用してドップラ式速度計を実現することができる。
【0014】
また、速度が高速になった場合であっても正確な速度の計測が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態におけるドップラ式速度計の使用状況を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるドップラ式速度計の全体構造を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるドップラ式速度計の構造を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるドップラ式速度計と路面との幾何学的配置を説明する図である。
【図5】本発明の実施に形態におけるドップラプロファイルの例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における速度計測方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態における周波数スペクトルのマッチング処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態におけるドップラ式速度計1は、図1に示すように、車両2に搭載され、路面3に対して角度φで設置される。ドップラ式速度計1からは路面3に対して角度φで送信波4が送信され、路面3から反射された反射波5を受信する。本実施の形態では、車両2と路面3との相対速度を計測する態様について説明する。以下では、車両2を測定対象物、路面3を照射対象物と示す。
【0017】
ドップラ式速度計1は、図2及び図3の構成ブロック図に示すように、送信部110、受信部120、記憶部130及び信号処理部140から構成される。
【0018】
送信部110は、図3に示すように、マイクロ波を発生する発信器111、マイクロ波の逆流を防ぐと共にマイクロ波を送信アンテナ113とミキサ122とに分配する方向性結合器112、及びマイクロ波を監視空間に放射する送信アンテナ113で構成される。放射されるマイクロ波は、周波数fsの連続的なマイクロ波とすることができる。
【0019】
受信部120は、図3に示すように、反射波を受信する受信アンテナ121、反射波と方向性結合器112からのマイクロ波とをミキシングして反射波に含まれるドップラ成分のみを抽出し、ドップラ信号として出力するミキサ122、ドップラ信号を増幅するアンプ123及び増幅されたドップラ信号をアナログ/デジタル変換を行って信号処理部140へ出力するA/D変換器124で構成される。
【0020】
送信部110から送信されたマイクロ波は、路面3から反射され、反射波5として受信部120で受信される。車両2が移動している場合には路面3からの反射波5にはドップラ成分が含まれ、受信部120は反射波5を受信し、反射波5に含まれるドップラ成分を抽出したドップラ信号をデジタル信号に変換して信号処理部140へ出力する。
【0021】
記憶部130は、速度毎のドップラのドップラ信号の周波数スペクトル(以下、ドップラプロファイル131と呼ぶ。)を記憶する。記憶部130は、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶手段を含んで構成することができる。
【0022】
ドップラプロファイル131は、測定対象物である車両2に搭載された送信アンテナ113及び受信アンテナ121と照射対象物である路面3との幾何学的な配置(相対的距離、相対的角度等)と、送信アンテナ113及び受信アンテナ121の空間的強度分布と、によって得られる反射波5の受信強度の分布と車両2の速度の関係式から算出することができる。
【0023】
図4に示すように、送信アンテナ113及び受信アンテナ121の仰角φ、アンテナ面から垂直方向に路面3に向かって伸ばした距離r、アンテナ面から垂線方向を基準とした角度θ、の幾何学的関係を有する場合について考察する。マイクロ波は、送信アンテナ113及び受信アンテナ121からの距離の4乗に比例して振幅が減衰することから、角度θ=0のときの受信強度で正規化した受信強度S(θ)は数式(1)で表される。なお、Gは、送信アンテナ113及び受信アンテナ121全体としての角度θの対する強度分布であり、最大強度で正規化した値とする。
【数1】

【0024】
また、一般に仰角φ及び速度Vで車両2が移動するときの角度θ方向のドップラ周波数fdは、送信波4が周波数fsであるとすると、数式(2)で表される。
【数2】

【0025】
ここで、数式(1)及び(2)から角度θを除去すると、数式(3)として表される。なお、cは光速である。
【数3】

【0026】
数式(3)から速度V毎のドップラプロファイル131を算出することができる。図5は、ドップラプロファイル131を図示したものである。ドップラプロファイル131は、数式(3)において固定値でないドップラ周波数fd及び速度Vに値を代入することによって算出される。例えば、速度Vの値を代入し、ドップラ周波数fdの値を変化させながら代入することによって、代入したドップラ周波数fdに対応する信号強度Sが求まり、予め定められた速度V毎にドップラ周波数fdに対する信号強度のプロファイルがドップラプロファイル131として算出される。算出するドップラプロファイル131において、速度Vの範囲は、測定対象である車両2が出しうる速度範囲に応じて定めればよく、速度Vのステップは、速度計測に必要な精度に応じて定めればよい。また、ドップラ周波数fdの算出ステップは、計測の分解能に応じて設定すればよい。
【0027】
例えば、図5では、速度Vは0.2m/sec,0.6m/sec及び1.0m/secについてドップラプロファイル131(a),(b),(c)が求められている。
【0028】
本実施の形態では、ドップラプロファイル131は、数式(3)から算出したが、これに限定されるものではない。速度Vを別の方法で測定できる状態において車両2を実際に走行させ、ドップラ信号の周波数スペクトルを計測し、別の方法で測定された車両2の移動速度毎に計測された周波数スペクトルを対応付けてドップラプロファイル131として記憶部130に予め記憶させてもよい。
【0029】
信号処理部140は、スペクトル検出手段141、スペクトル特定手段142及び速度出力手段143を含んで構成される。信号処理部140は、後述する処理によってスペクトル検出手段141、スペクトル特定手段142及び速度出力手段143として機能するようにプログラムされたコンピュータや論理回路により実現することができる。信号処理部140は、送信部110及び受信部120で計測されたドップラ信号と記憶部130に予め記憶されているドップラプロファイル131とを用いて車両2の速度を決定する。以下、図6のフローチャートを参照しつつ、信号処理部140における処理を説明する。
【0030】
ステップST1では、送信部110及び受信部120を用いてドップラ信号が取得される。送信部110から路面3に対してマイクロ波を照射する。路面3から反射したマイクロ波を受信部120で受信し、受信した反射波からドップラ信号を取得する。
【0031】
ステップST2では、取得されたドップラ信号から周波数スペクトルを得る。すなわち、信号処理部140のスペクトル検出手段141は、受信部120で得られたドップラ信号に対してFFT等の周波数変換を行い、ドップラ信号の周波数スペクトルを得る。
【0032】
ステップST3では、ステップST2において得られたドップラ信号の周波数スペクトルに前段処理を施す。例えば、信号処理部140のスペクトル検出手段141において、ドップラ信号の周波数スペクトルにおける高周波成分を取り除くために周波数スペクトルに対して所定の透過周波数帯域を有するローパスフィルタ処理を施す。また、必要に応じて周波数スペクトルに対してその他のノイズ除去処理等を施すことも好適である。例えば、図7(a)に示すようなドップラ信号の周波数スペクトル(x)が得られる。
【0033】
ステップST4では、ステップST3で得られた周波数スペクトルとドップラプロファイル131とのマッチング処理を行う。例えば、信号処理部140のスペクトル特定手段142は、記憶部130に予め記憶されているドップラプロファイル131を順次読み出し、ステップST3で得られた周波数スペクトルと読み出された速度V毎のドップラプロファイル131との正規化相互相関を算出する。正規化相互相関は、例えば、ステップST3で得られた周波数スペクトルの波形をフリップした信号と、速度V毎のドップラプロファイル131とで畳み込みを行い、それぞれの標準偏差の積で除算する。そして、各速度Vに対する結果の最大値を、各速度Vにおける正規化相互関数の値とする。この処理は、記憶部130に記憶されている総ての速度Vに対するドップラプロファイル131について行うことが好適である。
【0034】
ステップST5では、ステップST4でのマッチングの結果から車両2の速度Vに該当するドップラプロファイル131を抽出する。信号処理部140のスペクトル特定手段142は、ステップST4で得られた正規化相互相関の値が最大である速度Vに対応するドップラプロファイル131を記憶部130から選択して読み出す。例えば、ST3で得られた周波数スペクトル(x)と、図5に示したドップラプロファイル(a),(b),(c)との正規化相互相関の値がそれぞれ0.5,0.8,0.6であったとすると、その最大値は0.8であるのでドップラプロファイル(b)を抽出する(図7(b))。
【0035】
ステップST6では、信号処理部140の速度出力手段143は、ステップST5で抽出されたドップラプロファイル131に対応する速度Vを車両2の速度として出力する。例えば、速度の値を表示部6に出力させる(図2)。
【0036】
以上のように、本実施の形態によれば、周波数スペクトルの波形に基づいて測定対象物である車両2の速度を計測することができる。ドップラ信号の周波数スペクトルにおけるピーク値に依らず、周波数スペクトルの波形に基づいて計測を行うことによって、周波数スペクトルにおいてピーク値を特定し難い場合であっても速度を正確に計測することができる。特に、パッチアンテナのようにビーム幅が広いアンテナを用いた場合であっても速度を正確に計測できる。また、速度が高速になった場合であっても正確な速度の計測が可能となる。
【0037】
なお、本実施の形態では、計測された周波数スペクトル及びドップラプロファイル131の全帯域を用いてマッチングを行うものとしたが、これに限定されるものではなく、一部の周波数帯域のみを用いてマッチングを行うものとしてもよい。例えば、ステップST3で得られた周波数スペクトルについて、受信強度が所定の閾値以上の周波数帯域内における最大の周波数を抽出する。一方、記憶部130に記憶されている各速度Vに対するドップラプロファイル131からも同様に受信強度が所定の閾値以上の周波数帯域内における最大の周波数を抽出し、ステップST3で得られた周波数スペクトルから抽出された最大周波数に最も近い最大周波数を有するドップラプロファイル131を選択する。このドップラプロファイル131に対応する速度Vを車両2の速度と決定する。
【0038】
ドップラプロファイル131を予め算出して記憶部130に記憶させておく代わりに、数式(3)を用いてマッチングの都度、各速度Vに対するドップラプロファイル131を算出してもよい。
【0039】
また、マイクロ波の代わりに超音波等を用いたドップラ式速度計においてもドップラ信号の周波数スペクトルの波形に基づいて計測を行うことができる。この場合、送信部110に超音波を出力する送信アンテナと、受信部120に超音波の反射波を受信する受信アンテナを備えればよい。
【0040】
また、ドップラ式速度計の構造を図2及び図3に示したが、送信部110及び受信部120の構造はこれに限定されるものではない。例えば、送信アンテナ、受信アンテナをそれぞれ備えるものでなく、送受信を1つのアンテナで行うものであってもよい。
【0041】
また、ドップラプロファイル131は、複数でなくてもよい。例えば、特定の速度のドップラプロファイルのみを設定しておき、ステップST5では、ステップST4で得られた正規化相互相関の値が所定の閾値以上である場合に、ステップST6にて速度を出力してもよい。
【0042】
また、本実施の形態では、車両2にドップラ式速度計1を搭載し、対地速度を計測する態様について説明したが、これに限定されるものではない。ドップラ式速度計1は、車両以外の他の移動体に対しても同様に適用できる。例えば、自走式のロボットにドップラ式速度計1を搭載し、対地速度を計測する。このような自走式ロボットにおいて、自己位置を推定する精度を上げるためには正確な対地速度を得る必要がある。ドップラ式速度計1を用いることにより、車輪のエンコーダを用いて対地速度を計測するものに比べて、車輪のスリップやタイヤ径の変化による誤差を生じることなく正確な対地速度を計測することが可能である。また、ベルトコンベア等の移動体に対して角度をもってドップラ式速度計1を設置することによっても同様に速度を計測することができる。さらに、互いが相対的に移動する物体同士の速度の計測についても、いずれか一方の移動体にドップラ式速度計1を搭載することによって同様に相対速度を計測することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ドップラ式速度計、2 車両、3 路面、4 送信波、5 反射波、110 送信部、111 発信器、112 方向性結合器、113 送信アンテナ、120 受信部、121 受信アンテナ、122 ミキサ、123 アンプ、124 A/D変換器、130 記憶部、131 ドップラプロファイル、140 信号処理部、141 スペクトル検出手段、142 スペクトル特定手段、143 速度出力手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周波数の送信波を送信する送信手段と、
前記送信波の反射波を受信する受信手段と、
前記反射波に基づくドップラ信号の周波数スペクトルを検出するスペクトル検出手段と、
を備え、前記検出した周波数スペクトルを用いて速度を計測するドップラ式速度計であって、
速度に対応するドップラ信号の基準周波数スペクトルと前記検出した周波数スペクトルとの相関から基準周波数スペクトルを特定するスペクトル特定手段と、
前記特定した基準周波数スペクトルに対応する速度を前記反射波に基づいて検出した速度として出力する速度出力手段と、
を備えることを特徴とするドップラ式速度計。
【請求項2】
請求項1に記載のドップラ式速度計であって、
前記スペクトル特定手段は、速度毎に求められた複数の前記基準周波数スペクトルから前記検出した周波数スペクトルに最も近似する基準周波数スペクトルを特定することを特徴とするドップラ式速度計。
【請求項3】
請求項1または2に記載のドップラ式速度計であって、
前記基準周波数スペクトルは、前記送信手段及び前記受信手段に含まれるアンテナの強度分布、前記アンテナと前記反射波を反射する照射対象物との幾何学的な配置、並びに、速度とドップラ周波数との関係から生成されることを特徴とするドップラ式速度計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−44697(P2013−44697A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184490(P2011−184490)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】