説明

ドナー基板の製造方法およびドナー基板、並びに表示装置の製造方法

【課題】被転写基板との位置合わせ精度を高めることが可能なドナー基板の製造方法およびドナー基板、並びに表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】可撓性の薄膜部材41の表面に、印刷法により転写層42を形成する。この薄膜部材41を剛体の支持基板43に接着層44で貼り合わせる。支持基板43の高い寸法安定性により、薄膜部材41上の転写層42の位置精度が良好になり、被転写基板との位置合わせ精度が向上する。転写層42をグラビア印刷法により形成することが好ましい。接着層44としては、耐熱温度が摂氏250度以上の無機材料を用いることが好ましい。薄膜部材41としては、耐熱温度が摂氏250度以上であり線膨張係数が10ppm/℃以下の樹脂膜および金属箔のうち少なくとも一方を用いることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Electroluminescence )素子の発光層を転写法により形成するためのドナー基板の製造方法およびドナー基板、並びに表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置の発光層の成膜方法としては、従来より、真空蒸着によるシャドウマスクを用いたパターニングが用いられてきた。しかし、有機EL表示装置の大型化のためには、シャドウマスクも大型化する必要があり、マスクの自重によるたわみが顕著になり、パターニング精度の面で実現が困難であった。
【0003】
一方、シャドウマスクを必要としないパターニング技術として、レーザなどの輻射線を用いた熱転写法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。熱転写法は、基材に発光材料を含む転写層を有するドナー基板を形成し、このドナー基板を、有機発光素子を形成するための被転写基板に対向配置し、減圧環境下で輻射線を照射することにより転写層を被転写基板に転写する方法である。また、一枚のドナー基板に複数色の転写層をインクジェット法によりパターニングして、転写回数を減らすことも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
転写層のパターニング方法としては、蒸着や印刷など、基板上に発光層を直接形成するために用いられている方法を適用することができる。例えば特許文献3には、グラビア印刷により発光層を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−073521号公報
【特許文献2】特開2001−130141号公報(段落0063)
【特許文献3】特開2006−318850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、グラビア印刷法では、ドナー基板の基材としてフィルムを用いる必要があるので、フィルムの機械的伸縮やレーザ照射時の発熱による熱膨張などにより転写位置精度が低下してしまうという問題があった。この問題は、大面積の表示装置を製造する場合には、とりわけ深刻なものとなっていた。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、被転写基板との位置合わせ精度を高めることが可能なドナー基板の製造方法およびドナー基板、並びに表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるドナー基板の製造方法は、発光材料を含む転写層を形成し、転写層を被転写基板に対向配置し、転写層を昇華または気化させて被転写基板に転写することにより発光層を形成するためのものであって、以下の(A),(B)の工程を含むものである。
(A)薄膜部材の表面に、発光材料を含む転写層を印刷法により形成する工程
(B)薄膜部材の裏面を支持基板に接着層を用いて貼り合わせる工程
【0009】
本発明によるドナー基板は、発光材料を含む転写層を形成し、転写層を被転写基板に対向配置し、転写層を昇華または気化させて被転写基板に転写することにより発光層を形成するためのものであって、以下の(A)〜(D)の構成要素を備えたものである。
(A)薄膜部材
(B)薄膜部材の表面に印刷法により形成され、発光材料を含む転写層
(C)支持基板
(D)薄膜部材の裏面と支持基板とを貼り合わせる接着層
【0010】
本発明による表示装置の製造方法は、駆動用基板に、第1電極、第1電極の発光領域に対応して開口を有する絶縁層、発光層を含む複数の有機層、および第2電極を順に有する有機発光素子を形成するものであって、駆動用基板に、第1電極、絶縁層、および複数の有機層の一部を形成し、被転写基板を形成する工程と、発光材料を含む転写層を有するドナー基板を形成する工程と、転写層を被転写基板に対向配置して、転写層を昇華または気化させて被転写基板に転写することにより発光層を形成する工程と、複数の有機層の残部および第2電極を形成する工程とを含み、ドナー基板を形成する工程は、上記本発明のドナー基板の製造方法により行うようにしたものである。
【0011】
本発明のドナー基板では、薄膜部材の表面に印刷法により転写層が形成されており、この薄膜部材が支持基板に接着層で貼り合わせられているので、薄膜部材上の転写層の位置精度が良好になっている。よって、被転写基板との位置合わせ精度が向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のドナー基板の製造方法あるいはドナー基板、または本発明の表示装置の製造方法によれば、薄膜部材の表面に印刷法により転写層を形成し、この薄膜部材を支持基板に接着層で貼り合わせるようにしたので、被転写基板との位置合わせ精度を向上させ、発光層を高精度に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る表示装置の構成を表す図である。
【図2】図1に示した画素駆動回路の一例を表す図である。
【図3】図1に示した表示領域の構成を表す断面図である。
【図4】図1に示した表示装置の製造方法に用いるドナー基板の構成を表す断面図である。
【図5】ドナー基板の製造方法を工程順に表す断面図である。
【図6】図5に続く工程を表す断面図である。
【図7】図1に示した表示装置の製造方法を工程順に表す断面図である。
【図8】図7に続く工程を表す断面図である。
【図9】図8に続く工程を表す断面図である。
【図10】上記実施の形態の表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図11】上記実施の形態の表示装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図12】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図13】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図14】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図15】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(表示装置)
図1は、本発明の一実施の形態に係る表示装置の構成を表すものである。この表示装置は、有機ELテレビジョン装置などとして用いられるものであり、例えば、基板11の上に、表示領域110として、後述する複数の有機発光素子10R,10G,10Bがマトリクス状に配置されたものである。表示領域110の周辺には、映像表示用のドライバである信号線駆動回路120および走査線駆動回路130が設けられている。
【0016】
表示領域110内には画素駆動回路140が設けられている。図2は、画素駆動回路140の一例を表したものである。画素駆動回路140は、後述する下部電極14の下層に形成されたアクティブ型の駆動回路である。すなわち、この画素駆動回路140は、駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2と、これらトランジスタTr1,Tr2の間のキャパシタ(保持容量)Csと、第1の電源ライン(Vcc)および第2の電源ライン(GND)の間において駆動トランジスタTr1に直列に接続された有機EL素子10R(または10G,10B)とを有する。駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2は、一般的な薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))により構成され、その構成は例えば逆スタガ構造(いわゆるボトムゲート型)でもよいしスタガ構造(トップゲート型)でもよく特に限定されない。
【0017】
画素駆動回路140において、列方向には信号線120Aが複数配置され、行方向には走査線130Aが複数配置されている。各信号線120Aと各走査線130Aとの交差点が、有機EL素子10R,10G,10Bのいずれか一つ(サブピクセル)に対応している。各信号線120Aは、信号線駆動回路120に接続され、この信号線駆動回路120から信号線120Aを介して書き込みトランジスタTr2のソース電極に画像信号が供給されるようになっている。各走査線130Aは走査線駆動回路130に接続され、この走査線駆動回路130から走査線130Aを介して書き込みトランジスタTr2のゲート電極に走査信号が順次供給されるようになっている。
【0018】
図3は、表示領域110の断面構成の一例を表したものである。表示領域110には、赤色の光を発生する有機発光素子10Rと、緑色の光を発生する有機発光素子10Gと、青色の光を発生する有機発光素子10Bとが、順に全体としてマトリクス状に形成されている。有機発光素子10R,10G,10Bは長方形の平面形状を有し、各色別に長手方向(列方向)に配列されている。なお、隣り合う有機発光素子10R,10G,10Bの組み合わせが一つの画素(ピクセル)を構成している。画素ピッチは例えば300μmである。
【0019】
有機発光素子10R,10G,10Bは、それぞれ、駆動用基板11の側から、上述した画素駆動回路140の駆動トランジスタ(図示せず)および平坦化絶縁膜(図示せず)を間にして、陽極としての第1電極13、絶縁層14、後述する赤色発光層15CR,緑色発光層15CGまたは青色発光層15CBを含む有機層15、および陰極としての第2電極16がこの順に積層された構成を有している。
【0020】
このような有機発光素子10R,10G,10Bは、窒化ケイ素(SiNx )などの保護膜17により被覆され、更にこの保護膜17上に接着層20を間にしてガラスなどよりなる封止用基板30が全面にわたって貼り合わされることにより封止されている。
【0021】
第1電極13は、例えば、ITO(インジウム・スズ複合酸化物)またはIZO(インジウム・亜鉛複合酸化物)により構成されている。また、第1電極13は、反射電極により構成してもよい。その場合、第1電極13は、例えば、厚みが100nm以上1000nm以下であり、できるだけ高い反射率を有するようにすることが発光効率を高める上で望ましい。例えば、第1電極13を構成する材料としては、クロム(Cr),金(Au),白金(Pt),ニッケル(Ni),銅(Cu),タングステン(W)あるいは銀(Ag)などの金属元素の単体または合金が挙げられる。
【0022】
絶縁層14は、第1電極13と第2電極16との絶縁性を確保すると共に発光領域13Aを正確に所望の形状にするためのものであり、例えば厚みが1μm程度であり、酸化シリコンまたはポリイミドなどの感光性樹脂により構成されている。絶縁層14には、第1電極13の発光領域13Aに対応して開口が設けられている。なお、有機層15および第2電極16は、発光領域13Aだけでなく絶縁層14の上にも連続して設けられていてもよいが、発光が生じるのは絶縁層14の開口だけである。
【0023】
有機層15は、第1電極13の側から順に、正孔注入層および正孔輸送層15AB,赤色発光層15CR,緑色発光層15CGまたは青色発光層15CB(以下、発光層15Cと総称する)、並びに電子輸送層および電子注入層15DEを積層した構成を有するが、これらのうち赤色発光層15CR,緑色発光層15CGまたは青色発光層15CB以外の層は必要に応じて設ければよい。また、有機層15は、有機発光素子10R,10G,10Bの発光色によってそれぞれ構成が異なっていてもよい。正孔注入層は、正孔注入効率を高めるためのものであると共に、リークを防止するためのバッファ層である。正孔輸送層は、赤色発光層15CR,緑色発光層15CGまたは青色発光層15CBへの正孔輸送効率を高めるためのものである。赤色発光層15CR,緑色発光層15CGまたは青色発光層15CBは、電界をかけることにより電子と正孔との再結合が起こり、光を発生するものである。電子輸送層は、赤色発光層15CR,緑色発光層15CGまたは青色発光層15CBへの電子輸送効率を高めるためのものである。電子注入層は、例えば厚みが0.3nm程度であり、LiF,Li2 Oなどにより構成されている。なお、図3では、正孔注入層および正孔輸送層を一層(正孔注入層および正孔輸送層15AB)、電子輸送層および電子注入層を一層(電子輸送層および電子注入層15DE)として表している。
【0024】
有機発光素子10Rの正孔注入層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)あるいは4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)により構成されている。有機発光素子10Rの正孔輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、ビス[(N−ナフチル)−N−フェニル]ベンジジン(α−NPD)により構成されている。有機発光素子10Rの赤色発光層15CRは、例えば、厚みが10nm以上100nm以下であり、9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(ADN)に2,6−ビス[4´−メトキシジフェニルアミノ)スチリル]−1,5−ジシアノナフタレン(BSN)を30重量%混合したものにより構成されている。有機発光素子10Rの電子輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )により構成されている。
【0025】
有機発光素子10Gの正孔注入層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、m−MTDATAあるいは2−TNATAにより構成されている。有機発光素子10Gの正孔輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、α−NPDにより構成されている。有機発光素子10Gの緑色発光層15CGは、例えば、厚みが10nm以上100nm以下であり、ADNにクマリン6(Coumarin6)を5体積%混合したものにより構成されている。有機発光素子10Gの電子輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、Alq3 により構成されている。
【0026】
有機発光素子10Bの正孔注入層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、m−MTDATAあるいは2−TNATAにより構成されている。有機発光素子10Bの正孔輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、α−NPDにより構成されている。有機発光素子10Bの青色発光層15CBは、例えば、厚みが10nm以上100nm以下であり、ADNに4,4´−ビス[2−{4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を2.5重量%混合したものにより構成されている。有機発光素子10Bの電子輸送層は、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、Alq3 により構成されている。
【0027】
第2電極16は、例えば、厚みが5nm以上50nm以下であり、アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ナトリウム(Na)などの金属元素の単体または合金により構成されている。中でも、マグネシウムと銀との合金(MgAg合金)、またはアルミニウム(Al)とリチウム(Li)との合金(AlLi合金)が好ましい。
【0028】
保護膜17は、有機層15に水分などが侵入することを防止するためのものであり、透過水性および吸水性の低い材料により構成されると共に十分な厚みを有している。また、保護膜17は、発光層15Cで発生した光に対する透過性が高く、例えば80%以上の透過率を有する材料により構成されている。このような保護膜17は、例えば、厚みが2μmないし3μm程度であり、無機アモルファス性の絶縁性材料により構成されている。具体的には、アモルファスシリコン(α−Si),アモルファス炭化シリコン(α−SiC),アモルファス窒化シリコン(α−Si1−x Nx )およびアモルファスカーボン(α−C)が好ましい。これらの無機アモルファス性の絶縁性材料は、グレインを構成しないので透水性が低く、良好な保護膜17となる。また、保護膜17は、ITOのような透明導電材料により構成されていてもよい。
【0029】
接着層20は、例えば熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂により構成されている。
【0030】
封止用基板30は、有機発光素子10R,10G,10Bの第2電極16の側に位置しており、接着層20と共に有機発光素子10R,10G,10Bを封止するものであり、有機発光素子10R,10G,10Bで発生した光に対して透明なガラスなどの材料により構成されている。封止用基板30には、例えば、カラーフィルタと、ブラックマトリクスとしての遮光膜(いずれも図示せず)とが設けられており、有機発光素子10R,10G,10Bで発生した光を取り出すと共に、有機発光素子10R,10G,10B並びにその間の配線において反射された外光を吸収し、コントラストを改善するようになっていてもよい。
【0031】
(ドナー基板)
次に、この表示装置の製造方法に用いられるドナー基板について説明する。
【0032】
図4は、ドナー基板の構成を表したものである。ドナー基板40は、転写法により赤色発光層15CR,緑色発光層15CGまたは青色発光層15CBを形成する工程に用いられるものであり、薄膜部材41の表面に、赤色発光材料を含む赤色転写層42Rと、緑色発光材料を含む緑色転写層42Gと、青色発光材料を含む青色転写層42Bと(以下、転写層42と総称する。)が印刷法により設けられている。薄膜部材41の裏面は、支持基板43に、接着層44により貼り合わせられている。これにより、このドナー基板40では、被転写基板11Aとの位置合わせ精度を高めることが可能となっている。
【0033】
薄膜部材41は、樹脂膜(樹脂フィルム)、金属箔、または樹脂膜と金属箔との積層膜などにより構成されている。樹脂膜としては、例えばポリイミド,ポリエチレンテレフタレートおよびポリフェニレンサルファイドが挙げられ、金属箔としては、例えばステンレス鋼,アルミニウム(Al)および銅(Cu)が挙げられるが、それらに限定されるものではない。薄膜部材41は、可撓性を有することが好ましい。印刷法、特にグラビア印刷法により転写層42を形成するのに適しているからである。また、薄膜部材41は、例えば、耐熱温度が摂氏250度以上であり線膨張係数が10ppm/℃以下であることが好ましい。転写工程において熱による損傷を抑えると共に、熱膨張を抑えて寸法安定性を高め、転写位置精度を保持することが可能となるからである。薄膜部材41の耐熱温度は摂氏300度以上であればより好ましい。より高い効果が得られるからである。
【0034】
赤色転写層42R,緑色転写層42Gおよび青色転写層42Bは、被転写基板11Aに転写されて赤色発光層15CR,緑色発光層15CGまたは青色発光層15CBとなるものであり、薄膜部材41上に、有機発光素子10R,10G,10Bの配置に応じて配置されている。赤色転写層42R,緑色転写層42Gおよび青色転写層42Bは、後述するようにグラビア印刷法により形成されたものであることが好ましい。低粘度のインクを使用することができ、素子性能を高めることが可能だからである。また、乾燥後の転写層42の厚みやサイズの精度が高く、高精細化に適しているからである。
【0035】
支持基板43は、ガラスまたは樹脂などの剛体により構成され、後述する被転写基板との位置合わせが可能な堅固さを有している。また、支持基板43は、レーザ光に対する透過性の高い材料により構成されている。
【0036】
接着層44は、無機材料または有機材料により構成されている。無機材料としては、具体的には、ケイ酸ナトリウム,セラミックス系接着剤,セメント系接着剤およびシリコーン系接着剤が挙げられる。有機材料としては、例えば、エポキシ系接着剤,アクリル系接着剤,塩化ビニル系接着剤,プラスチック系接着剤またはABS系接着剤が挙げられる。
【0037】
特に、接着層44は、耐熱温度が摂氏250度以上の無機材料により構成されていることが好ましい。耐熱温度が高いことにより接着力を維持し、転写層42の位置を確実に固定し、転写後の位置ずれを小さくすることが可能だからである。また、無機材料は有機材料のような脱ガスが少なく、寿命や発光特性への影響を小さくすることが可能となるからである。
【0038】
支持基板43の薄膜部材41との貼り合わせ面には、光熱変換層45および保護層46が設けられている。光熱変換層45は、レーザ光を吸収して熱に変換するものであり、例えば、モリブデン(Mo),クロム(Cr),チタン(Ti),スズ(Sn)あるいはこれらを含む合金など吸収率の高い金属材料により構成されている。光熱変換層45は、駆動用基板11上の赤色発光層15CR,緑色発光層15CGまたは青色発光層15CBを形成したい領域(発光領域13A)に対応して、例えば幅100μmのストライプ状に形成されている。また、光熱変換層45は、各発光領域13Aに対応して形成されていてもよい。
【0039】
保護層46は、光熱変換層45からの熱拡散を抑えるための断熱層としての機能も有しており、光熱変換層45上および支持基板43上の全面に形成されている。保護層46は、例えば、厚みが300nm程度であり、SiO2 ,SiN,SiON,Al2 O3 により構成されている。なお、保護層46は必要に応じて設ければよく、省略することも可能である。
【0040】
このドナー基板40は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0041】
まず、図5に示したように、上述した材料よりなる可撓性の薄膜部材41の表面に、印刷法により、発光材料を含む転写層42を形成する。印刷法としては、具体的には、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、凸版印刷、オフセット印刷およびスクリーン印刷などが挙げられる。
【0042】
特に、転写層42をグラビア印刷法により形成することが好ましい。溶解性の低い低分子材料のみを溶解させた10cp未満の低粘度のインクを、隔壁などをもたない薄膜部材41に対して精度良くパターン印刷することが可能であると共に、乾燥後の転写層42の厚みを数10nmとすることが可能だからである。また、グラビア印刷以外の印刷法、特にフレキソ印刷では、ガラス様固体への直接印刷が可能であるものの、インク粘度が10cp程度以上必要であり、低分子材料のインクを用いる場合には増粘のための添加剤を加えないと濡れ広がってしまう。更に、そのような添加剤は素子性能への悪影響を与えるという懸念がある。インクジェット印刷では、液滴の濡れ広がりを防止するための隔壁が必要となり、ドナー基板40の製造工程が複雑になる。凸版印刷、オフセット印刷およびスクリーン印刷は、数nmないし数10nm程度の所望の厚みを得ることが難しい。
【0043】
赤色転写層42Rを形成するためのインクの組成は、例えば、ペリレン誘導体4.8重量部、ピラン誘導体0.2重量部、トルエン47.5重量部、シクロヘキサノン47.5重量部である。
【0044】
緑色転写層42Gを形成するためのインクの組成は、例えば、アントラセン誘導体4.5重量部、キナクドリン誘導体0.5重量部、トルエン47.5重量部、シクロヘキサノン47.5重量部である。
【0045】
青色転写層42Bを形成するためのインクの組成は、例えば、アントラセン誘導体4.75重量部、スチリルアミン誘導体0.25重量部、トルエン47.5重量部、シクロヘキサノン47.5重量部である。このインクの粘度は、例えば、25℃で5cpである。
【0046】
次いで、図6に示したように、上述した材料よりなる支持基板43上に、例えばスパッタリング法により、上述した材料よりなる光熱変換層45を形成し、フォトリソグラフィおよびエッチングにより所定の形状に成形する。続いて、同じく図6に示したように、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法により、上述した材料よりなる保護層46を形成する。
【0047】
そののち、同じく図6に示したように、薄膜部材41の裏面を、支持基板43の光熱変換層45が形成された面に、上述した材料よりなる接着層44を用いて貼り合わせる。その際、接着層44は、薄膜部材41の裏面に形成してもよいし、支持基板43側に設けてもよい。以上により、図4に示したドナー基板40が形成される。
【0048】
(表示装置の製造方法)
この表示装置は、例えば次のようにして製造することができる。
【0049】
まず、駆動用基板11に、第1電極13、絶縁層14および正孔注入層および正孔輸送層15ABを形成し、被転写基板11Aを形成する。
【0050】
すなわち、上述した材料よりなる駆動用基板11を用意し、この駆動用基板11の上に画素駆動回路140を形成したのち、全面に感光性樹脂を塗布することにより平坦化絶縁膜(図示せず)を形成し、露光および現像により所定の形状にパターニングすると共に、駆動トランジスタTr1と第1電極13との接続孔(図示せず)を形成し、焼成する。
【0051】
次いで、例えばスパッタ法により、上述した材料よりなる第1電極13を形成し、例えばドライエッチングにより所定の形状に成形する。なお、駆動用基板11の所定の位置には、後述する転写工程においてドナー基板との位置合わせに使用するアライメントマークを形成してもよい。
【0052】
続いて、駆動用基板11の全面にわたり絶縁層14を形成し、例えばフォトリソグラフィ法により、第1電極13の発光領域13Aに対応して開口を設ける。
【0053】
そののち、例えばエリアマスクを用いた蒸着法により、上述した厚みおよび材料よりなる正孔注入層および正孔輸送層15ABを順次成膜する。これにより、被転写基板11Aが形成される。
【0054】
被転写基板11Aを形成したのち、上述したドナー基板40を用いた転写法により赤色発光層15CR,緑色発光層15CGまたは青色発光層15CBを形成する。すなわち、図7に示したように、ドナー基板40の転写層42を被転写基板11Aに対向配置する。
【0055】
続いて、図8に示したように、ドナー基板40の支持基板43の裏面側からレーザ光LBを照射し、転写層42を昇華または気化させて被転写基板11Aに転写する。これにより、図9に示したように、被転写基板11Aの絶縁膜14の開口に、赤色発光層15CR,緑色発光層15CGおよび青色発光層15CBが形成される。
【0056】
ここでは、ドナー基板40において、可撓性の薄膜部材41の表面に印刷法により転写層42が形成されており、この薄膜部材41が剛体の支持基板43に接着層44で貼り合わせられているので、支持基板43の高い寸法安定性により、薄膜部材41上の転写層42の位置精度が良好になっている。よって、被転写基板11Aとの位置合わせ精度が向上し、大型の被転写基板11Aに対しても位置ずれが小さく、高い位置精度で転写が可能となる。また、赤色転写層42R,緑色転写層42Gおよび青色転写層42Bを同一の薄膜部材41に印刷し、それらを一括転写することが可能となり、製造コストの低減が可能となる。
【0057】
なお、レーザ光LBは、図示しないが、ドナー基板40の支持基板43の裏側全面に照射するようにしてもよい。
【0058】
赤色発光層15CR,緑色発光層15CGまたは青色発光層15CBを形成したのち、ドナー基板40と被転写基板11Aとを分離する。被転写基板11Aには、例えば蒸着により、電子輸送層および電子注入層15DE、並びに第2電極16を形成する。このようにして、有機発光素子10R,10G,10Bを形成する。一方、使用済みのドナー基板40は、接着層44,薄膜部材41および転写層42を剥離・除去したのち、繰り返し使用が可能である。
【0059】
有機発光素子10R,10G,10Bを形成したのち、これらの上に上述した材料よりなる保護膜17を形成する。保護膜17の形成方法は、下地に対して影響を及ぼすことのない程度に、成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法、例えば蒸着法またはCVD法が好ましい。また、保護膜17は、第2電極16を大気に暴露することなく、第2電極16の形成と連続して行うことが望ましい。大気中の水分や酸素により有機層15が劣化してしまうのを抑制することができるからである。更に、有機層15の劣化による輝度の低下を防止するため、保護膜17の成膜温度は常温に設定すると共に、保護膜17の剥がれを防止するために膜のストレスが最小になる条件で成膜することが望ましい。
【0060】
そののち、保護膜17の上に、接着層20を形成し、この接着層20を間にして、カラーフィルタを設けた封止用基板30を貼り合わせる。その際、封止用基板30のカラーフィルタを形成した面を、有機発光素子10R,10G,10B側にして配置することが好ましい。以上により、図1に示した表示装置が完成する。
【0061】
このようにして得られた表示装置では、各画素に対して走査線駆動回路130から書き込みトランジスタTr2のゲート電極を介して走査信号が供給されると共に、信号線駆動回路120から画像信号が書き込みトランジスタTr2を介して保持容量Csに保持される。すなわち、この保持容量Csに保持された信号に応じて駆動トランジスタTr1がオンオフ制御され、これにより、各有機発光素子10R,10G,10Bに駆動電流Idが注入されることにより、正孔と電子とが再結合して発光が起こる。この光は、第2電極16,カラーフィルタおよび封止用基板30を透過して取り出される。
【0062】
このように本実施の形態では、可撓性の薄膜部材41の表面に印刷法により転写層42を形成し、この薄膜部材41を剛体の支持基板43に接着層44で貼り合わせるようにしたので、被転写基板11Aとの位置合わせ精度を向上させ、発光層15Cを高精度に形成することが可能となる。
【0063】
特に、転写層42をグラビア印刷により形成するようにしたので、溶解性の低い低分子材料のみを溶解させた10cp未満の低粘度のインクを、隔壁などをもたない薄膜部材41に対して精度良くパターン印刷することが可能であると共に、乾燥後の転写層42の厚みを数10nmとすることが可能となる。
【実施例】
【0064】
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0065】
(実施例1−1〜1−9)
上記実施の形態と同様にして表示装置を作製した。その際、接着層44の耐熱温度および材料を、実施例1−1〜1−9で表1に示したように異ならせた。
【0066】
【表1】

【0067】
得られた実施例1−1〜1−9の表示装置について、転写により形成した発光層15Cの設定画素位置からの位置ずれと、素子寿命とを調べた。その結果を表1に併せて示す。位置ずれの計測結果については、設定画素位置に対して画素サイズの±5%未満の場合は○、±5%以上の場合は△と表している。
【0068】
表1から分かるように、接着層44として耐熱温度が250℃以上の無機材料を用いた実施例1−2〜1−5では、耐熱温度が250℃以下の無機材料を用いた実施例1−1および有機材料を用いた実施例1−6〜1−9に比べて、位置ずれが抑えられると共に素子寿命が長かった。すなわち、接着層44として耐熱温度が250℃以上の無機材料を用いれば、位置精度を向上させると共に素子寿命を著しく長くすることができることが分かった。
【0069】
(実施例2−1〜2−9)
上記実施の形態と同様にして表示装置を作製した。その際、薄膜部材41の耐熱温度および線膨張係数を、実施例2−1〜2−9で表2に示したように異ならせた。
【0070】
【表2】

【0071】
得られた実施例2−1〜2−9表示装置について、転写により形成した発光層15Cの設定画素位置からの位置ずれを調べた。その結果を表2に併せて示す。位置ずれの計測結果については、設定画素位置に対して画素サイズの±5%未満の場合は○、±5%以上の場合は△と表している。
【0072】
表2から分かるように、薄膜部材41の耐熱温度を250℃以上、線膨張係数を10ppm/℃以下とした実施例2−3,2−4,2−8,2−9では、耐熱温度が250℃以下、または線膨張係数を10ppm/℃よりも大きくした実施例2−1,2−2,2−5〜2−7に比べて、位置ずれが抑えられた。すなわち、薄膜部材41の耐熱温度を250℃以上,線膨張係数を10ppm/℃以下とすれば、位置精度を向上させることができることが分かった。
【0073】
(モジュールおよび適用例)
以下、上述した各実施の形態で説明した表示装置の適用例について説明する。上記各実施の形態の表示装置は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなど、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
【0074】
(モジュール)
上記各実施の形態の表示装置は、例えば、図10に示したようなモジュールとして、後述する適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、被転写基板11の一辺に、封止用基板30および接着層20から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、信号線駆動回路120および走査線駆動回路130の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられていてもよい。
【0075】
(適用例1)
図11は、上記各実施の形態の表示装置が適用されるテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300は、上記各実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0076】
(適用例2)
図12は、上記各実施の形態の表示装置が適用されるデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、その表示部420は、上記各実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0077】
(適用例3)
図13は、上記各実施の形態の表示装置が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体51
0,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、その表示部530は、上記各実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0078】
(適用例4)
図14は、上記各実施の形態の表示装置が適用されるビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有しており、その表示部640は、上記各実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0079】
(適用例5)
図15は、上記各実施の形態の表示装置が適用される携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記各実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0080】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、転写工程でレーザ光を照射する場合について説明したが、例えばフラッシュランプ,ヒートバー,サーマルヘッドなど他の光源を用いて輻射線を照射するようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施の形態では、R,G,Bすべての発光層15Cを転写法により形成する場合について説明したが、赤色発光層15CRおよび緑色発光層15CGのみを転写法により形成したのち、青色発光層15CBを蒸着法により全面成膜するようにしてもよい。このとき、有機発光素子10Rでは、赤色発光層15CRと、青色発光層15CBとが形成されているが、最もエネルギー準位の低い赤色にエネルギー移動が起こり、赤色発光が支配的となる。有機発光素子10Gでは、緑色発光層15CGと、青色発光層15CBとが形成されているが、よりエネルギー準位の低い緑色にエネルギー移動が起こり、緑色発光が支配的となる。有機発光素子10Bでは、青色発光層15CBのみを有するので、青色発光が生じる。
【0082】
更に、例えば、上記実施の形態および実施例において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法,成膜条件およびレーザ光の照射条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法,成膜条件および照射条件としてもよい。例えば、第1電極13は、誘電体多層膜を有するようにすることもできる。
【0083】
加えて、上記実施の形態では、ドナー基板40および有機発光素子10R,10G,10Bの構成を具体的に挙げて説明したが、全ての層を備える必要はなく、また、他の層を更に備えていてもよい。例えば、第1電極13と有機層15との間に、酸化クロム(III)(Cr23),ITO(Indium-Tin Oxide:インジウム(In)およびスズ(Sn)の酸化物混合膜)などからなる正孔注入用薄膜層を備えていてもよい。
【0084】
更にまた、上記実施の形態では、第2電極16が半透過性電極により構成され、発光層15Cで発生した光を第2電極16の側から取り出す場合について説明したが、発生した光を第1電極13の側から取り出すようにしてもよい。この場合、第2電極16はできるだけ高い反射率を有するようにすることが発光効率を高める上で望ましい。
【0085】
加えてまた、上記各実施の形態では、アクティブマトリクス型の表示装置の場合について説明したが、本発明はパッシブマトリクス型の表示装置への適用も可能である。更にまた、アクティブマトリクス駆動のための画素駆動回路の構成は、上記各実施の形態で説明したものに限られず、必要に応じて容量素子やトランジスタを追加してもよい。その場合、画素駆動回路の変更に応じて、上述した信号線駆動回路120や走査線駆動回路130のほかに、必要な駆動回路を追加してもよい。
【符号の説明】
【0086】
10R,10G,10B…有機発光素子、11…駆動用基板、11A…被転写基板、13…第1電極、14…絶縁層、15…有機層、15AB…正孔注入層および正孔輸送層、15C…発光層、15CR…赤色発光層、15CG…緑色発光層、15CB…青色発光層、15DE…電子輸送層および電子注入層、16…第2電極、17…保護膜、20…接着層、30…封止用基板、40…ドナー基板、41…薄膜部材、42…転写層、42R…赤色転写層、42G…緑色転写層、42B…青色転写層、43…支持基板、44…接着層、45…光熱変換層、46…保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光材料を含む転写層を形成し、前記転写層を被転写基板に対向配置し、前記転写層を昇華または気化させて被転写基板に転写することにより発光層を形成するためのドナー基板の製造方法であって、
薄膜部材の表面に、発光材料を含む転写層を印刷法により形成する工程と、
前記薄膜部材の裏面を支持基板に接着層を用いて貼り合わせる工程と
を含むドナー基板の製造方法。
【請求項2】
前記転写層をグラビア印刷法により形成する
請求項1記載のドナー基板の製造方法。
【請求項3】
前記接着層として、耐熱温度が摂氏250度以上の無機材料を用いる
請求項2記載のドナー基板の製造方法。
【請求項4】
前記薄膜部材として、耐熱温度が摂氏250度以上であり線膨張係数が10ppm/℃以下の樹脂膜および金属箔のうち少なくとも一方を用いる
請求項3記載のドナー基板の製造方法。
【請求項5】
前記支持基板の前記薄膜部材との貼り合わせ面に光熱変換層を設ける
請求項4記載のドナー基板の製造方法。
【請求項6】
発光材料を含む転写層を形成し、前記転写層を被転写基板に対向配置し、前記転写層を昇華または気化させて被転写基板に転写することにより発光層を形成するためのドナー基板であって、
薄膜部材と、
前記薄膜部材の表面に印刷法により形成され、発光材料を含む転写層と、
支持基板と、
前記薄膜部材の裏面と前記支持基板とを貼り合わせる接着層と
を備えたドナー基板。
【請求項7】
駆動用基板に、第1電極、前記第1電極の発光領域に対応して開口を有する絶縁層、発光層を含む複数の有機層、および第2電極を順に有する有機発光素子を形成する表示装置の製造方法であって、
前記駆動用基板に、前記第1電極、前記絶縁層、および前記複数の有機層の一部を形成し、被転写基板を形成する工程と、
発光材料を含む転写層を有するドナー基板を形成する工程と、
前記転写層を前記被転写基板に対向配置して、前記転写層を昇華または気化させて被転写基板に転写することにより発光層を形成する工程と、
前記複数の有機層の残部および第2電極を形成する工程と
を含み、
前記ドナー基板を形成する工程は、
薄膜部材の表面に、発光材料を含む転写層を印刷法により形成する工程と、
前記薄膜部材の裏面を支持基板に接着層を用いて貼り合わせる工程と
を含む表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−34852(P2011−34852A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180916(P2009−180916)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】